当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は1948年の創業以来「消費者第一主義」を掲げ、70年を超える歴史の中で着々と業容を拡大し、ニーズの変化に対応しながら、経験とノウハウを積み重ねてまいりました。
そして2022年10月、当社は社名を「株式会社デンキョーグループホールディングス」に改め、持株会社として新たにスタートいたしました。
当社グループは生活関連商品を中心とする事業を展開し、家電や日用品等の企画製造及びメーカーより仕入した商品の販売など、生活に関わるサービスや商品をトータル的に取り扱うことで、消費者の皆様が安心で快適な暮らしができるお手伝いをさせていただくことをグループ全社で目指し、日々活動してまいります。
また、安定した財務基盤を武器にM&Aを更に推し進め、新規事業分野の取込や創出を実践するとともに、グループ会社間のシナジー効果を最大限に高め、今まで以上に消費者の皆様の生活が豊かになれますことを念頭に提案を続けてまいります。
今後とも、すべてのステークホルダーの皆様と共に確実な発展を目指し、時代の変化に迅速に対応出来る「快適生活創造企業グループ」として、皆様の信頼に全社員一丸となって応えてまいります。
当社グループは、経営における基本的な価値観・行動基準として、以下のように経営理念を掲げております。また、この経営理念の実現にむけて取り組むべき基本方針として、2024年度経営方針並びに2024年度経営スローガンを定めております。
(当社グループ経営理念(3つの願い))
① 私たちは、社会と共に成長する、誠実な企業グループでありたいと願います。
② 私たちは、誠実なサービスや商品の提供を通じ、人々に潤いや喜びを感じていただくことを願います。
③ 私たちは、すべてのステークホルダーに誠実でありたいと願います。
(当社グループ経営方針)
① グループの経営効率と収益力の向上を図り、持続的成長を目指す。
② グループ各社間の連携強化と情報共有化を推し進め、シナジーの最大化と競争力の一層の向上を図る。
③ 業務効率の更なる改善と働き方改革を推し進め、社会に貢献する快適生活創造企業を目指す。
(当社グループ経営スローガン)
取り巻く環境変化へのスピード感のある行動力と稼ぐ力を身につけよう。
(2)経営戦略等
当社グループは、2024年3月に新たな中期経営計画を策定いたしました。
計画期間は2024年度(2025年3月期)から2026年度(2027年3月期)までの3ヶ年とし計画の推進を図ってまいります。
同計画においては、「『売上高1,000億円企業』の実現に向けた企業価値の向上」を基本方針に、「成長事業戦略の再構築・推進強化」「経営基盤・事業基盤の強化・拡充」「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略として課題解決に取り組んでまいります。
同計画期間の1年目となる2025年3月期においても、同計画の基本方針、基本戦略に基づき、当社グループの中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、健全な経営と株主価値向上のため、中期目標として、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の最終年度において、経常利益率3.6%を目指し、長期目標(2031年3月期)としては、経常利益率5.0%を掲げております。
(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化し、その変化のスピードも益々加速する中、当社グループが業界で生き残り、更に成長していくためには、今まで以上に変化へのスピード感ある対応力と行動力が必要になってまいります。
グローバルな地政学リスクの顕在化、欧米主要国での引き締め的な金融政策の継続、中国経済の減速等、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が継続するものと思われます。
国内においても、長引く円安、原材料費やエネルギー価格の上昇などが消費者物価の更なる押し上げ要因となり、消費者の購買動向や国内景気に及ぼす影響等が懸念されます。
このような状況の下、当社グループは2024年3月に新たな中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定致しました。同計画においては「『売上1,000億円企業』の実現に向けた企業価値の向上」を基本方針とし、「成長事業戦略の再構築・推進強化」「経営基盤・事業基盤の強化・拡充」「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略に、更なる企業価値向上に取り組んでまいります。
2025年3月期の基本戦略及び施策は次のとおりであります。
① 新たな成長事業戦略に基づく施策展開の強化
・ベースの営業力強化
・戦略マーケットへの取組強化~通販事業、EC事業
・メーカー機能の強化~商品開発戦略・計画の策定、新規メーカー発掘機能強化等
・新規事業への取組強化
・コスト削減・業務効率化~ChatGPT活用、CMS導入等
② 業績拡大を下支えする経営基盤・事業基盤の強化・拡充
・情報システム、業務プロセスの刷新
・物流改革への取組
・ブランディングへの取組
・SDGsへの取組
③ 職場環境の改善・働き方改革・人材育成
・働き方改革への取組継続~AI活用による労働生産性向上の成果の展開等
・人材育成
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループを取り巻く経営環境は、益々厳しさを増し変化のスピードも加速する中、当社グループが生き残り更なる成長を実現していくには、激変する環境を理解し、環境変化に対しスピード感のある対応を行っていくことが課題となってまいりました。
