第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループの経営基本方針は、「国内外の顧客の発展と合理化に寄与するために当社グループの総合的な企画力・開発力、技術力を結集し、先進的商品を製造・供給すること」であります。

 この総合力を更に発展させて自動車、電機、鉄鋼、化学、電子、食品など多岐に亘る業界及び市場からの顧客満足度を向上させるために、当社グループ内のカスタマイズ能力の向上と、より迅速な市場対応力の強化を図ってまいります。

 当社グループは、この目的達成のために製造部門としての国内外のグループ各社へ積極的に投資を行いグローバルなネットワーク化による製販一貫体制を整えてまいります。また、江東区に構えるテクニカルセンターを新たな技術・新たな製品の発信基地として、更なる充実化を図ってまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、「堅実に収益力を持続する総合力」を今後もより強固に結集させ、常に先進的技術の研究開発を推し進め、グローバルな視点に立った市場への経営資源の効果的な投入を行い、業容の拡大を図ってまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループの事業を取り巻く市場環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界経済をさらに下振れさせる状況にあります。先行き不透明感の中、企業の設備投資は先送りの動きが強まると見込まれ、家計部門で外出を控える動きや消費者マインドの冷え込みにより、個人消費は弱い動きが続くとみられます。

 このような状況の中、当社グループがこれらの変化や需要を的確に捉え、持続的な成長を続けるためには将来を見据えた幅広い視野をもち、お客様の声を聴き、高い付加価値が込められた製品を作ること、そのような付加価値を創出する「コト作り」に注力し製品開発に繋げ、更に高いレベルでの技術サービスの提供とグローバル化を推進することがお客様からの継続した信頼を獲得することに不可欠と認識しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① グループ全体の持続的成長

 将来を見据えた『事業の選択と集中』を計画的に進め、次代の収益基盤となる『新市場の創造』を推進し、グループ全体の持続的成長に繋げていきます。

 

② 経営判断の更なる迅速化

 経営環境の急激な変化に対応するため、月間2回実施の取締役会を継続し、情報の的確な把握による経営判断を迅速に行い、経営資源の最大限の有効活用を図ってまいります。

 

③ 社会貢献

 事業活動を通じて社会に貢献する企業として、『顧客から信頼と期待を得る会社』、『積極的提案の出る企業文化を持つ会社』、『従業員が誇りを持てる会社』を目指します。

 

④ 価値ある製品と質の高いサービスの提供

 提案型企業として、テクニカルセンターの研究開発機能を駆使して市場ニーズに即した製品開発に努め、『顧客が満足する価値ある製品と質の高いサービス』をタイムリーに提供します。

 

⑤ タイムリーなグローバル戦略の展開

 世界市場の動向を常に把握し、日本を含めた既存のグローバルネットワークを有機的に結合させ、適地生産体制の確立と新規市場の開拓を図ってまいります。

 

⑥ 製造部門の強化と品質向上

 顧客に対する開発から供給までの一貫したフォロー体制を向上させるため、グループ内製造部門の更なる整備と積極的な設備投資を行い、国際基準に準じた更なる品質の向上を図ってまいります。

 

⑦ 収益向上

 グループ各社との緊密な連携のもと、原価管理の徹底と生産の最適化を図り、限られた経営資源を有効かつ効率的に活かし、収益向上を目指します。

 

⑧ 人材育成の促進

 競争力の源泉は『人』であり、戦略的思考と発想を持ち、自ら率先して行動し問題解決能力を有したグローバルに活躍できる人材を中長期研修制度により育成してまいります。

 

⑨ コーポレートガバナンスの強化

 コーポレートガバナンスを強化し、法令遵守やリスク管理等の内部統制をグループ全体に周知徹底し、健全で活力あふれる職場環境を整備します。

 

 会社法や金融商品取引法にも対応すべく、内部統制システムを当社グループ全体に展開しておりますが、今後一層コンプライアンスの充実・強化を図り、経営効率及び企業価値の向上、業務の透明性と公正性を重視し、ステークホルダーの皆様方への期待にお応えできる企業を目指す所存であります。

 

