文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中期経営計画「ENEX2030 '23-'24」で掲げる「1.現場力の強化」、「2.投資実行体制の進
化」、「3.組織・人材の強化」を中心に取り組んでまいりました。現状並びに今後の経営環境を踏まえ、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりです。
・「現場力の強化」
・「投資・戦略投資の実行」
当社グループは、「くらしの原動力を創る」をコンセプトとした2030年の目指す姿の実現に向け、現場力を強化し、新たな案件の発掘・開発を進めるとともに、投資体制の強化・向上を図り、積極的に投資を推進することで、生活や産業へ多様なエネルギー・サービスを提供し、更なる成長・変革へ挑戦してまいります。
中期経営計画『ENEX2030』概要(2023-2030)
(1)目指す方向性
① 現場力の強化
・既存事業における顧客基盤の更なる充実と収益性の向上
・グループ・コミュニケーション向上、総合力を高め、現場力強化
② 投資実行の加速
・投資推進体制の構築による投資の加速
・新規戦略投資2,100億円
(2)ENEX2030 経営目標
〈財務指標〉
① 当期純利益200億円以上
② 実質営業キャッシュ・フロー450億円
③ ROE9.0%以上
④ 新規戦略投資(2023~2030年度累計)2,100億円
〈非財務指標〉
① GHG排出量50%以上削減(2018年度比 Scope1.2)
② 女性採用比率30%以上
③ 女性管理職比率10%
④ 男性育休取得率80%以上
中期経営計画『ENEX2030 '25-'26』概要(2025-2026)
(1)位置づけ :攻守にDXを活用し、現場力を強化する。新規・戦略投資の実行や投資管理の高度化により、
ENEX2030達成に向けた新たな収益基盤の構築を図る。
(2)主な取り組み:① 現場力の強化 ② 新規・戦略投資の実行
(3)ENEX2030 '25-'26 経営目標
〈財務指標〉
① 当期純利益毎期160億円
② 実質営業キャッシュ・フロー毎期380億円
③ ROE毎期9.0%程度
④ 新規・戦略投資累計500億円
〈株主還元〉
「累進配当」及び「連結配当性向40%以上を強く意識」を掲げております。
当社グループは、経営理念「社会とくらしのパートナー~エネルギーと共に・車と共に・家庭と共に~」のもと、半世紀以上にわたり安定的にエネルギーとサービスを皆様にお届けしてまいりました。急速に進む脱炭素社会への潮流にも対応すべく、環境ビジネスや次世代エネルギーにも早くから着手しており、2021年に「サステナビリティ方針」を策定し、更に優先的に取り組むべき重要課題を特定いたしました。グループ全体で中長期的にサステナビリティ課題の解決に向けた取組を加速しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ方針
伊藤忠エネクスグループは、
“社会とくらしのパートナー”として、
エネルギーとサービスをお届けすることを使命とし、
人々の豊かなくらしと持続可能な社会の発展に貢献しつつ
自らの企業価値の向上を目指します。
・事業を通じたカーボンニュートラル社会への貢献
・エネルギーの安定供給を通じた豊かな地域社会への貢献
・ステークホルダーから信頼されるガバナンス体制の構築
(2)サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)
サステナビリティ方針に基づき、サステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定しました。
これらの課題に対する取組を通じて持続可能な社会づくりに貢献し、より一層の企業価値向上に努めていきます。また、重要課題に関する取組については、サステナビリティ委員会において進捗を管理していきます。
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重要課題 |
主な機会 |
主なリスク |
関連するSDGs |
取組み分野 |
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①気候変動への対応 ~カーボンニュートラル社会実現への貢献~ |
●代替燃料需要の高まりに伴う代替燃料市場の拡大と販売機会の増加 ●水素等の新たなエネルギーインフラ構築機会の創出 ●再生可能エネルギー需要の高まりと、新たな事業機会の創出 ●事業を通じた社会課題解決が期待される市場の拡大 等 |
●既存エネルギービジネスの減退 ●温室効果ガス排出に対する事業規制等による、化石燃料需要の減少 等 |
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●代替燃料 ●再生可能エネルギー ●電気自動車 ●蓄電池・家庭用製品のエネルギーソリューション |
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②エネルギーへのアクセス ~エネルギーの恵みをすべての人に~ |
●地域コミュニティ及びサプライチェーン全体からの信頼に支えられた事業のさらなる拡大 ●代替エネルギー等多様なエネルギーを選択できる環境の提供 ●エネルギーへのアクセスが未整備な地域への進出 ●災害時にも適応できる供給体制強化等による顧客維持・獲得等 ●環境に配慮した資源や素材の安定供給による、顧客の信頼獲得や新規事業創出 等 |
●地域コミュニティと関係悪化による顧客基盤の損失 ●エネルギーの調達不足による事業の不安定化 等 |
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●地域コミュニティとの関係 ●エネルギーへのアクセス •エネルギー・サービスの安定供給 •カーライフ・ステーション |
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重要課題 |
主な機会 |
主なリスク |
関連するSDGs |
取組み分野 |
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③人材活用 ~多様な価値創造を生む人材戦略~ |
●働きがいのある職場環境の整備による、労働生産性の向上、健康力・モチベーション・コミュニケーションの向上、優秀な人材の確保、変化やビジネスチャンスへの対応力強化による会社の成長基盤・イノベーション創出 等 |
●適切な対応を実施しない場合の、労働生産性の低下、優秀な人材の流出、ビジネスチャンスの逸失、健康関連コストの増加、企業イメージ低下 等 |
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●ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ●健康と安全 ●人材育成 ●社会貢献活動 |
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④コーポレート・ガバナンス ~透明性、実効性ある公正な意思決定~ |
●強固なガバナンス体制の確立による意思決定の透明性の向上、変化への適切な対応、安定的な成長基盤の確立等による企業価値向上 等 |
●コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失・コストの発生 等 |
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●コーポレート・ガバナンス •取締役会の機能性強化 •ステークホルダーエンゲージメントの強化 •委員会の適切な運営 •グループガバナンスの強化 •リスク管理の強化 |
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(3)サステナビリティガバナンス
当社は2021年にサステナビリティ委員会を設立し、グループ全体のサステナビリティ課題を長期的視点で、審議・モニタリングしております。当事業年度におきましては、気候変動関連を中心に議論を実施いたしました(2024年度開催数3回)。サステナビリティ委員長は業務執行役員が務め、重要な課題については主に経営会議で議論を行い、適宜、取締役会に報告、あるいは必要に応じて取締役会が承認しております。同委員長は経営会議、リスクマネジメント委員会に出席し、事業戦略及び全社のリスク管理においてサステナビリティの観点を反映させております。委員会の委員には職能部長が任命され、また必要に応じて各営業部門の統括責任者も参加し、サステナビリティに関する施策を各組織が迅速に実行する体制を構築しております。
(注)2025年6月18日開催予定の第65回定時株主総会後のサステナビリティに関わるガバナンス体制は、
「社長CEO」は「社長」の記載となり、「会長」の記載はございません。
2024年度サステナビリティ関連審議・報告実績
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サステナビリティ関連会議体 |
開催数 |
主な承認・審議・報告事項 |
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取締役会 |
3回 |
・サステナビリティ委員会での審議内容の報告 |
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サステナビリティ委員会 |
3回 |
・有価証券報告書サステナビリティ関連情報開示 ・気候変動対応 ・サステナビリティ重要課題に対するアクションプランレビュー ・ISO14001環境マネジメントレビュー ・環境方針改定 |
(4)リスク管理
