当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、社会変革を先取りした発想と先端技術で、お客様のニーズに対応したソリューションを提供し、高度情報化社会に貢献いたします。その活動にあたっては、法令遵守、経営資源の有効活用と収益性向上により企業価値を高め、株主、取引先、従業員とともに繁栄し、豊かな社会づくりに貢献すること、並びに地球環境保全に積極的に取り組むことを会社経営の基本方針に掲げ、持続性のある企業成長を目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、様々な事業を通して「ESG 投資」、「カーボンニュートラル」への対応、「SDGs」の課題解決を目指すとともに、「多様性」のある「人的資本」への投資や「知的財産」の保護を行うことで競争力の優位性を確保し、収益の更なる拡大を目指し、(5)に記載の経営指標を達成するために、以下の項目を2022年6月に開示した中期経営計画の基本方針として掲げました。
①構造改革
②基盤強化
③企業価値
④社会貢献
当中期経営計画の方針ごとの遂行結果は次のとおりとなります。
①構造改革
収益力向上のため、注力事業への人材リソースの集約、組織の統廃合や、必要に応じて新たな組織を新設するなど、事業の選択と集中を行いました。
そのなかで、システムソリューション、ネットワークソリューション、電子部品及び機器の三基幹事業の複合ビジネスとして、宇宙ビジネスへの取り組みを開始しました。
また、グループ会社との相乗効果を加速し、関連会社エアロパートナーズとの取組として、VRを活用した訓練シミュレーションで新たなビジネスモデルが生まれました。関連商材や人材リソースを当社からエアロパートナーズに集約し、業績に大きく貢献しました。
関連会社ネットウエルシステムとの取組としては、IoTヘルスケア領域での共同事業化が進展、新製品のリリースに至りました。
引き続き、構造改革に取り組むことで事業強化を図っていきます。
②基盤強化
多様性に富み即戦力となる中核人材(スペシャリスト)の採用実施や、従業員給与のベースアップ、階層別研修・DX研修等の社員教育の充実、本社フロア増床による職場環境の改善等の投資を行うことで、基盤強化を進めました。また、防衛省向け予算の増額に伴い、当社グループの防衛装備品事業が好調に推移した結果、四半期毎の営業利益黒字化が達成でき、収益基盤が大きく改善されました。
③企業価値
当社の株主、投資家に対する積極的な情報発信として、個人投資家向け及び機関投資家向け決算説明会の開催、機関投資家向け個別説明会の開催を継続して実施することで、市場での知名度改善に向けての堅実な活動を実施いたしました。
また、業績が好調に推移したことで、中期経営計画開始時(2022年3月期)から最終年度(2025年3月期)の3か年で株価が大きく改善された結果として、時価総額が増え企業価値の向上も図れましたが、引き続き課題として認識し、更なる向上へ向けて取組んでまいります。
④社会貢献
当社のサステナビリティ戦略に基づき、防災情報の多様な伝達や減災システムがODAの一環としてインドネシア国に導入されました。
また、様々な訓練VRの開発等によるSDGs関連製品を通じた顧客の課題解決や、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、経済産業省が主導するGXリーグに参画し、2030年での具体的な取組内容を開示いたしましたが、2025年3月期に前倒しで実現することができました。
加えて、理経グループとして、NIPPON ITチャリティ駅伝に毎年スポンサー企業として参画することで、未就労者に対する社会復帰活動への支援等を継続して行っています。このように事業での提案を通じて顧客の課題を解決していくことで、今後もSDGs(持続可能な開発目標)に貢献していきます。
(3)経営環境
今後の経済状況につきましては、雇用・所得環境が改善し緩やかな回復が続いているものの、ロシア・ウクライナ問題の長期化、米国関税政策の動向、国内物価上昇の傾向等により、依然として不透明な状況が継続すると見込まれます。
当社グループを取り巻く環境は、AIやDX活用による業務効率化、より高速で大容量の配信が可能な衛星通信の需要増や、太陽光、風力等の再生可能エネルギーの活用、世界の安全保障環境の変化による防衛費の増加などの変化が見られる一方、サービス過多による競争激化や、供給面の制約による納期遅延リスクなどに引き続き注意する必要があります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上述のような経営環境下、当社グループは、中期経営計画の基本方針として掲げている以下の4項目を対処すべき課題として認識し、その克服を目指しております。
①構造改革
関係会社との連携事業において、VRを活用した訓練ソリューションで新たな市場を獲得でき、また、防衛省向け装備品供給ビジネスにおいて、関連商材や人材リソースを関係会社に集約化が完了し、業績に大きく貢献いたしました。当社単体において、基幹事業の複合事業として、宇宙ビジネスへの取組を開始し、IoTヘルスケア領域では、新製品のリリースを実現いたしましたが、収益化に向けて引き続き構造改革に取り組んでまいります。
②基盤強化
当社単体の高収益化を継続課題と捉え、引き続き事業効率化とグループ企業との連携事業による市場拡大を図るとともに、企業成長が見込める他社との業務提携、資本提携、M&A等の施策を推し進めます。また、積極的な人材採用や、継続した社員教育で人材層の充実を行い、更なる基盤強化を図っていくことを課題と捉えています。