少子高齢化、人口減少、若年層の労働人口の減少が続く国内市場においては、当社グループの主たる事業である生活家電販売事業、日用品販売事業についても、今後業界内で合従連衡、淘汰が一層加速するものと思われ、激変する環境と変化の流れを適確に捉え、経営戦略と営業施策を講じることが重要になっております。
中期経営計画の基本方針に則り、成長事業戦略の着実な実行による事業拡大と収益改善、将来に向けた成長を加速させるための経営基盤・事業基盤の強化・拡充、持続的成長に不可欠な人材育成と働き方改革の推進を行いながら、株主価値の最大化を図ることも大きな課題と認識しております。
当社グループの長期ビジョンの実現に向け、経営スローガン「取り巻く環境変化へのスピード感のある行動力と稼ぐ力を身につけよう。」をモットーに具体的な施策を講じてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは2022年3月にデンキョーグループサステナビリティ基本方針を策定・公表し、SDGsへの取組みを出発点として、『経済発展による暮らしの向上』『地球環境や世界経済の仕組みの維持』を両立させるサステナビリティを目指して、具体的な取組みを進めております。
(グループサステナビリティ基本方針)
私たちデンキョーグループは、「持続可能な社会の実現」と「持続的なグループの成長」の両立を目指し、
① 社会問題や環境問題に対して誠実に向き合い、
② より豊かな社会の実現に向けて、魅力ある商品やサービスを提供し、
③ 従業員ひとり一人の成長と活躍のために働きやすい職場づくりを進め、
④ 誠実な企業経営を通じて、全てのステークホルダーと強い信頼関係を築きます。
取組みに際しては、当社経営企画室が推進部署となり、当面の目標の設定、具体的な取組内容の検討を行い、経営会議、取締役会へ報告、指示を受けた上で、グループ一体となってサステナビリティ施策への取組・推進を行っております。
また、毎年1回、経営企画室にて施策の実施状況や目標の達成状況について評価を行い、取締役会へ報告を行います。取締役会にて報告内容を審議、サステナビリティに関するリスクや課題をモニタリングし、監督・指示を受ける体制となっております。
(2)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
当社グループは中期経営計画の中で「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略の一つとして掲げ、持続的成長に不可欠な人材確保・育成と働き甲斐のある職場づくりを目指して、価値創出に必要な人材の確保・エンゲージメント向上を創造的に行う人事戦略を実行しております。
① 専門人材の確保~M&A、IT人材等
② 能力開発~資格取得制度の導入、eラーニングの活用等
③ 経営戦略に沿った人材配置
④ 労働生産性の向上~DX推進、DX活用のスキルアップ
⑤ 健康維持
⑥ 多様性の向上~女性活躍推進に注力
また、当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標( |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。
① 経済動向による影響について
当社グループは、電気機器、音響通信機器、健康美容器具、家庭用品などの生活関連商品を卸販売しており、グループの売上高は、国内の景気動向と個人消費に連関しております。従いまして、今後の国内経済及び個人消費の動向において、計画・予算編成時の想定を超える不確定要素が顕在化した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
これに対し当社グループは、平時より景気動向等の経済状況を常に注視し、消費動向の変化に適応する商品の取り扱いなど、迅速に対応できる部門の強化を行っております。
② 業界動向及び競合等による影響について
当社グループの主要販売先である専門量販店等におきましては、業種業態を超えた価格競争がますます激化し、依然として合従連衡、寡占化が進んでおります。今後のこうした動向によって当社グループの経営方針・経営戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、適切な売価設定が行えるようマネジメントを行い、主要販売先の動向を常に注視し、状況に応じた対応を取れるよう対策を行っております。
③ 為替変動リスクについて
当社グループが取扱う商品の多くは海外で生産しており、為替相場の変動によっては仕入商品の価格に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、一部において為替予約による為替変動リスクの軽減、外貨建預金(米ドル)を保有することによる為替変動リスクの緩和など、為替相場の短期的な変動の影響を最小限に抑えるための対策を行っております。
④ 上位販売先への依存について
当社グループの売上高は、上位数十社の販売先に大きく依存しております。これら上位販売先とは現在良好な関係を維持しておりますが、何らかの事情によりこれら販売先との取引が大きく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、新規販売先の開拓にも注力しリスク分散を図ってまいります。
⑤ 仕入先・メーカーとの連携について
当社グループの主要販売先の多くはオンラインによる受発注はもとより、コンピューターによる高度な商品管理を行っております。これらに対応するためには、当社グループと仕入先・メーカーとの連携が必要不可欠であります。こうした中、仕入先・メーカーに生産トラブル等が発生した場合、それが当社グループの業績に影響を及ぼす恐れがあります。
