当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド消費の拡大などの好材料があるものの、個人消費の停滞や原材料価格の上昇によるコスト負担の増加と人員不足が下押し要因となり弱含みで推移しました。このような状況の下、当社グループにおいては、輸入品の一部が価格競争に見舞われる中で、国内外の新たな機能性商材の取引拡大に引き続き注力いたしました。
これらの結果、売上高は128億6千2百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は1億4千1百万円(前年同期比24.7%増)、経常利益は2億1千1百万円(前年同期比17.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1億3千3百万円(前年同期比13.4%増)、対前年同期比で増収増益となりました。
主な増益要因としましては、前期に海外子会社の保有株式を譲渡したこと、並びにコストの適正化を推進したことが寄与しました。
事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
[科学事業]
<土木・建材資材関連分野>
土木関連分野では、道路舗装材用改質剤、コンクリート二次製品用薬剤が増加し増収となりました。
建材資材関連分野では、住設機器への成形材料並びに住宅外装用樹脂及び建材ボード用薬剤等が伸長し増収となりました。
<情報・輸送機器関連分野>
情報関連分野では、特殊インキ関連材料は伸長しましたが、半導体製造設備関連商材が低迷し減収となりました。
輸送機器関連分野では、金属部品用添加剤は伸長しましたが、自動車メーカーの減産の影響を受け樹脂成形品等が減少し減収となりました。
<日用品関連分野>
日用品関連分野では、界面活性剤用原料の増加はありましたが、清掃用品材料、製靴関連材料が低迷し減収となりました。
フィルム関連分野では、生鮮野菜、チルド食品及び冷凍食品用包装フィルム販売が減少し減収となりました。
<化学工業関連分野>
繊維関連分野では、工業繊維用薬剤の減少により減収となりました。
化学工業関連分野では、金属表面処理剤並びに水処理剤用輸入化学品及び機能性樹脂が増加し増収となりました。
これらの結果、科学事業セグメントの売上高は106億1千1百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は1億9千8百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
〔建装材事業〕
住宅用関連製品、オフィス用関連製品は堅調に推移しましたが、造作関連製品の出荷の低調により減収となりました。
これらの結果、建装材事業セグメントの売上高は22億5千万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は5千8百万円(前年同期比116.8%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
①資産の部
流動資産は前連結会計年度末に比べ、11億9千9百万円減少し104億6千3百万円となりました。これは主に、現金及び預金が6億2千4百万円、受取手形及び売掛金が4億9千5百万円、電子記録債権が2億円減少し、商品及び製品が1億2千2百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、1億7千万円増加し63億7千2百万円となりました。これは主に、投資その他の資産が2億1千7百万円増加し、有形固定資産が3千1百万円、無形固定資産が1千5百万円減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて、10億2千9百万円減少し168億3千5百万円となりました。
②負債の部
流動負債は前連結会計年度末に比べ、13億5千7百万円減少し52億8千5百万円となりました。これは主に、買掛金が8億2千4百万円、電子記録債務が5億9百万円減少したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ、6千1百万円増加し11億2千5百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が6千4百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて、12億9千5百万円減少し64億1千万円となりました。
③純資産の部
純資産合計は前連結会計年度末に比べ、2億6千6百万円増加し104億2千5百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が1億4千9百万円、利益剰余金が7千3百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、17億9千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億2千4百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の減少は、5億7千4百万円(前中間連結会計期間は8億9千1百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の減少7億1千9百万円、税金等調整前中間純利益2億1千3百万円などの収入に対し、仕入債務の減少13億4千6百万円、棚卸資産の増加1億1千7百万円などの支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は、9百万円(前中間連結会計期間は2百万円の減少)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による1千1百万円の収入に対し、投資有価証券の取得による1千5百万円、有形固定資産の取得による5百万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は、7千2百万円(前中間連結会計期間は8千5百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額5千9百万円、長期借入金の返済による1千万円などの支出によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は「会社の支配に関する基本方針」を定めており、その内容は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場合、その判断は最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。従って、当社株式の大規模買付行為や買収提案がなされた場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大規模買付行為のなかには、その目的、態様等からみて企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくなく、当社の企業価値及び株主共同の利益に重大な影響を及ぼす可能性を内包しております。また、株式の大規模買付行為のなかには、当該買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ、その結果として当社株主全体の利益を著しく損なうものもないとはいえません。
