第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

(1)経営方針

当社グループは、「高い企業倫理観のもとで、真に社会に貢献できる企業となることを目指す」とする当社グループの経営理念に沿って、長年培ってきた独自のコア技術を更に強化するとともに、これら技術を総合的に活用して独自の事業領域を構築し、顧客に存在価値を認められる開発型企業としての位置づけを更に高めてまいります。

また、グローバルに通用する企業品質を心がけ、将来に向けた成長分野と市場で重点的な事業展開を行うとともに、未来を切り拓く次世代技術にも積極的にチャレンジしてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループが長年関わってきた電子回路基板や自動車電装部品、更にはデジタル光学機器部品などを中心とするエレクトロニクス関連分野は、当社グループ独自のコア技術が特に活用でき、今後も成長が見込まれる重要分野と位置づけており、市場の拡大が期待できる海外新興市場や堅調な成長が続く北米市場などでの事業活動を積極的に推進するとともに、事業領域を拡げる新たな市場の開発や技術開発にも果敢にチャレンジして、共同開発やOEM製品の提供、更には受託製造といった「テクノロジーパートナー」としての存在価値を高め、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、継続的な企業価値の増大を最も重要な経営課題として認識し、売上高営業利益率や総資産経常利益率といった事業や資本の効率性の指標を重視しながら、営業利益等の各利益金額の増加及びキャッシュ・フローの創出等を重要な経営指標として掲げております。

 

高付加価値製品の拡販や新製品の開発などを進展させつつ、グローバル展開を更に強化し、海外地域における事業活動を活発化させることで、今後とも経営指標の向上に向けて諸施策を実施して、業績の拡大及び企業価値の増大を図ってまいります。

 

(重視する経営指標等)

 

達成目標

実績

第72期

(当連結会計年度)

第71期

(前連結会計年度)

売上高営業利益率

4.0%

3.9%

4.6%

総資産経常利益率(ROA)

5.0%

4.6%

5.1%

自己資本比率

60.0%

60.8%

59.3%

海外地域売上比率

20.0%

21.6%

18.3%

当連結会計年度の期首より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を適用しており、第71期は、遡及修正後の数値となっております。

 

(4)経営環境

政府の継続した経済対策や日銀の金融緩和政策のもと、上半期では、比較的堅調な海外経済にも支えられて企業業績や雇用・所得環境の改善が続き、わが国経済は緩やかな回復基調を維持しました。

しかしながら、下半期に至り、とりわけ米中貿易摩擦を中心とした米中間の対立や英国のEU離脱の問題、更には、中東・東アジアで継続する地政学リスクなどによって、世界経済の減速が鮮明となり、こうした状況から、わが国経済も下方局面への転換が徐々に進行して、先行き予断を許さない厳しい状況となっております。

当社グループは、人々の暮らしに直結した幅広い業界に関わっておりますが、なかでも、スマートフォンやデジタルカメラといった情報端末機器で代表されるエレクトロニクス関係業界や、IT化・自動化が一段と進展する自動車関係業界、更には、製紙や食品といった業界などに深く関わってまいりました。そうした業界では、経済のグローバル化やわが国の少子高齢化を背景として国内需要の縮小が進行し、そのため、事業の軸足を海外市場へと移行させております。これに加えて、とりわけエレクトロニクスや自動車の業界では、人々の価値観の多様化の進展に伴い関連する製商品やサービスに対する要求が複雑・高度化し、かつ、その変化のスピードが一段と速まっており、その結果として、競合各社間の競争が益々激しさを増す厳しい経営環境となっております。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、業績の持続的な向上と社会への更なる貢献を目指して、社会が求める課題の解決や新たな価値の創造に取り組み、長年培ってきた経営資源をベースにして、事業の重点化と他社との差別化を重視した事業運営を積極的に推進してまいりました。

今後は引き続き、当社グループの経営方針に沿って、当社グループ独自の技術や情報を総合的に活用し、国内市場はもとより、グローバルな成長市場で積極的な事業展開を推進してまいります。とりわけ次に記載する事項は、当社グループが次のステージへと飛躍するために取り組むべき重要な課題と認識し、スピーディーな経営判断と各施策の着実な実施を通して成果を積み重ねながら、企業価値の向上に努めてまいります。

 