③企業価値
機関投資家向け決算説明会や個別説明会、個人投資家向け会社説明会等の堅実なIR活動や、業績好調の要因もあり、株価向上、ROE8%以上の達成、PBR1倍超えで企業価値は向上しましたが、当社の証券市場での評価はいまだ低いことから、引き続き積極的な情報発信に注力してまいります。
④社会貢献
当社のサステナビリティ戦略に基づき、防災情報の多様な伝達や減災システムがODAの一環としてインドネシア国に導入されました。また、2050年でのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、2030年までの具体的な取組内容を開示いたしましたが、2025年3月期に前倒しで達成することができました。加えて、より良い社会環境づくりを目指し、チャリティ活動に参画する取組も始めました。引き続き、事業や様々な活動を通して社会貢献を実施してまいります。
当社グループは一丸となってこれらの課題を克服することにより、業績の更なる拡大を図るとともに、社会に貢献する製品やソリューションを提供する企業体への変革を目指してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営指標としては、2025年6月に開示いたしました中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)に基づき、2028年3月期において、連結売上高202億円、連結営業利益8億6千万円、親会社株主に帰属する当期純利益5億1千8百万円、ROE8.8%を達成することを目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、社会的・環境的責任を果たすために、策定しております中期経営計画
(2)戦略
当社グループの「社会変革を先取りした発想と先端技術で、お客様のニーズに対応したソリューションを提供し、高度情報化社会に貢献いたします。」を会社経営の基本方針に掲げ、様々な事業を通じて「ESG投資」、「カーボンニュートラル」への対応、「SDGs」の課題解決を目指します。
あわせて、継続した「多様性」のある「人的資本」への投資や、「知的財産」の保護を行うことで、営業力、技術力の優位性を確保し、「お客様の夢を叶えるパートナー」として持続的な社会の実現を目指していきます。
また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
1.人材の多様性の確保と育成に関する方針
当社グループは、必要な人材を確保する採用プロセスにおいて、性別、年齢、国籍、文化的背景、障がいの有無など
に関わらず、多様性がある人材候補者から選定・採用します。また、ワークライフバランスを重視した環境の整備、採
用した人材が持つ様々なバックグラウンドやスキル・経験、キャリアプランを考慮した組織配属や、コミュニケーショ
ンを促進し風通しのよい職場環境の整備等を図りながら、人材を育成する方針です。
2.社内環境(働きやすい環境)整備に関する方針
人的資本への投資として、従業員が働きやすい職場環境の整備が重要な課題と認識しており、従業員の生産性を高め
るためのモチベーション向上に資する施策を目指します。
(3)リスク管理
当社グループは、常勤取締役で構成するリスク管理委員会において、当社グループのサステナビリティに関してリスクとなりえる項目の洗い出しを行い、リスクとしての認識、対策、管理を定義し、リスクマネジメントとして運用を行っております。
また、リスクマネジメントの定期的な見直しを年2回行い、リスク管理の継続的な改善を図り、これにより新たなリスクへの対策としています。
(4)指標及び目標
当社グループの人的資本を適切に育成・活用することは、組織の成長や競争力を高めるために不可欠と考えており、中期経営計画
また、求人募集から採用プロセス、配属までを最適化し、採用基準や評価基準を明確にいたします。キャリアプランや評価制度を整備し、個人の成長や目標達成をサポートするために柔軟な働き方や労働環境の整備、健康管理の推進など、積極的な取り組みを行ってまいります。
そして、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
当社グループは「お客様の夢を叶えるパートナー」という経営ビジョンに基づき、まずは、自社の従業員一人ひとりが輝いて働ける職場環境づくりを進めております。
≪指標と目標≫
◎従業員のうち外国人比率
<目標>2030年3月期 5% <実績>2.9%
◎管理職のうち女性の比率
<目標>2030年3月期 15% <実績>10.2%
◎従業員のうち女性の比率
<目標>2030年3月期 35% <実績>32.2%
その他、新たな指標と目標を定めましたら、適宜開示してまいります。
(5)女性活躍推進法
当社グループは、女性を含む多様な人材活躍を推進しております。前中期経営計画においては、2030年3月期までに女性管理職比率を10%とすることの目標を設定しておりましたが、期末日時点においては10.2%に至っており、前倒しでの目標達成をいたしました。そのため、新中期経営計画において、女性管理職比率の目標設定を15%とするよう見直しを行い、引き続き目標達成に向けて取り組みを行ってまいります。
また、現在の女性従業員比率は32.2%であり、今後も女性従業員比率を向上させるように採用活動を行い、女性が活躍できる環境整備を経営上の重点施策といたします。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
