当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、技術革新が速く活発なエレクトロニクス産業のなかで、半導体製造装置及びFPD製造装置のリーディングサプライヤーとして、ビジネスを積極的に展開しております。
① 経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能を持つメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、事業環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く応えることにより、世界の市場に高い付加価値を持つ製品・サービスを提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野を中心に、技術革新が新たな価値を生み、高付加価値かつ高収益を期待できる事業領域において、独創的な技術で時代をリードすることを通じて成長を続けてきました。
当社の原動力は、業界のリーディングカンパニーとして育んだ豊かな技術力、確かな技術サービスに基づく顧客からの信頼、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員と、そのチャレンジ精神です。
今後も技術革新による価値創出が見込まれるエレクトロニクス技術を基盤とした成長分野において、当社の持つ最先端技術を活かして事業を推進しワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。
② ビジョン
当社グループは、「革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー」を目指しております。
③ 事業環境
社会では、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)に加え、人工知能(AI)の普及や、次世代高速通信規格である5G対応の準備が着々と進み、これらに伴う新たなビジネスモデルやライフスタイルの展開が期待されています。さまざまな産業への利用をはじめ、スマートハウスやスマートシティー、近い将来に期待される自動車の自動運転、遠隔手術などの医療への応用等、数限りない用途が挙げられますが、これらのアプリケーションを可能とする技術を支えるのはまさに半導体です。またFPDの分野においても中小型パネルの需要拡大に加えて、大画面化や高解像度化、有機ELの薄くフレキシブルなデザイン性を活かした応用領域に拡がりを見せています。
このように半導体やFPDは、人々の暮らしをより便利で豊かにする、未来の社会インフラの中核を担うものとして新たな成長段階に入りました。
同時に、さらなる記憶容量の増大、通信速度の高速化、高信頼性、低消費電力化などのあらゆる面での技術革新が求められています。最先端の半導体は10万分の1ミリメートル(10ナノメートル)以下の領域での究極の微細化技術により加工されておりますが、微細化技術以外にも、新材料や新構造などの多岐にわたる新技術によって半導体の進化と用途の拡がりが期待でき、それを実現する私たち製造装置メーカーの付加価値と成長可能性は、より一層高まっております。
④ 中長期的な成長に向けた取り組み
東京エレクトロンは「メーカー」であり、ベストプロダクト、ベストサービスを継続的に追求します。
・将来顧客が必要とする最先端技術製品や世界一の性能を持つ製品を競合他社より常に一歩先行して創出し、最良の技術サービスを提供することを目指します。
・ベストプロダクトの創出に向け、当社が得意とする分野、蓄積された技術、経営ノウハウが活きる分野でビジネスを展開します。
・当社の経験知、技術ノウハウを次世代製品にスピーディーに反映することで、常に競合他社より性能で一歩先行します。
前述のような事業環境を受け、半導体の市場規模は、2030年には現在の倍以上となる1兆米ドルに到達すると予想されています。その一方で、半導体技術の高度化と多様化が進むなか、製造装置メーカーへの技術要求レベルや役割は飛躍的に高まっています。当社は、最先端の技術ニーズに応える世界でも有数の経営資源をもつ企業であり、今後もその技術力を磨き続け、高い付加価値を提供することで顧客からの信頼をさらに深めていきます。
この実現に向け、技術革新を推進する顧客と2、3世代先の中長期技術ロードマップを共有し、装置・技術評価活動のさらなる早期着手を図ります。これにより、量産展開初期より、装置の稼働率最大化を実現し、顧客満足度の向上とサポートリソースの効率化の両立を図るとともに、この効率化によるリソースを次世代装置の開発投資や、顧客のサイトにおける評価の推進に充当します。そして、顧客が将来必要とする装置や性能に対し、より合致した次世代製品の継続創出を高い確率で実現するよう取り組みます。
また、当社がこれまで出荷した業界で最多となる69,000台の半導体製造装置をもとに、パーツ販売、装置のアップグレードや高度なフィールドソリューションの提供につなげ、収益拡大を図ります。
このような取り組みをメモリ、ロジック、IoT関連半導体の各顧客と実行し、またビジョンにある革新的な技術力と多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で高い付加価値と利益をより一層追求するため、従来のBU(ビジネスユニット)組織に加え、コーポレートの営業・マーケティング機能の拡充を目的に、カスタマーコラボレーショングループ、コーポレートイノベーション本部を2018年7月に設置しました。
FPD製造装置につきましても、中長期のロードマップを共有し、付加価値が高く、当社の技術、ノウハウが活かされる領域でベストプロダクト、ベストサービスを追求し、さらなる利益の創出に努めます。