これに対し当社グループは、仕入先・メーカーの動向を常に注視する部門の強化を図り、状況に応じた対応を取れるよう対策を行っております。
⑥ 事業戦略について
当社グループの事業戦略を遂行する中で、新しい分野の商品を取り扱った場合、故障等の不具合、多額な販促費用、売れ残りによる返品リスク等が全く生じない保証はありません。万一、これらの問題が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
これに対し当社グループは、新商品の需要予測の精度を高めるなど、リスク軽減を図るための対策を行っております。
⑦ オリジナル商品や新商品の開発について
当社グループのオリジナル商品や当社グループが企画した新商品が、必ずしも消費者の支持を得るとは限りません。当社グループが消費者にとって魅力ある商品を開発できなかった場合、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ、投下資金の負担も含めて、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、マーケティング部門を強化し、消費者ニーズを商品化に生かせる体制を構築しております。
⑧ 過剰在庫について
当社グループのオリジナル商品は一定の在庫リスクを抱えており、市場での販売状況等によっては過剰在庫となり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、在庫状況をモニタリングする体制を強化し、在庫が適正となるよう対策を行っております。
⑨ 海外生産について
当社グループのオリジナル商品や多くの仕入先・メーカーにおいては、中国での海外生産の比重が高くなっております。こうした中、その国情の変化及び社会的事件の発生等が生産の支障となる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、中国以外の海外メーカーとの取引開拓を検討しております。
⑩ 製造物責任について
当社グループのオリジナル商品は仕入先・メーカーや委託生産工場の厳格な品質管理のもと製造しておりますが、大規模な商品の欠陥やリコールが発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、品質管理部門のグループ一元化等により、体制強化を図っております。
また、商品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすため、製造物責任賠償保険に加入するとともに、問題発生時に迅速な対応ができるよう体制を整備しております。
⑪ 投資有価証券の減損処理について
投資有価証券の減損処理については、当社グループでは「時価が著しく下落した」と判断するための合理的な社内基準に基づいて行っております。株式市況の動向、また保有する個別銘柄の業績の動向によって減損処理を余儀なくされる銘柄が出てくる可能性があります。
これに対し当社グループは、政策投資先について総合的な判断のもと適正な見直しを行っております。
⑫ システムトラブルについて
当社グループのコンピューターシステムは、社内及び外部のデータセンターに設置されたサーバーと、各事業所の端末機を通信会社専用ネットワーク網、又はインターネット網で接続する集中型となっております。万一、ネットワークに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、データセンターにおけるサーバーのバックアップ体制を敷くなど、影響を最小限に留める体制を整備しております。
⑬ 情報の管理について
当社グループにおける取引先等の個人情報や機密情報の情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、販売先等に対する賠償責任が発生する恐れがあります。
これに対し当社グループは、社内規程の制定、従業員への教育、システムによるセキュリティ等の対策を行っております。
⑭ 人材確保及び育成について
当社グループの持続的発展、事業拡大のためには優秀な人材の採用及び育成が重要であると考えております。優秀な人材を確保又は育成ができなかった場合、当社グループの事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。
これに対し当社グループは、採用活動の更なる強化、社員教育の拡充を行うとともに、働き方改革により職場環境の充実を図ってまいります。
⑮ 自然災害、感染症の発生によるリスクについて
当社グループの営業拠点、物流施設及び情報管理関連施設等において地震、台風等の大規模災害が発生した場合には、甚大な被害を受ける恐れがあり、その規模によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の発生や蔓延は、行動の制限や消費マインド減退に伴う売上の低下が予想され、当社グループの経営方針・経営戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、事業継続計画(BCP)を作成し、災害等が発生した場合でも、重要な事業を継続、事業中断の際の早期復旧ができるよう対策を行っております。
また、新型コロナウイルス感染症の社員、取引先への感染リスクを軽減するため、テレワーク、時差出勤、車通勤、手洗いの励行、マスクの着用、身体的距離の確保など様々な対策を講じております。
⑯ M&A・業務提携におけるリスクについて