① 当社グループの経営資源を生かした新規事業領域の育成

当社グループの収益を高め、持続的な成長を果たしていくためには、当社グループの強みを生かした既存事業の強化は勿論のこと、特長ある新たな事業領域の開拓が不可欠です。

当社グループの中核事業である高機能材料事業では、例えば、長年深く関わってきた電子部品や自動車電装部品などの業界に加え、これまで培ってきた独自の技術や情報を活用して、新たに建築構造部材の領域にもビジネスをスタートさせました。また、環境材料事業の水処理分野では、従来からの製紙業界に加え、新たな素材も導入しながら電子部品やその他の業界にも独自のチャレンジを進めております。

こうした新たな事業領域を切り開くための開発の芽を今後も積極的に育てながら、かかる芽を事業の1つの柱となるまで大きく成長させていくことが急務であります。

そのためには、次代を担うグローバルな人材を積極的に登用・育成し、社会が直面する様々な課題の解決能力を強化しながら、一方では、社内の経営資源のみに頼ることなく、他企業との連携や産学連携、更にはM&Aといった様々な選択肢も視野に入れながら、引き続き積極的なチャレンジを続けてまいります。

 

② 経済のグローバル化に対応した独自の情報・生産・物流網の強化

経済のグローバル化とともに、当社グループの主要な取引先も生産拠点を海外の成長市場へと積極的に移転を進め、これに呼応して当社グループも、取引先からの様々な要望に適切に応えていくため、グローバルなサプライチェーンの構築に鋭意努めてまいりました。

その結果として、当社グループの当連結会計年度の海外地域売上高は、連結売上高の21.6を占めるまでに成長し、海外市場の重要性が一段と高まっております。当社グループが得意とする自動車電装部品の業界や様々な電子部品の業界は、まさしく世界規模でのビジネス活動を展開しており、かかる業界の需要をよりグローバル視点で的確に捉え対応していくため、当社グループは2018年12月にはオランダに、また2019年2月にはベトナムにも新たな拠点を構築し、当社グループの発展に生かすべく活動を始めました。

今後は、当社グループが持つこうしたグローバル拠点を通して、海外市場の様々な情報をスピーディーかつ的確に把握し、各市場の潜在的なニーズも掘り起こしながら、顧客の課題解決に応える特長ある斬新な生産・物流網を再構築して、引き続きその機能強化に努めてまいります。

 

③ 当社グループの競争力を高め社会への貢献に資するガバナンス体制の強化

政府の成長戦略の一環として策定されたコーポレートガバナンス・コードが、2015年6月から上場企業に適用され、2018年6月にはその一部改訂も行われて、企業のガバナンスの重要性が益々社会に認識されるようになっております。しかしながら、企業の不祥事は様々な形で継続し後を絶つことがありません。企業の存立は様々なステークホルダーとの信頼の上に成り立っており、かかる認識に立脚した企業経営が益々求められております。

わが国企業の最近の不祥事発生事例では、とりわけ大企業における様々な不祥事の発生が注目を浴びており、発生の場は国内に留まらず、経営の目が届きにくい海外の子会社にも広く及んでおります。

こうした状況に鑑み、グローバルに事業を拡大している当社グループとしましては、引き続きグローバル視点でガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

当社グループが長年培ってきた良き経営理念を大切にし、役員自ら率先垂範してその経営理念を生かした行動を実践し、当社グループのあるべき姿と価値観を全社員が共有して事業活動ができるよう、経営者自ら様々なコミュニケーションに努めております。

当社グループは、引き続き社外取締役や社外監査役といった独立性の高い社外役員などによる経営監視のもとで、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を生かした経営に努め、当社グループの持続的発展と企業価値の向上に資するガバナンス体制となるよう、今後も継続した改善に取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあり、これらのリスクは投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。それ故当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に鋭意努めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

(1)全般的事項

当社グループは、コーティング製品・高機能樹脂製品・ファインケミカルズ等の製造販売及び電子材料・機能性樹脂・製紙用化学品・食品素材等の仕入販売に係る業務を行っております。

製造販売については、競合他社との品質や価格の競争激化に加え、国際的な原油価格の市況や為替レートの変動等により当社グループの原材料の購入価格が上昇した場合、技術開発部門が研究開発の成果として販売先の要求や市場動向に合わせてタイムリーに新製品を投入できない場合、製品に欠陥が生じた場合等には、販売数量の減少、販売価格の下落及び製造原価の上昇により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

