第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)フィロソフィー

①経営理念:すべてはお客様のために

②ビジョン:我が国業界No.1企業を目指す

グローバル競争に勝ち残る企業を目指す

③行動指針:「F.Y.T.(ファイト)」(変化に柔軟に、常に若々しく、果敢に挑戦する)

「3G(スリージー)」(あらゆるものを、グローバルに、総合力を活かして)

「加賀イズム」(経営マインド・営業マインド・社会人としての心構え)

 

当社は、創業以来「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、お客様の様々なニーズにお応えすることにより、事業領域を拡大してまいりました。独立系商社としての強みを活かした電子部品・半導体の販売に始まり、多品種・小ロットを得意とするEMSビジネス(電子機器の製造受託サービス)、更には、お客様製品の企画・開発や設計支援、ソフトウェア・映像制作、ネットワークソリューションやシステムサポートなど、今や国内外を問わず、エレクトロニクスの総合商社として多様なサービスを提供しております。

一方、当社を取り巻く事業環境は、サプライヤー側では半導体・デバイスメーカーの再編統合や代理店政策の見直し、お客様側では完成品組立ての海外生産シフト、また国内外市場における需給変化や価格変動、更には脱炭素化に代表される地球環境問題への取り組みなどの動きが見られ、変化のスピードは加速しており、多数の競合企業が存在するエレクトロニクス商社業界での企業間競争は今後ますます厳しくなるものと認識しております。

 

(2)「中期経営計画2024」

当社は、2021年11月、次の3ヵ年に向けた当社グループの成長の道筋を示すため、「中期経営計画2024」を策定しました。本計画においては、「利益重視の経営」を徹底しつつ、「我が国業界No.1企業」「グローバル競争に勝ち残る企業」のビジョン実現に向けて、以下の基本方針に沿った諸施策を展開してまいります。

 

①基本方針

1)更なる収益力の強化

時代を先読みし、高い成長性や収益性が見込める市場に注力します。

2)経営基盤の強化

更なる効率性、健全性を追求し、“我が国業界No.1企業”に相応しいグループ経営基盤へ変革します。

3)新規事業の創出

ベンチャー投資やM&Aを積極的に活用して新たなビジネスを創出し、外的環境変化への耐性を強化します。

4)SDGs経営の推進

「社会課題の解決」と「企業としての持続的成長」の両立を目指した経営を推進します。

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②経営目標の進捗状況

計画初年度となる2023年3月期は、世界的に半導体・電子部品不足が続く中、当社グループの調達力の強みを最大限発揮してスポット需要に対応した結果、新規M&A目標を除いて、売上高、営業利益ならびにROEのすべてのKPIにおいて、2年前倒しで最終年度(2025年3月期)の経営目標を達成しました。

このような初年度の実績を踏まえ、最終年度の業績見通しをアップデートし、2023年5月11日に「最新見通し」として公表しました。

2年目となる2024年3月期には、電子部品事業において、スポット需要の消失やグループ会社での大口顧客との取引縮小に加え、年度後半より客先において在庫調整が本格化し、さらに本年5月9日公表の2025年3月期業績予想では、最新見通しには織り込んでいなかった在庫調整の長期化や賃上げの影響等の環境変化もあり、計画最終年度の売上高および営業利益において最新見通しにはいま一歩及ばない状況にあります。

かかる状況の下、2025年3月期業績予想は、ステークホルダーの皆さまに対する「コミットメント」として、また最新見通しは「チャレンジ目標」として位置づけ、当社グループ一丸となって「中期経営計画2024」最終年度の総仕上げに取り組んでまいります。

 

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③経営施策の進捗状況

本計画における4つの基本方針に基づく重点課題に対する取り組みは、概ね順調に進捗しており、計画2年目においても様々な成果を残すことができました。

「更なる収益力の強化」については、EMSビジネスおよび海外ビジネスを強化・拡大すべく、2024年4月よりメキシコ新工場が始動しました。今後ますます増大が見込まれる北米市場ならびに中南米市場向け生産需要に対応し、5年後には売上高500億円をめざしてまいります。

「経営基盤の強化」については、人的資本への投資に積極的に取り組み、男性の育児目的の特別休暇制度を新設したことにより利用者が急増したほか、2024年3月にはグループ横断的な賃上げも決定しました。

「新規事業の創出」については、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を活用し、ベンチャー企業に対する出資案件を複数決定しました。ただし、新規M&Aを含む新規分野への取り組みは、継続課題として認識しています。

 

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(3)株主還元に関する基本情報

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来成長に資する投資の推進、中長期的に健全な財務基盤の維持ならびに連結業績の進展を総合的に勘案しつつ、連結配当性向の目安を25〜35%に置き、1株当たり配当金を安定的且つ継続的に充実化することを基本方針としております。

