第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「人ある限り住まいに対するニーズは永遠である」と捉え、多様化する住まいのニーズを充足するため、取引先と住まいのユーザーに満足していただく資材・サービスの提供を第一義として、常に存在価値のある住宅資材提供会社を目指すとともに、個々の力を結集して「選ばれる企業」、そして「社会に認められる企業」を目指しております。

 

(2)経営環境

当社が属する住宅関連業界におきましては、政府による住宅取得支援策等が続くものの、構造的な要因としての少子高齢化や人口減少等から需要は徐々に減少することが見込まれ、また、足元では物価高や建築資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇による住宅取得マインドの低下が懸念されることから、新設住宅着工戸数の減少は避けられないものと認識しております。

 

(3)目標とする経営指標

当社は、収益性を重視するために「売上高総利益率」及び「売上高営業利益率」を、また、企業価値を高めるためにオリジナル商品・施工付販売等の「売上高構成比率」を主な目標数値として企業経営を実施しております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社は、今後予想される市場環境の変化に対応するため、取引先のニーズを的確に捉えた提案を実施し、高品質な商品及びサービスの提供を推進することにより、現有マーケットでの業績の維持向上のみならず、顧客基盤の拡充にも積極的に取組んでまいります。
  その遂行にあたって、当社の主たる市場である新築住宅市場はもとより、リフォーム・リノベーション市場や非住宅市場などに対して、施工付販売や物流機能を活かし、既存得意先との関係強化と新規取引先の開拓に努めてまいります。また、工事機能のさらなる充実による工事売上・工事領域の拡大、太陽光発電システム・蓄電池等をはじめとした環境配慮商品やオリジナル商品の拡販などに注力するとともに、業務の効率化を図り、業績の向上に努めてまいります。

なお、先行き不透明な環境の中で中期的な業績予測を掲げることは必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、現状において中長期計画を開示しておりません。当社の経営戦略や財務状況等を正しくご理解いただくための情報開示の在り方として、現時点では、事業年度毎の見通しの公表、決算説明会における翌事業年度の経営計画を説明しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、「サステナビリティへの取組みの強化」と、「資本コストや株価を意識した経営の実現」が、今後優先的に対処すべき課題と認識しております。

「サステナビリティへの取組みの強化」に向けて優先的に取組む課題は、「環境」と「人的資本経営」であります。「環境」については、計画植林材の使用や省施工商材の開発・環境配慮商品の拡販、物流の効率化等、今後も事業活動を通じて課題に取り組んでまいります。「人的資本経営」については、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針に則り、社内環境整備に努めておりますが、高齢者活躍の推進、高度化する事務業務や営業職の事務量増に対応する業務分担の再構築とそれに伴う多様な人財活用の推進が今後の課題であります。

なお、当社は、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けて、現状分析、計画策定・開示を行ってまいります。2024年11月期における当社のROEは5.3%、PBRは0.56倍と1倍を下回っている状況となっております。現状、当社の業績に影響を与える新設住宅着工戸数は減少傾向にあり、不安定な為替相場の動向、物価高や建築資材価格、エネルギー価格の高騰等も続いており、このような先行き不透明な経営環境等が当業界に対する市場評価を比較的低くする要因になりうると考えておりますが、今後は、財務指標としてROE(自己資本当期純利益)の改善に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

当社は、経営理念の軸に置く社会的責務において、これまでに集積された実績・知識・イノベーションへの取組みの一層の向上を図り、事業活動を通じて、サステナビリティの課題に取り組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、地球環境の保全が人類共通の重要課題の一つであることを認識し、事業活動を行うにあたり環境に配慮して行動することを基本方針としております。

また、住まいのトータルサプライヤーとしての当社の事業活動は、環境へのかかわりが深いことを認識し、住宅資材や設備機器において環境対応型(環境配慮型)商品を積極的に取扱い、より良い住環境の創造に貢献することを目指しております。

サステナビリティへの取組みの強化は、会社の持続的な成長及び更なる企業価値の向上のための重要課題の一つであると認識しております。

 

(2)戦略

当社は、持続的な成長に向けての優先的課題として、以下のとおり「環境」と「人的資本経営」に取り組んでおります。

 

①環境

炭素税の導入によるコスト増加の可能性は、利益を圧迫するため影響は大きいものと認識しております。対策といたしましては、脱炭素型商材への切り替え、太陽光パネルによる創エネ設備の拡大、物流の効率化等を推進することで、影響の軽減を目指しております。

