第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府及び日本銀行による各種政策の効果等により企業収益が改善されたものの回復の動きには足踏みが見られ、中国の景気減速を起点とした世界景気の下振れ懸念等により、景気の先行きが不透明な状況にありました。

食品流通業界におきましては、国内の雇用環境及び所得環境は堅調に推移しているものの、昨年までの円安・原材料価格高騰等による商品の値上げ浸透が家計への負担感を強めて消費者の節約志向を高め、日常の生活関連消費については生活防衛意識の強さが続いています。さらに、内食化傾向が続く一方で、消費者の生活スタイルの変化等による食生活の多様化を背景とした企業間競争は一層激化し、人手不足等に伴う物流コストの負担も大きく、厳しい経営環境で推移いたしました。

このような状況下において当社グループは、卸売業の役割である「つなぎ」と提案型営業を推進し、営業力のさらなる強化により小売業をはじめとした取引先との取り組みを一つひとつ積み重ね、店舗の売場づくり及び商品開発力のレベルアップを図ることで、価格だけに頼らない価値の提供に取り組みました。また、物流をはじめとした諸経費の抑制及び業務の生産性向上等のローコストオペレーションにより経営の合理化に努めました。

また、平成27年12月には、㈱植嶋より菓子卸売事業を譲り受け、菓子カテゴリーの拡充を進めました。

海外事業においては、今後の当社グループの成長戦略の一つとして位置づけ、既に事業展開している中国・ベトナム・シンガポールと日本を含めたアジア諸国間の食品流通インフラの構築を進めており、平成28年7月にはベトナムに本社を置くToan Gia Hiep Phuoc Trading and Food Processing,JSC.の株式を取得し、アジア地域における一層の事業展開の強化を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は、前期に比べて2.9%増加し、9,531億53百万円となりました。利益につきましては、利益管理の徹底及び諸経費の抑制に努めたものの、営業利益は79億39百万円(前期比11.1%減)となり、経常利益は90億43百万円(前期比10.7%減)となりました。そして、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ15.8%減少し、52億4百万円となりました。

 

 セグメントの業績の概況は、次のとおりであります。
 なお、各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

 

<常温流通事業>

当社グループの主力事業であります常温流通事業につきましては、日常の生活関連消費における生活防衛意識の強さが続いている一方で、多様化する需要に対応すべく、価格だけに頼らない価値の提供に取り組むために、仕入先とも連携しながら得意先との関係強化を築くとともに、自社ブランド商品の開発及び拡売に取り組むことで提案力の強化を図りました。また、すべての業務プロセスを改めて見直してムダの徹底排除を行い、一層のコスト削減及び生産性向上を図ることで経営の効率化を進めました。

以上の結果、売上高は6,747億90百万円(前期比5.0%増)となりましたが、営業利益は物流センター稼動によるコスト増等により67億99百万円(前期比6.7%減)となりました。

 

<低温流通事業>

低温流通事業につきましては、経済見通しの不透明感などから消費者の生活防衛意識が高まり、生活必需品のEDLP化など低価格化路線がより鮮明となる中で、経営環境はさらに厳しい状況で推移いたしました。

このような状況下において、提案型営業の推進による売上拡大と並行し売上総利益率の改善に取り組むとともに、コストの抑制に努めてまいりました。

以上の結果、売上高は985億10百万円(前期比3.2%増)となりましたが、採算改善の立ち遅れ等により営業損失42百万円(前期は営業利益1億88百万円)となりました。

 

<酒類流通事業>

酒類流通事業につきましては、所得環境の改善を背景に高価格・高付加価値を伴った消費も見られ、低価格志向との二極化が一層鮮明になり、こだわり商品であるプレミアムビールや健康志向に対応した糖質ゼロ等の機能性商品が堅調に推移し、またウイスキーユーザーの飲用層も拡大しております。しかしながら、成熟化した市場の中で少子高齢化に伴う飲酒人口の減少や若者層のアルコール離れ等があり、酒類市場は依然として消費規模の縮小傾向が続いております。

このような状況下において、主要取引先との取組みや自販力の強化を図り、すべての経費の抑制と業務の生産性の向上を図ることで、ローコストオペレーションに取り組んでまいりましたが、大手得意先との取引減少により、売上高は1,886億35百万円(前期比4.4%減)となり、営業利益は1億9百万円(前期比70.8%減)となりました。

<その他>

その他の事業につきましては、物流関連がその主な事業内容であり、当社グループの売上が堅調に推移したことに加え、グループ外との取引も伸長した結果、売上高は114億77百万円(前期比4.1%増)となり、営業利益は10億63百万円(前期比4.5%増)となりました。

