第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1)経営方針

 フォーバルの社名は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業」として中小・小規模企業の利益に貢献できる「新しいあたりまえ」づくりに挑戦しております。

 フォーバルの提案する「新しいあたりまえ」とは、商品・サービスを提供する大手メーカーやキャリアではなく、これらを実際に利用するユーザーの立場から情報通信業界が抱える矛盾、問題点を打破するために考えた新しいビジネスモデルです。

 実際にわれわれの提案した多くのビジネスモデルは広く世の中に受け入れられ、独占的な日本の情報通信業界に競争原理をもたらし、サービスの向上とコストダウンを進めるための大きなきっかけをつくってきました。

 しかし、当時は斬新だった「新しいあたりまえ」も、時が経ち世の中に浸透すれば「ただのあたりまえ」になります。フォーバルはこれからも「新しいあたりまえ」で、新しい世界を創ることに挑戦してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループの事業ドメインにおいては事業構造・事業環境の変化が激しく、その変化に適切に対応することを方針として掲げておりますので売上高利益率や資本回転率などの経営指標については、現段階では設定しておりません。今後、適切な指標を設定した時点で開示したいと考えております。

 

(3)経営環境

 当社グループの事業領域である情報通信分野においては、クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどを活用したサービスの拡大が続いています。

 また、中小・小規模企業においてはDXの推進による働き方の変化に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による新しい働き方への急激なシフトの中で、従来型の機器等の価値は低下する一方、新しい経営環境の変化に苦慮する経営者の各種アドバイスに対する需要が高まっております。近年は企業の業績だけではなくESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)が重視される傾向にあり、中小・小規模企業の利益に貢献する「次世代経営コンサルタント」集団としての役割がますます重要となっています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは「企業ドクター(次世代経営コンサルタント)」として企業経営を支援する集団となり、中小・小規模企業の利益に貢献することで顧客とのリレーションを強化し、ビジネスパートナーとしての確固たる地位を確立するとともに、ストック型の収益構造へとビジネスモデルの転換を図っております。

 特に、「情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルティングサービス(情報通信)」、「海外マーケットを独自ノウハウで取り込む経営コンサルティングサービス(海外)」、「環境に配慮した最先端の経営コンサルティングサービス(環境)」、「次世代経営に必要な人材を育てる経営コンサルティングサービス(人材・教育)」、「企業のライフサイクルに対応した経営コンサルティングサービス(起業・事業承継)」の5分野において他社との差別化を図り、主に「売上拡大」「業務効率改善」「リスク回避」の視点から中小・小規模企業の利益に貢献することを目指しております。

 現在は、国の「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」に則ってF-Japan戦略を推進し、骨太方針の中でも特に「グリーン」「デジタル」「活力ある地方創り」「少子化対策」に着目し、自治体・民間企業・教育機関・金融機関と連携し、地域経済活性化のためのDX促進に取り組んでいます。

 地方自治体の運営を取り巻く環境は大きく変化しており、活力ある地方を取り戻すためには、地域の産業を復興し住民の生活の質を向上させ地域としての魅力を高めていく必要があります。そのためには、デジタルを活用した行政サービスを提供していくことが必須となっており、国もその実現に向けて全面的に支援しています。

 当社グループが注力しているF-Japan戦略は日本全国でDX・GX人材を育て、その人材が地元経済を活性化させるという好循環が永続的な地方創生を実現するのに不可欠であると考えており、その実現に向けて各地方自治体における「DX・GX人材の育成」「DX・GX人材の就職・起業」「DX・GX人材による地域経済の活性化」の仕組みづくりを、デジタル人材を派遣し、現状や課題を可視化しながら伴走支援しています。

 

 

 さらには、人材を費用・コストとして捉えるのではなく、その人が持つ能力やスキルを資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値の向上につなげる「人的資本経営」をはじめとした「ESG経営」が長期的な成長に欠かせない重要な要素となる中で、次世代型のデータ活用により新たな価値を共創する経営情報分析プラットフォーム「きづなPARK」で財務や非財務などの経営情報を可視化しながら中小・小規模企業の「ESG経営」を伴走支援しています。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 現代の企業経営では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成、気候変動への対応、生物多様性の保全、人権尊重、労働環境の改善、健康経営の推進、そして企業統治の整備など、ESG(環境、社会、ガバナンス)への配慮が一層必要とされる方向へと進んでおります。そのような時代の要請を受け、フォーバルグループでは2022年4月1日、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会を併せて設立しております。

 サステナビリティ委員会は、サステナビリティならびにESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる経営の方針を策定し、当社グループに対して指導や情報の共有、教育研修等を通じて、具体的な活動を推進・共有しております。これには、気候変動対策をはじめとする環境保全活動や、社会貢献活動が含まれております。

 リスクマネジメント委員会は事業目的の達成を阻害する恐れのあるさまざまなリスクを早期発見し適切に対応していくとともに、当社グループに対して助言・指導を行うことでリスク管理の強化を図り、事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理することを目的としております。

 サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会での審議・決定事項は、各委員会の主たる活動状況と共に取締役会に四半期ごとに報告されます。これにより取締役会が気候変動に関わるリスクと機会への対応方針や温室効果ガス(GHG)の削減目標・取組、気候変動のリスク・機会を考慮した事業計画等の重要事項につき審議・決定しております。

 取締役会は当社グループを取り巻く気候関連事項を考慮し、2021年の12月にTCFD提言への賛同を表明し、2022年7月に初めてその提言に沿った情報開示やCDP質問書への回答を実施し、その後、継続して開示と回答を行っております。今後、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準への対応も視野に入れつつTCFD提言に沿った情報開示をより一層強化していく方針で、当社グループ全体における環境対策の取り組みに関して、その効果の検証、データの蓄積と分析、効果検証を行い開示の質の向上を着実に図ってまいります。

 