⑤ 人材に関する取り組み
当社グループの発展は、社員一人ひとりの創造性・積極性・柔軟性及び情熱と責任感がその基盤となっています。当社は、社員自身の意欲と自己啓発を重視するとともに能力開発のための種々の教育の場を提供します。そして、適材適所の人材配置をおこない、公正な能力評価をおこなうことにより、社員が能力を最大限仕事に発揮できる環境を作ります。こうした方針のもと、社員が躍動する夢と活力のある会社を目指し、グローバル共通の人事制度を導入しております。
また、当社の持続的成長を支える次世代の経営執行を担う人材を育成するため、TELサクセッションプランに基づき、後継候補者群に対する育成状況について指名委員会が分析、精査のうえ、取締役会に報告し、取締役会は後継候補者育成プランが十分な時間と資源をかけておこなわれるよう適切に監督しております。
⑥ 環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み
当社は、半導体製造装置及びFPD製造装置のリーディングカンパニーとして、高品質の製品やサービスの継続的な提供を通じ、より高い利益をあげて経済価値を高めるとともに、持続可能な社会の発展に貢献し社会価値を高めることで経営基盤を強化し、企業価値の向上を図ります。
環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対応した活動テーマを設定し、事業活動を通じて産業や社会の課題解決と発展に寄与し、ステークホルダーとの信頼関係の構築に努めます。
とくに環境面においては、当社の事業所や提供する製品のエネルギー消費低減に取り組むとともに、半導体そのものの低消費電力化に貢献する革新的な製造技術の提供に取り組んでいます。
⑦ 資本政策
当社グループは、資本政策の基本方針について次のように考えております。
成長投資に必要な資金を確保し、積極的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めてまいります。具体的には、営業利益率、資産効率をさらに高め、キャッシュフローの拡大に努めることで、持続的な成長を目指し、ROE(自己資本利益率)向上など高資本効率を追求します。
当社の配当政策は業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。また、自己株式の取得については、機動的に実施を検討します。
以上の様々な取り組みを通じて、当社グループの掲げるビジョンを実現してまいります。
⑧ 目標とする経営指標
当社グループは、2019年5月27日に財務モデルを改定いたしました。売上高2兆円、営業利益率30%以上を目指すモデルを新たに追加するとともに、ROEは30%以上を目指すものとし、実現時期を5年以内としております。
なお、当社グループが示す財務モデルは、将来の売上高規模の予想ではなく、売上高規模ごとに目指すべき経営の効率性を示したものであります。これらの財務モデルの実現を通して、当社グループはワールドクラスの営業利益率とROEを目指してまいります。
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売上高 |
15,000億円 |
17,000億円 |
20,000億円 |
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営業利益率 |
26.5% |
28.0% |
30.0%以上 |
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ROE(自己資本利益率) |
30.0%以上 |
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また、文中の将来に関する記述は、本「有価証券報告書」提出日現在において入手可能な情報をもとに、当社グループが合理的であると判断した一定の前提に基づいており、当社グループとしてその実現を約束する趣旨のものではありません。
本「有価証券報告書」に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本「有価証券報告書」提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 半導体市場変動による影響
当社グループは、技術革新が激しく自らの強みを発揮できる半導体製造装置等のハイテク分野に資源を集中させることにより、高い利益率を獲得してきました。半導体市場は技術の変化により大幅に成長する反面、需給バランスが崩れることによって市場規模が一時的に縮小することがあるため、当社グループはこのような局面においても利益を生み出せるように構造改革にも積極的に取り組んできました。しかしながら、予期せぬ市場規模の大幅な縮小によって、受注取消、過剰設備・人員、在庫増加、顧客の財務状況悪化による貸倒損失、仕入先の経営状態悪化による供給不足等が発生する場合には、当社グループ業績に少なからず悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定顧客への取引集中による影響
当社グループは、優れた最先端技術を搭載した製品及び顧客満足度の高いサービス体制を通じて、国内の大手半導体メーカーを含む、世界中の主要な大手半導体メーカーとの取引拡大に成功してきました。大手半導体メーカーの大規模設備投資のタイミングによっては売上高が特定の顧客に一時的に集中することがあり、販売競争の激化によって当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 研究開発による影響