仕入販売については、販売先の業界及び最終製品を製造する業界全体の動向に加えて、当社グループの仕入先の生産供給体制により販売数量及び価格が変動する可能性があります。また、競合他社が同種品を廉価で販売したり、高機能・高付加価値の新商品を市場に新規投入する等によって価格競争が激化した場合、仕入先と販売先が直取引を行った場合等には、販売数量の減少及び販売価格の下落により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

上記以外に、国内の景気変動だけでなく海外における景気変動や政治情勢の変化、通貨価値の変動、社会的混乱、自然災害や火災等の災害、環境・リサイクル・食品の安全性等に関わる当社グループの取扱製品・商品への規制を含めた法制度の変化等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)債権の回収可能性について

必要十分な債権管理は実施しておりますが、当社グループの取引先が債権の弁済に重大な問題が生じた場合等には、引当金の追加計上又は貸倒損失の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)退職給付債務について

当社は、従業員に対して確定給付型の退職給付制度を設けております。今後の割引率の低下及び運用利回りの悪化は退職給付費用及び未認識数理計算上の差異の増加となり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

なお、当社がこれまで加入してきた日本電子回路厚生年金基金(総合型)は、2017年3月31日付で厚生労働大臣より解散の認可を受けました。これに伴い、当社は当該制度に代えて、独自に確定拠出年金制度(企業型)を新たに導入し、同年7月1日よりその運用を開始しました。

 

(4)特定の取引先への依存について

当社グループは、仕入販売に係る製紙用化学品(とりわけ紙塗工用バインダー)や回路基板材料用の電子材料及び機能性樹脂の一定割合を、特定の取引先から購入しております。

当社グループとこれらの特定の取引先とは、これまで長年に亘り緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、特定の取引先の今後の経営方針が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)保有する有価証券の価格変動について

当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を政策的に保有しており、株式市場の動向や投資先企業の状況等によっては、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度のわが国経済は、政府の継続した経済政策や日銀の金融緩和政策のもと、次のような状況となりました。まず、上半期では、度重なる自然災害の影響を受けたものの、比較的堅調な海外経済にも支えられて、企業収益の回復や雇用・所得環境の改善が継続し、景気は緩やかな回復基調を維持しました。しかしながら、下半期では、とりわけ米中貿易摩擦を中心とした米中間の対立や英国のEU離脱の問題、更には、中東・東アジアで継続する地政学リスクなどによって、世界経済の減速が鮮明となり、こうした背景から、わが国経済も下方局面への転換が徐々に進行して、先行き予断を許さない不安な影を投げかけております。

こうした状況下で当社グループは、原材料価格や物流費の値上げといった事業コストの上昇圧力が続く厳しい経営環境の中で、引き続き当社グループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、関係するグローバル市場での様々な変化やその影響を分析しながら、国内市場はもとより、中国・アジアの成長市場や米国及びその周辺市場など、幅広い関係市場で独自の差別化製商品の拡販と新規顧客の開拓に努め、更には、当社グループ全体の生産・物流の効率化などにも継続して取り組んでまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が230億4千8百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益が8億9千1百万円(前年同期比13.3%減)、経常利益が9億4千1百万円(前年同期比6.2%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益が7億9千5百万円(前年同期比12.7%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

[高機能材料事業]

スマートフォンなどの電子機器業界向け関連製商品の販売では、光学機器向けの新規顧客に対する販売が大きく増加したものの、スマートフォン向けの既存主要顧客に対する販売が、とりわけ下半期において、大きく落ち込んだため、関係するコーティング製品やフィルム表面加工製品並びに関連高機能フィルム商品といった差別化製商品の販売が減少しました。一方、自動車部品業界向け製商品の販売では、最大市場の中国で自動車の販売が減少に転ずる厳しい状況下にありましたが、当社の主要顧客の生産が総じて堅調に推移したこともあって、特に高機能樹脂製品の販売が増加しました。その結果、当事業全体の売上高は170億5千4百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は10億1千8百万円(前年同期比16.9%減)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

コーティング製品

光学機器向け遮光部材製造用の新たなコーティング製品の販売は、大きく増加しましたが、スマートフォン向けでは、新機種端末の販売が低迷したため、当該機種向け電子部品製造用のコーティング製品の販売が、特に下半期において大きく減少し、また関連するフィルム表面加工製品の販売も減少したため、9.0%の減収となりました。

