第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営理念

当社グループは、理念体系「モスの心」のもと、「食を通じて、世界中の人を幸せにすること。」を私たちの使命と位置づけ、「おいしさ、安全、健康」にこだわった商品を「真心と笑顔のサービス」とともに提供することに取り組んでおります。同時に、「どうせ仕事をするなら、感謝される仕事をしよう。」を全ての活動の基になる考え方として掲げ、お客様、そして株主の皆様の信頼と期待にお応えするように努めております。これらの実現に向けて、商品開発、店作り、サービスの一層の充実、新業態の開発などによるチェーン基盤の強化と、当社グループならではの独自性の確立に向け、努力を続けております。

 

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略

個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大によって、国内の外食需要は回復基調にあります。一方で、原材料やエネルギー価格の高止まりなどによって、依然として先行きは不透明な状況が続いております。このような環境の中、2024年度は「Challenge & Support」を中期スローガンとした中期経営計画の最終年度となり、多くの成果を上げることができました。

主力の国内モスバーガー事業は、既存店の売上高・客数・客単価がいずれも前期を上回るなど、概ね好調に推移しました。消費の二極化への対応として、商品価格帯のグラデーション化を推進し、レギュラー、プレミアム、超プレミアムの価格帯のラインアップを充実させたことで、より幅広い顧客層の獲得につながりました。期末の国内店舗数は前期比8店舗増の1,321店舗となりました。また、収益性重視の意識徹底と販管費抑制に加え、在庫回転率向上による資金効率化、物流効率化による商品管理コスト抑制にも注力しました。

これらの結果、2024年度の連結経営成績は、売上高961億85百万円(前期比3.4%増)、営業利益52億23百万円(前期比24.8%増)、経常利益55億69百万円(前期比26.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は31億50百万円(前期比22.4%増)となりました。

国内モスバーガー事業では、マーケティング方針として「和ごころエンジョイ」を掲げ、お客様からの支持拡大と売上増に努めました。とくに好調だったのが新カテゴリーとして2024年3月に販売を開始した「新とびきり」シリーズであり、手軽に食べられるプレミアムバーガーという商品コンセプトが支持され、販売開始からわずか1年でシリーズ累計1,600万食を突破しました。このほか、「一頭買い 黒毛和牛バーガー~山わさび醤油(しょうゆ)仕立て~」においては、新たな顧客層へのアプローチを試みました。

モスブランドを活用した新たな事業の展開としては、公式オンラインショップ内で、海外の料理をヒントに開発したモスライスバーガーの新商品を発売するなど、商品ラインアップの充実を図っております。また、新たな販売チャネルの開拓に向けて、当社監修商品を他社の販売チャネルに乗せることにも挑戦しております。今後もこうした取り組みを拡大し、ブランド価値の向上とともに、新たな収益源に育てていきたいと考えております。

海外事業については、セグメント利益の黒字化を達成しましたが、さらなる成長のため、現在、不採算店舗の閉店や既存店の改装、管理コストの抑制といった収益性改善に取り組んでおります。これらの取り組みにより、2024年12月末の海外店舗数は422店舗となっております。出店エリアはアジアを中心とした6つの国と地域であります。

その他飲食事業においては、「カフェ山と海と太陽」と「モスド」をそれぞれ関東に新規出店したことに加え、不採算店舗の閉店や商品力の強化、サービス品質の向上を図り、収益力の改善に取り組みました。

 

①  中期経営方針

当社グループは、創業当時から50年以上に渡り理念体系「モスの心」が持つ価値観が全従業員に共有され、浸透しております。この度、「私たちの基本方針」に込められた私たちが大切にする精神を、商品やサービスを通じて世界のお客様にお伝えしていくため、新たな3ヶ年の中期経営計画を策定いたしました。

中長期のモスグループのありたい姿として、『「心のやすらぎ」「ほのぼのとした暖かさ」を、世界の人々に』を実現し、世界が注目する外食のアジアオンリーワン企業になる、を掲げました。

その実現に向け、主力事業である国内モスバーガー事業、海外事業については、1店舗あたりの収益性を高めることに取り組んでまいります。また、マーチャンダイジング事業、新規飲食事業、衛生事業については、主力事業に次ぐ新たな事業の柱として育成してまいります。

 

 

②  中期経営目標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業利益率、ROEであります。当該KPIを採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。

 

2027年度 連結財務数値

 

売上高

1,080億円

営業利益

63億円

親会社株主に帰属する当期純利益

38億円

営業利益率

5.8%

ROE

6.6%

 

(注)上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

③  セグメントごとの中期計画

<国内モスバーガー事業>

中期方針「モスの提供価値の実現と、既存店の基盤強化」

a.既存店の成長

・マーケティング(特別体験と日常使いのハイブリッドの推進等)

・DX投資(お客様接点を起点に考えたアプリの導入等)

・商品(モスの価値を体現する商品の導入等)

・FC力の発揮(地域密着の実現等)

b.将来に向けた拠点確保

・中長期視点を踏まえた商圏適合

・店舗価値向上

c.モスブランドを活用した新たな事業の展開(マーチャンダイジング事業)

・自社ブランドの価値と認知の向上

・マーケット拡大による新規顧客獲得

<海外事業>

中期方針「構造改革を進め、収益力を改善する」

a.BtoC事業:既存国の課題解決

・ブランド強化

・店舗利益パッケージの確立等

b.BtoB事業:グローバルで最適な食材供給ネットワークを構築

・グループ及び関係企業への生産供給機能の強化

・日本との合同調達によるグローバルSCMの構築等

c.マネジメント体制の強化

<その他飲食事業>

中期方針「既存業態のブラッシュアップと時代に対応した業態開発を加速する」

a.既存業態のブラッシュアップ

・MOSグループのブランドイメージの発信

b.ブランド(新業態)の開発

・時代に対応した業態開発のスピードアップ

c.紅茶事業の育成

その他の事業(主に衛生事業)

中期方針「長年培ってきた知見やチャネルを活用し、事業を拡大する」

a.モスグループ内の取り組み強化

b.検査技術能力の向上

c.新たなチャネルと事業領域の拡大

 

<全社横断テーマ>

・人材戦略

中期方針「『感謝される仕事』と『イノベーション(価値創造)』を生み出す人の集団になる」

a.理念体系「モスの心」の浸透

b.経営戦略と人材戦略の連動

c.ジョブ型要素の導入

d.働く環境の整備

・投資戦略

中期方針「投資・撤退基準を再整備し、成長性や収益性に基づいて集中的な投資を行っていくほか、中長期的な利益成長戦略を実現するためM&Aや事業提携による成長を図っていく」

a.お客様の満足度・利便性の向上

・店舗投資

・CRM・DX投資

b.海外事業の構造改革

・海外事業投資

c.経営効率の改善

・本部システム投資

・その他投資

d.M&Aや事業提携

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の拡大により、外食需要の回復が見られました。一方で、不安定な国際情勢による景気減速リスクに加え、原材料及びエネルギー価格の高止まりや為替変動による調達費用の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。厳しい経営環境下ではありますが、お客様の生活様式の変化に対応しつつ、ブランド価値及び業績のさらなる向上を目指し、以下の取り組みを実施してまいります。

 

①  国内モスバーガー事業(マーチャンダイジング事業を含む)

2025~2027年度を対象とする新たな中期経営計画(以下、「新中計」という)の方針としては、既存店の基盤強化を掲げております。選択した市場において優位性が発揮できるマーケティングの展開や、モスの価値を体現する商品を開発し、お客様の期待に応える商品を展開してまいります。

また、お客様を起点にしたデジタル化を進め、利便性向上に努めるほか、当社の強みであるフランチャイズチェーンの基盤を活用した地域密着活動にも取り組んでまいります。

さらに、マーチャンダイジング事業では、ECビジネスを確立させ、マーケット拡大による新規顧客の獲得と、他社の仕組みを活用した新たなチャネルを開拓し、販路を拡大してまいります。

