文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が緩和され、経済活動の再開が進み景気は緩やかな回復基調となりました。しかし、世界経済においては、中国経済の低迷やウクライナ情勢の長期化に伴う資源・原材料価格の高止まりが続くなど、景気の先行きについては依然として不透明な状況となっています。
また、当社グループの主要取引先であったルネサス エレクトロニクス株式会社との特約店契約を2024年3月に解消していますが、解消日以降も一部お客様向けについては同社製品の取り扱いを継続しています。
このような状況ですが、当社グループは2023年度からの3カ年計画である中期経営計画「Move for Future 2025:MF25」を策定し、1.実行力!ミライの価値づくりに、さあ動き出そう ~想いや経験を共有し、みんなで未来へ進もう~、2.安心・安全な社会、緑豊かな環境を創ろう~エレクトロニクスのチカラでより良い社会を創ろう~ をテーマに、2025年度目標の売上高700億円・営業利益21億円・親会社株主に帰属する当期純利益13億円の実現に向け、各アクションの実行を推進してまいります。
(1)事業継続態勢・リスクの予兆管理の充実
新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことにより経済活動は活発となり、リアルに活動が出来るようになりました。しかし、中国経済の低迷や中東情勢の悪化、ウクライナ戦争の長期化などにより世界情勢は不安定な状況となっています。国家間での対立などによる地政学的なリスクに対し、世界のパートナー様とのコミュニケーションを良く取り、柔軟にお客様への最適な供給を行い、事業を継続できるよう努めてまいります。また、近年増加しているサイバー攻撃などのリスクに対するセキュリティシステムの強化や社員教育の継続により、情報セキュリティに対するリスク管理体制の充実を図ってまいります。
(2)収益力の向上・健全な財務体質の維持
世界のパートナーの皆様と外部環境の変化に強い当社独自のビジネスモデルを構築し、更なる収益力の向上に努めてまいります。具体的には、当社の主力市場である自動車分野では、電動車開発に対するサポートや車両の軽量化につながる素材提案などによって新たな価値づくりに取り組んでいきます。また、道路や鉄道などの社会インフラ分野では、無線システムの提案などで社会課題解決に取り組んでいきます。
資産管理面においては、現地・現物確認を基本として、適切な資産の活用・管理を行い、引き続き健全な財務体質の維持に努めてまいります。
(3)全社プロジェクトの推進・社会課題への取り組み
5つの全社横断プロジェクト(自動車、医療、環境・エネルギー、IoT・FA、ソフトウエア)の推進を通じて、ミライの価値づくりと社会課題の解決に取り組んでいます。各分野に共通する課題への対応、ソリューションの提案とともに、自動車と環境・エネルギープロジェクトの融合など、各プロジェクトが協業し活動を推進することで、持続可能な社会の実現に向け貢献してまいります。
(4)エンジニアリング機能の強化・システムビジネス推進
ソリューションプロバイダーとして、海外拠点を含め技術者の増強などエンジニアリング力の強化に努めております。海外ネットワークを活かし、ハードウエア・ソフトウエアの両面から提案活動を行うことにより、お客様にとってかけがえのないパートナーとなれるよう取り組んでいます。新たに設置した社会インフラシステム事業部においては、社会課題に対してシステムで解決するよう提案力の強化に取り組んでまいります。
(5)人的資本の活用・ダイバーシティの推進
国際感覚を身に付けた人材を育成するため、日本から海外への研修だけではなく、海外から日本へ研修を実施するなど、グローバルでの弾力的なローテーションによる人材配置を行っております。また、女性や多様な人材がやりがいをもって働くことができるよう、働き方改革の取り組みや制度面の整備などを進めてまいります。更に、職層・職務にあわせた研修や業務資格認定、社内マイスター制度の運用により各社員の専門性をより一層高めてまいります。
(6)品質への徹底した取り組み
品質の国際規格ISO9001に基づき、品質方針の徹底と業務の見える化、ノウハウの共有などにより、社内業務品質の向上をより一層図ってまいります。品質への取り組みを継続し、お客様のかけがえのないパートナーとなるべく、グローバルでの品質管理体制を強化し、世界のパートナー様と品質に対する意識、ベクトルを合わせ、高品質な製品・ソリューションを提供してまいります。
(7)サステナビリティへの取り組み・コンプライアンスの徹底
当社グループは「地球環境を守り、人に愛され、信頼される良い企業で有り続ける。」を経営理念としております。SDGs(Sustainable Development Goals)への対応として、子供たちの学びの場の提供など地域社会への貢献活動とともに、環境に優しいビジネスの拡大、カーボンニュートラルに向けた取り組みなどを強化し、地球環境を守ってまいります。また、コンプライアンスを徹底し、人に愛され、信頼される良い企業で有り続けてまいります。
当社グループは、「基本徹底 Enforce Fundamentals」と「Quality First for Customer!」の経営ビジョンに沿い、企業価値の向上に努めてまいります。管理体制面では、コーポレートガバナンス・コードに沿って、内部統制機能と経営体質の強化により、ガバナンス体制を充実させてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「地球環境を守り、人に愛され、信頼される良い企業で有り続ける。」の経営理念のもと、サステナビリティ基本方針に沿った誠実な企業行動の実践を通じて、「豊かな社会創り」と「社会の持続的な発展」に貢献することを目指しています。
