当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<経営理念>
顧客第一主義を経営の根幹とし、「革新」的な発想に則った企業活動を通じて、一人でも多くの人々に「喜び」と「満足」を与えることで、より豊かで平和な社会の実現に貢献する。
<経営ビジョン>
人と人の繋がりを大切にするコト提案型企業を目指す。
<中期経営計画2023 NEXT スローガン>
すべての中心は心。
心を動かす企業になる。
<行動指針>
1.「ありがとう」が常に言える(感謝)
2. 誠実でルールを守る(責任)
3. 常に挑戦する(改革)
4. 仲間を大事にする(協力)
5. 体を大事に健康である(健康)
<5つの価値>
1. お客様価値
2. 株主様価値
3. 取引先様価値
4. 従業員価値
5. 社会価値
5つ(ステークホルダー)の価値創造が私たちの価値となる。
1.当社グループは、『中期経営計画2023 NEXT』における経営指標の目標を以下のとおりに
置き、採算性の向上を最重要課題として、より強固な経営基盤の確立に努めます。
上記計画最終年度目標(2026年3月期 連結ベース)
2.基本戦略
当社グループでしかできないグループ全体で連携したモノ作りと販売
① 新しいモノ作り
② 新規販路開拓
③ 生産性向上
④ 収益確保
3.基本戦略を達成するための重点戦略
顧客の拡張と価値の拡張を軸に4つの戦略は個別ではなく全て関連性を持った戦略とする
① 重点戦略1:既存事業再生と成長(売上と収益拡大)
② 重点戦略2:プリント工場を活かしたモノ作りと販売
③ 重点戦略3:OMO強化によりシームレスな顧客とのコミュニケーション実現
④ 重点戦略4:フレグランスの強化
各ブランドの役割、グルーピングごとの戦略を明確にし、主力事業へ成長
ファッションからコスメまで
4.全社戦略:成長を支える基盤強化
以上、『中期経営計画2023 NEXT』の実行・推進により、安定収益構造の確立を図ります。
日本経済はもとより世界経済の今後は、不安定な状況が続き、先行き不透明で不確実な状態が続くことが予測されます。日本の人口減、為替問題、原材料費高騰、人件費高騰及び人手不足など、様々な課題がありますが、一方で世界人口の増加、訪日外国人の増加及び国内富裕層の増加など、成長が見込める要素も潜在化しています。また、特別な消費には出費や手間を惜しまず、満足度の高いモノ・コトを志向する傾向も拡大しています。これらの機会を活かすことで、今後の成長に繋げられると考えております。
81期は、当社グループ三ヵ年計画「中期経営計画2023NEXT」の最終年度となります。
基本戦略は、「当社グループしかできないグループ全体で連携したモノ作りと販売」であり、製造から販売まで自社グループで行えることが当社グループの強みです。
「新しいもの作り」、「新規販路開拓」、「生産性向上」、「収益確保」を目的とし、今期を結実フェーズと位置付け、三か年計画の集大成と次期以降の三ヵ年計画に繋がる年度にして参ります。
過去2年間は為替問題、原材料費高騰により、値上げを行い利益確保に努めてきた面もありましたが、値上げがマイナスになりえるマーケットもあります。日本経済全体が厳しい状況の中、消費の観点で見ますと、値上げにも限界があるため、今後は価格転嫁よりも価値転嫁へとシフトしていく必要があると考えます。
この2年間で、「新アイテムとなる手拭い」や「47都道府県をテーマにしたハンカチーフや雑貨」、「絶滅危惧種の動物をモチーフにした商品」、「無染色やオーガニック素材のサスティナブル商品の開発」、フレグランス商品に於いては、オーガニック素材のコスメ商材など、これまでになかったラインナップの取組みの拡大に努めてまいりました。これらすべての商材は、価値を感じて応援消費が期待できる商材です。また、「モノ」だけではなくサービスや体験など「コト」を提供できる環境を作り、価値転嫁を進め、顧客の創造を行い、企業価値の向上へと繋げていきたいと考えます。
また、BtoBがメインではありますが、BtoCの強化も図って参ります。直営店はもとよりEC事業拡大が収益拡大に繫がるため、直営店及びEC事業を繋ぐデジタルマーケティングの強化に努めます。
これは価値転嫁へとつながる重要な役割と考え、ただのPRに終わらせることなく「社会と良い関係を築くためのコミュニケーション」と位置付け、自社製品だけでなく自社の存在意義や社会への貢献を伝えていき、企業価値向上へと繋げていきたいと考えます。
そして、将来的に大きな課題へとなりえる「人手不足」に対して、資本投資も行っていきたいと考えております。「省人化」できる部分は対処し、人手を必要とする部分に対して評価制度や処遇、働き方や福利厚生などを見直し再度整え将来に備えます。また、弊社が提供する商品やサービス、PRやSNS等これら全てが人をひきつけ、求人採用活動にも繋がるものと考え、全体として資本投資を行って参ります。
