第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは住宅資材の流通業を主要事業とし、「快適で豊かな住環境の創造」という企業理念の下、より良い住宅資材を、適正価格で、お客様の要望される場所へタイムリーにお届けすることを目標に営業活動を展開しております。また、単にモノを販売するだけでなく、お取引先である建材販売店や工務店などに住宅建築関連の様々なサービスを提供するほか、企業経営ノウハウを提供することで、お取引先との共存共栄を図る仕組みづくりにも取り組んでおります。

純粋持株会社である当社がグループの戦略立案機能及び経営管理機能を一段と強化し、事業展開の判断の迅速化と経営の透明性の向上に努めるとともに、グループ各社が連携して高い総合力を発揮できる企業グループを形成し、株主価値の更なる向上を目指したグループ経営を推進してまいります。

 

(2)経営戦略等<中期経営計画(2022年度~2024年度)の取り組み>

中期経営計画の対象期間である2022年度から2024年度の3カ年は、新型コロナウイルス感染症の収束により、個人消費を中心に景気は回復基調に復帰するものと期待される一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化及びエネルギー価格の高騰によるコストプッシュ型インフレの進行など、極めて不透明な経営環境が継続するものと想定しました。

このような認識の下、当社グループは引き続き成長拡大路線を堅持しつつ、突発的な事象への高い機動力と柔靱さを持って対応するとともに、2030年度をより魅力ある企業グループへと生まれ変わるターゲットイヤーとした長期ビジョン『Brand-New JKHD 2030』を掲げました。その上で、最初の3カ年を対象とする新たな中期経営計画を策定し、更なる成長への第一歩とするという想いを込め、そのスローガンを『Further Growth 24』としました。

以上の認識と基本的な考え方をもとに、中期経営計画の取り組みとして次の3本の柱を打ち立て、各々の柱ごとに諸施策を展開しております。

① 持続的成長を目指した連結経営基盤強化

短期的経営環境、社会環境へ柔軟に対応しつつ、次世代においてもより力強い組織体であることを目指し、経営基盤として中核を担う人財、ITへの投資を行うと同時に、より効率的な事業運営を可能とするポートフォリオマネジメントを実施しております。

・次世代人材育成

・ダイバーシティ・インクルージョン推進

・ポートフォリオマネジメント

・グループ共通基盤の構築を目指したIT投資

・コーポレートガバナンス・コンプライアンス強化

<当連結会計年度において実施した主な施策>

・ダイバーシティ・インクルージョン推進課(D&I推進課)の新設

・コーポレートガバナンスの充実、強化を目的に、監査等委員会設置会社への移行

・取締役会の下部組織として、「経営会議」を新設

・現状の当社により適切な市場区分として、プライム市場からスタンダード市場へ移行

・業務執行取締役の報酬体制を、当社の持続的な成長や株主との価値共有に資するものとすべく、株式報酬

 を導入するとともに、役員退職慰労金制度を廃止

 

② コア事業における競争力強化

建材卸売事業におけるDXを活用した物流効率化を主軸に、各セグメントにおけるコア事業の強化を行い、既存マーケットにおけるプレゼンス拡大を目指します。

・DXを活用した物流効率化

・M&A・事業承継を通じた拠点整備

・取引先様へのサービス深化・高度化

<当連結会計年度において実施した主な施策>

・ジャパン建材株式会社内に物流最適化を目指すプロジェクトチームを発足

・新たに外部3社の事業を譲受、グループ内の既存建材小売子会社の再編を実施

 

 

③ 社会課題解決型ビジネスの推進

2050年におけるカーボンニュートラルを見据えた循環型社会構築に向けた取り組みを加速し、建築業界を取り巻く様々な社会課題に対するソリューションの提供を通じて新規事業の取り込みを行います。

・循環型社会の構築に向けた取り組み

・職人不足・高齢化への対応

・後継者不在・経営者高齢化へのサポート

<当連結会計年度において実施した主な施策>

・当社子会社のジャパン建材㈱において、より効率的な独自の環境マネジメントシステム(EMS)を構築

・当社子会社のジャパン建材㈱において、プライベートブランドの「J-GREEN製品」、「森林認証

 材」の販売先への伝票(納品書等)に「炭素貯蔵量」を表示

・CO2削減の取り組みとして、当社子会社の物林㈱において森林のJ-クレジット売買のサポート業務を展開

〈経営目標〉                                     (単位:億円)

 

2022年度

2023年度

2024年度

売  上  高

3,800

3,900

4,000

営 業 利 益

91

97

101

経 常 利 益

90

95

100

親会社株主に帰属する当期純利益

55

58

60

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、成長拡大路線を維持することにしておりますので、経営指標としては、第一に対前年比売上高成長率を重視しております。また、質的な成長を計る指標としては、各段階の利益率、とりわけ各利益のベースとなる売上高総利益率の向上を重視しております。