②  海外事業

新中計の方針としては、2022~2024年度の中期経営計画からの構造改革を引き続き進めていくことと、収益力の改善を掲げております。日本の食文化を大切にした定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品の販売や、地域に根差した店舗展開を進め、日本発の外食チェーンとしてモスブランドの定着を図ってまいります。さらに、商圏の変化及びお客様のニーズの変化を捉えたマーケティングと個店ごとの販売力強化、リブランディングに取り組んでまいります。

③  その他飲食事業

サービスレベルの向上やテイクアウト、デリバリーの拡大など運営力をさらに磨き上げ、成長事業へと育てるべく取り組んでまいります。また、当社オリジナルの茶葉を活用した紅茶の卸売事業も強化してまいります。

④  SDGsの推進

理念体系「モスの心」に基づき、事業活動を通じて社会課題の解決と価値の創造に取り組み、当社の基本方針にある「心のやすらぎ」「ほのぼのとした暖かさ」を世界の人々に広げていくことを目指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社では、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクに対し、経営に関する重要事項について十分に審議のうえ、的確かつ迅速な意思決定ができるよう、原則として月1回開催の取締役会のほか、取締役によるミーティングを随時行っております。

特にサステナビリティに関しては、SDGsが目指す2030年の未来の姿になぞらえ、17のゴールと同時に目指すモスグループのありたい姿を「『心のやすらぎ』『ほのぼのとした暖かさ』を世界の人々に」といたしました。

この実現のため、またさまざまな社会課題を解決し持続可能な経営を一層進めることを目的にサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会による監督のもと、サステナビリティに関する取り組みの意思決定機関として原則として年4回開催しております。取締役社長が委員長となり、取締役5名、上席執行役員1名の委員とともに、全社方針や目標の策定、マテリアリティのモニタリングなどを通じ、グループ全体におけるサステナビリティ推進状況の審議・検討を行っております。

 

<ガバナンス体制図>


 

(2)戦略

当社グループは、理念体系「モスの心」を指針に、モスを取り巻くすべてのステークホルダーの皆さまとの価値共有を通じ、経営品質の向上を目指しております。2019年度にこれらの取り組みをあらためて社会的要請に照らし、本業を通じて社会課題の解決に貢献するため、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から事業におけるマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。以来、経営品質の向上と改善を図り事業を通じた新たな価値創造に取り組んでいくことで、サステナブルな企業であり続けることを目指してまいりました。その後は策定から3年ごとに、サステナビリティ委員会での審議・検討を経て見直しを行っております。

現在のマテリアリティは、4つのテーマ(食と健康、店舗と地域コミュニティ、人材育成と支援、地球環境)と16の具体的な取り組みで構成され、それぞれが主に関連するSDGsゴールをターゲットレベルで相関させるとともに、事業部門の業務分掌とも連動しており、事業上の責任範囲を明確にしております。また、ガバナンスはすべてのマテリアリティ推進を支える経営基盤として位置付けております。

 

<モスグループのマテリアリティ>


 

この中で、人的資本経営に関しては「人材育成と支援」をマテリアリティのテーマに位置付け、以下の方針のもと「人材育成」「健康経営」「ダイバーシティの推進」に取り組んでおります。

 

<人材育成方針>

当社グループでは、社員の成長の積み重ねが組織・会社の成長につながると考え、社員が自律的に今後のキャリアを考えながら必要なスキルを身につけられるよう、教育機会を選択できる環境を整えております。また、アントレプレナーシップを持った集団となるために、挑戦する機会を増やし、やり切った人がフェアに評価されるよう人事・評価制度を改訂するとともに、企業の永続的な発展を目指し、後継者育成計画を策定しております。

 

<社内環境整備方針>

当社グループでは、多様な視点を活かし機能させる組織風土を醸成することにより、新たな価値創造を生み出すことができると考え、ダイバーシティを推進しております。また、メンバー及びその家族の健康が最も大切な財産であり、すべてのメンバーが、心身ともに健康で、個性と能力を発揮しながら働くことができるよう積極的にサポートしております。

 

<人的資本経営に関する取り組み>

人材育成は「一人ひとりの成長と活躍の場づくり」を目指し、「多様なキャリアパスの整備」「人事制度のブラッシュアップ」「教育制度の充実」を進めております。キャリアパスと社員に求められる能力の提示、階層・年代別研修及び自己啓発制度の整備・拡充を行い、各自のキャリアイメージが具体化できる環境づくりに取り組んでおります。その中で、2024年度は国際大学のMBA1年制プログラムに1名と海外インターンシップに1名を派遣いたしました。国際大学への派遣目的は、経営全般の見識を身につけるとともに、異文化・多国籍な環境における実践的コミュニケーション能力とグローバルリーダーシップを持った人材を育成するためであります。また、海外インターンシップ派遣の目的は、モスグループの海外拠点にて1年間の就業体験を行い、様々な文化的背景やバックグラウンドを持つ仲間と一緒に仕事をする体験を通して、更なる自己成長の機会とするためであります。

 

健康経営は戦略的な施策の一つとして位置づけ、2022年度に「健康宣言」「戦略マップ」を策定・公表し、社員の健康を推進するために様々な取り組みを行っております。社員やその家族の相談窓口として、保健師による「健康相談室」、外部委託による「メンタル相談窓口」を開設しております。また、ストレスチェックも積極的に活用しております。ストレスが高い部門においては、産業カウンセラーによる個人ヒアリングを実施し、その結果に基づく改善活動を行っております。運動習慣対策のため、オフィス勤務者は平日15時に体操(モスレッシュ体操)を行い、グループ会社全体ではウォーキングイベントを行っております。また、店舗を含めて会社全体で残業時間数のモニタリングを毎月行い、過度の超過勤務とならないよう指導しております。こうした取り組みが評価され、6年連続で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。

 

「ダイバーシティの推進」のための取り組みとして、仕事と育児や介護の両立を支援する制度の整備を進めており、2022年度より育児短時間勤務制度の利用対象を拡大しております。

採用においては、特定技能制度を活用した、外国人材の採用・育成プログラム「ベトナム カゾク」によるベトナム人社員も増えており、更に新卒では留学生の採用も行っております。特例子会社である株式会社モスシャインが雇用する障がいのある社員は、本社だけでなく店舗でも勤務しており、社内の様々な場所で、多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍しております。

 

また、気候変動に関しては「地球環境」をマテリアリティのテーマに位置付け、TCFDへの賛同表明とともに、以下の方針のもと戦略に関する設定と開示を行っております。

 

<モスグループ環境方針>

当社グループでは、事業活動がもつ環境影響を認識して、循環型社会の実現と社会の持続的発展に向け、「コンプライアンスの順守」「環境負荷の低減」「社員の責任と自覚」「地域社会との共創」に取り組んでおります。

 

<気候変動に関する戦略>

当社グループでは、気候変動シナリオ分析を実施し、事業活動に影響を及ぼすリスク・機会の重要度を評価した結果、(1)炭素税の導入に伴う原材料価格の上昇、(2)プラスチックの代替素材への変更に伴うコストの増加、(3)消費者の行動の変化、(4)異常気象の頻発化・激甚化、の4項目を事業に大きく影響を及ぼす可能性がある重要なリスク・機会として判断いたしました。

これらの気候変動の重要なリスク・機会は、事業の戦略や財務に影響を及ぼすため、当社の戦略レジリエンス(強靭性)に組み込んでまいります。

※シナリオ分析の詳細は当社の企業サイト(https://www.mos.co.jp/company/)で開示しております。

 