 

配当の推移

 

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(4)「サステナビリティ中長期経営計画」

当社は、「中期経営計画2024」とともに2021年11月に、「サステナビリティ中長期経営計画」を策定いたしました。「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「持続的なグループの成長」の両立を目指したサステナビリティ経営を推進してまいります。その取り組みにあたっては、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の向上を目指します。

 

 

①サステナビリティ方針

1)事業活動を通じて環境課題に取り組みます

事業活動を通じて、CO2排出量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進に取り組むとともに、環境に配慮した製品およびサービスを提供することで、地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。

2)人権を尊重し、人財を育成します

性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。また、多様な従業員が心身ともに安全且つ健康に働ける職場環境や個々の能力を最大限発揮できる人事制度・教育研修体系を整備し、イノベーションに挑戦する人財づくりに取り組みます。

3)社会との相互信頼の確立を目指します

法令や規則を遵守し、公正な競争、高品質な製品およびサービスの提供、適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践するとともに、ガバナンス体制の強化を図ることで社会から信頼される企業を目指します。

 

②サステナビリティ推進体制

加賀電子グループは、CSRならびにサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉え、加賀電子株式会社の代表取締役 社長執行役員が委員長となる「サステナビリティ委員会」を設置し、その直下には「環境経営推進」「ダイバーシティ推進」「ガバナンス」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示」の各専門委員会を配して、グループ横断的にCSRならびにサステナビリティを推進するマネジメント体制を敷いています。経営トップのコミットメントのもと、事業部門とも連携して、各委員会を通じて、ESG課題に対する方針施策・目標策定、進捗管理などグループ一体となってサステナビリティの推進に取り組んでいます。

 

③マテリアリティ(重要課題)の特定

加賀電子グループは、世界および当社が直面する様々な課題や社会からの要請に真摯に向き合い、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」ならびに「B:事業」の4つの観点から、当社の経営にとってインパクトの大きい重要課題を以下の通り特定しました。これらのマテリアリティの取組みを通じて、持続可能な社会の実現に寄与する企業活動を実践し、さらなる企業価値の向上を推進していきます。

 

 

マテリアリティ

関連するSDGs

(注)

経済・社会情勢の変化

取組み課題

E

クリーンな地球環境を作る

7・13

・地球温暖化・環境問題の深刻化

・カーボンニュートラルへの

要請

・環境・エネルギー問題に貢献する製品およびサービスの提供

・環境負荷低減に向けた取り組みの継続

S

働きやすい会社、豊かな社会を作る

5・8・10

・ニューノーマルに向けた社会構造の変化

・少子高齢化による人材の逼迫

・ニューノーマルに相応しいダイバーシティおよび

働き方の促進

・加賀イズムの継承・発展による人財育成

G

持続可能な経営基盤を作る

16・17

・コーポレートガバナンス強化への要請

・環境変化に耐えうるレジリエンスの実現

・ガバナンス、コンプライアンスのさらなる強化

・利益重視経営の徹底

B

持続的な事業成長を実現する

9・12・17

・デジタルトランスフォーメーションの進展

・IoT・AIなどICTの普及による超スマート社会の到来

・グローバル競争の激化

・デジタル化社会に貢献する製品およびサービスの提供

・社会課題解決に貢献する新規事業創出

・グローバル展開のさらなる促進

(注)5:ジェンダー平等を実現しよう     7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに

8:働きがいも経済成長も        9:産業と技術革新の基礎をつくろう

10:人や国の不平等をなくそう      12:つくる責任つかう責任

13:気候変動に具体的な対策を      16:平和と公正をすべての人に

17:パートナーシップで目標を達成しよう

 

④サステナビリティ中長期経営計画目標と主なKPI

 

主なテーマ

取り組み課題・検討課題

中期目標

長期目標

E

再生可能エネルギー100%化の実現

・国内営業拠点における再エネ導入

2024年:40% (1%)

2030年:100%

・国内製造拠点における再エネ導入

〜2024年:情報収集・分析及び方針決定

・自家発電/外部調達

・太陽光パネル/バイオマス発電/再エネ事業者

2030年: 50%
2050年:100%

・海外製造拠点における再エネ導入

2030年: 30%
2050年:100%

社有車両EV化

・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え

2024年:85% (78.5%)

2030年:100%

S

ダイバーシティと
人財マネジメント

・中核人財の多様性確保
(女性、外国人、中途採用)

<女性新卒総合職比率>
2023年:30% (5.8%)
<女性管理職比率>
2024年:15% (13.3%)

