当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、技術革新が速く活発なエレクトロニクス産業の中で、半導体製造装置のリーディングサプライヤーとして、ビジネスを積極的に展開しております。
① 経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能をもつメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、事業環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く応えることにより、世界の市場に高い付加価値をもつ製品・サービスを提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野で、技術革新が新たな価値を生み、継続的な市場拡大が見込まれる事業領域において、時代をリードする独創的な技術を創出し成長を続けてきました。
当社の原動力は、業界のリーディングカンパニーとして育んだ豊かな技術力、確かな技術サービスに基づくお客さまからの信頼、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員と、そのチャレンジ精神です。
今後も、当社のもつ専門性と最新技術を活かして事業を推進し、夢と活力のあるワールドクラスの高収益企業を目指すとともに、世の中の持続的な発展を支えるために不可欠な半導体の技術革新に貢献してまいります。
② 事業環境
ICT(情報通信技術)の進化とともに、データ社会への移行が進む中、デジタル技術の活用と応用が様々な産業や分野において拡がっています。そして、これを支えるのが半導体の技術革新です。大容量、高速、高信頼性、低消費電力など、半導体の進化に向けた追求は止まることがありません。トランジスタの誕生から約70年。これまで半導体デバイス市場は着実な成長を遂げ、2021年に5,000億ドルを超えましたが、2030年頃には、現在の2倍に匹敵する1兆ドルに到達する高い伸びが予想されています。また、人とICTをつなぐインターフェイスとしてのディスプレイも半導体製造技術の応用による技術革新が続いています。有機ELの普及に伴い、高精細化、低消費電力化、薄くフレキシブルな特性を活かした大型化やデザイン性の向上など、用途はさらに拡大していきます。当社グループが参入する事業は、社会の重要インフラである半導体とFPDを支え、夢のある社会の発展に向け、今後も大きく成長していくものと予想しております。
③ 中長期的な成長を見据えた取り組み
前述のような将来の成長ポテンシャルを踏まえ、2019年5月に中期経営計画を策定しました。売上高の規模別に営業利益率、自己資本利益率(ROE)の関係を示す財務モデルを定めたもので、2024年3月期までに売上高2兆円、営業利益率30%以上、ROE30%以上をその中核目標に掲げて取り組んでまいりました。そのような中、2022年3月期の決算は、売上高2兆38億円、営業利益率29.9%、ROE37.2%となり、目標の財務モデルに対し、2年前倒しでほぼ到達することができました。そして今後のさらなる当社の発展と成長を目指すため、「⑥ 新中期経営計画」に記載のとおり、2022年6月8日に新たな中期経営計画を発表いたしました。
半導体の重要性がさらに高まり、半導体製造装置市場がこれからも大きく成長していくことが予想される中、当社のマテリアリティ(重要課題)として定めた高い収益力に基づく強い経営基盤のもと、製品競争力と顧客対応力の強化、生産性の向上に努め、オンリーワンプロダクトの創出により業界をリードしてまいります。
・将来、お客さまが必要とする高付加価値の最先端技術製品をいち早く市場に投入するとともに最良の技術サービスを提供してまいります。
・オンリーワンプロダクトの創出に向け、当社が得意とする分野、蓄積された技術、経営ノウハウが活きる分野でビジネスを展開してまいります。
・世界をリードする技術革新力を維持向上させるため、2022年3月期は、1,582億円の研究開発費を投入し、2019年5月に中期経営計画で公表した、3年間で4,000億円以上の研究開発費の投入を計画どおり実行いたしました。将来の成長を見据え、2023年3月期は、1,900億円の研究開発費を見込んでおり、強い財務基盤を活かした積極的な投資を継続してまいります。
・サービスの分野につきましても、当社がこれまで出荷した業界最多となる8万台以上の半導体及びFPD製造装置をもとに、パーツ販売、装置のアップグレード改造、装置の稼動率向上やお客さまが生産するデバイスの歩留まり向上などの課題解決に努めるとともに、これら高度なフィールドソリューションの提供を通じて、アフターマーケットにおける収益拡大を図ります。また、やがて10万台以上となる装置サポートに備え、遠隔保守などのスマートカスタマーサポートに加え、装置の稼動データやAIの活用などによる予知保全など、高効率、高付加価値サービスの構築にも注力してまいります。
■ 人材に関する取り組み
「企業の成長は人。社員は価値創出の源泉」という考えのもと、社員のやる気と会社へのエンゲージメントを重視した経営に取り組んでいます。
・会社の将来に対する期待と夢がもてる高い経営目標の設定
・成長投資に伴う様々な活動やキャリア機会
・強い財務基盤のもと失敗を恐れずチャレンジできる環境
・成果に見合う競争力のある報酬と公正な人事
・社員と経営層の積極的な対話
上記のような活動を通じ、世の中の持続的な発展を支える半導体の技術革新に貢献することで夢と活力のある会社の維持向上に努めます。
また、当社は、事業に関わるすべての人々の安全と健康を最優先することを経営理念で明示しておりますが、4年連続で、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2022」の上位500社に認定されました。そして、これは国内グループ会社6社(注)1においても、3年連続の認定取得となります。社員がもてる力を最大限に発揮するために、社員の心身の健康保持・増進をサポートしています。
加えて、持続的成長を支える次世代の経営執行を担う人材を育成するため、「TELサクセッションプラン」に基づき後継候補者の育成をおこなっております。指名委員会はその育成状況を分析、精査の上、取締役会に報告するとともに、取締役会は後継者育成プランが適切に実行されるよう監督しております。