(3)リスク管理

当社は、全社的な内部統制システムの整備、気候変動関連も含めたリスク及びクライシスのマネジメント、並びにコンプライアンス体制を推進する実働組織として、リスク・コンプライアンス委員会を設置しております。リスク・コンプライアンス委員会は、取締役社長を最高責任者、担当取締役を統括責任者とし、主要リスクを主管する各部門の部門長及び子会社の社長を委員に、リスク情報を管理している部門の部門長をオブザーバーに加え、リスクマネジメント部門の部門長を委員長として構成し、その内容は取締役会に報告しております。

また、特にマテリアリティに関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会において審議・検討のうえ、担当執行役員を通じて各事業部門の施策として戦略的に推進する仕組みを構築しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、マテリアリティの4つのテーマごとに、2030年度を目標年度とするKPIを設定しております。このうち特に「人材育成と支援」及び「地球環境」の指標と目標は以下のとおりであります。なお、連結グループにおける記載が困難であるため、「人材育成と支援」に関する指標と目標に関しては具体的な取り組みが行われている当社の数値を記載しております。

 

<マテリアリティのテーマ「人材育成と支援」>

女性活躍の一つの指標である当社の男女の賃金の差異は全労働者で64.8%(正規雇用労働者で81.1%)となっております。当社の人事制度では、性別による賃金の差は設けておりません。男女の賃金の差異は、全従業員における女性のパート・有期労働者の比率が当社グループにおいて展開する飲食店では非常に高くなっていることなどによる影響と考えております。男女の賃金の差異を縮小するために、女性が働き続けやすい職場環境や人事制度の整備を進め、女性活躍推進の取り組みを継続してまいります。

 

当社における女性管理職比率は2030年度の目標値として30%を掲げており、当連結会計年度の実績は、当社で管理職全体の19.0%であります (2025年3月31日現在)。

産休・育休後の復職率は100%をキープしており、そのメンバーが昇格していくことで、ジェンダー格差の縮小につながると考えております。

 

また、育児短時間勤務制度の改正やフレックス勤務の活用により、個々の事情に応じた柔軟な勤務体系を選択できる環境整備をしており、男性労働者の育児休業取得者も年々高まっております。

2024年度における当社の男性労働者の育児休業取得者は3名(2023年度は1名)、平均4ヶ月取得しております。当社の男性労働者の育児休業取得率は75.0%(2023年度は33.3%)であります。定期的な制度の周知を行うとともに、子供の誕生した社員には個別で育児休業取得を勧めております。また、2022年10月より新設された出生時育児休業中の就業を認める労使協定を締結し、男性労働者が業務の引き継ぎなどで完全な休業が難しい場合でも育児休業を取得しやすくいたしました。また、男性労働者の育児休暇推進のためのe-ラーニングやパパママ座談会を実施いたしました。当社における男性労働者の育児休業取得率の2030年度の目標値は85%としております。

 

<マテリアリティのテーマ「地球環境」>

TCFDへの賛同に基づき、温室効果ガス排出量削減とプラスチック対策を指標及び目標に設定しております。

具体的には、まず中期的な温室効果ガス排出量削減目標として、スコープ1及び2の排出量を2030年度までに46%削減(2013年度比)することを目指してまいります。2050年度にはカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指します。温室効果ガス排出量削減の取り組みとして、電気やガスなどの店舗のエネルギー使用量の把握や照明や空調、冷凍・冷蔵庫などの定期清掃や点検に加え、非化石証書の購入によるカーボンオフセット、再生可能エネルギー電力利用の検討、ノンフロン厨房機器の更なる導入を進めてまいります。また、モスバーガー独自の取り組みとして店舗への「グリーンカーテン」の設置を継続して促進してまいります。なお、2024年度は本社オフィスや各事務所の電気使用量相当以上の約130万kWh分の非化石証書を購入いたしました。さらに、2023年度に続き、自社系農場の「モスファーム信州」と「モスファームすずなり 磐田農場」が農林水産省による環境負荷低減の取組の「見える化」事業に新たに参画し、栽培するレタスが地域の標準的な農法に比べて15%以上温室効果ガス削減効果があるとされる★3の認定を受けました。これらの結果、2024年度までの進捗状況は38.3%削減(2013年度比)しております。

プラスチック対策は、2030年度までにお客様に提供する使い捨て製品における環境配慮型製品比率を100%にすることを目標にしております。従来、店内飲食でのリユース食器の使用や、テイクアウト用容器包装類の一部において石油由来のプラスチック使用量の削減に取り組んでまいりましたが、今後より一層の規制強化が見込まれる環境法規制への対応を進めるため、使い捨てプラスチック製品における「環境配慮設計の促進」及び「使用の合理化」を強化してまいります。2024年度は、ホットドッグパッケージの見直しを行い、それまで使用していたプラスチック製フィルムを使わずに提供できるように改良いたしました。この結果、環境配慮型製品比率は83.2%となりました。2025年度以降も引き続き環境対策を一層推進してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとそのマネジメント体制等については、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメント体制

① 背景と基本的考え方

大規模自然災害の増加や国際的な政治情勢の変化、世界的な原材料・エネルギー価格の高騰等、当社グループを取り巻く事業環境の不確実性(リスク)は増大しており、当社ではリスクマネジメントの重要性はますます高まっているものと認識しております。

当社グループは、リスクマネジメントについて、これを資本・リスク・収益のバランスを取りながら、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図る一連の経営管理プロセスと位置付けており、リスクを損失や脅威(マイナスの面)として捉えるだけでなく、その機会の面(プラスの面)にも着目し、損失の回避・低減を図りつつ、リターンの最大化を追求してまいります。

② 取締役会によるリスクマネジメント

取締役会は、内部統制システムの整備及び運営の監督並びに緊急時(重大なコンプライアンス違反、重大な食品事故、甚大な被害が生じた災害等)の危機対応を行います。

また、重要な投融資、新規事業投資等については、取締役社長及び役付執行役員並びに執行役員で構成する経営会議の下に設置した管理部門確認会及びスクリーニング会議において、事前に資本・リスク・収益のバランスに関する分析を行ったうえで取締役会に付議する体制を構築しており、これによって財務リスクのマネジメントを行っております。具体的には、取締役会の付議書には、資本コストと比較した投資額とその回収期間、想定されるリスクとその対処方法を明記することになっており、取締役会はリスク選好とリスク許容度(許容可能なリスクの特定とその水準)を明確にしたうえで付議議案を決裁することにより経営リスク及び戦略リスクのマネジメントを行っております。 なお、経営企画部門は、取締役会、経営会議その他重要会議の事務局として、それぞれの会議が適正に運用されるよう起案すべき議案が漏れていないか、その経営判断に必要な資料、データ等が揃っているか等を確認しております。

③ 委員会によるリスクマネジメント

オペレーショナルリスク、クライシスのマネジメント及びコンプライアンス体制の推進等に関しては、リスク・コンプライアンス委員会を、ディスクロージャーの信頼性リスク(財務報告リスク)のマネジメントに関しては内部統制委員会を設置し、両委員会で緊密に連携しながらこれらについて全社横断的に対応しております。

リスク・コンプライアンス委員会は、取締役社長を最高責任者、担当取締役を統括責任者とし、主要リスクを主管する各部門の部門長及び子会社の社長を委員に、リスク情報を管理している部門の部門長をオブザーバーに加え、リスクマネジメント部門の部門長を委員長として構成しております。内部統制委員会は、財務報告において実務的役割を担う部署の責任者を委員に、内部監査部門の部門長を委員長として構成しております。また、内部監査部門は、独立的かつ客観的な立場から内部監査を行うため、取締役社長直轄の独立部門として組織されております。

なお、2025年4月から、両委員会の連携をさらに緊密にするため、リスク・コンプライアンス委員会の統括責任者がオブザーバーとして内部統制委員会に参加しております。

 

 


 

