文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
当社及び連結子会社は、「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージとして掲げ、製造業や建設・建築現場を含む幅広いモノづくり現場で必要とされる工具、作業用品、作業用消耗品、機器類などの“PRO TOOL”[間接資材]や約9.1万アイテムに及ぶプライベート・ブランド商品“TRUSCO”を自社開発商品として取り扱う卸売業としてモノづくり現場のお役に立つことを経営の基本方針としています。
モノづくり現場では、多様化する生産活動において間接資材を「必要な時に」「必要なモノを」「必要なだけ」調達することが効率的な生産活動につながるといったニーズがあります。この需要に的確にお応えするため、取扱アイテムの拡大や即納などの付加価値の高い物流システム、AIを活用したAI見積「即答名人」[見積自動化システム]などのサービス、商品データベースを含むデジタル機能を構築・強化することで存在価値を高め、モノづくり現場に貢献するよう努めています。
また、当社はプロツールサプライヤーとして、いつの時代も日本のモノづくりのお役に立ち続ける企業でありたいと考えています。「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」というこころざしのもと、事業を通じて社会価値と企業価値の両方を生み出すことで、社会課題の解決や持続可能な地域社会へ貢献することをサステナビリティの基本方針としています。
(2)目標とする経営指標
独創的な企業として存在価値を高めるために優先すべきは、数値目標ではなく、能力目標と考えており、どのような能力を持った企業になりたいのかという発想を重要視しています。「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」というこころざし、「問屋を極める、究める」という指針を念頭に、お客様や社会から必要とされる企業を目指します。
<ありたい姿(能力目標)>
①2030年までに在庫100万アイテムを保有できる企業になりたい。
②1日24時間受注、1年365日出荷できる企業になりたい。
③欠品、誤受注、誤出荷のない企業になりたい。
④棚卸作業のない企業になりたい。
⑤問屋であってもユーザー様直送出荷をストレスなくできる企業になりたい。
⑥お見積りに瞬時にお応えできる企業になりたい。
⑦業界「最速」「最短」「最良」の納品を実現できる企業になりたい。
⑧可能な限り環境負担の小さい企業になりたい。
⑨リサイクル、リユース、リターナブルにも積極的な企業になりたい。
⑩日本のモノづくりを支えるプラットフォーマーになりたい。
⑪業界の常識、習慣、定説、定石を塗り替えることのできる企業になりたい。
<3か年経営計画>
当社は3か年計画を策定し、令和5年(2023)2月9日に公表いたしました。計画は順調に推移していますが、先行きが不透明で予測が困難な事業環境において、3か年計画の公表を廃止し、当社の目標とする経営指標である11項目の「ありたい姿」(能力目標)を中期経営能力目標とし、達成に向けて着実に取り組んで参ります。
今後の業績見通しの開示方針については、当社の経営方針や財務状況等を株主様、投資家の皆様に正しくご理解いただくために、単年度毎の業績見通し及び今後に向けた取組みを適宜公表することといたします。
<重要指標>
能力目標を着実に達成するために、以下の重要指標を活用することで、企業価値の向上を図ります。
<業績予想>
(注) プライベート・ブランド商品の数値は個別業績です。
次連結会計年度における当社及び連結子会社の事業環境は、世界経済の減速に伴う需要減少や人件費の高まりによるコスト増加の悪影響等が懸念され、先行きについて慎重とならざるを得ない状況です。
次連結会計年度においても、モノづくり現場で必要とされる少量多品種の商品ニーズに的確にお応えするために、必要な設備投資を継続します。物流設備の導入やシステム開発、適正な在庫拡充を継続することで、ファクトリールートや、eビジネスルートの売上高の更なる増加を見込んでいます。また、ホームセンタールートに関しても、売場提案や、当社のサービスを提案することで、主力得意先様の当社への商流集約を目指します。加えて、海外ルートでは引き続き子会社のTRUSCO NAKAYAMA CORPORATION (THAILAND)LIMITED 及びPT.TRUSCO NAKAYAMA INDONESIAや海外部の諸外国向け販売において、EC企業向けの商品データ提供を加速させることで、既存得意先様の売上高の増加や新規得意先様の開拓を図ります。
販売費及び一般管理費につきましては、売上の拡大に伴う出荷量増による運賃及び荷造費の増加などを見込んでおり、合計411億50百万円を予想しています。
これらの施策を実行することで、様々な市場のニーズに対応できる体制の構築を進め、お客様の利便性向上を図り、事業戦略を強化することで、令和6年12月期は売上高・経常利益の増加を見込んでいます。
次連結会計年度の連結業績に関しては、売上高2,847億10百万円、経常利益188億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益147億40百万円、1株当たり当期純利益は223円53銭、年間配当金49円00銭を予想しています。