 

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22億30百万円減少し、618億92百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは97億70百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ支出が37億98百万円増加いたしました。当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益88億56百万円、減価償却費39億79百万円、仕入債務の増加30億72百万円等により資金が増加した一方で、法人税等の支払額41億28百万円、売上債権の増加11億9百万円等により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは69億65百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ支出が13億82百万円減少いたしました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が前連結会計年度に比べ減少したことによるものであります。


(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは49億78百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ支出が8億9百万円増加いたしました。その主な要因は、公開買付けによる自己株式の取得によるものであります。

2【仕入及び販売の状況】

(1)仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年10月1日

至 平成28年9月30日)

前年同期比(%)

常温流通事業          (百万円)

620,515

104.9

低温流通事業          (百万円)

90,257

103.5

酒類流通事業          (百万円)

176,705

96.7

報告セグメント計       (百万円)

887,478

103.0

その他             (百万円)

4,986

103.0

     合計          (百万円)

892,464

103.0

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 金額は仕入価格によっております。

 

(2)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年10月1日

至 平成28年9月30日)

 前年同期比(%)

常温流通事業          (百万円)

664,347

105.0

低温流通事業          (百万円)

98,262

103.1

酒類流通事業          (百万円)

184,678

96.1

報告セグメント計       (百万円)

947,288

102.9

その他             (百万円)

5,864

103.0

     合計          (百万円)

953,153

102.9

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年10月1日

至 平成27年9月30日)

当連結会計年度

(自 平成27年10月1日

至 平成28年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

イオンリテール㈱

36,672

4.0

113,004

11.9

イオン商品調達㈱

56,008

6.0

合計

92,681

10.0

113,004

11.9

(注)イオン商品調達㈱の機能は、平成27年6月1日付でイオンリテール㈱に移管されました。このため、上記のイオン商品調達㈱の前連結会計年度の販売実績は、平成26年10月1日から平成27年5月31日までの期間の取引金額を、イオンリテール㈱の前連結会計年度の販売実績は、平成27年6月1日から平成27年9月30日までの期間の取引金額を記載しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

当社グループが、自主独立の経営を維持し成長を続けるためには、卸売業の基本機能の充実とともに、環境の変化に即した対応策を実行することにより、年度業績目標を着実に達成し、成果を積み上げることが重要な課題と認識し、鋭意取り組んでおります。

直面する課題として、昨年までの円安・原材料価格高騰等による商品の値上げ浸透が家計への負担感を強めて消費者の節約志向を高め、日常の生活関連消費については生活防衛意識の強さが続いています。さらに、人手不足等に伴う物流コストの負担も大きく、厳しい経営環境が続くものと思われます。

このような状況下で当社グループは、卸売業としての基本機能である営業と物流が連携を取りながら総合力を発揮することで取引先との関係を強化し、提案型営業を進めて自販力をさらに強化することで価格以外の価値を提供するとともに、自社ブランド商品の開発・拡売により収益の確保を図ると同時に、物流費を中心に一層のコスト削減及び経営の効率化を進めてまいります。与信管理については、与信区分及び信用取引限度額を与信管理システムにより定期的に見直し、不良債権の発生防止に努めてまいります。

さらに、組織力の強化に向けたマネジメント層を対象とした研修、営業力の強化のための営業マン研修等による人材育成にも引き続き力を注いでまいります。

そして、自然災害、大火災、新型ウイルス蔓延等の緊急事態発生時において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするためのBCP(事業継続計画)を策定・整備し、緊急時に備えての教育・訓練等を継続的に実施してまいります。

なお、「企業の社会的責任」につきましては、本業を誠実に遂行することを基本として、内部統制システムの整備・運用を維持しつつ、さらに統制レベルの向上を目指すとともに、環境問題をはじめ企業に求められる様々な社会問題への対応にも真摯に取り組んでまいります。

4【事業等のリスク】

 事業を継続的に行う上で、下記のような予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)需給動向について

 当社グループにおける品目別売上高構成比率は、加工食品の割合が非常に高い水準にあります。食品の原料等は海外依存度が高いため、外交問題や紛争、原油価格や農作物の作況等の情勢により原料価格が高騰したり、輸入量が制限される等、食品の需給動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの事業展開並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)法的規制等について

 当社グループが発売元となる自社PB商品の製造にあたっては、食品の規格・添加物・衛生監視等を定めた「食品衛生法」、工場・事業場の排水規制を定めた「水質汚濁防止法」、浄化槽の設置等を定めた「浄化槽法」、欠陥製造物からの消費者保護を目的とした「製造物責任法(PL法)」、食品廃棄物の再生・抑制等を定めた「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」並びに下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的とした「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」等の法的規制があります。