(2) 主要リスク・重大リスクの評価プロセスとマネジメントサイクル

① 定義

当社は、当社グループの「事業に影響を及ぼす可能性があるリスク」を「主要リスク」と定義し、各事業の抱える多様なリスクを網羅的に把握・特定したうえで、リスク・コンプライアンス委員会が一連のサイクルを循環させることによって、継続的な改善活動を展開しております。主要リスクのうち「全社的に優先対応すべきリスク」を「重大リスク」と定義し、リスクマネジメント部門を中心に部門横断的に対策を実施し、当社グループ全体で重大リスクのマネジメントを推進しております。

② リスク評価プロセス

リスク・コンプライアンス委員会は、中期経営計画の策定サイクルに合わせて主要リスクを主管する各部門の部門長等にリスク調査票を配布し、部門長は新たなリスクや既存のリスクの大きさと変化がある場合はその変化量を報告しております。これにより把握・特定されたリスクについて、リスク・コンプライアンス委員会内のリスク評価会議においてその影響度と発生可能性に関して協議し、リスクの大きさを決定しております。リスクの影響度については、定量的な評価(売上・資産の減少、損害賠償等の経済的損失)と定性的な評価(社会的評価、ブランドイメージの毀損等)の両面からアプローチして評価を行っております。

リスクマネジメント部門は、主要リスクに対し、顕在化のスピード、そのリスクを主管する部門で取られている対策の有効性についての評価も加えた総合的なリスク評価によってこれを絞り込み、取締役社長と担当取締役との協議により順位付けを行ったうえで今期の重大リスクを決定しております。

 

影響度(a)

発生

可能性

顕在化のスピード

対策の

有効性

 

定量評価

定性評価

 

評価結果

(ア)

(イ)

(ウ)

 

 

売上・資産の損失額

損害賠償額(違約金・補償金等含む)

ブランド評価企業イメージ毀損

(ア)~(ウ)の最大値(a)

(b)

(c)

(d)

最大値(a)×(b)×(c)×(d)

 

 

 

③ リスクマネジメントサイクル

リスク・コンプライアンス委員会の委員長は、各リスクの対応に関する基本方針と年間の活動スケジュールを「コンプライアンス・リスクマネジメント推進プログラム」(以下、推進プログラムという)として取締役会に報告しております。

取締役会は、主要リスクについてダウンサイドだけではなくアップサイドの面にも着目し、グループの成長戦略に反映しております。

リスクマネジメント部門及び主要リスクを主管する各部門は、上記の推進プログラムに基づいてリスク対応を行い、その実施状況について四半期に1回リスク・コンプライアンス委員会に報告し、同委員会では必要に応じリスク対応の変更、施策の追加等について協議し、その結果を当該部門にフィードバックしております。

月次の活動として、リスク対応の実施状況、モニタリングの結果及びフォローアップの状況について、取締役会に報告しております。

 


 

(3) 内部監査部門、監査役との連携

内部監査部門はリスク評価プロセスの検証を行います。具体的には、部門の谷間に落ちて評価の対象となっていないリスクがないか、相互に作用しあう関連する複数のリスクを合わせて評価しているか、対策が部門間のリスク移転になっていないか、固有リスクに対し残余リスクが低く見積もられていないか(対策の有効性が高く評価されすぎていないか)等の視点で、リスクの特定、分析、評価、絞り込みの各プロセス全般を検証しております。また、内部監査部門は、リスクアプローチの考え方を取り入れ、リスク・コンプライアンス委員会によるリスク評価や三様監査ミーティングで共有した監査結果、内部監査で得たリスク情報等に基づき年間の監査計画を策定しております。

監査役との連携については、常勤監査役2名はリスク・コンプライアンス委員会及び内部統制委員会に出席し、独立社外監査役2名はその知識、経験、能力に応じて分担してそれぞれがどちらかの委員会に出席して、必要に応じ意見を述べております。また、監査役会では、重大リスクと監査役監査における主な検討事項との整合性を確認しております。

 

 

(4) 当社グループの主要リスクは以下のとおりであります。

分類

リスク項目

内   容

 

 

 

 

重大リスク

食品事故リスク

危険異物の混入、食中毒の発生、工場等での食品事故により店舗に対し食材を供給できない等

店舗マネジメントリスク

設備に起因する事故、交通事故、お客様及び従業員の個人情報漏えい、その他店舗における事件・事故、トラブル、法令・条例違反、マニュアル・内規違反、店舗が集中している地域での自然災害の発生等

人事労務リスク

労働基準法等の法令・条例違反、ハラスメント、就業規程・社内ルールからの逸脱、人手不足、メンタル疾患、人的損失の発生、業務品質の低下、生産性の低下等

法令違反リスク

経営者や社員による不正行為、法令・条例違反、食品衛生法をはじめとする食品衛生関連のほか、環境関連・設備関連・労働関連等の様々な法規制等が変更又は強化された場合の対応等

サプライチェーンリスク

自然災害やパンデミック、政治的不安や地域紛争、原材料や部品の価格高騰や欠品、当社グループや取引先に対するサイバー攻撃やシステム障害等によって、食包材や消耗品・厨房機器・家具・看板等を加盟店に計画どおりに供給できない等

情報セキュリティリスク

不測の事件・事故による個人情報や機密情報等の漏えい、情報システムの停止による店舗への食材供給の停止や障害、風評被害等

 

海外事業リスク

海外店舗における事件・事故、コンプライアンス違反、進出国やその周辺地域における政情・経済・法規制等の各国・地域に特有なカントリーリスク、パートナーリスク等

人権リスク

自社事業及びサプライチェーン等の活動における強制労働、児童労働、ハラスメントや差別、プライバシー侵害等

ガバナンスリスク

不適切な情報、虚偽情報等の発生、人権問題等に関する対応、不祥事による株主代表訴訟等

FCリスク

本部とFC加盟店及びFC加盟店間のトラブルや摩擦、訴訟、FC加盟店オーナーの高齢化等による経営意欲の減退、事業承継の停滞等

環境リスク

気候変動による調達リスクの増加、多大な食品ロスの発生、環境関連の法令・条例の制定や改正等

感染症リスク

店舗閉鎖・休業・営業時間短縮等による業績の悪化、風評被害、罹患、クラスター発生、安全配慮義務の不足、生産性の低下等

 

 

(5) 当社グループの重大リスクは以下のとおりであります。

① 食品事故リスク

<リスクの概要>

店舗の営業において、危険異物の混入や食中毒の発生等の食品事故が発生した場合に、営業停止等の処分を受ける可能性があります。工場等での食品事故により、当社グループが店舗に対し食材を供給できない事態となった場合も含め、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<脅威と機会>

衛生問題による営業停止、商品供給の停止等が発生した場合は、社会からの信頼喪失と企業価値の低下にもつながりかねません。一方、重点的にリスク対策を行い、発生可能性を継続的に抑制することによって、食の安全・安心ブランドを確立し、競争優位性を確保することもでき、当社グループにおける飲食事業の持続的な成長を支えることが可能となります。当社グループは、「食を通じて、世界中の人を幸せにすること。」という私たちの使命のもと、食品の「安全」「安心」を確実なものとするために、持続的な食品安全レベルの向上に取り組んでまいります。

 

<対応策>

当社グループでは、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に加え、ISO22000に準拠した独自の「モス食品安全基準」を構築しております。この基準は、農産物の産地選定、製造工場の選定・管理から、物流管理、トレーサビリティ管理、店舗での衛生管理までの一連の流れに加え、店舗の設計、商品開発も含めて幅広くサプライチェーン全体をマネジメントするシステムとなっております。また、「モス食品安全基準」に基づき、年2回の店舗衛生監査の実施、毎週開催の食品安全会議における各専門部署によるモニタリングと改善活動等を行っております。さらに「モス食品安全基準」は毎年見直しを行い、当社グループの事業の多様化や、社会情勢、お客様の価値観の変化等に速やかに対応できる体制も整えております。