今後は、これらに加えて、資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価を踏まえて経営改善に向けた計画や施策を講じ、その実践や開示を実施するなど一連のPDCAを構築すべく検討を進めています。

 

(4)経営環境

今後のわが国経済は、今夏以降に実質賃金がプラスになるとの予想が報道されるなど明るい兆しもあり、持ち直しの傾向が続くものと期待されます。その一方で、ウクライナ情勢等の地政学リスク、円安や資源高騰、人件費上昇等による物価高に伴う住宅設備価格の高止まりにより、住宅需要がさらに減退することが懸念されるなど依然不透明な状況が続きます。

このような環境下、当社グループは、引き続きガバナンスの強化を図るとともに、これまで同様グループの総合力と機動力を活かして足元の諸課題に対応してまいります。また、中期経営計画『Further Growth 24』の最終年度として、諸施策の仕上げを図るとともに、2030年度をターゲットイヤーとしてより魅力的な企業グループに生まれ変わることを目指した長期ビジョン『Brand-New JKHD 2030』の達成に向け、次の中期経営計画の策定を開始し、施策によっては前倒しを実施してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<資産価値が残る家づくりへの貢献>

今後のサステナブルな住環境を展望し、省エネ、耐震、耐久性等の性能が高く、安心、安全、快適で資産価値が残る家づくりに貢献するため、その実現に必要となる住宅資材の開発や品揃えの拡大に努めるほか、情報提供を含む関連サービスを充実してまいります。

 

<物流の効率化>

長く、大きく、重く、加えて不定形な各種の住宅資材を、必要な場所にタイミングよく届けるために、グループ各社の拠点からなるネットワークをよりきめ細かなものとする一方、DXを最大限活用しつつ、グループ内の物流機能の一元的な高度化及び効率化を図ってまいります。

 

<事業承継問題への対応>

人手不足による経営資源の不足、経営者の高齢化や後継者難等から、住宅業界においても、特に小売店や工務店を中心に事業の継続や承継に課題を抱えるお客さまが増加しています。当社グループでは、企業のマネジメントに有用な情報を提供するだけでなく、営業に不可欠な行政や技術に関連する情報の提供にも努めています。さらに、書類申請等様々な機能面での代行サービスや関連サービスを提供し、お客さまの事業継続を支えています。併せて、後継者の不在から事業継続が困難なお客さまには、当社グループが事業や雇用の受け皿となることで、事業承継問題にも貢献しています。当社グループでは、これらの活動を今後一層拡充してまいります。

 

<IT>

新基幹システム「ASView」の開発および中核子会社ジャパン建材株式会社全営業所への導入は完了しました。今後は、この「ASView」を他の子会社に順次導入するとともに、「ASView」の機能拡充に向けた開発を実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティの基本方針と取組み

当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応について、その積極的な取組みが、事業運営におけるリスク低減のみならず、収益獲得の機会にもつながり、また当社が企業理念として掲げる「快適で豊かな住環境の創造」の実現に不可欠の重要事項であると認識しております。

この考えの下、サステナビリティ基本方針の策定や、サステナビリティ経営を推し進める体制整備を行うとともに、中期経営計画「Further Growth24」の柱として「持続的成長を目指した連結経営基盤強化」「社会課題解決型ビジネスの推進」を掲げ、循環型社会構築に向けた取組みを強化しています。

 

(2)気候変動に対する取組み(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)

① ガバナンス

当社グループではサステナビリティ推進基本方針に基づき、事業機会の拡大と社会課題の解決を目的とした活動方針を定める「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として設置し、3ヵ月に1回開催しております。当委員会は代表取締役社長が委員長を務め、委員長が指名するメンバーにて構成されております。 気候変動対応は当委員会の重要課題の一つとして位置付けられており、当委員会の事務局を担い、サステナビリティを巡る課題への取組みの推進主体であるサステナビリティ推進室より提案・報告された活動方針の妥当性や、進捗状況の評価を行うとともに、当委員会にて決定された事項については取締役会に適宜、報告をしております。

 

② 戦略

当社グループは気候変動を含むサステナビリティの幅広い課題に対して議論を深めるべく、サステナビリティ委員会の下部組織として「サステナビリティ検討部会」を設置し、気候変動対応に伴う事業運営上のリスクと機会・戦略の検討について当部会に属する「営業推進ワーキンググループ」で議論を行いました。当ワーキンググループにおいては今後の中長期的環境変化を見据えた戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動および資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行いました。

また、移行リスクについては法制化、技術開発、市況に係わる潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。