当社グループは、微細加工技術、真空技術、プラズマ技術、熱処理技術、塗布・現像技術、洗浄技術、ウェーハ搬送技術、クリーン化技術等の最先端技術について積極的な研究開発投資及び研究開発活動を継続的に実施することにより、最先端の技術を創造するとともに、当該技術を搭載した新製品を早期市場投入することによって当社グループが参入する各製品分野において上位の市場シェアと高い利益率の獲得に成功してきました。しかしながら、新製品投入タイミングのずれ等の影響により当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 安全に関する影響
当社グループは、開発・製造・販売・サービス・管理等の各種業務の遂行において安全や健康に対する配慮を常に念頭において行動するという基本理念のもと、当社グループ製品の安全性向上や健康影響排除のために積極的かつ継続的に努力しております。しかしながら、当社グループ製品に関連する安全性等の問題により、顧客への損害発生、受注取消等が発生した場合、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 品質に関する影響
当社グループは、優れた最先端技術を積極的に開発し新製品に搭載し早期に市場に投入すると同時に、ISO9001の認証取得を含む品質保証体制の確立、及びレベルの高いサービス体制の確立にも努め、その結果、当社グループの製品を多くの顧客に採用していただくことができました。しかしながら、当社グループの製品が最先端技術製品である等の原因によって、未知の分野の開発技術も多く存在し、予期せぬ不具合品の発生等により当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権に関する影響
当社グループは、製品の差別化と競争力強化のために、最先端技術早期開発のための研究開発戦略を事業戦略及び知的財産戦略と三位一体で推進することにより、多くの独自技術の専有化を可能とし、各製品分野における高い市場シェアと利益率の確保に成功してきました。しかしながら、当社グループの製品は多くの最先端技術が統合・最適化された製品であることもあり、第三者の技術や特許その他の知的財産権を使用する上で制約される場合等があるため、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 外国為替変動による影響
当社グループは、事業の積極的な海外展開に成功したことにより、海外への売上高比率が高くなっております。当社グループの輸出は為替リスクを回避するために円建て取引にて行うことを原則としておりますが、一部外貨建て輸出も存在し、その場合には受注時の先物為替予約等によって為替リスクヘッジに努めております。しかしながら、急激な為替変動によって価格の変動が生じ為替リスクとなることがあり、当社グループ業績に間接的に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 企業買収による影響
当社グループは、事業戦略の一環として、新たな事業領域への進出、新技術・ビジネス基盤の獲得、既存事業の競争力強化などを目的とした企業買収を実施することがあります。具体的な実施にあたっては入念な調査・検討を行っております。しかしながら、買収後に当初期待した成果が十分に得られなかった場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 重要な訴訟等に関するリスク
当社グループは、現在においてその業績に重要な影響を与えうる訴訟等に関与しておりませんが、当社グループの事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となり、その結果によっては当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法令、規制に関する影響
当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・各地域において、輸出入規制、環境規制、移転価格税制といった各種法令、規制の制約を受けており、その遵守に努めています。しかしながら、予期せぬ法令、規制の強化、改正が生じたこと等により、適切な対応ができなかった場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) その他リスク
当社グループは、新たな高成長・高収益事業の創出、既存事業における更なる高収益の追求、市場規模縮小時においても利益を生み出すことのできる体質への改善に積極的に取り組むとともに、環境保全活動の推進、コンプライアンスやリスク管理体制及び情報セキュリティ管理体制の再整備にも取り組んできました。しかしながら、当社グループが事業を遂行する限りにおいては、同業他社及び他業種企業と同様に、世界及び各地域における経済環境、自然災害、戦争、テロ、感染症等の不可抗力、金融・株式市場、政府等による規制、仕入先の供給体制、商品・不動産市況、国内外での人材確保、標準規格化競争、重要人材の喪失等の影響を受け、場合によっては当社グループ業績に悪影響を及ぼすことが想定されます。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度につきましては、中国をはじめとするアジア地域やヨーロッパにおいて景気の停滞感が見られるものの、米国の景気は底堅く、世界経済は総じて堅調に推移しました。
当社グループの参画しておりますエレクトロニクス産業におきましては、データセンター向け投資やスマートフォン需要を背景にメモリ半導体が市場の拡大をけん引してきました。期後半から、メモリ向け投資は調整局面を迎えておりますが、中長期的には、これまでのPCやモバイルに加え、人工知能(AI)や次世代通信規格(5G)に伴う新技術による半導体需要を背景にさらなる大きな市場の成長が見込まれております。
このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績の状況は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は1兆2,782億4千万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。国内売上高が2,087億9千6百万円(前連結会計年度比40.4%増)、海外売上高が1兆694億4千3百万円(前連結会計年度比8.9%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の比率につきましては83.7%となりました。
売上原価は7,520億5千7百万円(前連結会計年度比14.7%増)、売上総利益は5,261億8千3百万円(前連結会計年度比10.8%増)となり、売上総利益率は41.2%(前連結会計年度比0.8ポイント減)となりました。
販売費及び一般管理費は2,156億1千2百万円(前連結会計年度比11.2%増)となり、連結売上高に対する比率は16.9%(前連結会計年度比0.2ポイント減)となりました。
これらの結果、営業利益は3,105億7千1百万円(前連結会計年度比10.5%増)となり、営業利益率は24.3%(前連結会計年度比0.6ポイント減)となりました。経常利益は、営業外収益113億5千4百万円、営業外費用2億6千3百万円を加減し3,216億6千2百万円(前連結会計年度比14.6%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は3,215億8百万円(前連結会計年度比16.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,482億2千8百万円(前連結会計年度比21.5%増)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は1,513円58銭(前連結会計年度の1株当たり当期純利益は1,245円48銭)となりました。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。
・半導体製造装置
DRAM、3次元構造のNANDフラッシュメモリに関しまして、期の後半からメモリメーカーにおける設備投資計画が調整局面に入っておりますが、当連結会計年度を通じては、モバイル向けに加えデータセンター向け需要の高まりにより、メモリ市場は堅調に推移しました。また、ロジック系半導体において最先端世代への移行に伴い設備投資が再開されており、半導体製造装置市場は堅調に推移しました。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は1兆1,667億8千1百万円(前連結会計年度比10.6%増)、セグメント利益は、3,267億1千6百万円(前連結会計年度比3.9%増)となりました。
なお、当セグメントにおきましては、当連結会計年度に枚葉成膜装置「Triase+™ EX-II Pro™」、バッチ式スプレー洗浄装置「MERCURY™+」をリリースしました。
・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置
中国におけるテレビ用大型液晶パネル向けの設備投資が旺盛だったことに加え、モバイル端末用の中小型有機ELパネル向け設備投資も継続しておこなわれたことで、FPD製造装置市場は好調に推移しました。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は、1,112億6千1百万円(前連結会計年度比48.2%増)、セグメント利益は、242億4千1百万円(前連結会計年度比82.3%増)となりました。
また、当セグメントにおきましては、当連結会計年度に高精細フラットパネルディスプレイ向け第10.5世代ドライエッチング装置「Impressio™3300 PICP™」、有機ELディスプレイ製造用インクジェット描画装置「Elius™1000」をリリースしました。
・その他
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、191億1千2百万円(前連結会計年度比3.9%減)、セグメント利益は10億3千5百万円(前連結会計年度は5千7百万円のセグメント損失)となりました。
また、当連結会計年度末の財政状態の状況は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ362億9千9百万円増加し、9,828億9千7百万円となりました。主な内容は、現金及び預金の増加902億5千6百万円、有価証券に含まれる短期投資の減少715億円によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末から241億1千6百万円増加し、1,500億6千9百万円となりました。
