第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は「挑戦する個人・企業を応援し、すべてのステークホルダーと感動体験を共有し、より良い世界を創造する」ことを企業理念に掲げ、‘Stride with Challengers(挑戦者達と共に闊歩する)’というコーポレートスローガンを合言葉に、投資・不動産事業を軸に企業活動を展開しております。

子会社10社及び関連会社1社から構成される当社グループは国内外、海外では南・東南アジアを成長セクターとして捉え、戦略的な事業提携・スタートアップ投資及び事業承継などを推進しており、長期保有という投資基本方針の下、投資実行後は当社で培った経営資源を投入し、多角的、重層的に事業を支援することにより、投資先の企業価値を向上させると共に、当社グループの収益・価値の最大化を目指します。

現在、2030年に向けた「持続可能な開発目標」や、サステナブルな循環型社会への変容に対して、企業として責任ある役割を果たすことが重要になってきていることも踏まえ、不確実で変化が早い時代において、柔軟かつ能動的に適応できる人材の育成や外部人材との連携を強化することで、既存事業のさらなる価値向上と新規事業の創出に努め、上記企業理念を体現できるよう努めてまいります。

 

(2) 経営戦略

不動産事業における主力事業であるレジデンス事業では、管理戸数を着実に積み上げ、安定収益基盤を強化することに加え、業界に先駆けてデジタル化の推進やSaaSなどを活用することにより、経営の効率化を同時に図ってまいります。また、売買事業は、不動産市況など外部環境を的確に捉え、金融機関とも連携しながら、潜在的な顧客ニーズへ対応してまいります。

ホテル事業は、アフターコロナの新たな観光需要やインバウンド需要の急速な高まりに応えるべく、地域社会との連携をより強化し、多目的空間としてのホテル活用など新たな顧客体験価値の創造を進めます。オペレーションに関しては、DX化の推進による省人化などを念頭に、収益性の向上に努めます。

海外事業においては、南・東南アジアを中心にアウトバウンド投資を加速させ、ノウハウとネットワークを積み重ねるとともに、海外からの投資誘致や海外企業・投資家との共同投資などインバウンド投資の機会を模索いたします。国内においては、既存投資先のバリューアップに繋がるM&Aや業務提携、事業承継案件などを積極的に検討し、新たな付加価値を創出してまいりたいと考えております。

 

(3) 経営環境

新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴う感染状況に対する一般社会の受けとめ方の変容により、わが国経済は回復局面を迎える一方、未だ終わりの見えないウクライナ情勢の膠着等が世界規模で供給面の制約を長期化させ、欧米を中心とした物価上昇と金融引締めが続くなか、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや、為替相場をはじめとした金融資本市場の変動等による影響に、引き続き十分注意していく必要があるものと想定しております。

このような中、当社グループの主力事業である不動産事業に関しては、東京都区下を中心とした首都圏を地盤とするレジデンス事業において、新型コロナウイルス感染症の影響はさほど大きくはなかったものの、「5類」移行を契機に、今後は例年通りの水準で推移していくものと見込んでおります。また不動産売買事業に関しても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて取引数の減少した状態が長らく続いておりましたが、次第に投資用物件の売買の動きが活発になっていくことを想定しております。

ホテル事業に関しては、インバウンド観光客による訪日需要の高まりを受けて、成田ゲートウェイホテル、倉敷ロイヤルアートホテルの両ホテルともに、比較的早期にコロナ前水準への回復が見込めるものと考えています。

また、海外事業に関しては、不透明感の続く南・東南アジアのベンチャーキャピタル市場も年末に向けて正常な状態へと戻っていくと予想しております。他方で、円安や他国と比較した景気動向等から、日本国内への海外企業・投資家による投資機会は今後、ますます増えていくものと考えております。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① グループ管理体制の強化

機動的な事業展開を可能にするために、10社の連結子会社より構成されたグループ会社の経営状況の適時な把握に努めるほか、グループの経営管理を強化すべく、事業執行権限の見直しと業務報告体制の整備を実施してまいります。また、グループ間の資金管理を一元化等することで、より効率的な事業基盤を確立してまいります。

② 内部経営資源の有効活用

迅速かつ効果的な経営判断をする為に、グループ情報の共有化や幹部間による情報交換等、グループ間のコミュニケーション体制を確保してまいります。また、社員研修等によるグループ共通人材の育成に注力することにより、グループ間の連携強化とグループシナジーを追求してまいります。

