文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、お客様に常に国内および海外から厳選された安全・安心な食品を提供することで、新たな食文化を創造し、社会に貢献することを目指しており、そのために当社グループでは、高品質な原料の安定調達、加工機能による付加価値の向上、顧客ニーズへの対応力の強化といった三つの機能を融合させると同時に、それぞれを更に追求することで、グループの持続的な成長の実現を目指すことを当社経営の基本方針としております。また、株主・取引先・従業員・地域社会等様々なステークホルダーとの適切な協働を図ってまいります。
売上高に関しては、作柄や需給変化を反映した海外現地相場の変動や外国為替の動向により、輸入食材の仕入単価が変動し、これらを反映した販売価格も影響を受けることから、販売量の増減とは別に売上高の増減要因となります。従って、経営指標としては、売上高よりも、売上総利益や営業利益での増益を主要な経営目標としております。当面は設備やDX、人材への投資を積極的に行う方針ですが、企業価値の持続的な向上を目指し、資本コストを十分に上回るROE(株主資本利益率)を確保する方針とし中長期的に8%の達成を目指します。
当社の中長期的な経営戦略は以下のとおりです。
・主要得意先の更なるニーズを掘り起し、付加価値商品を提供する等、成長業態・成長ユーザーへの深耕に注力してまいります。
・製菓・製パン・洋菓子以外の得意先へのアプローチを強化し、新領域の開拓に積極的に取り組みます。
・取扱商品のラインアップの拡充に取り組み、SDGs対応商品への対応を含め、収益拡大のための収益構造の変化を進めます。
・グローバル展開の強化を目指し、中国ビジネスの黒字安定化および米国事業の強化を図るとともに、東南アジア向け市場開拓を進めます。
・海外原料産地からの一貫管理の強化およびパートナーシップ企業との関係強化等、サプライチェーンの強化に努めます。
・顧客ニーズに合わせた商品設計およびそれに伴う設備投資を進め、メーカー機能を最大限に活かした活動を推進してまいります。
・工場の稼働率向上への取り組みを強化し、コスト削減を図ることで価格メリットの創出に努めます。
・法規制改正対応の徹底や自社工場に留まらず、協力工場、仕入先への品質監査体制の強化にも注力し、安心・安全な食品の提供に取り組みます。
・カーボンニュートラルの実現に向けたCO2排出量の削減へ取り組んでおり、食品ロスや廃棄物の削減等環境対応に努めてまいります。人材多様性の推進においても独自の指標にて目標管理を実施しております。
・持続可能な物流網の維持のためにBCP対策を含む物流拠点の見直し等進めてまいります。
・人事制度の見直し等人的資本経営の強化を図るとともに、情報開示の強化による企業の透明性と説明責任の確保に努め、ステークホルダーとの協働を目指します。
・DX推進による業務効率化の向上や自社社員のDXレベルの向上を目指すとともに、経営戦略の実現に適合する人材戦略の構築を目指し、経営基盤の強化を図ります。
・ガバナンス委員会の見直しや取締役会の実効性向上、情報セキュリティ向上によるコーポレート・ガバナンス体制の一層の充実を図ります。
国際情勢の不安、地政学リスク、気候変動の影響等により農産物価格は上昇傾向であり、世界的なインフレや為替変動の影響から輸入原料の価格は不安定な状況が続いております。また、物流費や人件費の高騰も価格上昇の要因となっています。産地多様化推進等サプライチェーンの更なる強化を図ることで安定供給の確保に努めてまいります。
物価高に所得の伸びが追い付かないことで節約志向が進んでおり、消費行動には「メリハリ消費」傾向が強まり、単価の安いものへのシフトに加え、健康要素や付加価値の高い商品への需要が拡大しております。健康で豊かな食生活に貢献できるよう、安全・安心かつ高品質な食材の供給に努めてまいります。
少子高齢化による労働力不足と人件費の上昇が続き、人材獲得競争が激化しております。社会全体で生成AI(人工知能)等のデジタル技術が急速に発展し、経営におけるDX推進への対応が強く問われる環境になりました。社員全体のDXレベルの向上を図り、DX推進による業務効率化を一層進めてまいります。
サステナビリティ経営への関心が一層高まっており、環境対応に加え、女性活躍や人材多様化等人的資本経営がさらに重視される環境となっています。当社では「サステナビリティ基本方針」に基づき、公正で適正な取引を前提に、多様なステークホルダーと人権・労働環境・環境負荷等のサステナビリティ課題についてともに取り組むことで、持続可能な社会への貢献を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは2021年12月、持続可能な社会・環境の実現に対する社会的な意識の高まりを受け、「正栄食品工業グループ サステナビリティ基本方針」を策定しており、「経営理念」と「正栄食品工業グループ 行動規範」に基づく企業活動を通じて、当社グループを支えていただいている全てのステークホルダーと持続的成長と持続可能な社会・環境の実現に貢献するとともに、当社グループの中長期的な企業価値の向上、「サステナビリティ経営」の実現に努めます。