これらのリスク発生の可能性を確認した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①製品の製造スケジュールの遅延、瑕疵
当社グループは、海外の最先端商品を発掘し、それら製品による需要喚起により市場開拓を推進していますが、主力仕入先である海外メーカー側において製品製造のスケジュール遅延、製品の瑕疵が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、仕入先・メーカーとのコミュニケーションを積極的にはかり情報共有に努め、製品製造スケジュールを常に注視しております。製品の瑕疵については、事前にメーカーとの契約において対応を取り決めるよう努めております。
特に子会社では製品の納期確保のために海外仕入先への前渡金を行っていますが、前渡金の回収可能性及び製品の瑕疵はリスクであります。現状仕入先とのコミュニケーションを密に行うことで対応していますが、前渡金の発生を遅らせる、減額する等対策が必要と考えております。
②販売代理店契約の終了
当社グループは、国内外のメーカーと販売代理店契約を締結していますが、メーカー側の事情により同契約が一方的に打ち切られる場合や不利な条件変更を伴う契約更新を当社が拒絶する場合があります。また、仕入先企業の倒産等により事業が終了した場合、仕入が困難になったり、前渡金の回収が困難になるリスクがあります。このような主力製品の販売代理店契約終了は、当社グループの業績に影響を与えます。
このため、当社グループとしては、仕入先が特定メーカーに偏重することなく、新分野の商品開拓を推進しております。
③製品の陳腐化及び顧客要求の高度化
当社グループが製品を販売・供給するIT及びエレクトロニクス業界は、技術交代・技術革新のスピードが速く、競争は極めて厳しいものとなっております。新規参入者や新たな技術に基づく新製品の登場により、既存製品の陳腐化による売却可能性の低下、顧客要求の高度化により仕様を十分満たせない場合が想定され、このような場合、当社グループの収益性は低下し、業績に影響を与えることになります。
このため、当社グループは常に国内外の市場や技術動向につき最新情報を収集し、競争力のある最先端技術の製品投入に努めております。
④在庫
在庫は原則受注在庫でありますが、一部製品については顧客もしくは販売パートナーの販売計画に基づく見込発注を行っております。この見込発注による在庫については、当初計画通りの販売ができず評価減の対象となる場合があります。
このリスクを低減させるために、在庫については毎月各部門の幹部を交えた予算委員会を開催し見直しを行うとともに、年2回開催する不動在庫評価委員会では、売却可能性がないと判断した場合は廃棄処分とし、在庫水準の適正化に努めております。また、2025年4月1日より見込在庫の発注に関して、新たに基準(見込在庫の発注処理基準)を設け、特定顧客に対する見込在庫と不特定顧客に対する見込在庫に区分して具体的な対応手順を定めております。
⑤為替の影響
当社グループは、国内及び輸出入の外貨取引において、すべてのリスクを排除することは不可能であり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
このため、為替予約の活用を始め、調達先を国内外に分散するなどの対策を講じ、為替変動リスクを最小限に止めるよう努めるとともに、事業基盤の強化と安定化により、為替変動の影響を受けにくい企業体質を目指しております。
⑥人材確保及び育成
当社グループの事業成長と収益拡大は有能な人材に依存します。交渉力・販売力や市場のトレンドを見越す営業員、技術力のあるエンジニアやスペシャリストの確保と育成は、当社グループの重要な要素です。有能な人材の流出などがある場合には、当社グループの成長及び業績に影響を与えます。
このため、ワークライフバランスを重視した環境の整備、社員が持つスキルや経験、キャリアプランを把握した人員配置、コミュニケーションを促進し風通しのよい職場環境の整備等を図りながら、各事業領域において優秀な人材を確保・育成することに注力しております。
加えて、企業の持続的成長のため、計画通りの新卒採用に努めております。
⑦景気動向によるリスク
当社グループが属するIT及びエレクトロニクス業界は、技術革新が激しく事業環境が急速に変革する中、当社は主として受注販売を行っているため、当社グループの業績は、期中の経済状況等諸要因に大きく影響を受ける可能性があります。
このため、事業基盤の強化と安定化により、景気動向の影響を受けにくい企業体質を目指しております。
⑧大震災等天変地異や不測のパンデミック事態に対するリスク
大地震や台風などの自然災害や、世界的な流行が懸念される感染症が発生した場合については、当社グループの業績に非常に大きな影響を及ぼすことが考えられます。
このため、従来は大地震や台風などの自然災害が発生した場合を想定したBCP(事業継続計画)に加え、不測のパンデミックが発生し、人や様々な物流の移動制限で経済活動に大きな影響を及ぼす事態に対しても事業が継続できるように、社内IT基盤の整備を始め、業務運用形態、制度の見直し等を図ってまいります。
⑨顧客の海外展開や買収、倒産による影響
製造業の国内顧客につき、諸々の事由により生産拠点を海外に移すことが考えられますが、当社グループの営業活動範囲外への生産移管の場合、商流の制約等により営業活動が継続できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客が別の企業に買収される、もしくは倒産するような事態に陥った場合も当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループとしては、一顧客に販売が偏重することが無いよう新規顧客開拓に努めてまいります。
