第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 日本の経営環境は、インバウンド需要の拡大や、賃上げの継続傾向により、景気は緩やかなペースで回復傾向に推移しております。一方で、世界経済はウクライナ情勢の長期化や中東問題による地政学リスク、中国経済の低迷、原材料価格やエネルギー価格の高騰、不安定な為替変動や温暖化の影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

 当社が属する市場においても上記による影響が続いておりますが、当社グループは、昨年アップデートした第8次中期経営計画に基づき、更なる成長に向けた取り組みを推進しております。

 

 「小さなパーツで世界を変え続ける」をキーワードに、私たちがパーツでできること、持続可能な社会のためにできることを常に念頭に置き、「あたりまえに、新しさ。」を生み出すグローバルニッチトップ企業として存在価値を示してまいります。

 

■収益力の向上

 既存事業の更なる成長とともに、付加価値を含んだ新商品の開発や設備投資の実施などにより、収益力の向上を図ってまいります。また、グローバル市場の動向を見極め、現地生産・現地調達を含めた最短販売網を整備してまいります。さらに、BtoC事業領域の拡大を図るとともに、ECプラットフォーム事業を活用したBtoC事業のマーケティング・販売の強化に注力してまいります。

 

■管理体制の強化

 外部環境による働き方の変化やライフプランが多様化する中、当社グループの価値観に共感し、新しい価値創造・戦略を遂行できる人材を確保・維持・育成することが重要となってまいります。個々の発想や能力を最大限に発揮できる職場環境を整え、人的資本価値の向上を図ってまいります。

 

■投資戦略とサステナブル経営の実践

 積極的な事業拡大を見据え、調達・投資・再配分の資金循環の効率化とリスク管理を徹底し、強固な財務体質を構築してまいります。IT基盤を再整備し、事業効率化を追求するとともに、経営に必要な情報をよりタイムリーに収集し、経営の迅速化を進めてまいります。同時に、社会貢献に関する取り組みが肝要であると考えます。当社グループは、国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)の考えに賛同し、サステナブルにこだわったモノづくり、ダイバーシティの推進及びコンプライアンスの徹底などにより、世界中の人々が幸せに豊かに暮らす社会の実現を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティ方針>

 当社は、経営方針を基本として、環境や社会に関する課題と事業活動の関連性を導き出し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現(社会価値)に貢献するとともに、私たち自らの「持続的な成長」と「企業価値の向上」(経済価値)を実現することで共通価値の創造(CSV:Creating Shared Value)を目指します。

 

(1) ガバナンス

 当社では、経営に関する様々な中長期課題を検討・推進する組織として、取締役会の下位にサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会は、代表取締役社長を委員長として取締役で構成し、必要に応じて委員長の指名によるメンバー以外の出席や社外の有識者などからの助言等も受けながら委員会を運営します。

 サステナビリティ委員会の機能としては、気候変動課題も含めた、環境・社会・ガバナンス(経営)に関連するグループ全体のサステナビリティに対する、基本方針の策定、仕組みの構築、取り組み施策の検討、目標指標の設定などを行うとともにグループ内の状況調査などを行い、委員会で審議された取り組みは取締役会による監督・指示を受ける仕組みとなっております。

 


 

 

 

 

(2) 戦略

①気候変動・環境問題に関する取組(TCFD提言への対応)

 地球温暖化に伴う気候変動は、商社機能を主とする当社にとっては、資材商材の調達コストの高騰や自然災害によるサプライチェーンの混乱など、当社グループの事業に様々な影響を及ぼす可能性があります。

 その気候変動による影響につきまして、TCFD提言のフレームワークに沿って、気温上昇が4℃及び1.5℃未満の場合の両シナリオに沿って2030年におけるリスク・機会を特定し、対応する主な取り組みを策定いたしました。今後この取り組みを推進することで将来発生しうる事象に対応してまいります。

 なお、当社グループはTCFD提言に基づく情報開示をホームページにて行っておりますので、ご参照ください。

ホームページサイト:https://www.morito.co.jp/sustainability/>

 

②人材育成方針及び社内環境整備方針

 当社グループは、商品が持つ付加価値に留まらない新しい存在価値を創造し、継続して成長を続ける会社を目指しております。世界各地のグループ会社が共通方針の下で人事施策を展開するため、「モリトグループ人材マネジメント方針」を策定し、採用、人材育成、労務、配置・キャリア、評価、処遇の6つのカテゴリごとに、モリトグループが目指す姿を可視化しております。