(5)目標とする経営指標

 経営効率を持続的に追求し、当社グループ全体で総資産経常利益率(ROA)10%以上と株主資本利益率(ROE)10%以上、及び営業利益率10%以上を目標といたします。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは以下のリスクに対応する為、リスク管理委員会を設置するとともに、リスク管理規程に従い、未然防止の観点からリスクの認識と対応策の整備・運用を行うとともに、リスク管理委員会はリスク管理の状況を取締役会によって構成される内部統制委員会へ報告する体制を整えております。

 なお文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況について

 当社グループは、アジア、北米、欧州にて製品の製造又は販売を行っております。販売している国もしくは地域の経済状況が景気後退、大規模な震災・台風等の自然災害による操業の中断等、またはそれに伴う需要が縮小した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 自動車、電機、化学、鉄鋼、電子、食品等多岐に亘る業界のお客様に貢献して参りました各セグメント毎の強みを活かし、特定の業界・地域だけに依存しないことによりリスクの低減に努めております。

 

(2)為替レートの変動について

 当社グループの事業は、海外にグローバル展開しております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表のため円換算されており、換算時のレートにより、換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 このため通貨価値の変動により製造と調達コストが影響を受ける可能性があります。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 デリバティブ取引規程に基づき為替予約や、親会社を含めた為替変動リスクの低い国での資金調達によりリスクの管理・低減に努めております。

 

(3)商品競争力について

 当社グループの事業は海外市場への更なる展開を考えておりますが、海外市場においてはより多くの競合他社が存在し得ると考えられます。当社グループは競争力ある製品の開発・販売をめざしてタイ、中国等に生産拠点を展開していますが、競合他社がより低コストの製品の供給が可能になった場合には、熾烈な価格競争になり当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の研究開発部門も増強を図ってまいりますが、今後投資に見合う新製品・新技術の開発が出来ない可能性があります。商品性能など商品競争力が不足することから、売上高が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の欠陥について

 当社グループは、世界的な品質管理基準に従って製品製造しておりますが、すべての製品に欠陥がなく、将来にわたってクレームが発生しないという保証はありません。また製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なクレームや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に悪影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保や育成について

 「企業は人なり」の精神の下に、有能なエンジニアやキーパーソンの人材確保、育成には力をいれていきますが、これらの有能な人材の確保又は育成が出来なかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制等について

 当社グループは、事業展開する各国において、様々な政府規制の適用を受けております。将来において特許、為替管理、環境及びリサイクル関連の法規制の適用等を遵守できなかった場合には、営業活動が制限されることや、コストが増加することが考えられ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)カントリーリスクについて

 当社グループの事業は、海外にグローバル展開しております。事業拠点を置いている国または当社グループの事業が関連するその他の国において戦争やテロなどの不安定な社会情勢を含むカントリーリスクにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損損失

 当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)大規模災害・感染症等による影響について

 2011年3月に発生いたしました東日本大震災のような想定を超える大規模災害が発生した場合や、2020年に発生した新型コロナウイルスのような感染症等が発生した場合は、営業活動が制限され、サプライチェーンの状況や電力供給不足・ロックダウン等による大手ユーザーの生産調整等により直接的・間接的に影響を被り、さらには災害等の発生に伴う消費動向の低下などが生じた場合は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 感染症の拡大防止対応としまして各自治体によるロックダウンや緊急事態宣言の発令時において、テレワークの実施や社会的距離の確保・マスクの着用・手洗い、消毒等の感染予防防止対策を実施し、お客様と従業員、従業員の家族の生命・健康の確保を前提とした対策を行いました。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により、全体としては緩やかな回復基調で推移していましたが、日本国内では大規模な自然災害の発生や消費増税、海外では中国経済の減速や米中貿易摩擦等の影響により先行き不透明な状況が続く中、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響が増大し、年度末にかけて景気は急速に悪化しました。

 このような経済情勢の下、当社グループは主力の自動車業界や電器・電子部品業界のグローバルな市場動向に注視しながら、事業セグメントごとに顧客により密着した事業活動を展開してまいりました。その一環として、国内事業の競争力強化と海外収益の拡大を経営方針としてより一層のマーケティング力の強化を図り、市場性のある製品開発を推進しております。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高50,768百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益3,421百万円(同13.2%減)、経常利益3,582百万円(同14.2%減)、なお、米国子会社の不動産を売却したこと等により固定資産売却益1,046百万円を特別利益に計上しましたが、海外子会社の留保利益に係る繰延税金負債が増加したこと等で法人税等調整額634百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益2,513百万円(同7.6%減)となりました。