⑩情報セキュリティ事故によるリスク
毎年多種多様になっている新たな脅威、並びに情報漏洩などセキュリティ事故の発生は、当社グループの成長及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは全社においてISMSを認証・運用して対応しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、国内における企業業績や雇用・所得環境の改善がみられ、個人消費やインバウンド需要の拡大等により、景気は緩やかに回復の動きがみられました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰に加え、米国の政権交代に伴う政策転換など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループは、2022年6月に公表いたしました中期経営計画に基づき、様々な事業を通して「ESG 投資」、「カーボンニュートラル」への対応、「SDGs」の課題解決を目指すとともに、「多様性」のある「人的資本」への投資や「知的財産」の保護を行うことで競争力の優位性を確保し、収益の更なる拡大を目指してまいりました。
この結果、当連結会計年度におきましては、連結売上高は187億2千5百万円(前年同期比54.4%増)となりました。損益面では、営業利益は11億1千4百万円(前年同期比96.1%増)、営業外費用では、支払手数料が子会社においてコミットメントラインの枠増額として7千2百万円を計上したことにより1億4百万円となり、経常利益は10億1千9百万円(前年同期比97.4%増)、特別損失として投資有価証券評価損2千4百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は6億6千1百万円(前年同期比72.8%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期の比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
システムソリューションにおきましては、サーバなどの民間向けシステムの大型案件がありましたが、前年度は九州地区で複数の大学向け案件が好調だったため、売上高は37億2千9百万円(前年同期比2.0%減)となり、また、経費の増加及び利益率の高いシステム開発案件の遅れにより、営業利益は2千7百万円(前年同期比76.9%減)となりました。
ネットワークソリューションにおきましては、インフラ設備向けワイヤレスネットワーク構築の需要が旺盛で、高速長距離無線LANシステム案件が増加しましたが、前年度は大型案件の設置サポート、保守の前連結会計年度からのずれ込みがあったため、売上高は17億8千4百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益は9千2百万円(前年同期比15.5%減)となりました。
電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて前期受注分の防衛省向け航空機用部品、エンジン修理案件及びVRシミュレータ案件等が売上に貢献するとともに、防衛予算の増額に伴う需要増により好調に推移し、売上高は132億1千2百万円(前年同期比103.7%増)、営業利益は9億9千4百万円(前年同期比191.5%増)となりました。
なお、セグメント間取引については、相殺消去しております。
当期の財政状態の概況
当連結会計年度末の資産は110億8千4百万円(前連結会計年度末103億5百万円)、負債は56億9千8百万円(前連結会計年度末54億9千5百万円)と前連結会計年度末に比べて増加しました。その主な理由は、当期の売上が187億2千5百万円(前年同期比54.4%増)と増加したことにより売上債権、短期借入金が増加しました。また、商品及び製品は、子会社においては来期連結会計年度販売予定の受注済商品が当連結会計年度末に計上されたため増加していますが、前渡金は順調に納品され減少しております。
(資産)
当連結会計年度末における資産は110億8千4百万円(前連結会計年度末103億5百万円)となり、7億7千9百万円増加しました。流動資産では、前渡金4億6千6百万円減少しましたものの、主に現金及び預金1千3百万円、受取手形、電子記録債権、売掛金及び契約資産10億4千1百万円、商品及び製品1億9千7百万円、増加したことにより、7億1千9百万円増加しました。固定資産は、投資有価証券2千4百万円の評価損計上により減少しましたものの、本社事務所増床にともない建物及び構築物1千3百万円と差入保証金2千3百万円、繰延税金資産3千5百万円の増加により、5千9百万円の増加となりました。
(負債)
負債は56億9千8百万円(前連結会計年度末54億9千5百万円)となり、2億2百万円増加しました。これは主に、流動負債では支払手形及び買掛金6億6百万円減少しましたが、主に短期借入金5億3千3百万円、未払法人税等1億6千5百万円、前受金1億3千8百万円が増加したため2億1千7百万円増加しました。固定負債では、主に長期借入金4千万円の減少により1千4百万円の減少となりました。
(純資産)