当社グループは、競争が激化する流通業界において、企業価値を向上させるために必要な要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の獲得が見込まれる場合は、 必要に応じてM&A・業務提携を実施しております。
しかし、買収・提携後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収・提携した事業が計画通りに展開できず、投下した資金が回収できない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。
これに対し当社グループは、個々のM&A・業務提携案件について、当社グループの目指すべき姿や成長戦略を整合しているか、また実現可能な事業計画であるか等を取締役会において検証し決定しております。
また、買収・提携後、事業統合を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、買収・提携後統合において実施すべき事項とその達成時期等を定めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」へ移行されたことにより行動制限の緩和が進み、社会・経済活動は一層の正常化に向かい、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復等により緩やかな回復傾向が見られた一方で、緊迫した世界情勢に加え、原材料費やエネルギー価格の上昇、円安に伴う物価上昇、人手不足による事業活動への影響懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
こうした中で、当社グループの主要販売先である専門量販店等におきましては、人手不足に起因する人件費の上昇や、物流2024年問題等に起因した物流コストの上昇、また業種業態を超えた価格競争が益々激化する中で合従連衡が進むなど、引き続き厳しい環境となっております。
こうした状況の下、当社グループは2023年4月、マクセル㈱(以下、マクセル)が営むマクセル(Maxell)ブランド及びイズミ(IZUMI)ブランドの日本国内向けコンシューマ―製品の販売事業について、㈱電響社を販売総代理店として移管することをはじめとした業務提携を締結し、メーカー機能の強化と生活家電販売事業の更なる成長を加速するための基盤強化を図ってまいりました。
更に、当社グループは、消費者ニーズや環境の変化に対応する商品の発掘、グループ合同商談会の開催などを通じた取引先への企画提案、取引先の店舗メンテナンスをサポートする機能強化等、積極的な営業施策を推進してまいりました。
また、2023年8月にはDG本社ビルが竣工し、持株会社及び子会社5社が同ビルに集結することにより、グループ全体の持続的成長や企業価値向上を目指すための経営基盤体制を整えました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は546億3百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
利益面におきましては、高粗利商品の販売低迷や急激な円安進行による仕入価格の高騰に加え、価格競争への対応と消費者需要の喚起を目的として一時的な販売推進を行ったこと等により、経常損失1億2百万円(前年同期は2億7千6百万円の経常利益)となりました。
また、投資有価証券売却益5億3千1百万円を特別利益に計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益が4億3百万円(前年同期比2.8%増)となった一方で、税効果会計の適用において将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を一部取崩したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は8千4百万円(前年同期比29.8%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、不動産賃貸事業に係る表示方法を変更いたしました。
当社及び一部の連結子会社において、従来、「投資不動産賃貸料」及び「不動産賃貸原価」については、「営業外収益」及び「営業外費用」に計上しておりましたが、当連結会計年度より「売上高」及び「売上原価」に計上する方法に変更し、新たに不動産賃貸事業をセグメントに加えております。
これにより、当連結会計年度の売上高は、従来に比べ3億6千8百万円増加、売上原価1億8百万円増加、売上総利益及び営業利益は2億6千万円、それぞれ増加しておりますが、経常損失及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績を示すと次のとおりであります。
生活家電販売事業におきましては、消費者が求めている商品や生活様式の変化に対応する商品の発掘やECサイトへの販売強化、並びにマクセルとの業務提携の効果により、売上高は430億7千4百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
一方で、利益面におきましては、高粗利商品の販売低迷や急激な円安進行による仕入価格の高騰に加え、価格競争への対応と消費者需要の喚起を目的として一時的な販売推進を行ったこと等により、5億9千2百万円のセグメント損失(前年同期は5千8百万円のセグメント損失)となりました。
日用品販売事業におきましては、収益改善のため販売先の見直しを図ったことなどにより、売上高は93億6千5百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