(2)戦略

①シナリオ分析

 当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務的影響を把握するために、TCFDが提唱するフレームワークに則り、IPCC第六次評価報告書におけるSSPシナリオを参考にして2030年度時点の外部環境変化を予測し、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオで分析を行っております。

 

②シナリオ分析に基づくレジリエンス

 1.5℃シナリオに対応するため、省エネ活動の一環としては、LED照明への切り替え、空室や不在時の照明や空調の消灯、エコドライブの推進を継続しております。既存のテナントビルに関しては、ビルの所有者への働きかけを通じて、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを継続的に依頼しております。また、新規テナントビルへ入居または移転する際には、再生可能エネルギーを利用しているビルを選定しております。さらに、当社グループで新たに建設したビルに関してはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化し、太陽光発電設備の導入により、再生可能エネルギー由来の電力を利用しております。加えて、環境負荷の少ないHV車およびEV車の導入を積極的に進めており、移動手段のGHG排出量を低減しております。

 現状では4℃シナリオも十分現実となる可能性があることから、4℃シナリオにおいても、BCP対策の強化、グリーン調達の推進、省資源活動の推進等の対策しております。

 

 このように当社グループでは、ESG経営の一環として気候変動に関連するリスクの最小化と機会の最大化を目指して、組織と経営の強靭性を保持するための措置を実行しております。また、それと同時に当社グループのお客様である中小・小規模企業の気候変動に対する課題を可視化し、これらの企業が適切に対応できるよう伴走型で支援を行うことで脱炭素に貢献しております。

 

 

区分

種類

想定される
気候変動リスク

1.5℃
財務影響度

4℃
財務影響度

対応策

移行リスク

政策・

法規制リスク

炭素税導入・炭素税率の上昇に伴う調達・販売コスト増

中~高

GHG量削減の推進(カーボンオフセットを含む)

燃料・電力価格の上昇に伴う調達・販売コスト増

省エネ活動の推進、設備の効率化、燃料機器の電化、再生可能エネルギー由来の電力の導入

技術リスク

省エネ・再エネ導入のための設備投資コスト増

EV・HV車の導入

低炭素テクノロジーの急速な進歩への乗り遅れ

太陽光発電設備の導入

市場リスク

低炭素社会移行に伴う商品・サービスの需要変動

中~高

環境配慮型製品・サービスの提供
低炭素製品調達の推進

評判リスク

低炭素社会移行の不適応による評価・評判の低下

製品リサイクルの推進
社会全体のCO2削減への貢献

物理リスク

急性リスク

突発的な災害に伴う稼働停止、調達・輸送コスト増

中~高

自然災害・気温上昇やそれに伴うダメージ、コスト増、健康被害などへの対処、予防策・BCPの強化

慢性リスク

温暖化に伴う稼働停止、調達・輸送・空調コスト増

温暖化に伴う各種資源の減少による調達コスト増

グリーン調達・省資源活動の推進

海面上昇に伴う調達・輸送コスト増

BCPの強化

機会

エネルギー源

低炭素エネルギー源の増加による販売機会増

中~高

環境配慮型電力プランの提供

製品・

サービス

環境配慮型製品・サービスの開発による販売機会増

環境配慮型製品・サービスの開発と提供

市場

顧客要求への迅速な対応による競争優位性の確保

中小・小規模企業のESG経営の可視化伴走型支援

強靭性

新規事業の創出・展開

可視化伴走型支援事業による「産・官・学・金」との連携

 

③人材の育成に関する方針

 当社グループでは、創業以来、私たちを取り巻く各ステークホルダーに対して、ビジネスを通じて「幸せの分配」をすることを企業価値としています。

 その中でも、最も優先すべきステークホルダーは「社員」です。なぜならば、社員自身が「幸せ」であることこそが、他のステークホルダーに対して幸せを分配する原動力になると考えるからです。私たちは、社員の幸福が最大化される企業環境を整備することが、真の価値創造への第一歩であると信じています

 

フォーバルグループが目指す人材像

 当社グループは、社名の由来でもある「For Social Value」という理念を基に、「社会が求める真の価値」を追求し続けています。

 その指針として、企業理念である「社是」を掲げ、社員一人ひとりがあるべき姿を共有できるよう努めています。

 

 

当社グループが大切にしている人材要素

「明・元・素(めい・げん・そ)」

 社員が持つべき人間性として、明るく元気で素直であることを大切にしています。これらは特別なスキルではなく、人間が持つ基本的な素養です。

「実力主義」

 社員一人ひとりが結果にこだわり、目標達成に強い意欲を持ち、最後まで粘り強くやり抜く姿勢を重視します。これにより、成果を生み出す企業文化を形成しています。

「強い仲間意識」

 社員はビジョンを共有し、チームプレーの中で主体的に行動することで、協力して新たな価値を創造します。この仲間意識が、会社と個人の成長の基盤となります。

 

 当社では、社員が主体的に計画的に行動し、企業理念の実現に向けて挑戦できる環境を提供することで、人材価値を最大化することを目指しています。

 

・関わるすべての人に「幸せを分配する」

・お客様や社会にとって本当に価値あるものを創出する

・社会や業界の常識に挑戦を続け、創意工夫による「新しいあたりまえ」を実現する

・顧客視点を常に持ち、感謝の気持ちを持って「真心ある行動」を追求する

・社員が主体的に新たな挑戦に取り組むことで、革新を続ける企業文化を育む

 

事業戦略との連動

 当社グループでは、事業戦略の中心に「企業ドクター(次世代経営コンサルタント)」としての役割を据え、情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継の5つの重点分野において、他社との差別化を図りながら、中小・小規模企業の成長と利益に貢献するコンサルティングサービスを展開しています。また、グループシナジーを最大化し、幅広い事業領域で総合的な価値を提供しております。

 

 当社グループが注力しているのは、中小・小規模企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する取り組み状況を可視化し、ESG経営能力の向上を実現する「可視化伴走支援」です。

