第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「思いやりの心を磨き、関わる人すべてに喜びと感動を与える」ことを基本理念に掲げ、お客様に安全・安心・快適なカー&バイクライフを提供できるよう努めてまいります。

また、環境の変化に影響されることなく安定した利益が確保できる企業体制の確立が重要であると認識し、業界内の競合減少による残存者利益を得ながら、株式市場からも評価される業界No.1の企業となることを経営の目標とし、各種戦略を推進してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2026年3月期からの3ヶ年を対象とする中期経営計画を2025年1月に策定及び公表しており、最終年度である2028年3月期は、売上高1,800億円、営業利益168億円、経常利益181億円を計画しております。

また、資本効率の観点から同最終年度でのROE(自己資本当期純利益率)10%以上達成を目指し、企業価値の最大化に努めてまいります。

株主還元につきましては、中長期的な視点で連結業績に応じた利益還元を重視し、連結業績、財政状況、投資計画等を勘案しながら連結配当性向30%を目安に安定的な利益配分を継続して行うこととし、さらに中期経営計画期間中の3ヶ年については、連結配当性向45%を目安としたうえで総還元性向を3年累計で100%以上とする方針としております。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループの主な事業領域である国内のカー用品市場は、縮小の傾向にあるものの近年の自動車保有台数は62百万台弱をほぼ横ばいで推移し、人口減少下においても地方を中心に自動車保有者の増加を認識しております。また、カーディーラーやガソリンスタンドなど整備や消耗品の提供を行う事業所が減少する中、カーメンテナンス市場では、全国に店舗を展開する当社グループが提供する整備や消耗品販売・交換作業へのニーズが高まっていると考えます。

一方で、現在市場において「イエローハット=カー用品販売店」という認識が強いことから、変化する顧客層やニーズに対応した商品・サービスの提供を強化するとともに、カーメンテナンス事業者としての認知度向上を図ることにより、一層の収益拡大が可能であると分析しております。

こうした状況を受け、当社グループは経営環境の変化に対応した事業戦略の構築、営業施策の実施により、経営資源を成長分野に集中するとともに以下の課題に取り組み、企業価値を向上させてまいります。

 

①エリア戦略・出店戦略

自動車が日常移動手段の地域に、小商圏・ローコストの出店を積極的に行い、地域住民の生活に欠かせないインフラとなることを目指します。

②店舗戦略・商品戦略

自社ECでの商品販売と店頭での取付をシームレスに行う体制を整備し、ECと店舗の連携を強化します。ECでは幅広い商品展開や車種専用商品を充実させ、店舗ではお手頃価格品を強化することで、顧客の商品選択の幅を広げ、利便性を向上させます。

③ロイヤルカスタマーの育成

DXを深化させ、会員情報やPOSデータなどを統合管理することで、顧客が求める商品情報を適切なタイミングで提供し、新規会員のリピート率向上を図ります。

④整備士の育成戦略

オイル・タイヤなどの交換・取付業務や車検の強化に向けて、整備士・検査員の人材育成を強化します。

⑤2輪事業の強化

2りんかん・バイク館・ワイズロードの2輪事業において、店舗数増、設備更新、人材育成、既存店収益拡大などの施策を実行し、イエローハット+2輪事業を含めたトータルサービスの提供を目指します。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ基本方針

イエローハットグループは、「関わる人すべての幸せ」を第一とする創業精神のもと掲げた企業理念並びに経営理念に基づき、「安全で安心な、人とクルマにやさしい社会づくり」を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社は、経営課題として掲げる環境・社会・ガバナンスに対する取り組みをより一層強化すべくサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

(サステナビリティ推進委員会の役割と構成)

当委員会では、サステナビリティに関わる経営の基本方針の決定、並びに重要課題の特定、目標設定、及び戦略の企画・立案・提言を行います。また、各活動における取り組み状況のモニタリングを実施し、取締役会へ報告いたします。特に、気候変動に関するリスク・機会の選別・評価と対応策の立案は、以下のプロセスで実施しております。

 


 

当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は、取締役、部門長、その他委員長が必要と認めた者により構成されます。さらに、当社ではリスク管理の専門として「危機管理委員会」が設置されており、先を見越したリスク管理体制の整備について適宜審議しております。

 


 

(3) TCFD提言に準拠した気候変動への対応情報の開示

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、気候変動に関する事項であります。

 