当社では、独立社外取締役が半数以上で構成するガバナンス委員会を設置し、取締役会への諮問機関として年に4回以上開催し、当社コーポレート・ガバナンス関連事項全般にわたり議論することで諮問機能を果たしています。
サステナビリティに関しては代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティの特定および重点テーマの設定を行い、活動の計画・推進・管理に関する事項について、協議・報告を行っています。また、外部の客観的・合理的な評価をいただくために、この委員会には独立社外取締役も委員として参画しています。
そして、その内容を取締役会に年に2回以上答申し、取締役会では総合的な視点に立ち意思決定を行っています。
当社グループでは、世界各地より農産物・乳製品の加工原材料、商品を輸入調達しています。従って、気候変動により、干ばつや日照り、害虫の大量発生、受粉作業に不可欠な虫媒の不活動、作柄への影響による供給不安・価格の変動、品質不良、消費者の嗜好の変化、農産適地の変更等、多岐に影響が及ぶと考えられます。グループ全体でこれらの変化に注視し、随時、調達先の多様化を検討しリスクの分散、移行リスクに関してはマーケットの分析、他、新興産地の動向調査を行い、顧客に安定供給、代替商品の提案等を図っております。
また、気候変動に伴う消費者のエシカル消費の拡大、健康意識の向上等に対応し、新市場に向けた商品の調達・開発を行ってまいります。
(2) 人材育成方針および社内環境整備方針
『サステナビリティ経営』を実施していく上で、人材の育成と多様化は推進していかなければならないテーマとなっています。
当社グループでは、サステナビリティ基本方針に掲げているように、社員・従業員に対しワークライフバランスや心身の健康管理を推奨し、一人一人が能力を発揮しやすい明るい働きやすい職場環境づくりに努めています。また次世代育成のための社員教育、OJTの実施、業務に関わる資格・検定等の取得推奨を行っています。
当社は、社員一人一人の人権を尊重し、その個性を活かし、社員が生き生きと働き成果を高めてもらうことが企業成長の原動力と考えており、企業価値を高める重要な要素と位置付けています。様々な個性・能力・知見を備えた多様な人材を大切にし、チームワークによるダイナミックな価値創造とイノベーションによる成長を最大限に重要視します。また、前例にとらわれずに革新的な行動により、たえず学習し成長し続ける企業風土の醸成を目指しています。
そのために、人事面での公正な評価を踏まえた適所への登用を徹底することで、女性・外国人・中途採用者等の多様な個性・特徴・経験を持つ人材が中核人材として活躍することを促進し、グループの持続的成長に資する人的資本価値につなげる取り組みを推進します。これらの施策により、生産性の高い課題解決型組織への変革を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンを実現していきます。
女性については、当社グループは食品会社という側面からも女性の視点は大変重要であり、女性の採用を積極的に行っており、採用者に占める女性比率も一定の水準を維持しています。この中で、管理職への登用も進みつつあります。外国人については、海外関係会社では現地採用の社員が主要ポジションを占めており、また国内でも海外とのビジネスを担当する部署では外国人の採用・配属を行っております。中途採用については、即戦力としての期待等から、毎年一定数の採用を実施しており、実践的な実務能力に応じて組織責任者等への登用を進めております。他社での職務経験・経営経験を有し、当社固有の価値観に縛られない意見を通じ、果断な意思決定に貢献してもらっています。
当社グループは、企業に重大な影響を及ぼすリスクに的確に対処するべく、リスク管理委員会、サステナビリティ委員会等を設け、リスクの洗出しやレベル評価、リスクの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。
その結果を取締役会に答申し、取締役会が監督し、適切に経営へ反映してリスクマネジメントを推進しています。
(1) CO2排出量の削減