製造業を中心としたモノづくり現場において、少量多品種の商品ニーズは今後も高まることが予想されます。そのニーズにお応えするためには、ネット通販企業の台頭やAI、IoTといったIT関連が発展していく中で、継続して物流やデジタル分野への投資を強化していく必要があります。また商品、物流、販売、デジタル、人材を柱とした5つの経営戦略を着実に実施していくことが、企業価値拡大の最も重要な要素であると考えます。
①商品戦略
業界最大レベルの在庫(約59万アイテム)を更に拡大するために、海外ブランドを含めた取扱アイテム数をますます充実させるとともに、WEB媒体である「トラスコ オレンジブック.Com」の追加機能「同等品・類似品検索機能」をリリースしました。類似品を比較しながらよりニーズに合う商品選定を可能にすることで、お客様の利便性を向上しました。データを商品領域の中心に据え、その拡充・活用・連携を推進し、データを通じてネット通販企業や大手ユーザー様との連携強化、業務プロセスの高速化・効率化、仕入先様との協業深化に取り組み、“PRO TOOL” [間接資材]のプラットフォームとしての利便性向上を実現します。
②物流戦略
「物流を制する者が商流を制す」という信念のもと、最先端の物流設備を増強し、ユーザー様直送機能を強化することで、更なる納品スピードの向上を図ります。物流センター28か所及び全国に29か所ある在庫保有支店では、各地域の市場のニーズに即した在庫拡充を進め、受注頻度の高い商品の在庫拡充や配送網を再整備し、即納体制の強化、物流コストの低減につなげることでお客様の利便性向上に努めます。また、マテハン設備とデジタルの双方を駆使し、競争力の源泉である在庫力を継続的に強化することで、お客様が必要とする“PRO TOOL”[間接資材]が「必ず見つかる、すぐ手に入る」を実現します。
③販売戦略
環境変化に柔軟に対応し、お客様のニーズに的確にお応えするため、リアルとデジタルを組み合わせてお客様との接点を増やし、課題を起点にした営業スタイルの変革を実施します。エネルギーや梱包資材などの資源消費削減につながる「ニアワセ+ユーチョク」(荷物詰合わせ+ユーザー様直送)や、リユースサービスの強化につながる修理工房「直治郎」、究極の即納を実現する、置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」など環境負荷を軽減する取組みを強化するとともに、お客様に必要とされる商品の在庫化を推進することでサプライチェーンの効率化を実現します。
④デジタル戦略
サプライチェーン全体の利便性向上のため、業界共通のデータ基盤の構築からユーザー様への先回り納品まで、当社が接点を持つあらゆるシーンでデジタルによる変革を続けていきます。AI見積「即答名人」[見積自動化システム]、売れ筋商品を自動で在庫化する「商品自動採用システム」、得意先様とのコミュニケーションツール「T-Rate(トレイト)」のほか、AIやロボット活用をはじめとするデジタル変革の一層の加速を図り、他社にマネできない圧倒的な利便性を提供します。加えてそれらを支えるセキュリティ環境を構築し、安心して利用いただけるシステム基盤づくりを継続して進めていきます。社内の業務改革やサプライチェーン全体の商習慣を変えていくことで今後も新たなサービスを構築していきます。
⑤人材戦略
独創的な発想で活躍できる人材を育てるため、部門を超えたジョブローテーションの実施と多様なコース選択や各種チャレンジ制度をハイブリッドに導入し、個人の能力を最大限に引き出しながら、長く安心して働ける環境を作っています。また、評価制度においては、上司だけでなく、周囲の人が相互に評価しあうオープンジャッジシステム(OJS=360度評価)が、人事考課や昇格などの人事処遇に至るまで運用されています。従業員が長く安心して働ける環境づくりに加え、独自の人事制度を実行していくことで、一人ひとりの成長、そして会社の成長につなげます。
当社及び連結子会社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
当社及び連結子会社では、サステナビリティという言葉が広まる25年以上前から、「やさしさ、未来へ」というキャッチフレーズのもと、環境負荷の少ない事業活動に取り組んできました。
現在では、下記、「やさしさ、未来へ」基本方針のもと、社会活動やガバナンスも含めた未来への取組みを総称して、TRUSCO「やさしさ、未来へ」プロジェクトとして様々な取組みを行っています。
「やさしさ、未来へ」基本方針
当社は、プロツールサプライヤーとして、いつの時代も日本のモノづくりのお役に立ち続ける企業でありたいと考えています。「人や社会のお役に立ててこそ 事業であり、企業である」というこころざしのもと、事業を通じて社会価値と企業価値の両方を生み出すこと(TSV※)で、社会課題の解決や持続可能な地域社会へ貢献します。
※TSV(TRUSCO Shared Value)はTRUSCO+CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)から命名しています。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
<ガバナンス>
「やさしさ、未来へ」基本方針やサステナビリティの取組みを統括する組織として、サステナビリティ委員会を設置しています。本委員会は経営企画部サステナビリティ推進課を事務局とし、会社全体におけるサステナビリティの取組みの推進活動の監督を行います。本委員会で議決された重要な議題は都度取締役会(経営会議)に報告します。また、サステナビリティ委員会の傘下にそれぞれのリスクや取組みに対して個別具体的な事柄を検討する「分科会」を設置しています。