高機能樹脂製品

自動車部品業界向け電気絶縁用樹脂製品の販売は、厳しさを増す市場環境下ではありましたが、主要顧客向け販売が堅調に推移して増加し、また、電気・電子機器のセンサー用樹脂製品の販売も関係業界の安定した需要を背景に増加したため、9.8%の増収となりました。

電子材料

電子機器向け回路基板材料の販売は、自動車や産業機器向け用途などへの拡がりはあるものの、スマートフォン向け需要が特に下半期において、大きく減少したため販売が減少し、また、重電向け絶縁材料などの販売も前年同期並みに留まったことで、6.4%の減収となりました。

機能性樹脂

自動車向けなどの熱可塑性樹脂の販売は、若干増加しましたが、回路基板向けなどの熱硬化性樹脂や樹脂用添加剤の販売が、関係業界の需要低迷で減少したため、1.4%の減収となりました。

 

[環境材料事業]

主要な販売先である製紙業界を中心に、当社グループの特長を生かした差別化製商品の拡販と新たな用途や周辺市場の開拓などに引き続き鋭意取り組んでまいりました。競合他社との厳しい競争が続く中、自社製品の販売では、とりわけ品質機能を向上させた製紙用ケミカルズ製品の販売が増加しました。また、仕入商品の販売では、紙塗工用バインダーが、原材料価格の上昇に伴う販売価格の引き上げや拡販の効果で増加し、製紙関連ケミカルズ商品が、拡販や新規商材の導入などで若干の増加となりました。その結果、当事業全体の売上高は46億6千8百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は1千7百万円(前年同期は営業損失1千7百万円)となりました。

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

ファインケミカルズ

競合他社との厳しい競争下で、工業用殺菌剤の販売は減少しましたが、その他の製紙用ケミカルズ製品の販売では品質機能を向上させた製品の投入で販売が増加し、3.0%の増収となりました。

製紙用化学品

紙塗工用バインダーが値上げの浸透や拡販などで大きく増加し、また、製紙関連ケミカルズ商品も拡販や新規商材の導入で増加となり、12.3%の増収となりました。

 

[食品材料事業]

食品材料事業では、健康に優しく特長ある天然の食品素材を主要な取り扱い商品としており、的を絞った施策の下に、食品業界などへの拡販に鋭意注力してまいりました。これに加えて、これまでの営業活動で蓄積した食品に関わる様々な情報や技術を活用して、新規商材の発掘や市場の開拓、更には、独自性の発揮できる新規複合食品素材の開発といった新たなテーマにも積極的に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、とりわけ天然の増粘安定剤が、原産地の天候不順の影響から取引価格が大きく上昇したことや拡販の効果も加わって、販売が大きく増加しました。その結果、当事業全体の売上高は12億5千8百万円(前年同期比23.1%増)、営業利益は1億1千2百万円(前年同期比11.2%増)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

食品素材等

天然の増粘安定剤の販売は、原産地の天候不順の影響で取引価格が上昇したことや拡販の効果などで販売が大きく増加し、また、乾燥野菜の販売も若干増加したことで、全体では23.1%の増収となりました。

 

[その他の事業]

当社グループの持続的な成長を支える新たな事業領域を開発・育成すべく取り組んでいる「その他の事業」では、新たなビジネスチャンスの可能性を追求するため、市場開発用に新規商材などを導入し、試販等による事業化検討を行っております。当連結会計年度における「その他の事業」の売上高は6千6百万円(前年同期比21.8%増)、営業利益は6百万円(前年同期比24.2%増)となりました。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入れによって資金を調達しております。また、営業活動、設備投資、借入金の返済等の資金需要に備えて、十分な資金を確保するために、資金調達及び資金の流動性の確保に努めております。

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して4億1百万円減少して、42億4千万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2億2千2百万円の資金増加(前連結会計年度は9億2千万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億3千2百万円、減価償却費3億2千6百万円等の資金増加要因が、売上債権の増加額1億7千2百万円、たな卸資産の増加額4億1千7百万円、仕入債務の減少額1億7千7百万円、法人税等の支払額1億6千5百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、4億7千8百万円の資金減少(前連結会計年度は2億5千万円の資金減少)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出を10億2百万円、定期預金の払戻による収入を4億8千9百万円計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、9千8百万円の資金減少(前連結会計年度は6千2百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払額9千6百万円によるものであります。