サステナビリティ基本方針において、当社グループが特に取り組むべき以下の8つの分野を掲げております。8つの分野は、「社会の課題解決と持続的発展への貢献」「法令順守、倫理的行動の実践」「ステークホルダーとの信頼構築」「環境保護のための取り組み」「品質向上の取り組み」「時間の有効活用と期限管理」「個人の尊重と差別の排除」「社員の健康増進と教育」であり、それぞれを所管する業務執行担当役員の指揮のもと、全社で取り組みを進めており、その進捗については経営会議、取締役会において報告されます。また経営企画部門においてサステナビリティに関する環境保護、品質向上、時間管理に関わる経営指標や社会の課題解決や持続的発展への貢献事例を取りまとめて経営会議、取締役会へその進捗を定期的に報告しています。
サステナビリティ各分野におけるリスクと機会は、社内の各種会議や委員会の場で討議を行っています。具体的には、「業務品質の向上」「地球環境保護の取り組み」「人材育成・女性活躍の推進」「ITセキュリティ管理強化」を重要な施策として推進し、進捗の管理と評価を行っています。
(3)具体的な取組
①業務品質向上
(戦略)
当社グループは、提供する製品、サービスの品質向上に継続的に取り組み、常にお客様が満足いただける水準の品質を提供できるよう取り組んでいます。品質管理管掌役員の指揮のもと、ISO9001に準拠した品質マネジメントサイクルを運営し、品質管理委員会においてリスクと機会の識別や課題への取り組み進捗を報告、確認しています。また、定期的にお客様への満足度調査を実施し、そのフィードバックを課題解決、品質向上に活かしています。課題の発生した事例に対しては、品質管理の専任部署も入り真因分析と再発防止策を策定しており、品質管理管掌役員が主宰する品質強化会議において、その事例を社内共有しています。
品質管理管掌役員が事業年度毎に課題事項の発生件数などの品質目標を設定して、その達成状況を評価確認するほか、部署単位でも品質目標を設定して、PDCAを運営しています。
(指標及び目標)
主要な品質目標としては、以下のものを設定しています。
(戦略)
当社グループは、地球温暖化や環境汚染などの環境問題に目を向け、その解決のために自然共生社会、循環型社会の構築に取り組んでいます。また、省エネルギー、省資源など、自らの企業活動によって生ずる環境負荷の低減に取り組んでいます。さらに、社会貢献と社員の環境意識醸成のために、自治体が主催する植樹イベントへの参加や干潟でのゴミ清掃活動に継続的に取り組んでいます。
中期経営計画のもとで環境エネルギープロジェクトを運営し、省エネルギーや脱プラスティック、カーボンニュートラル等、地球環境保護に繋がる技術や材料・素材の検討や提案活動を進めており、その進捗は社内プロジェクト運営会議等の場で報告されています。
(指標及び目標)
主要な取り組み目標としては、以下のものを設定しています。
(戦略)
当社グループは、多様な知見、経験を有する人材が活躍することで企業活動が活性化し、新しい価値創造に繋がるとの考え方のもと、女性や外国人を含む国際経験の豊かな者、中途採用者の管理職への登用を進めています。多様性が効果を発揮するためには、会社の経営理念や価値観、事業戦略、社内ルール等の共通基盤を全ての社員が習得することが重要と考えており、そのための研修の機会を設けています。
また、女性が企業で働き続けるための障害を取り除き、女性の管理職への登用を積極的に促進することは組織の多様化を進め、女性の視点を取り込むことで企業活動の活性化に繋がるものと考えています。そのため出産、子育てに対応できる各種勤務制度(短時間勤務、スライド勤務等)を導入したほか、女性の総合職へのコース転換を積極的に進めています。さらに、女性社員を対象とした研修を実施して、女性社員のキャリアプランやワークライフバランス実現のテーマで社長以下の役員を交えたメンバーで討議を行い、こうした声を人事施策や制度改善に反映させています。
(指標及び目標)
主要な取り組み目標としては、以下のものを設定しています。
④ITセキュリティ管理強化
(戦略)
ランサムウェアなどによる企業に対するサイバー攻撃の事例が増える中、そうしたリスクに対して事前に対処し、当社が保有する業務システムや情報に対するITセキュリティの強化に取り組んでいます。IT推進部門を中心に、サーバー運用やデータ保管のオフサイト化や外部に接続するデバイスの点検、未知の脅威へ対応可能な次世代型セキュリティツールの導入、バックアップデータによる復元テストなどの対策を順次対応しています。また、システムユーザである社員に対しては、継続的にE-Learningや訓練メールテスト等を実施し、ITセキュリティの重要性に対する啓発、教育を行っています。当社はこれまでサイバー攻撃によるシステム停止等の重大インシデントの発生事例はありません。
(指標及び目標)
ITセキュリティ管理強化についての目標は下記のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりとなり、当社グループにおいて重要性が高いと判断した順に記載しております。また、各リスクにおいては、主管部署を設定し対策検討を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)在庫保有に関するリスク
当社グループは、お客様の情報に基づき一定数量の商品を保有し、安定的な供給活動を行っておりますが、正味実現可能価額の見積りの結果、得意先の量産継続期間に使用される商品及び量産期間終了後に買い取られる商品に変動が生じた場合などには、販売出来なくなる在庫を抱える可能性があり、廃棄処分や評価損によって、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(2)商品の品質に関するリスク
