当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりであります。
なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものとなります。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「(7)退職給付債務について」は、当社において2023年7月より退職金制度の改定を行い、確定給付企業年金制度を確定拠出年金制度へ移行いたしました。これに伴い、第1四半期連結会計期間において、退職給付制度改定損320,232千円を特別損失に計上したことから、当該リスクは解消されております。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直し基調に転じています。しかし、ウクライナ情勢の長期化等の地政学的リスク、欧米での金融引き締めの長期化、中国の不動産不況、資源価格の大幅な高騰に起因した材料調達コスト及び電気・ガス料金の急激な上昇などにより、当社グループの経営環境は、依然として先行き不透明な状況が続くものと想定しております。
こうした状況下で当社グループは、引き続きグループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、関係するグローバルな成長市場とともに、今後市場拡大が見込まれる高速5G通信・半導体・次世代自動車・自然エネルギー分野・蓄電池・建材、化粧品、介護食等への差別化した製商品の拡販、新規顧客の開拓、バイオマテリアルを含めた国内外の産学連携の加速に注力しつつ、顧客に密着した生産・物流体制の更なる改善にも取り組んでまいりました。
その結果、EV関連部品向けの販売や、特定顧客向けの製品の一部において新規採用や拡販が進んだことなど、付加価値の高い高機能樹脂製品の販売が伸長したことで、営業利益が前年同四半期を大幅に上回りました。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高が130億3千1百万円(前年同四半期比5.6%増)、営業利益が7億4千5百万円(前年同四半期比108.6%増)、経常利益が8億1千4百万円(前年同四半期比88.0%増)となりましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は、退職給付制度改定損3億2千万円を計上したことにより4億4千3百万円(前年同四半期比12.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
[高機能材料事業]
電子機器業界向け関連製商品の販売では、スマートフォンの需要が一巡したことや世界的なインフレ懸念によりスマートフォン市場が停滞したものの、海外子会社との連携強化により、新たな販路開拓に取り組んだことから、売上高は前年同四半期並みに推移しました。自動車部品業界向け製商品の販売では、半導体不足の緩和による自動車生産の回復により好調に推移する受注環境下、EV関連部品向け樹脂製商品の販売が国内外で伸長しました。また、特定顧客向けの製品の一部においては、新規採用や拡販が進んだことで国内外の販売が伸長し前年同四半期を大きく上回りました。その結果、当事業全体の売上高は93億2千5百万円(前年同四半期比8.9%増)、営業利益は6億9千7百万円(前年同四半期比90.6%増)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同四半期との対比) |
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コーティング製品 |
スマートフォン向け電子部品製造用途は、遮光部材の新規開拓を進展させたものの、市場の停滞によりフィルム表面加工製品等の販売が減少したことで、前年同四半期を下回り1.5%の減収となりました。 |
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高機能樹脂製品 |
自動車部品業界向け電気絶縁用樹脂は、EV関連部品向け販売が好調な受注環境を背景に、国内だけでなく中国や欧州での販売活動が奏功したことや、特定顧客向けの製品の一部で販売が伸長し、前年同四半期を上回り19.1%の増収となりました。 |
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電子材料 |
スマートフォン用回路基板材料の販売が需給の緩みから販売が落ち込んだものの、自動車部品向けの車載用モーター絶縁材料や産業機器モーター向け絶縁材料が堅調に推移し、0.6%の増収となりました。 |
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製商品群 |
概況(数値は前年同四半期との対比) |
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機能性樹脂 |
自動車部品業界向けの販売が増加したことで3.1%の増収となりました。 |
[環境材料事業]
主要な販売先である製紙業界では、新聞・塗工紙の市場は継続して縮小し、堅調だった板紙・生活産業用途も物価高による日用品の買い控えや実店舗での消費回復を受けてEC市場でも需要が低下しており、厳しい事業環境となっております。このような状況下、当社グループにおいては、市場ニーズに応じて、特長を生かした差別化製商品の拡販と新たな用途や周辺市場の開拓等に取り組んでまいりました。製品販売では、製品機能を向上させつつ、板紙分野への拡販や新規市場の開拓に注力したことで、前年同四半期を上回りました。商品販売では、塗工紙の生産量が減少している市場環境下、取引価格の改定や取扱商品のシェア拡大に努めたものの、原材料価格の値下げに伴う販売価格の引き下げにより前年同四半期を下回りました。その結果、当事業全体の売上高は23億7百万円(前年同四半期比2.3%減)となりましたが、製品の売上比率が高まったこと等により営業利益は1億2百万円(前年同四半期比157.7%増)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同四半期との対比) |