当該シナリオ分析における定量的財務影響評価(インパクト評価)については、影響を及ぼす関連パラメーターを精査し、今後段階的に分析を進めてまいります。

 

<主な移行リスク>

[影響]世界的に導入が検討されている炭素税の導入及びその他環境規制によるコスト増加の可能性があります。

[対応]当社グループにおける中核事業は建築資材の卸売業・小売業であるものの、電力使用に付随したGHG排出量の相対的に多い製造業を有することから、炭素税の導入による財務影響は大きいものと認識しております。当社グループ全体として省エネ設備への入れ替えや、太陽光パネル等の創エネ設備の導入、効率的な物流網構築を推進することにより、当社グループにおけるGHG排出量を削減し、この影響をできるだけ早期に減らしていく考えであります。

[影響]森林保護政策強化に伴う出材の減少や、再造林コスト上昇による木材調達コスト増加の可能性があります。

[対応]当社グループは木材を原材料とする合板・集成材の製造販売及びそれら製品の流通を全国的に実施しています。当社グループは木材流通の川上である原木調達、森林経営サポート機能を持つ事業会社を有し、これら川上におけるサプライヤーとの協業・提携による量・価格共に安定した木材の調達を実施していく考えであります。

 

<主な物理的リスク>

[影響]全国規模での災害激甚化により、当社グループで保有、運営する工場・営業所などの事業拠点に加え、生産設備・車両が罹災し、事業継続リスクが発生します。またこれら資産の災害に起因した補修・交換のための大きなコストが発生する可能性があります。また、当社グループの中核事業が建築資材の卸売業・小売業であることから、気象災害によるサプライチェーン寸断は事業継続を不安定なものとする可能性があります。

[対応]当社グループは日本全国で事業展開をしていますが、当社グループの中核企業であり、国内約100拠点の事業所を構えるジャパン建材㈱においては一部エリアで災害が発生した場合、被害のないエリアがサポートすべく、事業継続のBCPプランを策定済みです。さらに、中期経営計画にて掲げる「連結経営基盤の強化」の一環として、災害時における他グループ会社も含めた速やかな連携・相互サポートの仕組みづくりを推進していく考えであります。

 

<主な機会>

[影響]環境負荷低減を目的として日本政府は2030年以降に新築されるすべての建物でZEH水準以上の省エネルギー性能を求める考えであり、当社グループが主力マーケットとする持家住宅においても、断熱性能の向上をはじめとする住宅の高性能化が期待されます。また、一部地域においては一定条件の下、住宅における太陽光パネルが設置義務化されるなど、建築資材のマーケットにおいて需要が拡大することが予測されます。これら住宅の高性能化により、当社グループにおける建築資材取扱量の増加のみならず、販売商品の高付加価値化に伴う販売単価の上昇が予測されます。

[対応]当社グループは2,000社を超える建材メーカーを仕入先として持ち、これら仕入先との協業を通じ、ジャパン建材㈱が提供する「HEAT20 G2パッケージ」を例とした高性能建材のパッケージ商品の提案拡大を推し進めていきます。また、木質系建材卸に捉われずに新規需要を獲得するべく、同社においてはエアコン・太陽光・照明機器を取り扱う電材課を設立済みであり、今後需要の拡大が予測される太陽光パネルや省エネ設備の拡販を推進していく考えであります。

[影響]一部の公共物件では林野庁の「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」に基づき炭素貯蔵量が明記されています。これは木材利用が地球温暖化防止に寄与していることを具体的に対外的に示す指標のひとつです。消費者の環境に対する意識が年々高まっていることもあり、公共物件同様、一般住宅も環境貢献度の見える化が求められつつあります。

[対応]ジャパン建材㈱は、2023年11月より、環境貢献度の“見える化”の一環として、一部の木質商品について、商品ごとの炭素貯蔵量を伝票等に表示しています。これにより、工務店が、木造住宅一棟当たりの炭素貯蔵量を把握し、顧客である施主様に環境貢献度を分かりやすく示すことができます。木材が持つ炭素貯蔵機能は、脱炭素社会の中で注目されています。この機能を広く認知させ、木造住宅需要の増加につなげます。

 

③ リスク管理

当社グループでは、グループ横断のリスク管理の一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は当社グループの主要セグメントである卸売業・製造業・小売業の各事業セグメントの代表によって構成されるサステナビリティ委員会の下部組織「営業推進ワーキンググループ」を中心に行い、その財務影響評価はサステナビリティ推進室にて分析を行っております。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会において検討した後に、取締役会に報告しております。また、これら気候変動に関するリスク管理の結果は、コンプライアンス・リスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。

 