①ガバナンス及びリスク管理

気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ推進委員会にて推進・実施しております。詳細については「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

 

②戦略

(シナリオ分析の前提)

気候変動がもたらすリスク・機会を特定するために、以下の2つのシナリオを設定して分析を行いました。

・1.5℃シナリオ:脱炭素社会に向けて、政策規制の強化や市場ニーズの変化といった「移行リスク」が顕在化する世界

・4℃シナリオ:気候変動対策が十分にされず、平均気温の上昇や台風の激甚化といった「物理的リスク」が顕在化する世界

 

また、シナリオ分析では当社の主力事業である「カー用品・二輪用品等販売事業」を対象として、バリューチェーンを設定し、主要なリスク・機会の特定と財務インパクト算定、対応策の検討を実施しました。

 

(シナリオ分析の結果概要)

分析の結果、1.5℃シナリオにおいては、炭素税の導入に伴う原料やエネルギーの調達コストアップ、及び当社のCO2排出量(スコープ1・2排出量)への課税に伴うコストアップの影響が大きいことが分かりました(※)。一方で、脱炭素社会の構築に向けた物流システムの改善によるコストダウンが機会として抽出されました。

また、4℃シナリオにおいては、自然災害の激甚化に伴う機会損失がリスクとして認識できた一方で、平均気温の上昇に伴う当社製品へのニーズ向上・売上拡大が機会として特定されました。

こういった当社にとって重要なリスクと機会は定期的に見直し、対応策を明確にして全社の戦略と一体化し推進してまいります。


※当社のCO2排出量への課税に伴うコストアップについて

・2021年度スコープ1・2排出量:24,614 tCO2

・2030年における炭素税の予想価格:10,000 $/tCO2(IEA “World Energy Outlook 2021” より)

2030年において、2021年度と同水準のCO2排出量の場合、320百万円のコストアップが見込まれる結果となりました(1ドル=130円とする)。 一方で、当社が目標としている2030年の目標CO2排出量(21年度比 37.8%減)を達成することで、120百万円のコスト削減が実現できると見込んでおります

 

 

(1.5℃シナリオにおける財務インパクト)


 

※今回調査をした情報をもとに財務インパクトの試算を行いました。今後も最新情報を収集し、算定結果 の精度向上に努めます。

※「物流の効率化によるコスト削減」は、2030年における成行きの物流コストに対する対策実施後の物流コストの差額を財務インパクトとして計上しております。

 

(4℃シナリオにおける財務インパクト)


 

※今回調査をした情報をもとに財務インパクトの試算を行いました。今後も最新情報を収集し、算定結果の精度向上に努めます。

※エネルギーの調達価格の変化に伴う財務インパクトは、その影響が小さいため除外しております。

※「自然災害からの復旧コスト」「自然災害による機会損失」「降雪の激甚化による特需発生」は、当社の重要なリスクとして特定できた一方で、その影響は不確実なため定量化できていません。

 

③GHG排出量削減の指標と目標

当社ではGHG排出量削減目標を以下の通り設定し、削減活動に取り組んでおります。

・2030年:37.8%減(2021年度比:SBT1.5℃水準)

・2050年:カーボンニュートラル

2030年の削減目標の達成に向けては、BAU排出量(※)を店舗拡大の見込みより推定しました。BAU排出量と2030年目標排出量のギャップを「削減すべきGHG排出量」と定義しております。

2012年から全店舗LED化に取り組み、電気使用量の削減を実施しております。今後も省エネ活動の拡大や太陽光パネルの設置などを通して着実にGHG削減に取り組んでまいります。

 


 


2021年(基準年)排出量

削減目標

 

 

(4) 人的資本・多様性

①戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

(人材育成方針)

当社グループは、小売店舗におけるお客様への接客対応が必要不可欠であります。また、車検や整備作業などは専門知識が必要となります。そのため、人材の成長こそが企業の持続的成長と価値向上に欠かせないと考え、積極的な人材育成に取り組んでおります。具体的には、教育・研修に関する専門部署を設けて、全ての従業員を対象に、お客様満足度、商品知識、作業技術にて初級・中級・上級と社内資格制度を設け、習得度合いにより知識と技術を習得できる研修を実施しております。また、管理職を対象にマネジメントやダイバーシティに関する教育などの取り組みを進めております。

当社グループは、女性、中途採用者、外国人や高齢者等、様々な職歴をもつ多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行っております。また、退職した社員の再雇用やパート・アルバイトの正社員雇用を促進、障害者の雇用を推進しております。