 

 セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。

 

・機械部門

 主力の国内外向け自動車用内装製造設備の製造販売は、前年同様の大型案件の受注が減少し、海外子会社の事業譲渡の影響もあり、減収減益となりました。

 当部門の売上高は、売上高3,515百万円(同15.9%減)、営業利益は333百万円(同25.4%減)となりました。

 

・化成品部門

 国内外の自動車業界向けの製造販売は、主要自動車メーカー向けの販売の減少等により、減収減益となりました。

 当部門の売上高は17,018百万円(同0.9%減)、営業利益は1,203百万円(同12.3%減)となりました。

 

・化学品部門

 国内市場向けの大型洗浄設備の販売は堅調に推移しましたが、付加価値の高い一般工業用ケミカル及び輸出関連の販売が減少した事により減収減益となりました。

 当部門の売上高は6,494百万円(同4.3%減)、営業利益は324百万円(同39.5%減)となりました。

 

・産業用素材部門

 自動車用防音材の製造販売は、前年の期中に新規採用された製品の販売が期初から売上に寄与しましたが、一部の自動車メーカー向けの販売は減少しました。また家電用防音材の製造販売は、東南アジアにおける輸出は好調に推移しましたが、中国子会社の清算に伴い退職金の費用が増加したこと等により、増収減益となりました。

 当部門の売上高は17,253百万円(同3.3%増)、営業利益は885百万円(同9.2%減)となりました。

 

・化工品部門

 国内各種メンテナンス用ケミカル販売は総じて堅調に推移しましたが、海外でのIT需要の低迷により、電子産業用ファインケミカルの製造販売は低調に推移し、減収増益となりました。

 当部門の売上高は4,187百万円(同2.1%減)、営業利益は468百万円(同2.2%増)となりました。

 

・その他部門

 中国の輸入販売は暖冬の影響により低調に推移しましたが、海外子会社における収益改善等により、減収増益となりました。

 当部門の売上高は2,299百万円(同11.4%減)、営業利益は207百万円(同35.6%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、450百万円増加の11,588百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,793百万円(前期は4,129百万円)、減価償却費1,280百万円(前期は1,232百万円)、売上債権の減少による1,041百万円の増加(前期は689百万円の増加)、仕入債務の減少による1,691百万円の減少(前期は416百万円の増加)等により3,761百万円の収入(前期は4,683百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、米国の連結子会社における不動産の売却等による有形固定資産の売却による収入1,239百万円(前期は54百万円の収入)がありましたが、産業用素材部門における新規製造設備の購入、中国の連結子会社における工場の建設費用等の有形固定資産の取得による支出2,162百万円(前期は1,574百万円の支出)等により、1,873百万円の支出(前期は1,724百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額によるキャッシュ・フローの支出267百万円(前期は474百万円の支出)、長期借入金の返済による支出793百万円(前期は626百万円の支出)、配当金の支払334百万円(前期は284百万円の支出)等により、1,431百万円の支出(前期は1,755百万円の支出)となりました。

 

③ 成約及び販売の実績

a.成約実績

 当連結会計年度における成約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

成約高

成約残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部門

3,610

98.9

768

114.1

化成品部門

17,053

99.9

357

110.9

化学品部門

6,240

90.4

208

45.1

産業用素材部門

16,722

100.8

739

58.2

化工品部門

4,249

99.8

119

206.0

その他

2,255

91.4

92

68.1

50,131

98.4

2,284

78.2

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部門

3,515

84.1

化成品部門

17,018

99.1

化学品部門

6,494

95.7

産業用素材部門

17,253

103.3

化工品部門

4,187

97.9

その他

2,299

88.6

50,768

98.2

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、総資産は、前連結会計年度末と比べ202百万円減少し、51,246百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加(909百万円)、設備投資による有形固定資産の増加(659百万円)がありましたが、受取手形及び売掛金の減少(1,092百万円)、保有株式の時価の下降による投資有価証券の減少(678百万円)によるものです。