④ 指標とターゲット

当社グループは、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減を、地球規模での温暖化防止につながる重要な課題として認識しています。2022年度から自社の排出であるScope1,2の排出量の測定を開始しました。その結果を受け、排出傾向を分析し、グループ全体の削減目標、事業部門別の削減目標を決定しました。まずはさまざまな削減策を検討し、実現可能性、事業インパクトを総合的に勘案し、2030年まで2022年度比20.0%(年率2.5%)の削減目標を設定しました。今後進捗をモニタリングし、更なる削減にむけて検討を進めていきます。

※温室効果ガス排出量及び削減の進捗については当社ホームページをご参照ください。

https://www.jkhd.co.jp/sustainability/tcfd/metrics-and-targets/

 

(3)人的資本経営への取組み

当社及び中核企業であるジャパン建材株式会社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、「働きがいのある組織の追求」を柱とし、それを構成する「働きやすさ」と「やりがい」を両軸として進め、快適に働き続けるための働きやすさと、仕事に対するやる気や成長実感等のやりがいとを併せ持つ組織の実現に取り組んでおります。社員一人ひとりが持っている能力と無限の可能性を存分に発揮できる環境を整えることが、企業の持続的発展と高いレジリエンスにつながると考えています。また、2023年10月よりダイバーシティ&インクルージョン(多様性と一体性)を推進する部署を新設しました。より多様な人材が活躍できる環境を構築していくために「D&Iの推進」を3つ目の軸として加え、より良い企業風土の醸成、エンゲージメント向上を目指してまいります。

 

① 働きやすさ

「健康経営」「柔軟な働き方」を推進

・「健康経営」

社員の健康管理問題を経営課題として正面からとらえ、社員の健康保持・増進に積極的に関わることで、社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる環境を整えています。定期健康診断やストレスチェックの全社員の確実な受診、産業医の意見聴取に基づいた社員の健康管理、有給休暇の取得促進等により、社員の健康保持・増進に取り組んでいます。

・「柔軟な働き方」

 多様な人材の一人ひとりが持つ能力を最大限発揮してもらうには、柔軟な働き方ができる環境が不可欠です。当社では地域限定総合職制度や中学校就学まで選択できる時短勤務制度を活用する社員も増えています。また、新基幹システムASViewの導入や積極的なデジタルシフトによるペーパーレスの推進、直行直帰の推奨等により業務効率化を進めるとともに、パソコンの自動シャットダウンや、ノー残業デーの実施等により、労働時間の適正化を図っています。デジタル化による情報共有の質や検索性の向上によって生産性を高め、より柔軟性のある働き方を進めています。

 

② やりがい

・「生涯学習」

変化の激しい社会環境だからこそ、社員一人ひとりが自分の人生に責任を持ち、新しいマインドやスキル、知識を学び続ける必要があると考えています。私たちは「会社が社員を育てる」のではなく、「人は育つものである」と信じ、非正規社員も含めたすべての社員に対して、自ら学ぶための幅広い学習機会を提供していくことで、人材の成長を促進しています。

社員が自らの好奇心や置かれた環境によって、自らの学びを選べるよう、公募型研修やeラーニング環境整備を中心に置き、自律・自立的な人材の育成に取り組んでいます。また、社員一人ひとりが自分に必要な学びを客観的に把握できるよう、別業界・別業種の方々と一緒に学ぶ越境学習の機会や、自身の経験や能力、興味等を棚卸するキャリア教育の機会を充実させていきます。

目指すべき人材像を「自律・協働・共創型人材」とし、1on1ミーティング実施の推奨等、心理的安全性の高い職場環境を整えていくことで、多様な個性や考え方を受容・尊重できる組織をつくってまいります。

・「コミュニケーション機会の増加と質の向上」

当社は「他者からの学び」を推奨しており、部署を越えた多様な人材が集う交流の場を積極的に提供しています。仕事上のコミュニケーションだけでは、部署内や同質のグループ内に交流機会が限定されがちなこともあり、「キャリア採用社員」「女性社員」「営業担当者」「事務担当者」など、横のつながりを深めることも意識した多種多様な交流会や研修会などを実施することで、共感や他者から学ぶ機会を広げ、エンゲージメント向上につなげています。また、多様な価値観を認め合う風土づくりを進めるために、社外の方と交流する越境学習にも取り組んでおります。

 

③ D&Iの推進

・「表層的ダイバーシティ」

 性別、年齢、国籍、障がいなどの表層的ダイバーシティは日本の企業における大きな課題であり、当社としても女性社員比率の拡大(過去10年で29.1%から35.1%)、外国人技能実習生の受入れ、障がい者支援体制の充実化、シニアの雇用継続など、積極的に取り組んでおります。