<リスク管理>
事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、「リスク管理規程」を定め、サステナビリティ推進課が主管部署となっています。そして、サステナビリティに関わるリスクについてはサステナビリティ委員会で評価と管理を行っています。

(2)重要なサステナビリティ項目
① 気候変動
<ガバナンス、リスク管理>
気候変動に関するガバナンス・リスク管理はサステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理の中に組み込まれています。詳細につきましては、「(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」をご参照ください。
<戦略>
TCFDが提唱するフレームワークに基づき、気温上昇がもたらす当社及び連結子会社への影響を分析しました。事業活動の中で、以下の主なリスクや機会について対応を進めています。
(期間)短期:1~3年、中期:3~10年、長期:10~30年
(参考文献)1.5~2度シナリオ:PCR2.6、SSP1.9,2.6/IEA Net Zero Emission
4度シナリオ:SSP8.5、RCP8.5/NGFS Current Policies
<対応>
[1]自社設備の環境対応
社屋に設置した太陽光パネルでの自家発電、環境車両や環境設備の導入、その他様々な省エネや節電の取組みにより、自社設備でのエネルギー使用量やCO2排出量の抑制に取り組んでいます。
[2]災害に強い物流システム
全国に28か所の物流拠点を配置しているため、1か所の物流センターが被災した場合にも近隣の他の物流センターから出荷が可能です。今後も、プラネット愛知をはじめとする積極的な物流投資により、災害に強い物流システムを構築していきます。
[3]環境負荷低減につながる製品やサービス
施策やサービスによって、どれくらいのCO2排出を回避できたかを算出した結果、その削減貢献量は2023年1年間で15,829t-CO2となりました。連結子会社を除く当社のScope1、Scope2排出量の合計は9,184t-CO2であり、サプライチェーン全体ではそれ以上の排出量削減に貢献しています。今後も、お客様の利便性の向上と環境負荷軽減を両立させるサービスを拡充していきます。
<指標と目標>
サプライチェーン全体の環境負荷軽減に向けた独自の取組みとして配送効率が高く、梱包材の削減につながるユーザー様直送サービスの行数やMROストッカーの導入数を環境負荷軽減にまつわる「指標」として捉え、それぞれ「目標」を設定しています。またScope1、Scope2、Scope3排出量の算定を行い、売上1億円あたりのScope1、2排出量を前年比7%削減することを目標に取り組んでいます。
※表中の数値の集計には連結子会社を含めていません
② 人的資本
<方針>
多様な能力や価値観を組み合わせることにより、企業は活性化し、エネルギーや独創力を生みます。独創力をもったヒトが起点となり、「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」という当社の「こころざし」の実現を目指します。
多様な人材の多様な価値観を尊重し、それぞれの特性や能力、個性を最大限活かせるよう、人事制度やチャレンジ制度、人事異動を通じて、社員一人ひとりに応じた「働きがい」や「働きやすさ」の舞台提供を目指し、ヒトの成長を企業の成長につなげていきます。

<戦略>
「しくみのないところに人は育たず」という考えのもと、「働きがい」や「働きやすさ」を支える制度や取組を推進しています。
Ⅰ 「働きがい」を引き出すしくみ
「人事異動」、「キャリア形成」、「評価制度」、「人材育成」、「人材採用」の5つの柱をもとに、自律したキャリア形成に向けた人事制度を拡充します。
(ⅰ)キャリア形成への後押し
所属5年前後を目安に営業・物流・本社部署など様々な部門をまたいだジョブローテーションを実施し、仕事力・人間力を磨く機会としています。
また、令和4年にはキャリア選択・形成のしくみとして、5つのコース(デジタルキャリアコース、ロジスキャリアコース、キャリア(地域)コース、エキスパートコース、ロジスエリアコース)を新設し、全9コースから自身の働き方を選択できるようにしました。同年には新部署HRサポート課を設置し、主体的なキャリア支援を行っています。
(ⅱ)挑戦への後押し
責任者の補佐役としてマネジメントを学びボスを目指すボスチャレンジ制度、増員希望部署に自ら応募するオープンポジションチャレンジ制度、現在の部署に属しながら希望する他部署の業務を行う兼任ジョブチャレンジ制度、希望部署申告といった各種チャレンジ制度を設けています。
(ⅲ)努力や成果が公正に評価される環境づくり
全従業員を対象に、相互人事評価制度「オープンジャッジシステム(OJS=360度評価)」を導入し、上司だけでなく周囲の人が相互に評価しあい、良い緊張感がある職場環境づくりを推進しています。
(ⅳ)自覚につながる人材育成と独自性ある機会の提供
「自覚に勝る教育なし」の方針のもと、各階層研修や教育制度では「きっかけづくり」を重視しています。
また採用においては、採用課だけでなく全国様々な部署で勤務する社員が採用活動を行う「トラスコ導き隊」、経営陣との直接対話、就職活動生の保護者向け会社説明会等、業界最後発であるからこそ、他社ではやらないことにも積極的に挑戦してきました。これからも独創的な発想を持った人材を獲得することで、企業の成長につなげていきます。