 

(社内環境整備方針)

当社グループは、安全な職場の形成と従業員の活躍支援をすべく、各支援制度の導入や働きやすい環境づくりのための各相談窓口を設置するなど、従業員一人ひとりがやりがいを感じて活き活きと働ける職場環境づくりを目指しております。具体的には以下の環境を整備しております。

活躍支援制度としては、整備士資格取得を支援するため、資格取得の障壁になる受講費用の補助と貸付金制度を設けております。また、整備資格取得者の資格手当の引き上げや処遇改善による離職防止を図るほか、出店に携わる従業員の知識向上のために「宅地建物取引士」資格や、自動車保険の代理店としての「日本損害保険協会募集人」資格など、業務に関わる指定資格取得による一時金支給制度を設けております。

各相談窓口としては、法令違反や社内ルール違反を通報するコンプライアンス相談窓口や各種ハラスメントについての相談窓口、弁護士へ直接相談できるホットラインを設置しております。

 

②指標及び目標

2025年3月末現在、当社の女性役員は15.4%、課長職以上の管理職のうち中途採用者は48.6%です。また、女性管理職、外国人については主に小売部門での活躍を期待した配置としており、当社における女性管理職は0名、外国人2名であり、子会社においては女性管理職25名の登用、外国人は266名を採用しております。今後は、さらに活力ある会社とすべく、多様性推進に積極的に取り組み、現状より増加させてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 国内経済情勢及び個人消費低迷

当社グループは、主に日本国内においてカー用品・二輪用品等の製造、卸売販売及び一般消費者等への小売販売を行っております。そのため、様々な要因によって引き起こされる日本経済の悪化や個人消費の低迷が、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 人材確保

当社グループは、小売店舗におけるお客様への接客対応が必要不可欠であります。また、車検や整備作業など専門知識を必要とするピット技術部門の需要も伸長しております。当社グループといたしましても、従来の社員・パートアルバイトの採用活動の強化に加え、外国人や高齢者の採用数を増やすなど人材確保に努めておりますが、小売業やサービス業全体でも採用難の状況が続いており、人材確保に係る費用等の上昇が当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 天候要因

当社グループは、スタッドレスタイヤやタイヤチェーン等、天候により販売数量が左右される商品を取り扱っております。過去の天候変動に基づいた仕入・販売計画を立てておりますが、異常気象による季節商品の販売低下等が、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害

当社グループは、日本全国に店舗を展開しており、過去にも地震や台風等の自然災害の影響を受けてまいりました。災害の影響を少なくするべく、看板や店舗設備の老朽化に対する修繕や、設備補強材の導入など対策を進めております。しかしながら、大規模な自然災害が発生した場合、店舗設備の損傷や営業停止期間の発生、停電発生や道路状況の悪化による商品配送の遅延等が事業活動の障害となり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 重大な感染症

当社グループは、新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの重大な感染症の流行時におきましても、お客様、お取引先様、従業員の健康と安全確保のため、店舗及び本部において手洗い・うがいや咳エチケットの励行等の一般的な感染予防策の徹底と、不要不急の外出・出張等の自粛、多人数での会議自粛、電話会議やWeb会議等の活用、可能な範囲での在宅勤務や時差出勤等の取り組みを行い、営業を継続してまいりました。しかしながら、一時的な店舗閉鎖が発生した場合や感染症の影響が想定を超える事態に拡大長期化した場合には、来店客数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 商品仕入

当社グループは、顧客ニーズに応じた商品を適切な数量及び価格で提供するために、仕入先の分散化や一部商品のPB化等で商品仕入の安定化を図っております。しかしながら、世界的な資源不足や原材料不足等により商品仕入に支障が発生した場合や、仕入価格が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 出店施策

当社グループは、小売事業において全国各地への積極的な出店を行っております。店舗の出店に際しては「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等の様々な法令や各地の条例に基づく規制を受けております。これらの法令の改正や規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店が困難となる場合があります。また、経済情勢の変化により出店用地の確保に時間を要する場合や、建築資材の高騰により出店コストが増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 固定資産の減損

当社グループは、店舗に係る有形固定資産を保有しており、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、店舗収益の悪化、地価の下落やその他要因により資産価値が下落した場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 個人情報保護