・「深層的ダイバーシティ」

 職歴、経歴、スキル、価値観、考え方、仕事観などの深層的ダイバーシティもあわせて推進してまいります。採用については、新卒に限定することなく多様な価値観や経歴を持つ人材の採用にも力を入れており、非正規社員も含めて約半数がキャリア採用社員となっています。また、これまで多くの企業がグループの一員として加わってきた経緯もあって多様な経験を持つ人材が多く存在していることも組織活性化に寄与しています。

・「インクルージョン」

多様な人材が個性や個々の能力を存分に発揮するだけでなく、よりインクルーシブ(一枚岩)な集団となるよう、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の自覚を促し、様々な施策と並行しながら行動変革につなげているとともに、インクルーシブな風土を醸成し、深く根付かせていくために、様々な取組について社内外へ情報発信することにも力を入れております。

 

上記に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年3月まで3.0

1.3

男性労働者の育児休業取得率

2030年3月まで80.0

18.2

労働者の男女賃金差異

全体

2030年3月まで55.0

53.9

正規

2030年3月までに70.0%

63.7%

非正規

2030年3月までに61.0%

60.5%

 

変化の激しい社会環境のなかで企業が持続発展していくためには、同質的な価値観で統制された組織ではなく、多様な人材が意見を交わし、多様な価値観が尊重・調和される組織が不可欠であると考えており、女性社員、外国人社員、中途採用者等多様な人材の採用を積極的に行っています。なお、当社の属する業界において女性の活躍が相対的に遅れている実状に鑑み、特に女性の活躍推進の重要性を強く感じており、当社としても女性の持つ可能性を発揮する取組みを積極的に推進することとしています。

当社は、2012年より女性総合職の採用を強化しており、採用した正社員に占める女性の比率は、2021~2023年度3年間の合計で31.3%となっております。これにより女性の管理職候補の母集団も順調に増加してきていますが、管理職に育つまでには期間を要するため、当社の管理職に占める女性の比率は、2024年3月時点で1.3%とまだまだ低いのが実状です。このため、採用における女性総合職の割合について今後も現状程度以上の水準を維持するとともに、管理職に占める女性比率を2030年度に3.0%にすることを目標として女性管理職の積極登用を行います。

さらに、多様性の確保には、「男性だから~/女性だから~」といった古い性別役割分業意識の払拭も重要であると考えており、男性の育児休業取得を推進することで、誰もが適切な働き方を選べる風土を醸成してまいります。男性の育児休業取得率は、当連結会計年度実績において、前年の12.5%から18.2%と改善傾向にありますが、引き続き働き方改革推進による男性社員が育児休業を取りやすい環境の整備と、管理職層を中心とした男性育休取得に対する理解の啓蒙を図ってまいります。

労働者の男女の賃金の差異は、当連結会計年度実績において、全労働者53.9%(正規雇用:63.7%、非正規雇用:60.5%)となっておりますが、当社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は給与の高い管理職層の社員における男性比率が高いこと、また、勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、さらに、非正規の男女間においては、定年再雇用で非正規となる社員の男性比率が高いことが原因であると考えています。そのため、男女の賃金の差異の解消の方針として、管理職の女性比率を女性社員比率に対して適性に上げるとともに、女性活躍推進の取り組みにより、女性の定着をさらに向上すること、公平な評価に基づいた非正規雇用者の正社員への積極登用を実行してまいります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)新設住宅着工戸数が業績に与える影響について

住宅関連業界の業績は、新設住宅着工戸数の増減に大きく左右されます。なかでも当社グループは、木造戸建住宅関連の商品が取扱いの中心であることから、新設住宅のうち利用関係別では持ち家の、構造別では木造の増減の影響を大きく受けます。このため、住宅資材の高騰、住宅ローン金利の上昇、住宅ローン減税制度の縮小・廃止、消費税率の引き上げ等により新設住宅着工戸数が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

一方、住宅資材の流通業界の最大手の一角を占める当社グループであっても、市場全体から見ればそのシェアは必ずしも大きなものではなく、一層のシェア拡大に向け、建て替え需要を含む新設住宅需要の掘り起こしを強化しております。同時に、住宅リフォーム市場や木質系非住宅市場での販路拡大に注力し、木造戸建住宅の新築に依存しない経営体質造りに努めております。

 

(2)市況商品である合板の価格変動リスクについて

当社グループの主力販売商品の一つである合板は市況商品であり、価格が大きく変動することがあります。

国内の合板市場は、数量ベースで国産品、輸入品各々半々の構成比となっております。国産品は着工戸数等と生産量の需給バランスにより、また、輸入品はこれに加えて原木生産国や製品輸出国の国内事情あるいは製品輸入国の需要動向、さらには為替の動向などから販売量及び価格が大きく左右されるため、国産品、輸入品のいずれにおいても、急激かつ大幅な市況変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