当社では、全社のリスクマネジメント体制のもと、経営と事業への影響が大きいリスクを重点リスクとして、経営の諮問機関であるリスクマネジメント委員会で識別・評価しております。気候変動リスク及び機会については、サステナビリティ委員会が中心となり、リスク・機会の双方の議論並びにモニタリングを実施し、戦略策定・個別事業運営の両面で審議のうえ、主に経営会議で議論し、必要に応じて取締役会にも報告しております。また、当社では各事業部門に裁量権を委譲し、迅速な意思決定を実現する一方で、事業案件の規模や条件によって案件審議会にて審査を行う仕組みを実施しており、重要な投融資実行を検討する際に、ESGデューデリジェンスチェックリストを活用し気候変動を含めた環境リスクや人権、労働環境や安全衛生等に関する影響評価を行っております。
(5)気候変動への対応(TCFD提言に基づく開示)
①戦略
当社グループは気候変動に伴う様々なリスク・機会を事業戦略策定上の重要な観点の一つとして捉えております。気候変動の影響につきましては、事業計画を策定するにあたり中長期的視野をふまえた検討を反映させてまいります。
(a)シナリオ分析について
シナリオ分析の検討に際しては、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)及び国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC: International Panel on Climate Change)を参照し、1.5℃/2℃未満を含む複数のシナリオから、当社への影響が大きい項目について抽出・分析いたしました。シナリオ分析結果におけるリスク・機会は、政策や技術等による社会変化によって生じる「移行」側面と自然災害や気温上昇等によって生じる「物理的」側面を考慮しております。
(前提)
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算定対象範囲 |
単体+連結子会社(全事業) |
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シナリオ分析の時間軸 |
顕在化を想定する時期 |
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短期 |
1年以内 |
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中期 |
~2030年度まで |
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長期 |
~2050年度まで |
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財務影響評価 |
2030年時点 |
(参照シナリオ)
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1.5℃/2℃未満シナリオ |
4℃シナリオ |
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移行 |
国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ「持続可能な発表誓約シナリオ(APS)」(IEA WEO2022)、「2050年までのネットゼロ排出シナリオ(NZE)」(IEA WEO2022) |
国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ「公共政策シナリオ(STEPS)」(IEA WEO2022) |
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物理 |
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動予測シナリオ「AR6 SSP1-1.9」「AR6 SSP1-2.6」 |
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動予測シナリオ「AR6 SSP5-8.5」 |
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当社が想定する1.5℃/2℃未満シナリオの社会像 |
当社が想定する4℃シナリオの社会像 |
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移行 |
■石油製品需要の低下や石炭火力発電事業の燃料転換が進み、事業ポートフォリオは変化していく。 ■CO2削減要請が強化され、炭素税関連の負担が重くなる。 ■高効率・省エネ等の設備投資や事業維持コストが高くなる。 ■CO2排出量削減効果のある、熱供給・水素・EV・自家消費型PV・アンモニア・その他次世代燃料等環境商材のビジネスへ積極的に取り組むことが求められる。 ■石油製品等の燃料から実質的にCO2排出を伴わない次世代燃料に置き換わる移行期間に、燃焼時に相対的にCO2排出の少ないGTL、LNG、LPガス等の燃料需要が一時的に増加する。 |
■1.5℃/2℃未満シナリオに比し、程度は低いものの、炭素税関連の税負担増加や、石炭火力発電事業に対するCO2削減要請は一定程度強化される。 ■高効率・省エネ等の設備投資や事業維持コストが高くなる。 ■CO2排出量削減効果のある、熱供給・水素・EV・自家消費型PV・アンモニア・その他次世代燃料等の需要が拡大し、環境商材のビジネスチャンスが一定程度伸長すると予想され、需要に合った取組を進めることが求められる。 ■省エネ効果のある熱供給事業の需要は、1.5℃/2℃未満シナリオに比し相対的に需要が高くなる。 |
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物理 |
■異常気象が甚大化していくことで、停電の発生頻度が増加するほか、供給設備等の被災により供給の不安定化が生じる。 ■恒常的に気温が上昇し、灯油などの冬季に利用する暖房機器向け燃料需要のボラティリティが変化する。 ■災害時にも安定的に供給ができるLPガス中核充填所や災害対応ステーションが活用される機会が増加する。 ■電力需要の逼迫により、蓄電池や調整用電源の需要が増加する。 |
■1.5℃/2℃未満シナリオに比し、異常気象がより激甚化していくことで、停電の発生頻度が増加するほか、供給設備等の被災により供給網が不安定化し、収益が減少する。 ■恒常的な気温が更に上昇していくことで、燃料需要の変化と同時に、収益ボラティリティが大きくなる。 ■夏季の気温上昇に伴い、エアコン使用等に伴う電力需要が増加する。 ■災害時にも安定的に供給ができるLPガス中核充填所や災害対応ステーションが活用される機会がより一層増加する。 ■災害頻度増加や電力需要逼迫により蓄電池や調整用電源需要が増加する。 ■被災で販売・顧客基盤の空洞化が生じる。 |
※上記はすべて不確実な将来を予測して記載しており実際と異なる可能性があります。
(b)シナリオ分析結果
影響度評価につきまして、1億円未満は軽微、1億円~10億円未満は小、10億円~100億円未満は中、100億円~200億円未満は大、200億円以上は甚大とみなして評価いたしました。現時点で定量的影響評価が行えていないものにつきましては定性的影響を勘案した結果を表記しております。
[1.5℃/2℃未満シナリオに基づく分析]
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分類 |
リスク |
機会 |
時間軸 |
影響度 |
対応方針 |
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移 行 |
政 策 |
CO2排出量の規制 |
・石油製品需要の減少 ・炭素税賦課 ・販売ネットワーク減少 ・燃料調達コスト増加 ・規制変更や資源制約等 ・燃料転換・設備更新によるコスト増加 |
・次世代・代替燃料、再生可能エネルギー等の環境商材の需要増加 ・アフターマーケットのディーラー取込みによる収益増加 ・脱炭素技術への投資機会増加 |
中~ 長期 |
大 |
緩和策 ・次世代・代替燃料の販売拡大 ・取扱商品多様化に向けた供給網・物流網の整備 ・再生可能エネルギー事業の強化 ・蓄電池関連事業強化 ・石炭火力発電所の燃料転換等 ・エネルギーサービス事業の拡大 |
|
エネルギーミックスの変化 |
・調達電源の不足 ・調達コスト増加 ・PV出力抑制増加 |
・産業用LPガス・LNG需要の一時的増加 ・調整電源関連ビジネスの拡大 ・再生可能エネルギー事業拡大 ・電源の地域分散化に伴うビジネス機会増加 |
中~ 長期 |
中 |
|||
|
市 場 |
エネルギー需要の変化 |
・電力調達価格の増加 ・市場調達価格の上昇 |
・業界再編による顧客軒数増加 ・電力需要の増加 ・EV関連事業の拡大 |
中~ 長期 |
中 |
緩和策 ・顧客基盤の維持・拡大 ・既存インフラの燃料転換に伴う設備投資 ・インフラの統廃合 ・電力販売事業の強化 ・電力新メニュー開発 ・リユースバッテリー活用ビジネス ・EV関連・ディーラー事業の強化 適応策 ・既存インフラの燃料転換に伴う設備投資 ・インフラの統廃合 ・地域社会との対話、共生 |
|
|
顧客行動の変化 |
・備蓄設備維持コストの増加 ・電力新メニュー開発等コスト増加 ・ブランドイメージ低下 |
・環境性能の高い設備・高効率機器の需要増加 ・エネルギーサービス事業の提案機会増加 ・自家消費型PV需要の増加 |
中~ 長期 |
中 |
|||
|
次世代技術の進展 |
・石油製品関連整備領域需要減少 ・販売ネットワーク減少 ・多様なエネルギー供給への対応 ・法規制リスク拡大 |
・水素関連ビジネスの拡大 ・船用アンモニア燃料の販売拡大 ・バイオマス発電所の環境価値増加 ・バイオマスの発電コスト低下 |
中~ 長期 |
中 |
|||
|
分類 |
リスク |
機会 |
時間 |
影響 |
対応方針 |
||
|
物 理 的 |
急 性 |
異常気象の激甚化 |
・自社設備の被災リスク ・災害対応コスト増加 ・停電リスク増加による販売収益の減少 |