(注)1:東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ㈱、東京エレクトロン九州㈱、
東京エレクトロン宮城㈱、東京エレクトロンFE㈱、東京エレクトロンBP㈱、
東京エレクトロンエージェンシー㈱
■ 環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み
当社グループは、半導体製造装置のリーディングカンパニーとして、高性能・高品質の製品やサービスの継続的な提供を通じ、より高い利益をあげて経済価値を高めるとともに、持続可能な社会の発展に貢献し社会価値を高めることで経営基盤を強化し、企業価値の向上を図ります。
◇ 環境に関する取り組み
2021年6月に、半導体製造装置業界における持続可能なサプライチェーン構築に向けた取り組みとして、E-COMPASS(注)2というイニシアティブを立ち上げました。このE-COMPASSでは、業界のリーディングカンパニーとして次のような点に先進的に取り組むことで、自社にとどまらず、あらゆるパートナー企業と連携し、サプライチェーン全体でデジタル社会の発展と地球環境保全に取り組み、社会の期待に応えることを目的としています。
・高性能・低消費電力デバイス等、半導体の技術革新に貢献し、ICTの発展と低消費電力化を両立
・半導体生産時の水、ガス、ケミカルの使用量の低減
・環境有害物質の規制への適切な対応
(注)2: Environmental Co-Creation by Material, Process and Subcomponent Solutionsの略
◇ ガバナンスに関する取り組み
当社グループのガバナンスに関する取り組みは、外部からも高い評価を受けており、一般社団法人日本取締役協会が主催する「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー®2021」において、東京証券取引所(以下「東証」)1部上場企業約2,200社の中から大賞となる「Grand Prize Company」を受賞しました。この受賞は、当社の成長への挑戦、海外半導体関連企業の先進的な取り組みからの学び、代表取締役評価のクローズドセッションなど、自社の実情に合わせたものへ常に改善を求めている経営姿勢、攻めのガバナンスが、業績の高い向上につながっている点を評価されたものです。
また、当社は、2022年4月4日、東証のプライム市場に移行しました。時価総額などの基準が厳しく、東証の「コーポレートガバナンス・コード」の全原則の適用が求められる同市場の上場企業として、高いガバナンス水準を構築してまいります。その一環として2022年6月21日より以下に示すとおりコーポレートオフィサー制度を導入しました。
《コーポレートオフィサー制度について》
当社は、技術革新が速く市場変化も活発な半導体製造装置業界のリーディングカンパニーとして、ガバナンスのさらなる強化と迅速な意思決定並びに機動的な業務執行を図るため、コーポレートオフィサー制度を導入することといたしました。執行側の最高意思決定機関であるコーポレートオフィサーズ・ミーティングを設置し、取締役会から執行側への適切な権限委譲を進めます。また、コーポレートオフィサーが取締役会に出席し、業務執行に関する説明をおこなうことにより、取締役会が執行側を適切に監督するとともに、コーポレートオフィサーは、取締役会での議論を適切かつスピーディーに業務執行に活かすことで、攻めの経営を推進します。
今後も半導体製造装置市場は高い成長が見込まれます。それゆえ、当社が事業展開する拠点数も現在の18カ国、77拠点から、近い将来には100拠点を超えると予想しています。このような中、コーポレートオフィサー制度の導入による適切な権限委譲で迅速な経営の執行を推進していくとともに、取締役会における実効性の高い監督機能のさらなる充実を図り、短中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を追求してまいります。
④ 資本市場との対話
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、経営層が積極的にIR(Investor Relations)、SR(Shareholder Relations)活動に取り組んでおります。国内外のIRカンファレンスでは経営層が適宜スポークスパーソンを務め、直接的な対話を図っています。また、四半期毎の決算説明会に加え、中期経営計画説明会やIR Dayにおいて積極的に事業戦略や成長のストーリーを共有しています。さらに、CEO直轄組織として設置されたIR室は投資家の皆さまとの個別面談などを通じて適切に説明を補足するとともに、いただいたご意見を経営に役立てるべく、定期的に経営層に報告しています。
このような当社グループの取り組みは高い評価を受けており、米国大手金融情報誌Institutional Investorが発表した、優れたIR活動をおこなう日本の上場企業「2022 All-Japan Executive Team」の電機・精密機器セクターにおいて、最高位となる「Most Honored Company」に7年連続して選ばれております。
⑤ 資本政策
当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、積極的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。具体的には、営業利益率、資産効率をさらに高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、持続的な成長を目指し、ROE向上など高い資本効率を追求します。
当社の配当政策につきましては、業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。また、自己株式の取得については、機動的に実施を検討することとしております。この方針に基づき、2022年3月期においては、年間配当1,403円を実施しました。
当社グループは、以上のような取り組みを実行することで、さらなる持続的成長と企業価値の向上を通じて、世の中になくてはならない会社として、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念を実践してまいります。
⑥ 新中期経営計画