ESGとは、企業が持続的かつ長期的に成長するための重要な経営指針と位置付けられています。当社では、ESGへの取組が不十分な企業に対して価値が認識されにくい環境の変化を危惧し、中小・小規模企業がいち早くESG経営に取り組むこと、そしてこれらの取り組みを「新しいあたりまえ」に変えていくことを使命とし、ESG経営の支援を事業戦略の柱に据えております。

 

 事業戦略の実現には、社員一人ひとりが企業ドクターとして高い品質のコンサルティングを提供できるようその能力を発展させることが不可欠です。そこで当社は、自社のESG経営においても人的資本経営を重視し、人材への投資を積極的に行っています。具体的には、ESG経営の専門知識を社員が習得するための教育体制を整備するとともに、企業ドクターの育成にスピード感を持って取り組んでおります。

 

 こうした取り組みを通じ、当社グループでは「人材」を最も重要な価値の源泉と位置付け、社員一人ひとりの価値向上を図ることで、新しい社会価値を創造し続けます。この歩みを通じ、「100年企業」として持続的な成長を実現し、社会に貢献する企業を目指してまいります。

 

人材育成における二軸の取組

 当社グループでは、経営理念の共有と実現のための「フォーバルパーソンとしての基盤づくり」と社員個々の能力の向上を目指した「事業人材の育成」の二軸で、人材育成に取り組んでおります。

 

 

<フォーバルパーソンとしての基盤づくり>

 グループ社員が法令を遵守することはもちろんのこと、グループ行動指針(役職員行動指針)に則って「主体性の発揮」「適正で合理的な行動」「誠実・公正な行動」をとることができるよう、フォーバルパーソンとしての基盤づくりに努めます。

 

 1.コンプライアンス教育

  ・コンプライアンス診断

  ・ハラスメント行動チェック

  ・情報セキュリティ理解度チェック

  ・会社理解度テスト

 

 2.年次別・階層別教育

  ・フォーバルグループ新入社員研修

  ・フォーバルシップ勉強会(フォーバルグループ入社3年目まで/課長/部門長)

  ・入社3年目までのフォローアップ人事部面談

  ・新任管理職アセスメントプログラム

 

<事業人材の育成>

 当社グループの事業の中核となる「可視化伴走支援事業」においてはESG経営に関する知識の習得と企業ドクターの育成が急務です。当社グループが中小・小規模企業の「総合病院」となるため、ESG経営に関する知識習得に加え、情報分析力と情報活用力の向上に努め、自らが率先して能力の向上を図る「自走式集団」を目指します。

 より専門性の高い事業人材に特化した育成を行うため、「X(トランスフォーメーション)開発センター」から「企業ドクター開発センター」へ組織名称と体制を改め、人的投資として能力開発に努めています。

 

 1.企業ドクター開発センター教育

  ・職種別教育(営業人材/コンサルティング人材/ESG人材)

  ・リスキリング教育

 2.部門教育

  ・コミュニケーションセンター(コミュニケーター)教育

 3.推奨資格制度

  ・DXアドバイザー検定の取得推進

  ・ESGアドバイザー検定の取得推進

  ・個人情報保護士、ビジネス統計スペシャリスト、環境社会検定試験(eco検定)Ⓡ、

炭素会計アドバイザー資格の取得推進

 

④社内環境整備に関する方針

 フォーバルグループは、社員やその家族、顧客、株主、取引先など企業活動を通じて影響を受ける全てのステークホルダーの人権を尊重することを重要な理念として掲げております。当社は、「社会が求める真の価値」の中核をなすものとして人権尊重に重点を置き、その理念を具現化するべく「フォーバル人権ポリシー」を策定し、これを基盤として企業の社会的責任を果たしてまいります。

 また、性別、国籍、年齢、経験などのバックグラウンドを持つ多様な社員が在籍しております。すべての社員が、特に子育てや介護の責務を担う世代を含めて、安心感と幸福感を得られる職場環境を実現することを目指しております。さらに、社員の健康維持および増進を促進し、生産性や創造性を高め、持続可能な職場環境の整備に努めております。

 

 

社内環境整備における具体的な取り組み

<多様性の重視>

 フォーバルグループは、職場における多様性を尊重し、以下の属性を理由とする一切の差別およびハラスメントを許容いたしません。

 

人種・民族・宗教

国籍・出身

性別・性自認・性的指向

年齢・障がいの有無・疾病

 

 また、機会の平等を確保し、採用、配置、評価、報酬、昇進においては、社員個々の能力、経験、成果に基づいた公正な基準に従って実施いたします。

 

1.女性活躍推進

・育児短時間勤務制度を子が18歳に達する年度末まで延長し、育児と業務を両立できる環境を整備しました。

・産後パパ育休(出生時育児休業)を14日間有給化し、産後パパ育休・育児休業を取得しない場合は「育児特別休暇(有給5日間)の付与」を行ない、男性の育児参加と女性の活躍を促進しています。

・看護休暇および介護休暇を有給化し、育児や介護と業務の両立を支援しています。

・2024年度は厚生労働省「くるみん認定」を取得し、子育てサポート企業として一定の水準に達しました。

 

2.働き方改革(i-Work勤務規程策定(テレワーク制度/フリーワーク制度))

 i-Work勤務規程を策定し、テレワーク制度およびフリーワーク制度を整備しています。

 

3.障がい者雇用推進

 障がいのある方々が安心して能力を発揮できる環境の整備に努めております。

 

<従業員の安全と健康の維持>

 安全で健全な職場環境の提供を重要な責務と位置付け、安全衛生に関する法令、規制、規定の遵守を徹底するとともに、健康リスクへの適切な対応を行います。社員が安心して働ける環境を維持するため、次の施策を積極的に展開しております。