② 店舗マネジメントリスク

<リスクの概要>

当社グループの店舗において事件・事故、トラブル、コンプライアンス違反等が発生した場合には、お客様と従業員に安全管理上の問題が生じるほか、発生店舗の営業継続が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<脅威と機会>

営業活動の短縮や停止に至った場合は、風評による影響が懸念される事態も想定されます。一方、お客様と従業員の安全管理を徹底し、お客様相談室にて常にお客様の生の声をお聴きしてその声を積極的に活かすことによって、社会から信頼されるブランドとなり、地域社会においてなくてはならない店舗として安定的な事業の基盤を作ることが可能となります。当社グループは、経営理念である「人間貢献・社会貢献」の実現に一貫して取り組んでまいります。

<対応策>

当社グループは、全店での定期的な安全管理検査や店舗従業員へのリスクマネジメント教育の実施等により、お客様と従業員の安全管理を徹底しております。特に、当連結会計年度においては、過去の一酸化炭素中毒事故の再発防止策として、各店で毎月行っている安全点検に加え、あらためて全店一斉点検を実施いたしました。また、自然災害や感染症等の緊急時においては、店舗の営業中止、継続等に関する基準を設定し、迅速に対応できる体制の整備、強化を進めております。

③ 人事労務リスク

<リスクの概要>

労働基準法等の法令違反、ハラスメント、就業規程、社内ルールからの逸脱等があった場合には、働きがいやモチベーションの低下を招きかねず、労働市場が逼迫する中、それらが起因して優秀な人材の流出や人材確保が困難となる事態に至った場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
<脅威と機会>

人材不足や人件費の高騰、組織力、帰属意識、労働生産性等の低下に陥る場合も想定されます。一方、現在当社グループが取り組んでいる「人的資本経営」を推進することによって、多様性があり健康で安全な職場、働きがいのある会社を実現し、優秀な人材の確保、労働生産性の向上につなげることも可能となります。当社グループは、私たちの文化である「どうせ仕事をするなら、感謝される仕事をしよう。」を「人的資本経営」の中心に置き、グループ一丸となってこれを推進してまいります。

<対応策>

当社グループは、人事制度の見直し、教育制度の拡充、キャリア自律を主要施策とする「人的資本経営」に取り組んでおり、具体的には、女性従業員の育児休業復職率100%の継続、男性従業員の育児休業取得促進、専門性の高い中途人材の採用、ベトナムからの特定技能資格取得者の受入れ等、多様性を推進してまいりました。また、「モスフードサービス健康宣言」を定め、産業医・保健師から社内への定期的な情報提供によるヘルスリテラシーの向上セミナーを実施するなど健康的で働きがいのある環境整備にも努めております。さらに、従業員の成長は組織の成長につながり、その積み重ねが未来へとつながっていくという考えのもと、キャリアパスと求められる能力を明確にするとともに、管理職や専門職、店長等の認定制度を整備し、さらに従業員のチャレンジをサポートする制度の拡充も図っております。

 

④ 法令違反リスク

<リスクの概要>

経営者や従業員による不正行為、法令・条例違反等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの店舗は食品衛生法をはじめとする食品衛生関連のほか、環境関連、設備関連、労働関連等の様々な法規制等を受けております。これらの法規制等が変更、強化された場合は、その対応のための費用が増加する可能性があります。

<脅威と機会>

万一の事態が発生した場合は、社会的信用の毀損、喪失等も想定されます。一方、関連法規制に迅速に対応するだけでなく、それらの法規制の改正を待たずに先行して対応を行うこと等によって社会から信頼されるブランドの確立につなげることも可能となります。

<対応策>

当社グループでは、店舗を含めたグループの従業員全員が「モスグループ行動規範」を確認するための「読む日」を毎年定め、その周知徹底を図っております。また、役員・従業員を対象にコンプライアンス研修を実施し、当連結会計年度では、「アンコンシャス・バイアスと無自覚ハラスメント」をテーマとしたハラスメント防止の研修に役員を含む管理職が受講、一般社員はハラスメントを含むコンプライアンス全般のe-ラーニングを実施し、対象者全員が受講しております。同時にコンプライアンスに関する意識調査も行ない、その効果を検証したうえで、翌年度の活動に役立てる仕組みになっております。内部通報制度についてはその周知徹底を継続的に行っており、法令違反や不正等の防止に努めております。

⑤ サプライチェーンリスク

<リスクの概要>

当社グループでは、お客様が安心して店舗をご利用いただけるよう、一定レベル以上の基準を設けたうえで、食材をはじめとする店舗の営業に必要な包装資材、消耗品、厨房機器、家具、看板等のほぼ全てを加盟店に供給しております。従って、自然災害やパンデミック、政治的不安や地域紛争、原材料や部品の価格高騰や欠品、当社グループや取引先に対するサイバー攻撃やシステム障害等によってこれらを加盟店に計画どおりに供給できない事態となった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<脅威と機会>

上記のような事態となった場合は、一部商品の販売停止、店舗の休業、これらによるお客様の利用動機の減少等も想定されます。一方、どのような事態でも安定的に供給できる、それができない場合は、最低限の影響にとどめる、又は短期間で回復できるレジリエントなサプライチェーンを構築することによって、加盟店に対する供給責任を果たしつつ、当社グループにおける卸売収益の安定化を図ることも可能となります。

<対応策>

当社グループでは、複数社購買や複数拠点での生産等の供給ルートの複線化、物流の最適化等を推進するとともに、主要食材の一部については数ヶ月分の在庫量を確保し、不測の事態に備えております。

⑥ 情報セキュリティリスク

<リスクの概要>

当社グループでは、店舗の営業活動、食材等の受発注のための情報システムに障害が発生した場合、店舗への食材供給が停止し、決済や各種注文などお客様へのサービスが困難になることで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、不測の事件や事故による個人情報や機密情報等の漏えい等が発生する可能性があります。

<脅威と機会>

情報漏洩やシステム停止といった事態が発生した場合、社会的信用の失墜は計り知れず、企業価値を大きく損なうことも想定されます。一方、強固な情報セキュリティ基盤を構築し、適切な対策を講じることは、お客様や取引先からの信頼獲得につながり、「安全・安心」な企業イメージを確立する機会となります。また、効率的かつ安定的な事業運営を支え、当社グループの持続的な成長を支える基盤となります。

<対応策>

当社グループでは、情報セキュリティ統括責任者及び当該統括責任者が選任した情報セキュリティ管理責任者を置き、「情報セキュリティポリシー(情報保護のための基本方針)」に基づいて、情報セキュリティの組織体制を整備しております。従業員への教育・訓練としては、年2回の情報セキュリティに関するe-ラーニング、標的型攻撃訓練メール等を実施しております。さらに、アクセス制御の強化、不正アクセス対策、マルウェア対策、脆弱性対策、バックアップ体制の構築、インシデント発生時の対応等、さまざまな対策を講じております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度においては、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の拡大により外食需要の回復が見られました。一方で、不安定な国際情勢による景気減速リスクに加え、原材料及びエネルギー価格の高止まりや為替変動による調達費用の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような環境の中、基幹事業である国内モスバーガー事業においては、消費の二極化に対応した商品として、プレミアム価格帯の新たな定番商品や期間限定商品を発売いたしました。レギュラー価格帯を含めた価格のグラデーション化によりお客様の選択肢を増やすことで、より幅広い層のお客様の獲得につながりました。さらに、全社的に費用対効果を意識することで販管費の抑制を徹底したほか、在庫回転率向上による保管費の減少、移送の効率化などコストの抑制に取り組みました。海外事業では、既存店の強化に努めるとともに、不採算店舗の閉店や価格改定、本社経費の抑制など収益性の改善に取り組みました。