当社グループは節目となる第60期を迎え、さらなる成長を目指すにあたり、2022年6月8日に以下のとおり新たなビジョンを発表するとともに、新中期経営計画として財務目標を設定いたしました。本計画の遂行とともに、これからもBest Products、Best Technical Serviceを常に追求し、短期及び中長期的な利益と継続的な企業価値の向上を目指してまいります。
◇ 新ビジョン
「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」とした当社グループの基本理念の実践に向けた重点事項として、2030年に向けた新たなビジョンを策定いたしました。
『半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社』
・東京エレクトロンは、世の中の持続的な発展を支える半導体の技術革新を追求します。
・当社の専門性を活かし、付加価値の高い最先端の装置と技術サービスを継続的に創出することで、
中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を目指していきます。
・そして、企業の成長は人、社員は価値創出の源泉と位置づけ、ステークホルダーとの
エンゲージメントを通じて、このビジョンの実現に向けて活動してまいります。
◇ 新財務目標
半導体製造装置市場の継続的な成長が見込まれる中、当社グループは、ワールドクラスの営業利益率とROEの実現を目指し、2023年3月期から5年を達成期間とした新たな財務目標を設定いたしました。
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財務目標(~2027年3月期) |
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売上高 |
3兆円 以上 |
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営業利益率 |
35% 以上 |
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ROE(自己資本利益率) |
30% 以上 |
なお、文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書の提出日現在において入手可能な情報をもとに、当社グループが合理的であると判断した一定の前提に基づいており、当社グループとしてその実現を約束する趣旨のものではありません。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、これらの記載は、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。
また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場変動
半導体市場は、IoT、AI、5G等の情報通信技術の用途の拡がりやDXの進展、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)への対応を背景としたデータ社会への移行が加速するなか、技術革新が続くことで中長期的にはさらなる成長が見込まれています。しかしながら、世界経済の動向や最終製品の需要、貿易・関税政策、地政学的要因等により、短期的には需給バランスが崩れ市場規模が変動することがあります。半導体市場が急激に縮小した場合には、過剰生産、不良在庫の増加、顧客の財務状況悪化による貸倒損失など、一方、急激な需要の増加に対応できなかった場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できず、機会損失が生じるなど、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、こうした市場変動に対応するため、市場環境や受注状況を取締役会等の重要会議において定期的にレビューするなど、常に最新の市場動向を把握した上で、設備投資や人員・在庫計画等の適正化を図っております。
また、当社グループの売上高は、最先端の大手半導体メーカー向けが大きな割合を占めており、その投資動向の影響を受けやすい傾向にあります。
当社グループは、アカウントセールス本部を設置し、こうした顧客と緊密な連携を図り、投資動向をいち早く把握することに努めるとともに、グローバルセールス本部を設置し、世界中の幅広い顧客ニーズに対応し、半導体需要の拡大に伴う新規顧客を開拓するなど、販売体制及び顧客基盤の強化と拡大に努めております。
(2) 地政学
当社グループは、売上高に占める海外売上高の比率が高く、様々な国、地域において事業を展開しております。国際秩序やグローバルなマクロ経済情勢に影響を与える地政学的な対立は、各国・地域の安全保障、外交政策、産業政策及び環境政策に影響を与え、その結果サプライチェーンの一部に影響が出たりマクロ経済環境が悪化したりすることで、当社の事業活動を制約し、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国際情勢や各国・地域の外交・安全保障上の措置、産業政策の動向を注視して、製品の輸出入や技術開発に関する規制、マクロ経済の変動による事業への影響を想定しています。これらへの対応策を事前に検討するとともに、パブリックコメント等の手段を通じて政策当局に意見を伝えるなど、リスクの早期発見やリスク発現時の迅速かつ適切な対応に努めております。
(3) 研究開発
当社グループは、最先端技術について継続的な研究開発投資を実施し、当該技術を搭載した新製品を早期に市場投入することによって、各製品分野における高い市場シェアの獲得と高利益率の実現に成功してきました。しかしながら、顧客の技術要求に応える新製品をタイムリーに投入できない場合、また、開発した新製品が顧客要求に合致しなかった場合や競合他社による新技術・製品が先行投入された場合には、製品競争力を失い、開発コストの回収が困難となるなど、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コーポレートイノベーション本部を設置し、革新的な技術開発と各開発本部が持つ製品・技術を融合した独創的な技術提案を行うための全社的な開発体制を構築するとともに、グローバルに展開している研究機関との共同研究や最先端顧客との間で複数世代にわたる技術ロードマップを共有するなど、将来のニーズに対応した強いネクストジェネレーションプロダクトを常に競合に先立ち提供する体制を整えております。