以上のような、価格、数量に対する様々な変動要因によるリスクを軽減するため、国内にあっては、製造子会社における生産調整や販売子会社による仕入れの調整を機動的に実施しています。海外にあっては、マレーシア(ミリ)、インドネシア(ジャカルタ)及びシンガポールに駐在員を派遣、現地メーカー等と常にコンタクトを取り情報収集を行うことにより、価格の安定化や利益の確保に努めております。

 

(3)信用リスクについて

中核企業であるジャパン建材株式会社のお取引先は全国約1万先に及ぶなど、グループ各社は、多数のお取引先に企業間信用を供与しています。建材や住宅設備の価格が上昇し持ち家を中心に新設住宅着工戸数が低迷する一方、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済や金利の上昇により資金繰り面の環境も変化する中で、信用リスクは従来に増して高まっており、今後、住宅業界において倒産が大きく増えることとなれば、想定を超える不良債権が発生し、当社グループの業績も大きく影響を受ける可能性があります。

このため、与信の分散化に努めるとともに、グループ全体での与信管理のシステム化や動態観察の重視等、きめ細かい管理と早期対応を実施しております。これらにより不良債権発生の抑制に努めるとともに、様々な債権保全策を講じ、グループ全体での与信管理体制を逐年強化しております。

 

(4)為替リスク及びカントリーリスクについて

当社グループの主力商品である合板については、その材料となる単板、製品を問わず、輸入価格は為替相場の変動及びカントリーリスクの顕在化による影響を受けます。このため、急激かつ大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、合板以外にも、製材品や原材料としての木質系素材を輸入している子会社も複数あり、これらの子会社も、為替リスクのみならず、輸入国のカントリーリスクも負っており、実際に発生しているロシアへの経済制裁により、同国産の製材品や木質系素材の調達が困難となっております。

これらのリスクに対し、合板販売総額の相当程度を直接輸入する中核企業のジャパン建材株式会社は、為替相場の変動に対して契約額の一定比率以上を先物為替予約でヘッジする方針で対応し、為替相場の変動が経営成績に及ぼす影響を軽減するよう努めております。また、調達困難となった素材については、内外を問わず代替材の発掘、調達に努め、供給体制の確保に努めております。

 

 

 

(5)企業買収等にかかるリスクについて

当社グループが所属する住宅関連業界は、中長期的な市場規模の縮小が予想されるなか、今後も業界再編等が進むものと見込まれます。当社グループにおきましても、営業基盤の拡充・強化を図る観点から、企業買収等を積極的に推進しております。このため、買収した企業の価値が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに備えるため、当社内にM&Aの担当部署を設け、専門的な知識、経験の獲得、蓄積を図っており、個別の企業買収等の際には、同部署が中心となって適切なデュー・デリジェンスおよびPMIを実施しております。

 

(6)自然災害・事故等にかかるリスクについて

当社グループは、大規模な自然災害や事故、感染症のパンデミック等が発生した場合、営業・製造拠点や本社、サプライチェーン、従業員等が深刻な被害を被る可能性があります。このような事態に備え、当社グループは事業継続計画(BCP)を定めており、同計画に基づく体制を整備するとともに、実際にBCPが発動される都度、その内容を適切に見直し、その実効性を高めるべくブラッシュアップを図っております。

 

(7)サイバー攻撃にかかるリスクについて

当社グループは、生産、販売、会計、人事その他業務全般をITシステムにより管理しております。また、当社グループは、お取引先の個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。

一方、様々なサイバー攻撃が世界中で活発化しており、当社グループのITシステムもその攻撃対象となり得ることを認識しております。想定を超えるレベルで攻撃を受けた場合には、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩等による事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策コストの増加等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

このため、社内ネットワーク上で異常が検知された場合は、直ちにアラームを発するとともに必要な対応を行う仕組みを導入しており、また、ハード及びネットワークの冗長化、各種データの定期的なバックアップの実行、各種端末へのセキュリティソフトの導入、セキュリティに関する社員教育等適切に対策することによってリスクの低減に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化に伴って緩やかな景気回復が続き、足元では日経平均株価が最高値を更新し、大手企業を中心に大幅な賃上げが発表されるなど、明るい兆しも出てきました。その一方で、ウクライナや中東の地政学リスクの顕在化や日米金利差等に起因する円安等から、資材、エネルギー価格の高騰が続き、加えて「2024年問題」等から人手不足がさらに激しくなるなど、先行き不透明な状況が続く見通しであります。

当社グループが属する住宅業界では、実質賃金が伸び悩む中で住宅価格は高止まりしていることなどを主因に住宅需要が低迷しており、新設住宅着工戸数は通期で△7.0%と減少し、当社グループが主力とする持ち家では△11.5%、木造では△4.6%といずれも減少が続いております。