 

森林保護政策の強化は、コスト増加の可能性も考えられる一方、環境対応型(環境配慮型)商品の推進という側面で当社の事業活動への機会と捉えております。

 

・植林木を使用した無垢商品の開発・販売を通して森林資源の保護に貢献

当社のオリジナル商品「リラクシングウッドシリーズ」は、“人と環境にやさしい製品創り”をコンセプトに商品開発しております。可能な限り多くの植林材を使用した無垢商品の開発・販売を通して、森林サイクルの継続・保全を推進しております。地球上の限られた木材資源を有効活用することで森林サイクルを促し、次世代に繋げる循環型社会の維持・持続可能な森林経営への貢献を目指しております。

また、常に身体と触れ合う床材には、無垢の木材を利用することが、人々の健康に寄与すると言われています。当社では、海外のフローリング製材工場と提携し、環境や人々の暮らしに配慮した商品の提供に取り組んでおります。

 

・自社ブランドによる省施工商材

大幅な工期短縮の実現、工場加工によるプレカットで、現場の廃材を出さない住宅建材を開発しました。住宅の外壁工事における軒天木下地工事・軒天井取付工事・化粧破風取付工事・シール工事・塗装工事では、多くの手間と工期がかかっていましたが、破風板と軒天井を一体化することにより、省施工を実現しております。

 

・サイディングプレカット事業で環境配慮

外壁工事における現場での騒音や粉塵を減らし、工期短縮を実現するプレカット工場を自社で運営しています。システム図面資料や設計データをもとに、あらかじめ外壁材を当社工場でカットし、現場では貼り付け作業のみを行います。建築業界で課題とされている現場廃材等の環境問題や深刻化する職人不足等の諸問題への対応として、取り組んでおります。

 

 

・自社ブランドで抗ウイルス・抗菌加工認証製品の展開

健康意識の高まりに対応すべく、当社は2021年5月20日にSIAA(抗菌製品技術協議会)の正会員となり、SIAA基準適合抗ウイルス・抗菌加工の認証を取得しました。

ウイルスの抑制等、人々の健康と福祉に配慮した取組みを目指しております。

 

・省エネルギー資材の販売推進

エネルギー消費量の少ない建物を実現するため、熱伝導率の低い断熱材の提案販売を推進しています。性能の高い断熱窓や断熱材を使用することで快適な室内環境を維持し、省エネで環境に優しく、高い断熱性で健康にも配慮した住まいの実現を目指しております。また、太陽光発電や蓄電池の販売を通じ、ZEHのみならずLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅建設の普及推進への貢献を目指しております。

 

②人的資本経営

人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

当社は、これまで、「企業は人なり、人材こそ最大の財産」の方針のもと、人財育成に取り組んでまいりました。今後におきましても、経営基本方針の重要項目の一つとして、「人財に選ばれる企業」を掲げております。そのためには、「従業員エンゲージメントの向上」が必須であると捉え、サーベイによって実態を把握し、その課題解決に向けて取り組んでおります。

 

・評価・報酬制度

2023年11月より、経営基本方針実現のために会社が従業員に期待する行動を評価項目に組み入れ、会社と従業員のベクトルを合わせて経営基本方針の浸透を図るべく、評価制度を一新しました。評価を通じて、改善点を明確にすることで従業員の育成・成長、ひいては経営計画の実現に繋げてまいります。

同時に報酬制度についても改定を行い、月給と賞与のバランスの見直しにより、賞与の一部を給与にシフトして月給のベースを高めるとともに、年功序列要素を排除し、実力・成果に報いる制度としております。

 

・研修・教育制度の充実

全所属長以上に、組織マネジメント・人財マネジメントに関し、研修を実施しました。自己点検する機会を設け、組織の成長、人財の成長に力を入れております。また、評価制度の改定に合わせて、評価者教育を行い、評価制度の浸透に努めております。

新卒入社従業員を対象に、入社3ヵ年は当社の人財として知っておくべき知識を再定義し、より専門性を深めた教育を行ってまいります。その他、講義形式で行ってきた階層別研修の内容を、あらゆる層の人財がいつでも学習できるよう体系化しております。

 

・就業に関する制度の改定

就業面においては、多様なニーズに応えるため、年次有給休暇付与日数を増加し、半日年休制度・私傷病に対応する積立年休制度を導入しております。また、働きながら子育てをする環境の改善に向けて、育児制度の充実にも取り組んでおります。