(4) 調達・生産・供給
当社グループは、主要な生産拠点を日本国内に有し、国内外の顧客に製品を供給しております。そのため、国内において地震や水害等の自然災害、テロ、感染症等の不可抗力による被害や事故等が生じ、生産が停止、復旧に時間を要する場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できない可能性があります。また、安定した製品の製造にはサプライヤーによる部品等の安定供給が欠かせません。災害や事故等のリスクに加え、サプライヤーの経営状態悪化、半導体市場の拡大に伴う供給能力を上回る需要等により、部品の調達が滞った場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できなくなり、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、調達・生産戦略体制のもと、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的にそのレビューを行うとともに、リスク低減に向けた対策を推進しております。一例として、代替生産体制の確立、生産棟の耐震強化、生産の平準化、情報システムのバックアップ体制整備や重要部品のマルチソース化、適正在庫の確保等を進めております。また、半導体の需要予測や顧客の投資計画などを踏まえたフォーキャストをサプライヤーに共有する等の取り組みを進め、安定供給体制の確立に取り組んでおります。
(5) 安全
当社グループの製品の安全性に関する問題が発生した場合、顧客の損害、受注取消、損害賠償責任の発生や当社グループに対する信頼の低下など、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発・製造・販売・サービス・管理等の各業務の遂行において安全や健康に対する配慮を常に念頭において事業を進めています。この「Safety First」という考えのもと、製品開発段階におけるリスク低減を意識した本質的な安全設計、安全教育の推進、事故発生時の報告システムの整備など、製品の安全性向上のための取り組みを継続的に推進しております。
(6) 品質
当社グループの製品は、多くの最先端技術が統合された製品であり、不具合が発生した場合には、リコール等の製品の回収、品質責任に基づく損害賠償責任や不具合対策費用の発生、また、当社グループに対する信頼性の低下につながるなど、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、全社統一の品質方針のもと、社員及びサプライヤーに対して品質教育を推進し、ISO9001の認証取得を含む品質保証体制や最高水準のサービス体制の確立に常に取り組んでいます。開発においては、設計の初期段階から営業、サービス部門と連携し、技術的な課題解決を図り、さらにシミュレーション技術を使用した検証を徹底するなど、リスク軽減、解消に取り組んでいます。また、不具合発生時においては、根本原因を究明した後、再発防止・類似不具合の未然防止策の実施・徹底を進めております。調達部品の品質管理においても同様に、常にサプライヤーの品質状態を把握し、監査、改善支援等を実施しております。
(7) 法令・規制
当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・各地域において、輸出入規制、環境法、競争法、労働法、汚職・贈賄、移転価格税制を含む様々な分野の法令、規制による制約を受けており、その遵守に努めています。しかしながら、各種法令、規制に抵触した場合には、社会的信用の低下、課徴金・損害賠償の発生、事業の制限など、また、各国の安全保障上の政策や将来において予期せぬ法令改正、規制の強化が生じた際に適切に対応できなかった場合には、その対応に要する費用負担や事業の制限等により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、チーフ・コンプライアンス・オフィサーのもと、国内外主要拠点においてコンプライアンスに関する活動状況を把握する体制を構築しております。また、法令や企業倫理上疑義のある事項を早期発見し、速やかに対策を講じるため、当社グループ統一の内部通報制度を運用しております。さらには、外部専門家によるコンプライアンスに関するアセスメントを実施し、抽出された課題は、CEO、取締役会及び監査役会に報告され、迅速かつ効果的な対策及びさらなる体制強化を進めております。
(8) 知的財産
当社グループの製品は、多くの最先端技術が統合された製品であり、知的財産権の権利化と第三者による権利侵害の防止は、製品の差別化と競争力強化の上で重要な要素となります。第三者が保有する知的財産権を侵害した場合には、当社グループ製品の生産・販売が制約され、損害賠償金の支払が発生すること等が考えられ、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、研究開発戦略を事業戦略及び知的財産戦略と三位一体で推進することにより、適切な知的財産権ポートフォリオを構築し、多くの独自技術の専有化を図り、各製品分野における高い市場シェアと利益率の確保を実現しております。
(9) 情報セキュリティ
当社グループは、事業活動を通じて、機密情報、顧客情報、個人情報等を取得・保有し、これらを利用することがあります。サイバー攻撃等による不正アクセスや不正操作、人為的ミス、自然災害等により、情報漏洩やサービス停止等が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償の発生等により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティに関する委員会を中心に専任組織を立ち上げるなど組織的強化を図るとともに、外部専門家によるセキュリティ・アセスメントを行うなどし、国際基準に準拠した情報セキュリティ体制を構築しています。また、インシデントが発生した場合に備えた異常検知システム導入といった技術面はもとより、グローバル統一の情報管理に関する諸規程や発生時の対応ガイドラインを展開するなど、運用面においても対策を講じております。
(10) 人材