1.健康経営推進

 健康経営の取組を通じて、健康優良法人認定を8年連続で取得しております。また、グループ全体で合計12社が健康優良法人認定を受け、継続的に社員の健康増進を図っております。

 

2.パルスサーベイ・人事調書の活用

 社員各々の状況を正確に把握することで迅速かつ適切な対応を行い、働きやすい職場環境の実現に寄与しております。

 

3.社内・社外相談窓口設置

 近年重要性が高まっているコンプライアンス対応を強化するため、内部通報窓口に加え外部相談窓口を設置しております。これにより相談しやすい環境を整備し、リスクの早期発見および迅速な対応につなげております。

 

 フォーバルグループは、「新しいあたりまえ」の創出を目指し、引き続き社会が求める真の価値を追求するとともに、全てのステークホルダーにとって価値ある存在となるべく尽力してまいります。

 

 

(3)リスク管理

 当社は、リスク管理基本規程において経営企画担当部門をリスク管理担当部門とし、リスクを「会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせる全ての可能性を指すもの」と定義し、13のケースを想定しております。そのうち気候変動に関わるケースは、以下のものです。

・財務報告の信頼性に重大な影響を与える事態の発生するおそれがある場合

・火災、地震、風水害によって多大の損害を受けるおそれがある場合

・ITシステムの不具合または不正情報の流入により多大な損害が発生するおそれがある場合、および内部統制が有効に機能しなくなるおそれがある場合

・グループ会社に上記のような事由が発生し、当社の経営に重大な影響を及ぼすおそれがある場合

・その他会社の存続に関わる重大な事案が発生するおそれがある場合

 また、各リスクに対応する体制の構築を目的とし、リスク管理基本規程の第4条の詳細を規定するリスク管理基準で、次のように定めております。

 「会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせる全ての可能性のあるリスクに対して、全社的なリスク管理担当部門として経営企画部門は、それぞれ個別のリスク担当部門を定め、リスクの管理、軽減および移転その他必要な措置を講じるように指示をしなければならない。」

 そして、グループ全体における潜在的リスクの早期発見および事故・不祥事等に対し、迅速かつ適切な措置を講ずる体制を構築しております。

 このように、当社グループでは、取締役会および代表取締役社長がサステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会を主導し、取締役や経営執行責任者、管理部門が主体となり、グループ内で認識されたリスク・機会を適時適切に管理しております

 

(4)指標及び目標

①GHG排出量実績

 当社グループでは2020年度からGHG排出量の算定に取り組んでおり、サプライチェーンにおける排出量(Scope3)に関しても、2020年度は単体、2021年度からはグループ全体の算定をしております。

 算定対象のグループ会社は、2020年度は20社でしたが、2023年度は25社となっております。

 

2023年度GHG排出量実績

算定項目

排出量(t-CO2)

Scope1

直接排出

1,033

Scope2

間接排出

819

Scope3

カテゴリ1

購入した製品・サービス

118,891

カテゴリ2

資本財

4,269

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

19,024

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

245

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

5

カテゴリ6

出張

1,387

カテゴリ7

雇用者の通勤

772

カテゴリ8

リース資産(上流)

カテゴリ9

輸送、配送(下流)

88

カテゴリ10

販売した製品の加工

カテゴリ11

販売した製品の使用

510,624

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

925

カテゴリ13

リース資産(下流)

234

カテゴリ14

フランチャイズ

カテゴリ15

投資

 

 

②GHG排出量の削減目標と実績推移

 2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しております。フォーバルグループは中小・小規模企業の脱炭素の実現に向けて、より先鋭的な活動に取り組むために、2022年の7月に日本政府よりさらに野心的な目標「2030年までにカーボンニュートラルを目指す」宣言(Scope1+2) を行い、2020年度を基準年として毎年10%の削減を目指しております。

 

 実績推移

Scope1+2GHG排出量
単位(t-CO2)

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

Scope1+2排出量

2,026

1,880

2,075

1,852

J-クレジットによるオフセット量

126

527

435

オフセット後排出量

2,026

1,754

1,548

1,417

2020年度比

86.6%

76.4%

69.9%

 

 

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 当社グループのScope1排出量は、事業活動が活発化したこと、および新たなグループ会社の加入が影響し、2020年度と比較して増加しています。しかしながら、エコドライブの推進やEV・HV車の導入を含む複数の削減活動を実施した結果、これらの増加要因による排出量の上昇は最小限に留まっています。

 Scope2排出量に関しては、事業活動の拡大とグループ会社の増加はしていますが、 2020年度と比較して排出量は減少しています。主な理由はグループ9社で再生可能エネルギー由来の電力プランを導入したことによるものです。 (再生可能エネルギー由来電力の導入率30.4%)

 さらにJ-クレジットを活用した435t-CO2のオフセットを実施しており、これを含めると2023年度の温室効果ガス削減目標(2020年度比で30%の削減)を達成しております。

 今後も継続して2030年のカーボンニュートラルに向けて努めてまいります。

 

 

 

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標並びに当該指標を用いた目標及び実績は、

下記のとおりです。

従業員数

連結

単体

2,424

776

 

 

 

 

 

 

単位:人

人材育成に

おける二軸の取組

フォーバルパーソンとしての基盤づくり

指標

目標

参加率

連結

単体

2024年度フォーバルグループ新入社員研修

①社会人として、フォーバルグループ社員としてのマナー・知識などの基礎の取得

②フォーバルグループ全体共通事項に関して、現場で即対応できるよう基礎知識の習得

100%

100.0%

106

73

2024年度フォーバルシップ勉強会

(入社3年目まで)

 フォーバルシップへの理解

 会社事業の現在と未来への理解

 自身の成長へのヒント

100%

90.9%

(対象)

430

(対象)

252

(参加)

391

(参加)