海外企業からの仕入が拡大する中、環境基準・品質規格等に関して、品質管理専任者による品質検査体制を構築しておりますが、商品の品質に重大な契約不適合や不備が発生した場合など商品の不具合による補償等は、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(3)商品の納期管理に関するリスク
当社グループは、取引先との受注、発注管理を徹底し定められた納期に確実に納入出来るよう納期遅延の防止に努めておりますが、予期せぬトラブルにより、お客様への供給が遅延し損害賠償などが発生した場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(4)海外業務管理に関するリスク
当社グループは、アジア、北米、欧州などマーケットの拡大が期待される地域へ積極的に事業展開を進めておりますが、各国における市場動向、政情不安、労働問題などその他の要因によって事業活動が正常に行われない場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(5)コーポレート・ガバナンスに関するリスク
当社グループは、各種社内管理規程を設けると同時に、従業員に対しコンプライアンスの周知徹底を図っておりますが、意図的な不正や機密情報の漏洩等により、当社グループの信用が毀損した場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(6)主要取引先との営業取引に関するリスク
当社グループは、マイクロコンピューターなどの半導体製品等を株式会社アイシンに販売しており、2024年3月期の販売実績の総販売実績に対する割合は、35.3%と高い水準にあります。株式会社アイシンの生産動向・購買方針の変化に伴う売上高の減少及び収益性の悪化は、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(7)仕入先との営業取引に関するリスク
当社グループは、国内外の様々な企業から製品を仕入しており、それら仕入先とは、特約店契約・販売店契約などを締結しております。仕入先の販売政策の見直しや事業再編などの理由により特約店契約などに変更が生じ、製品供給が十分に得られなくなった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(8)契約管理に関するリスク
当社グループは、国内外の取引先との間で各種契約書の取り交わしを行っておりますが、契約内容の解釈齟齬により補償等を求められた場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(9)取引先の信用に関するリスク
当社グループは、幅広い産業分野において国内外の企業との取引を行っております。取引先の信用につきましては、個別に評価し与信限度額を設定して、その範囲内で取引を実行することにより、不良債権発生の防止に努めております。また、安定供給のため仕入先の信用管理についても個別で評価しておりますが、経営環境の変化等により、取引先の信用が悪化し取引継続が困難となった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(10)システム管理に関するリスク
当社グループは、基幹系、情報系ともにシステム化を推進しております。また、サービスレベルの向上を目的としたシステムの改修や変更、機器の入れ替え等を継続的に行っております。これらのシステムの改修等にかかる運用・管理には万全を期しておりますが、自然災害等、予期せぬトラブルが発生し、復旧等に時間を要した場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(11)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動を行うにあたり取引先に関する機密情報を保有しております。これらの情報については管理体制の強化および情報セキュリティ対策やバックアップデータの保管などを実施しておりますが、サイバー攻撃による不正アクセスやコンピューターウイルスの感染、人為的過失等により、当該情報の漏洩やシステム障害が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償責任の発生等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(12)資金調達に関するリスク
当社グループの資金調達は、自己資金および借入金、売上債権の売却等により資金調達を行っておりますが、何らかの理由で必要額の資金調達が行われなかった場合には、支払い決済ができなくなり当社グループの信用が低下し、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(13)為替管理に関するリスク
当社グループは、アジア地域、北米地域、欧州地域など海外に10社の連結子会社を有しております。外貨建ての連結子会社の売上高、費用、資産等は連結決算日の直物為替相場レートにより円換算するため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは各国において外貨建ての取引を行っており為替変動リスクを有しているため、為替予約等の手法を活用することで為替変動リスクの軽減に努めておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(14)業務継続管理に関するリスク
当社グループは、大規模地震などの自然災害や事故等に備えて、危機管理や防災等の必要事項を定め、リスクの予防、軽減を図っているとともに、お客様への安定供給のため一定数量の在庫確保に努めておりますが、お客様の生産施設の災害状況や周辺での交通・通信などのインフラ等に甚大な被害が生じた場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(15)固定資産の減損リスク