 

イ 採用

・地球規模のあらゆる雇用形態で求める要件に適合する人材を確保。

・当社の価値観・考え方に共感を持てる人材の確保。

ロ 人材育成

・「自育自成」が基本。

・高い成果を発揮する能力・意欲を持つ人材に対し、能力開発を提供。

ハ 労務

・コンプライアンスを徹底する。

・働きやすい/働きがいのある組織の実現。

ニ 配置・キャリア

・国籍・人種・宗教などによらず求める役割を果たし、貢献できる人材を適所に配置。

・役割や適性に応じたキャリア形成の機会を提供。

ホ 評価

・役割貢献の質・度合いや職務の価値に応じた評価の実現。

・公平性・納得感の高い評価の実現。

へ 処遇

・パフォーマンスに見合った納得性の高い処遇の実現。

・コントローラビリティの高い人件費構造の実現。

 

 詳細は当社ホームページに掲載している人材マネジメント方針をご参照ください。

ホームページサイト

 https://www.morito.co.jp/sustainability/society/diversity/human_resource_management_policy/>

 

 

 

(3) リスク管理

 当社では、グループ全体におけるすべての事業活動を対象にしたリスクマネジメント体制を構築しております。代表取締役社長を委員長とし、管理部門の本部長及び法務部長、内部監査室長をメンバーとする、リスクマネジメント統括機関としてのコンプライアンス委員会を設置しております。

 コンプライアンス委員会においては、全社リスクに関し各部門・子会社に対する年1回のヒアリングによるアセスメントを実施し、その結果を基に影響度・発生可能性の2側面でマトリクス分析を行い選別・評価したリスクへの対策実施結果と改善計画を年2回取締役会に報告する、というPDCAを基本としたリスクマネジメントサイクルを構築しております。

 このマネジメントサイクルにサステナビリティ委員会の活動を同期・連携することにより、気候変動に関するリスク把握はコンプライアンス及びサステナビリティ管轄の両委員会が情報共有を行い協働してまいります。気候変動に関する「リスク」最小化と「機会」最大化による企業価値向上に関しては、サステナビリティ委員会において各種方針・戦略の策定、取り組みのモニタリングなどを実施する体制となっております。

 


 

(4) 指標及び目標

①気候変動・環境問題(TCFD提言への対応)

 昨年度は温暖化ガス(GHG)排出量に関し、2022年度のScope1,2のみ算定しておりましたが、今年度からは自社の直接排出(Scope1,2)については業績開示の会計年度に合わせることとし、2024年度まで算定を行いました。また、サプライチェーン内のGHG排出量であるScope3につきましても、まずは国内の一部主要会社について2022年から2024年までの実績を算定しております。

 今後ともScope3算定の対象を広げ、さらにGHG削減に向けた指標・目標を設定することでサプライチェーン全体におけるカーボンニュートラルを検討できる体制を構築してまいります。

 

 なお、算定状況につきましては当社ホームページサイトをご参照ください。

ホームページサイト:https://www.morito.co.jp/sustainability/>

 

 

②人材育成方針及び社内環境整備方針

イ 実績と目標

 当社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、一般事業主行動計画で主に次の指標を設定しております。当該指標に関する当社の目標及び実績は、次のとおりです。

指標

実績(当事業年度)

目標(2026年度)

管理職に占める女性の割合を改善する(%)

13.3

20.0

年次有給休暇取得率(%)

72.8

75.0
(注)

 

(注) 2025年度及び2026年度の平均の目標値としております。

 

 なお、上記の目標は当社に関する数値を記載しておりますが、当社グループ又は主要な事業を営む子会社に関する数値についてもグループ間でプロジェクトチームを立ち上げて、策定に向けて取り組んでおります。

 管理職に占める女性の割合を改善する取り組みでは、雇用環境の整備を継続的に行うほか、昇格試験受験についての働きかけや、一般職の女性社員に対しキャリア開発研修などを実施しています。

 

 当社は女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを目的として女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しております。

 詳細は当社ホームページに掲載している女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」をご参照ください。

ホームページサイト

 https://www.morito.co.jp/sustainability/society/diversity/action_plan_and_measures/>

 

ロ その他

 当社では、経営戦略を遂行するに資する人材の獲得・育成・適材適所の配置・グループ間活用を行い、グループ全体の人的資産価値の向上を図るため、各種課題に取り組んでおります。

 