無形固定資産は、前連結会計年度末から68億2千7百万円減少し、90億5千4百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末から12億4千2百万円増加し、1,156億7百万円となりました。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から548億3千万円増加し、1兆2,576億2千7百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ635億7千万円減少し、3,048億8千2百万円となりました。主として、支払手形及び買掛金の減少331億5千8百万円、前受金の減少229億6千1百万円によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ17億9千3百万円増加し、646億2千8百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,166億7百万円増加し、8,881億1千7百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益2,482億2千8百万円を計上したことによる増加、前期の期末配当及び当期の中間配当1,247億5千4百万円の実施による減少によるものであります。この結果、自己資本比率は70.0%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、上記の前期末比較については、当該会計基準を遡って適用した後の前連結会計年度末の数値で比較しております。
② キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ252億4千3百万円減少し、2,326億3千4百万円となりました。なお、現金及び現金同等物に含まれていない満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資1,600億円を加えた残高は、前連結会計年度末に比べ187億5千6百万円増加し、3,926億3千4百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度に比べ29億9千万円増加の1,895億7千2百万円の収入となりました。主な要因につきましては、税金等調整前当期純利益3,215億8百万円、減価償却費243億2千3百万円、売上債権の減少105億4千1百万円がそれぞれキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額1,029億3千2百万円、仕入債務の減少317億5千2百万円、前受金の減少220億7千7百万円、たな卸資産の増加147億6千5百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として有形固定資産の取得による支出465億1千7百万円、短期投資の増加による支出440億円により、前連結会計年度の118億3千3百万円の支出に対し840億3千3百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に配当金の支払1,247億5千4百万円により、前連結会計年度の825億4千9百万円の支出に対し1,297億6千1百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産の実績は販売の実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注の実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。また、販売の実績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」における各セグメントの業績に関連付けて説明しております。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
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相手先 |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
|
Samsung Electronics Co., Ltd. |
261,544 |
23.1 |
|
Intel Corporation |
181,053 |
16.0 |
|
SK hynix Inc. |
132,146 |
11.7 |
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
|
相手先 |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
|
Intel Corporation |
199,594 |
15.6 |
|
Samsung Electronics Co., Ltd. |
175,315 |
13.7 |
|
SK hynix Inc. |
174,468 |
13.6 |
|
Micron Technology, Inc. |
131,821 |
10.3 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本「有価証券報告書」提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって採用された重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示情報に影響を与える見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績や状況等を勘案し合理的な判断のもと継続的に見積り及び予測を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績については、拡大する半導体製造装置市場における競争力向上と、FPD製造装置市場におけるシェア拡大により、売上高は2期連続で過去最高を更新し、1兆2,782億4千万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。主力の半導体製造装置事業については、注力分野における事業展開が計画通り進捗し、市場成長を大きく上回る売上増を達成することができました。