Ⅱ 「働きやすさ」を支えるしくみ
「企業には社員が安心して、安定して働ける職場を提供する義務がある」という想いのもと、社員が安心して長く働き続けられるような取組みを実施しています。
(ⅰ)多様な人材の活躍
ライフプランやキャリアプランに応じた選択肢を整備し、多様な価値観を持つヒトが活躍できる舞台を提供します。
(ⅱ)ライフプランに応じた選択肢
世の中の流れではなく、社員を想う気持ちがきっかけとなった当社独自の人事制度が数多くあります。今後も社員の意見を尊重し、様々な制度で働き方を支援することでモチベーション向上につなげます。
(ⅲ)健康経営の推進
長く安心して働き続けられる企業を目指し、健康増進の取組みを実践しています。指標を経年で捉え、取組みを具現化することで、健康増進を継続し企業の成長につなげます。
<指標及び目標>
(注)1 直近3年間の実績です。
2 62期1月末時点の実績です。
3 制度を柔軟に利用するため目標値は定めていません。
4 令和6年4月~令和7年3月の目標値です。
5 62期の目標値です。
当社及び連結子会社の財政状態及び経営成績に関する事項のうち、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクを以下に記載しています。また、当社及び連結子会社として、これらのリスク要因への対策が講じられている事項についても、積極的な情報開示の観点から記載しています。文中の将来に関する事項は、現在において当社が判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。当社及び連結子会社は、リスクを認識して事業活動を行っており、リスクの最小化及び発生した場合の損失最小化に努めていますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本資料中の他の記載事項もあわせて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えています。
<事業環境>
①景気変動
当社及び連結子会社は、製造業や建設・建築現場を含む幅広いモノづくり現場で必要とされる工具、作業用品、作業用消耗品、機器類などの“PRO TOOL”[間接資材]や約9.1万アイテムに及ぶプライベート・ブランド商品“TRUSCO”を自社開発商品として取り扱う卸売業として、モノづくり現場のお役に立つことを主たる事業としています。モノづくり現場で必要とされる少量多品種の商品ニーズにお応えするために、必要な設備投資を継続し、お客様の利便性向上に努めていますが、製造業を中心とした経済動向に予想外の変動があった場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②市場環境の変化
当社及び連結子会社は、モノづくり現場で必要とされる少量多品種の商品ニーズにお応えするべく、物流センター28か所で、約59万アイテムの在庫を保有し、即納を可能とする卸売に徹した事業を主としています。また、約410万アイテムに及ぶ商品データと仕入先様3,509社との連携に加え、得意先様の口座数は33,225口座、法人数は5,632社と、幅広い販売チャネルを有しています。さらに、オリジナル総合カタログ「トラスコ オレンジブック」及び工場・作業現場のプロツール総合サイト「トラスコ オレンジブック.Com」を媒体に市場のニーズに応え、商品をお客様へ販売することが主要な事業です。今後、国内外の製造業の事業活動において、予期せぬ産業構造の変化、操業休止、減産、または、取引先様の経営状況の変化などにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③競合・優位性低下
当社及び連結子会社は、「持つ経営」を軸として、豊富な在庫商品、取扱アイテムを拡充するとともに、全国にある物流センター28か所及び29か所の在庫保有支店による即納体制の強化を中心に、市場での優位性を高めています。しかしながら、予期せぬスピードで競合他社が資本を投入し、機能の高い物流サービスを提供し、当社及び連結子会社の事業の優位性が低下した場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④製造業の構造変化
製造業や建設・建築現場を含む幅広いモノづくり現場において、電気自動車の普及などにより市場の需要が大きく変化することで、既存の商材やサプライチェーンの見直しが迫られるような根本的な産業構造の変化が起きた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<事業運営>
①人材育成
当社及び連結子会社は、あらゆる分野において、独創的な発想で活躍できる人材を育てるため、部門を超えたジョブローテーションの実施と多様なコース選択や各種チャレンジ制度をハイブリッドに導入し、個人の能力を最大限に引き出しながら、長く安心して働ける環境を作っています。有能な人材の確保及び育成を重要視しており、各年代においてそれぞれの研修を行い、「自覚に勝る教育なし」という能動的な姿勢を育む環境を構築しています。また、新卒採用を継続することで、長期的な人材育成に努めています。しかしながら、突発的な景気の変動などにより、採用数を抑えなければならない状況、少子高齢化、労働人口の減少等により人材の確保及び育成が計画通り進まなかった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②債権管理