■従業員満足度調査及びエンゲージメントサーベイの実施

 定期的に従業員満足度調査を行い、グループで働く従業員が能力を最大限に発揮し、目標に向かって邁進できる土壌が熟成できているかの確認を行っております。また2024年度より従業員満足度調査に加えて、従業員の企業に対する信頼の度合い、従業員と企業とのつながりの強さを測るためエンゲージメントサーベイを導入しております。定期的に従業員のエンゲージメントを測定し、職場の改善活動を推進してまいります。

 今後は、エンゲージメントサーベイのスコア及び次回の従業員満足度の向上を目指し、制度構築や施策施行に取り組んでまいります。

 

■メンタルヘルス及び健康診断

 年1回強化週間を設けメンタルヘルスに関する諸々の施策を集中的に実施しております。その施策の一環としてこの期間に社員にストレスチェックの診断を義務付けております。2024年度は総合健康リスクが2023年度に比べ1ポイント増加いたしました。今後はリスクが低減するように職場環境の改善に努めてまいります。

 また、全社員を対象とする定期健康診断の案内の際、追加可能な検査及び被扶養者の診断も同時に周知し、社員だけでなくその家族の健康管理まで行えるようにしております。

 

■従業員の安全配慮

 定期的に防災訓練を行い、従業員の防災意識を高め、災害時には全従業員が安全に避難できるように取り組んでおります。また、就業外でも従業員の安否を確認できるSECOM安否確認システムを導入し、従業員の安否確認に努めております。SECOM安否確認の災害訓練やマニュアルの周知などにより、昨年発生した地震では従業員の安否確認を滞りなくとることができました。

 これからも従業員の防災意識を高め、安全確認を取れる体制づくりに取り組んでまいります。

 

■ダイバーシティープロジェクト

 HRMポリシー及び経営計画にて、ダイバーシティ経営(多様な人材を活用することで新たな価値創造を実現する経営)に取り組んでおります。

 当社のダイバーシティの最終目標は、国籍/人種/性別等に関わらず、社員がそれぞれの立場で仕事と生活を両立し、納得感と満足感をもってモリトグループで職業人生を送ること。そして、多様な社員が協働することで、多様な商品・サービスを展開し、会社の業績向上につなげていくことをゴールとしております。2024年度についても介護と仕事の両立を目標に介護セミナーの実施や介護経験者からのヒアリング、座談会の開催等を行いました。

 また過年度より、従業員がパパ・ママ・介護者になったつもりで仕事と家庭生活の両立を体感するという『つもり』『モリト』を組み合わせた『つモリトプロジェクト』に『チャレンジ』するという意味を込めた"つもチャレ"を継続的に実施しております。2024年度は当社を含めた主要子会社の課長職を対象とし、取り組み後に参加者同士で座談会を行うなどして、職場での仕事と介護の両立実現に向けて取り組みました。

 今後も"つもチャレ"をはじめとしたダイバーシティ活動を継続し、社員が働きやすい環境をつくってまいります。

 

■男性社員の育児休業の取組

 男性社員が育児休業へ積極的に参加できるように、休業期間の3日間は有給として取得できる制度を当社独自で設け、積極的に育児休業をとれる環境整備を進めております。

 なお、昨年は対象となる男性社員はおりませんでした。

 男性社員の育児休業取得率向上に向けて、配偶者の出産を控えている男性社員に制度を利用するように働きかけを行ってまいります。

 

■各種研修の取組

 全社員を対象としたコンプライアンスセミナーや、管理職を対象とした新任管理者研修、担当職を対象としたビジネススキル研修等、体系的に取り組んでおります。

 2024年度には管理職以上を対象に、自己理解を深め、部門運営を効果的かつ効率的に進めるコツを理解することを目的とした「360度サーベイ」を新たに実施いたしました。

 また、年に2回、通信講座を開講し、受講を修了した従業員に受講料の補助を行い、従業員のスキル向上に努めるとともに、選抜型の次世代幹部候補育成プログラムで、次世代の幹部候補の育成も行っております。

 

■モリトブランディングプロジェクト

 「全ステークホルダーにモリトグループのことを認知いただき、モリトグループのファンを増やすこと。」「モリトグループの魅力を社内外に発信すること。」を目的に、モリトブランディングプロジェクトを行っております。