売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益も大幅に増加し、すべての利益項目において過去最高を達成しました。一方、営業利益率は24.3%と、前連結会計年度比0.6ポイント減となりましたが、これはIoT、5G等の普及を背景に半導体の需要が増加し付加価値が高まる中、更なる成長を図る事業戦略により、開発費等の成長投資を実施したことによるものです。なお、研究開発費の総額は前連結会計年度から168億7千7百万円増加の1,139億8千万円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度から0.3ポイント上昇し8.9%となりました。
営業利益に、営業外損益及び特別損益を反映し、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は2,482億2千8百万円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度から1.3ポイント上昇し19.4%となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローについては、事業規模の拡大により、現金及び預金、たな卸資産等の流動資産、有形固定資産を中心に総資産が増加し、当連結会計年度末における総資産は1兆2,576億2千7百万円(前連結会計年度末から548億3千万円増加)となりました。資産効率を示す総資産回転日数(注1)は、前連結会計年度末の390日から359日へ大きく改善しました。たな卸資産の残高は生産増に伴い増加しましたが、たな卸資産回転日数(注2)は前連結会計年度末の111日から101日へ改善し、また売上債権回転日数(注3)も前連結会計年度末の52日から42日へ改善しました。有形固定資産の増加は、宮城工場における新開発棟の竣工、山梨・東北工場における新生産棟の着工、評価用機械装置の取得等によるものですが、これらは、成長分野の開発・生産体制を拡充させるために、必要な投資を実施した結果であります。なお、投資に必要な資金は手元資金で賄っております。
過去最高の税金等調整前当期純利益を計上し、資産効率の改善についても継続して取り組む一方で、成長に必要な投資は積極的に実施した結果、現金及び現金同等物に満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資を加えた残高は、前連結会計年度末から187億5千6百万円増加し、3,926億3千4百万円となりました。
なお、上述した親会社株主に帰属する当期純利益の対売上高比率の改善、及び総資産回転日数等の資産効率の改善の結果として、ROE(自己資本利益率)についても前連結会計年度の29.0%から30.1%へ上昇しました。
(注)1 総資産回転日数=当連結会計年度末の総資産÷当連結会計年度の売上高×365
2 たな卸資産回転日数=当連結会計年度末のたな卸資産÷当連結会計年度の売上高×365
3 売上債権回転日数=当連結会計年度末の売上債権÷当連結会計年度の売上高×365
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループでは売上高、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標として使用しております。2018年5月時点において設定した2021年3月期を想定した各指標のモデルに対する、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであり、ROE(自己資本利益率)については目標値を達成しました。
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2021年3月期 財務モデル (2018年5月公表) |
2019年3月期 実績 |
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半導体前工程製造装置 市場規模 |
550億米ドル |
620億米ドル |
- |
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売上高 |
15,000億円 |
17,000億円 |
12,782億円 |
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営業利益率 |
26.5% |
28% |
24.3% |
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ROE(自己資本利益率) |
30%~35% |
30.1% |
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このような状況のもと、当社グループの高い成長機会を背景に、昨年発表した2021年3月期を対象とした財務モデルを改定し、より中長期の視点で更なる成長目標を追加しました。具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ⑧ 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。
・半導体製造装置
当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比10.6%増の1兆1,667億8千1百万円となりました。当社グループの事業展開は、戦略どおり順調に進捗しております。結果として、2018年1月から12月における半導体前工程製造装置(WFE)の市場成長率16%に対して、同期間の当社グループの売上高は25%増加し、市場拡大を上回る成長を遂げました。本体装置の売上高を製品別に見ると、エッチング装置、コータ/デベロッパの売上が拡大し、また中古装置や改造、パーツ・サービスの売上高については、累積出荷台数と包括サービス契約の増加に伴い、大きく伸長しました。