当社は、当社の経営にあたって、目先の利益追求ではなく、技術指向型の営業活動を通じて、様々な顧客のニーズを地道に汲み取り、これに応じた商品提供の実績を積み重ねるという、中長期的に企業価値向上に取り組む経営が、株主の皆様全体の利益、同時に当社のお取引先等の皆様の利益に繫がるものと考えております。
従って、当社取締役会は、当社の企業価値及び株主共同の利益を最大化していくためには、中長期的な観点から、このような当社の企業価値を生み出す源泉を育て、強化していくことが最も重要であって、当社の財務及び事業の方針は、このような認識を基礎として決定される必要があると考えます。当社株式の買付を行う者がこれら当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
②基本方針の実現に資する取り組み
a.当社の企業価値の源泉
当社は、1946年7月の創業以来、染料、工業薬品等の化学品商社として、業界において確たる地位を築いております。当社は、設立当初から、社内に「試験室」を設置するなど技術指向型の営業活動を展開しており、メーカーに対する顧客ニーズと技術情報の的確な提供、新商品の開発に関するメーカーとの協業、得意先に対する専門的な商品情報や商品特性のスピーディーな提供、技術サービスの実施など、単なる流通事業の一翼を担う業態とは異なる営業活動を行っております。事業範囲は、土木・建材資材関連分野、情報・輸送機器関連分野、日用品関連分野、化学工業関連分野などをターゲットとし、顧客中心の営業活動を通して、顧客とともに発展を遂げ、環境保全が人類共通の課題であることを認識し、市場における信用を培いつつ社会に貢献することを経営の基本方針としております。
このように、当社は、技術指向型の営業活動を通じて、様々な顧客のニーズを汲み取り、メーカーとの協業等を通じて顧客のニーズに応じた商品を提供していく実績の積み重ねが、当社を新たなるステップへ導き、更なる成長・飛躍を可能にするものと考えており、このようなビジネスモデルの維持・発展こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
b.当社の企業価値向上への取り組み
当社は、多様化する顧客ニーズに迅速に対応し、タイムリーで的確な商品・サービスの提供を図るため、中長期的に以下の5つの施策に取り組んでおり、これらを柱に企業競争力の強化、企業価値の向上に努めております。
(ⅰ)収益の向上
当社は創業以来、一貫して技術コンサルタントを主体とした技術指向型営業を行い、商社でありながらファブレスによるものづくりを行うなど、より付加価値の高い商品提供を目指しております。具体的には長年蓄積した技術・ノウハウを駆使したファインケミカル(精密化学品)商品への指向を図るなか、化学系商材に限らない幅広い取扱品目を展開し、併せて東南アジアへの営業基盤の拡大・整備等に積極的に取り組んでおります。また、建装材事業にメーカー機能を取り込み、その強化を図るため、2015年12月に家具及び木工製品の製造販売を主たる事業とするキョーワ株式会社を完全子会社とし、事業基盤の拡充とグループ収益の改善に持続的に取り組んでおります。
(ⅱ)海外の市場拡大
近年、国内経済がシュリンクするなか、営業の軸足について東南アジアを中心とした海外に移し、海外のお客様に対する販売だけでなく輸入品の取り扱いにも力を入れて取り組んでおります。これまで当社は1995年に東洋紡績株式会社(現 東洋紡株式会社)との合弁で香港に三東洋行有限公司を、2002年にはSANKYO KASEI SINGAPORE PTE.LTD.を、2007年には中国上海市に産京貿易(上海)有限公司を、2010年にはタイ王国バンコク都にSANKYO KASEI (THAILAND) CO.,LTD.をいずれも独資で設立、2023年1月にはベトナム社会主義共和国Ho Chi Minh市にSANKYO KASEI VIETNAM CO.,LTD.を設立いたしました。これらの海外5拠点と国内6拠点のグループ力を集結し、お客様に喜ばれるソリューション営業を展開しております。
(ⅲ)サステナビリティへの取組みと高品質体制の確立
すべての事業目的の遂行に当たっては、環境保全、省資源、健康・労働環境への配慮と公正・適切な処遇、公正な取引、自然災害等への危機管理など、社会貢献と地球環境のサステナビリティ向上に努めております。また、先端技術分野、社会貢献ならびに地球環境に資する分野をターゲットとすることで、高付加価値経営の基盤づくりを目指しています。
(ⅳ)人的資本や知的財産への投資等
当社は、役職員の心身の健康に資するよう労働衛生管理の改善に努めるとともに、人材育成方針に基づき、職務遂行能力を高めるための技能・技術・知識習得と階層別の期待役割、発揮能力及び態度を習得する機会を提供・支援し、専門性の高い人材集団となることを目指しております。また、取引先との連携を通じて、必要に応じて知的財産への投資機会にも積極的に取り組みます。
(ⅴ)事業継続計画への取組み
予想される広域災害及び重大な局所災害の発生後、人命を尊重し、会社がいち早く事業を再開し、災害に起因する従業者の経済的不安の解消や、生活行動の早期正常化を目指すとともに、非常時において当社グループのレジリエンスを発揮し、できる限りの社会貢献を行うことを目的として「事業継続計画(BCP)」を策定しております。この計画により、お客様への商品・製品の納入を早期に確保し、お客様所有資産(情報及び知的財産を含む。)の流出防止・保全対策に貢献するとともに、当社グループの知的財産やノウハウ流出の保護を行い、お客様のみならず利害関係者に安心を提供し、信頼と満足を得る企業となることを目指しております。
c.株主への還元について
当社は、株主の皆様への利益還元を第一として、安定的な配当の維持を基本としつつ、企業体質・財務体質の強化ならびに業容拡大に備えるため、内部留保の充実などを総合的に勘案して、配当を決定する方針としております。
③不適切な支配の防止のための取り組み
当社は、企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある大規模買付行為を未然に防止するため、2023年5月10日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」を決議し、そのうえで2023年6月28日開催の第97期定時株主総会において議案としてお諮りし、株主の皆様のご承認をいただきました。
なお、詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しております。
(アドレスhttps://www.sankyokasei-corp.co.jp/)
④上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、これらの取り組みが、当社の支配の基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益を損なうものではないと考えております。
また、上記③の「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」においては、大規模買付行為があった際には、当社取締役会は独立委員会の開催を要請し、買収提案内容及び対抗措置について、同委員会による評価・勧告に原則として従うものとしていること、また対抗措置はあらかじめ定められた合理的な客観的要件に該当する場合にのみ発動されるものであることから、当社取締役会の恣意的判断を排除し、大規模買付ルールの遵守や対抗措置発動の是非に関する判断の公正性・透明性の確保を図っており、取締役の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。