当社及び連結子会社は、社内管理規程等に基づき徹底した与信管理を行い、貸倒リスクの軽減に努めています。しかしながら、取引先様の経営状況が想定外の諸事情により悪化し、債務不履行等が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③品質管理・製造物責任法
当社及び連結子会社は、プライベート・ブランド商品“TRUSCO”を自社開発商品として、国内外問わず幅広い仕入先様とOEM(Original Equipment Manufacturing)による委託生産を行っています。これらの自社開発商品は、PB品質保証課を中心に徹底した品質管理を行っています。しかしながら、大規模なリコールや損害賠償責任を負うような商品の欠陥が発生した場合、プライベート・ブランド商品の安心・安全が損なわれることで、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④デジタル・情報セキュリティ
当社及び連結子会社は、事業全般において、高度なデジタル技術を活用しており、予期せぬシステムダウンやプログラムエラー、サイバー攻撃による障害が生じ、かつその復旧に想定以上の時間を要した場合、大きな機会損失につながります。さらに、システムの連携業務の停止や使用不能による事業への悪影響だけでなく、個人や取引先様情報の漏洩等が発生した場合にも、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤在庫管理
当社及び連結子会社は、豊富な在庫を成長のエネルギーと捉え、一般的に重要視される在庫回転率ではなく、「在庫出荷率」(ご注文のうちどれだけ在庫から出荷できたか)を重要指標とし、即納体制を強化しています。売れているから在庫を保有するのではなく、「在庫はあると売れる」という信念のもと、独創的な発想でお客様が必要とする在庫商品の拡充を進めています。令和5年12月期連結貸借対照表においては、棚卸資産は508億48百万円を計上しており、総資産に対する比率は20.8%となります。今後もより効果的に在庫を充実させることで即納体制を強化しますが、想定外の販売不振が続いた場合には、棚卸資産の評価減等が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥顧客情報
当社及び連結子会社は、多くの顧客情報を扱っています。万一情報の漏洩等が発生した場合、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<その他>
①法規制・コンプライアンス
当社及び連結子会社は、社員一人ひとりが高い倫理観を持てるようコンプライアンスの指針として「取捨“善”択」を掲げ、損得勘定ではなく、善悪を基準に判断するという企業姿勢を浸透させています。また、コンプライアンス手引書「トラスコ善択ブック」の配布や、社内外の通報窓口「善択ホットライン」を設置することで、コンプライアンス上の問題を早期に発見し、対処しています。しかしながら、事業活動に関連する様々な法令・規制等の制定や変更など、予期しない法令の適用などが財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②固定資産の減損
当社及び連結子会社は、「持つ経営」を念頭に、建物や土地、車両に至るまで自社保有を進めています。令和5年12月期連結貸借対照表において、有形固定資産を中心として固定資産の総額は1,128億70百万円を計上しており、総資産に対する比率は46.1%となります。今後、経済環境の変化などにより保有固定資産の経済価値や収益性の著しい低下が発生した場合には、適正な減損処理を実施することとなり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③自然災害・感染症
当社及び連結子会社は、「如何なる時においても商品を供給する」という方針のもと、地震や水害などの自然災害に備えるため、免震構造の物流センターや社屋を構え、災害備蓄品の在庫を6か月分以上保有しています。また、全国の物流センター28か所及び29か所の在庫保有支店を分散配置することで、復旧・復興支援物資の安定供給を目指しています。さらに、事業活動の継続のために、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、防災訓練、新型ウイルス感染症等の対策を講じています。しかしながら、予期せぬ事態が発生し、電力や公共機関などのインフラ機能の停止、感染症の拡大、各事業所の損壊等により、事業活動が継続できなくなった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④資金調達
当社及び連結子会社は、令和5年12月期連結貸借対照表において、自己資本比率65.6%であり、総資産に占める借入依存度は低いものの、今後の金利動向や業績の悪化に伴い返済能力の著しい低下や、更なる資金調達が困難になった場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤気候変動
当社及び連結子会社は、「やさしさ、未来へ」基本方針のもと、幅広い事業活動における環境面に関して、適用可能な法律、条令ならびに協定など、同意するその他の事項の要求事項を順守しています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき、気候変動が当社に与えるリスクや機会を分析し開示しています。しかしながら、地球温暖化などの世界的な気候変動の動向により、温室効果ガスの排出量削減を目的とした法的な規制強化やサプライチェーンの規制等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥海外事業