当社グループは、小売業が中心の事業形態であり、お客様個人に関わる情報を多数保有しております。個人情報の管理に関しましては万全を期しておりますが、予期しえない不正アクセスによる情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) コンプライアンス

当社グループは、全ての役職員が社会規範と企業倫理を理解し、良識ある企業行動を行うよう「コンプライアンス規程」の制定、行動規範を集約した「イエローハット憲章」を作成し全役職員へ配布、「内部通報制度」の運用等、様々な手段を用いて遵法意識の向上に努めております。しかしながら、万が一、役職員による故意又は過失による法令違反行為が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得状況の改善やインバウンド需要の増加など明るい材料があるものの、円安基調の継続によるエネルギー価格や原材料価格の上昇、これらを要因とした物価高が続いており、個人消費に関しては依然として先行きが不透明な状況が続いております。

当カー用品業界におきましては、旅行や帰省をはじめとしたドライブ需要、冬季における地域的な寒気の影響や降雪により、タイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の店頭販売が順調に推移いたしました。

このような環境下におきまして、当社グループでは、経営戦略方針の一つであるタイヤを中心とした消耗品の拡販や、取付・整備作業などのメンテナンスメニューを拡充してまいりました。

具体的には、顧客の利便性及び満足度の向上を目的として推進中のWEB作業予約にて、従来からのオイル交換・タイヤ履き替え・ボディコーティングに加え、バッテリー交換・車検見積りの取扱いを開始いたしました。

また、お客様のライフスタイルに合わせた柔軟かつ幅広いご提案を可能とするため、スポーツサイクルチェーン店の「ワイズロード」を運営する株式会社ワイ・インターナショナルを、M&Aにより子会社化いたしました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりで、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が過去最高となりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、建設仮勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ415億5百万円増加し、1,855億35百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、短期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ374億32百万円増加し、649億40百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加があった一方で、配当金の支払い及び自己株式の取得により減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ40億72百万円増加し、1,205億94百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高1,540億66百万円(前年同期比105.1%)の増収となりました。利益につきましては、営業利益154億50百万円(前年同期比106.7%)、経常利益168億38百万円(前年同期比105.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益112億60百万円(前年同期比109.8%)の増益となりました。

 

事業のセグメント別の概況は次のとおりであります。

 (カー用品・二輪用品等販売事業)

当連結会計年度におけるイエローハット店舗の出退店の状況です。

2024年4月に松山高岡店(愛媛県)、6月に高萩インター店(茨城県)、トレッド新潟長岡店(新潟県)、8月にトレッド石川羽咋店(石川県)、板橋西台店(東京都)、9月に豊川下長山店(愛知県)、トレッド新潟新発田店(新潟県)、10月に八街ひじかい店(千葉県)、裾野千福店(静岡県)、11月にトレッド群馬藪塚インター店(群馬県)、伊勢原白根店(神奈川県)、2025年3月に福岡松島店(福岡県)、鴻巣宮地店(埼玉県)、神戸垂水店(兵庫県)の計14店舗を開店、2024年5月に高萩店(茨城県)、7月にトレッド246裾野店(静岡県)、2025年2月に北本中丸店(埼玉県)の計3店舗を閉店いたしました。

イエローハット店舗以外では、2024年4月にカワサキプラザ博多(福岡県)、5月にバイク館港南店(神奈川県)、9月に和歌山2りんかん(和歌山県)、バイク館和歌山塩屋店(和歌山県)、2025年3月にバイク館福岡松島店(福岡県)、神戸垂水2りんかん(兵庫県)、バイク館神戸垂水店(兵庫県)の計7店舗を開店、2025年3月に伊川谷2りんかん(兵庫県)を閉店いたしました。また、2024年8月にイエローハット鈑金・車検センター千歳店(北海道)を開設、2025年1月には株式会社ワイ・インターナショナルの子会社化によりワイズロード屋号にて営業する28店舗を取得いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度末の店舗数は、イエローハット751店舗(出店14店、退店3店)、2りんかん63店舗(出店2店、退店1店)、バイク館(カワサキプラザ含む)75店舗(出店5店)、ワイズロード28店舗の合計917店舗、イエローハット車検センターが10店舗、イエローハットコイン洗車場が11店となりました。

 

当連結会計年度のカー用品・二輪用品等販売事業の売上高は、1,482億87百万円(前年同期比105.4%、75億63百万円増)、セグメント利益につきましては、140億56百万円(前年同期比108.1%、10億52百万円増)となりました。