③ 外部経営資源の積極的な活用

当社グループの発展のために、当社の企業理念等に相応したM&Aやエクイティ投資のほか、幅広く内外の企業及び専門家との提携等を積極的に実施してまいります。

④ 内部管理・コンプライアンス体制の構築

会社法・金融商品取引法を踏まえた内部統制の整備については、グループ各社において、業務プロセスの文書化、可視化によるルール整備を進めております。また、コンプライアンスにつきましても、当社グループの企業行動憲章や社員行動規範等をグループ内で周知徹底するとともに、社員研修等による教育を実施しております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は、2010年に商号を株式会社ストライダーズに変更して以降、投資会社としての属性が強まる中、持続可能な事業を開発し、投資し、運営していくことで、多様性と包摂性に富み、人と社会にとって持続可能でより良い世界を創造することを目指してきました。昨今、投資家が企業に求めるサステナビリティの充実度が年々高まっていることを踏まえ、グループの目指すべき方向をわかりやすく社内外に示すため、以下のとおり、2023年3月にサステナビリティ基本方針を定めました。

 

ストライダーズ サステナビリティ基本方針

「持続可能でより良い世界を創造するための挑戦を続け、社会課題の解決と経済価値の向上に貢献する」

 

環境

・既存事業の環境負荷低減に努めるとともに、事業を通じて環境問題の解決に取り組む

・環境視点を重視した事業投資、グリーンファイナンスを推進する

 

社会

・スポーツや芸術・文化に関わる人々を応援し、豊かな社会づくりに貢献する

・人権や多様性に配慮しながら、ステークホルダーとの連携を深める

・働きがいのある職場づくりを進めることで、社員のウェルビーイングを高め、挑戦の土台を強固にする

 

ガバナンス

・適切な情報開示を進めるとともに、コーポレート・ガバナンスの強化に向けて取り組みを進める

2023年3月制定

 

 

なお、サステナビリティについて、構成要素ごとの具体的な状況は以下のとおりです。

 

(1) ガバナンス・リスク管理

サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別・評価するため、まずはIR・サステナビリティチームが情報収集や分析を行い、定例ミーティングで共有するとともに、日常的な部署間の連携を図っています。その中で特に重要なものについてはグループ経営会議において、適切に情報共有を図るとともに、グループ会社については、各社ごとにサステナビリティ推進担当を設置し、IR・サステナビリティチームと連携しながら、グループ全体でのサステナビリティの推進に向けて取り組んでいます。

今後は、こうしたサステナビリティに関する社内の動きを一定期間ごとに総括し、取締役会に報告・議論し、その過程等について見直し・改善を行うなど、サステナビリティに関するガバナンスを強化してまいります。

 

(2) 戦略・指標及び目標

当社はこれまで各事業セグメントで具体的な案件ごとに、サステナビリティの視点を重視しながら事業活動を展開してまいりました。その一例として、不動産事業ではペーパレス化や社内環境の整備、ホテル事業では環境に配慮したホテル運営や新型コロナウイルス感染症の無症状者・軽症者向け宿泊施設としての貸し出し、海外事業では投資事業におけるインパクト投資の実施、投資先選定時のサステナビリティ基準のチェックや女性起業家の支援などがあります。

一方で、これまでは個別案件の積み重ねの色合いが強く、またサステナビリティ基本方針を定めた時期が直近の2023年3月ということもあり、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針や社内環境整備に関する方針といったサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取り組みは未だ十分とは言えない状況であると認識しております。今後は、まず「サステナビリティに関する重要課題の特定」「各事業の課題の特定」を行った上で、サステナビリティに関する戦略を定めるとともに、重視する指標についても整理していく所存です。また、今後の目標の方向性としては、「TCFDなどのイニシアチブへの賛同」「サステナブルファイナンス」などを念頭に置きながら、具体的に検討を進めてまいります。

 

なお、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する取り組みとしては、女性、外国人、中途採用者など、多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行いつつ、それぞれの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備やマネジメント層の教育などを進めております。2023年3月末日において、当社連結従業員総数135名のうち女性は44名でその割合は32.6%、当社単体従業員総数10名のうち女性は3名でその割合は30.0%、外国人は2名でその割合は20.0%ですが、今後この比率の拡大を目指します。

 

人員数

全体に占める比率

備考

女性従業員

44名

32.6%

連結

女性従業員

3名

30.0%

単体

外国人従業員

2名

20.0%

単体

 

 