当社グループがグローバルな事業展開を進めるなか、イノベーションを創出し成長を続けるためには、国内外で多様な人材を確保し育成することやダイバーシティ&インクルージョンを実践することが重要となります。しかしながら、必要な人材を継続的に採用・維持することができない場合、また、多様な価値観・専門性を持った人材が個性を発揮して活躍できる環境が整備できない場合には、製品開発力の低下や顧客サポートの質の低下を招き、競争優位性のある組織が実現できないなど、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、社員は持続的な価値創出の源泉であり、社員のエンゲージメントを高めることは企業価値向上において最も重要な要素と考えております。具体的には当社トップによる定期的な社員集会を通じた方向性の共有、今後を担う人材を継続的に輩出するための育成計画の構築、社員のキャリアパスの見える化、魅力的な報酬・福利厚生の提供、長時間労働・ハラスメントの防止を含めた労働環境の継続的な改善や健康経営の推進等に取り組んでおります。
(11) 環境対応
当社グループを取り巻くステークホルダーをはじめ、世界全体でサステナビリティに関する社会的要請が高まっております。こうしたなか、脱炭素社会への移行に伴う各国の気候変動政策、環境法令や業界行動規範、技術革新や顧客ニーズ等に適切に対応できなかった場合には、新規製品の開発、仕様変更、改造等の追加対応の費用発生、製品競争力の低下、社会的信用の低下等により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、社会のデジタル化と地球環境保全を目指し、環境法令や業界行動規範の遵守はもとより半導体デバイスの高性能化や低消費電力化に寄与する技術の提供、また業界をリードする中長期環境目標の達成に向けて製品使用時の温室効果ガス排出量削減や事業所における再生可能エネルギーの使用比率の向上、及びエネルギー使用量低減に努めております。そのほか、梱包材の見直し、モーダルシフトの推進など、事業活動を通じて地球の環境保全に取り組んでおります。またE-COMPASSプログラムを展開し、あらゆるお客さま、お取引先さまとのパートナーシップによるサプライチェーン全体での地球環境保全に取り組んでいます。
(12) 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループの製造・販売活動等の事業継続に影響を与える可能性があることに加え、世界的にヒトやモノの移動が制限され、世界経済の状況が悪化するなど、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、CEOを本部長とする緊急対策本部を中心に、感染リスクの高い国や地域への渡航制限、サプライチェーンの維持、事業所における感染予防策の徹底等の対策を講じております。
(13) その他
当社グループが事業を遂行するにあたっては、世界各国及び各地域における政治情勢や治安の状況、経済環境、金融・株式市場、外国為替変動、企業買収の成否、重要な訴訟、標準規格化競争等の影響を受け、場合によっては当社グループ業績に影響を及ぼすことが想定されますが、それぞれのリスクに対し必要な対策をおこなっています。
当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。経営成績及びキャッシュ・フローに関する説明における前年同期との比較、並びに財政状態に関する説明における前連結会計年度末との比較については、当該会計基準等を適用する前の前連結会計年度の数値を用いて比較しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度の世界経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延や地政学リスクの高まりによる影響は見られたものの、緩やかに回復しました。
当社グループが参画しておりますエレクトロニクス産業におきましては、情報通信技術の拡充に伴うデータ社会への移行や脱炭素社会への取り組みを背景に、半導体の重要性が高まっており、今後も半導体製造装置市場はさらなる成長が見込まれております。
このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績の状況は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は2兆38億5百万円(前連結会計年度比43.2%増)となりました。国内売上高が2,303億6千8百万円(前連結会計年度比16.6%増)、海外売上高が1兆7,734億3千7百万円(前連結会計年度比47.6%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の比率につきましては88.5%となりました。
売上原価は1兆919億8千3百万円(前連結会計年度比30.9%増)、売上総利益は9,118億2千2百万円(前連結会計年度比61.4%増)となり、売上総利益率は45.5%(前連結会計年度比5.1ポイント増)となりました。
販売費及び一般管理費は3,125億5千1百万円(前連結会計年度比28.0%増)となり、連結売上高に対する比率は15.6%(前連結会計年度比1.9ポイント減)となりました。
これらの結果、営業利益は5,992億7千1百万円(前連結会計年度比86.9%増)となり、営業利益率は29.9%(前連結会計年度比7.0ポイント増)となりました。経常利益は、営業外収益59億8千万円、営業外費用35億2千7百万円を加減し6,017億2千4百万円(前連結会計年度比86.8%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は5,966億9千8百万円(前連結会計年度比88.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,370億7千6百万円(前連結会計年度比79.9%増)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は2,807円84銭(前連結会計年度の1株当たり当期純利益は1,562円20銭)となりました。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。
・半導体製造装置