コロナ禍で傷んだ財務面もコロナ収束後3期連続の黒字から「再生」が進み、攻めと守りのバランスの取れた経営を81期も目指して参ります。
特記すべき事項はありません。
当社グループが持続可能な活動を推進するうえで、基本的な考えとして、ESG経営をベースにSDGs活動を基本的な取り組みとして、更に人財、財務、ガバナンスの基盤作りを行う方針のもと活動を行って参ります。
当社グループは、サステナブル活動を行う上で、コーポレートガバナンスを重要な課題と位置づけ、迅速な意思決定による経営の効率化及び経営の透明性、責任の明確化を図ることを基本的な考え方としております。
サステナビリティな観点では、「中期経営計画2023 NEXT」を発表し、遂行して参ります。
加えてサステナブルSDGs活動は、「100年先の子供たちのために」をテーマに環境・社会・ヒトの観点で課題に取り組んでまいります。
又、全社活動として、人財、財務、コーポレートガバナンス・コードの取り組みも発表し、活動して参ります。
サステナブル活動のみならず、当社グループが活動を行う上で、リスクに対して「リスク管理規定」を定め対応を行うようにしております。
リスク危機が発生した場合は、優先順位として人命の保護、救助を最優先し、様々な危機が発生した場合も迅速に対策本部を設置し、官庁に届けが必要な場合は、迅速に対応する旨を規定としております。
具体的な目標及び活動は下記表のとおりとなります。


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは数多くの日本国内外の著名ブランドの権利者と商標使用並びに技術提携に関する契約(以下「ライセンス契約」といいます)を締結しております。このライセンス契約により当社グループは様々なブランドの製造・販売権を得ることができ、著名ブランド商品を市場へ供給することが可能となっております。例えば当社グループが提携関係にあるブランドでは、「ポロ・ラルフローレン(米国)」、「ジル・スチュアート(米国)」など、著名なブランドとして数多くの人が知るところであり当社グループ商品の市場への供給・浸透に寄与するところも大きいものと考えます。
一方、上述のライセンス契約は慣例的に2年乃至3年の期間のものが多く、契約更新に伴う契約条件の改定や、これらライセンス供給側に起きるM&Aなどによる経営方針の転換など、ライセンス契約への影響も考えられます。当社グループはこのようなリスクを回避するため様々な方策を講じておりますが、当社グループがこれらの提携関係を維持できなくなった場合、若しくは契約に大きな変更が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提供する商品についてはライセンス契約によるものの外、自社企画商品もあり、これらに関連して特許・実用新案・意匠・商標など知的財産権に関する調査・出願・登録も行っております。
又当社グループでは、これら権利の調査・出願・登録などは専門的立場の特許事務所などを通じて随時行い、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意しておりますが、当社グループの調査範囲・内容が将来にわたり十分かつ適当であるとは保証できないものと考えます。これら調査・確認は公示されている権利に市場調査の結果などを加味して判断を致しますが、そもそも権利の登録の有無を前提としない法もあることで知的財産権の調査・確認は煩雑化し、又意匠・商標権などの産業財産権は国の登録審査の結果如何に関わることなどから、当社グループが出願をしてもその権利を必ずしも取得できるとはいえないものと考えます。
なお、当社グループは現在において当社グループ商品による第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、一方上述の手続を行ったとしても全てを正確に想定することは困難であり、将来にわたり知的財産権の侵害を理由として第三者より損害賠償、差止などを求める訴えの提起を受ける可能性がないとは限りません。従いまして、係る事態が発生した場合には当社グループ商品の開発又は販売に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国・アジア地域を中心に商品の生産活動を行っておりますが、海外においては、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、テロ、戦争による地政学的又は政治的混乱等のリスクが存在しており、現実化する場合は当社グループの海外における生産活動に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