純資産は53億8千5百万円(前連結会計年度末48億9百万円)となり、5億7千6百万円の増加となりました。これは配当金の支払7千5百万円の減少がありましたものの、当期の親会社株主に帰属する当期純利益6億6千1百万円によるものです。この結果、自己資本比率は48.3%(前連結会計年度末は46.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加10億4千1百万円、棚卸資産の増加1億9千7百万円、仕入債務の減少6億6百万円、法人税の支払い1億7千4百万円の支出がありましたものの、税金等調整前当期純利益が9億9千4百万円(前年同期は5億1千4百万円の税金等調整前当期純利益)、前渡金の減少4億6千6百万円、借入金の増加4億9千2百万円の収入により、前連結会計年度末に比べ1千3百万円増加し、当連結会計年度末には30億7千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は3億2千2百万円(前年同期は9億8千3百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億9千4百万円、前渡金の減少4億6千6百万円の収入があったものの、売上債権の増加10億4千1百万円、棚卸資産の増加1億9千7百万円、仕入債務の減少6億6百万円、法人税等の支払い1億7千4百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は7千万円(前年同期は3千3百万円の減少)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入8百万円がありましたものの、本社事務所増床にともない、差入保証金の支払い3千3百万円、有形固定資産の取得3千1百万円、無形固定資産の取得1千3百万円、による支出があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は4億5百万円(前年同期は18億2千6百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払7千5百万円の支出、子会社の運転資金のための借入金の増加4億9千2百万円によるものです。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
システムソリューション |
4,054,971 |
109.0 |
1,643,390 |
124.7 |
|
ネットワークソリューション |
1,800,733 |
83.5 |
1,683,710 |
101.0 |
|
電子部品及び機器 |
17,884,302 |
130.2 |
17,722,317 |
135.8 |
|
合計 |
23,740,007 |
121.0 |
21,049,418 |
131.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
b.販売状況
当連結会計年度の販売状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
システムソリューション |
3,729,485 |
98.0 |
|
ネットワークソリューション |
1,784,157 |
97.0 |
|
電子部品及び機器 |
13,212,154 |
203.7 |
|
合計 |
18,725,797 |
154.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの
区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の
とおりであります。
|
相手先
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
防衛省 |
4,637,637 |
38.2 |
9,456,479 |
50.5 |
|
川崎重工業株式会社 |
217,991 |
1.8 |
1,877,546 |
10.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度は、国内における企業業績や雇用・所得環境の改善がみられ、個人消費やインバウンド需要の拡大等により、景気は緩やかに回復の動きがみられました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰に加え、米国の政権交代に伴う政策転換など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当連結会計年度におきましては、主として連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて防衛省向け航空機部材、エンジン修理案件が好調だったことから、連結売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期実績、及び中期経営計画3年目の計画値を上回る結果となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、システムソリューションにおきましては中央省庁向け大型システムの案件が挙げられます。同システムの定期的な更新案件により売上高が大きく増加することがあるものの、大型案件は利益率が低いこと、また事業年度ごとに売上高の増減が激しくなり、収益基盤が安定していないことが課題です。モノを「買う」時代から「借りる」時代へと社会が大きく変化しているなかで、物販からサービス提供型のビジネスモデルへと変革を推し進め、収益の安定化を目指しております。
ネットワークソリューションにおきましては比較的利益率が高い案件が多く、競争の激化等により失注した場合や製品の納期遅延等が発生した場合には売上高及び利益の増減が大きくなり、業績が安定しないことが課題です。