ロジック/ファウンドリ向け半導体に対する設備投資は、社会のデジタル化を背景に、最先端から成熟世代まで広い範囲での投資が堅調に推移しました。また、取り扱われるデータ量も毎年拡大基調にあることから、DRAM及びNANDフラッシュメモリ向け双方の設備投資についても高い投資水準が継続しております。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は1兆9,438億4千3百万円(前連結会計年度比47.8%増)、セグメント利益は6,674億3千7百万円(前連結会計年度比84.1%増)となりました。
・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置
テレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となりました。一方、中小型有機ELパネル向け設備投資については、最終製品に搭載されるディスプレイが液晶から有機ELへと転換されることに伴う投資が継続しました。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は598億3千万円(前連結会計年度比28.6%減)、セグメント利益は38億7千4百万円(前連結会計年度比56.1%減)となりました。
・その他
当セグメントの当連結会計年度における売上高は281億3千2百万円(前連結会計年度比27.4%増)、セグメント利益は6億9千8百万円(前連結会計年度比30.6%増)となりました。
また、当連結会計年度末の財政状態の状況は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,930億6百万円増加し、1兆4,087億3百万円となりました。主な内容は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加2,422億4千7百万円、現金及び預金の増加877億3千5百万円、棚卸資産の増加585億円によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末から261億1千万円増加し、2,230億7千8百万円となりました。
無形固定資産は、前連結会計年度末から53億7千6百万円増加し、225億4千万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末から445億9千9百万円増加し、2,401億3千5百万円となりました。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から4,690億9千3百万円増加し、1兆8,944億5千7百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,409億1千7百万円増加し、4,685億7千8百万円となりました。主として、未払法人税等の増加579億2千万円、支払手形及び買掛金の増加303億1百万円、前受金の増加208億3千2百万円によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ56億8千9百万円増加し、788億2千9百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,224億8千5百万円増加し、1兆3,470億4千8百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益4,370億7千6百万円を計上したことによる増加、前期の期末配当及び当期の中間配当1,662億5千2百万円の実施による減少、その他有価証券評価差額金の増加273億6千7百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は70.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ696億5千5百万円増加し、3,356億4千8百万円となりました。なお、現金及び現金同等物に含まれていない満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資356億2千6百万円を加えた残高は、前連結会計年度末に比べ597億2千1百万円増加し、3,712億7千4百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度に比べ1,374億9千9百万円増加の2,833億8千7百万円の収入となりました。主な要因につきましては、税金等調整前当期純利益5,966億9千8百万円、減価償却費367億2千7百万円、前受金の増加320億3千1百万円がそれぞれキャッシュ・フローの収入となり、売上債権及び契約資産の増加1,955億4千3百万円、法人税等の支払額1,060億9千8百万円、棚卸資産の増加1,003億9百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として有形固定資産の取得による支出561億5千3百万円により、前連結会計年度の182億7千4百万円の支出に対し556億3千2百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に配当金の支払1,662億5千2百万円により、前連結会計年度の1,145億2千5百万円の支出に対し1,672億5千6百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産の実績は販売の実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注の実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。また、販売の実績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」における各セグメントの業績に関連付けて説明しております。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
|
相手先 |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
|
Samsung Electronics Co., Ltd. |
256,656 |
18.3 |
|