・レジリエンス機能としてのLPガス需要の増加 ・災害対応CS(※)の活用機会増加 ・大型蓄電池の需要増加 ・レジリエンス強化に伴う設備メンテナンス事業の拡大 |
短~ 長期 |
中 |
適応策 ・地域行政や法令に対応する設備投資 ・レジリエンス力を高めるための設備投資 ・大規模災害対策・リスクマネジメント強化 ・地域分散型エネルギーへの取組 ・非常時対応需要メニュー開発 |
|
慢 性 |
気温の上昇 |
・冬季電力・燃料需要の減少による収益減少 |
・需要を平準化する調整用電源の需要増加 |
中~ 長期 |
中~小 |
緩和策 ・需要減少に対応した取扱商材多様化 ・電源ポートフォリオの見直し ・需給取引ビジネスの拡大 |
|
(※)CSとは、カーライフ・ステーションの略であり、当社が提案する複合サービス給油所です。
[4℃シナリオに基づく分析]
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分類 |
リスク |
機会 |
時間 |
影響 |
対応方針 |
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移 行 |
政 策 |
CO2排出量の規制 |
・石油製品需要の減少 ・炭素税賦課 ・販売ネットワーク減少 ・燃料調達コスト上昇 ・燃料転換・設備更新によるコスト増加 |
・代替燃料、再生可能エネルギー等の環境商材の需要増加 ・アフターマーケットのディーラー取込みによる収益増加 ・脱炭素技術への投資機会増加 |
中~ 長期 |
中 |
緩和策 ・次世代・代替燃料の販売拡大 ・取扱商品多様化に向けた供給網・物流網の整備 ・再生可能エネルギー事業の強化 ・蓄電池関連事業強化 ・石炭火力発電所の燃料転換等 ・エネルギーサービス事業の拡大 |
|
エネルギーミックスの変化 |
・調達電源の不足 ・調達コスト増加 ・PV出力抑制増加 |
・水素関連ビジネスの拡大 ・LPガスを活用した災害対策需要増加 ・調整電源関連ビジネスの拡大 ・再生可能エネルギー事業拡大 ・電源の地域分散化に伴うビジネス機会増加 ・エネルギーサービス事業の提案機会増加 |
中~ 長期 |
中 |
|||
|
市 場 |
エネルギー需要の変化 |
・電力調達価格の増加 ・市場調達価格の上昇 |
・業界再編による顧客軒数増加 ・電力需要の増加 ・EV関連事業の拡大 |
中~ 長期 |
中 |
緩和策 ・顧客基盤の維持・拡大 ・既存事業の付加価値強化 ・電力販売事業の強化 ・EV関連・ディーラー事業の強化 |
|
|
次世代技術の進展 |
・ブランドイメージの低下 ・供給設備の維持コスト増加 |
・フリートCSの事業転換 ・バイオ燃料の需要増加 |
中~ 長期 |
中 |
|||
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分類 |
リスク |
機会 |
時間 |
影響 |
対応方針 |
||
|
物 理 的 |
急 性 |
異常気象の激甚化 |
・自社設備の被災リスク ・災害対応コストの増加 ・供給不能・停電による販売減少 ・災害多発エリア空洞化に伴う顧客減少 |
・レジリエンス機能としてのLPガス需要の増加 ・災害対応CSの活用機会増加 ・大型蓄電池の需要増加 ・レジリエンス強化に伴う設備メンテナンス事業の拡大 |
中期 |
中 |
適応策 ・地域行政や法令に対応する設備投資 ・レジリエンス力を高めるための設備投資 ・大規模災害対策・リスクマネジメント・設備メンテナンス強化 ・地域分散型エネルギーへの取組 ・非常時対応需要メニュー開発 |
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慢 性 |
気温の上昇 |
・冬季電力需要の減少による収益減少 ・夏季電力需要増大による調達価格高騰 |
・需要を平準化する調整用電源の需要増加 |
中~ 長期 |
中 |
緩和策 ・冬季燃料需要の変化に対応した新サービス開発 ・取扱商品多様化に向けた供給網・物流網の整備 ・電源ポートフォリオの見直し ・需給取引ビジネスの拡大 |
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(c)財務影響評価
当社グループは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取り組んでおります。財務影響試算は、多くの潜在的リスク・不確実な要素・仮定を含んでおり、実際には、重要な要素の変動により、各シナリオとは大きく異なる可能性がございます。今後、分析精度の向上を目指してまいります。
a. 移行リスクによる主な財務影響
(ⅰ)炭素税導入によるコストの増加
当社グループは、CO2排出量を2030年までに自社排出分のCO2排出量を50%削減する計画を掲げております。当該計画を達成した場合、残りのCO2排出量に対してかかると仮定した炭素税の影響コストについて、IEA WEO2022に基づき試算を行ったところ、当社グループへ一定の影響があると考えられますが、当社グループは環境負荷の一層の低減と環境対応型事業の強化によってカーボンニュートラルの実現を目指すことで当該リスク対策に努めてまいります。
前提条件(IEA WEO2022内で示されている炭素価格)
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炭素税 |
単位 |
2030年価格 |
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1.5℃シナリオ |
2℃未満シナリオ |
4℃シナリオ |
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USD/CO2-t |
90-140 |
40-135 |
28-90 |
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※1.5℃シナリオ及び2℃未満シナリオの下限値:ネット・ゼロ・エミッションを約束した新興市場及び発展途上国
1.5℃シナリオ及び2℃未満シナリオの上限値:ネット・ゼロ・エミッションを約束した新興国
4℃シナリオの下限値:中国、4℃シナリオの上限値:EU
(ⅱ)電化の進展・環境意識の高まりによる石油需要減少
国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ「2050年までのネットゼロ排出シナリオ(NZE)」(IEA WEO2022)では、2030年の石油由来のエネルギー最終消費は2021年対比で19.2%減少するとされており、当社グループの国内向け石油製品販売量も低下し、収益を圧迫する可能性があります。しかしながら、当社グループは、従来から展開している様々な代替燃料・次世代燃料等の低炭素商材の販売強化に継続的に取り組んでおり、石油製品需要減少分を上回る収益向上を目指してまいります。
b. 移行機会による主な財務影響
(ⅰ)再生可能エネルギー需要の増加
脱炭素・循環型社会の進展に伴い、再生可能エネルギーやEVに対する需要が増加すると想定しております。
これらの市場規模拡大を推定したうえでの2030年時点における当社グループの再生可能エネルギー事業、自家消費型太陽光発電事業やEV関連ビジネスに関する営業利益は、現時点に比し大幅な増加を見込んでおります。当社グループは経済性、利便性も追求しながら、環境価値が高い成長事業に積極的に取り組んでいくことで、一層の企業価値の向上を図ってまいります。
(ⅱ)代替燃料需要の増加
脱炭素・循環型社会の進展に伴い、これから2050年に向けて、石油製品等の燃料から、実質的にCO2排出を伴わない次世代燃料に置き換わる移行期間に、燃焼時のCO2排出が相対的に少ないGTL、LNG、LPガス等の燃料需要が一時的に増加することによる収益の増加を見込んでおります。また水素、アンモニア、リニューアブルディーゼル、バイオマス燃料等に対する需要の継続的な増加を想定しております。当社グループは新たな事業領域・環境対応ビジネス・次世代燃料販売強化並びに周辺関連事業へ積極的に取り組み、環境性と経済性を両立した持続的成長を実現してまいります。
②指標・目標
当社グループはGHG排出量の削減について、当社グループが排出するGHGを2030年50%減(2018年度比)、2050年カーボンニュートラルを目標にしております。また、サプライチェーン全体の排出量の削減と当社事業を通じた社会全体のGHG排出量の削減に貢献し、オフセットゼロを目指してまいります。今後、毎期GHG排出量削減に関して進捗管理を行い、取締役会へ報告後、進捗状況を開示いたします。
(a)GHG排出量の削減目標
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2030年 |
2050年 |
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Scope1+Scope2 |
当社グループ排出のGHG 50%削減(2018年度比) |
当社グループ排出のGHG カーボンニュートラル |
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Scope3及び 社会全体への貢献 |
サプライチェーン排出量の削減及び当社事業を通じた社会全体のGHG 排出量の削減に貢献し、オフセットゼロを目指します。 |
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[2030年削減目標達成に向けた移行イメージ]
(b)GHG排出量
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(単位:千t‐CO2e) |
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2023年度 |
2024年度(概算値) |
