1【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】

 代表取締役社長 脇坂剛は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しています。

 なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

 

 

2【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】

 財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2024年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
 本評価においては、全社的な内部統制の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しています。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。
 財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しております。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定し、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しております。
 業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前事業年度の売上高の金額が高い拠点から合算していき、前事業年度の売上高の概ね2/3に達している4事業拠点を「重要な事業拠点」としました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象としております。
 さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して、重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。

 

 

3【評価結果に関する事項】

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。

 

 

 当社は、2023年11月に当社卸売部門の特定の販売先に対する売掛金について約定弁済がなされなかったことを契機として、当該取引に係る確認を行ったところ、当社の特定の仕入先が循環取引等の不適切な取引を主導し、販売先に対する架空取引が生じている可能性があることが判明しました。そこで、2024年2月9日付の取締役会において、当該取引にかかる事実関係の調査、並びに原因の究明、類似事象の有無の確認、財務諸表等への影響額の算定、及び再発防止策の提言を目的として、特別調査委員会の設置を決議いたしました。

 当社は、2024年4月8日、特別調査委員会から調査報告書を受領し、当社が特定の販売先と行っていた一部の取引は商品が存在しない架空循環取引であり、その経済的実態は資金移動取引であるとの報告を受けました。なお、本件架空循環取引は仕入先の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は会社としてあるいは卸売部門として組織的かつ意図的に関与したものではないことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はなく、某氏が主導した本件循環取引に巻き込まれたものと認められるとの評価を受けております。

 当社は、報告内容の検討の結果、当該取引は売上及び仕入としての実態のない取引として、関連する売上高及び売掛金、仕入高及び買掛金、並びにその差額として計上された利益を取り消すこととし、この取引に関して発生した資金移動取引について金融取引として認識して、長期未収入金を計上しました。併せて当該長期未収入金に対しては、各期末における回収可能性を検討の上、貸倒引当金を計上しました。また、今回の調査の過程で発見された顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)の判断誤りに起因する修正事項等を併せて訂正いたしました。

 これらの訂正にともない、影響のある過年度の決算を訂正することが適切であると判断し、2019年3月期から2023年3月期までの有価証券報告書及び2021年3月期第1四半期から2024年3月期第2四半期までの四半期報告書について決算の訂正を行い、2024年4月15日に訂正報告書を提出いたしました。

 

 当社は、特別調査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因は、以下の点にあるものと考えております。

・識別したリスクの評価及び対応策の立案に関するプロセスの不十分性

・循環取引含む不適切な事例等に関する役職員への情報共有の不十分性

・管理部門における財務数値のモニタリング機能の形骸化

・取引先との取引条件等の承認機能の形骸化

・循環取引の発見に関する実効性のあるモニタリング機能の不十分性

・外部倉庫に保管している棚卸資産の数量や金額の適時な把握体制及び実地棚卸体制の未整備

 

 当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。

 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、特別調査委員会から調査報告書を受領したのが2024年4月8日であり、事業年度の末日までに、再発防止策を整備し運用する期間を確保できなかったためです。

 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表等に反映しております。

 

 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会から受領した調査報告書の再発防止策の提言事項を参考に、以下の再発防止策を策定、実行の上、内部統制の整備・運用を図ってまいります。

1.コンプライアンス及びリスク管理体制の再構築

2.役職員への実効性のある研修・教育の実施

3.管理部門におけるモニタリング機能の強化

4.業務プロセスの見直し

 

 

4【付記事項】

「3評価結果に関する事項」に記載した、開示すべき重要な不備を是正するために、当事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに、以下の措置を実施いたしました。今後も引き続き再発防止策の実行を推進します。

(1)コンプライアンス及びリスク管理体制の再構築

① コンプライアンスに対する意識を高く保つために、役員及び従業員向けに専門家によるコンプライアンス研修を実施することを予定しています。

② 従業員が営業上の取引に関して、仕入先が販売先を指定する等、循環取引等のリスクを感じ取った場合に、上長への報告・連絡・相談を徹底しています。

③ 取引量が増加している取引先をリスク管理委員会で取り上げる対象とする等、対象とする範囲の見直しを進めています。

(2)役職員への実効性のある研修・教育の実施

 循環取引等に関する知識の向上のため、役員及び従業員向けに過去の循環取引の事例等に係る研修を実施することを予定しています。

(3)管理部門におけるモニタリング機能の強化

 管理部門における四半期ごとの財務数値に係る分析の高度化を図るべく、見直しを進めています。

(4)業務プロセスの見直し

① 営業上の取引関係書類の保存期間に関して社内規定を一部改定し、社内へ周知します。

② 外部の専門家による助言の下、各種業務プロセスの見直しを進めています。

 

 

5【特記事項】

特記すべき事項はありません。