また、ESGの観点から当社グループのマテリアリティ(重要課題)のテーマを、①食と健康、②店舗と地域コミュニティ、③人材育成と支援、④地球環境の4つに定め、事業活動を通じて社会に向けた価値創造に取り組んでおります。

これらの結果、当連結会計年度の連結業績は売上高が961億85百万円(前年度比3.4%増)、営業利益52億23百万円(同24.8%増)、経常利益55億69百万円(同26.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は31億50百万円(同22.4%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<国内モスバーガー事業>

国内モスバーガー事業では、お客様のニーズに合わせた商品開発、マーケティング展開に加え、お客様との接点の質と量を強化し、地域に密着した店舗運営を推進したことで、既存店売上高・客数・客単価が前年度を上回りました。

 

モスバーガー既存店及び全店実績(2024年4月~2025年3月)

(前年度比)

既存店売上高

既存店客数

既存店客単価

全店売上高

104.3%

102.5%

101.8%

105.4%

 

 

a.  商品・マーケティング施策

当連結会計年度においては、日本の食文化を大切にした商品開発と、「和ごころエンジョイ」をキャッチフレーズにしたマーケティングを展開いたしました。

 

春キャンペーン

日本の良さを存分に楽しめる高付加価値バーガーとして、国産牛100%使用のパティを使用した“新とびきり”シリーズを3月下旬から販売いたしました。5月には、国産素材にこだわった専用の“照りやきソース”を使用した「新とびきり 謹製 とろったま照りやき ~北海道チーズ~」を販売いたしました。

夏キャンペーン

当社の看板商品「モスバーガー」をアレンジし、こだわりのチーズソースをふんだんにかけた、真っ白なビジュアルが目を引く、夏の定番商品「白いモスバーガー」を販売いたしました。

秋キャンペーン

月見商戦で盛り上がる9月には、昔ながらの秋の風物詩である「お月見」をイメージした季節定番の「月見フォカッチャ」と“裏月見”を訴求した「メンチカツフォカッチャ」を販売いたしました。

冬キャンペーン

11月より、日本の良さを存分に楽しめる高付加価値バーガーとして、国産牛100%使用のパティを使用した「新とびきりアボカド」や、一頭買いした黒毛和牛の希少部位を含めた19部位全てをパティに使用した「一頭買い 黒毛和牛バーガー ~山わさび醤油仕立て~」を販売いたしました。

地域限定商品

日本で生まれたハンバーガーチェーンとして、日本各地の食材や特色を活かした魅力ある商品を、エリア限定商品として展開いたしました。

「淡路島産 たまねぎバーガー 和風しょうゆ仕立て」

「新とびきり 大盛りトマト モス野菜チーズバーガー」(※地域産トマト使用)

「新とびきり 大盛りトマト チリバーガー」(※地域産トマト使用)

「金沢カレーカツバーガー」

「みそグラチキンバーガー ~静岡県産サラダほうれん草使用~」

 

 

b.  店舗施策

居心地の良い店舗空間づくりを推進したほか、カフェ需要に対応して、ドリンクやスイーツを充実させました。さらに、店舗スタッフの業務手順の見直しや、焼成などオペレーションの時間短縮が可能な厨房機器を導入することで生産性を向上させ、お客様への商品提供時間の短縮に取り組みました。また、店舗看板を視認性の高いシンプルなデザインに順次リニューアルしております。

 

出退店実績(2024年4月~2025年3月)

(2024年3月末比)

出店数

退店数

店舗数

増減

26

18

1,321

+8

 

 

c.  デジタル技術の活用

デジタル技術を活用し、CX(お客様の体験価値)とEX(社員や店舗メンバーの働きがい)の向上を目指しております。お客様の利便性向上に向けた取り組みとしては、レジに並ばず注文できる「お席で注文」を全店に導入いたしました。さらに、将来の人手不足を見据えた対策として「フルセルフレジ」の導入や、デジタルサイネージを活用したドライブスルーでの注文時間の短縮に取り組みました。

 

d.  新たな事業展開

マーチャンダイジング事業では、ECサイト「モスライスバーガー専門店」において、海外の料理をヒントに開発した新商品を販売し、商品ラインナップの充実を図っております。また、新たなチャネル獲得の取り組みとして、当社監修商品を他社チャネルで販売いたしました。

今後も取り組みを拡大し、ブランドの価値向上とともに、新たな収益源へと育ててまいります。

 

e.  ESGへの取り組み

モスグループの各事業を通じて社会課題の解決に貢献するために、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ経営を通じてさらなる企業価値の向上を推進しております。

 

 

 主な取り組み(2024年4月~2025年3月)

「こどモス」プロジェクトを開始

2024年5月から全国のモスバーガー店舗で「こどモス文庫」や「こどモス優先席」を設置するなど、お子様連れのお客様がモスバーガー店舗でのひとときをこれまで以上に楽しんでいただくための子育て応援施策「こどモス」プロジェクトを開始いたしました。

静岡、長野のモスファームで温室効果ガス排出量の削減貢献率20%を達成

温室効果ガス排出量を削減した野菜の生産を積極的に推進しております。「モスファームすずなり」(静岡県)と「モスファーム信州」(長野県)で生産するレタスが温室効果ガスの排出量を地域の標準的な農法と比べて20%以上削減していることが認められ、農林水産省が推進している『温室効果ガス削減の「見える化」ラベル』(愛称:みえるらべる)の星3つを取得いたしました。

ドリンクスタンド

「Stand by Mos」をオープン

「健康」「エシカル」「モスの野菜」をテーマに、主に規格外品などで廃棄されてしまう野菜を使用したドリンクを販売する新業態のドリンクスタンド「Stand by Mos」(スタンドバイモス)を、東武東上線「池袋駅」の改札内に2024年8月にオープンいたしました。

「新潟MOSごと美術館2024」の

作品をカップデザインに初採用

障がいのある方々が描いたアート作品を店舗に展示する「新潟MOSごと美術館2024」の作品の中から、新潟県佐渡市在住の前田優作さん作『Fire works』及び『秋桜と朱鷺』をコールドドリンク紙カップのデザインに採用し、新潟県の全店舗と原宿表参道店(東京都渋谷区)にて、2024年9月中旬から数量限定で提供いたしました。

音楽レーベル

“MOS RECORDS”を設立

2024年4月から全国のモスバーガー店舗で働くスタッフ(社員・キャスト)を対象に、次世代アーティスト・クリエイターを発掘・応援・共創する“MOS RECORDS”(モスレコーズ)プロジェクトを開始し、働く環境の魅力化と人材確保に取り組みました。9月には100名もの応募者が参加した第1回オーディションにて選ばれたアーティスト「Lui」(ルイ)がデビューしました。

規格外トマトや間伐材を使用した

ふるさと納税返礼品を提供開始

熊本県八代市の返礼品として「モスバーガー厳選 規格外トマトのスパイシーチキンカレー」、長野県松川町の返礼品として間伐材を使用した「森を育てるIDケース」「森からうまれたリルモスのピンバッジ」の提供を2024年11月から開始いたしました。

「愛のモスボックス贈呈式」を

実施

全国の店舗に設置している募金箱「愛のモスボックス」に、お客様から寄せられた募金を公益財団法人アイメイト協会及び一般社団法人日本フードサービス協会の「ジェフ愛の募金」に寄付いたしました。

 

 

以上の事業活動の結果、国内モスバーガー事業の売上高は766億26百万円(前年度比4.4%増)となり、セグメント利益(営業利益)は63億89百万円(同9.0%増)となりました。

 

<海外事業>

海外事業では、商圏の変化及び人流の変化に合わせた不採算店舗の閉店や既存店の改装、本社経費の抑制など、収益性改善に取り組み、セグメント利益(営業利益)は前年度を上回りました。

マーケティングは、日本の食文化を大切にした定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品を販売するなど、地元のお客様にも愛される、地域に根差した店舗展開を進めております。

 

 

海外店舗数増減

 