Intel Corporation |
193,706 |
13.8 |
|
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd. |
164,340 |
11.7 |
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
相手先 |
販売高 (百万円) |
割合 (%) |
|
Samsung Electronics Co., Ltd. |
312,279 |
15.6 |
|
Intel Corporation |
303,982 |
15.2 |
|
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd. |
231,393 |
11.5 |
(注) 販売高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績については、顧客による積極的な半導体製造装置向け設備投資を背景に、過去最高となる2兆38億5百万円(前連結会計年度比43.2%増)となりました。
営業利益も、売上高の大幅な増加に伴い、5,992億7千1百万円(前連結会計年度比86.9%増)となり、営業利益率は前連結会計年度比7.0ポイント増の29.9%となりました。これは主に、注力分野において新たに獲得した付加価値の高い工程の売上増加に伴う売上総利益率の上昇、及び、売上高の大幅な増加に伴う販売費及び一般管理費比率の減少によるものです。なお、研究開発費の総額は、中期経営計画で目標としている財務モデルの達成に向けて、また将来の更なる成長を目指して、前連結会計年度から216億7百万円増加(前連結会計年度比15.8%増)し、過去最高の1,582億5千6百万円となりました。
営業利益に、営業外損益及び特別損益を反映し、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は4,370億7千6百万円となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度から4.4ポイント上昇し、21.8%となりました。1株当たり当期純利益は、前述の通り、売上高の増加に伴う利益の増加によって、2,807円84銭となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループでは売上高、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標として使用しております。
具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ⑥ 新中期経営計画」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。
・半導体製造装置
当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比47.8%増の1兆9,438億4千3百万円となりました。事業環境で記載の通り、半導体需要の高まりを背景に、顧客による新規装置への設備投資が積極的に展開される中、注力分野における販売戦略が順調に進捗した結果、ロジック/ファウンドリ、DRAM向けを中心に、当連結会計年度の売上高は大きく増加しました。加えて、中古装置や改造、パーツ・サービスの売上高も、累積出荷台数の増加と顧客の高い装置稼動に伴い、順調に成長しました。
セグメント利益率については、当連結会計年度は34.3%と、前連結会計年度の27.6%から6.7ポイント上昇しました。急速に高まった半導体製造装置の需要へ着実に対応できた結果、売上高が大幅に増加し、固定費比率が低下したことが、主な要因であります。
・FPD製造装置
当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比28.6%減の598億3千万円となりました。当連結会計年度においては、液晶ディスプレイから有機ELディスプレイへの移行の端境期にあり、FPD製造装置向け設備投資が調整されました。結果として、当セグメントの売上高は減少しました。
セグメント利益率については、当連結会計年度は6.5%と、前連結会計年度の10.5%から4.0ポイント低下しました。これは主に、顧客のFPD製造装置向け投資が調整される中、当連結会計年度において新規装置売上が減少したことが要因であります。
② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容、並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
財政状態については、当連結会計年度末における総資産が1兆8,944億5千7百万円となり、前連結会計年度末から4,690億9千3百万円増加しました。これは主に、売上債権及び契約資産、棚卸資産、有形固定資産と、投資その他の資産に含まれる投資有価証券の増加によるものです。売上債権及び契約資産は、半導体製造装置市場の急激な成長を背景に、売上が大きく増加したことにより、前連結会計年度末から2,422億4千7百万円増加し4,339億4千8百万円となりました。棚卸資産は、翌連結会計年度以降も引き続き装置・スペアパーツの需要が旺盛な状況を反映して、また生産の平準化等の施策も織り込んだ結果、前連結会計年度末から585億円増加し4,738億4千5百万円となりました。有形固定資産は、最先端技術の研究開発に必要となる装置や測定器の取得、生産技術の開発とサプライヤーとの協業を目的とした宮城技術革新センターの竣工に加え、山梨県韮崎市に開発棟を建設中であること等を反映し、前連結会計年度末から261億1千万円増加し2,230億7千8百万円となりました。投資有価証券は、政策的に保有している上場株式の時価評価額が上昇したことにより、前連結会計年度末から399億7百万円増加し1,449億7千2百万円となりました。これらの要因により、総資産は前連結会計年度末から増加しましたが、売上高がそれを上回って増加したことにより、総資産回転日数(注)は前連結会計年度末の353日から301日へ減少し、資産効率は改善しております。
キャッシュ・フローについては、現金及び現金同等物に、満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資を加えた残高は、前連結会計年度末から597億2千1百万円増加し、3,712億7千4百万円となりました。これは主に、当連結会計年度の業績が大きく拡大したことによります。