 

今後の課題といたしましては、人財確保施策として、第二新卒を含む新卒採用・キャリア採用のさらなる強化、再雇用制度の見直し等の高齢者活躍の推進、高度化する事務業務や営業職の事務量増に対応する業務分担の再構築とそれに伴う多様な人財活用の推進を行ってまいります。

 

 

(3)リスク管理

当社は、リスク管理規程に基づき、全社的なリスク管理体制を構築しております。年1回リスクの見直しを実施して「予見されるリスクの一覧表」を更新すると共に、リスク対策の進捗状況は年2回、取締役会に報告しております。

当社は、サステナビリティに関するリスクと機会の把握が中長期的な企業価値向上に向けた重要な取組みと位置付け、識別・評価・管理を行い、必要に応じて、取締役会に報告いたします。

 

(4)指標及び目標

当社は、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を、地球温暖化対策につながる重要な課題として認識しており、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量と他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量の測定につきましては今後検討してまいります。

また、人的資本に関する指標と、その目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の
割合

2030年11月までに 5.0

女性総合職の採用及び基幹事務職から総合職への職種転換の推進

1.7

男性労働者の育児休業取得率

男性社員に対して、育児休業の促進を行ってまいります。

66.7

労働者の男女賃金差異
 全労働者
 正規雇用労働者
 非正規雇用労働者
 

当社は、経営基本方針に「人財に選ばれる会社」を掲げており、従業員エンゲージメントの向上を図るため、人事制度の見直しを行っております。

今後につきましても改善に向けて取り組んでまいります。

 

57.4

57.4

23.3

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社における有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、また、本記載は、将来発生しうるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 新設住宅着工戸数の増減について

当住宅関連業界の業績は、新設住宅着工戸数の増減に大きく影響されます。なかでも当社におきましては、取扱商品・得意先構成により、持家住宅並びに分譲一戸建住宅の増減が業績に大きな影響を与えます。
 なお、住宅ローンの金利優遇措置等の住宅関連政策や住宅取得等資金の贈与に係る非課税枠をはじめとする住宅関連税制の動向、物価高や建築資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇などが、住宅取得に対する消費者マインドを大きく変動させるため、それに起因する住宅需要の急激な変化が当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
 当社では特徴ある機能付販売の強化等を推進し、影響の軽減に努めております。

 

(2) 災害・事故・感染症等について

地震や津波・洪水などの自然災害・大規模事故・感染症やその他予期せぬ事態の発生時に当社の従業員・事業所・設備あるいは当社が行う工事物件等に被害が生じた場合や、取引先並びに仕入先メーカー等の事業所や生産拠点などに甚大な被害が発生した場合、当社の事業活動に支障をきたす恐れがあり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、感染症対策として、当社では、営業活動においてはオンライン商談の実施、また、従業員に対しましては、テレワーク、時差出勤、オンライン会議等を実施しております。

 

(3) 信用リスクについて

当社には取引先との商取引活動に伴い発生する、信用リスクがあります。当社では取引先毎に信用リスクを評価し、取引の継続の検討を行うとともに、営業部門の意識の向上を図り、信用リスクの軽減に努めております。

 

(4) 契約不適合責任について

当社には、当社が行った外壁工事等の契約不適合責任があります。

従って契約不適合責任範囲内において不具合が発生した場合、補修・取替工事等の賠償責任が発生する可能性があります。

当社では外壁工事等に対して施工管理体制を強化するとともに、賠償責任保険に加入するなどリスクの軽減に努めております。

 

(5) 建設業法に基づく許可について

当社は、建設業法に基づき、一般建設業許可(国土交通大臣許可(般-2)第18960号)を受けております。建設業法第3条第3項において、「許可は、5年毎にその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。」と定められております。また、建設業法第29条において許可の取消事由が定められております。
 当社の主要な事業活動の継続には、上記の一般建設業許可が必要であります。現時点におきまして、これら免許の取消事由に該当する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの要因により許可の取消があった場合には、主要な事業活動の継続に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報システムに関するリスクについて

当社は、販売、会計、人事の各システムを情報システムで管理使用しております。

また、業務に関わる個人情報や営業秘密情報を保有していますので、情報漏洩やシステムトラブルの発生防止策として、データセンターの活用、クラウドサービスの利用、データバックアップの実施、ウイルス対策ソフトの導入や社内ネットワークの外部接続禁止などセキュリティ強化に努めております。

