当中間連結会計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は発生しておりません。また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についても重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進展し、雇用・所得環境が改善するなかで、各種政策の効果もあり、国内景気は回復の兆しを見せ始めております。一方、海外では、欧米主要国の政策金利が高水準で推移したこと等により一時的な変動がありながらも円安基調となったことや、ウクライナ侵攻問題の長期化によるエネルギー・資源価格の大幅な上昇、中東問題、中国の不動産不況などの影響から、当社グループの経営環境は、依然として先行き不透明な状況が続くものと想定しております。
こうした状況下で当社グループは、引き続きグループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、関係するグローバルな成長市場とともに、今後市場拡大が見込まれる高速5G通信・半導体・次世代自動車・自然エネルギー分野・建材、化粧品、介護食、特殊素材を用いたアパレル等への差別化した製商品の拡販、新規顧客の開拓、バイオマテリアルを含めた国内外の産学連携の加速に注力しつつ、顧客に密着した生産・物流体制の更なる改善にも取り組んでまいりました。
その結果、自動車部品業界向け高機能樹脂製品の販売が新規顧客の獲得等により海外において大きく伸長したことや、スマートフォン向けコーティング製品の受注動向が順調に推移したことで、営業利益が前年同期を大幅に上回りました。
当中間連結会計期間の経営成績は、売上高が151億7千7百万円(前年同期比16.5%増)、営業利益が13億7千1百万円(前年同期比83.8%増)、経常利益は14億8千6百万円(前年同期比82.5%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、投資有価証券売却益1億8千3百万円を計上したことや、前中間連結会計期間において退職給付制度改定損3億2千万円を計上したこと等により、前年同期を大きく上回り12億2百万円(前年同期比171.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
[高機能材料事業]
電子機器業界向け関連製商品の販売では、スマートフォン市場は受注環境が緩やかに回復しており、海外子会社での取引が引き続き好調だったことで遮光部材の販売が増加し、売上高は前年同期を上回りました。自動車部品業界向け製商品の販売では、EV需要の先行きが不透明なこと等懸念材料があるものの、市場環境が回復傾向となったことで、新規顧客の獲得等により北米や中国において高機能樹脂製品の販売が増加し営業利益を大きく押し上げる要因となりました。その結果、当事業全体の売上高は105億6千3百万円(前年同期比13.3%増)、営業利益は13億6千2百万円(前年同期比95.5%増)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同期との対比) |
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コーティング製品 |
スマートフォン向け電子部品製造用途は、市場が回復基調にあることから、海外において遮光部材の販売が順調に推移し36.3%の増収となりました。 |
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高機能樹脂製品 |
自動車部品業界向け電気絶縁用樹脂は、市場環境が回復するなかでハイブリッド車・EV関連部品用途において、北米等での販売活動が奏功し前年同期を上回り24.4%の増収となりました。 |
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電子材料 |
自動車部品向けの車載用モーター絶縁材料は堅調に推移したものの、産業機器モーターやトランス向け絶縁材料が販売先での減産による需要の減少や、前年度におけるスポット販売の影響で、2.4%の減収となりました。 |
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機能性樹脂 |
自動車部品業界向けの販売は前年同期並みに推移したものの、電子機器業界向けの販売では関連する用途での需要の落ち込み等で9.6%の減収となりました。 |
[環境材料事業]
主要な販売先である製紙業界では、新聞・塗工紙の市場は継続して縮小し、落ち込みが少なく比較的堅調である板紙・生活産業用途も物価上昇による消費者の買控えを背景にEC出荷用段ボールの需要が伸び悩み、事業を取り巻く環境は厳しいものとなっています。このような状況下、当社グループにおいては、市場ニーズに応じて、特長を生かした差別化製商品の拡販と新たな用途や周辺市場の開拓等に取り組んでまいりました。製品販売では、工業用殺菌剤が製紙会社での安価品への切替え等で減少したものの、製紙用ケミカルズが板紙分野を中心に顧客ニーズに対応した差別化製品の市場開拓や販売促進等により、売上が順調に推移したことで前年同期を上回りました。商品販売では、塗工用バインダーが一部顧客での商流変更に伴う取引の増加により、前年同期を大幅に上回りました。その結果、当事業全体の売上高は33億8千9百万円(前年同期比46.9%増)となりましたが、利益率の高い一部製品の売上が伸び悩んだことで営業利益は9千2百万円(前年同期比10.3%減)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同期との対比) |
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ファインケミカルズ |
工業用殺菌剤が製紙会社での安価品への切替えや減産に伴い販売が減少したものの、製紙用ケミカルズが板紙分野への拡販に注力し差別化製品の市場開拓を進めたことや海外市場への販売が堅調に推移したことで、売上は前年同期を上回り3.7%の増収となりました。 |
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製紙用化学品 |
主要取扱商品の塗工用バインダーが一部顧客での商流変更により、取引が大幅に増加したことで、62.0%の増収となりました。 |