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

5,332,054

99.9

環境材料事業(千円)

741,054

106.9

食品材料事業(千円)

3,456

43.2

報告セグメント計(千円)

6,076,565

100.7

その他の事業(千円)

合計(千円)

6,076,565

100.7

(注)1.金額は製造原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

8,362,815

97.9

環境材料事業(千円)

3,598,856

110.3

食品材料事業(千円)

1,185,927

128.9

報告セグメント計(千円)

13,147,598

103.4

その他の事業(千円)

48,868

135.8

合計(千円)

13,196,467

103.4

(注)1.金額は仕入原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注実績

当社グループは一部を除いて受注生産は行っておりません。

 

(4)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

17,054,459

99.1

環境材料事業(千円)

4,668,853

110.3

食品材料事業(千円)

1,258,769

123.1

報告セグメント計(千円)

22,982,082

102.3

その他の事業(千円)

66,009

121.8

合計(千円)

23,048,092

102.4

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び記載内容に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」において記載しておりますが、特に以下に記載する重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

① 有価証券の減損処理

当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を政策的に保有しておりますが、これらの有価証券は株式市場の変動リスクを負っています。当社は、合理的な評価基準に基づき有価証券の減損処理を実施しております。

 

② 貸倒引当金の計上基準

当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。

 

③ 退職給付債務について

当社は、従業員に対して確定給付型の退職給付制度を設けております。退職給付債務及び退職給付に係る負債並びに退職給付に係る資産の計算における年金資産については、割引率・長期期待運用収益率等各種比率に基づき合理的な基準による見積り計算を実施しております。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産を計上しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は230億4千8百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は8億9千1百万円(前年同期比13.3%減)、経常利益は9億4千1百万円(前年同期比6.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億9千5百万円(前年同期比12.7%減)となりました。

 

① 売上高の分析

当連結会計年度のわが国経済は、政府の継続した経済政策や日銀の金融緩和政策のもと、上半期では、景気は緩やかな回復基調を維持しましたが、下半期では、とりわけ米中貿易摩擦を中心とした米中間の対立や英国のEU離脱の問題、更には、中東・東アジアで継続する地政学リスクなどによって、世界経済の減速が鮮明となり、こうした背景から、わが国経済も下方局面への転換が徐々に進行して、先行き予断を許さない不安な影を投げかけております。

こうした状況下で当社グループは、原材料価格や物流費の値上げといった事業コストの上昇圧力が続く厳しい経営環境の中で、引き続き当社グループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、関係するグローバル市場での様々な変化やその影響を分析しながら、国内市場はもとより、中国・アジアの成長市場や米国及びその周辺市場など、幅広い関係市場で独自の差別化製商品の拡販と新規顧客の開拓に努め、更には、当社グループ全体の生産・物流の効率化などにも継続して取り組んでまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は230億4千8百万円(前年同期比2.4%増)となりました。

 

② 販売費及び一般管理費の分析

当社グループ全体において、国内外の市場における販売が堅調に推移したことによる発送配達費の増加や取引仲介先に対する販売手数料の発生等により、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は30億7千7百万円(前年同期比3.4%増)となりました。

 

③ 営業外損益及び特別損益の分析

営業外収益は前連結会計年度から2千5百万円増加して1億5百万円(前年同期比31.6%増)となりました。これは主に、為替差益の計上や海外子会社における受取利息の増加によるものであります。また、営業外費用は前連結会計年度から4千8百万円減少して5千4百万円(前年同期比47.0%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において、貸倒引当金繰入額や為替差損を計上していたことによるものであります。

特別利益は、前連結会計年度において固定資産売却益を計上しましたが、当連結会計年度では、当該事項は発生しておりません。また、特別損失は、前連結会計年度から8百万円増加して8百万円(前年同期比1,921.9%増)となりました。これは、当連結会計年度において、減損損失を計上したことによるものであります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

世界経済においては、とりわけ米中の貿易摩擦を中心とした米中間の対立やEU離脱の問題、更には、中東・東アジアで継続する地政学リスクなどによって、グローバル経済の縮小懸念と先行き不透明感が一段と増しており、こうした状況下における様々な変化が、為替の大きな変動なども伴って、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