しかしながら、機器やソフトウェアの欠陥、コンピューターウイルスの感染等による情報システムの停止、個人情報の漏洩等の事態が発生した場合には、事業の中断や原状回復作業や個人情報漏洩による損害賠償請求により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2023年11月21日~2024年11月20日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、資源・原材料価格高騰に伴う物価上昇、中東情勢の混乱による地政学リスクの高まりに加えて、中国経済の先行き懸念や為替・金利の変動の影響等により、先行きは依然として不透明な状況が続きました。

当住宅関連業界におきましては、建築資材価格や運搬費・労務費等の上昇による住宅価格の高騰から、住宅取得マインドの低下が広がり、政府の各種政策による下支えはあったものの、当社の主たる市場である持家及び戸建分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年同月に比べて減少が続くなど厳しい事業環境となりました。また、住宅ローン金利は、固定金利の上昇に加え、変動金利についても今後の動向を引き続き注視していく必要があります。

このような状況のもと、当社は、新築住宅市場はもとより、リフォーム・リノベーション市場や非住宅市場などに対して、施工付販売や物流機能を活かし、既存得意先との関係強化と新規取引先の開拓に努めてまいりました。また、工事機能の拡充による工事売上・工事領域の拡大、太陽光発電システム・蓄電池等をはじめとした環境配慮型商品やオリジナル商品の拡販などに注力するとともに、業務の一層の効率化を図り、業績の向上に努めてまいりました。また、2024年8月21日より、本社・東京本社の二本社制へ移行し、さらなる成長に向けて営業と人材採用の強化に取り組んでまいりました。

その結果、当事業年度の売上高につきましては、612億86百万円(前年同期は623億68百万円)となり、営業利益につきましては、9億20百万円(前年同期は9億74百万円)、経常利益につきましては、10億96百万円(前年同期は11億72百万円)、当期純利益につきましては、7億18百万円(前年同期は8億12百万円)となりました。

なお、当社は、木材店、建材店、工務店、住宅会社等に対する新建材、住宅設備機器等の建材販売事業(施工付販売含む)並びにこれらの付帯業務の単一事業であり、開示対象となるセグメントはありませんので、セグメント情報の記載は省略しております。

 

 

・売上高及び売上高総利益率

当事業年度は、物価高や建築資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇から、住宅取得マインドの低下が懸念され、当社の主たる市場である持家及び戸建分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年同月に比べて減少が続き、売上高につきましては、前期比1.7%減の612億86百万円となりました。厳しい市場環境のもと、環境や省エネ・創エネに配慮した住宅設備機器の拡販や当社の強みである施工力を非住宅分野の開拓に活かすとともに、既存取引先との関係強化と新規取引先の開拓を図り、売上高の拡大に努めてまいりました。その結果、一部の品目では、前期比増とすることができました。

品目別の売上につきましては、特に重点商品(住宅設備機器・施工付販売・オリジナル商品)の販売強化に努めております。

住宅設備機器につきましては、環境や省エネ・創エネに配慮した住宅設備機器の拡販に努めた結果、前期比0.7%増の140億64百万円となりました。

施工付販売につきましては、当社の強みである施工力を非住宅分野への切り口として活かすとともに、既存取引先との関係強化と新規取引先の開拓を図った結果、施工付販売(メーカー施工)については、前期比2.2%増の16億36百万円、施工付販売(完成工事高)については、前期比1.9%増の249億23百万円となりました。

オリジナル商品につきましては、工期の短縮化が可能かつ廃材処理は梱包材のみとなる商品や、SIAA認証を受けた抗菌・抗ウイルス加工を表面に施したフローリングなど、施工現場での職人不足・環境問題の解消や感染症の蔓延を機に醸成された「より安心できる暮らしの実現」への期待に寄与する商品の開発・販売に努めましたが、取扱金額は前期比5.0%減の31億30百万円となりました。オリジナル商品は、主に木質建材、木材製品、住宅設備機器、その他に含まれております。

なお、ウッドショック等により供給不足や価格高騰が生じていた木材製品や相場商品である合板は供給量の安定に伴う値下げなどもあり、それぞれ、前期比15.1%減・8.7%減となりました。

また、主な目標数値としております売上高総利益率につきましては、価格転嫁や仕入価格の交渉などを継続して行った結果、前期に比べ0.5ポイント改善し10.8%となりました。

 