<女性新卒総合職比率>
2028年:40%
<女性管理職比率>
2029年:17%

・高齢者・障害者雇用の取り組み

「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」

・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充

2022年:各種制度拡充
2023年:認定取得

2025年:外部認定取得
2024年〜認定継続

・健康経営優良法人の認定取得

G

CGコード改訂・
東証再編に対応したガバナンス体制の再構築

・独立社外取締役1/3以上

・指名・報酬委員会の設置

2021年6月実施済み

次期CGコード改訂に応じて目標設定

・取締役会の多様化

〜2022年6月:方針決定

・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ

2021年11月実施済み

経営の監督機能・執行機能の一層強化

・「委任型執行役員」制度の導入

2022年4月:施行

・「委員会等設置会社」への移行

〜2023年3月:方針決定

※()内は計画策定時数値:2021年11月

 

⑤サステナビリティ中長期経営計画の進捗

 

主なテーマ

取り組み課題・検討課題

2023年度の主な活動・進捗状況

E

再生可能エネルギー100%化の実現

・国内営業拠点における再エネ導入

・再エネ由来電力は全体電力の5.1%で導入済。

・「24年40%再エネ化」の目標達成に向けて、非化石証書購入を決定。併せて、2024年度において温室効果ガス排出量定量化および削減目標設定を決定。

・国内製造拠点における再エネ導入

・十和田工場(2023年12月)、須賀川工場(2024年2月)で太陽光発電設備を導入。

・海外製造拠点における再エネ導入

・メキシコ新工場(24年4月)にて太陽光パネルを設置

社有車両EV化

・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え

・電動車化比率は前年度3.0pt増の85.0%(2024年3月末)

S

ダイバーシティと
人財マネジメント

・中核人財の多様性確保
(女性、外国人、中途採用)

・女性新卒総合職比率は、「行動計画」に沿った採用活動を実施し前年度比3.6pt増の21.7%に拡大も、目標30%に届かず。

・女性管理職比率向上に関し、グループ内で協議、各社ごとに女性管理職員数の目標人数を設定済。2024年4月現在では前年度比0.9pt増の17.4%

・高齢者・障がい者雇用の取り組み

・障がい者雇用は法定雇用率100%(2024年3月末)

「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」

・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充

・テレワークを恒常的な制度とし規程・ルール改定を実施。2023年4月より新ルールの運用開始。

・健康経営優良法人の認定取得

・2024年3月、2年連続で認定取得。

G

CGコード改訂・
東証再編に対応したガバナンス体制の再構築

・独立社外取締役1/3以上

・指名・報酬委員会の設置

・2023年6月株主総会にて取締役6名(うち社外取締役3名)体制を決議。

・取締役会の多様化

・2023年6月株主総会にて女性社外監査役を選任。2024年6月株主総会での女性取締役選任は見送り。

・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ

・2022年6月より実施済み。2023年CGコードの改定なし。

経営の監督機能・執行機能の一層強化

・「委任型執行役員」制度の導入

・2022年4月より実施済み。

・グループ経営本部会議の構成員を委任型執行役員へ拡大することを決定。2024年4月より運用開始。

・「委員会等設置会社」への移行

・監査役会設置会社を継続。経営の迅速性、女性取締役選任の必要性も考慮し、引き続き「監査等委員会設置会社」への移行を検討。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、CSRならびにサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉え、代表取締役 社長執行役員が委員長となる「サステナビリティ委員会」を設置し、その直下には、「環境経営」「ダイバーシティ推進」「ガバナンス」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示」の各専門委員会を配して、グループ横断的にCSRならびにサステナビリティを推進するマネジメント体制を敷いています。また、SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化するための専任部署として、サステナビリティ推進部を設置しております。

このように体制を整備し、ESG課題に対する方針や施策・目標の策定、進捗管理などグループ一体となってサステナビリティの推進に取り組んでいます。

2023年度にはサステナビリティ委員会(旧:SDGs委員会)は3回、各委員会は原則毎月1回開催し、テーマごとに活発な議論・検討を重ねております。

 

 

 

(2)戦略

 当社グループは、「サステナビリティ中長期経営計画」において、以下の取り組みを重点方針としてサステナビリティ経営を推進しています。

 

<サステナビリティ方針>

①事業活動を通じて環境課題に取り組みます

②人権を尊重し、人財を育成します

③社会との相互信頼の確立を目指します

 

詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)「サステナビリティ中長期経営計画」 ①サステナビリティ方針」をご参照ください。

 

1)サステナビリティへの取り組み

当社グループは、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」「B:事業」の4つの観点から、当社の経営にとってインパクトの大きいマテリアリティ(重要課題)を特定し、これらの課題解決に向けた取り組みを推進しています。詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)「サステナビリティ中長期経営計画」 ③マテリアリティ(重要課題)の特定」をご参照ください。

 