 具体的には、グループ会社間のコミュニケーションの円滑化を図るため、「おやつでつなぐ、あなたとつながる、みらいにつなげる」をテーマに、従業員の推薦により決定したおやつを定期的に昼休みに配布することで、会話の機会を創出し社員同士のコミュニケーションを促進する「おやつプロジェクト」や、8月2日を「ハッピーパーツデー」とし、社員みんなで野球観戦を楽しめる社内イベント等を実施しました。ハッピーパーツデーのイベントでは、社内公募の当選者が、始球式・エスコートキッズ・ヒーローインタビューなどに参加できるコンテンツも用意、また会場内にブースを設けて、来場者に対して商品の魅力や企業のPRを行うことで、モリトの知名度向上に貢献しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると考えられる主な事項は、次のとおりです。

 次の事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) コンプライアンスリスク

① 全般

 当社グループは、法令遵守及び倫理に基づき誠実に行動することを経営理念に取り入れ、すべての役員及び社員が各種法令や行動規範から逸脱しないよう徹底を図っておりますが、万一それらに該当する行為が発生しコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起、社会的信用の失墜等により当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

② 知的財産権

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、知的財産権保護のための体制を整備しております。しかし、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、また、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性を排除することは不可能であるため、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

③ 製造物責任、景品表示

 当社グループは、定められた品質管理基準に従って管理体制を確立しております。また製造物責任保険の付保も行っておりますが、商品の欠陥や商品パッケージの表示内容不備に起因する訴訟が提起されたり、大規模な商品回収や保険で填補できない損害賠償につながる事態が発生したりする可能性を排除することはできないため、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 海外進出リスク

 当社グループの商品の一部は、海外生産を行っております。そのため、海外における政治・経済情勢の変化、戦争やテロ等による国際社会の混乱や、自然災害の発生は、当社グループ商品の安定供給に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3) 信用リスク

 当社グループの事業における売上債権は、取引先ごとに一定の信用を供与し、掛売りを行ったものであります。当社グループにおいて厳格な与信管理を行っておりますが、必ずしも全額の回収ができる保証はありません。従いまして取引先の不測の信用状況の悪化や経営破綻等は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4) 海外商品との競合リスク

 当社グループで販売する商品はアジア及び国内において中国製等の安価な商品との価格競争が激しくなっております。当社グループでは、コスト競争力を強化するため海外生産能力の増強や現地調達比率を高める戦略を講じておりますが、競合によってもたらされる販売価格の下落や販売数量の減少が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 仕入価格の変動リスク

 当社グループで販売する商品の仕入価格は原材料費の変動により影響を受けますが、その価格の上昇が仕入価格に転嫁された場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(6) 保有資産の時価変動リスク

 当社グループの過去の財政状態及び経営成績は、保有資産の時価変動等によって変動してきました。将来においても保有資産の時価変動等により損失を計上しないとの保証はありません。

 

 

(7) 情報システムリスク

 当社グループは、情報システム運営上の安全確保のため、外部からの侵入を防ぐファイアウォール構築等を行いリスク対応に取り組んでおります。しかし外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等による企業機密情報、個人情報の漏洩、さらには自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブル等により情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合、業務効率の低下を招くほか、被害の規模によっては当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(8) 為替変動リスク

 当社グループは、輸出入取引等に係る為替変動リスクに対して、実需の範囲内で成約時に為替予約を行えるようにしております。しかしながら、予測を超えた為替レートの変動があれば、当社グループの業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(9) 自然災害・感染症等のリスク

 当社グループの事業所や取引先が地震などの自然災害、新型コロナウイルス等の感染症の流行により被害を受けた場合は、販売や購買活動に直接的又は間接的に影響を及ぼす可能性があります。その場合、当社グループの業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年12月1日~2024年11月30日)における経営環境は、インバウンド需要の増加、所得環境の改善などにより、景気は緩やかなペースで推移しております。一方で、ウクライナ情勢の長期化・中東情勢の緊迫化などの地政学リスク、中国経済の低迷、原材料価格やエネルギー価格の高騰や、不安定な為替変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況の中、主にアパレル関連、プロダクト関連、輸送関連の事業を行う当社グループにおきましては、国内の暖冬やリバウンド需要の一巡によるアパレルメーカーの減産、一部自動車メーカーの生産停止の影響など、厳しい状況でありました。しかし一方で、厨房機器関連サービス事業や、アジアでの現地生産・調達の付属品が好調に推移しました。また、サステナブルな社会の実現を目指したモリトグループの取り組み「Rideeco®(リデコ)」において、廃漁網や縫製工場から出るはぎれなどを活用した環境配慮型の商品の開発・販売を推進し、新規取引の獲得に注力しました。さらに、収益性を意識した取り組みを継続し、売上総利益率の改善がみられました。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高485億3千7百万円(前年同期比0.0%増)、営業利益28億6千8百万円(前年同期比16.4%増)、経常利益30億3百万円(前年同期比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億7千2百万円(前年同期比16.0%増)となりました。