・販売費及び一般管理費

当事業年度の販売費及び一般管理費は、採用強化に伴う人件費等の増加や、燃料費の高騰等に伴う運賃の増加、情報システム関連費用の増加などに加え、事務所移転等に伴う賃借料の増加などの影響もあり、前期比4.1%増の56億71百万円となりました。

 

・営業利益及び売上高営業利益率

当事業年度の営業利益は、売上高総利益率は改善したものの、販売費及び一般管理費の増加があり、前期比5.5%減の9億20百万円となりました。なお、主な目標数値としております売上高営業利益率は1.5%となりました。

 

・経常利益及び当期純利益

当事業年度の経常利益は、営業利益の減少及び受取保険料の減少に伴う営業外収益の減少などにより、前期比6.5%減の10億96百万円となりました。また、当期純利益につきましては、経常利益の減少及び特別利益の投資有価証券売却益が減少したことなどにより、前期比11.5%減の7億18百万円となりました。

 

 

当事業年度における財政状態の概況は次のとおりであります。

・資産

資産につきましては、前事業年度末に比べて74百万円増加し290億82百万円となりました。これは主に、現金及び預金2億円及び売掛金1億46百万円の増加に対して、電子記録債権1億50百万円及び受取手形1億4百万円の減少によるものです。

・負債

負債につきましては、前事業年度末に比べて3億19百万円減少し153億33百万円となりました。これは主に、支払手形7億46百万円及び未払法人税等1億54百万円の減少に対して、買掛金4億53百万円及び電子記録債務1億77百万円の増加によるものです。

・純資産

純資産につきましては、前事業年度末に比べて3億93百万円増加し137億48百万円となりました。これは主に、利益剰余金3億80百万円の増加によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて2億円増加し、118億48百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、6億3百万円(前年同期は18億25百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益10億94百万円及び、売上債権及び契約資産の減少額1億10百万円の増加要因に対して、法人税等の支払額5億5百万円及び、仕入債務の減少額1億14百万円の減少要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、66百万円(前年同期は2億8百万円の減少)となりました。これは主に、有形・無形固定資産の取得による支出67百万円の減少要因に対して、投資不動産の売却による収入3百万円の増加要因によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、3億37百万円(前年同期は2億22百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.仕入実績

当社は、新建材、住宅設備機器等の建材販売(施工付販売含む)並びにこれらの付帯業務を行っており、当該事業以外の種類がないため、当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別

当事業年度

(自 2023年11月21日

至 2024年11月20日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

商品

木質建材

6,360,306

98.9

非木質建材

4,225,101

89.2

合板

1,483,338

93.6

木材製品

2,317,272

86.1

住宅設備機器

12,878,955

101.8

施工付販売

808,835

88.8

その他

4,287,289

93.6

小計

32,361,099

96.3

工事

材料費

13,747,034

102.3

外注費

8,577,919

97.5

小計

22,324,953

100.4

54,686,053

98.0

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

 

b.受注実績

当社は、新建材、住宅設備機器等の建材販売(施工付販売含む)並びにこれらの付帯業務を行っており、受注から販売の期間が短いため、現在のところ受注実績と販売実績はほぼ一致しております。従って受注実績に関しましてはc.販売実績の欄をご参照願います。

 

 

c.販売実績

当社は、新建材、住宅設備機器等の建材販売(施工付販売含む)並びにこれらの付帯業務を行っており、当該事業以外の種類がないため、当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別

当事業年度

(自 2023年11月21日

至 2024年11月20日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

商品

木質建材

7,014,999

97.7

非木質建材

4,548,523

88.4

合板

1,627,669

91.3

木材製品

2,718,762

84.9

住宅設備機器

14,064,663

100.7

施工付販売(メーカー施工)

1,636,156

102.2

その他

4,752,195

94.5

小計

36,362,970

95.9

工事

施工付販売(完成工事高)

24,923,056

101.9

小計

24,923,056

101.9

61,286,027

98.3

 

(注) 1 総販売実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。

2 上記商品販売金額にはオリジナル商品取扱金額3,130,432千円が含まれております。

   オリジナル商品・・・1978年にプライベートブランド商品として、開発・販売を開始した商品であります。主な商品は、海外の提携工場にて生産された無垢フローリング等や国内外の提携工場にて生産された総合建材商品であります。