このような状況下、当社グループは、東京をはじめ各地でのジャパン建材フェアをコロナ前と同様の規模で開催し、営業活動を活発化しました。並行して、在庫水準の適正化に取り組み、価格や機動性を考慮した商材変更の提案、「資産価値が残る家づくり」に向けた付加価値の高い商材の提案等を推進し、足元のみならず今後の業界環境を見据えた営業活動を強化しております。また、従来以上に訪問頻度を高め、共に成長発展するスタンスを強めるべくお客さまとのコミュニケーションを密にしております。

この結果、当連結会計年度における業績は以下のとおりとなりました。

売上高は3,889億10百万円(前期比4.4%減)「ウッドショック」によりレコードを大きく更新した前期と比べても遜色のない水準となりました。利益面では、総合建材卸売事業及び総合建材小売事業が厳しい環境下にもかかわらず一定の利益を確保したのに対し、合板製造・木材加工事業の減益幅は大きく、全体でも大幅減益となりました。具体的には、営業利益は78億71百万円(同19.1%減)、経常利益は86億70百万円(同15.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は50億49百万円(同24.5%減)となりました。しかしながら、「ウッドショック」後の諸要因を織り込んだ期初計画との比較では売上はほぼ計画並み、利益は計画を上回る水準で着地しました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 (総合建材卸売事業)

「ウッドショック」の反動から値下がりが続いた木材は底を打ち、合板類は、メーカーが期初からの値上げを発表しているものの、当連結会計年度を通じて値を切り下げました。資材、エネルギー価格の高騰等から値上げ基調にあったその他建材、住宅設備等は価格面では落ち着きが見えてきました。一方、肝心の需要は弱く、中核のジャパン建材株式会社をはじめ各社各様に、売上のボリュームと適正な利潤の確保に努めましたが、大幅な増収増益となった前期との比較では見劣りする結果となりました。

この結果、当事業の売上高は3,216億15百万円(前期比4.1%減)、営業利益は68億42百万円(同9.5%減)と減収減益となりました。

 (合板製造・木材加工事業)

当事業の中核を占める株式会社キーテックは、主力のキーラム(LVL)事業の材料となるロシア産輸入単板の入荷停止により苦戦が続いております。国産合板は、販売価格の下落が続くものの販売量は維持しております。この結果、同社全体として前期比で減収減益となりました。ティンバラム株式会社は、昨年来の製品価格下落により厳しい状況が続いておりますが、在庫を前期の半分程度に圧縮するなど、業績改善に向けあらゆる企業努力を継続しております。

この結果、当事業の売上高は130億81百万円(前期比22.9%減)、営業損失は76百万円(前期は7億60百万円の利益)となりました。

 (総合建材小売事業)

総合建材小売業につきましては、当第1四半期連結累計期間中に株式会社長谷川建材を株式会社ブルケン東日本に、株式会社タムラ建材及び有限会社原口建材店を株式会社ブルケン・ウエストに吸収合併し、北海道及び九州地区での組織再編を行いました。また、2023年9月には、新潟県を地盤として住宅向け構造材プレカット加工及び住宅建築資材の販売業を営む株式会社イタヤ及びその関連会社である有限会社コスモランバーの事業を、当社連結子会社である株式会社ブルケン(現 株式会社ブルケン・イタヤ)が譲り受け、当社小売部門の拠点の拡充を図りました。このように、積極的にM&Aを推進するとともに適宜組織再編を実施し、各地の事業承継ニーズに応えながら、グループのネットワークをダイナミックに拡大しております。

この結果、当事業の売上高は501億12百万円(前期比1.2%減)、営業利益は10億70百万円(同21.4%減)と減益となりました。

 (その他)

その他には、建材小売店の経営指導を中心にフランチャイズ事業を展開している株式会社ハウス・デポ・ジャパンのほか、建設工事業の子会社4社、物流関係の子会社等7社及び純粋持株会社でありますJKホールディングス株式会社の一部事業等を区分しております。

この結果、当事業の売上高は41億1百万円(前期比0.4%減)、営業損失は1億41百万円(前期は2億23百万円の損失)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は2,345億64百万円となり、前連結会計年度末に比べて91億56百万円増加いたしました。増減の内訳としては、現金及び預金が137億68百万円増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産と電子記録債権の合計額が20億51百万円、棚卸資産が50億56百万円減少したことにより、流動資産が65億61百万円増加いたしました。後記の流動負債の増加とあわせて、当連結会計年度末日が銀行休日であったために受取り、支払いの双方で未決済の金額が膨らんだことが主な要因です。