229

事業人材の

育成

指標

目標

取得率

連結

単体

DXアドバイザー検定

50%

45.0%

1,092

544

ESGアドバイザー検定

50%

73.8%

1,790

734

個人情報保護士

50%

35.7%

865

574

ビジネス統計スペシャリストEXCEL分析ベーシック

35%

32.3%

784

632

環境社会検定試験(eco検定)

40%

35.0%

849

617

炭素会計アドバイザー資格

30%

11.9%

289

240

 

 

 

 

 

 

 

多様性の重視

女性活躍推進

指標

目標

連結

単体

女性管理職比率

 

15

12.6

12.3%

男性の育児休業取得率

 

90

88.5

107.7%

男性の育児休業平均日数

 

28.0

41.1

17.7日

男女の賃金格差

正規

73%

72.6%

66.6%

非正規

39%

32.3%

40.9%

全体

68

62.7

65.6%

 

 

 

 

 

 

 

従業員の安全と健康の維持

健康経営

指標

国内社数

取得率

取得社数

(内訳)

健康経営優良法人2025大規模法人部門

28社

42.9%

12社

3社

健康経営優良法人2025

中小規模法人部門(ブライト500)

1社

健康経営優良法人2025中小規模法人部門

8社

(注)1.実績は2025年3月31日時点におけるものであります。

2.連結従業員数2,424名に対する実績であります。

3.女性活躍推進法の定義に基づき、当社では管理職を「同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)」の基準にて算出しております。

4.単体の男性育児休業取得率が100%を超えておりますのは、前年度末の出産に対し、当年度の育児休業取得となったためです。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

事業環境の変化について

 当社グループの事業は、主要な顧客である国内法人、とりわけ中小企業をとりまく経済状況の影響を受けます。新型コロナウイルス感染症の影響や国内経済の冷え込みによって、中小企業の経営環境が想定以上に悪化した場合、あるいは中小企業の経営を支援するアイコン事業のサービスの開発が遅れた場合、中小企業マーケット自体の縮小により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの売上高は、リース会社に対するものが全体の18.0%を占めております。

 これは、販売代金を個々の顧客からではなくリース会社を通じて回収することにより、販売に伴うリスクを回避し、安全な販売を行えるという利点がある一方、こうした業種を取り巻く経済環境及び法制度等に大きな変化があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、カンボジア、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどアセアン諸国で事業活動を行っております。これらの国・地域で法令・各種規制の制定、改正がなされた場合、当社グループの事業活動が影響を受ける可能性があります。

新規事業の立ち上げについて

 当社グループは、利益ある成長を達成するため必要に応じて事業を再構築し、収益性、成長性の高い新規事業の立ち上げを適宜検討し、実行しております。このような事業分野においては、当社グループが保有していないノウハウ・インフラなどを保有する企業集団とアライアンスを組む可能性・ケースも多くあります。ただし、アライアンス先の事業展開の方向性、スケジュール等によっては、当社グループが実行する新規事業の進展が影響を受ける可能性があります。

 また、こうした新規事業を展開するにあたっては、当時点で入手可能な情報に基づき、慎重な判断と継続的な見直しを行っておりますが、潜在的なリスクも含まれており、当社グループが現時点で想定する状況に大きな変化があった場合は、その事業展開に重大な影響を与え、結果当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

新サービスの創造について

当社グループは、IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの先端技術が鍵を握る情報社会に続く新たな社会(Society5.0)を見据え、次世代の情報通信技術を使った経営課題解決サービスの開発に取り組んでおりますが、開発の遅れやマーケットの支持を得られなかった場合などには、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、サービスが陳腐化しないように専門チームを立ち上げ、その分野の専門人材を採用し、その分野の企業と協業しながら、マーケットに受け入れられる新サービスの創造に取り組んでおります。

 

人材の確保及び育成について

当社グループは、情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継の5分野において他社との差別化を図り、中小・小規模企業の利益に貢献するコンサルティングサービスを主力事業としており、質の高いサービスを提供し続けるためには人材の確保と育成が必要不可欠であり、想定通りに人材の確保及び育成が進まない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、健康経営の実践やテレワークやフリーワーク制度等の導入により、新しい働き方や個人のワークライフバランスの向上を図るなど、選ばれる企業になるための取り組みを強化しております。また、e-ラーニングシステムによる時間効率を考えた教育システムの導入や、スキルアップのために社外資格を取得するモチベーションを付与する人事制度の設計、成功事例の早期情報共有のためのシステム導入等により、より一層の人材の育成に努めております。

 

 

取引先について

 当社グループは、多様な顧客ニーズに対応するため多くの取引先から優れた製品、サービス等の供給を受けております。日頃より取引先との緊密な関係維持、情報交換等を行っておりますが、将来、何らかの事情により製品、サービス等の供給が滞った場合には、顧客に対して十分な製品、サービス等の供給ができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。特に通信サービスの仕入先事業者である電気通信事業者は少数に限定されており、それらの政策変更等により当社グループの通話料原価や取次手数料の条件が変動した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

情報管理について

 当社グループでは、取引の中で顧客情報を含め各種情報を取り扱っており、それら情報の取扱いには十分な注意を払っております。

 個人情報については、会社としての基本方針を策定し、社員向け教育研修を実施するなど情報管理の徹底を進めております。

 また、社内システムは、ファイアウォール、アンチウィルスシステム及びデータへのアクセス制限等の安全対策の強化に努めております。

 しかしながら、当社グループにおいて個人情報その他データの漏洩等により問題が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループのその後の事業展開及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済が緩やかに成長する中で輸出や生産は横ばいで推移しました。一方、企業収益が改善する中、設備投資や雇用・所得環境は緩やかに改善し、個人消費は物価上昇の影響を受けつつも堅調に推移しました。

また、当社グループの事業領域である情報通信分野においては、クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどを活用したサービスが拡大しています。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,400百万円増加し42,130百万円となりました。