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Scope1 |
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Scope2 |
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合計 |
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(注)1.GHG排出量算出における当社グループとは、単体+連結子会社(Scope1・2については従業員数10名以下の会社を除く)としております。
2.GHG排出量は、WRI(世界資源研究所)とWBCSD(世界環境経済人協議会)が主導して開発されたGHGプロトコルを用いて算出しております。
3.GHG排出量の算出においては、エネルギー起源CO2を集計対象としております。
4.千t-CO2e未満の端数を四捨五入して表示しております。
5.2023年度GHG排出量は、2024年9月発行当社統合報告書(エネクスレポート2024)にて第三者保証を受けております。
6.2024年度GHG排出量は、第三者保証を受けていない概算値であります。2024年度の第三者保証を取得した確定値につきましては2025年9月発行予定の当社
(6)人的資本・多様性に関する考え方及び取組
①基本方針
エネクスグループでは「企業にとって最も大切な財産は“人”である」と捉え、人材こそが当社グループにおける価値創造の中心であり、当社の持続的成長と企業価値向上の原動力であると考えております。また、多様な価値観を尊重し、人材が活躍できる働きがいのある会社を目指し、以下の人材戦略に取り組んでおります。
(a)目標を共有し、各々の立場から貢献する働きがいのある職場環境の醸成
(b)国籍・性別・年齢等に捉われない多様な人材が活躍できる場の確保・提供
(c)社員一人ひとりの個性・役割を尊重した人材育成プランの策定・推進
②施策
(a)社内環境整備
社員の多様性を尊重し一人ひとりが自ら強みを存分に発揮でき、その強みを最大限活かす職場作りに取り組み、誰もがいきいきと働くことができる働きがいのある会社を目指しております。
2016年に開始された「ENEX EARLY BIRD」では20時以降の残業原則禁止や年間有給休暇取得率80%以上、コミュニケーションの質向上、健康促進施策の強化などを目標に掲げ、「家族や社会に誇れる会社」「互いを思いやり働き続けられる環境作り」「従業員や家族の健康保持増進と安心して働くことができる環境整備」が進んでおり、社員の自律的成長に繋がっております。
(b)多様性の推進
当社グループは持続的な成長を遂げるため、ダイバーシティステートメント(2021年)のもと、あらゆる差別を禁止し、社員の個性と多様性・価値観・人権を尊重しております。国籍や性別を問わず多様な人材の確保や若手の管理職登用を積極的に進めているほか、個々の能力を最大限活かせる職場環境の整備も強化しております。社員一人ひとりが個を認め合い、ビジネスに更なる変革を起こせるよう様々な取組を引き続き推進してまいります。
(c)人材育成
新入社員から中堅社員、経営幹部などそれぞれの役割に合わせた教育研修や自発的な学びを啓発するための通信教育など多彩な教育体制を整えております。中期経営計画ENEX2030(2023-2024)で掲げる「組織・人材の強化」のもと、2023年度からファイナンスの基本的なフレームワークや分析手法の習得に加え、経営判断における分析力等を養うことを目的として、ファイナンス研修を実施しており、投資案件の遂行力強化に努めています。今後は、成長したい社員の挑戦を本気でサポートすべく、テクニカルスキルや、ヒューマンスキル研修の更なる充実を図り、個の強さを追求し人材の価値を高めることで企業成長に寄与してまいります。また、2023年度より保養所兼研修所を設置、当社グループの一体感の醸成にも引き続き注力してまいります。
③指標・目標
基本方針に基づき、多様な人材が活躍できる誰もが働きがいのある会社を目指し、当社は以下項目の進捗を測る指標として取組を推進してまいります。
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施策 |
開示項目 |
2023年度 |
2024年度 |
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(a)人材戦略・ 多様性の推進 |
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28名 |
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46.2% |
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22.3% |
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3.4% |
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16.6% |
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81.0% |
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(b)社内環境整備 |
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88.7% |
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1.69 |
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(注)1.上記は当社の人的資本に関する実績です。
2.採用者数は新卒採用人数とキャリア採用人数の合計です。
3.当社における女性管理職比率の算出方法は、女性管理職数÷総管理職数です。
4.当社における女性管理職比率目標は
5.女性役員比率は取締役並びに監査役の人数で算出しております。
6.当社における有給休暇取得率目標は、毎年
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<注意事項> 「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載された数値、予測及び将来の見通しについては、本内容の発表日現在までに入手可能な情報、一定の前提や予測に基づくものです。そのため、実際の業績、結果等は、今後の経済動向、市場価格等の様々な不確定要素によって大きく異なる可能性があります。当社及び情報提供者は、掲載された情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負いかねます。 |
当社グループの事業には、国内事業基盤の縮小などによる長期的かつ緩やかに影響を受けるリスクや、自然災害など比較的短期的な影響に留まると思われるリスクが存在しますが、取り巻く様々なリスクに対応するため、管理体制及び管理手法の整備により、リスクを統括的かつ個別的に管理しております。また、経営の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、経営に重大な影響を及ぼすリスクの洗い出し、分析、対策、発生・顕在化の予防・周知といったリスクマネジメントを実施しながら、継続的に管理を強化することでリスクの軽減を図っております。
これらを前提として、特に重要なリスクとして以下9項目を選定し、現時点において影響度が大きいと思われるリスクの発生可能性及び対応策を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)事業基盤縮小によるリスク
(2)商品・原材料調達価格の変動によるリスク
(3)環境規制によるリスク
(4)情報セキュリティ及び情報システムに関するリスク
(5)自然災害によるリスク
(6)固定資産減損によるリスク
(7)投資に関するリスク
(8)人材確保に関するリスク
(9)コンプライアンスに関するリスク
(1)事業基盤縮小によるリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
高 |
①リスク内容
当社グループは日本国内を中心とした石油製品販売、LPガス・産業用ガス販売、電力販売、熱供給、車両販売等のビジネスを展開しております。これに対し、近年発生している国内人口の減少による顧客減少や省エネルギー化、電気自動車の増加等により、取扱商品の販売量減少等の影響を受け、この傾向は今後も継続的に変わらないものと想定されるため、何ら対策を講じない場合には、毎年一定の減収が続くことが見込まれます。
②対応策
当社グループの対応策として、“現場力を強化する”ことで既存事業における顧客基盤の更なる充実を図り、2023年4月より投資実行のプロフェッショナル組織として「投資戦略課」を設置し、投資案件の遂行力を強化することで新たな顧客基盤獲得を推進しております。また、事業毎に事業基盤縮小への対応策を検討・実行しており、その中でも重要性の高いものは以下のとおりです。
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事業 |
対応策 |
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ホームライフ事業 |
・国内外M&AによるLPガス顧客数の維持・拡大 ・小売販売事業の効率的な運用及びその機能の提供先拡大 ・顧客基盤へのクロスサービスによる顧客の離脱防止 ・LPWA(※)等のIT活用による業務効率化とコスト削減 |
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カーライフ事業 |