一方で、利益面におきましては、円安進行に伴う輸入商品の仕入価格の販売先への価格転嫁を進めたことなどによる売上総利益率の改善と販売費及び一般管理費の削減などにより、9千2百万円のセグメント利益(前年同期は1億4千7百万円のセグメント損失)となりました。
不動産賃貸事業におきましては、売上高は3億6千8百万円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益は2億5千7百万円(前年同期比6.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、セグメントの事業内容をより分かり易くするため、事業のセグメントの名称について、従来、「電気商品卸販売事業」としていたものを「生活家電販売事業」に、「家庭用品卸販売事業」としていたものを「日用品販売事業」に名称変更しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比2億2千9百万円増加し当連結会計年度末には80億1千2百万円となりました。
また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、24億1千3百万円のマイナス(前連結会計年度は4億9千7百万円のマイナス)となりました。
営業活動に使用した資金は7千1百万円(前連結会計年度は6億4千7百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が4億3百万円(前連結会計年度比1千万円増)による資金の増加があった一方で、売上債権の増加8億4千7百万円、棚卸資産の増加6億2千2百万円、仕入債務の減少1億9千1百万円、法人税等の支払3億2千7百万円などにより、資金の減少があったことによるものであります。
投資活動に使用した資金は3億4千5百万円(前連結会計年度は9億6千8百万円の使用)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入8億8百万円により資金が増加した一方で、有形固定資産の取得による支出10億2千3百万円、無形固定資産の取得による支出9千4百万円、投資有価証券の取得による支出3千7百万円があったことなどにより、資金が減少したことによるものであります。
財務活動により得られた資金は6億3千8百万円(前連結会計年度は12億4千万円の獲得)となりました。
これは、長期借入れによる収入16億5千万円があった一方で、短期借入金の純減額5億5千万円、長期借入金の返済による支出1億7百万円、配当金の支払2億7千3百万円等により資金が減少したことによるものであります。
(注) フリー・キャッシュ・フローは以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=当期純利益+減価償却費-設備投資額-運転資本増加額
なお、運転資本は、売掛金+受取手形+電子記録債権+棚卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
生活家電販売事業(百万円) |
43,074 |
107.4 |
|
日用品販売事業(百万円) |
9,365 |
91.7 |
|
不動産賃貸事業(百万円) |
368 |
101.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
52,809 |
104.2 |
|
その他(百万円) |
1,794 |
85.0 |
|
合計(百万円) |
54,603 |
103.4 |
(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
|
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社エディオン |
11,048 |
20.9 |
11,111 |
20.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の状況に関する認識及び分析等)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末比18億8百万円増加し、397億1百万円となりました。
これは主に、現金及び預金で2億2千9百万円、売掛金で8億7千万円、商品及び製品で6億1千3百万円増加した一方で、DG本社ビル竣工に伴い建設仮勘定で11億8千2百万円減少、また建設仮勘定から建物への振替を含め建物で17億4千3百万円増加、投資有価証券で6億1千万円増加したことなどによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末比14億6千1百万円増加し、130億8百万円となりました。
これは主に、支払手形及び買掛金で1億9千1百万円、短期借入金で5億5千万円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金で1億7千6百万円増加、未払法人税等で9千7百万円増加したこと、長期借入金で13億6千5百万円増加したことなどによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末比3億4千7百万円増加し、266億9千3百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上8千4百万円、その他有価証券評価差額金が5億9千2百万円増加した一方で、配当金の支払2億7千3百万円があったことなどによるものであります。
なお、当連結会計年度より、不動産賃貸業に係る表示方法を変更いたしました。