国・地域名

2023年12月末時点

2024年12月末時点

増減数

台湾

305

299

△6

香港

49

43

△6

シンガポール

42

36

△6

タイ

29

24

△5

韓国

14

13

△1

フィリピン

8

7

△1

中国

6

△6

オーストラリア

3

△3

合計

456

422

△34

 

※海外事業に属する関係会社の会計期間は2024年1月から12月であるため、同期間の情報を記載しております。

※選択と集中の結果、中国の店舗は2024年7月をもって、オーストラリアの店舗は2024年9月をもって全店閉店しております。

 

 

以上の事業活動の結果、海外事業の売上高は166億8百万円(前年度比1.2%減)、セグメント利益(営業利益)は4億86百万円(同4億62百万円の利益増)となりました。

 

<その他飲食事業>

その他飲食事業は、不採算店舗の閉店や商品力の強化、サービス品質の向上を図り、収益性の改善を進めております。

9月に関東初出店となる「カフェ 山と海と太陽 アトレ亀戸店」をオープンしたほか、10月には、モスバーガーとミスタードーナツのコラボレーション店舗「MOSDO(モスド)ららぽーと新三郷店」をオープンいたしました。3月には、こだわりの玄米定食が気軽に楽しめる「玄米食堂あえん 川口駅前店」をオープンいたしました。

 

その他飲食事業概要

(2025年3月末時点)

 

事業

事業の内容

店舗数

マザーリーフ

スリランカの茶園直送の紅茶とアメリカンワッフルを提供する紅茶専門店

4

マザーリーフ

ティースタイル

新しい紅茶のスタイルを提案するセルフスタイルカフェ

7

モスド

モスバーガーとミスタードーナツとのコラボレーションショップ

※「ららぽーと新三郷店」オープン(10月)

2

モスプレミアム

グルメバーガーとお酒が楽しめるフルサービスレストラン

2

カフェ 山と海と太陽

バリエーション豊かなドリンクとハンバーガーを提供するカフェ店舗

※「アトレ亀戸店」オープン(9月)

2

あえん

四季折々の旬菜料理を提供する和風レストラン

4

玄米食堂あえん

こだわりの玄米定食をメインにした食堂タイプの「あえん」

※「川口駅前店」オープン(3月)

3

合計

24

 

 

以上の事業活動の結果、その他飲食事業の売上高は18億5百万円(前年度比1.8%減)、セグメント損失(営業損失)は1億9百万円(同17百万円の損失増)となりました。

 

 

<その他の事業>

連結子会社の株式会社エム・エイチ・エスは衛生管理、株式会社モスクレジットはFC加盟店を対象とした機器レンタルや保険・金融、株式会社モスシャインはグループ内業務のアウトソーシング等により主に国内モスバーガー事業やその他飲食事業を支援しております。

これらによるその他の事業の売上高は11億44百万円(前年度比11.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は5億91百万円(同18.5%増)となりました。

 

当連結会計年度の財政状態につきましては以下のとおりであります。

a. 資産

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ8億65百万円増加し、805億76百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ39億56百万円増加し、固定資産は30億91百万円減少しております。流動資産が増加した主な理由は、現金及び預金が増加したこと、売上の増加により売掛金が増加したこと及びキャッシュレス決済増加により未収入金が増加したことによるものであります。固定資産が減少した主な理由は、時価の変動等によって投資有価証券が減少したこと及び減損損失の計上等により有形固定資産が減少したことによるものであります。

b. 負債

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度に比べ13億74百万円減少し、262億50百万円となりました。この減少の主な理由は、仕入債務や未払金が増加した一方で、リース債務及び借入金が減少したことによるものであります。

c. 純資産

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度に比べ22億39百万円増加し、543億26百万円となりました。この増加の主な理由は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末65.0%から当連結会計年度末は67.1%と2.1ポイント増加しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー73億46百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△16億42百万円、財務活動によるキャッシュ・フロー△37億30百万円等により、前連結会計年度末に比べ21億31百万円増加し、252億87百万円(前年度比9.2%増)となりました。

a. 営業活動によるキャッシュ・フロー

主として、売上債権、棚卸資産、仕入債務等の運転資金の増減に加え、法人税等の支払額の増加により資金が減少したため、前連結会計年度に比べ28億14百万円減少し、73億46百万円となりました。

b. 投資活動によるキャッシュ・フロー

主として、投資有価証券の売却による収入の減少によって資金が減少した一方で、出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が減少したことにより資金が増加したため、前連結会計年度に比べ4億93百万円増加し、△16億42百万円となりました。

c. 財務活動によるキャッシュ・フロー

主として、短期借入金の純増減額の増加及びリース債務の返済による支出の減少により資金が増加したため、前連結会計年度に比べ2億13百万円増加し、△37億30百万円となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績及び受注実績

当社グループのうち一部の連結子会社において生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、生産実績及び受注実績については記載しておりません。

 

b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内モスバーガー事業

40,831

105.9

海外事業

4,397

88.7

その他飲食事業

644

101.4

その他の事業

899

106.3

合計

46,773

103.9

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内モスバーガー事業

76,626

104.4

海外事業

16,608

98.8

その他飲食事業

1,805

98.2

その他の事業

1,144

111.5

合計

96,185

103.4

 

(注) 

セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

 

(i) 国内モスバーガー事業
(ア)部門別販売実績

部門

金額(百万円)

前年同期比(%)

 加盟店への卸売上高

49,083

105.3

 直営店売上高

24,147

102.3

 その他の営業収入

2,930

107.1

顧客との契約から生じる収益

76,161

104.4

その他の収益

465

110.1

外部顧客への売上高

76,626

104.4

 

 

(イ)地域別店舗売上高

地域

期末店舗数(店)

金額(百万円)

前年同期比(%)

北海道地域(北海道)

53(20)

4,521

104.5

東北地域(青森・岩手・宮城・秋田・山形・

福島)

79(13)

7,406

104.0

北陸地域(新潟・富山・石川・福井)

45(1)

4,615

105.3

群馬・栃木地域(群馬・栃木)

49(-)

4,671

105.7

千葉・茨城地域(千葉・茨城)

79(15)

 7,542

107.0

埼玉地域(埼玉)

72(17)

6,905

106.9

東京地域(東京)

186(68)

19,407

103.7

神奈川地域(神奈川)

92(24)

8,643

106.8

東海地域(山梨・長野・静岡)

73(3)

7,128

103.9

中京地域(岐阜・愛知・三重)

117(5)

13,888

105.0

近畿地域(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・

和歌山)

183(73)

19,048

107.2

中国地域(鳥取・島根・岡山・広島・山口)

77(2)

8,412

106.0

四国地域(徳島・香川・愛媛・高知)

32(-)

3,638

105.5

九州地域(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・

宮崎・鹿児島)

162(9)

16,692

105.1

沖縄地域(沖縄)

22(1)

2,791

106.3

合計

1,321(251)

135,314

105.4

 

(注) 1.( )内数字は、直営店舗数で内数であります。

2.店舗売上高とは当社グループ直営店及びフランチャイズ加盟店の売上高を合算したものであり、連結損益計算書に記載されている売上高とは一致しておりません。

 

 

(ⅱ) 海外事業
(ア)部門別販売実績

部門

金額(百万円)

前年同期比(%)

 加盟店への卸売上高

 直営店売上高

10,489

98.4

 その他の営業収入

6,119

99.4

顧客との契約から生じる収益

16,608

98.8

その他の収益

外部顧客への売上高

16,608

98.8

 

 

(イ)地域別店舗売上高

地域

期末店舗数(店)

金額(百万円)

前年同期比(%)

シンガポール

36(36)

4,530

98.5

香港

43(43)

5,958

98.4

合計

79(79)

10,489

98.4

 