こうした予測の難しい経営環境の中で、当社グループは製造販売と仕入販売に係る営業活動に鋭意取り組んでおりますが、当社グループの関係市場や販売先では、競合各社間の競争が近年特に激化しており、そのため、当社グループの経営環境は益々厳しい状況が続いております。

製造販売におきましては、製品の販売先の動向や販売先が属する電子部品・自動車・製紙といった業界の動向、更には、各業界に占める販売先の位置づけなどが、当社グループの販売数量や販売価格に大きな影響を与える可能性があります。また、市場における競合各社間の競争激化を反映して、特にコーティング製品や高機能樹脂製品を中心に海外の廉価品の台頭などによって販売価格が下落したり、あるいは、原油価格の上昇などで原材料価格が上昇し製造コストが増加するといった要因により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

仕入販売におきましては、製紙業界やIT関連業界、更には食品業界といった当社グループの販売先が関係する業界全体の動向に加え、当社グループの仕入先メーカーの生産供給体制と販売先の需要とのバランスが、販売数量及び販売価格に影響を与える可能性があります。また、競合他社による廉価販売や新商品の市場投入で既存の商流・商権が変化することなどにより、当社グループの販売数量の減少及び販売価格の下落を引き起こす可能性があります。

 

(4)戦略的現状と見通し

当社グループは、事業の重点化と他社との差別化を重要な戦略と位置づけて、引き続きグローバルな視野に立って将来的に成長が期待できる事業分野と市場へ、経営資源を重点的に集中させ、研究開発資源の有効かつ効率的な活用と「経営環境の変化に対するスピーディーな対応」で、ビジネスの強化と事業領域の拡大に努めてまいります。

具体的には、製造販売においては、とりわけ電子部品や自動車部品、更にはデジタル光学機器といった業界を中心に、コーティング製品や高機能樹脂製品の差別化戦略、付加価値の高い新規開発製品の市場投入などで拡販と事業領域の拡大を図り、また、仕入販売においては、特長ある既存商品群の物流・販売網強化と顧客ニーズに的確に応えるための仕入先との共同開発その他の協働、更には、新規商権の獲得などにも注力してまいります。

また、当社グループのグローバル展開では、アジア各地の当社子会社を拠点として、中国やタイ・ベトナム・インドを中心としたアジアの新興市場を事業活動のメインに据え、これに加えて、堅調な景気が続く米国やその周辺市場においても、生産・物流・販売の機能強化と更なる情報収集に努めてまいります。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、最新の経営環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案すべく尽力しておりますが、米中の貿易摩擦を中心とした米中間の対立やEU離脱の問題、更には、継続する中東・東アジアにおける地政学リスクなどによって、世界経済の縮小懸念と先行き見通しの不透明感が増しており、当社グループの経営環境は一段と厳しい状況になっております。

当社グループとしましては、今後もこうした状況を正確かつ的確に把握してグループの総合力を効果的に発揮できるよう、引き続きコーポレート・ガバナンスの強化とスピーディーな経営判断を心がけ、業績の向上に努めていく方針であります。

 

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、達成目標は、売上高営業利益率4.0%、総資産経常利益率(ROA)5.0%、自己資本比率60.0%、海外地域売上比率20.0%であります。

当連結会計年度において、売上高営業利益率及び総資産経常利益率は、前連結会計年度を下回るとともに、達成目標には至りませんでした。これは、主に、主力のスマートフォン向けの既存主要顧客に対する関連製品の販売が落ち込み、草加事業所における工場稼働率の低下に伴う製造コストの上昇により、製品利益率が悪化したことによるものであります。一方で、自己資本比率及び海外地域売上比率は、前連結会計年度及び達成目標を上回りました。自己資本比率は、厳しい経営環境下で各種コスト低減等の諸施策に取り組み、利益の確保に努めたことで、利益剰余金の増加による純資産額が増加したものであり、海外地域売上比率は、日本国内の販売は減少したものの、海外子会社の事業活動は、中国・アジアの成長市場向け販売を中心に拡大基調が継続したことから、前連結会計年度及び達成目標を上回りました。