また、電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおける防衛省向け案件が挙げられます。防衛省向け案件は入札方式であるとともに、近年多年度に亘る契約案件が増えており、落札したとしても同年度中に売上に至らない場合があります。そのため同事業においても事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(システムソリューション)
システムソリューションにおきましては、サーバなどの民間向けシステムの大型案件がありましたが、前年度は九州地区で複数の大学向け案件が好調だったこと、また、経費増加及び利益率の高いVRシステム開発案件の減少や誤薬防止システムの遅れにより、減収減益となりました。
東日本でのビジネスにおいては、教育・官公庁へインフラ基盤システムの導入に加え、インターネット活用市場におけるSaaSを軸としたサービス型事業の拡販、健康管理システムの拡張によるヘルスケア事業基盤の育成を行ってまいります。
西日本でのビジネスにおいては、大学市場をターゲットに仮想サーバ・ネットワーク・セキュリティ機器などのアカデミック統合基盤システムの拡販に注力いたします。
(ネットワークソリューション)
ネットワークソリューションにおきましては、インフラ設備向けワイヤレスネットワーク構築の需要の増加による高速長距離無線LANシステム案件、低軌道衛星等での地上アンテナ設備案件が好調でしたが、前年度は大型案件の設置サポート、保守の前連結会計年度からのずれ込みがあったため、減収減益になりました。
伝送・配信システムのビジネスにおいては、衛星通信やFWAなど既存無線通信設備の拡販、新仕様に対応した機器の投入 、ネットワーク解析ツールの市場拡大を目指していきます。
映像配信のビジネスにおいては、ビデオ配信サービスの拡販や事業者向け配信システム提案の促進、各種サービス事業者向けの設備保守、運用サポートのメニュー化、サービス型事業を拡大していくことが課題だと捉えています。
(電子部品及び機器)
電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて前期受注分の防衛省向け航空機用部品、エンジン修理案件及びVRシミュレータ案件等が売上に貢献するとともに、防衛予算の増額に伴う需要増により好調に推移したため、増収増益になりました。
電子部品及び材料のビジネスにおいては、機能性接着剤・基板実装デバイスの商品ラインアップの拡充、多彩な製品をワンストップでの提供していくことが重要だと捉えています。
また、フォトニクスビジネスの受託生産拠点として開設した千歳・恵庭営業所において、光ファイバー給電システム及びフォトニクスデバイスの設計・受託開発による事業の創出を引き続き行います。
(新規事業)
3つの事業セグメントの連携・強化により、宇宙市場での提供価値拡大を目指していきます。電子部品及び機器では小型衛星などの宇宙機に搭載される太陽センサ、太陽電池セル、イーサネットスイッチなど衛星搭載製用部品の供給、システムソリューションでは、発射台モデルや携帯型生命維持装置の設計等にCADの活用、ネットワークソリューションでは、衛星受信アンテナ、送信アンプ、RFコンポ―ネント等の提供に注力します。
また、年々市場が拡大しているAI開発につき、必要となるシミュレーション環境の構築をワンストップで支援すべく、コンピューティング基盤やシミュレーション環境の提供、エッジデバイスへの実装等に取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
a.契約債務
2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
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年度別要支払額(千円) |
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契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
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短期借入金 |
2,983,000 |
2,983,000 |
- |
- |
- |
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長期借入金 |
88,460 |
40,560 |
47,900 |
- |
- |
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リース債務 |
32,715 |
12,926 |
12,194 |
4,778 |
2,816 |
b.財政政策
当社グループの資金需要は、主に運転資金需要です。
運転資金需要のうち主なものは、当社グループにおいて商品の仕入の他、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものです。商品の仕入については、当社グループは主に顧客からの受注後、個々の商品を発注する受注販売を原則としておりますので、顧客よりの債権の回収と仕入先への支払の時期の差や、個々の受注取引の額の大きさ、取引の集中度により資金需要の時期、量に変動が生じております。また、連結子会社である株式会社エアロパートナーズの主要仕入先は海外仕入先であり、支払が先行する場合が多く、資金需要を増加させる要因となっています。