 流動資産は28,565百万円となり、前連結会計年度末に比べ619百万円増加しました。これは主として、売掛金が1,538百万円増加したのに対し、現金及び預金が519百万円減少したためです。

 固定資産は13,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ780百万円増加しました。これは主として、投資その他の資産が投資有価証券等の増加により762百万円増加したためです。

 流動負債は18,326百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,113百万円増加しました。これは主として、支払手形及び買掛金が711百万円、未払法人税等が401百万円増加したためです。

 固定負債は4,098百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,667百万円減少しました。これは主として、長期借入金が1,616百万円減少したためです。

 純資産は19,704百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,954百万円増加しました。これは主として、 親会社株主に帰属する当期純利益2,168百万円に対し、配当金の支払い733百万円、自己株式の取得205百万円により株主資本が1,366百万円、非支配株主持分が906百万円増加したためです。

 

b.経営成績

中小・小規模企業や自治体におけるDX推進の機運の高まりを受けて 可視化伴走型経営支援事業が堅調に推移したほか、電力サービスや太陽光システムの増加や、新たに連結に加わったグループ会社の寄与により、売上高は前期に比べ9,101百万円増加し、過去最高の72,629百万円(前期比14.3%増)となりました。

利益面では、売上総利益が前期に比べ2,787百万円増加(前期比12.4%増)したのに対し、販売費及び一般管理費は事業拡大に伴う人員増強や情報処理費、M&Aに伴う取得費用やのれんの償却費の増加等の影響があったものの前期に比べ2,282百万円増加(前期比11.9%増)にとどまった結果、営業利益は3,740百万円(前期比15.6%増)、経常利益は3,975百万円(前期比14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益が前期に比べ405百万円減少した結果、2,168百万円(前期比7.8%増)となり、すべての利益が過去最高を更新しました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度において、㈱タニタヘルスリンク及びエフピーステージ㈱の株式を取得し、連結子会社化したことに伴い、当連結会計年度より報告セグメントを変更しております。報告セグメントは、各グループ会社の事業内容及びビジネスモデルに鑑み、従来「その他」に含まれていた技術者派遣事業及びIT教育サービス事業等も含め、「人的資本経営」としております。

 

<フォーバルビジネスグループ>

可視化伴走型経営支援事業が堅調に推移したほか、㈱エルコムなどのグループ会社や㈱Meisinなどの新たに連結されたグループ会社が寄与した結果、売上高は37,845百万円(前期比13.5%増)、セグメント利益は2,629百万円(前期比25.6%増)となりました。

<フォーバルテレコムビジネスグループ>

電力サービスが増加した結果、売上高は25,227百万円(前期比11.2%増)、セグメント利益は1,155百万円(前期比14.0%増)となりました。

<総合環境コンサルティングビジネスグループ>

自家消費ニーズの高まりを受けて太陽光システムが増加した結果、売上高は6,346百万円(前期比20.0%増)、一方で販管費の増加によりセグメント利益は73百万円(前期比14.4%減)となりました。

 

<人的資本経営>

㈱タニタヘルスリンクなどの新たに連結されたグループ会社が寄与した結果、売上高は3,209百万円(前期比45.2%増)、セミナーなどの教育事業が減少した結果、セグメント利益は284百万円(前期比7.2%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,186百万円となり、前連結会計年度末に比べ538百万円の減少となっています。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は4,139百万円(前期比30.7%増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益が4,055百万円、減価償却費が1,642百万円、仕入債務の増加額が702百万円あったのに対し、売上債権及び契約資産の増加額が1,091百万円、法人税等の支払額が1,044百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,364百万円(前期は1,062百万円の使用)となりました。これは主として投資有価証券の取得による支出が1,116百万円、無形固定資産の取得による支出が544百万円あったのに対し、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が399百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は3,314百万円(前期は1,454百万円の使用)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出が2,234百万円、短期借入金の純増減額が1,300百万円、配当金の支払額が1,327百万円あったのに対し、長期借入れによる収入が1,700百万円あったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産、受注の実績

総合環境コンサルティングビジネスグループにおいて、ランプ及びLEDの製造事業を譲受け、生産及び一部受注生産をしておりますが、当連結会計年度における生産高及び受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため記載を省略しております。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

フォーバル

ビジネスグループ(百万円)

37,845

13.5

フォーバルテレコム

ビジネスグループ(百万円)

25,227

11.2

総合環境コンサルティング

ビジネスグループ(百万円)

6,346

20.0

人的資本経営(百万円)

3,209

45.2

報告セグメント計(百万円)

72,629

14.3

合計(百万円)

72,629

14.3

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りが必要な費用につきましては、合理的な基準に基づき見積りをしております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,400百万円増加し42,130百万円となりました。

流動資産は28,565百万円となり、前連結会計年度末に比べ619百万円増加しました。これは主として、売掛金が1,538百万円増加したのに対し、現金及び預金が519百万円減少したためです。

固定資産は13,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ780百万円増加しました。これは主として、投資その他の資産が投資有価証券等の増加により762百万円増加したためです。

流動負債は18,326百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,113百万円増加しました。これは主として、支払手形及び買掛金が711百万円、未払法人税等が401百万円増加したためです。

固定負債は4,098百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,667百万円減少しました。これは主として、長期借入金が1,616百万円減少したためです。

純資産は19,704百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,954百万円増加しました。これは主として、 親会社株主に帰属する当期純利益2,168百万円に対し、配当金の支払い733百万円、自己株式の取得205百万円により株主資本が1,366百万円、非支配株主持分が906百万円増加したためです。

 

b.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における連結業績は、以下のとおりとなりました。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期増減

金額

割合

売上高  (百万円)

63,527

72,629

9,101

14.3%

経常利益 (百万円)

3,459

3,975

516

14.9%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

2,011

2,168

157

7.8%

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済が緩やかに成長する中で輸出や生産は横ばいで推移しました。一方、企業収益が改善する中、設備投資や雇用・所得環境は緩やかに改善し、個人消費は物価上昇の影響を受けつつも堅調に推移しました。