 負債は前連結会計年度末と比べ1,792百万円減少し、18,459百万円となりました。主な要因は、繰延税金負債の増加(448百万円)がありましたが、支払手形及び買掛金の減少(1,667百万円)、1年以内返済予定の長期借入金及び長期借入金の減少(460百万円)によるものです。

 純資産は前連結会計年度末と比べ1,589百万円増加し、32,787百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少(543百万円)、為替換算調整勘定の減少(150百万円)がありましたが、利益剰余金が増加(2,178百万円)したことによるものです。

 

 連結営業成績につきましては、売上高は、前連結会計年度の期中に新規採用された製品が当連結会計年度の期首から売上に寄与しましたが、主要自動車メーカーの販売不振により売上が減少し、また前連結会計年度のグローバル車種の機械設備の検収が減少したこと等により減収となりました。その結果、前連結会計年度に比べ947百万円減少し50,768百万円となりました。

 売上原価は、売上の減少に伴い前連結会計年度に比べ617百万円減少し38,006百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、主に輸出の増加に伴う保管・運送費の増加177百万円等により前連結会計年度に比べ189百万円増加し9,340百万円となりました。

 営業利益は、東南アジア向けの輸出が好調の産業用素材部門のセグメント以外の売上が自動車関連の販売不振等により減収となり、また販売費及び一般管理費の保管・運送費の増加も伴い、前連結会計年度に比べ519百万円減少し3,421百万円となりました。

 経常利益は、営業利益の減少519百万円と持分法による投資利益の減少23百万円、前連結会計年度に計上した貸倒引当金の戻入71百万円が当連結会計年度に発生しなかったこと等により前連結会計年度に比べ590百万円減少し3,582百万円となりました。

 特別利益は、米国子会社の不動産を売却したこと等により固定資産売却益1,046百万円を計上しました。また中国子会社の土地・建物等の収用に伴い移転補償金273百万円を計上したことにより前連結会計年度に比べ1,308百万円増加し1,320百万円となりました。

 特別損失は、主に中国子会社の工場閉鎖に伴い固定資産除却損88百万円を計上したこと等により前連結会計年度に比べ53百万円増加し109百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、海外子会社の留保利益に係る繰延税金負債が増加したこと等により法人税等調整額634百万円を計上しました。その結果、前連結会計年度に比べ206百万円減少し2,513百万円となり、1株当たり当期純利益は97円74銭(前期105円29銭)となりました。

 

 当社グループは、「国内事業の競争力強化」と「海外収益の拡大」を経営の両輪として継続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としております。具体的には、自社の強みを磨き、過去の延長線上ではない新たなる可能性に挑戦していくことにより収益源の多様化を図り、市場環境に左右されない収益基盤の構築を目指していくことです。特に国内事業の収益拡大に向けては「製品力とコスト競争力」の強化のためのマーケットニーズに即した差別化製品の研究開発を急務とし、顧客が満足する魅力ある製品と質の高いサービスの提供によって、「顧客満足度の最大化」を追及していくことです。そして、次の収益基盤となる「新市場の創造」に向けた事業戦略を立案し、実行推進していくことを目指しております。

 経営目標としては、総資産経常利益率(ROA)10%以上と株主資本利益率(ROE)10%以上、及び営業利益率10%以上を目指しております。当連結会計年度の連結営業成績につきましては、売上高は前連結会計年度に比べ1.8%減少の50,768百万円、営業利益は運送費等の費用の増加により営業利益率は6.7%。ROAは7.0%、ROEは8.5%となりました。

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスによる世界的な感染者数の拡大を受け国内外の停滞により、当社グループにおける生産活動にも影響が及んでおります。新型コロナウイルス感染症の影響で先行き不透明な状況の下で、特に第2四半期連結期間までは、感染症の影響による市場の環境悪化を背景とした受注の減少や後ろ倒し、商品・製品の納期遅延の発生による減収を見込んでおります。その影響の期間が現時点では不透明でありますが、第3、4四半期連結期間については業務運営の正常化を前提として通期見通しを策定しております。