2)人的資本、知的財産への投資等の考え方

当社グループは、「ダイバーシティ推進」をテーマに、「女性活躍推進」「女性・外国人・中途採用者の管理職への登用」における多様性の確保に関して諸施策の取り組みを進めております。また、「ワークライフ・マネジメントと生産性向上の両立」をテーマに、働き方の見直しや育児・介護にターゲットを絞った環境や制度の整備を行い、テレワークを恒常的な制度として規程・ルール改定を実施したほか、健康経営方針の制定など健康経営の推進体制を整備し、昨年に続き2年連続で「健康経営優良法人」認定を受ける事となりました。

 

3)管理職における多様性の確保についての考え方

当社グループは、知見・経験・能力、ジェンダーや国際性など異なる属性を反映させた多様な視点や価値観・意見が社内に存在することが、斬新な着想や多面的な検討など経営戦略を実現する上での強みとなり、当社の持続的な成長や企業価値の向上にとって不可欠であると認識しております。

特に経営陣を支える中核人材である管理職については、より一層の多様性の確保と充実に向けて中長期的な目標を設定し、計画的な人材育成と、多様な人材が様々なキャリアパス・働き方を柔軟に選択できるような社内環境整備に取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関わるリスクと機会について「サステナビリティ委員会」で協議の上、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、「環境経営推進」「ダイバーシティ推進」「ガバナンス」の各委員会が中心となって、その実現に向けてグループ全体でサステナビリティ経営を推進しています。特定した9つのマテリアリティに沿って、「サステナビリティ中長期経営計画」に展開し、取り組みテーマごとに定量目標を定めて進捗状況をモニタリングしています。当社グループにおける「サステナビリティ中長期経営計画」の定量目標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)「サステナビリティ中長期経営計画」 ④サステナビリティ中長期経営計画目標と主なKPI」をご参照ください。

 一方、全社事業的な視点での当社グループのリスクマネジメントについては、リスクマネジメントを統括・推進する組織として「リスクマネジメント委員会」を設置し、グループで連携したリスクマネジメント体制を整備しています。

 当社グループにおけるリスク管理の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 1)環境配慮・脱炭素社会への取り組み

当社グループは、環境配慮・脱炭素社会への取り組みとして、「再生可能エネルギー100%化の実現」と「社有車両のEV化」をテーマに掲げ目標の実現に取り組んでいます。

 

 2)人的資本、多様性について

当社グループは、2030年代中にグループ全体における女性管理職比率を25%程度にすることを目指し、中長期の目線で、当たり前に女性が活躍する環境づくりを進めております。具体的には、社員の自律的な成長をサポートしつつ、経験の蓄積やキャリア意識の醸成などに持続的に取り組むことで、中核人材に占める女性比率を着実に増やしてまいります。

また、当社グループでは、上記「(2)戦略 3)管理職における多様性の確保についての考え方」において記載した、管理職の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

外国人・中途採用者においては、管理職として登用する上で国籍や採用時期によって特段の差が生じているとは認識していない為、現状水準を維持する事を目標としております。

 

①女性の管理職への登用(連結)

 17.4%<2024年4月時点> 目標:2020年代中に17.0%/2030年代中に25.0%

②外国人の管理職への登用(連結)

 32.4%<2024年4月時点> 引き続き現状水準維持

③中途採用者の管理職への登用(連結)

 50.7%<2024年4月時点> 引き続き現状水準維持

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済環境

 当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める半導体などのエレクトロニクス関連商品は、主に民生用機器などに搭載されており、当社グループが販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、欧州、アジア等の主要市場における景気の変動、それにともなう需要の拡大、縮小は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社グループの事業には海外における商品の販売、製造が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表上円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、為替相場の変動により円換算後の数値が影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、外国為替相場の変動リスクを軽減するため、先物為替予約等による通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ、英ポンド、中国元および円を含む主要通貨間の為替レートの変動による影響を最小限に止める努力をしておりますが、為替予約のタイミングや急激な為替変動は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)カントリーリスク

 当社グループは、EMSをはじめ部品の販売など多くの海外取引を展開しており、各国に販売および製造拠点を有しております。従いまして、現地での政治的要因および経済的要因の悪化ならびに法律または規制の変更など外的要因によるカントリーリスクが業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは、製造効率を高めるために製造の一部を外部製造業者へ委託をしております。従いまして、これらの製造拠点における環境の変化、労働力の不足、ストライキなど予期せぬ事象により設備の管理、製造に影響を及ぼす可能性があります。また、伝染病が蔓延した場合や、地震などの災害発生においても、労働力の不足、あるいは部品調達や製造が困難になる可能性があり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウクライナや中東など長期化する地政学的リスクについては、現在当社グループの拠点はなく業績等への影響は軽微でありますが、原材料の高騰などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争および競合