3 上記記載の施工付販売の内容は以下のとおりであります。

   施工付販売(メーカー施工)・・・仕入メーカーの責任施工により行っている工事
 施工付販売(完成工事高)・・・当社の手配による協力会社により行っている工事

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

当事業年度(2023年11月21日~2024年11月20日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、資源・原材料価格高騰に伴う物価上昇、中東情勢の混乱による地政学リスクの高まりに加えて、中国経済の先行き懸念や為替・金利の変動の影響等により、先行きは依然として不透明な状況が続きました。

当住宅関連業界におきましては、建築資材価格や運搬費・労務費等の上昇による住宅価格の高騰から、住宅取得マインドの低下が広がり、政府の各種政策による下支えはあったものの、当社の主たる市場である持家及び戸建分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年同月に比べて減少が続くなど厳しい事業環境となりました。また、住宅ローン金利は、固定金利の上昇に加え、変動金利についても今後の動向を引き続き注視していく必要があります。

このような状況のもと、当社は、新築住宅市場はもとより、リフォーム・リノベーション市場や非住宅市場などに対して、施工付販売や物流機能を活かし、既存得意先との関係強化と新規取引先の開拓に努めてまいりました。また、工事機能の拡充による工事売上・工事領域の拡大、太陽光発電システム・蓄電池等をはじめとした環境配慮型商品やオリジナル商品の拡販などに注力するとともに、業務の一層の効率化を図り、業績の向上に努めてまいりました。また、2024年8月21日より、本社・東京本社の二本社制へ移行し、さらなる成長に向けて営業と人材採用の強化に取り組んでまいりました。

その結果、当事業年度の売上高につきましては、612億86百万円(前年同期は623億68百万円)となり、営業利益につきましては、9億20百万円(前年同期は9億74百万円)、経常利益につきましては、10億96百万円(前年同期は11億72百万円)、当期純利益につきましては、7億18百万円(前年同期は8億12百万円)となりました。

品目別売上高につきましては、「第2 事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

品目別の売上高構成比は、木質建材 11.4%、非木質建材 7.4%、合板 2.7%、木材製品 4.4%、住宅設備機器 22.9%、施工付販売 43.4%、その他の商品 7.8%であり、住宅設備機器と施工付販売で全体の約66%を占めており、業績を支える大きな柱となっております。

 

(財政状態の分析)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて74百万円増加し290億82百万円となりました。これは主に、現金及び預金2億円及び売掛金1億46百万円の増加に対して、電子記録債権1億50百万円及び受取手形1億4百万円の減少によるものですが、現金及び預金の増加は売掛債権などの回収によるものであります。

当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて3億19百万円減少し153億33百万円となりました。これは主に、支払手形7億46百万円及び未払法人税等1億54百万円の減少に対して、買掛金4億53百万円及び電子記録債務1億77百万円の増加によるものですが、法人税の支払が多かったためであります。

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて3億93百万円増加し137億48百万円となりました。これは主に、当期純利益の計上7億18百万円の増加に対して、剰余金の配当3億38百万円による減少などが要因であります。

 

(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

・会社の経営の基本方針

当社は、「人ある限り住まいに対するニーズは永遠である」と捉え、多様化する住まいのニーズを充足するため、取引先と住まいのユーザーに満足していただく資材・サービスの提供を第一義として、常に存在価値のある住宅資材提供会社を目指すとともに、個々の力を結集して「選ばれる企業」、そして「社会に認められる企業」を目指しております。

・経営戦略

当社は、今後予想される市場環境の変化に対応するため、取引先のニーズを的確に捉えた提案を実施し、高品質な商品及びサービスの提供を推進することにより、現有マーケットでの業績の維持向上のみならず、顧客基盤の拡充にも積極的に取組んでまいります。

 その遂行にあたって、当社の主たる市場である新築住宅市場はもとより、リフォーム・リノベーション市場や非住宅市場などに対して、施工付販売や物流機能を活かし、既存得意先との関係強化と新規取引先の開拓に努めてまいります。また、工事機能のさらなる充実による工事売上・工事領域の拡大、太陽光発電システム・蓄電池等をはじめとした環境配慮商品やオリジナル商品の拡販などに注力するとともに、業務の効率化を図り、業績の向上に努めてまいります。

・経営指標

当社は、収益性を重視するために「売上高総利益率」及び「売上高営業利益率」を、また、企業価値を高めるためにオリジナル商品・施工付販売等の「売上高構成比率」を主な目標数値として企業経営を実施しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、商品仕入等の他、人件費など販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は業務システムへの設備投資であります。当社の資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び手元資金によって賄われております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は過去及び現在の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。