 そのような状況の下、当社グループとしましては、主力の自動車業界や電子部品業界の市場動向に注力しながらグローバル生産体制の最適化を図ると共に、差別化製品の開発やさらなる海外市場開拓を推進し、より一層国内外における新市場・成長分野への販路の拡販に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入を始めとし、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用のための運転資金であります。投資目的の資金需要としましては、製造及び試験研究を目的とした設備投資や、子会社株式の取得等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することと効果的に流動性を高める事ことを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,039百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11,588百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためにこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを予想するのは困難なものの、さまざまな外部情報を総合的に勘案したところ、2021年3月期の一定期間にわたり不安定な事業環境が継続し、その後徐々に市況が回復するとの仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損の判定等の会計上の見積りを行っております。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものを以下に挙げております。

 

(繰延税金資産の回収可能性の評価)

 当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

(固定資産の減損損失)

 当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている主な契約は、以下のとおりであります。

相手先

国名

内容

契約期間

コリーン社

米国

コリーン薬品技術提携

1963年3月から

2023年8月まで

(注) 上記については、ロイヤリティーとして、売上高に対する一定率を支払っております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、当社グループ独自の先駆的な商品及び技術の開発を行うことを基本とし、主に技術本部(パーカーコーポレーションテクニカルセンター;東京都江東区枝川)において、各部門(化成品、化学品、産業用素材、化工品など)の商品に繋がる技術課題につき研究開発を進めております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は988百万円であります。

 

 セグメントの研究開発活動を示すと以下のとおりであります。

 

化成品部門

 新規開発分野では、カーボンナノチューブ(以下CNT)含有分散液の技術開発と新ゴム接着剤を主体とした技術開発を主として行っています。

 CNTの特徴は使用量が少量でも性能効果アップが期待できます。CNTの素材から選定し、それにまつわる配合設定をおこない、独自の分散技術にてCNT分散液(塗料)を開発し市場展開しています。

 自動車部品関連分野では、様々なお客様ニーズに対応し、遮音、遮熱用途をはじめとする材料開発や部品設計により、自動車車両への採用拡大を目指します。

 その他、国内外のグループ内製造工場における技術支援も行なっております。

 当連結会計年度の研究開発費は277百万円となっております。

 

化学品部門

 自動車・自動車部品・家電・鉄鋼・建設機械・重機・オフィス家具・遊技機などの様々な生産ラインに適応した豊富なケミカル製品を開発し、お客様にカスタマイズされた製品の提供をしております。このケミカル製品は、アルカリ洗浄剤をはじめとして、酸洗剤、防錆剤、塗料剥離剤、塗料不粘着化剤、バレルコンパウンド、成型金型用離型剤などの多岐にわたる製品の開発をしております。

 また、これらケミカル製品に適した設備の設計やシステム開発まで対応することにより、生産ラインにおける様々なトラブルの解決、品質改善や工程の最適化など、適切なソリューションをお客様に提供させて頂ける様、技術活動をしております。

 当連結会計年度の研究開発費は211百万円となっております。

 

産業用素材部門

 自動車、家電製品などの騒振対策に用いられる軽量で音響性能の優れる防音材の開発を行っております。自動車用においては、今後増加が予測される電動車両への対応も視野に入れた各種繊維系材料及びウレタンフォーム等を中心とした素材開発と防音製品への応用技術の開発を行うとともに、防音性能評価技術、性能予測シミュレーション技術を用いて、材料選定から製品までの音響特性を解析し、顧客の要求に応える最適な防音材及び防音システムを考案し、製品化に繋げております。

 当連結会計年度の研究開発費は377百万円となっております。

 

化工品部門

 エレクトロニクス産業においては、IoT(Internet of Things)や5G通信・自動運転・AI(人工知能)といった新しい技術の実用化に貢献する次世代ディスプレイ・電子部品・半導体の役割が重要となっております。このような社会環境の急激な変化に対応する先進デバイスの製造現場やプロセス開発段階で必要となる、高品質なファインケミカルの研究開発を行っております。

 また、一般消費者が使用する乗用車用門型洗車機に用いられる洗車ケミカルや鉄道・航空機・船舶などのメンテナンスに使用する洗浄剤等の研究開発も行っております。

 当技術開発部門ではお客様の製品品質・生産性の向上に貢献するとともに、特に自然環境に配慮した環境負荷低減と性能を両立できる製品の開発に注力しており、国内はもとよりアジア諸国への現地供給も推進しております。

 当連結会計年度の研究開発費は122百万円となっております。