 当社グループが取り扱うエレクトロニクス関連商品(一般電子部品、EMS、半導体、情報機器関連商品など)の市場は競争が激しく、且つ技術革新や顧客ニーズの変化および頻繁な新商品の参入に特徴付けられ、国内外の多くの製造業者、商社と競合しております。当社グループは、激化する低価格競争や新規参入業者の増加に対して、競争力のある価格、商材や技術などにより対抗できない場合は、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、その他事業などにおいては消費者嗜好の変化により、商品のライフサイクルが短い市場もあり、市場そのものの拡大、縮小の波も激しく、そのスピードに対応できない場合は、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)商品調達力

 当社グループは、国内外2,000社を超える製造業者と提携し、電子部品・半導体などの電子機器からパソコンおよび関連機器、家電、通信機器、玩具まで多種多様な商品の仕入れが可能ですが、市場動向や顧客ニーズの変化により最適な時期と価格で仕入れることができない場合は、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ独自の仕入れ方法により以下のリスクが考えられます。

①当社グループは、国内外メーカーより汎用メモリーなどの半導体および電子部品などエレクトロニクス関連商品を仕入れて、国内外の顧客に提供をしておりますが、仕入先である国内外メーカーの財務その他事業上の問題や製品の競争力の低下あるいは商品に対する需要が減少した場合には、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

②当社グループは、国内外のパソコンメーカーよりその製品を仕入れて販売しておりますが、仕入先であるメーカーの条件変更や仕入価格・利幅の変化により業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③当社グループは、スポーツ用品等の商品を仕入れて販売しておりますが、仕入先であるメーカーの条件変更や仕入価格・利幅の変化により業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)自社製品の取り扱いに伴うリスクについて

 当社グループは、エレクトロニクス製品の開発・製造・販売をしております。今後も新製品、新技術の開発により事業拡大を目指しておりますが、以下のようなリスクが含まれます。

①在庫に関するリスク

②製品の欠陥に対する保証リスク

③新製品・新技術への投資に必要な資金や資源の確保のリスク

④新製品・新技術への資金や資源の投資リスク

⑤急速な技術革新に対し十分な対応が出来ないリスク

  上記リスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測することはできず、魅力ある製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法的規制等について

 当社グループは、国内外で事業展開を行っているため、各国の法的規制の適用を受けております。また、将来において現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があります。従いまして、これらの法的規制等を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)市場リスク

 当社グループは、金融機関や、仕入、販売に係わる会社などの株式を保有しておりますので、株式市場の価格変動リスクを負っています。これら株式の価格変動リスクについては、特別なヘッジ手段を用いておりません。

 

(9)重要な訴訟について

 当社グループは、国内外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあり、これらの法的なリスクについては当社グループの法務部門(業務管理部)が一括管理しております。また、必要に応じて取締役会および監査役会に報告する管理体制となっております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用および計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報について

 当社グループは、個人情報保護法により定められた個人情報の漏洩防止に努めるべく、個人情報の管理体制を整備しております。しかしながら、情報化社会における個人情報を取り巻く環境は多様化しており、予期せぬ事態により個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の低下や対応のために発生する費用などによりグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)について、必要な対応をしています。

 

(12)M&Aについて

 当社グループは、M&Aを事業の拡大を図る手段として位置づけております。M&Aを行う際は、買収によるリスクを極力回避するため、その対象企業の財務内容や契約関係について綿密なデューデリジェンス等を実施しておりますが、対象企業が価値算定時に期待した利益を計上できない場合や、M&A時に検出できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界の経済情勢は、欧米での金融引き締めの影響や中国経済の停滞、ウクライナや中東等における地政学的リスクの高まりなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方、我が国経済は、物価上昇や為替の円安が進行するなかで、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の増加などにより、緩やかな回復基調が続きました。

当社グループが属するエレクトロニクス業界においては、半導体・電子部品の供給不足緩和にともない車載市場では自動車の電装化等を背景に需要の拡大が継続しましたが、産業機器市場等では調整局面が続いております。

このような経営環境の下、当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、電子部品事業において半導体や電子部品の供給不足緩和にともなうスポット需要の消失や株式会社エクセルの海外子会社における特定顧客向け取引の縮小、更には第3四半期以降に本格化した在庫調整の影響を受け、売上高は、5,426億97百万円(前年同期比10.8%減)となりました。

営業利益は、売上高の減少にともなう売上総利益の減少に対して販売費及び一般管理費の削減に努め、258億45百万円(前年同期比19.9%減)、経常利益は259億76百万円(前年同期比20.7%減)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益14億20百万円や負ののれん発生益4億81百万など特別利益の計上もあり、203億45百万円(前年同期比11.8%減)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

a.電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売など)