当社及び連結子会社は、自社ホームページや各種SNSなどを通じて社外に対して情報発信を行っています。予期せぬ、根拠のない風評被害やそれに伴う誹謗中傷が拡散されることにより、企業イメージが著しく低下した場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦レピュテーションリスク
当社及び連結子会社は、自社ホームページや各種SNSなどを通じて社外に対して情報発信を行っています。予期せぬ、根拠のない風評被害やそれに伴う誹謗中傷が拡散されることにより、企業イメージが著しく低下した場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧環境・人権
当社及び連結子会社の事業活動とそのサプライチェーンは国内外問わず多岐に亘っています。その中で、環境問題や人権などにかかわる問題が発生し、事業活動の停止、損害賠償などの負担、既存のサプライチェーンの見直しなどを余儀なくされた場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社及び連結子会社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
①事業全体の状況
当連結会計年度(令和5年1月1日~令和5年12月31日)における日本経済は、半導体の供給不足緩和による生産の持ち直しや円安の恩恵を受けた自動車のほか、需要に持ち直しの動きがみられる電気機械等を中心に景況感が改善しました。また、自動車等の最終製品の生産が堅調なことを受け、素材業種の景況感も改善しました。一方、先行きについては、世界経済の減速に伴う需要減少や人件費の高まりによるコスト増加の悪影響等が懸念され、慎重とならざるを得ない状況といえます。
このような環境下で当社及び連結子会社は、いつの時代もお客様や社会から必要とされる企業を目指し、「業界『最速』『最短』『最良』の納品を実現できる会社になりたい。」等、11項目の「ありたい姿」(能力目標)実現のための取組みを継続しました。
当社は「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージに掲げ、プロツールの供給を通じて、お客様にとって最高の利便性を提供することが、結果として社会貢献につながると考えています。また環境活動や社会活動・ガバナンスも含めた未来への取組みとして「やさしさ、未来へ」基本方針の下、トラスコの事業活動が社会価値と企業価値の両方を生み出すものとする「TSV活動(TRUSCO Shared Value)」に取り組んでいます。
サプライチェーン全体の最適化・合理化を図る主な取組みとして、「ニアワセ+ユーチョク」(荷物詰合わせ+ユーザー様直送)の利用促進を更に強化しました。当社は在庫を多数保有しているだけでなく、最先端の物流機器とデジタルを組み合わせて活用することで、複数の商品を1つの梱包に「ニアワセ」(荷物詰合わせ)し、卸売である当社がユーザー様へ直送することが可能になります。このサービスにより、納品リードタイムの短縮に加え、得意先様の配送業務や送料が削減できます。また、配送や梱包資材にかかる二酸化炭素排出量などの環境負荷を軽減することができ、環境保全につながる取組みとしてネット通販企業様を中心に高い評価を得ています。
加えて、究極の即納を実現する置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」の導入、在庫アイテム数や商品データ保有数の拡充、AI見積「即答名人」[見積自動化システム]の利用推進、欠品・欠量を防ぐための在庫最適化、プライベート・ブランド商品のブラッシュアップ、修理工房「直治郎」の取組み強化を実施しました。また令和5年1月に、当社社員の自律的な成長を促す機会を増やす取組みが評価され、厚生労働省が主催する「グッドキャリア企業アワード2022」の大賞を受賞しました。あわせて令和5年5月に、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」において、特に傑出した取組みを制度開始当初から継続している企業として「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されました。
その結果、当連結会計年度における売上高は2,681億54百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
また、急速に物価の高騰が進む中、価格改定前に仕入れた在庫商品を改定価格で販売した影響などにより、粗利率が21.5%(前年同期比0.3ポイント増)と上昇したことに加え、ソフトウエアにかかる減価償却費が減少したことなどにより、営業利益は185億19百万円(前年同期比26.3%増)、経常利益は186億69百万円(前年同期比23.9%増)となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部について、帳簿価額に比べて実質価額が下落したことによる投資有価証券評価損や、令和3年12月に売却した土地の一部土壌の廃棄にかかる費用など、特別損失として9億13百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は122億68百万円(前年同期比15.4%増)となりました。