次年度以降は、引き続き、堅調な高機能材料事業における製品の販売を伸長させるとともに、新たな用途展開による製品販売の拡大を推進することで、工場の稼働率を高め、更なるコスト低減に取り組むことにより、当社グループ全体の収益基盤を確立させ、恒常的な目標達成に向け努めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループでは、市場ニーズの変化に対する的確な対応や技術革新への新たな対応などを通して、事業の持続的な発展を図り、合わせて社会に貢献していくことを目的として、基盤技術開発分野とともに、高機能材料事業、環境材料事業及び食品材料事業の各分野において、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループがこれまで蓄積してきた技術資源やノウハウを基盤として、今後の成長が見込まれる分野に的を絞った市場開発や技術・製品開発、更には生産技術開発などに注力するとともに、これらを支える基盤技術の深耕や新たなビジネス開発のための基礎的研究にも努めております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は340百万円となりました。

なお、事業セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 基盤技術開発分野

基盤技術開発分野においては、高耐熱材料に関わる分子設計技術により、世界最高レベルの耐熱性、高透明性などの性能を有した画期的な溶媒可溶型ポリイミド樹脂の開発に成功して、サンプル出荷を開始し、ユーザーから高評価を得ております。また、加工性に優れたエポキシ接着シートや柔軟性と伸縮性に富んだ接着シートなどの開発も行っております。更に、バイオマテリアルに関する開発も成果が出始め、サンプル提供を開始しております。これら、新規技術により開発された製品を市場における評価を受けながら本格的な製品化に向けて取り組んでおります。

基盤技術開発分野における当連結会計年度の研究開発費は141百万円であります。

 

(2) 高機能材料事業

高機能材料事業の研究開発は、機能性フィルムに関連した研究開発と高機能樹脂に関連した研究開発とに大別されます。

機能性フィルムに関連した研究開発では、益々多様化・高度化する市場ニーズに応えるため、コーティングやラミネーション、フィルムの表面加工(サンドマット加工やプラズマ加工処理)や粘接着樹脂の応用技術といった各種関連技術を複合的に駆使して製品開発を行っており、特に電子回路基板や微細電子部品の製造、光学機器や各種情報通信機器の製造といった分野で、当社の独自技術を活かした製品開発が進んでいます。実績として、電子部品製造工程で使用される特殊基材のメッキマスク用保護フィルムは、市場で高い評価を受け、最新のスマートフォン向け電子製品の製造でも採用されております。また、光学機能特性を高めた独自の遮光フィルムは、最新モデルのデジタル映像機器の付加価値を向上させる重要部材の一つとして位置づけられるに至りました。引き続き、市場ニーズに応える高付加価値製品や市場競争力を一段と高めた差別化製品などの更なる開発・育成に努めてまいります。

また、高機能樹脂に関連した研究開発では、自動車電装部品、小型モーター、その他の電気・電子部品などで使用される電気絶縁材料や防錆材料に関する高機能化のための研究開発や関連設備(粉体塗装機の設計・製作)の開発を始めとして、各種電子機器の部品実装に関わる接着・封止樹脂の高機能化研究開発、更には、高熱伝導性接着剤、構造接着剤の研究開発、建築関連部材の防錆用塗料の開発なども行っております。

高機能材料事業における当連結会計年度の研究開発費は157百万円であります。

(3) 環境材料事業

環境材料事業では、アクリルの合成技術と殺菌剤のブレンド技術をコア技術として、製紙分野をメインに、歩留・凝結剤、流動性改質剤、分散剤、殺菌剤他の製品開発に取り組んでいます。近年は従来の技術を更に進化させ、新規ポリマーの導入を軸に、他社と差別化できる製品を開発することができました。

また、既存製品を製紙業界以外にも横展開をすることで、製品の応用展開が可能となり、製品品質もアップすることができました。

加えて、製紙業界で培った技術をベースに、製品と商品とのコラボで、水処理分野への積極的技術開発を進めてきたことで、幅広い技術対応が可能となり、新規実績に結びつけております。

環境材料事業における当連結会計年度の研究開発費は12百万円であります。

 

(4) 食品材料事業

食品材料事業では、加工食品、嚥下剤、とろみ剤、高カロリー食品(油脂含量の多い食品)等への使用を目的とした、増粘剤・ゲル化剤などの開発に取り組んでおります。低添加量で、味・風味を損なわず、食感を改善でき、温度変化にも影響を受けにくい増粘効果を発現させ、離水・離油を防止でき、一部ゼラチンの用途を代替できる増粘剤・ゲル化剤の開発に成功しました。様々な食品への用途提案を行い、本開発製品の本格販売に向け取り組んでおります。

食品材料事業における当連結会計年度の研究開発費は29百万円であります。