 

店舗数

2024年

 

 

2025年

 

 

店舗区分

3月末

子会社店舗

グループ
/FC店舗

3月末

増減

国内

イエローハット(カー用品販売)

740

410

341

751

+11

2りんかん  (二輪用品販売)

62

62

1

63

+1

バイク館   (二輪車両販売)

70

75

0

75

+5

ワイズロード

   (スポーツサイクル販売)

28

0

28

+28

 

合計

872

575

342

917

+45

 

(注)イエローハットの店舗数には、格安タイヤトレッドの店舗を含めております。

バイク館の店舗数には、カワサキプラザの店舗を含めております。

店舗数には、イエローハット車検センター及びイエローハットコイン洗車場を含めておりません。

 

(賃貸不動産事業)

当連結会計年度の賃貸不動産事業の売上高は、57億79百万円(前年同期比97.7%、1億37百万円減)、セグメント利益につきましては、13億94百万円(前年同期比94.7%、77百万円減)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

科目

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

11,483

16,277

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,308

△16,735

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,588

26,855

現金及び現金同等物に係る換算差額

1

△0

現金及び現金同等物の増減額

△3,414

26,397

現金及び現金同等物の期首残高

8,251

4,838

現金及び現金同等物の期末残高

4,838

31,235

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ263億97百万円増加し、312億35百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、162億77百万円(前連結会計年度は114億83百万円の資金の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が164億43百万円、減価償却費が30億79百万円あった一方で、法人税等の支払額が50億45百万円あったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、167億35百万円(前連結会計年度は113億8百万円の資金の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が120億92百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が47億12百万円あったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、268億55百万円(前連結会計年度は35億88百万円の資金の支出)となりました。これは主に、短期借入金の増加が350億円あった一方で、自己株式の取得による支出が50億円、配当金の支払額が31億44百万円あったことによります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

カー用品・二輪用品等販売事業

970

104.0

 

 

b. 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

最近2連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

カー用品・
二輪用品等販売事業

140,724

99.7

148,287

105.4

賃貸不動産事業

5,917

99.5

5,779

97.7

合計

146,641

99.6

154,066

105.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.部門別売上高は次のとおりであります。

部門別

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

増減
(△は減少)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

前期比
(%)

卸売部門

45,688

31.2

46,128

29.9

439

101.0

小売部門

91,311

62.3

98,200

63.7

6,888

107.5

その他

9,641

6.6

9,738

6.3

97

101.0

合計

146,641

100.0

154,066

100.0

7,425

105.1

 

(注) 賃貸不動産収入は「その他」に含まれております。

 

 

3.品目別売上高は次のとおりであります。

品目別

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

増減
(△は減少)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

前期比
(%)

タイヤ・ホイール

45,052

30.7

48,929

31.8

3,877

108.6

オーディオ・ビジュアル

8,394

5.7

8,332

5.4

△61

99.3

洗車・オイル・ケミカル

15,613

10.6

15,949

10.4

335

102.1

機能用品

16,495

11.2

17,407

11.3

912

105.5

車内・車外用品

6,501

4.4

6,590

4.3

89

101.4

二輪用品

15,344

10.5

15,549

10.1

204

101.3

その他

39,239

26.8

41,307

26.8

2,068

105.3

合計

146,641

100.0

154,066

100.0

7,425

105.1

 

 

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(財政状態の分析)

a. 資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は、767億89百万円(前連結会計年度末477億9百万円)となり、290億79百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が263億97百万円、棚卸資産が26億47百万円増加したことによります。

また、固定資産の残高は1,087億46百万円(前連結会計年度末963億20百万円)となり、124億25百万円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が30億87百万円、建物及び構築物(純額)が27億70百万円、土地が25億30百万円、のれんが23億54百万円、投資有価証券が15億40百万円増加したことによります。

この結果、総資産残高は1,855億35百万円(前連結会計年度末1,440億30百万円)となりました。

b. 負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は、588億27百万円(前連結会計年度末217億64百万円)となり、370億63百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が350億円増加したことによります。

また、固定負債の残高は61億12百万円(前連結会計年度末57億43百万円)となり、3億69百万円増加いたしました。

この結果、負債残高は649億40百万円(前連結会計年度末275億7百万円)となりました。

c. 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は、1,205億94百万円(前連結会計年度末1,165億22百万円)となり、40億72百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益による増加、配当金の支払い及び自己株式の消却による減少により利益剰余金が71億2百万円、その他有価証券評価差額金が9億円増加した一方で、自己株式の取得及び消却等により自己株式が25億7百万円増加、自己株式の消却等により資本剰余金が14億24百万円減少したことによります。