当事業では、部品販売ビジネスは、加賀FEI株式会社におけるSoC(注)製品の販売が堅調に推移しましたが、前事業年度まで2年続いた半導体や電子部品の供給不足が緩和されたことにともなうスポット需要が消失したことや、株式会社エクセルの海外子会社における特定顧客向け取引の縮小に加え、第3四半期以降に本格化した在庫調整の影響を受け、半導体・電子部品の販売が全般的に低調に推移しました。

EMSビジネスでは、車載向けは半導体や電子部品の需給改善により伸長した一方、医療機器、産業機器向けは主要顧客における在庫調整の影響もあり減少しました。

これらの結果、売上高は4,725億83百万円(前年同期比12.4%減)、セグメント利益は208億87百万円(前年同期比26.2%減)となりました

(注)System on a Chipの略語。ある装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを、一つの半導体チップに実装する設計手法。

b.情報機器事業(パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品などの販売など)

当事業では、量販店向けパソコン販売は需要低迷により苦戦しましたが、教育機関向けのパソコン販売やセキュリティソフトの販売が好調に推移しました。また、LED設置ビジネスは、前事業年度から本格展開を開始した大口案件が寄与しました。

これらの結果、売上高は443億5百万円(前年同期比1.4%増)、セグメント利益は29億24百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

c.ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発など)

当事業では、CG映像制作の受注が概ね堅調に推移し、売上高は25億67百万円(前年同期比14.4%減)、セグメント利益は業務効率改善等にともなう売上原価抑制効果もあり3億70百万円(前年同期比29.0%増)となりました。

d.その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)

当事業では、PC製品およびPC周辺機器のリサイクルビジネス、およびアミューズメント機器やスポーツ用品の販売が堅調に推移し、売上高は232億41百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益は15億55百万円(前年同期比41.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物につきましては、624億17百万円(前連結会計年度比121億10百万円の増加)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、293億85百万円の収入(前年同期は305億69百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、29億68百万円の支出(前年同期は48億5百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、169億73百万円の支出(前年同期は155億49百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払と借入金の返済によるものであります。

 

③仕入、受注及び販売の実績

a.商品仕入実績

当連結会計年度のセグメント別の仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品事業(百万円)

372,219

△14.0

情報機器事業(百万円)

38,882

9.9

ソフトウェア事業(百万円)

その他事業(百万円)

15,734

△15.6

合計(百万円)

426,836

△12.3

 

b.受注実績

当連結会計年度のセグメント別の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品事業

418,208

△20.8

180,025

△23.2

情報機器事業

44,271

24.6

718

△4.5

ソフトウェア事業

2,747

△5.5

432

71.4

その他事業

26,919

22.8

5,588

192.6

合計

492,147

△16.4

186,765

△21.3

 

c.販売実績

当連結会計年度のセグメント別の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品事業(百万円)

472,583

△12.4%

情報機器事業(百万円)

44,305

1.4%

ソフトウェア事業(百万円)

2,567

△14.4%

その他事業(百万円)

23,241

5.4%

合計(百万円)

542,697

△10.8%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を超える主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

・資産合計

当連結会計年度末における総資産は2,867億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億74百万円の増加となりました。

流動資産は2,446億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億43百万円の減少となりました。

固定資産は421億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億17百万円の増加となりました。これは主に、建設仮勘定が27億84百万円増加したことによるものであります。

・負債合計

負債は1,355億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ209億19百万円の減少となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が78億40百万円、短期借入金が89億80百万円それぞれ減少したことによるものであります。

・純資産合計

純資産は1,512億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ214億93百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益203億45百万円などにより利益剰余金143億4百万円、為替換算調整勘定が62億35百万円それぞれ増加したことによるものであります。

b.経営成績

・売上高

売上高は前連結会計年度に比べ10.8%減少の5,426億97百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度に比べ4.5%減少の3,200億28百万円となり、海外売上高は18.4%減少の2,226億68百万円となりました。

・セグメント別概要

 電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売など)

売上高は4,725億83百万円(前年同期比12.4%減)となりました。これは主に、半導体や電子部品のスポット需要消失や半導体およびEMSビジネスの在庫調整の影響などによるものであります。

 情報機器事業(パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品などの販売など)

売上高は443億5百万円(前年同期比1.4%増)となりました。これは主に、教育機関向けパソコン販売やセキュリティソフトの販売などの伸長によるものであります。

 ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発など)

売上高は25億67百万円(前年同期比14.4%減)となりました。

 その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)

売上高232億41百万円(前年同期比5.4%増)となりました。これは主に、アミューズメント機器やスポーツ用品の販売の増加などによるものであります。

 

 

 