[食品材料事業]
食品材料事業では、健康に優しく特長ある天然の食品素材を主要な取扱商品としており、的を絞った施策を推進し、食品業界などへの拡販に鋭意注力してまいりました。これに加えて、これまでの営業活動で蓄積した食品に関わる様々な情報や技術を活用して、新規商材の発掘や市場の開拓、更には、独自性の発揮できる新規複合食品素材の開発といった新たなテーマにも積極的に取り組んでおります。当中間連結会計期間の販売では、増粘安定剤はアラビアガムの安定供給を継続して確保できたことで順調にシェアを拡大したものの、ローカストビンガムが過年度の不作に起因した供給環境の悪化で市場価格が乱高下したことにより、使用量の削減や代替品への切り替え等、需要が急減し市場が大幅に縮小する環境下、販売先からの受注が減少したことで販売数量・価格は前年同期を大きく下回りました。乾燥野菜は、安定した需要に下支えられたことや、円安やエネルギーコストの上昇等による輸入原材料価格の高騰に伴う販売価格の値上げで前年同期を上回りました。その結果、当事業全体の売上高は11億8千8百万円(前年同期比12.5%減)、営業利益は6千3百万円(前年同期比25.7%減)となりました。
(主な製商品群の概況)
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製商品群 |
概況(数値は前年同期との対比) |
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食品素材等 |
乾燥野菜は安定した需要や輸入原材料価格の高騰による販売価格の値上げにより売上が堅調に推移したものの、増粘安定剤はローカストビンガムが供給環境の悪化による市場価格の乱高下により需要が減少したことから、販売が低調に推移し12.5%の減収となりました。 |
[その他の事業]
当社グループの成長を支える新たな事業領域を開発・育成すべく取り組んでいる「その他の事業」では、アフリカから輸入した切り花の国内販売や、新市場開発用途の商材を発掘しつつ、新規ビジネスの可能性を追求する活動に積極的に取り組んでおり、試販等による事業化への検討を進めております。当中間連結会計期間における輸入生花の販売は、安定した市場環境であったものの、一時期の天候不順による輸送航空機の欠航の影響で輸入仕入が減少したこと等で前年同期を下回りました。その結果、「その他の事業」の売上高は3千6百万円(前年同期比8.3%減)、営業損失は6百万円(前年同期は営業損失5百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、10億1千7百万円増加し、73億6千1百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、5千4百万円の資金増加(前年同期は10億3千8百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益16億4千5百万円、減価償却費2億1千5百万円等の資金増加要因が、投資有価証券売却益1億8千3百万円、売上債権の増加額5億2千9百万円、棚卸資産の増加額4億8千2百万円、仕入債務の減少額1億9千4百万円、その他の減少額1億4千9百万円、法人税等の支払額3億1百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、9千9百万円の資金減少(前年同期は4億1千6百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億8百万円等の資金減少要因が、投資有価証券の売却による収入2億2千4百万円等の資金増加要因を上回ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億6千2百万円の資金増加(前年同期は9千8百万円の資金減少)となりました。これは主に、短期借入れによる収入8億円、長期借入れによる収入5億円等の資金増加要因が、短期借入金の返済による支出5億円、配当金の支払額1億3千5百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億8百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い、並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
②資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入れにより、必要資金を調達しております。
③キャッシュ・フロー
「(2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④長期借入金及び短期借入金
当中間連結会計期間末の有利子負債は48億円であり、この内訳は、金融機関からの長期借入金45億円(1年内返済予定の長期借入金40億円を含む)、短期借入金3億円となっております。
(8)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当中間連結会計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
重要な設備の新設
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会社名 事業所名 |
所在地 |
セグメント の名称 |
設備 の内容 |
投資予定金額 |
資金調達 方法 |
着手及び完了予定年月 |
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総額 (百万円) |
既支払額 (百万円) |
着手 |
完了 |
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Somar North America Corporation |
West Virginia, U.S.A. |
高機能材料事業 |
工場 |
1,729 |
372 |
自己資金 及び借入金 |
2024.4 |
2026.3 |
付帯設備の工事資材等の高騰に加え仕様の変更等により、投資予定金額の総額を1,026百万円から1,729百万円へ変更しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。