セグメント利益率については、当連結会計年度は28.0%と、前連結会計年度の29.8%から1.8ポイント低下しました。これは、将来の成長を見据えた開発・生産体制の増強、及び研究開発費の増加等による固定費比率の上昇が主な要因であります。
・FPD製造装置
当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比48.2%増、1,112億6千1百万円となりました。モバイル用途の中小型パネル向け設備投資の継続、拡大する第10.5世代製造装置市場において差別化技術によりリーディングポジションを確立したこと、高性能PICPTMエッチング装置の順調な拡販等により、当セグメントとしては過去最高の売上高を達成しました。
セグメント利益率については、当連結会計年度は21.8%と、前連結会計年度の17.7%から4.1ポイント改善しました。売上拡大により固定費比率が低下したこと、新製品の拡販が順調に進捗したこと、また第10.5世代向け製造装置市場において高いシェアを獲得したことにより、利益率も過去最高を達成しました。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、半導体製造装置、FPD製造装置及び報告セグメントに帰属しない基礎研究又は要素研究等に関するものであります。
半導体製造装置事業では、AI、5G、IoT、データマイニングに向けて次世代デバイスの高速化・大容量化・機能統合化が必要になり、それらを具現化する製造技術の高度化へ先行して対応すべく、新製品開発の強化に引き続き努めております。具体的には、コータ/デベロッパ、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置、先端パッケージ向けプロセス装置、ウェーハプローバ等の装置開発として、次世代デバイスから要求される装置・プロセス開発、プロセスの高精度化、装置の高信頼性化、高生産性化、コスト低減等の開発、装置仕様の標準化、部品・ソフトウエア共通化等の技術開発を推進しております。同時に、省エネルギー化の要求に対応するため、装置の省電力化技術等、環境に配慮した技術開発にも注力しております。さらに、次々世代の新デバイス製造に必要な製造装置の開発を進め、新市場の拡大に対応できる体制を整えております。微細化加工技術開発の一環として、EUV露光による超高解像パターニングをはじめとする複数工程開発が益々重要となっており、当社の各開発拠点を活用したプロセス開発とインテグレーション開発を行うことで、より付加価値の高い技術を開発、提案しております。また、近年著しい成長を遂げていますAI技術等の先端IT技術を駆使した、顧客向け・社内向け両面での生産性向上活動も進めております。
FPD製造装置事業では、インクジェット技術を用いた有機ELディスプレイ製造装置の開発などに注力しております。
基礎・要素研究関連では、微細加工のための新しい各種プロセスの技術開発及び評価、新構造や新材料に対応したプロセス技術開発等を行っており、また、これらの開発を支える各種の研究を行っております。具体的には、微細加工に必要なプロセス技術として、マルチパターニングに代表される微細加工技術、各種新材料の成膜技術、熱処理技術、洗浄技術、プラズマプロセス装置に不可欠なプラズマ技術、熱処理装置で重要な熱制御技術、開発効率を向上するシミュレーション技術、パーティクルや不純物汚染等を制御するコンタミネーション制御技術等、重要かつ他社との差別化を図る各種コア技術を研究しております。
加えて、オープンイノベーション型の開発を強化するために、国内外の有力大学・各種研究機関等との共同開発、各種材料パートナー、コンポーネントパートナーとの緊密な研究開発を推進しております。近年、最先端のプロセス開発とその性能評価を電気的特性データで検証していくことは必要不可欠となっています。いわゆるプロセスインテグレーション評価技術として、プロセスモジュール(トランジスタ工程から配線工程まで)の評価を通じて新規プロセス装置評価、新材料の集積可能性検証、将来技術の電気特性データによる開発指針づくり等を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、1,139億8千万円(前連結会計年度比17.4%増)であり、連結売上高に対する比率は8.9%(前連結会計年度比0.3ポイント増)であります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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半導体製造装置 |
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32.5% |
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FPD製造装置 |
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△2.2% |
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全社 |
18,020 |
△23.6% |
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合計 |
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17.4% |
(注) 「全社」は報告セグメントに帰属しない基礎研究又は要素研究等に関するものであります。