固定資産は、有形固定資産が13億89百万円、無形固定資産が1億94百万円、投資その他の資産が10億10百万円増加したことにより、固定資産合計では25億94百万円増加いたしました。

負債は1,714億56百万円となり、前連結会計年度末に比べて39億46百万円増加いたしました。増減の内訳としては、支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計額が81億25百万円増加した一方、短期借入金が8億5百万円、未払法人税等が11億94百万円減少したことにより流動負債が51億48百万円増加いたしました。

固定負債は、長期借入金が12億91百万円減少したことを主因として、固定負債合計では12億2百万円減少いたしました。

純資産は631億7百万円となり、前連結会計年度末に比べて52億10百万円増加いたしました。利益剰余金が39億44百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ137億89百万円増加し、561億68百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は220億59百万円(前期は87億25百万円の獲得)となりました。税金等調整前当期純利益86億82百万円、減価償却費23億24百万円、棚卸資産の増減額53億51百万円といった資金獲得要因がありました。一方で、法人税等の支払額47億40百万円の資金使用要因があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は38億32百万円(前期は7億21百万円の獲得)となりました。事業譲受による支出12億58百万円、固定資産の取得と売却の差額27億24百万円の資金使用要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は44億37百万円(前期は58億62百万円の使用)となりました。短期借入金の純減額8億5百万円、長期借入金の純減額20億42百万円、配当金の支払額11億56百万円といった資金使用要因があったこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

合板製造・木材加工事業

(百万円)

14,405

82.1

総合建材小売事業

(百万円)

報告セグメント計

(百万円)

14,405

82.1

その他

(百万円)

合計

(百万円)

14,405

82.1

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

293,780

93.8

合板製造・木材加工事業

(百万円)

1,303

95.7

総合建材小売事業

(百万円)

17,347

104.8

報告セグメント計

(百万円)

312,431

94.4

その他

(百万円)

722

123.7

合計

(百万円)

313,153

94.4

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

総合建材卸売事業

合板製造・木材加工事業

2,977

52.9

177

72.0

総合建材小売事業

報告セグメント計

2,977

52.9

177

72.0

その他

2,030

99.6

1,253

120.4

 合計

5,008

65.3

1,430

111.2

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

321,615

95.9

合板製造・木材加工事業

(百万円)

13,081

77.1

総合建材小売事業

(百万円)

50,112

98.8

報告セグメント計

(百万円)

384,808

95.5

その他

(百万円)

4,101

99.6

合計

(百万円)

388,910

95.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

当連結会計年度においては、売上高は3,889億10百万円と、「ウッドショック」によりレコードを大きく更新した前期と比べても遜色のない水準となりました。高水準の売上規模を維持できた要因は、値下がり基調にあった木材や合板等の素材の在庫一新のほか、資材、エネルギー価格の高騰等が続く建材、住宅設備等について、売価への転嫁が相応にできたこと、小売り部門を中心とするM&Aにより企業規模が拡大していること、そして中核である卸部門をはじめ販売部門の営業努力が実を結んだことなどが挙げられます。

利益面においては、卸、小売りの流通部門が計画を上回る利益を確保する一方、製造部門の子会社の多くが大幅な減益となり、全体としても減益を余儀なくされました。

今年度に入って以降も、住宅価格の高止まりによる住宅需要の低迷、とりわけ当社グループが主力とする持ち家や木造の低迷が続いています。当社グループとしては、在庫水準の適正化に取り組み、価格や機動性を考慮した商材変更の提案、「資産価値が残る家づくり」に向けた付加価値の高い商材の提案等を推進し、足元のみならず今後の業界環境を見据えた営業活動を強化しております。また、従来以上に訪問頻度を高め、共に成長発展するスタンスを強めるべくお客さまとのコミュニケーションを密にし、目標達成を図る所存です。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金は、グループ内の資金を効率的に活用することによって賄うことを基本とし、不足額や緊急に必要となる資金については、当座借越枠、CP枠、中核企業であるジャパン建材株式会社の手形流動化枠等にて対応しております。運転資金以外の資金需要の主なものは、製造子会社の機械等の設備資金や販売子会社の事務所・倉庫等の営業用不動産への投資のほか、M&Aによる会社の取得資金など持株会社である当社の投資に要する資金です。この投資資金については、自己資金を充てることを基本に不足額を銀行借入によって調達しております。銀行借入については、半期ごとに長期資金の調達計画を立て、計画的に調達しております。

当連結会計年度においては、子会社の事務所・倉庫・機械の新増設や補修等の設備投資を行っておりますが、その規模は減価償却の範囲にとどまる一方、グループ各社の業況が比較的に順調に推移しており、グループ内全体では資金余剰となっているため、グループ全体の借入金も減少しました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)並びに(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度において、研究開発活動はありません。