・売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は前連結会計年度より573億5百万円減少し4,722億44百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は87.0%となっております。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度より16億57百万円減少し446億7百万円となりました。販売費及び一般管理費減少の主な要因は、売上高減少に伴う販売費の減少によるものであります。

・営業利益

営業利益は前連結会計年度に比べ19.9%減少の258億45百万円となりました。

・営業外収益(費用)

営業外収益(費用)は前連結会計年度より3億59百万円減少し1億31百万円の収益(純額)となりました。その減少の主な要因は、為替変動による為替差損の計上によるものであります。

・経常利益

経常利益は上記記載の結果、前連結会計年度より67億63百万円減少し259億76百万円となりました。

・特別利益(損失)

特別利益(損失)は投資有価証券売却益14億20百万円などの特別利益24億8百万円を計上し、減損損失16百万円、投資有価証券評価損2億38百万円などの特別損失2億84百万円を計上しております。

・親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度より43億60百万円減少し280億99百万円となり、法人税、住民税及び事業税や、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純損失を差し引くと、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より27億25百万円減少し203億45百万円となりました。

 また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度より104円04銭減少し774円61銭となりました。

 

・今後の見通し

2025年3月期における当社グループを取り巻く国内外の経済情勢は、景気の緩やかな回復が続くことが期待される一方、ウクライナや中東など長期化する地政学的リスク、各国金融政策やそれにともなう為替変動の影響など先行きは予断を許さない状況が続くものと予想されます。

当社グループが属するエレクトロニクス業界においては、急速な技術革新(生成AI等の普及、自動車における電装化の進展等)により、市場規模は中長期的に拡大していくものと予想されますが、2024年3月期後半から本格化した顧客の在庫調整局面は当面継続することが見込まれ、本格的な需要回復は2025年3月期後半からになるものと思われます。

以上により、2025年3月期の連結業績に関しましては、売上高5,550億円、営業利益260億円、経常利益260億円、親会社株主に帰属する当期純利益180億円を見込んでおります。

なお、2025年3月期は『中期経営計画2024』の最終年度として、その基本方針に沿って高い成長性や収益性が見込める市場に注力することで収益力の強化を図るとともに、更なる効率性、健全性を追求してグループ経営基盤の強化に努めてまいります。また、「社会課題の解決」と「企業としての持続的成長」の両立を目指したSDGs経営の推進にも、引き続き取り組んでまいります。

 

 なお、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える大きな要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく方針であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを実施しております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源および流動性

a.資金需要

運転資金需要のうち主なものは、当社取扱商品の購入費用及び製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規事業あるいは商権獲得のためのM&A費用等によるものであります。

b.財政政策

短期運転資金の調達に関しましてはグループ内での資金効率化を行ったうえで金融機関からの借入を基本としております。

M&A・設備投資・長期運転資金の調達に関しましては、直接金融から間接金融まで様々な調達方法の中からその時点の財政状況、資金需要の期間及び目的を勘案し、最適な調達を行うことを基本としております。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、重要な指標の一つとしてROEを採用しており、中期経営計画2024ではROE10%以上の継続的、安定的な確保を目標としております。
 当連結会計年度における当社グループのROEは、14.5%となりました。

 

⑥セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)仕入先との主要な契約

 現在、当社及び連結子会社が締結している仕入先との主要な契約は次のとおりであります。

契約会社名

相手先

主要取引品目

契約の種類

契約期間

加賀電子㈱

(当社)

帝国通信工業㈱

ボリューム、スイッチ、プリント基板

販売代理店契約

1974年11月以降

沖電気工業㈱

データ機器、IC、電子部品

販売特約店契約

1979年4月以降

新電元工業㈱

ダイオード、トランジスタ、スイッチング電源

販売特約店契約

1981年1月以降

シャープ㈱

液晶、IC、LED

基本売買契約

1984年6月以降

ヤマハ㈱

IC

基本売買契約

1985年9月以降

セイコーエプソン㈱

半導体等

取引基本契約

1985年11月以降

京セラ㈱

セラミックフィルター、セラミック発振子トリマー、ブザー、チップコン

販売代理店契約

1988年8月以降

ホシデン㈱

機構部品、通信機器、情報機器

販売代理店契約

2002年4月以降

加賀テック㈱

(連結子会社)

積水マテリアルソリューションズ㈱

放熱シート、放熱グリス等

売買基本契約書

2021年4月以降

ハネウェルジャパン㈱

センサー、スイッチ

販売店契約

2012年8月以降

加賀デバイス㈱

(連結子会社)

三菱電機㈱

液晶モジュール、半導体等

半導体・デバイス代理店契約書

1991年4月以降

OmniVision Technologies

(Hong Kong) Company Limited

CMOSイメージセンサー

SUPPLY AGREEMENT

2005年5月以降

Quectel Wireless Solutions Co.,Ltd.

