当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、企業業績の回復、所得環境の改善を受けて経済活動は回復基調を維持する見込みですが、長期化する国際紛争や欧米諸国での金融引き締め、中国経済の減速、原材料価格やエネルギー価格の高騰など、世界経済の先行きは依然不透明な状況にあります。また気候変動問題やSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとする社会課題に対する企業の責任も大きく高まってきております。
プラントや工場内で使用される工業用計測制御機器の国内市場については成熟化が進むものの、少子高齢化に伴う労働人口の減少を背景に、デジタル技術を活用した生産性向上や効率化につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みのほか、労働環境を改善する働き方改革や技能継承への対応が求められています。また、2050年カーボンニュートラル社会実現に向けた新技術開発のための研究開発投資、安心・安全・品質の向上につながる投資、増加する自然災害に対する防災・減災、国土強靭化に関連する投資需要も見込まれます。一方、お客様のニーズは多様化し、モノ売りからコト売りへの変革に対応する提案力も求められることから、お客様視点に立った営業力が重要になる等、今後も変化に対応するリスク管理や効率性を含め様々な対応を行っていく必要があります。
(2) 中期経営計画
このような状況を踏まえ当社グループは、2023年4月よりスタートした新中期3ヶ年経営計画の初年度である2023年度の業績は、生産設備に付帯する機器の更新需要や生産性向上を目的とした投資需要を取込んだ他、お客様ニーズに沿った「コト売り」をはじめとする高付加価値営業の強化に取組んだ結果、期初に公表した計画及び期中に修正した見通しを超過達成しました。これを受けて、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上へ検討を重ね、経営計画を見直し、2027年3月期に連結売上高470億円、経常利益25億60百万円、自己資本利益率(ROE)10%を目指します。
具体的には、経営基本方針「持続可能な成長に向けた5Sの強化<社員(Staff)、スキル(Skill)、戦略(Strategy)、組織(Structure)、システム・制度(System)>」のもと、産業構造と顧客ニーズの変化に対応した強固な経営基盤作りを推し進め、重点施策として掲げた既存顧客への深耕開発と成長ビジネスへの注力を更に加速させ、新たなビジネスモデルの創造に挑戦してまいります。
重点戦略
・ 少子高齢化による労働人口の減少や技能継承の停滞といったお客様の経営課題の解決につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現をテーマに、デジタル技術を活用した生産設備の自動化や保全業務の効率化につながる各種センサーや情報通信機器の拡販
・ カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーへの取組みがグローバルに加速する中、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進し、環境負荷低減に資する商品や水素・アンモニアを利活用する先端技術開発分野への各種ソリューションの提供
・ 自然災害に対する防災・減災対策や国土強靭化に関連する道路維持機械・特殊車両や産業機械の拡販
・ お客様に寄り添った現場密着営業により、顧客ニーズにマッチした新商材の発掘と幅広い商品提案によるクロス・セリングの推進
これらを全国展開した営業拠点網や独立系商社としての強みを活かした提案営業を推進しながら業容の拡大を図っていくとともに、国内市場の縮小に備え、海外との輸出入の拡大やグローバル人材の育成にも努めてまいります。更に、中・長期的観点から企業価値拡大を図るため、取扱い商材の拡充、国内販売体制の強化、成長分野への取組み強化を目的とした企業買収、戦略的提携等も視野に入れ事業を展開してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、持続可能な社会の実現と企業価値の向上が重要な経営課題であるとの認識に立ち、代表取締役社長を委員長とする全社横断的な組織であるサステナビリティ委員会を設置しております。
サステナビリティ委員会では、取締役会で決定されたサステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティ(重要課題)と重要テーマを策定し、進捗状況のモニタリングと実施内容の評価を行います。また、同委員会の議論内容については、定期的に取締役会に報告されることで、取締役会の監督が適正に図られるような体制としております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにとって、「人材」は最も重要な経営資源であり、社員の成長なくして企業価値を向上させることは困難なことと考えております。外部環境の変化が激しい状況下においても、持続的に成長しステークホルダーに信頼される企業グループになるためには、創業以来掲げている経営理念のもと、多様な価値観を持つ社員の主体性や創造性を活かすことが重要であると考え、一人ひとりの適性と目標に合わせて様々な成長機会を提供するとともに、人材育成の促進による組織の強化を推進してまいります。そのためには、定期採用者についてはOJTリーダーを配置し、短期的、中期的な育成スケジュールを設定し、丁寧な指導を行う他、等級別に設定している独自の研修制度についても、多様な教育研修体系の拡充を図るとともに、中長期的な経営戦略の実現に必要なスキルや専門性を高めるべく、全社員に対して学びの機会を提供してまいります。
更なる企業価値向上のためには、女性の活躍が不可欠であると認識しておりますが、女性管理職への登用が未だ十分ではないとの認識であり、女性がキャリア形成を目指しやすい職場づくりの推進として、育児・介護休業や勤務時間の短縮を取得しやすい環境の整備に努めるとともに、快適な職場環境や健康管理体制の整備と維持向上、また社内DXの推進による業務効率化にも取組み、従業員のエンゲージメントレベル向上を目指します。