また、当社グループの事業領域である情報通信分野においては、クラウドやビッグデータ、IoT、AIなど を活用したサービスが拡大しています。

 

 

当社グループは「企業ドクター(次世代経営コンサルタント)」として企業経営を支援する集団となり、中小・小規模企業の利益に貢献することを目指し、「情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルティングサービス(情報通信)」、「海外マーケットを独自ノウハウで取り込む経営コンサルティングサービス(海外)」、「環境に配慮した最先端の経営コンサルティングサービス(環境)」、「次世代経営に必要な人材を育てる経営コンサルティングサービス(人材・教育)」、「企業のライフサイクルに対応した経営コンサルティングサービス(起業・事業承継)」の5分野において他社との差別化を図り、質の高いサービスを提供するためにM&Aも活用しながら事業の拡大に取り組んでいます。

現在は、国の「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」に則ってF-Japan戦略を推進し、骨太方針の中でも特に「グリーン」「デジタル」「活力ある地方創り」「少子化対策」に着目し、自治体・民間企業・教育機関・金融機関と連携し、地域経済活性化のためのDX促進に取り組んでいます。

地方自治体の運営を取り巻く環境は大きく変化しており、活力ある地方を取り戻すためには、地域の産業を復興し住民の生活の質を向上させ地域としての魅力を高めていく必要があります。そのためには、デジタルを活用した行政サービスを提供していくことが必須となっており、国もその実現に向けて全面的に支援しています。

当社グループが注力しているF-Japan戦略は日本全国でDX・GX人材を育て、その人材が地元経済を活性化させるという好循環が永続的な地方創生を実現するのに不可欠であると考えており、その実現に向けて各地方自治体における「DX・GX人材の育成」「DX・GX人材の就職・起業」「DX・GX人材による地域経済の活性化」の仕組みづくりを、デジタル人材を派遣し、現状や課題を可視化しながら伴走支援しています。

このような状況下、当連結会計年度における連結業績は、以下のようになりました。

中小・小規模企業や自治体におけるDX推進の機運の高まりを受けて 可視化伴走型経営支援事業が堅調に推移したほか、電力サービスや太陽光システムの増加や、新たに連結に加わったグループ会社の寄与により、売上高は前期に比べ9,101百万円増加し、過去最高の72,629百万円(前期比14.3%増)となりました。

利益面では、売上総利益が前期に比べ2,787百万円増加(前期比12.4%増)したのに対し、販売費及び一般管理費は事業拡大に伴う人員増強や情報処理費、M&Aに伴う取得費用やのれんの償却費の増加等の影響があったものの前期に比べ2,282百万円増加(前期比11.9%増)にとどまった結果、営業利益は3,740百万円(前期比15.6%増)、経常利益は3,975百万円(前期比14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益が前期に比べ405百万円減少した結果、2,168百万円(前期比7.8%増)となり、すべての利益が過去最高を更新しました。

 

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループの事業においては事業構造・事業環境の変化が激しく、その変化に適切に対応することを方針として掲げておりますので売上高利益率や資本回転率などの経営指標については、現段階では設定しておりません。今後、適切な指標を設定した時点で開示したいと考えております。

なお、過去5年間の経常利益は以下のとおりであり、2021年3月期に対して2025年3月期は概ね1.6倍となっております。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

経常利益(百万円)

2,483

2,855

2,717

3,459

3,975

指数

100

114

109

139

160

(注)単位未満の数値は切り捨てて記載しております。

 

 

また、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については以下のものがあります。

 

事業環境の変化について

当社グループの事業は、主要な顧客である国内法人、とりわけ中小企業をとりまく経済状況の影響を受けます。新型コロナウイルス感染症の影響や国内経済の冷え込みによって、中小企業の経営環境が想定以上に悪化した場合、あるいは中小企業の経営を支援するアイコン事業のサービスの開発が遅れた場合、中小企業マーケット自体の縮小により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの売上高は、リース会社に対するものが全体の18.0%を占めております。

これは、販売代金を個々の顧客からではなくリース会社を通じて回収することにより、販売に伴うリスクを回避し、安全な販売を行えるという利点がある一方、こうした業種を取り巻く経済環境及び法制度等に大きな変化があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、カンボジア、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどアセアン諸国で事業活動を行っております。これらの国・地域で法令・各種規制の制定、改正がなされた場合、当社グループの事業活動が影響を受ける可能性があります。

 

新規事業の立ち上げについて

当社グループは、利益ある成長を達成するため必要に応じて事業を再構築し、収益性、成長性の高い新規事業の立ち上げを適宜検討し、実行しております。このような事業分野においては、当社グループが保有していないノウハウ・インフラなどを保有する企業集団とアライアンスを組む可能性・ケースも多くあります。ただし、アライアンス先の事業展開の方向性、スケジュール等によっては、当社グループが実行する新規事業の進展が影響を受ける可能性があります。

また、こうした新規事業を展開するにあたっては、当時点で入手可能な情報に基づき、慎重な判断と継続的な見直しを行っておりますが、潜在的なリスクも含まれており、当社グループが現時点で想定する状況に大きな変化があった場合は、その事業展開に重大な影響を与え、結果当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

新サービスの創造について

当社グループは、IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの先端技術が鍵を握る情報社会に続く新たな社会(Society5.0)を見据え、次世代の情報通信技術を使った経営課題解決サービスの開発に取り組んでおりますが、開発の遅れやマーケットの支持を得られなかった場合などには、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、サービスが陳腐化しないように専門チームを立ち上げ、その分野の専門人材を採用し、その分野の企業と協業しながら、マーケットに受け入れられる新サービスの創造に取り組んでおります。

 