通信用モジュール、アンテナ

DISTRIBUTORSHIP AGREEMENT

2017年4月以降

Nordic Semiconductor ASA

通信用IC、通信用モジュール

NON-EXCLUSIVE DISTRIBUTION AGREEMENT

2019年7月以降

Efinix, Inc.

FPGA

DISTRIBUTION AGREEMENT

2022年3月以降

加賀マイクロソリューション㈱

(連結子会社)

日本ケミコン㈱

電解コンデンサ

取引基本契約

1998年11月以降

Imagination Technologies Limited

ムービーデコーダ用ハードウェアIP(SGX)

LICENCE AGREEMENT

2007年8月以降

(注)2.

㈱CRI・ミドルウェア

『CRI GT2』および『CRI Sofdec』ライセンス(SGX)

ライセンス契約(使用許諾契約)

2009年2月以降

加賀ソルネット㈱

(連結子会社)

アップルジャパン合同会社

パーソナルコンピュータ、周辺機器、ソフトウェア

Apple Authorized Reseller Agreement

2023年5月以降

パナソニックコンシューマー マーケティング㈱

デジタルカメラ・メディア・電池等

取引基本契約

2008年4月以降

レノボ・ジャパン㈱

パーソナルコンピュータ、周辺機器

Lenovoディストリビューター契約書

2011年3月以降

VAIO㈱

パーソナルコンピュータ、周辺機器

製品売買基本契約書

2015年3月以降

㈱ノートンライフロック

セキュリティーソフト

正規ディストリビューター契約

2020年10月以降

 

 

契約会社名

相手先

主要取引品目

契約の種類

契約期間

㈱エー・ディーデバイス

(連結子会社)

㈱ジャパンディスプレイ

液晶表示装置

ビジネスパートナー基本契約

2003年4月以降

キオクシア㈱

メモリ

特約店基本契約書

2019年4月以降

東芝デバイス&ストレージ㈱

半導体、集積回路

東芝ビジネスパートナー 東芝デバイス&ストレージ株式会社 特約店基本契約書

2020年4月以降

加賀FEI㈱

(連結子会社)

FCLコンポーネント㈱

リレー・キーボード・タッチパネル

特約店契約書

1996年4月以降

株式会社アクセル

NVPROM

取引基本契約書

2015年6月以降

ZHEJIANG SUNNY SMARTLEAD TECHNOLOGIES CO., LTD.

カメラモジュール

Distributorship Agreement

2020年4月以降

㈱ソシオネクスト

IC

販売特約店契約

2021年1月以降

富士通セミコンダクターメモリーソリューション㈱

IC

取引基本契約書

2021年10月以降

Richtek Technology Corporation

IC

Distributor Agreement

2022年9月以降

MediaTek Inc. Taipei Branch

ASSP

SALES DISTRIBUTOR AGREEMENT

2022年10月以降

TRIPOD VIETNAM (BIENHOA) ELECTRONIC Co.LTD

プリント基盤製品

Distributorship Agreement

2023年7月以降

㈱エクセル

(連結子会社)

アルプスアルパイン㈱

スイッチ、ボリューム、各種センサー等

代理店取引基本契約

2008年2月以降

(注)1.上記契約の契約期間について、アップルジャパン合同会社を除き全て自動更新する旨の条項が定められております。

2.Imagination Technologies Limitedとの契約期間については、無期限とする旨の条項が定められております。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、エレクトロニクス総合商社として顧客のニーズにきめ細かく対応するため、技術統括部を核として、技術サポートから設計開発・製造まで幅広く対応すると共に、映像・通信機器・アミューズメント機器とそれに関わるソフトウェア・電源機器や各種センサーなどの研究開発を行っております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は589百万円であります。

 

(電子部品事業)

 電子機器に使用されるセンサー、通信モジュール、小型無線モジュール開発を中心に通信インフラから玩具に至るまで、各分野における要素技術開発や各種センサー技術を利用した製品の開発およびアミューズメント市場向け次世代フラッシュメモリー製品の開発などに取り組んでおります。

 

(情報機器事業)

 特記事項はありません。

 

(ソフトウェア事業)

 アニメーションのCG作成やゲームのCG映像など、従来の映像作成に関する研究開発の継続に加え、画像AIを利用した機器ソフトウェアや自己診断ソフトウェアなど最新のニーズに応える技術基盤づくりにリソース投入をしております。

 

(その他事業)

 杉の間伐材を原料とした天然樹脂、改質リグニンについては、石油由来素材を森林由来素材に代替させるために改質リグニンの普及と社会実装を目指す団体として、社団法人・改質リグニン普及産業会が設立され、当社も理事として参画しております。