当社グループでは国内外の全事業所(支店・生産工場含む)においてCO2排出量の測定を実施し、2030年目標を下記のとおり設定しております。
◆CO2排出量30%の削減(2022年度比 スコープ1,2)
(単位:t)
※1.スコープ1とは、自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出の温室効果ガスの排出量です。
※2.スコープ2とは、自社で他社から供給された電気、熱、蒸気を使用したことによる間接排出の温室効果ガスの排出量です。
※3.スコープ3については、今後CO2排出量データの収集整備に努め、主要サプライヤーに対してもCO2排出量削減を働きかけ、協働で削減に取り組んでまいる予定としております。
基準年と比較して、スコープ1で10.7%、スコープ2で9.0%、スコープ1+スコープ2で9.9%の削減となっております。
正栄食品工業グループでは、引続き国内外の活動拠点にて中長期的な視点でのCO2削減の取り組みを進めてまいります。
具体的な目標につきましては、2021年10月末の119ポイントから3年後の2024年10月末までに140ポイントに引き上げることを目標として設定しておりましたが、2024年10月末で集計したところ、中途採用者や女性の登用が進捗し、142.7ポイントまで上昇して目標を達成いたしました。3年後の2027年10月末までの目標を150ポイントとし、現在活動しております。
なお、これとは別に、女性活躍推進法に基づき、管理職に占める女性割合の目標を設定し開示しております。2024年10月末時点での管理職(課長職以上)に占める女性従業員の割合は15.5%(提出企業単体)とまだまだ低いレベルにありますが、女性の管理職を育てるのは一朝一夕では難しく、まず管理職(課長職以上)になるための分母(係長職)を増やしていくことが重要と考え、2026年10月までに女性係長職の割合45%以上(2024年10月末39.1%)の目標を掲げています。また、男性の育児休業取得率50%以上(2024年10月末62.5%)、短時間勤務制度の対象年齢拡大等の目標を設定し、
これらの目標の達成に向け、研修を通じた社員(特に女性)の意識醸成、育児・子育て期間にある女性社員の支援、会社全体での意識改革や意識醸成を図ってまいります。
以上の取り組みにより、人的資本の価値を最大化し、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えております。
なお、下記事項の記載において将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、国内外の食品メーカーや生産者から商品および原材料を調達し、また、国内および米国、中国に生産子会社を保有しております。品質保証部を中心に国内外の工場も参加した定期的な会議の開催等で品質管理の高度化や食品の安全性確保に努めておりますが、予見しえない問題や、製造および加工工程での不測の事故の発生等から、大規模な商品回収や多額な製造物賠償責任が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多品種の食品原材料や商品を取扱い、特に輸入原材料・商品を中心に一定量の在庫を維持しております。農産物の収穫時期、各工場での生産時期、販売先への出荷時期、食品の賞味期限等を考慮し、商品別の担当者を配置し販売担当者との密接な情報交換により余剰在庫や賞味期限切れが発生しないよう在庫管理に努めておりますが、販売見込みと実績の乖離等により在庫の廃棄が生じた場合や大きな価格変動が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外から食品原材料や商品を調達しており、自然災害や気候変動等に起因した凶作等、安定した品質と数量を確保することができないリスクや、需給の変動による農産物の海外相場の変動や為替相場の変動から、仕入原価や生産コストが大きく影響を受ける可能性があります。このため商品別での仕入担当者を配置し、仕入先との密接な情報交換や作柄状況の確認により安定確保に努めておりますが、想定を超える規模での変動が生じた場合には原材料・商品の品質の低下や物量の不足により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、営業所に加え生産工場等により事業を推進しております。事業継続計画(BCP)の定期的な見直しや保険の利用等でリスクの抑制に努めておりますが、大地震や自然災害等の想定を超える事象や大規模な火災が発生し保有する施設や工場等の損壊・喪失、また、感染症疾患の大流行等が発生した場合、受注・出荷活動による商品供給や工場による生産活動に支障を来たし、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、食品原材料や商品の一部を海外から調達しており、また海外において、生産拠点および販売事業を営んでおります。