・販売店との連携を強化し、地域生活者のニーズを汲み取ることによる系列CSの収益基盤強化 ・販売数量減に伴う収益減に備え、M&Aによる自動車関連事業の拡大 ・環境商材の取り組み |
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産業ビジネス事業 |
・アドブルーやリニューアブル燃料等、今後成長が見込まれる環境配慮型商材の販売及び導入推進、LNG、アンモニア、水素等、石油代替燃料となる次世代エネルギーへの取組みによる収益拡充 ・産業ガスの容器再検査事業強化と周辺事業領域への拡大 |
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電力・ユーティリティ事業 |
・IT活用やTERASELブランド構築による、電力小売事業の営業活動の強化 ・代理店網を活用した営業基盤の拡充 |
(※)LPWA(=Low Power Wide Area)とは、消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式です。顧客のガスメーターに専用機器を設置しLPWAを用いることで、検針や配送の合理化を進めております。
(2)商品・原材料調達価格の変動によるリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
中 |
①リスク内容
当社グループでは石油製品、LPガス、電力の取引において、以下の商品・原材料調達価格の変動によるリスクを有しております。
(a)石油製品
石油製品は、主にガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルト、GTL燃料の取扱いがあり、その取引においては、市況動向を考慮したうえで買越及び売越ポジションを持つことがあります。その結果、商品バランス(※)が生じ、市況変動によって当社グループの売買損益に影響を及ぼす可能性があります。
(※)商品バランスとは売約残と買約残の差のことであり、売約残とは販売先と契約して未だに引渡ししていない固定価格の売り契約残及び先物取引の売り建玉のことです。また、買約残とは仕入先と契約して未だに引き取りをしていない固定価格の買い契約残及び先物取引の買い建玉、現物在庫のことです。
(b)LPガス
LPガスは、一般家庭や業務用店舗等への小売販売を中心に取扱いがあり、LPガス輸入価格が変動した場合、主として顧客の軒先に設置されている容器内の在庫(軒先在庫)や一部のグループ会社で保有している在庫単価も影響を受け、当社グループの売買損益に影響を及ぼす可能性があります。
なお、市況価格はCP(※)との相関が高くなっております。
(※)CP(Contract Price)とは、LPガスの最大の輸出国であったサウジアラビアが1994年10月から導入した、輸入国の取引先と交わす契約価格。世界のLPGスポット落札価格・世界市場の相場・有力情報誌の市況情報を参考に、サウジアラビアの国営企業であるサウジアラムコ社の価格決定委員会にて決定されます。現在はMB(Mont Belvieu=米国テキサス州モントベルビュー市場での取引価格)を織り込んだ価格フォーミュラを導入しており、以前に比べCPによる価格影響は弱まっているものの、現在もLPガス輸入価格の主要指標となっております。
(c)電力
電力(小売)は、法人及び一般消費者向けに販売しております。当社グループは、自社発電、相対契約、日本卸電力取引所等から電力を調達しておりますが、発電燃料価格や電力市場取引価格に急激な変動が生じた場合には、当社グループの売買損益に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
(a)石油製品
石油製品は仕入価格に連動する販売価格を設定し、原則的には価格変動リスクを負わないビジネスモデルとなっております。加えて行き過ぎた買越及び売越ポジション、商品先物・先渡契約等のデリバティブ取引を抑制するため、「商品バランス管理規程」を策定し、その中で商品バランス枠及び組織毎に損失限度額を設定し、管理しております。これらは、商品取扱い部門の主管部署において所定の時期に損益状態のモニタリングを実施し、管理部門でその状態を確認する等、不測の損失を最小限に抑える体制を構築しております。
(b)LPガス
CP等と連動する販売価格フォーミュラを設定し、顧客への価格転嫁を図ることで、価格変動リスクの抑制を図っております。一部のグループ会社で保有する在庫の評価損益が期間損益に与える影響は避けられませんが、中長期的な視点では価格変動による損益は、経営に大きな影響を与えるものでなく、一過性のものとして判断しております。
(c)電力
当社グループでは、電力調達に関して、大手電力会社とのアライアンス、自社電源の活用や電力先物取引市場を通じたデリバティブ取引等を活用することに加え、販売面でも仕入価格の変動を適正に反映した燃料費調整制度を導入する等、電力市場取引価格や発電燃料価格の変動リスクの抑制を図っております。今後も引き続き、係る価格変動リスクの影響を受けにくい電力供給体制を構築・運用してまいります。
(3)環境規制によるリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
中 |
①リスク内容
近年地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、世界的にも気候変動への危機感が高まっております。今後、世界各地での炭素税の導入やその他環境関連法規制が制定・強化された場合、当社グループの事業活動が制限される可能性や、事業の再編成を強いられる可能性があり、それらのリスクが現実化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
本項目は、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)気候変動への対応」の中で記載しております。
(4)情報セキュリティ及び情報システムに関するリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中~大 |
低~中 |
①リスク内容
当社グループは、お客さまからの石油製品・LPガス・電力等の受注や請求書の発行、ホームページを通じた様々な情報発信等において、情報資産の適切な管理並びに高い情報セキュリティレベルの確保を重要項目と認識し、関連規程を整備のうえ、役員・従業員への教育、啓蒙活動を行うとともに、セキュリティの点検活動を実施しております。また、IT環境においては安全に利用可能なシステムの整備やネットワークの監視強化を実施するとともに、発生したセキュリティ事案に対し速やかに対応できるよう対策強化に取り組んでおります。
しかしながら、サイバー攻撃等は年々巧妙化しているとともに、外部から予期せぬ不正アクセス、コンピューター・ウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また、信用失墜、多額の賠償請求等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループの事業活動において、情報システムや情報ネットワークの重要性は増しており、IT・デジタル部が中心となって、その構築・運用にあたっては適切な内部統制手続きを整備し、伊藤忠商事株式会社とも連携しながら十分なセキュリティ確保に努めております。具体的には情報管理に係る基本方針や情報管理規程・ルール等の整備を行うとともに、社内会議や社内イントラネット、eラーニング等を通じ、当社グループ従業員への周知・教育と情報管理体制の徹底を図っております。そのうえで、システムやネットワークの冗長化、ウイルス対策、モバイルパソコンのデータレス化、ペーパレス環境の整備等、システム障害やセキュリティリスクの低減に向けた仕組みの導入を推進するとともに情報漏洩賠償責任保険への加入をしております。また、顧客情報・個人情報を含む機密情報の管理・取扱いについても、当社グループの個人情報保護ポリシーを定め、個人情報取扱いに関する目的や管理方法をステークホルダーに広く周知しております。
(5)自然災害によるリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
低 |
①リスク内容
当社グループは国内全域に事業展開しており、CS(給油所)、石油・ガス・アスファルト基地、ガス・熱供給設備、発電所、自動車販売店舗等の有形固定資産・投資不動産(内、IFRS第16号適用による使用権資産含む。)を有しております。国内に広範囲な大規模自然災害(地震、台風、水害等)が発生した場合、その資産毀損が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本社等の主たる機能が首都圏に多いことから、当該エリアで大規模自然災害が生じた場合には事業継続が困難となるリスクを有しております。
②対応策
(a)設備毀損対策
当社グループが保有する資産は日本全国各地に分散保有しており、自然災害によって毀損するリスクも分散されております。また、保有設備の耐震構造については、関連法令等に示される耐震基準に従い建設、維持しており、これまでの大規模自然災害においても、大きな被害は生じておりません。
更に、保険付保による対策を講じており、火災保険については大部分の設備に付保しております。一方、地震保険については、経済性も考慮し、石油基地、アスファルト基地等一部の設備への付保としております。
(b)事業継続
当社ではあらゆる地域で大規模災害が生じた場合に備え、全国の各エリア及び各グループ会社で事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定しております。BCPの実効性を高めるため、各種訓練を定期的に実施しております。また、本社が壊滅的な被害を負った際、本社の代替業務を遂行する代替拠点(広島・福岡)訓練も実施しております。