②セグメントごとの経営成績
1)ファクトリールート(製造業、建設関連業等向け卸売)
ファクトリールートにおいては、全国に28か所ある物流センター及び全国に29か所ある在庫保有支店による欠品対策などの在庫施策を実施し、得意先様の利便性向上に努めました。また、ユーザー様の工場に、置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」を設置することで、工場内でいつでも商品の調達が可能となるサービスの拡大や、サプライチェーン全体の物流コストや手間を大幅に削減できる「荷物詰合わせ+ユーザー様直送サービス」、リユースの促進につながる修理サービスの修理工房「直治郎」のPRを強化するなど、環境負荷の軽減にもつながる営業活動を行いました。これらの活動により、生産工場の稼働に係るハンドツールや環境安全用品、作業用品などの売上高が増加しました。
その結果、売上高は1,821億88百万円(前年同期比6.8%増)、経常利益は135億80百万円(前年同期比25.2%増)となりました。
eビジネスルートにおいては、3,509社の仕入先様との協業を基軸に、約410万アイテムに及ぶ商品データと得意先様のシステムとの連携を強化し、得意先様毎のご要望に合わせた物流加工を行いました。また、4か所の物流センターに6ライン導入しているI-Pack®(アイパック)[高速自動梱包出荷ライン]を活用し、ユーザー様への直送のニーズにお応えしました。これらの活動により、生産工場の稼働に係るハンドツールや作業用品、設備投資に係る工事用品などの売上高が増加しました。
その結果、売上高は591億21百万円(前年同期比14.6%増)、経常利益は44億29百万円(前年同期比27.4%増)となりました。
ホームセンタールートにおいては、建築現場などで働くユーザー様をターゲットとしたプロショップなど、各得意先様に対し売場提案や商流集約に向けた営業活動を強化しました。また、ホームセンター各社がEC事業を強化していることから、当社の約59万アイテムに及ぶ在庫と物流設備を活用したサービスを積極的に提案しました。これらの活動により、作業用品や環境安全用品などの受注が増え、売上高増加に寄与しました。
その結果、売上高は242億60百万円(前年同期比9.5%増)、経常利益は4億12百万円(前年同期比4.7%増)となりました。
海外ルートにおいては、連結子会社であるTRUSCO NAKAYAMA CORPORATION(THAILAND)LIMITED 及びPT.TRUSCO NAKAYAMA INDONESIAの業績と海外部の諸外国向け販売を含めています。連結子会社では、在庫アイテムの見直しによりリードタイムを短縮し、また現地得意先様及び仕入先様の開拓を進めることで販売活動を強化しました。さらに、海外部の諸外国向け販売では、アジア太平洋地域を中心にEC企業との口座を開設するなど、取引を拡大しました。
その結果、売上高は25億83百万円(前年同期比22.5%増)、経常利益は1億61百万円(前年同期比64.6%増)となりました。
③仕入及び販売の実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
④目標とする経営指標の達成状況
目標とする経営指標及び当連結会計年度の実績、翌連結会計年度以降の目標数値については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ196億70百万円増加の2,448億78百万円(前連結会計年度末比8.7%増)となりました。その主な要因は、現金及び預金が38億82百万円増加、売掛金が27億64百万円増加、商品が55億55百万円増加、プラネット愛知の新築工事等により建設仮勘定が97億36百万円増加し、機械装置及び運搬具が3億27百万円減少、ソフトウエアが12億68百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ99億56百万円増加の841億62百万円(前連結会計年度末比13.4%増)となりました。その主な要因は、買掛金が15億95百万円増加、未払法人税等が17億33百万円増加、長期借入金が65億円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ97億13百万円増加の1,607億16百万円(前連結会計年度末比6.4%増)となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益122億68百万円の計上により増加し、配当金30億66百万円の支払などにより減少したことによるものです。自己資本比率は前連結会計年度末の67.1%から65.6%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