環境や社会に関わる様々な課題は、企業のサステナビリティを脅かすリスクとなる一方で、課題の解決に取組むことにより、新たなビジネスの創出につながるものと考えております。当社では、企業活動に関連する様々なリスクを統合的かつ適切に管理するため、経営戦略部がサステナビリティ委員会の事務局として、全社的なリスクと機会の抽出、優先度の設定と活動計画をサステナビリティ委員会に提案し、その承認を得るとともに、四半期毎に開催する経営戦略会議において協議された中期3ヵ年経営計画に設定したサステナビリティに関する施策の進捗管理と対応策、新たなリスクや機会の内容をサステナビリティ委員会に報告することで、情報の一元管理を図り全社的に推進してまいります。また、同委員会によるリスクの識別・評価に基づく当社の戦略・施策などの方針や提言を取締役会へ報告がなされることで、全社的なリスク管理の強化を図っております。
(提出会社)
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えております。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
(1) 経済状況による影響
当社グループの売上高のうち概ね50%を占める工業用計測制御機器は、国内外の経済環境の悪化により設備投資の動向に陰りが生じた場合、設備更新需要が停止したり、遅延したりすることにより、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 債権管理に係る影響
上述のような変動によって、取引先企業が倒産する危険性があり、当社グループでは継続取引先については定期的な信用調査分析を行い、また、新規、単発等の大口取引については可能な限りの債権保全策を採った上での取引とする等、債権管理に最善の注意を払っておりますが、倒産の規模・件数によっては、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) アクシデント等による影響
当社グループは、生産設備に使用する機材及び装置の納入に携わっており、その設備等において納入時には予測し得ない不適合が生じ、それを原因とした事件、事故が発生した場合にはその機材及び装置の製造者とともに営業上の損失を被り、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業績の季節的変動に係る影響
官公庁関連や民間設備の予算執行時期が下期偏重傾向にあるため、当社グループの売上高も通常下期偏重となっております。これに対して販売費及び一般管理費は、その大部分が固定費であることから、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の割合も下期に偏重し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 機密情報保護に係る影響
当社グループは事業を展開する上で、取引先及び当社グループ内の機密情報や個人情報を保有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、当社機密情報管理規程や個人情報保護方針に則り、適切に管理しております。しかしながら、外部からの攻撃や不正アクセス、又は内部的過失等により、これらの機密情報が漏洩した場合には、当社グループの信用は低下し、取引先の情報を漏洩した場合には法的責任が発生するおそれがあり、業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 自然災害による影響
地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生し、当社グループの拠点や仕入先の設備等に大きな被害が発生した場合には、営業活動の一時停止や商品の納期遅延等により、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 環境に関するリスク
当社グループは、計測制御機器、環境計測・分析機器、測定・検査機器、産業機械等の総合商社として、持続可能な社会の実現に向けて環境と調和の取れた企業活動の推進に取組んでおります。また、環境に関する外部認証(ISO14001)を取得し、外部機関からの適正性の評価の取得に積極的に取組むとともに、環境保全活動を継続的且つ計画的に推進しております。しかしながら、当社グループの事業活動により環境汚染等が生じた場合には、汚染除去費用や損害賠償責任の発生、社会的な信用の低下等につながる可能性があり、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 感染症拡大に関するリスク
当社グループは、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が拡大した場合でも、従業員や取引先の感染リスクを最大限抑えながら事業を継続できるよう、テレワークの推進や危機管理の徹底に取組みます。しかしながら、日本国内及び世界的に感染が拡大した場合、顧客の事業環境変化に伴い、設備投資計画が遅延又は停止することに加え、当社グループの営業活動や事業活動にも支障が生じ、一時的に当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍から社会・経済活動の正常化が大きく進み、雇用・所得環境が改善する下で、日経平均株価が史上最高値を更新する等、景気は緩やかに回復しました。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢等に伴う地政学的リスクの長期化、中国経済の先行き懸念、世界的なインフレの進行に対する各国の金融引き締め等、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しする可能性もあり、先行き不透明な経営環境が継続しました。
当社グループの主要販売業界であります化学業界、鉄鋼業界等におきましては、自動車向けの需要は回復しましたが、労働人口の減少を背景に、工期の遅れや製造労務費の上昇、また世界的な景気減速懸念を受け、鋼材や樹脂の生産回復に時間を要しました。一方、設備投資につきましては、生産性向上や競争力強化を目的としたデジタル関連投資、カーボンニュートラル社会の実現に向けた環境対策投資や新素材の開発投資の他、社会インフラ市場においては、インフラ設備の維持・管理、国土強靭化や防災・減災対策等が継続的に実施されました。
このような状況下、当社グループにおきましては、2023年4月より新中期3ヵ年経営計画をスタートさせ、経営基本方針「持続可能な成長に向けた5Sの強化」のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向け、多様化する顧客ニーズに対応した強固な経営基盤作りを推し進めてまいりました。具体的には、重点戦略である既存顧客への深耕開発と成長ビジネスへの注力を掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、社会資本整備の3分野をテーマに、全国展開した営業拠点網を最大限に活用しながら、経営計画の推進に積極的に取組んでまいりました。