 

 なお、当連結会計年度における、海外子会社の連結財務諸表作成に係る収益及び費用の換算に用いた為替レートは、次のとおりです。

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

米ドル

147.86

(141.39)

148.62

(132.43)

155.86

(137.49)

149.65

(144.63)

ユーロ

159.05

(144.26)

161.32

(142.17)

167.84

(149.58)

164.22

(157.32)

中国元

20.44

(19.85)

20.63

(19.35)

21.47

(19.56)

20.84

(19.94)

香港ドル

18.92

(18.07)

19.00

(16.89)

19.94

(17.54)

19.19

(18.49)

ベトナムドン

0.0061

(0.0058)

0.0060

(0.0056)

0.0062

(0.0059)

0.0060

(0.0060)

タイバーツ

4.15

(3.89)

4.17

(3.91)

4.25

(3.99)

4.29

(4.12)

メキシコペソ

8.43

(7.19)

8.75

(7.11)

9.06

(7.79)

7.93

(8.48)

 

(注) () 内は前年同期の換算レートです。

 

 

 セグメント別の経営成績につきましては、次のとおりです。

 

(日本)

 アパレル関連では、作業服向け付属品、カジュアルウェア向け付属品の売上高が減少しましたが、欧米メディカルウェア向け付属品、バッグ向け付属品、高級アウトドアブランド向け付属品、百貨店アパレル向け副資材の売上高は増加しました。
 プロダクト関連では、均一価格小売店向け商品、文具関連商品、厨房機器レンタル・販売・清掃事業の売上高が増加しましたが、建築現場向け安全関連商品、医療機器関連商品、スノーボード・サーフィン関連商品の売上高は減少しました。
 輸送関連では、日系自動車メーカー向け自動車内装部品の売上高が減少しました。

 その結果、売上高は330億1千2百万円(前年同期比3.1%減)、セグメント利益は20億6千万円(前年同期比1.7%増)となりました。

 

(アジア)

 アパレル関連では、中国・香港でのカジュアルウェア向け付属品、作業服向け付属品、ベトナムでのスポーツシューズ向け付属品、作業服関連商品の売上高が増加しました。
 プロダクト関連では、タイでの玩具向け付属品の売上高が増加しました。
 輸送関連では、中国での日系自動車メーカー向け自動車内装部品の売上高が減少しました。

 その結果、売上高は83億7千2百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は8億7千8百万円(前年同期比17.2%増)となりました。

 

(欧米)

 アパレル関連では、メディカルウェア向け付属品、作業服向け付属品、メキシコでの革製品向け付属品の売上高が増加しました。
 輸送関連では、北米での日系自動車メーカー向け自動車内装部品の売上高が増加しました。

 その結果、売上高は71億5千1百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は1億9千1百万円(前年同期はセグメント損失2千7百万円)となりました。

 

 また、当連結会計年度における財政状態の概況は、次のとおりです。

 総資産は、524億7千6百万円となり前連結会計年度末比10億4千7百万円増加しました。

 流動資産につきましては、320億4千9百万円となり前連結会計年度末比9億円増加しました。これは主に、商品及び製品が10億8千8百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が7億5千1百万円減少したものの、現金及び預金が24億4千8百万円増加したこと、その他に含まれる未収入金が2億6千万円増加したこと等によります。

 固定資産につきましては、204億2千7百万円となり前連結会計年度末比1億4千7百万円増加しました。これは主に、のれんが3億6千8百万円減少したこと、建物及び構築物が2億5千6百万円減少したこと、無形固定資産のその他に含まれる商標権が1億6百万円減少したこと、機械装置及び運搬具が1億円減少したものの、投資有価証券が9億6千4百万円増加したこと等によります。

 流動負債につきましては、88億8千6百万円となり前連結会計年度末比2億9千7百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が2億7百万円減少したものの、未払法人税等が2億9百万円増加したこと、電子記録債務が1億3千5百万円増加したこと、その他に含まれる未払金が1億1千2百万円増加したこと等によります。

