第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、緩やかな回復が続きました。個人消費は、物価上昇等の影響で消費者マインドに弱さが見られたものの、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな増加基調が続きました。企業の設備投資は、製造業を中心にコロナ禍や物価高により先送りしてきた更新投資や能力増強投資、人手不足に対応するための省人化投資等を背景に、好調に推移しました。特にIT投資については、製造業や金融業を中心に幅広い業種で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。

 

このような経済環境のもと、ITソリューションのうち保守・運用サービス/アウトソーシングやITプロダクト・システム販売が好調に推移したこと等により、当社グループの売上高は3,338億49百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、営業利益は273億25百万円(前年同期比5.0%増)、経常利益は280億47百万円(前年同期比3.9%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期にエーアンドエー株式会社の株式譲渡に伴う特別利益を計上しており、その剥落により、188億64百万円(前年同期比6.4%減)となりました。

 

各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいています。

なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、当中間連結会計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

コンスーマ

レンズ交換式デジタルカメラについては、前年に発売した「EOS R5 MarkⅡ」や「EOS R1」等の高単価なミラーレスカメラや交換レンズが堅調に推移し、売上は増加しました。

 

インクジェットプリンターについては、市場の縮小により、売上は減少しました。インクカートリッジについては、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。

 

ITプロダクトについては、Windows 10の延長サポート終了に伴う高性能PCの販売やPC周辺機器の販売が好調に推移したこと等により、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は657億27百万円(前年同期比2.5%増)となりました。セグメント利益については、売上総利益率の悪化に伴う売上総利益の減少により、49億93百万円(前年同期比5.1%減)となりました。

 

エンタープライズ

主要キヤノン製品については、オフィスにおけるペーパーレス化の影響が続いていること等により、レーザープリンターの台数及びオフィスMFPの保守サービスの売上は減少しました。市場は縮小しているものの、オフィスMFPについては、複数の大型案件があり、台数は微増となったことに加え、レーザープリンターカートリッジについては、大口の受注があり、売上は前年同期並みとなりました。

 

ITソリューションについては、文教や金融業向けPCの大型案件があったことに加え、株式会社プリマジェストの連結子会社化の影響等により、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,335億27百万円(前年同期比9.6%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、97億15百万円(前年同期比4.0%増)となりました。

 

エリア

主要キヤノン製品については、オフィスにおけるペーパーレス化の影響が続いていること等により、レーザープリンターの台数やオフィスMFPの保守サービスの売上、レーザープリンターカートリッジの売上は減少しました。市場は縮小しているものの、オフィスMFPについては、使用期間が長期化しているお客さまの機器の入替やお客さまの業務効率向上に向けた提案活動を積極的に進めたことにより、台数は増加しました。

 

ITソリューションについては、Windows 10の延長サポート終了に伴うビジネスPCの入替が進んだことに加え、ビジネスPCと合わせて提案したウイルス対策ソフト「ESET」等のセキュリティや中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」の契約件数が増加したことにより、売上は増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,194億46百万円(前年同期比2.2%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、113億43百万円(前年同期比16.4%増)となりました。

 

プロフェッショナル

(プロダクションプリンティング)

プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。また、流通・小売業向けに、POP制作に関連するソリューションを提供しております。

当事業については、高速連帳プリンター案件の減少等により、売上は減少しました。

 

(産業機器)

産業機器事業では、主に半導体メーカー及びその他電子デバイスメーカー向けに、半導体製造関連装置及び検査計測装置等を提供しております。

当事業については、半導体製造関連装置の販売が減少したこと等により、売上は減少しました。

 

(ヘルスケア)

ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテを中心とした医療情報システム等を提供しております。

当事業については、病院向けの大型案件の獲得等により、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は260億54百万円(前年同期比4.7%増)となりました。セグメント利益については、売上総利益率の悪化に伴う売上総利益の減少や販管費の増加により、28億73百万円(前年同期比9.8%減)となりました。

 

(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ55億59百万円増加し、5,301億51百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ28億95百万円増加しました。現金及び預金の増加654億47百万円、短期貸付金の減少500億10百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少141億11百万円等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ26億64百万円増加しました。投資有価証券の増加28億24百万円、ソフトウエアの増加23億56百万円、のれんの減少9億31百万円、顧客関連資産の減少7億92百万円等によるものであります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ46億87百万円減少し、1,362億2百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ49億11百万円減少しました。支払手形及び買掛金の減少25億71百万円、未払消費税等の減少22億90百万円等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べ2億23百万円増加しました。繰延税金負債の増加2億85百万円等によるものであります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ102億47百万円増加し、3,939億49百万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益による増加188億64百万円、配当金の支払87億12百万円等によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ644億47百万円増加し、1,751億73百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は314億69百万円となりました。税金等調整前中間純利益279億41百万円、売上債権の減少139億25百万円、棚卸資産の減少11億85百万円等による資金の増加と、法人税等の支払109億31百万円、仕入債務の減少25億47百万円等による資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は420億29百万円となりました。短期貸付金の純増減額500億10百万円等による資金の増加と、有形固定資産の取得による支出46億42百万円、無形固定資産の取得による支出33億7百万円等による資金の減少によるものであります。

 

これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当中間連結会計期間のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は734億98百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は88億43百万円となりました。配当金の支払87億9百万円等によるものであります。

 

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、1988年より、キヤノングループの理念である「共生」のもと、サステナビリティ経営を推進し、人・社会・自然との調和を図りながら事業を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。

社会課題は複雑化、深刻化しており、持続可能な社会の実現に向けて、多様なステークホルダーとともにマーケティングの力でより広範な未来の社会課題を解決し続けていくため、2024年1月に、当社グループを象徴する表現として「未来マーケティング企業」を宣言いたしました。そして、変化の速度と不確実性が高まる時代においても、「未来マーケティング企業」として常に未来を見据え、社会的な存在意義を明示することで、グループ社員の志を一つにするとともに、ステークホルダーとの共創・協業をより一層進め、社会課題解決を加速していくために、当社グループのパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を2024年1月に公表いたしました。キヤノンMJグループパーパスのもと、未来の課題にまで目を向け、既存の枠にとらわれない新たな価値の創造に果敢に挑戦し、長期的な視点でサステナビリティ経営を推進してまいります。

持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、「2021-2025 長期経営構想」を策定しており、その基本戦略に基づき、2025年ビジョンの実現及び経営指標の達成に向けた実行計画として「2022-2025 中期経営計画」を策定し、推進しております。

 

(2025年ビジョン)

社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ

 

(基本戦略)

1.事業を通じた社会課題解決による、持続的な企業価値の向上

2.高収益企業グループの実現

・ITソリューション事業を成長の中核とした事業変革

・顧客基盤を活かした顧客層別営業体制の強化

・キヤノン製品事業の付加価値向上と更なる高収益化

3.経営資本強化による、好循環の創出

・人材の高度化・エンゲージメント向上による事業成長の加速

・戦略的事業投資による事業成長の加速

 

(2025年の経営指標)

売上     6,800億円(内、ITソリューション売上 3,400億円)

営業利益    560億円

ROE           10.0%

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、7億83百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。

運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。