 

(経営成績の分析)

当連結会計年度におきましては、タイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の販売好調と、工賃収入増加の影響等により、売上高は1,540億66百万円(前年同期比105.1%、74億25百万円増)、売上総利益は、粗利率の高い工賃収入の伸び率が高かったことから673億91百万円(前年同期比107.3%、45億64百万円増)となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費の上昇等により、519億40百万円(前年同期比107.4%、35億88百万円増)となりました。

その結果、営業利益は154億50百万円(前年同期比106.7%、9億75百万円増)、経常利益は168億38百万円(前年同期比105.5%、8億74百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては112億60百万円(前年同期比109.8%、10億1百万円増)となりました。

売上高の主な部門別内訳につきましては、小売部門は982億円(前年同期比107.5%、68億88百万円増)、卸売部門は461億28百万円(前年同期比101.0%、4億39百万円増)となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、国内経済情勢及び天候要因等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 

旧中期経営計画(2025年3月期)の達成状況は以下のとおりです。

タイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の販売好調と、車検など工賃収入増加の影響等により、売上高は計画比102.7%となりました。また、新規出店等の設備投資に伴う減価償却費の増加や、人件費を始めとした店舗運営コストの上昇等がありましたが、営業利益は計画比103.0%、経常利益は計画比102.7%となりました。

さらに、資本政策の遂行と株主還元策の一環として、1,929,600株の自己株式取得及び消却を実施いたしました。

以上の財政状態、経営成績の結果、自己資本比率は64.9%となり、ROE(自己資本当期純利益率)は目標8.0%を上回る9.5%となりました。

 

旧中期経営計画

2025年3月期

 

目標

2025年3月期

 

実績

売上高

1,500億円

1,540億円

営業利益

150億円

154億円

経常利益

164億円

168億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

105億円

112億円

ROE(自己資本当期純利益率)

8.0%以上

9.5%

 

 

なお、資本市場における資本効率や企業価値向上への意識の高まりといった経営環境の変化に対応するため、より具体的な当社の目指す姿や目標数値を含めた2026年3月期から2028年3月期までの3ヶ年を対象とする中期経営計画を新たに策定し、2025年1月に発表いたしました。

 

 新中期経営計画

2025年3月期

 

実績

2026年3月期

 

目標

2028年3月期

 

目標

売上高

1,540億円

1,700億円

1,800億円

営業利益

154億円

159億円

168億円

経常利益

168億円

172億円

181億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

112億円

114億円

118億円

ROE(自己資本当期純利益率)

9.5%

10.0%以上

 

注)億円未満切り捨て

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要の主なものは、商品等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資資金需要の主なものは、店舗設備の修繕、新規出店等の設備投資及び関連事業を中心としたM&Aへの投資等であります。株主還元については中長期的な視点で連結業績に応じた利益還元を重視し、連結配当性向30%以上を目安に、安定的な配当を継続して行うことを基本方針としておりますが、新中期経営計画期間中の2026年3月期から2028年3月期までの3ヶ年については、配当性向45%を目安、総還元性向を3年累計で100%以上とする方針としております。

運転資金、投資資金及び株主還元については、自己資金及び銀行借入により充当することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(提出会社)

(1) イエローハットグループ店契約 (日本)

当社は、既存の小売店と共存共栄を図ることを基本方針として、特定の店舗に関してイエローハットグループ店契約を締結しております。その契約の主な事項は下記のとおりであります。

契約の目的

株式会社イエローハット(乙)は、加盟店(甲)に対して、乙が使用している商標を提供します。
甲はイエローハットグループに参加し、乙の指導により経営します。
乙は、甲に対して同一企業イメージで事業を行う権利を与え、乙の指導と援助のもとに継続して営業を行い、相互信頼に基づいて共存共栄をはかり、地域社会の車文化に貢献することを目的とします。

商品仕入・販売

甲は乙より商品を仕入れ、消費者に販売しアフターサービスを行います。

契約期間

契約発効の日から5年。ただし期間満了日の3ケ月前までに、甲乙いずれか一方から書面による契約解除の申し出がない場合は、以後2年ごとに自動更新。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。