その結果、トラックシャーシの供給不足の影響を受け、防災・復旧、国土強靭化に関連する特殊車両の販売が減少したものの、昨年度から積み上がった受注残を着実に売上へ転化したことに加え、設備稼働率の上昇に伴い、造船業界、産業用装置・重電設備業界向けの販売が増加しました。また、脱炭素化に向けた環境対応投資や、生産設備の安定稼働、生産性向上、品質向上を目的に老朽化した生産設備に付帯する機器の更新需要が堅調に推移したことにより販売が増加し、当連結会計年度の売上高は432億92百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。お客様ニーズに沿った「コト売り」をはじめとする高付加価値営業の強化に取組んだ結果、採算性も向上し、売上総利益74億94百万円(同9.7%増)、営業利益23億25百万円(同22.8%増)、経常利益24億21百万円(同22.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16億67百万円(同26.3%増)で増収増益となりました。
品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(工業用計測制御機器)
稼働率の高い造船業界向けに各種センサーの販売が好調に推移した他、生産設備の生産性向上、安定稼働、技能継承を目的とした投資需要やリプレイス需要を取込み、鉄鋼、電力、産業用装置・重電業界向けに各種プロセス制御機器や情報通信機器の販売が堅調に推移しました。また、お客様の課題を解決する各ソリューションの販売も増加し、収益性の向上に寄与しました。
(環境計測・分析機器)
世界的な環境対策や労働環境改善意識への高まりを背景に、大気、水質、振動の状況を常時監視する計測機器や分析機器の投資需要を取込み、産業用装置・重電設備、建設・プラント業界向けの販売が大幅に増加しました。また、コンビナート地区や社会インフラ市場を中心に老朽化する生産設備やインフラ設備の更新需要を取込み、水質計・大気分析計・ガス分析計の販売が堅調に推移しました。
(測定・検査機器)
生産設備の安定稼働につながる各種検査機器や保安点検ソリューション、高精度で高品質な製品の性能確認や脱炭素社会実現に向けたグリーンイノベーション(GI)基金事業を活用した材料の研究開発投資を取込み、鉄鋼、自動車関連業界向けに精密測定・検査機器の販売が増加しましたが、化学業界向け大型検査機器の販売が一巡し、全体では減少しました。
(産業機械)
産業用装置・重電設備、自動車関連業界向けに産業機械の大型案件の販売があった他、造船業界向けに排ガス規制対応のためのバルブの販売、脱炭素社会に向け注目されている水電解やメタネーションの研究に使用される各種評価装置やJARI標準セルの販売が堅調に推移しました。一方で、トラックシャーシの供給不足の影響を受け、防災・復旧、国土強靭化に関連する特殊車両の販売が減少した結果、全体では減少しました。
当社グループは単一セグメントであるため、当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注) 1 上記は製造を行っております連結子会社(双葉テック㈱)の合計金額であります。
2 上記金額は製造原価によっております。
当社グループは単一セグメントであるため、当連結会計年度の受注実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注) 連結子会社(双葉テック㈱)において受注生産を行っております。
当社グループは単一セグメントであるため、当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注) 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2) 財政状態
当連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3億33百万円増加し319億39百万円となりました。これは投資有価証券が3億41百万円増加したことが主な要因であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ14億58百万円減少し161億78百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が14億31百万円減少したことが主な要因であります。
純資産は、利益剰余金の配当による減少が3億67百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が16億67百万円であること、その他有価証券評価差額金が2億38百万円、退職給付に係る調整累計額が2億40百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ17億91百万円増加し157億61百万円となりました。その結果、自己資本比率は49.3%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は65億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ66百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は6億83百万円となりました(前連結会計年度は5億24百万円の増加)。これは、税金等調整前当期純利益24億21百万円、その他の流動資産の減少1億82百万円の収入に対し、仕入債務の減少9億94百万円、その他の流動負債の減少2億23百万円、法人税等の支払額7億89百万円の支出があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は25百万円となりました(前連結会計年度は3億54百万円の減少)。これは、有形固定資産の取得による支出が13百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は5億95百万円となりました(前連結会計年度は3億9百万円の減少)。これは、長期借入金の返済による支出が1億26百万円、配当金の支払額が3億66百万円あったこと等によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資本の財源は主に営業活動により得た資金であります。
資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした長期的な資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。