又、海外における生産活動により、国内生産量の減少から生産拠点の統廃合を招くような場合には生産の一極集中という不都合が生じ、又他国における法の施行・改正、為替レートの変動などがあった場合には流通の再編や生産コストの上昇などの現象が起きないとも限らず、係る場合には当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
今日の流動的な経済社会の中において、当社グループが更に積極的な経営を推し進めていくには、経験と知識に基づいた指導力を有する人材の確保が不可欠と言えます。又当社グループの事業内容からは、ファッションという時代の流行をいち早く掴み、商品開発を行っていくためには広範囲な知識と専門技術を有する優秀なデザイナーや商品マーチャンダイザーの確保も同様に必要であります。
当社グループでは、こうした優秀な人材の確保と育成を行うことに加え社外への流出を防ぐことも企業の重要課題であると考えます。
当社グループでは、現在、優秀な従業員の確保はあるものの、余剰人員がいないのが現状であります。
このような状況により、多数の優秀な従業員の同時期における離職や適格な人材の確保が不十分であった場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 個人情報管理について
当社グループは、店頭販売、EC販売等での顧客管理上、多くの個人情報を保有しており、その管理には万全を期しておりますが、今後、万が一お客様の情報が外部に漏洩する事態となった場合には、信用の低下等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 自然災害、人的災害
当社グループは、国内外の物流網を通じて各店舗やお客様に商品を供給しておりますが、国内外において自然災害や戦争等の人的災害が発生した場合は、当社グループのサプライチェーンが影響を受け、事業や商品供給を停滞させる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りの概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、69億12百万円(前連結会計年度末は、72億24百万円)となり、3億12百万円減少いたしました。現金及び預金の減少(14億79百万円から13億60百万円へ1億18百万円減)、受取手形及び売掛金の減少(24億2百万円から21億44百万円へ2億58百万円減)、棚卸資産の増加(31億25百万円から31億48百万円へ22百万円増)が主な要因です。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、54億95百万円(前連結会計年度末は、54億71百万円)となり、23百万円増加いたしました。建物(純額)の増加(7億46百万円から7億81百万円へ34百万円増)、投資有価証券の減少(11億98百万円から11億54百万円へ43百万円減)、投資不動産の増加(15億47百万円から15億67百万円へ20百万円増)、繰延税金資産の増加(71百万円から93百万円へ22百万円増)が主な要因です。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、45億42百万円(前連結会計年度末は、49億88百万円)となり 4億46百万円減少いたしました。支払手形及び買掛金の減少(20億17百万円から18億36百万円へ1億80百万円減)、短期借入金の減少(20億円から19億50百万円へ50百万円減)、1年内返済予定の長期借入金の減少(2億62百万円から1億28百万円へ1億33百万円減)、未払法人税等の減少(55百万円から14百万円へ40百万円減)が主な要因です。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、7億77百万円(前連結会計年度末は、8億45百万円)となり、67百万円減少いたしました。長期借入金の減少(2億24百万円から1億95百万円へ28百万円減)、繰延税金負債の減少(40百万円から16百万円へ24百万円減)が主な要因です。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、70億87百万円(前連結会計年度末は、68億62百万円)となり、2億25百万円増加いたしました。資本金の減少(17億20百万円から1億円へ16億20百万円減)、資本剰余金の増加(17億70百万円から33億91百万円へ16億20百万円増)、利益剰余金の増加(30億53百万円から33億19百万円へ2億65百万円増)、その他有価証券評価差額金の減少(3億23百万円から2億69百万円へ53百万円減)が主な要因です。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における国内経済は、経済活動の正常化が進み、企業業績や雇用・所得環境の改善が続く中、回復基調を維持しました。加えて、賃上げの浸透や旺盛なインバウンド需要も追い風となり、個人消費は堅調に推移しました。一方で、地政学リスクの高まりや、日銀によるマイナス金利解除に伴う金利上昇など、先行きに対する慎重な見方も広がっています。為替市場では円安基調が続いているものの、一時の急激な変動はやや落ち着きを見せています。物価高についてはピークアウトの兆しが見られるものの、節約志向は根強く、消費者マインドの不安定さは残りました。