訓練で洗い出された課題を整理し、課題解決に向けた対策の検討及び対策実行計画を立て、現行のBCPの更なる磨き上げに繋げるための取組みを実施しております。また、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の運用にむけて体制の構築・推進担当者向けの研修等、BCPの実効性を高めるための取組みを実施しております。
(当社グループのBCP体制)
当社の経営理念である「社会とくらしのパートナー」としての責務を果たすため、当社グループでは事業継続の脅威となる大規模な自然災害によるエネルギーの供給停止や通信の遮断、物流の寸断等の不測の事態が発生した場合に備え、策定したBCP基本方針に基づき、体制整備に努めております。
■当社グループの事業継続に向けた基本方針
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・ 人命尊重を最優先とする。 ・ 従業員とその家族の安全を確保したうえで、「社会とくらしのパートナー」として可能な限り当社取扱製品の販売とサービスの提供に努める。 ・ 地域社会と協力して二次災害の防止・被災地の復旧・復興支援を行う。 ・ 本計画と社内規程及びマニュアルの整合性を確保し、継続的改善に努める。 |
■BCP体制図
当社グループでは、非常時の事業継続に迅速に対応するために、災害対策本部、各エリアのグループ会社災害対策本部、各部門の2階層としており、的確に情報収集ができる体制としております。
(6)固定資産減損によるリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
高 |
①リスク内容
当社グループは事業活動の一環として、店舗用不動産、エネルギー供給設備、発電用設備等を保有、賃借しております。これらの資産価値や収益性が事業リスクの顕在化によって低下した場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループが保有する固定資産は複数事業、日本全国に分散していることから、一定のポートフォリオ効果によるリスク分散がなされております。
固定資産取得時には、厳格な「投資基準」を適用し、重要性の高い一定金額以上の案件については、関係部署による十分な審議を行い、計画の妥当性、投下資金回収の実現性を審査したうえで、経営会議又は取締役会に上程する等、投資判断に誤りが無いよう努めております。
投資実行後は、定期的なモニタリングを通じて、不採算・低効率資産の改善策を策定・実行し、改善に努めるとともに、EXITルールによる資産の処分や入替えを行う仕組みも構築しております。
(7)投資に関するリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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大 |
低~中 |
①リスク内容
当社グループは、国内外において事業に対する投資活動を行っておりますが、事業環境の変化や投資先の業績停滞等に伴い、期待した収益が上げられない場合や投資先の収益低下、投資の回収可能性が低下する場合には、投資の全部又は一部が損失となる、追加の資金拠出を余儀なくされる、あるいは売却先が見つからず、当社グループが希望する時期・方法で撤退できなくなる可能性があります。また、ガバナンス不全等により投資先から適切な情報を入手できないこと等により、当社グループに不利益が生じる可能性があります。
②対応策
当社グループは、(6)固定資産減損によるリスクの対応策に記載のとおり、投資実行時に「投資基準」を適用して案件審査や意思決定を行うとともに、投資後も主管部署による定期的な投資のレビューを行っております。また、2024年4月から事業会社管理及び投資管理等を行う組織として「事業部」を設置し、事業会社に対する定期的なモニタリングを通じて、投資先のガバナンスの強化に努めております。
(8)人材確保に関するリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中 |
中 |
①リスク内容
当社グループでは、既存事業の拡大や新たな事業領域の開拓等に対応できる高度な知識・スキル・経験を持った人材の確保・育成が不可欠であると考えております。
しかしながら、少子高齢化に伴う労働人口の減少、労働市場における人材流動化等により、そのような人材の確保・育成が計画どおりに進まない場合には、将来的に競争力が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
本項目は、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(6)人的資本・多様性に関する考え方及び取組」の中で記載しております。
(9)コンプライアンスに関するリスク
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影響度 |
発生可能性 |
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中~大 |
低~中 |
①リスク内容
当社グループが事業を営むうえで関連する法令、規制は多岐に亘ります。
法令に抵触した場合のほか、予期せぬ法令・規制の制定や改廃等が行われた場合には、追加費用等の負担の増加や法令・規制違反に対する行政処分、当社グループの社会的信用の低下等により、事業活動の継続に支障をきたす可能性があるほか、当社グループの経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
本項目は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④企業統治に関するその他の事項 (a)b.コンプライアンス」の中で記載しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、効率的な管理体制の構築を目的とした、報告セグメントの区分方法の見直しを行ったことによって、従来「ホームライフ事業」及び「カーライフ事業」に含まれていた一部の持分法適用会社の区分を「産業ビジネス事業」に変更しております。なお、このセグメント変更に伴い、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分により組替えて表示しております。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日)における日本経済は、国内における石油製品や電力等のエネルギー価格の高騰は落ち着きを取り戻しつつありますが、地政学リスクの高まりや為替の大幅な変化等、将来の見通しについては今後も不透明な状況が続く事が予想されます。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
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資産合計 |
444,304 |
442,150 |
△2,154 |
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負債合計 |
252,095 |
239,403 |
△12,692 |
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資本合計 |
192,209 |
202,747 |
10,538 |
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売上収益 |
963,302 |
924,481 |
△38,821 |
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営業活動に係る利益 |
23,587 |
26,896 |
3,309 |
|
当社株主に帰属する当期純利益 |
13,887 |
17,102 |
3,215 |
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比21億5千4百万円減少し、4,421億5千万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比126億9千2百万円減少し、2,394億3百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末比105億3千8百万円増加し、2,027億4千7百万円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上収益は9,244億8千1百万円(前期比4.0%の減少)、営業活動に係る利益は268億9千6百万円(前期比14.0%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は171億2百万円(前期比23.2%の増加)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
ホームライフ事業の売上収益は823億3千6百万円(前期比7.4%の増加)、営業活動に係る利益は25億2千8百万円(前期比70.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は29億3千1百万円(前期比97.4%の増加)となりました。
カーライフ事業の売上収益は6,299億7千6百万円(前期比1.4%の増加)、営業活動に係る利益は114億6千9百万円(前期比8.3%の減少)、当社株主に帰属する当期純利益は60億6千8百万円(前期比4.5%の減少)となりました。
産業ビジネス事業の売上収益は1,345億6千7百万円(前期比7.0%の減少)、営業活動に係る利益は68億9千2百万円(前期比36.6%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は51億5千1百万円(前期比31.1%の増加)となりました。