(注) 1.( )内数字は、直営店舗数で内数であります。

2.店舗売上高とは当社直営店及びフランチャイズ加盟店の売上高を合算したものであり、連結損益計算書に記載されている売上高とは一致しておりません。

3.連結子会社のみを記載対象としております。

 

 

(ⅲ) その他飲食事業
(ア)部門別販売実績

部門

金額(百万円)

前年同期比(%)

 加盟店への卸売上高

13

100.1

 直営店売上高

1,785

98.1

 その他の営業収入

6

113.1

顧客との契約から生じる収益

1,805

98.2

その他の収益

0

100.2

外部顧客への売上高

1,805

98.2

 

 

(イ)地域別店舗売上高

地域

期末店舗数(店)

金額(百万円)

前年同期比(%)

北海道地域(北海道)

1(1)

75

114.6

東北地域(青森・岩手・宮城・秋田・山形・

福島)

-(-)

北陸地域(新潟・富山・石川・福井)

-(-)

群馬・栃木地域(群馬・栃木)

-(-)

15

24.4

千葉・茨城地域(千葉・茨城)

2(2)

105

101.3

埼玉地域(埼玉)

4(4)

243

129.3

東京地域(東京)

9(9)

761

114.0

神奈川地域(神奈川)

3(3)

183

56.4

東海地域(山梨・長野・静岡)

1(1)

72

103.1

中京地域(岐阜・愛知・三重)

-(-)

34

49.0

近畿地域(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・

和歌山)

1(1)

75

99.5

中国地域(鳥取・島根・岡山・広島・山口)

2(2)

227

116.3

四国地域(徳島・香川・愛媛・高知)

-(-)

九州地域(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・

宮崎・鹿児島)

1(-)

46

101.3

沖縄地域(沖縄)

-(-)

合計

24(23)

1,841

98.2

 

(注) 1.( )内数字は、直営店舗数で内数であります。

2.店舗売上高とは当社直営店及びフランチャイズ加盟店の売上高を合算したものであり、連結損益計算書に記載されている売上高とは一致しておりません。

 

 

(ⅳ) その他の事業
(ア)部門別販売実績

部門

金額(百万円)

前年同期比(%)

 加盟店への卸売上高

 直営店売上高

 その他の営業収入

176

101.0

顧客との契約から生じる収益

176

101.0

その他の収益

968

113.7

外部顧客への売上高

1,144

111.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。

2024年度においては、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の拡大により、外食需要の回復が見られました。一方で、不安定な国際情勢による景気減速リスクに加え、原材料及びエネルギー価格の高止まりや為替変動による調達費用の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループでは、2022年4月より開始した中期経営計画(2022-2024)に基づき施策の推進に取り組んでまいりました

 

経営成績の分析

a. 売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.4%増収961億85百万円となりました。主な増収の要因は、国内モスバーガー事業において、店舗数増加に加え、消費の二極化に対応した商品として、プレミアム価格帯の新たな定番商品や期間限定商品を発売し、レギュラー価格帯を含めた価格のグラデーション化によりお客様の選択肢を増やすことで、より幅広い層のお客様の獲得につながったことによるものと考えております。

b. 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前連結会計年度の491億52百万円から15億86百万円増加し、507億38百万円となりました。売上原価率は前連結会計年度とほぼ横ばいでの推移となりました。売上原価増加の主な要因は、前述の売上高増加によるものであります。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の397億21百万円から5億2百万円増加402億23百万円となりました。金額の増加の主な要因は、給与手当の増加、支払手数料の増加によるものであります。

c. 営業利益

売上総利益は15億40百万円増加し、販売費及び一般管理費は5億2百万円増加いたしましたので、営業利益は前連結会計年度の41億85百万円に比べ10億38百万円増加し、52億23百万円となりました。売上原価率はほぼ横ばいでの推移となりましたが、販売費及び一般管理費率が0.9ポイント減少したことにより、営業利益率は、前連結会計年度と比べ0.9ポイント上昇し5.4%となりました。

d. 営業外収益(費用)

営業外収益(費用)の純額は、前連結会計年度の2億6百万円の収益(純額)から1億38百万円増加し、3億45百万円の収益(純額)となりました。この収益(純額)の増加の主な要因は、受取配当金が増加したこと、持分法による投資損失が当連結会計年度では持分法による投資利益に転じたことによるものであります。

e. 特別利益(損失)

特別利益(損失)の純額は、前連結会計年度の2億46百万円の損失(純額)から6億8百万円損失(純額)が増加し、8億54百万円の損失(純額)となりました。この損失(純額)の増加の主な要因は、投資有価証券売却益が減少したことによるものであります。

 

 

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は31億50百万円(前年度比22.4%増)となり、自己資本利益率は前連結会計年度と比べ0.8ポイント増加し、6.0%となりました。

セグメントごとの経営成績等の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等であります。投資を目的とした資金需要は、店舗の設備投資、システム開発投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は54億30百万円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は252億87百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成に当たりまして、会計上の見積りについて入手可能な情報に基づき実施しております。

当社グループは以下の項目が、当社の連結財務諸表の作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと理解しておりますが、経済環境が変化した場合には、見積りの結果に影響し、将来の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

a. 固定資産の減損

固定資産の減損に関する見積り及び当該見積りに用いた仮定に関しては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

b. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 国内フランチャイジーとの加盟契約

加盟契約の要旨

 

 

㈱モスフードサービス

[提出会社]

当事者(当社と加盟者)の間で締結する契約

 

① 契約の名称

モスバーガーチェーンフランチャイズ契約書

② 契約の本旨

当社の許諾によるハンバーガーチェーン店経営のための、フランチャイズ契約関係を形成すること。

加盟に際し、徴収する加盟契約料、保証金、その他金銭に関する事項

 

① 加盟契約料

200万円

但し、第2号店以降である場合には以下のとおりとする。

第2号店   175万円

第3号店以降 150万円

② 保証金

40万円

③ ロイヤルティ

総売上高の1%

④ 広告宣伝料

総売上高の1%

使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

 

① 商標

モスバーガー

モスバーガー加盟店であることを表示し、看板は本部の指示により掲示する。

② その他

規定文字、シンボルカラー等の使用は本部指導により承認を得て行うこと。

契約の期間、契約の延長に関する事項

契約日より契約日以後最初に到来する4月1日から満5年間とする。契約期間満了後はフランチャイザー及びフランチャイジーが協議の上、新たに合意した場合に限り、フランチャイズ契約の再契約を行う。

 

 

 

(2) 主な国外フランチャイジーとのフランチャイズ契約等

 

相手方の名称

国・地域名

契約内容

契約期間

安心食品服務(股)

台湾

台湾におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2023年5月23日から2033年5月22日まで

モスフード・シンガポール社

シンガポール共和国

シンガポール共和国におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2017年10月1日から

2027年9月30日まで

モスフード香港社

香港

香港におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2021年10月1日から2031年9月30日まで

モスバーガー・タイランド社

タイ王国

タイ王国におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2017年10月1日から2027年9月30日まで

モスバーガーコリア社

大韓民国

大韓民国におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2023年11月1日から2033年10月31日まで

モスバーガー・フィリピン社

フィリピン共和国

フィリピン共和国におけるモスバーガーチェーンの展開のための商標使用の許諾、経営指導及びノウハウの提供

2020年2月1日から2030年1月31日まで

 

 

6 【研究開発活動】

セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

当社グループにおける研究開発活動は、多様な顧客ニーズに対応する為の販売商品の開発、店舗で使用する什器、備品等の研究、開発を常に進めておりますが、これらは販売の強化を図る事を目的としております。なお、国内モスバーガー事業に係る研究開発費の金額は4百万円、海外事業に係る研究開発費の金額は2百万円、その他飲食事業に係る研究開発費の金額は0百万円、その他の事業に係る研究開発費の金額は0百万円であり、研究開発費の総額は8百万円であります。