こうした経営環境のもと、当社グループでは、「中期経営計画2023 NEXT」の2年目として、生産から販売までの垂直統合型サプライチェーンを活かし、生産性の向上、コスト削減、そしてオリジナルブランドの強化を進め、企業価値、顧客満足度、資産価値の向上を目指す体制強化を図ってまいりました。加えて、新規事業として注力してきたフレグランス事業においては、商品企画力と販売チャネルの拡充が奏功し、前年までの赤字構造を脱して黒字化を達成いたしました。今後のグローバル展開やブランド価値向上に向けた重要な収益源として位置づけており、グループ全体の成長エンジンの一つとなりつつあります。
当連結会計年度においては、円安によるインバウンド需要の高まりにより、主要販路である百貨店市場は堅調に推移しました。一方、量販店市場では、節約志向の強まりにより売上が減少しました。為替変動による収益への影響を受けつつも、グループ連携の強化、コスト対策、既存販売店への新たな提案活動や新規市場開拓に取り組みました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高127億69百万円(前年同期比97.7%)、営業利益3億7百万円(前年同期比121.8%)、経常利益4億17百万円(前年同期比117.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益4億11百万円(前年同期比154.2%)となり、前連結会計年度の業績から大きく改善をいたしました。
なお、当第4四半期連結会計期間(2025年1月1日~2025年3月31日)につきましては、営業利益2億67百万円、経常利益2億85百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億1百万円の黒字となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
身の回り品事業
ハンカチーフにつきましては、訪日外国人観光客いわゆるインバウンド需要が特に9月以降から更に高まり、都市部、大阪市内、福岡市内に加え、今までインバウンド需要が希薄であった名古屋地区などの主力取引先百貨店においても大幅な売上伸長ができました。加えて、これまで強化してきました新規販路の開拓並びに新規イベントの参加増により、新たな売上を作ることが出来ました。
また、2月にデビューした新ブランド「BOSS」に関しても大きな反響となりバレンタイン需要や3月度の返礼需要も取り込むことができ売上伸長に繋がりました。
一方で、大手量販店では、閉店に加え、売場縮小や売場が消滅するなどの影響が大きく、新しい商品の提案や新たな価値の提供を行いましたが、このマイナス要因をカバーできない状況が続く結果となりました。
その結果、ハンカチーフアイテム全体では、売上は前年比99.3%となりましたが、商品の価格見直しが効果的に単価アップに繋がり、大幅な利益率アップとなり利益面では大きくプラスとなりました。
スカーフ・マフラーにつきましては、年間を通しシルク商材が好調に推移し、新しく立ち上げたオリジナルブランドのシルクスカーフに関しましても大きな売上を構築することが出来ました。防寒商材に関しましては、11月末から12月末にかけ、気温の冷え込みもあり、その期間は前年を大幅に上回る結果を作ることが出来ました。百貨店マーケット全体では、オリジナルサスティナブル商品や新ブランドのカシミヤストールなども好調に推移する結果となりました。
しかしながら、テレビ通販部門におけるカシミヤ商材販売が放映時期に気温が暖かかったことの影響で購買意欲の低下につながり、計画していた売上を大きく下回る結果となりました。また量販店においては、ハンカチーフと同様に大手量販店の衣料品部門撤退によるスカーフ・マフラー売場の消滅などが大きく影響しました。
その結果、スカーフ・マフラーの全体の売上は前年比90.8%となりました。
タオル・雑貨につきましては、テレビ通販部門で取り扱うリビングタオルについて効率アップを目的としたオンエア規模縮小を図ったことの影響から、売上は前年比89.1%となりました。
その結果、当連結会計年度の身の回り品事業での売上は、前年比96.9%となりましたが、全アイテムにおいて原価削減策が功を奏し、売上総利益率は前期に比べ1.7%の改善となりました。
フレグランス事業