当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産等を保有しております。予期せぬ事象等により事業収益性が低下し、当該資産が十分なキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損の認識が必要となり、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(16)保有有価証券の価格変動に関するリスク
当社グループは、主に取引先や銀行等との関係構築・維持のため株式を有しておりますが、株式市場の大幅な変動により保有する株式の価額が著しく下落し評価損が発生した場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(17)退職給付債務に関するリスク
当社および国内連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用し、必要資金は内部留保の他に、確定給付企業年金制度を利用し外部拠出を行っております。年金資産の運用利回りの低下は、退職給付費用の増加となり、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、CRO(チーフ・リスク・オフィサー:最高リスク管理責任者。コンプライアンス統括責任者を兼ねる。)を社長とし、社長直属の機関としてコンプライアンス・リスク管理委員会を設置するとともに、その委員会でリスクの基本方針の確立、洗い出し、評価・選別を行いリスクの最小化を図っております。直面する全てのリスクについて適切に管理することにより、中長期にわたり企業体質の強化を図り、安定した経営基盤づくりを経営上の重要課題としております。そのために、当社グループに影響を及ぼすリスクが認識された場合は、該当担当部署においてそのリスクの影響度を分析し、経営会議および取締役会での報告を通じて、すべての役員に認識の共通化を図るとともに、今後の課題と対応策について検討を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が解除され、経済活動の再開が進み景気は緩やかな回復基調となりました。一方、世界経済においては、不動産市況の停滞に伴う中国経済の低迷や中東情勢の悪化、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源・原材料価格の高止まりが続き、景気の先行きについては依然として不透明な状況となっています。
このような経済環境のもと、当社グループは2023年度からの3カ年計画である中期経営計画「Move for Future 2025:MF25」を策定し、MF25のテーマである「1.実行力!ミライの価値づくりに、さあ動き出そう ~想いや経験を共有し、みんなで未来へ進もう~」、「2.安心・安全な社会、緑豊かな環境を創ろう ~エレクトロニクスのチカラでより良い社会を創ろう~」の方針に沿って、益々エレクトロニクス化、グローバル化が進む事業環境の中、自動車、医療、環境・エネルギー、IoT・FA、ソフトウエアなどの各市場分野において、お客様視点に立ったソリューション提案を進めています。
具体的な取組として第1四半期連結会計期間より、東海テクノセンター株式会社に社会インフラシステム事業部を新設し、工場の自動化へのシステム提案や社会インフラのモニタリングなど、システム提案を当社グループの事業の柱のひとつとして確立する体制に組織再編しました。
その他の主な取組として喫緊の課題である環境・エネルギー分野に向けて、社内の自動車プロジェクトと環境・エネルギープロジェクトが協業して活動を推進。自動車の省エネルギー化と軽量化を大きな課題と考え、インバータをはじめ、様々な部品の効率化と小型化、放熱・ノイズ対策に向けて提案を強化しています。
また、当社グループの主要取引先であったルネサス エレクトロニクス株式会社との特約店契約を2024年3月に解消していますが、解消日以降も一部お客様向けについては同社製品の取り扱いを継続しています。
当連結会計年度における市場分野別の業績について、自動車分野においては海外では日本からの商流移管案件が中華圏・東南アジア圏を中心に伸長したほか、欧米圏でも販売が堅調に推移し前期を上回りましたが、国内は中国市場での自動車販売の減少の影響により半導体デバイスの販売が減少したことなどから、自動車分野全体では前期を下回る結果となりました。また、FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が低迷したことなどから国内外とも前期を下回る結果となりました。情報通信分野においては、国内は堅調に推移しましたが、海外は東南アジア圏を中心にお客様の生産調整があり、OA機器向け電子デバイスなどの販売が減少したことなどから、情報通信分野全体では前期を下回る結果となりました。
上記の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は608億3千3百万円(前期比5.7%減)となり、利益面においては収益率の改善などにより営業利益16億4百万円(前期比4.7%増)、経常利益16億5千8百万円(前期比3.3%増)となりました。しかし、特別損失として「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく回収可能性を検討した結果、2020年4月に半導体製品の販売事業を譲受けた際に計上したのれん及びその他の資産の未償却額等3億5千4百万円の減損損失を計上したことに加え、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、一部繰延税金資産を取り崩すこととし、法人税等調整額2億1千4百万円を計上したことにより、法人税等合計が8億1千2百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益4億9千1百万円(前期比52.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