当連結会計年度においては、事業の拡大に伴い、棚卸資産の水準が継続して上昇するなど、必要な運転資本が増加するなか、高まる技術要求に対応し、競合との差別化を図ることができる革新的で付加価値の高い技術の創出のための研究開発、生産技術革新や環境負荷低減を考慮したサプライヤーとの協業等への成長投資を継続しました。一方で、当社グループの株主還元政策である配当性向50%に基づき、1,662億5千2百万円を株主に還元しました。これらは、事業運営を通じて獲得した手元資金によって賄っております。引き続き、高利益率によって作り上げた強固な財務基盤を維持しながら、将来への成長投資と積極的な株主還元に取り組んでまいります。
なお、経営指標の一つであるROE(自己資本利益率)については、親会社株主に帰属する当期純利益の対売上高比率の上昇、及び総資産回転日数の減少により、前連結会計年度の26.5%から37.2%へ上昇し、資本効率は改善する結果となりました。
(注) 総資産回転日数=当連結会計年度期首・期末の総資産の平均÷当連結会計年度の売上高×365
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症や地政学リスクが会計上の見積りに与える影響は、半導体製造装置市場が引き続き拡大基調にあること、生産体制及び部品調達・供給体制等における当社グループの機動的な対応により、現時点においては限定的と認識しています。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、半導体製造装置、FPD製造装置及び報告セグメントに帰属しない基礎研究又は要素研究等に関するものであります。
半導体製造装置事業では、AI、5G、IoT、自動運転などに向けて次世代デバイスの高速化・大容量化・機能統合化が必要になり、それらを具現化する製造技術の高度化へ先行して対応すべく、新製品開発の強化に引き続き努めております。具体的には、コータ/デベロッパ、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置、先端パッケージ向けプロセス装置、ウェーハプローバ等の装置開発として、次世代デバイスから要求される装置・プロセス開発、プロセスの高精度化、装置の高信頼性化、高生産性化、コスト低減等の開発、装置仕様の標準化、部品・ソフトウエア共通化等の技術開発を推進しております。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した装置性能の向上や開発の効率化、管理部門の生産性の改善にも取り組んでおります。同時に、当社のSDGsにおける重要課題の一つである省エネルギー化の要求に対応するため、環境への取り組み強化に向けたサプライチェーンイニシアティブ「E-COMPASS」を推進し、装置の省電力化技術等、CO2排出量の削減など環境に配慮した技術開発にも注力しております。さらに、次々世代の新デバイス製造に必要な製造装置の開発を進め、新市場の拡大に対応できる体制を整えております。微細化加工技術開発の一環として、EUV露光による超高解像パターニングや3次元積層メモリ等複雑化する構造におけるプロセスの最適化を図るために複数工程開発が益々重要となっており、当社の各開発拠点を活用したプロセス開発とインテグレーション開発を行うことで、より付加価値の高い技術を開発、提案しております。
FPD製造装置事業では、主力商品でありますエッチング装置、コータ/デベロッパの新技術開発は勿論の事、インクジェット技術を用いた有機ELディスプレイ製造装置の開発などに注力しております。
基礎・要素研究関連では、微細加工のための新しい各種プロセスの技術開発及び評価、10年先を見通しての新しいデバイス構造や新しい材料に対応する為のプロセス技術開発等を進めるとともにこれらの技術開発を支える各種の基礎的な研究を行っております。具体的には、微細加工に必要なプロセス技術として、高NA(解像度)EUV向けレジスト材料技術、マルチパターニングに代表される微細加工技術、各種新材料の成膜技術、エッチング技術、熱処理技術、洗浄技術の先行技術開発を進めるとともに、それら装置技術の基礎、基盤となる、プラズマプロセス装置に不可欠なプラズマ技術、熱処理装置で重要な熱制御技術、開発効率を向上するシミュレーション技術、パーティクルや不純物汚染等を制御するコンタミネーション制御技術等、重要かつ他社との差別化を図る各種コア技術の研究にも注力しております。
これらに加えて、オープンイノベーション型の開発を強化するために、国内外の有力大学・各種研究機関等との共同開発、材料関係のパートナー、重要な部品及びコンポーネント関連のパートナーとの緊密な研究開発を推進しております。また、近年におきましては、最先端のプロセス開発評価を電気的特性データで検証していくことが必要不可欠となって来ており、複数のプロセス工程を統合して評価するプロセスインテグレーションの評価の能力を強化しております。プロセスモジュール(トランジスタ工程から配線工程までの)全体で評価を進める事で、お客様にとってより有益で、価値のあるデータの取得を可能としております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、1,582億5千6百万円(前連結会計年度比15.8%増)であり、連結売上高に対する比率は7.9%(前連結会計年度比1.9ポイント減)であります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
半導体製造装置 |
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16.8% |
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FPD製造装置 |
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29.7% |
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全社 |
23,911 |
8.2% |
|
合計 |
|
15.8% |
(注) 「全社」は報告セグメントに帰属しない基礎研究又は要素研究等に関するものであります。