電力・ユーティリティ事業の売上収益は776億2百万円(前期比35.6%の減少)、営業活動に係る利益は58億1千3百万円(前期比25.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は33億7千6百万円(前期比50.0%の増加)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
|
営業活動による キャッシュ・フロー |
34,538 |
31,709 |
△2,829 |
|
運転資金等の増減 |
5,608 |
△10,387 |
△15,995 |
|
実質営業キャッシュ・ フロー(※1) |
28,930 |
42,096 |
13,166 |
|
投資活動による キャッシュ・フロー |
△6,603 |
△28,334 |
△21,731 |
|
預け金の増減-純額 |
△20,000 |
- |
20,000 |
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実質投資キャッシュ・フロー(※2) |
13,397 |
△28,334 |
△41,731 |
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(フリー・キャッシュ・ フロー) |
(27,935) |
(3,375) |
(△24,560) |
|
財務活動による キャッシュ・フロー |
△29,916 |
△19,431 |
10,485 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△1,981 |
△16,056 |
△14,075 |
|
為替相場の変動による現金及び現金同等物への影響額 |
71 |
26 |
△45 |
|
連結除外に伴う現金及び 現金同等物の減少額 |
- |
△142 |
△142 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
30,103 |
13,931 |
△16,172 |
(※1)営業活動によるキャッシュ・フローから、運転資金等(営業債権の増減、棚卸資産の増減、営業債務の増減、その他-純額)
を除いたものです。
(※2)投資活動によるキャッシュ・フローから、親会社グループへの預け金に係る影響額を除いたものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して161億7千2百万円減少の139億3千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は317億9百万円となりました。主な要因は、税引前利益281億7千3百万円、減価償却費及び償却費215億5千4百万円、運転資金等の支払い増加103億8千7百万円、法人所得税の支払額89億円によるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フローは前期比で28億2千9百万円減少しております。また、実質営業キャッシュ・フローにつきましては前期比で131億6千6百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループでは、投資戦略に基づき常に資本効率を意識した投資を進めております。
投資活動により支出した資金は283億3千4百万円となりました。主な要因は、投資の取得による支出129億1千8百万円、有形固定資産及び投資不動産の取得による支出121億8千万円、無形資産の取得による支出42億3千万円によるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フローは前期比で217億3千1百万円減少しております。
また、実質投資キャッシュ・フローにつきましては前年同期比で417億3千1百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループでは、企業価値向上に向けグループ全体での財務活動の効率化を目指し、グループ金融制度(※
)により財務マネジメントを強化しております。
財務活動により支出した資金は194億3千1百万円となりました。主な要因は、リース負債の返済による支出108
億6千7百万円、当社株主への配当金の支払額63億2千7百万円、非支配持分への配当金の支払額23億3千5百万円によるものです。なお、財務活動によるキャッシュ・フローは前期比で104億8千5百万円増加しております。
(※)グループ金融制度とは、グループ間で資金を融通しあうことで資金管理・調達コストを効率化する制度です。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの一部会社において、受注による製品の生産を行っているものの、これらの会社の生産実績及び受注実績の連結売上原価、連結売上収益に対する割合がそれぞれ僅少であるため、生産実績及び受注実績については記載しておりません。また、仕入実績は、販売実績と概ね連動しているため記載を省略しております。なお、販売実績については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照ください。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績等
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比161億円減少し2,004億1千9百万円となりました。その主要因は、現金及び現金同等物が減少したことによるものであります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は、前連結会計年度末比139億4千6百万円増加し2,417億3千1百万円となりました。その主要因は、持分法で会計処理されている投資等が増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比88億6千4百万円減少し1,639億9千4百万円となりました。その主要因は、営業債務が減少したことによるものであります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は、前連結会計年度末比38億2千8百万円減少し754億9百万円となりました。その主要因は、リース負債が減少したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末比105億3千8百万円増加し2,027億4千7百万円となりました。その主要因は、利益剰余金の増加等によるものであります。
b.経営成績
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は、前連結会計年度に比して388億2千1百万円減少し、9,244億8千1百万円となりました。主要因は、電力・ユーティリティ事業における市場取引及び卸取引の減少によるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比して58億1千1百万円増加し、944億2千3百万円となりました。主要因は、電力市況安定による採算改善等によるものであります。
(営業活動に係る利益)
営業活動に係る利益は、前連結会計年度に比して33億9百万円増加し、268億9千6百万円となりました。主要因は、ホームライフ事業、電力・ユーティリティ事業等の採算改善及び産業ビジネス事業が好調に推移し、前期における固定資産売却益の反動を吸収したことによるものであります。
(税引前利益)
税引前利益は、前連結会計年度に比して34億8千6百万円増加し、281億7千3百万円となりました。主要因は、営業活動に係る利益の増益によるものであります。
(当社株主に帰属する当期純利益)
当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比して32億1千5百万円増加し、171億2百万円となりました。主要因は、税引前利益の増益によるものであります。なお、当社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新することができました。
(b)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(c)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2023年4月に2023~2030年度までの8ヵ年を対象とする中期経営計画「ENEX2030」を策定し、2023~2024年度の2年間においては、当社株主に帰属する当期純利益(計画:2023・2024年度 135億円)、実質営業キャッシュ・フロー(計画:毎期350億円)、ROE(計画:2023・2024年度 8~9%)、累計投資額(計画: 600億円)を財務指標として位置づけておりました。当社グループの当連結会計年度における当社株主に帰属する当期純利益は171億円、実質営業キャッシュ・フローは421億円、ROEは10.2%、累計投資額は468億円となりました。
(d)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.ホームライフ事業
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
|
売上収益 |
76,695 |
82,336 |
5,641 |
|
営業活動に係る利益 |
1,483 |
2,528 |
1,045 |
|
当社株主に帰属する当期純利益 |
1,485 |
2,931 |
1,446 |
|
資産合計 |
69,262 |
70,932 |
1,670 |
[LPガス事業]直売顧客軒数は、約575千軒と前期末から約1千軒の増加となりました。LPガス販売数量は前期並みとなりました。