○関東・甲信越カンパニー
情報通信分野においては、お客様での電子部品等の調達難が解消したことで、電子デバイスなどの販売が増加しました。一方、自動車分野、FA・工作機械分野においては、中国向け需要の減速により電子デバイス、高機能材料等の販売が減少したことなどから、売上高は41億9千3百万円(前期比6.6%減)となりました。
医療分野においては、病院や介護向けシステムの新規採用があり販売が増加しました。一方、FA・工作機械分野においては、自動車関連及び半導体関連向けの設備投資が低迷し電子デバイスの販売が減少したことなどから、売上高は90億1千5百万円(前期比13.8%減)となりました。
FA・工作機械分野においては、自動車関連の設備投資が低迷し半導体デバイスなどの販売が減少しました。一方、自動車分野においては、省エネルギーを目的とした電子デバイスの新規採用があり販売が増加したことなどから、売上高は68億2千5百万円(前期比16.2%増)となりました。
自動車分野においては、半導体不足によるお客様の生産調整は緩和されましたが、中国市場での自動車の販売不振の影響やお客様のBCP(Business Continuity Plan)在庫の確保が進んでおり、マイコンなどの半導体デバイスの販売が減少したことなどから、売上高は228億6百万円(前期比15.3%減)となりました。
情報通信分野においては、東南アジア圏を中心にお客様の生産調整局面が継続しておりOA機器向け電子デバイスなどの販売が減少しました。また、FA・工作機械分野においてもお客様の生産調整の影響で電子デバイスの販売が減少しました。一方、自動車分野においては、中華圏で日本からの商流移管により半導体デバイスの販売が増加したことに加え、欧米圏でも販売が堅調に推移しました。また、為替相場が前期と比べ円安となったことから、売上高は153億1百万円(前期比9.8%増)となりました。
公共事業分野においては、建物設備の新設や改修の受注が増加しました。一方、航空宇宙分野においては、お客様が設備投資を控えたことなどにより新規受注は減少しました。また、FA・工作機械分野においても、半導体設備関連の需要が低迷したことによりアセンブリ製品等の販売が減少したことなどから、売上高は26億9千万円(前期比4.4%減)となりました。
財政状態につきましては、資産総額は307億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億2千6百万円の増加、負債総額は137億8千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億6千万円の減少、純資産合計は170億1千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億8千7百万円の増加となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億9千5百万円増加し、42億6千8百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は36億2千1百万円(前期は7億6千1百万円の使用)となりました。
主な要因は、仕入債務の減少7億3千7百万円、法人税等の支払額4億4千2百万円などによる資金の使用がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上13億4百万円、売上債権及び契約資産の減少12億4千9百万円、棚卸資産の減少9億3千7百万円、未払消費税等の増加5億5千9百万円などによる資金の獲得があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は4億4千9百万円(前期は7千8百万円の使用)となりました。
主な要因は、長期前払費用の取得による支出4億3千6百万円などの使用があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は14億2千5百万円(前期は7億6千2百万円の獲得)となりました。
主な要因は、短期借入金の純減額11億円、配当金の支払額2億4千万円などの使用があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
特記事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
特記事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近の2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、次のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
自動車分野においては海外では日本からの商流移管案件が中華圏・東南アジア圏を中心に伸長したほか、欧米圏でも販売が堅調に推移し前期を上回りましたが、国内は中国市場での自動車販売の減少の影響により半導体デバイスの販売が減少したことなどから、自動車分野全体では前期を下回る結果となりました。また、FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が低迷したことなどから国内外とも前期を下回る結果となりました。情報通信分野においては、国内は堅調に推移しましたが、海外は東南アジア圏を中心にお客様の生産調整があり、OA機器向け電子デバイスなどの販売が減少したことなどから、情報通信分野全体では前期を下回る結果となりました。