 これらの法的規制が強化された場合等には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 災害危機等について

当社グループは全国に営業・物流拠点を配しておりますが、その情報はデータセンターで集中管理する全国的なネットワークシステムを構築しており、災害によるデータの紛失・損壊などを防ぐために、サーバの二重化やデータのバックアップ、アウトソーシングセンターの利用による耐震・防火・停電対策などを行い、災害時においても事業を継続できるよう定期的な防災訓練を実施しております。

  また、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするためのBCP(事業継続計画)を策定・整備し、局地的な災害、障害等の発生時には他拠点からの業務のフォローアップを可能にしております。

  しかし、将来的に想定を超える大規模かつ広域に亘る自然災害が発生し、道路の寸断や電力供給量の低下・使用制限等により業務に支障が生じ、復旧が長期化した場合には、当社グループの事業展開並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 食品の安全性について

 当社グループは、当社及び子会社において食品製造工場を保有しており、商品の安全性、品質を経営の重要課題と捉え、品質の向上を推進する専門部署を中心に、グループを横断した品質管理体制の構築、法令等各種情報共有を行っており、商品クレームや事故の発生防止、商品表示の適正化に取り組んでおります。

  しかし、偶発的な事由によるものを含めて、異物混入や誤表示等が発生した場合には、回収費用や訴訟・損害賠償等により当社グループの事業展開並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において締結している経営上の重要な契約は次のとおりであります。

1.㈱植嶋の事業譲受

当社は、平成27年10月16日開催の取締役会において、㈱植嶋の菓子卸売事業を譲り受けることを決議し、平成27年11月2日に事業譲渡契約を締結いたしました。なお、平成27年12月1日に㈱植嶋(同日付にて「㈱UST」に商号変更)から菓子卸売事業を譲り受けております。

 

2.Toan Gia Hiep Phuoc Trading and Food Processing,JSC.の株式取得

当社は、ベトナムに本社を置くToan Gia Hiep Phuoc Trading and Food Processing,JSC.の株式を取得することについて、平成28年1月8日に同社株主との間で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、平成28年7月6日に株式の取得を完了しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表  注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)財政状態の分析

流動資産の残高は、2,019億69百万円となり前期に比べ11億50百万円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金が減少した一方、売上債権並びにたな卸資産及び有価証券が増加したことによるものであります。(なお、現金及び預金に係る内容の詳細につきましては、連結キャッシュ・フロー計算書をご参照下さい。)

固定資産の残高は、1,028億19百万円となり前期に比べ1億59百万円増加いたしました。その主な要因は、投資有価証券が時価評価額の下落等により減少した一方、有形固定資産の取得及びのれんが増加したことによるものであります。

これにより、資産合計は、3,047億88百万円となり前期に比べ13億10百万円増加いたしました。

流動負債の残高は、1,872億10百万円となり前期に比べ26億20百万円増加いたしました。その主な要因は、仕入債務が増加したことによるものであります。

固定負債の残高は、125億39百万円となり前期に比べ13億46百万円減少いたしました。その主な要因は、投資有価証券の時価評価額の下落等により繰延税金負債が減少したことによるものであります。

これにより、負債合計は、1,997億49百万円となり前期に比べ12億74百万円増加いたしました。

純資産の部については、親会社株主に帰属する当期純利益52億4百万円を計上した一方、公開買付けにより自己株式を21億13百万円取得したことから、純資産合計は、1,050億38百万円となり前期に比べ35百万円増加いたしました。

なお、1株当たり純資産額は、2,784円10銭となりました。

 

(2)経営成績の分析

売上高につきましては、昨年までの円安・原材料価格高騰等による商品の値上げ浸透が家計への負担感を強めて消費者の節約志向を高め、日常の生活関連消費については生活防衛意識の強さが続いている中で、卸売業の役割である「つなぎ」と提案型営業を推進し、営業力のさらなる強化により小売業をはじめとした取引先との取り組みを一つひとつ積み重ね、店舗の売場づくり及び商品開発力のレベルアップを図ることで、価格だけに頼らない価値の提供に取り組んだ結果、前期に比べ2.9%増加し、9,531億53百万円となりました。

利益につきましては、利益管理の徹底及び諸経費の抑制に努めたものの、物流センター稼動によるコスト増等により、営業利益は79億39百万円(前期比11.1%減)となり、経常利益は90億43百万円(前期比10.7%減)となりました。

そして、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ15.8%減少し、52億4百万円となりました。

この結果、1株当たり当期純利益は140円63銭となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。