フレグランス事業につきましては、CREEDやACQUA DI PARMAの単一ブランド店の売上が、12月において、CREED伊勢丹本店、ACQUA DI PARMA銀座シックス店では開店以来過去最高額を計上し、インバウンド需要もあり年間通して伸長いたしました。また、12月にはBVLGARI新宿髙島屋店、3月にはVan Cleef & Arpels新宿髙島屋店がオープンし、全体売上において単一ブランド店の売上比率も伸長しました。他方、百貨店及び直営店にて複数ブランドを集積して販売している売場については、今期前半は前期を上回る売上となっていましたが、今期後半では前期を下回る売上となる店舗が複数店見られ、今後の販売施策の改善が急務となっております。ホールセール部門におきましては、一部ブランドの2次流通向け卸売の減少がありましたが、ブランドブティック向け卸売りが伸長し、売買益額においては前年を大きく上回る結果となりました。
その結果、当連結会計年度のフレグランス事業全体の売上は前年比101.9%、売上総利益率は前期に比べ4.9%の改善となり、事業として黒字化を達成することが出来ました。
全事業といたしましては、前年同期と比べ売上高は前年同期比97.7%と減少いたしましたが、為替の影響、原油高などコスト環境が前年度にも増して厳しい状況の中、前連結会計年度から引き続きハンカチーフ商品の価格値上げやその他商品の価格見直しを継続したことが功を奏し、売上総利益率は前年同期と比べ2.3%上回る結果となりました。
販売費及び一般管理費につきましては増加した結果となりましたが、これは前連結会計年度に引き続き、新規案件に対しての先行投資によるものであります。その結果、営業利益、経常利益は共に前年同期と比べ増加いたしました。
また減資手続きを行い、2024年8月1日に効力が発生したことから繰延税金資産の計上を見直しした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期と比べ増加となり、4億11百万円(前年同期比154.2%)となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載しております。
当社グループは、より強固な経営基盤を確立する為、『川辺株式会社・中期経営計画2023 NEXT』における経営指標を採算性の向上とし最重要課題と認識しております。
当連結会計年度のROAは3.32%(前連結会計年度2.10%)、ROEは5.81%(前連結会計年度3.89%)の結果となりました。これは、主として売上総利益の増加(50億85百万円から52億58百万円へ1億73百万円増加)の影響であります。
(単位:千円)
(単位:千円)
(注) 金額は仕入価額によっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1億18百万円減少し、13億60百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、3億84百万円(前年同期は3億43百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加、売上債権の減少額、仕入債務の減少額、法人税等の支払額の減少等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1億40百万円(前年同期は3億18百万円の減少)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出、有形固定資産の取得による支出、投資不動産の賃貸による収入と支出等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、3億64百万円(前年同期は1億31百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の純増減額、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額等であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、事業運営上のリスク及び経済環境の急激な変化に備えるため、一定の流動性を確保することを基本方針としております。そのため資金の調達についても営業活動から得られたキャッシュ・フローに基づく内部資金を基本としつつ、金利状況、投資回収スケジュール、運転資金のポジションを勘案し、金融機関からの借入等外部調達を検討するなどして調達の多様化を図っております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 〔注記事項〕 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
特記すべき事項はありません。