(ⅰ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、持分法適用会社からの取込利益増加等により前連結会計年度末比16億7千万円増加し709億3千2百万円となりました。
(ⅱ)経営成績
売上収益は823億3千6百万円(前期比7.4%の増加)となりました。これは主に、今期のLPガス輸入価格が前期を上回り、販売価格が上昇したことによるものです。
営業活動に係る利益は25億2千8百万円(前期比70.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は29億3千1百万円(前期比97.4%の増加)となりました。これは主に、前期における在庫単価変動の利幅へのマイナス影響の反動によるものです。
b.カーライフ事業
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
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売上収益 |
621,546 |
629,976 |
8,430 |
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営業活動に係る利益 |
12,502 |
11,469 |
△1,033 |
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当社株主に帰属する当期純利益 |
6,353 |
6,068 |
△285 |
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資産合計 |
174,402 |
174,391 |
△11 |
[CS事業]CS数は前期末より20ヵ所減少し、1,546ヵ所となりました。石油製品の販売数量は前期並みとなりました。
[自動車関連事業]自動車ディーラー事業を行っている子会社の大阪カーライフグループ㈱において、新車の販売台数が減少した一方、中古車の販売台数は増加し、全体の販売台数は前期並みとなりました。
(ⅰ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比1千1百万円減少し1,743億9千1百万円となりました。
(ⅱ)経営成績
売上収益は6,299億7千6百万円(前期比1.4%の増加)となりました。
営業活動に係る利益は114億6千9百万円(前期比8.3%の減少)、当社株主に帰属する当期純利益は60億6千8百万円(前期比4.5%の減少)となりました。これは主に、中古車販売台数の増加及び台当たりの粗利益向上による貢献等があった一方、前期のCS跡地売却益(営業活動に係る利益に与える影響は15億3千4百万円)の反動によるものです。
c.産業ビジネス事業
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
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売上収益 |
144,654 |
134,567 |
△10,087 |
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営業活動に係る利益 |
5,046 |
6,892 |
1,846 |
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当社株主に帰属する当期純利益 |
3,929 |
5,151 |
1,222 |
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資産合計 |
62,655 |
61,944 |
△711 |
[アスファルト販売事業]新たな商権獲得等により、販売数量は前期を上回りました。
[環境関連事業]AdBlue®の販売数量は前期並みとなりました。
[船舶燃料販売事業]外航船向け取引の一部縮小により、販売数量は前期を下回りました。
(ⅰ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比7億1千1百万円減少し619億4千4百万円となりました。
(ⅱ)経営成績
売上収益は1,345億6千7百万円(前期比7.0%の減少)となりました。これは主に、原油価格下落に伴う販売価格の下落や外航船向け取引の一部縮小に伴う販売数量の減少によるものです。
営業活動に係る利益は68億9千2百万円(前期比36.6%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は51億5千1百万円(前期比31.1%の増加)となりました。これは主に、市場環境を適切に捉えたオペレーションによるものと、産業ガス販売事業等が好調に推移したことによるものです。
d.電力・ユーティリティ事業
(単位:百万円)
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前期 2023年度 |
当期 2024年度 |
増減 |
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売上収益 |
120,407 |
77,602 |
△42,805 |
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営業活動に係る利益 |
4,631 |
5,813 |
1,182 |
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当社株主に帰属する当期純利益 |
2,250 |
3,376 |
1,126 |
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資産合計 |
84,284 |
84,463 |
179 |
[電力小売事業]低圧の販売数量は需要期における電力使用量の増加により、前期を上回りました。高圧の販売数量においても、新規契約の獲得が順調に進んだことにより前期を上回りました(※1)。なお、当社グループ全体の電力小売顧客件数は約311千件(前期末比約10千件減少)となりました。
[熱供給事業(※2)]販売熱量は前期並みとなりました。
(ⅰ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比1億7千9百万円増加し844億6千3百万円となりました。
(ⅱ)経営成績
売上収益は776億2百万円(前期比35.6%の減少)となりました。これは主に、市場取引及び卸取引の減少によるものです。
営業活動に係る利益は58億1千3百万円(前期比25.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は33億7千6百万円(前期比50.0%の増加)となりました。これは主に、電力市況安定による採算改善等により、前期の大規模太陽光発電所(メガソーラー)売却益(営業活動に係る利益に与える影響は50億1千9百万円)の反動を吸収したことによるものです。
(※1)電力小売事業の販売数量は高圧・低圧ともに取次数量を含みます。
(※2)熱供給事業とは、熱源プラントから複数の建物、オフィスビル等に、冷房・暖房等に使用する冷水・温水を導管で供給する事業です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)資金需要
当社グループでは主な資金需要として、事業活動における短期運転資金に加え、各事業の成長と設備・維持を目的とした投資活動における設備資金等があります。
中期経営計画『ENEX2030』の8ヵ年においては新規・戦略投資に2,100億円、設備・維持に係る投資を700億円、計2,800億円の投資を計画しております。
2025年度の投資計画につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(c)財務政策
当社グループでは、コア事業から得られたキャッシュ・フローをもとに周辺事業の拡大、新規・戦略投資を積極的に推進してまいります。また、企業価値向上に向けたグループ全体での財務マネジメントの強化のため、グループ金融制度(※)を推進しており、グループ全体での財務活動の効率化、バランスの取れた資産ポートフォリオの形成、事業間のシナジーが創出できる体制の構築を目指しております。
当社グループにおける調達に当たっては、短期運転資金につきましては、金融機関からの短期借入又は短期社債(電子CP)の発行による調達を基本としており、設備資金等につきましては、金融機関からの長期借入又は社債による調達を基本としております。
当面の資金調達余力につきましても、潤沢な現金及び現金同等物に加え、十分な当座貸越枠並びに社債(CP)発行枠を確保しております。また、これまでも健全な水準を維持してきたネットDERは△0.07倍となっており、実質無借金となっております。
(※)グループ金融制度とは、グループ間で資金を融通しあうことで資金管理・調達コストを効率化する制度です。
信用格付
当社は、資金調達を円滑に行うため株式会社日本格付研究所(JCR)から格付を取得しております。
(付与日2024年8月29日)
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格付 |
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長期発行体格付 |
AA-(安定的) |
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コマーシャルペーパー |
J-1+ |
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.見積り及び判断の利用」に記載しております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
該当事項はありません。