また、その他の取り組みとしては、資格取得などの費用を補助する自己啓発経費補助規程を設け、従業員の挑戦を支援するほか、コンプライアンス研修や健康をテーマにしたセミナーなども実施し、働きやすい社内環境づくりに取り組んでいます。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 不動産事業に関するリスク

① 法的規制等に関するリスクについて

当社グループの不動産事業については、当社連結子会社である株式会社トラストアドバイザーズが不動産事業者として、「宅地建物取引業法」及び「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等に基づく免許を受け、事業展開しており、当該法令の法的規制等を受けております。当社グループではこれらの法的規制等を遵守するよう努めておりますが、法令違反が発生した場合や今後、これらの法令の改廃や新たな法的規制等が設けられる場合には事業活動に制約を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競争環境の激化

当社グループの不動産事業については、新規参入等により競合他社が他業種と比べ多く存在し、IT技術を不動産分野に応用した新しいサービスが次々に開発されるなど、技術革新も進んでいます。当社連結子会社である株式会社トラストアドバイザーズにおいても、こうした競合環境の中、新しい取り組みを進め、顧客満足を高めるサービスを展開しておりますが、競争激化により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 賃料収入の減少

当社グループの不動産事業では、当社連結子会社である株式会社トラストアドバイザーズが不動産オーナーから借上げた賃貸不動産を入居者へ転貸し、入居者から得られる賃料収入を収入源としております。賃貸不動産に対するニーズは景気の変動に影響を受けやすく、今後、経済情勢の悪化や都心部からの人口流出などにより、入居率が低下した場合、賃料収入が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 礼金・敷引金・更新料制度の変更・廃止

当社グループの不動産事業では、当社連結子会社である株式会社トラストアドバイザーズが、賃貸不動産入居者との賃貸借契約において、新規入居時に礼金や敷引金を、契約更新時に更新料を設定し、礼金・敷引金・更新料を受領しています。これは不動産業界の一般的な慣行であり、最高裁判所の判決では一定の条件のもとで更新料の有効性等が認められておりますが、仮に上記金銭を返還しなければならなくなった場合、もしくは将来、これら金銭を受領することができなくなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 不動産市況の悪化

当社グループの不動産事業において、不動産に関連する税制改正や金融機関の融資姿勢の変化など、不動産投資にマイナスの影響が出る事象が発生し、不動産取引が低迷した場合、不動産売買事業における販売額・件数等が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) ホテル事業に関するリスク

① 必要な人材を確保できないリスク

新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行により、ホテル事業を取り巻く環境が正常化しつつある中で、当該感染症の影響により長期の停滞を余儀なくされた我が国のホテル業界においては、他業界への人材の流出が起こり、依然として、人材の空洞化が顕著な状況にあります。こうした適正な人員確保が難しい状況が、インバウンド需要の急速な高まりや旺盛な内需の取り込みを阻害する要因となり、大幅な収益機会のロスにつながる可能性が懸念されます。

 

② エネルギー価格の高騰、人件費の増加

ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する世界的なサプライチェーンの混乱や、我が国のエネルギー政策の過渡期にある昨今、エネルギーの需給バランスが崩れ、ホテル業界を含む、あらゆる業界において、水道光熱費をはじめとするエネルギー価格の急騰が、事業運営を圧迫する状況が続いております。

また、岸田政権下における物価上昇と歩調を合わせた企業に対する賃上げの期待や、ホテル業界の人材獲得施策として、人件費の上昇傾向が続いております。

こうした中、適正なサービス価格への転嫁が実現できない場合には、ホテル事業の採算が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新型コロナウイルス感染症に代わる、新たなパンデミックの流行

世界経済は新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機を克服し、徐々に平時を取り戻しつつある一方で、気候変動による生態系の変化等は、新型コロナウイルス感染症に続く第2、第3のパンデミックを引き起こす危険を常に孕んでおります。こうした新型コロナウイルス感染症に代わる、新たなパンデミックが世界的に流行した場合、再び遠距離移動や団体行動の制限が起きることが十分に予想され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えられます。

 

④ 自然災害

近い将来、その発生の切迫性が指摘される大規模地震や、気候変動の影響により猛威を振るう水災害等、我が国における自然災害の発生リスクは年々高まりを見せております。当社グループのホテル事業において、仮に大規模地震や台風等の自然災害が発生した場合、当社グループの所有する建物、施設等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 食中毒等、食の安全性に関する問題