海外からの仕入や海外グループ会社管理の専門部署を設けリスク管理に努めておりますが、戦争やテロ、政治・社会変化、不利な影響を及ぼす租税制度や諸規制の設定または改廃等、予期せぬ事象が生じた場合や海外グループ会社へのガバナンスに瑕疵が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは取引先への売掛債権に基づく信用リスクが発生しております。当社グループでは、信用情報の分析に基づき、取引先ごとで信用限度を設定し、限度金額に応じた承認権限に基づき審査を行う等で信用リスクの回避に努めておりますが、取引先の倒産のような予期せぬ事態により債権回収に問題が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業活動を遂行するにあたり、日本においては食品安全基本法や食品衛生法等、その他事業を展開している各国においても同様に法的規制を受けております。当社グループではこれら法的規制の遵守に努め的確な対応を行っておりますが、今後法規制の変更があった場合や法的違反行為等の指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限され、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
デジタル化の進展を背景に、情報通信やデータ処理による受発注処理や会計処理に加え、取引先とのコミュニケーションや社内での情報交換等においても電子的な交信手段が利用されています。このため、情報システムの専門部署を設けリスクの低減に努めておりますが、情報漏洩、データの紛失、ウイルス攻撃等が発生した場合は、企業活動に支障が生じる可能性があり、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは物流業界の人手不足に対応すべく、トラック輸送から鉄道貨物輸送等へのモーダルシフトの推進や輸入貨物の消費地に近い港への荷揚げ等の取り組みを行っていますが、配達ドライバー不足による商品の納期遅延、人件費高騰や燃料費高騰等による物流コストの大幅上昇といった問題が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、世界的に海上輸送に不安定要素が増加しており、輸出入の停滞が発生した場合に、商品調達の遅れや物流コストの上昇等、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、人手不足や円安等により物価上昇が継続する一方、所得は伸び悩んでおり、先行きは不透明な状況が続きました。食品業界におきましては、コスト増を反映した値上げにより売上は伸びましたが、消費者の購買意欲が下がっていることから、物流の効率化等コスト削減の動きが続きました。このような状況にあって当社グループでは、安全・安心な商品の安定供給に向けた設備の充実、海外仕入先との連携強化等の中期経営計画に沿った施策を着実に実施しました。
これらの結果、売上面につきましては、日本国内で乳製品やリテール品等の売上が増加した上、米国からの殻付クルミの輸出や中国国内でのナッツ・ドライフルーツ販売等海外セグメント売上が増加し、当連結会計年度の連結売上高は、前年同期比5.1%増の1,152億8百万円となりました。
利益面につきましては、米国ではクルミのマージン縮小で減益となりましたが、エネルギーコストの落ち着きや商品価格改定の進展等から日本国内での利益が改善し、中国セグメントでも輸出・国内販売両方で採算が改善しました。この結果、営業利益は同20.0%増の48億44百万円となり、経常利益は同19.6%増の49億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同12.8%増の31億70百万円となりました。
当期の品目別の業績は次のとおりであります。
(乳製品・油脂類)
粉乳やバター等の輸入乳製品売上は減少となりましたが、国内仕入れの国産脱脂粉乳の売上や、生産子会社製造のキャラメルミルク、ソフトクリーム材料等の売上も増加したことから、乳製品・油脂類売上高は359億37百万円(前期比4.2%増)となりました。
(製菓原材料類)
フルーツ洋酒漬け、チョコレート加工品、フルーツフィリング、ココア等の売上が伸びましたが、マロンペーストやマロングラッセ等の栗製品の売上が減少となりました。この結果、製菓原材料類売上高は193億39百万円(前期比3.6%減)となりました。