①当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、148億2百万円の収入(前連結会計年度は121億78百万円の収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益179億8百万円、減価償却費62億29百万円、仕入債務の増加15億82百万円の収入に対し、売上債権の増加28億13百万円、棚卸資産の増加54億49百万円、法人税等の支払額45億95百万円の支出によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、131億13百万円の支出(前連結会計年度は51億65百万円の支出)となりました。その主な要因は有形固定資産の取得による支出111億71百万円(プラネット愛知新築工事費及びマテハン設備の調達にかかる支払など)、無形固定資産の取得による支出19億44百万円(ソフトウエア構築費の支払など)によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、19億32百万円の収入(前連結会計年度は91億10百万円の支出)となりました。その主な要因は、長期借入れによる収入150億円に対し、長期借入金の返済による支出100億円、配当金の支払30億64百万円によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ36億84百万円増加し、430億85百万円(前連結会計年度末は394億円)となりました。
②当社及び連結子会社の資本の財源及び資金の流動性について
当社及び連結子会社は、事業活動のための適切な流動性の確保と健全な財政状態の維持のため、営業キャッシュフローの創出に努めています。
当社及び連結子会社の主な資金需要は、商品の仕入れ、販売費及び一般管理費等の営業費用等の運転資金、並びに物流設備や情報システム等への設備投資資金です。これらの資金需要につきましては、基本的に営業キャッシュフロー及び自己資金を主な源泉と考えています。ただし、当社及び連結子会社の成長スピードを加速させるための設備投資を中心とした戦略的な資金につきましては、必要に応じて金融機関からの借入などにより調達することとしています。なお、安定的かつ効率的な資金調達に備えるため、複数の取引金融機関と当座貸越契約を締結しています(極度総額500億円、当連結会計年度利用残高100億円)。
この方針に従い、当連結会計年度における運転資金、設備投資資金につきましては、自己資金並びに金融機関からの借入金を充当しています。今後も資本と負債のバランスに配慮しながら、必要な資金を調達してまいります。
現預金につきましては、流動性確保のため、月商の1か月分を目安に保有する方針としていますが、当連結会計年度において、お客様の利便性向上を目的に、物流設備やデジタルへの投資を継続するため、金融機関から長期借入により資金を調達してプールしています。
また、財務の健全性等について、客観的な視点で認識することを主たる目的に、毎期、格付投資情報センター(R&I)から発行体格付を取得しており、本報告書提出時点においては「A」(シングルA)となっています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社及び連結子会社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち特に重要なものは以下の通りです。
①固定資産の減損損失
当社及び連結子会社は、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、令和5年12月期連結貸借対照表において、有形固定資産を中心として固定資産の総額は1,128億70百万円を計上しており、総資産に対する比率は46.1%となります。
事業用資産は、管理会計上の事業所ごと、賃貸用資産及び遊休資産は物件ごとにグルーピングしています。
経営環境の悪化や時価の著しい下落等が生じ、回収可能価額が帳簿価額を下回る状況となった場合には、減損損失が発生し、当社及び連結子会社の業績に重要な影響を与える可能性があります。
②棚卸資産の評価
当社及び連結子会社は、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、令和5年12月期連結貸借対照表において、棚卸資産508億48百万円を計上しており、総資産に対する比率は20.8%となります。一定の保有期間が経過した滞留在庫について、商品の性質に応じた評価減率を設定し、評価を行っています。滞留在庫の定義や評価減割合が年度末時点の棚卸資産の収益性を適切に反映しているか否かに関して、商品等の過去の販売実績が将来の期間においても継続すると仮定して商品等の将来の販売可能性を見積もっています。
将来における景気等の市場経済を取り巻くさまざまな外部要因や著しい技術改革等によって、商品等の販売実績が当初の想定を大きく下回った場合には、棚卸資産の評価額が変動し、当社及び連結子会社の業績に重要な影響を与える可能性があります。
③繰延税金資産の評価
将来の課税所得を見積り、回収可能性がある将来減算一時差異についてのみ、繰延税金資産として資産計上を行い、回収不能なものについては評価性引当額を計上しています。経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社及び連結子会社の業績に重要な影響を与える可能性があります。
令和3年8月19日開催の取締役会において、当社大阪本社の移転のために大阪のオフィス中心街である本町に新たに土地・建物を取得するとともに、現在の大阪本社の土地・建物を、第三者に譲渡することを決議しました。
移転先の土地・建物の取得に関しては、令和3年9月30日に契約を締結、令和3年11月8日に取得を完了しています。大阪本社の土地・建物の譲渡に関しては、令和3年8月24日に契約を締結、譲渡は令和6年12月28日を予定しており、譲渡益は、特別利益として令和6年12月期での計上を予定しています。
該当事項はありません。