当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持と資金調達の安定性を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金については、内部資金を活用しておりますとともに、増加運転資金の安定かつ効率的な調達を行うため、提出会社におきまして金融機関との間に当座貸越契約及び貸出コミットメント契約10億円を締結しております(借入未実行残高10億円)。また、グループ会社の資金需要については提出会社からの資金の貸出とグループ会社が独自に金融機関との間にシンジケートローン契約60億5千万円及び当座貸越契約を締結しております。そのために運転資金需要が減少した際には手持ち流動性が増加する場合がありますが、流動性資産の維持・安全性を優先しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
主な販売代理店契約
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相手先 |
主要取扱商品 |
契約の種類 |
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株式会社イグアス |
IBM社製品 |
国内販売代理店契約 |
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ARMTEC COUNTERMEASURES CO. |
防衛用機材 |
販売代理店契約 |
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PTCジャパン株式会社 |
3次元機械CADソフトウエア |
国内販売代理店契約 |
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日本ヒューレット・パッカード合同会社 |
サーバー、ストレージ、ネットワークシステム、無線LAN等 |
国内販売代理店契約 |
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日本ナショナルインスツルメンツ株式会社 |
データ集録・GPIB製品、 モジュール式計測・制御ハードウエア |
国内販売代理店契約 |
金融機関とのシンジケートローン契約
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契約会社名 |
契約締結先 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社エアロパートナーズ 東京都新宿区西新宿3丁目2番11号 小柳 誠 |
株式会社三菱UFJ銀行 株式会社商工組合中央金庫 株式会社三井住友銀行 三菱HCキャピタル株式会社 株式会社りそな銀行 株式会社きらぼし銀行 株式会社群馬銀行 |
借入金枠60.5億円 返済方法 満期日に一括返済 基準金利+スプレッド 無担保 |
2025年1月16日から2026年1月15日 |
(注)主な借入人の義務は下記となっております。
イ.借入人の決済書類を提出する義務
ロ.財務制限条項を遵守すること
連結子会社エアロパートナーズの株式会社三菱UFJ銀行を主幹事とするシンジケートローン契約(契約日2025年1月9日、2025年3月31日現在の借入残高2,100百万円)には、以下の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合は、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
①決算期末日のエアロパートナーズ単体の貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末日又は2024年3月に終了する決算期末日の当該金額のいずれか大きい方の75%の金額以上に維持する。{初回判定:2025年3月終了の決算期}
②決算期に係るエアロパートナーズ単体損益計算書上の経常損失を計上しない。{初回判定:2025年3月終了の決算期}
金融機関との当座貸越契約
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契約会社名 |
契約締結先 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社エアロパートナーズ 東京都新宿区西新宿3丁目2番11号 小柳 誠 |
株式会社みずほ銀行 |
借入金枠22億円 返済方法 満期日に一括返済 基準金利+スプレッド 無担保 |
2024年9月30日から2025年9月30日 |
(注)主な借入人の義務は下記となっております。
イ.借入人の決済書類を提出する義務
ロ.財務制限条項を遵守すること
連結子会社エアロパートナーズの株式会社みずほ銀行と締結したローン契約(特別当座貸越約定書及び銀行取引約定を併せた取引(契約日2024年9月19日、2025年3月31日現在の借入残高550百万円)には、以下の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合は、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
2025年3月期決算を初回とし、以降各年度の決算期の末日におけるエアロパートナーズの単体の貸借対照表における純資産の部の金額を、直前の事業年度の決算期末日における借主の単体の貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上とすること。
該当事項はありません。