(乾果実・缶詰類)
日本国内でレーズンやクランベリー等のドライフルーツ売上が増加したこと、また米国からの殻付クルミの輸出や中国国内でのナッツ・ドライフルーツ類の販売が増加となりました。これらの結果、乾果実・缶詰類売上高は401億74百万円(前期比12.3%増)となりました。
(菓子・リテール商品類)
カカオ原料価格の高騰による販売価格の上昇もあり、NBのチョコレート菓子については減収となりましたが、ナッツ小袋等のリテール商品やPBのチョコレート菓子類が売上増となりました。これらの結果、菓子・リテール商品類売上高は195億24百万円(前期比2.7%増)となりました。
当期のセグメントの業績は次のとおりであります。
(日本)
当地域の売上高は、値上げ効果もあり、乳製品、ドライフルーツ類、リテール商品等の売上が増加したことから、前年同期比2.9%増の1,026億99百万円となりました。
セグメント利益は、乳製品、ナッツ、ドライフルーツ、菓子・リテール商品類等の採算が改善したことから、前年同期比20.3%増の44億41百万円となりました。
(米国)
当地域の売上高は、主力のクルミについて、良好な作柄を背景に受入量・販売量が増加し売上増となったこと、また中国産松の実の米国内での販売が増加となったことから、前年同期比12.4%増の89億40百万円となりました。
セグメント利益につきましては、クルミの販売量は増えましたが、期中での価格変動の結果、平均仕入価格と平均販売価格の差が前期より縮小したため、前年同期比32.6%減の3億79百万円となりました。
(中国)
当地域の売上高は、ナッツやドライフルーツ等の中国国内での売上が増加し、中国産シード類等の輸出も順調に推移したことから、前年同期比18.0%増の105億27百万円となりました。
セグメント利益は、中国内での販売好調に加え、輸出についても中国産シード類の欧州向け輸出やドライフルーツ加工品の日本向け輸出が採算改善となりましたので、前年同期比384.3%増の4億48百万円となりました。
当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前年同期に比べ24億53百万円増加し、899億5百万円となりました。その主な要因は、流動資産については、「現金及び預金」が17億54百万円減少したものの、「受取手形及び売掛金」が6億99百万円、「商品及び製品」が33億38百万円、「原材料及び貯蔵品」が4億10百万円、「前渡金」が1億52百万円それぞれ増加したことから、前年同期に比べ28億93百万円増加し、591億47百万円(構成比65.7%)となりました。固定資産については、無形固定資産が3億39百万円増加したものの、有形固定資産が6億81百万円減少したことから、前年同期に比べ4億40百万円減少し、307億58百万円(構成比34.2%)となりました。
(負債)
負債合計は、前年同期に比べ3億19百万円増加し、357億36百万円(構成比39.7%)となりました。その主な要因は、流動負債については、「支払手形及び買掛金」が17億54百万円、「未払法人税等」が1億53百万円それぞれ増加したものの、「短期借入金」が8億46百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が20億1百万円、「未払金」が2億71百万円それぞれ減少したことから、前年同期に比べ14億1百万円減少し、257億89百万円(構成比28.6%)となりました。固定負債については、「長期借入金」が16億30百万円増加したことから、前年同期に比べ17億21百万円増加し、99億46百万円(構成比11.0%)となりました。
(純資産)
純資産合計は、前年同期に比べ21億33百万円増加し、541億69百万円(構成比60.2%)となりました。その主な要因は、「為替換算調整勘定」が4億66百万円減少したものの、「利益剰余金」が23億44百万円、「その他有価証券評価差額金」が1億63百万円それぞれ増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期比17億54百万円減の111億94百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、30億85百万円(前年同期比32億41百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益49億58百万円、減価償却費28億54百万円、受取利息及び受取配当金1億15百万円、支払利息1億43百万円、売上債権の増加8億65百万円、棚卸資産の増加38億12百万円、仕入債務の増加19億69百万円、利息及び配当金の受取額1億33百万円、利息の支払額1億43百万円、法人税等の支払額15億73百万円によるものです。