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ファインケミカルズ |
製品機能を向上させつつ、底堅い需要が見込まれる板紙分野へ積極的に拡販や新規開拓を進めたことで、2.6%の増収となりました。 |
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製紙用化学品 |
主要取扱商品の塗工用バインダーは、塗工紙の生産量が減少している環境下において、取引価格の改定に取り組むとともに、取扱商品のシェア拡大に努めたものの、石化・モノマーに連動した販売価格の値下げにより3.9%の減収となりました。 |
[食品材料事業]
食品材料事業では、健康に優しく特長ある天然の食品素材を主要な取扱商品としており、的を絞った施策を推進し、食品業界などへの拡販に鋭意注力してまいりました。これに加えて、これまでの営業活動で蓄積した食品に関わる様々な情報や技術を活用して、新規商材の発掘や市場の開拓、更には、独自性の発揮できる新規複合食品素材の開発といった新たなテーマにも積極的に取り組んでおります。当第2四半期連結累計期間の販売では、家庭用加工食品向けは、引き続き堅調に推移するとともに、業務用加工食品向けは、原産地の天候不順・物流コストの増加等に起因して市場価格が大幅に上昇する中、乾燥野菜は安定した需要や新規取引により売上高が増加したものの、需要の不透明感の高まりから、増粘安定剤の取引数量は減少し、前年同四半期を下回りました。その結果、当事業全体の売上高は13億5千8百万円(前年同四半期比0.8%減)、営業利益は8千5百万円(前年同四半期比19.1%減)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同四半期との対比) |
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食品素材等 |
取扱商品の市場価格の高騰を受ける中、乾燥野菜は新規顧客への販売等で売上高が増加したものの、需給環境の変動で需要が落ち込んだ増粘安定剤は、取引数量が減少し、0.8%の減収となりました。 |
[その他の事業]
当社グループの成長を支える新たな事業領域を開発・育成すべく取り組んでいる「その他の事業」では、アフリカから輸入した切り花の国内販売や、新市場開発用途の商材を発掘しつつ、新規ビジネスの可能性を追求する活動に積極的に取り組んでおり、試販等による事業化への検討を進めております。当第2四半期連結累計期間における輸入生花の販売は、コロナ禍からの回復基調により国内産地の生産が安定的に供給されたことで、販売価格が下落しました。その結果、「その他の事業」の売上高は3千9百万円(前年同四半期比7.7%減)、営業損失は5百万円(前年同四半期は営業損失2百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、7億7千6百万円増加し、56億4千2百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億3千8百万円の資金増加(前年同四半期は9億7千6百万円の資金減少)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益4億7千5百万円、減価償却費1億9千7百万円、退職給付制度改定損3億2千万円、棚卸資産の減少額6億3千3百万円、その他の増減額1億3千万円等の資金増加要因が、売上債権の増加額6億2千4百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4億1千6百万円の資金減少(前年同四半期は8千6百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億9千2百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9千8百万円の資金減少(前年同四半期は4億5千6百万円の資金増加)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出3億円、配当金の支払額9千6百万円等の資金減少要因が、短期借入れによる収入3億円の資金増加要因を上回ったことによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億1百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い、並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
②資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入れにより、必要資金を調達しております。
③キャッシュ・フロー
「(2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④長期借入金
当第2四半期連結会計期間末の有利子負債は40億円であり、この内訳は、金融機関からの長期借入金40億円となっております。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。