従来、「投資その他の資産」の「賃貸固定資産」に計上していた44億8百万円を、「有形固定資産」の「建物」に7億4千7百万円、「土地」に36億5千9百万円、「その他」に1百万円、組替え表示しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。
(経営成績の状況に関する認識及び分析等)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への分類移行により社会経済活動の正常化が進む一方、資源・エネルギー価格の上昇や長引く円安の影響などもあり、景気回復が足踏み状態にあります。
当社グループの主要販売先である専門量販店等においては、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復による消費拡大への期待は高まったものの、物価高による節約志向の高まりが業績改善に影響を与えることとなりました。
一方で、経済活動の正常化とともに、生産性向上を伴う賃金上昇の動きもみられる状況となり、本格的な個人消費の拡大が期待されるような状況になってまいりました。
こうした状況の下、当社グループにおきましては、消費者が求めている商品や生活様式の変化に対応する商品の発掘、オリジナル商品の開発強化を進めるなど、市場の変化を迅速に捉え、スピード感を持った対応を行ってまいりました。また、グループ合同商談会を開催し取引先への企画提案をさらに強化するなど、積極的な営業施策を推進してまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は546億3百万円となりました。
一方、利益面におきましては、営業損失2億7千万円、経常損失1億2百万円となりました。
これにつきましては、高粗利商品の販売低迷や急激な円安進行による仕入価格の高騰に加え、価格競争への対応と消費者需要の喚起を目的として一時的な販売推進を行ったこと等によるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益5億3千1百万円を特別利益に計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益が4億3百万円となった一方で、税効果会計の適用において将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を一部取崩したこと等により、8千4百万円となりました。
(今後の検討事項等)
当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化し、その変化のスピードも益々加速する中、当社グループが業界で生き残り、更に成長していくためには、今まで以上の変化へのスピード感ある対応力と行動力が求められると認識しております。
今後の環境変化に迅速に対応し、グループ一体となってシナジーを発揮しつつ、競争力を高めていくため、2023年8月に竣工したDG本社ビルに持株会社及び子会社5社が集結いたしました。これにより、グループ全体の持続的成長や企業価値向上を目指すための経営基盤体制が整いましたので、従来以上にグループの連携を強め、新たに策定した中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の実現に向けた施策を実行してまいります。
具体的には、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「(5)経営者の問題認識と今後の方針について」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
当社グループの資金需要は、経常運転資金や投資を目的とした資金需要となります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、又は金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入れを基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は80億1千2百万円であり、有利子負債の残高は50億9千2百万円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社経営者は、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。また、繰延税金資産の回収可能性の判断、のれんの評価、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続的に評価を行っております。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、繰延税金資産の回収可能性及びのれんの評価であり、繰延税金資産の回収可能性については、過去の実績や現在の状況を踏まえた将来の事業計画等に基づいて見積っており、また、のれんの評価については、将来の超過収益力として当該株式取得時の取得価額と純資産の差額から算出しております。
当社経営者は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りと判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数値についての判断の基礎となります。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、将来事業計画等の見込数値に関しましては、期末時点で入手可能な情報をもとに検証を行っております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
該当事項はありません。