人材の確保及び育成について

当社グループは、情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継の5分野において他社との差別化を図り、中小・中堅企業の利益に貢献するコンサルティングサービスを主力事業としており、質の高いサービスを提供し続けるためには人材の確保と育成が必要不可欠であり、想定通りに人材の確保及び育成が進まない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、健康経営の実践やテレワークやフリーワーク制度等の導入により、新しい働き方や個人のワークライフバランスの向上を図るなど、選ばれる企業になるための取り組みを強化しております。また、e-ラーニングシステムによる時間効率を考えた教育システムの導入や、スキルアップのために社外資格を取得するモチベーションを付与する人事制度の設計、成功事例の早期情報共有のためのシステム導入等により、より一層の人材の育成に努めております。

 

取引先について

当社グループは、多様な顧客ニーズに対応するため多くの取引先から優れた製品、サービス等の供給を受けております。日頃より取引先との緊密な関係維持、情報交換等を行っておりますが、将来、何らかの事情により製品、サービス等の供給が滞った場合には、顧客に対して十分な製品、サービス等の供給ができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。特に通信サービスの仕入先事業者である電気通信事業者は少数に限定されており、それらの政策変更等により当社グループの通話料原価や取次手数料の条件が変動した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

情報管理について

当社グループでは、取引の中で顧客情報を含め各種情報を取り扱っており、それら情報の取扱いには十分な注意を払っております。

個人情報については、会社としての基本方針を策定し、社員向け教育研修を実施するなど情報管理の徹底を進めております。

また、社内システムは、ファイアウォール、アンチウィルスシステム及びデータへのアクセス制限等の安全対策の強化に努めております。

しかしながら、当社グループにおいて個人情報その他データの漏洩等により問題が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループのその後の事業展開及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

<フォーバルビジネスグループ>

 フォーバルビジネスグループは、㈱フォーバルを中心に、主としてオフィス用OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取り次ぎ、中小法人様向けコンサルティングサービスを行っております。

当連結会計年度においては、可視化伴走型経営支援事業が堅調に推移したほか、㈱エルコムなどのグループ会社や㈱Meisinなどの新たに連結されたグループ会社が寄与した結果、売上高は37,845百万円(前期比13.5%増)、セグメント利益は2,629百万円(前期比25.6%増)となりました。

 セグメント資産は、投資有価証券の取得による現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ229百万円減少の28,327百万円となりました。

<フォーバルテレコムビジネスグループ>

フォーバルテレコムビジネスグループは、㈱フォーバルテレコムを中心に、主としてVoIP、モバイルなどの通信サービス全般の提供、ユーティリティ・ビジネスや印刷、保険サービス等を行っております。

 当連結会計年度においては、電力サービスが増加した結果、売上高は25,227百万円(前期比11.2%増)、セグメント利益は1,155百万円(前期比14.0%増)となりました。

セグメント資産は、売掛金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ28百万円増加の9,629百万円となりました。

<総合環境コンサルティングビジネスグループ>

総合環境コンサルティングビジネスグループは、㈱アップルツリーを中心に主としてオール電化・エコ住宅設備、LED照明等の事業を行っております。

当連結会計年度においては、自家消費ニーズの高まりを受けて太陽光システムが増加した結果、売上高は6,346百万円(前期比20.0%増)、一方で販管費の増加によりセグメント利益は73百万円(前期比14.4%減)となりました。

 セグメント資産は、売掛金が200百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ211百万円増加の1,341百万円となりました。

<人的資本経営>

人的資本経営は、当連結会計年度において株式を取得した株式会社タニタヘルスリンク及びエフピーステージ株式会社、従来「その他」に含まれていた技術者派遣事業及びIT教育サービス事業等も含めております。

当連結会計年度においては、㈱タニタヘルスリンクなどの新たに連結されたグループ会社が寄与した結果、売上高は3,209百万円(前期比45.2%増)、セミナーなどの教育事業が減少した結果、セグメント利益は284百万円(前期比7.2%減)となりました。

 セグメント資産は、新たに連結されたグループ会社の資産が増加し、現金及び預金が491百万円及び売掛金が782百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,389百万円増加の2,831百万円となりました。

 

d.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,186百万円となり、前連結会計年度末に比べ538百万円の減少となっています。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は4,139百万円(前期比30.7%増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益が4,055百万円、減価償却費が1,642百万円、仕入債務の増加額が702百万円あったのに対し、売上債権及び契約資産の増加額が1,091百万円、法人税等の支払額が1,044百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,364百万円(前期は1,062百万円の使用)となりました。これは主として投資有価証券の取得による支出が1,116百万円、無形固定資産の取得による支出が544百万円あったのに対し、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が399百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は3,314百万円(前期は1,454百万円の使用)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出が2,234百万円、短期借入金の純増減額が1,300百万円、配当金の支払額が1,327百万円あったのに対し、長期借入れによる収入が1,700百万円あったことによるものです。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

40.8

40.5

41.6

時価ベースの自己資本比率(%)

85.1

84.6

88.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

1.4

0.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ

179.1

174.7

74.2

 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利息支払額

(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

(注3)営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。

また、利息支払額については、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

e.資本の財源及び資金の流動性

当連結会計年度末における現金及び預金の残高は11,408百万円となり、前連結会計年度末に比べ519百万円減少しております。

借入金は、当連結会計年度末において短期借入金1,325百万円、長期借入金935百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,827百万円減少しております。

 

5【重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは「次世代経営コンサルタント」として企業経営を支援する集団となり、中小・小規模企業の利益に貢献するとともに、DX、GXの推進に取り組んでいます。㈱ネットリソースマネジメントにおいては、次世代のデータによる利益貢献と新たな価値の提供を目指し、研究と実証実験を行っております。

 当連結会計年度における研究開発費は60百万円であります。

 なお、フォーバルビジネスグループを除くセグメントでは外部メーカーの製品を中心に販売しており、新技術の販売等の研究開発活動は行っておりません。