第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、緩やかな回復が続きました。個人消費は、国内旅行の回復等が見られたものの、エネルギーコストや原材料価格の高騰に伴う物価上昇等により、持ち直しに足踏みが見られました。企業の設備投資は、製造業を中心にコロナ禍や物価高により先送りしてきた更新投資や人手不足に対応するための省人化投資等を背景に、好調に推移しました。特にIT投資については、金融業や製造業を中心に幅広い業種で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。
 

このような経済環境のもと、SIサービスやITインフラサービスが好調に推移したこと等により、当社グループの売上高は3,189億3百万円(前年同期比5.3%増)となりました。

利益については、売上増加に伴い売上総利益は増加したものの、IT費用等の販管費の増加により、営業利益は260億33百万円(前年同期比3.9%減)、経常利益は269億90百万円(前年同期比3.1%減)となりました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は、エーアンドエー株式会社の株式譲渡に伴う特別利益を計上したことにより、201億47百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

 

各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいています。

なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、当中間連結会計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

コンスーマ

レンズ交換式デジタルカメラについては、前年同期に新製品発売に伴う売上の増加があり、その剥落により、販売台数が減少し、売上は減少しました。

 

インクジェットプリンターについては、市場の縮小により、売上は減少しました。インクカートリッジについては、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。

 

ITプロダクトについては、高性能PCやPC周辺機器の販売が好調に推移したことにより、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は641億5百万円(前年同期比3.3%減)となりました。セグメント利益については、売上減少に伴う売上総利益の減少により、51億78百万円(前年同期比21.0%減)となりました。

 

エンタープライズ

主要キヤノン製品については、複数の大型案件があったことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターは、前年の第2四半期に大型案件があり、その剥落に加え、大型案件が第3四半期以降に後ろ倒しになったことにより、台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は微減となりました。レーザープリンターカートリッジについては、前年同期に価格改定を見据えた駆け込み需要があり、その剥落により、売上は減少しました。

 

ITソリューションについては、金融業向け及び製造業向けのSI案件が好調に推移したことや文教向けPCの大型案件があったことに加え、前年10月のTCS株式会社の連結子会社化等の影響により、売上は増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,195億71百万円(前年同期比11.2%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、100億13百万円(前年同期比1.5%増)となりました。

 

エリア

主要キヤノン製品については、ペーパーレス化の影響に加え、前年同期に製品供給の回復に伴い販売台数が大幅に増加した反動により、オフィスMFP、レーザープリンターの台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は減少しました。レーザープリンターカートリッジについては、昨年2月に実施した仕入価格上昇に伴う価格改定の効果等により、売上は増加しました。

 

ITソリューションについては、Windows 10の延長サポート終了に伴うビジネスPCの入替が進んだことや中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」が順調に推移したことで、売上は増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,168億89百万円(前年同期比0.3%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加に加え、販管費の削減に務めたことにより、96億12百万円(前年同期比7.9%増)となりました。

 

プロフェッショナル

(プロダクションプリンティング)

プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しております。

当中間連結会計期間は、前年同期にあった高速連帳プリンターの案件の剥落等により、売上は微減となりました。

 

(産業機器)

産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに、製造関連装置及び検査計測装置等を提供しております。

当中間連結会計期間は、半導体製造関連装置の販売が好調に推移したことにより、売上は大幅に増加しました。

 

(ヘルスケア)

ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテを中心とした医療情報システム等を提供しております。

当中間連結会計期間は、前年同期にあった診療所向けオンライン資格確認システム案件や調剤薬局向け電子処方箋案件の剥落があったものの、病院向け大型案件の獲得により、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は248億82百万円(前年同期比13.4%増)となりました。セグメント利益については、産業機器の売上増加に伴う売上総利益の増加により、31億69百万円(前年同期比10.8%増)となりました。

 

(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ184億75百万円増加し、5,758億41百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ184億52百万円減少しました。短期貸付金の減少400億円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少61億70百万円、商品及び製品の減少36億62百万円、現金及び預金の増加271億26百万円等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ369億28百万円増加しました。子会社株式取得等によるのれんの増加199億98百万円及び顧客関連無形資産の増加138億27百万円並びにソフトウエアの増加15億30百万円等によるものであります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ70億53百万円増加し、1,289億10百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ47億84百万円増加しました。未払法人税等の増加29億52百万円、短期借入金の増加11億円、賞与引当金の増加10億8百万円、未払費用の減少23億6百万円等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べ22億69百万円増加しました。長期借入金の増加18億10百万円、繰延税金負債の増加7億56百万円、退職給付に係る負債の減少4億60百万円等によるものであります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ114億22百万円増加し、4,469億31百万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益による増加201億47百万円、配当金の支払90億77百万円等によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ271億26百万円増加し、1,168億17百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は317億59百万円となりました。税金等調整前中間純利益298億6百万円、売上債権の減少77億88百万円、棚卸資産の減少39億69百万円等による資金の増加と、法人税等の支払69億99百万円、仕入債務の減少12億19百万円等による資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は41億73百万円となりました。短期貸付金の純増減額400億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入32億57百万円等による資金の増加と、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出326億67百万円、有形固定資産の取得による支出42億2百万円等による資金の減少によるものであります。

 

これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当中間連結会計期間のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は359億32百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は91億37百万円となりました。配当金の支払90億75百万円等によるものであります。

 

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、1988年より、キヤノングループの理念である「共生」のもと、サステナビリティ経営を推進し、人・社会・自然との調和を図りながら事業を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。

社会課題は複雑化、深刻化しており、持続可能な社会の実現に向けて、多様なステークホルダーとともにマーケティングの力でより広範な未来の社会課題を解決し続けていくため、2024年1月に、当社グループを象徴する表現として「未来マーケティング企業」を宣言いたしました。そして、変化の速度と不確実性が高まる時代においても、「未来マーケティング企業」として常に未来を見据え、社会的な存在意義を明示することで、グループ社員の志を一つにするとともに、ステークホルダーとの共創・協業をより一層進め、社会課題解決を加速していくために、当社グループのパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を2024年1月に制定いたしました。新たに制定したパーパスのもと、未来の課題にまで目を向け、既存の枠にとらわれない新たな価値の創造に果敢に挑戦し、長期的な視点でサステナビリティ経営を推進してまいります。

持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、「2021-2025 長期経営構想」を策定しており、その基本戦略に基づき、2025年ビジョンの実現及び経営指標の達成に向けた実行計画として「2022-2025 中期経営計画」を策定し、推進しております。

 

(2025年ビジョン)

社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ

 

(基本戦略)

1.事業を通じた社会課題解決による、持続的な企業価値の向上

2.高収益企業グループの実現

・ITソリューション事業を成長の中核とした事業変革

・顧客基盤を活かした顧客層別営業体制の強化

・キヤノン製品事業の付加価値向上と更なる高収益化

3.経営資本強化による、好循環の創出

・人材の高度化・エンゲージメント向上による事業成長の加速

・戦略的事業投資による事業成長の加速

 

(2025年の経営指標)

売上     6,500億円(内、ITソリューション売上 3,000億円)

営業利益    580億円

ROE            9.0%

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億47百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。

運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。