 固定負債につきましては、43億1千3百万円となり前連結会計年度末比6千9百万円減少しました。これは主に、繰延税金負債が2億5千7百万円増加したものの、長期借入金が3億3百万円減少したこと、その他に含まれる長期リース債務が3千4百万円減少したこと等によります。

 純資産につきましては、392億7千6百万円となり前連結会計年度末比8億1千9百万円増加しました。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末の74.7%から74.8%と0.1ポイント増加しました。

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、46億2千万円の収支プラス(前連結会計年度43億9千9百万円の収支プラス)となりました。これは主に、法人税等の支払により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の獲得及び棚卸資産の減少により資金が増加したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6億3千8百万円の収支プラス(前連結会計年度7千7百万円の収支プラス)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により資金が減少した一方で、投資有価証券の売却により資金が増加したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、26億8千万円の収支マイナス(前連結会計年度19億8千3百万円の収支マイナス)となりました。これは主に、配当金の支払、自己株式の取得による支出及び長期借入金の返済による支出により資金が減少したものであります。

 

 上記の結果、現金及び現金同等物は前期末に比べて24億5千万円増加し、期末残高は154億6千万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

 当社グループのうち連結子会社において生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、生産実績及び受注状況につきましては記載しておりません。

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

金額(千円)

構成比(%)

日本

23,557,145

69.7

96.8

アジア

7,421,486

21.9

91.8

欧米

2,842,639

8.4

100.9

合計

33,821,271

100.0

96.0

 

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。

2 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

金額(千円)

構成比(%)

日本

33,012,501

68.0

96.9

アジア

8,372,867

17.3

108.7

欧米

7,151,812

14.7

105.9

合計

48,537,182

100.0

100.0

 

(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

イ 売上高

 売上高につきましては、前連結会計年度に比べ7百万円増加し485億3千7百万円(前年同期比0.0%増)となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

ロ 営業利益

 営業利益は前連結会計年度に比べ4億4百万円増加し28億6千8百万円(前年同期比16.4%増)となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が4億6千8百万円増加(前年同期比4.3%増)したものの、売上原価が減少したことに伴い売上総利益が8億7千2百万円増加(前年同期比6.6%増)したことによります。

ハ 営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ1億7千2百万円減少し、1億3千4百万円となりました。これは主に、投資有価証券償還益が4千4百万円減少したこと、保険返戻金が3千8百万円減少したこと、為替差損が3千7百万円増加したことによります。

 この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ2億3千1百万円増加し30億3百万円(前年同期比8.4%増)となりました。

ニ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損益は前連結会計年度に比べ4億5千4百万円増加し、8億7千6百万円となりました。これは主に、子会社清算益が1億3千万円減少したこと、減損損失が6千2百万円増加したこと、災害損失が4千5百万円増加したものの、投資有価証券売却益が7億8百万円増加したことによるものであります。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ3億5千4百万円増加し25億7千2百万円(前年同期比16.0%増)となりました。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループにおける資金需要の主なものは、資材・商品等の仕入・調達費用、販売費及び一般管理費等の運転資金及び新規設備や新規事業等への投資資金であります。

 当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。

 

⑥ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループにおきまして、当連結会計年度は『存在価値を創造する、あたらしい「モリトグループ」の実現』を経営ビジョンとしてまいりました。

 不安定な為替変動や温暖化の影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続いておりますが、2026年11月期連結売上高600億円、連結営業利益30億円を目指し、「小さなパーツで世界を変え続ける」をキーワードにグローバルニッチトップを目指した各種施策に取り組んでまいります。

 2025年11月期の当社グループの通期見通しにつきましては、世界経済の先行きが不透明な中ではありますが、基軸商品に加え、機能性、サステナブルにこだわった付加価値商品の販売、グローバルネットワークの強化、BtoC事業の事業領域の拡大、またECプラットフォーム事業を活用したBtoC事業のマーケティング・販売に注力し、連結業績は2024年11月期を上回る、売上高530億円、営業利益31億円、経常利益32億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億円を予想しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

業務提携基本契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約発効日

契約期間

対価

モリト
株式会社

株式会社クラレ
クラレファスニング株式会社

面ファスナー製品事業等に関する業務提携

2008年4月1日

2008年4月1日
~2013年3月31日
(以後2年毎の自動更新)

 

 

 また、当社は、2025年1月24日開催の取締役会において、株式会社ミツボシコーポレーションの株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日、株式譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。