前年同期比で得られた資金が減少となりました要因は、税金等調整前当期純利益が8億41百万円、仕入債務の増減額が26億71百万円それぞれ増加した一方で、棚卸資産の増減額が51億61百万円増加、法人税等の支払額が6億28百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、26億26百万円(前年同期比6億27百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものです。
前年同期比で使用した資金が増加となりました要因は、有形固定資産の取得による支出が2億76百万円増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、20億81百万円(前年同期は6億81百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純減額の7億87百万円、長期借入金の借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出23億71百万円、配当金の支払額8億25百万円によるものです。
前年同期比で使用した資金が増加となりました要因は、長期借入金の返済による支出が9億90百万円減少した一方で、短期借入金の純増減額が15億93百万円、長期借入れによる収入が21億円それぞれ減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっております。
当社および連結子会社は需要見込による生産方式をとっているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、当社経営陣による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営陣は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績等の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりですが、中でも、海外も含めた産地からの農産物の調達・仕入れにつきましては、世界的な気候変動や自然災害の影響によって、作柄が影響を受け調達が難しくなる可能性があります。また、これに加え、主要消費地の需要や関税等、貿易の枠組みの変化によって価格が上下する可能性があります。これらの結果、仕入れのタイミング等で仕入価格と販売価格の変動に時間差が発生する場合には、利益の増減要因となります。当社では販売担当とは別に商品別の担当者を置き、産地の状況を常に把握することで、価格変動リスクに備えると同時に、仕入先の分散や販売先の必要量の把握等により、このようなリスクの低減を図っております。
経営上の目標の達成状況については以下のとおりです。当社グループでは、日本、米国、中国の3地域に有している生産拠点を活用し、日本国内のみならず、中国、米国、欧州等の海外での売上拡大を図っております。一方、海外現地相場や為替相場の変動による輸入食材の仕入単価の変動がある場合には、販売数量が変わらない場合でも売上高の増減要因となります。従って、売上高よりも、売上総利益や営業利益での増益を主要な経営目標としております。また、企業価値の持続的な向上を目指し、資本コストを十分に上回るROE(株主資本利益率)を確保する方針とし中長期的に8%の達成を目指します。
当連結会計年度の達成状況は、下記のとおりであります。
当社グループでは安全・安心に向けた設備投資の継続等で一層の付加価値商品をご提供し、ROE8%以上を早期に達成していきたいと考えております。
③ 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び製品、原材料等の仕入費用や生産子会社の製造費用ならびに、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は生産施設における建物及び構築物の新改築や機械装置等の充実のための事業投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な運転資金および設備投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としつつ、不足分は金融機関からの短期・長期借入金により調達しております。また、一部はグループ内で資金の効率化を目的としてグループ会社間で融資を行っております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。