上記の結果、当連結会計年度における売上高は608億3千3百万円となり、前連結会計年度に比べ36億6千1百万円の減少となりました。
(営業利益)
営業利益は、人材投資や営業活動の活性化に伴い変動費が増加しましたが、収益率の改善などにより16億4百万円となり、前連結会計年度に比べ7千1百万円の増加となりました。
(経常利益)
経常利益は、営業利益が前連結会計年度に比べ7千1百万円増加しましたが、営業外収支が5千4百万円の収入となったことにより、前連結会計年度に比べ1千9百万円減少し16億5千8百万円となり、前連結会計年度に比べ5千2百万円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく回収可能性を検討した結果、2020年4月に半導体製品の販売事業を譲受けた際に計上したのれん及びその他の資産の未償却額等3億5千4百万円の減損損失を計上したことに加え、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、一部繰延税金資産を取り崩すこととし、法人税等調整額2億1千4百万円を計上したことにより、法人税等合計が8億1千2百万円となったことから4億9千1百万円となり、前連結会計年度に比べ5億5千万円の減少となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
資産総額は307億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億2千6百万円の増加となりました。
主な要因は、売上債権等が9億3千8百万円、棚卸資産が6億3千2百万円、のれんが3億8千6百万円など減少しましたが、現金及び預金が18億9千5百万円、投資有価証券が4億6千5百万円増加したことなどによるものであります。
(負債)
負債総額は137億8千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億6千万円の減少となりました。
主な要因は、未払法人税等1億7千4百万円、未払消費税等などの増加により流動負債のその他が2億5千6百万円、繰延税金負債の計上により固定負債のその他が2億5千9百万円増加しましたが、仕入債務が4億8千3百万円、短期借入金が11億円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産合計は170億1千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億8千7百万円の増加となりました。
主な要因は、配当金の支払い2億4千万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益4億9千1百万円の計上があり、利益剰余金が2億5千万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金が3億1千2百万円、為替換算調整勘定が4億9千4百万円増加したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資および営業活動促進のためのデモ機購入などによるものであります。これらの資金につきましては、自己資金および借入金、売上債権の売却等により資金調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に検証し意思決定を行っております。そのため連結財務諸表の作成に用いた見積り、予測は、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があり、連結財務諸表の報告数値に影響を及ぼす可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、2025年度を最終目標とする、中期経営計画「Move for Future 2025:MF25」を策定し連結売上高700億円、営業利益21億円、親会社株主に帰属する当期純利益13億円を目標としております。中期経営計画「Move for Future 2025:MF25」の初年度の状況は以下のとおりであります。
売上高は、計画比41億6千6百万円減少(6.4%減)となりました。この要因は、自動車分野では中国市場での自動車販売の影響により減少しました。FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が低迷していること、また、情報通信分野においても、OA機器向け電子デバイスの販売が減少したことなどによるものであります。
利益面においては、人材投資や営業活動の活性化に伴い変動費が増加しましたが、収益率の改善などにより、営業利益は計画比4百万円増加(0.3%増)、経常利益は計画比6千8百万円増加(4.3%増)しました。但し、特別損失として「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく回収可能性を検討した結果、2020年4月に半導体製品の販売事業を譲受けた際に計上したのれん及びその他の資産の未償却額等3億5千4百万円の減損損失を計上したことに加え、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、一部繰延税金資産を取り崩すこととし、法人税等調整額2億1千4百万円を計上したことにより、法人税等合計が8億1千2百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比5億8百万円減少(50.8%減)しました。
販売特約店契約等
2024年3月31日現在において、解約した重要な契約は次のとおりです。
特記事項はありません。