当社グループのホテル事業では、レストラン、宴会場等において食事や飲料を提供しており、衛生管理に係るマニュアルの整備や従業員に対する教育指導の徹底等、衛生管理体制の強化に努めておりますが、万が一、食中毒や食品衛生上の問題が発生した場合、一定期間の営業停止等の処分を受ける可能性がある他、イメージの低下等により顧客離れが起こり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外事業に関するリスク

① 投資先のカントリーリスク等

当社グループの海外事業においては次に掲げる特有のリスクが考えられ、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

イ.経済情勢や競合他社の活動状況

ロ.予測しえない法律や規則の施行・制定、税制の変更

ハ.戦争、疾病、テロ、デモ等による社会的混乱

ニ.不利な政治的要因の発生

ホ.通貨価値や為替相場の変動

 

 

(4) その他のリスク

① 事業投資に関連したリスク

当社グループは、グループ全体の発展のために事業投資を行っており、さまざまな投資形態を採用し、国内外で上場・未上場問わず投資対象を選定しております。そのため、国内外の経済情勢等の影響を受け、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また、投資先企業に対して派遣した当社役職員が損害賠償請求等をされた場合、当社グループに使用者責任及び当該賠償金額を負担する義務が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 風評被害

当社グループの事業に対して、悪質なデマや誹謗中傷がSNSをはじめとする情報媒体等を介して行なわれた場合、当社グループ全体の健全な事業活動の運営に支障を来たし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新株予約権による株式の希薄化リスク

当社グループは役員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。新株予約権の権利行使が行われた場合、当社株式が新たに発行され、当社株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④ 個人情報漏洩のリスク

当社グループは、個人情報保護法により定められた個人情報の漏洩防止に努めるべく、個人情報の管理体制を整備しております。しかしながら、情報化社会における昨今の個人情報を取り巻く環境は年々複雑さを増しており、予期せぬ事態により個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の低下や当該漏洩事件に対応するために発生する費用等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況に関する認識

当連結会計年度におけるわが国経済は緩やかに持ち直しつつある一方で、世界規模での供給面での制約が顕在化し、欧米を中心とした物価上昇と金融引締めが続くなか、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや、為替相場をはじめとした金融資本市場の変動等による影響に十分注意していく必要があります。

このような経済状況下、当社グループ(当社及び連結子会社)は、引き続き、海外における新規投資機会の獲得活動を継続する一方、新規事業戦略の検討や既存事業における経営の効率化等に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度の業績は売上高7,371百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益143百万円(前年同期は営業損失33百万円)、経常利益232百万円(前年同期比13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益118百万円(前年同期比30.0%減)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

<不動産事業>

不動産事業につきましては、株式会社トラストアドバイザーズにおいてマンションオーナー向けのリーシング及び賃貸管理とマンション建物の受託管理を行うレジデンス事業、並びにマンションオーナーの購入・売却ニーズに対応する不動産売買事業を営んでおります。レジデンス事業は前年同期比で、管理戸数やサブリース賃貸借契約の賃料水準に大きな変化はありませんでしたが、サブリース契約の中途解約とそれに伴う新規テナントとの契約締結が増加し、関連する手数料収入が増加する一方、サブリース賃料収入の粗利益が減少傾向にあるため、増収は確保したものの、売上総利益の増加は微増に留まりました。また、不動産売買事業は、投資用マンションの売買取引が引き続き減少したことから、売上、売上総利益とも大きく減少しました。その結果、当連結会計年度の不動産事業の売上高は5,906百万円前年同期比3.4%減)となり、営業利益は引き続き販管費の抑制に努めたものの171百万円前年同期比8.2%減)となりました。

 

<ホテル事業>

ホテル事業につきましては、現在、成田空港エリアで成田ゲートウェイホテル、倉敷美観地区エリアで倉敷ロイヤルアートホテルを運営しております。成田ゲートウェイホテルは、新型コロナウイルス感染症の無症状者・軽症者向け療養施設として、2020年4月18日から千葉県に貸し出しており、業績としては堅調に推移しております。他方、倉敷ロイヤルアートホテルにおいては、当連結会計年度の新型コロナウイルス変異株の感染状況に対する一般社会の受けとめ方が変化したこと、また、10月から政府による全国規模での旅行支援策が実施されたことを受け、ホテル稼働率と客室単価が前年同期比で大きく改善し、増収増益となりました。このような両ホテルの業績を合算した結果、セグメント全体では大幅な増収増益となり、当連結会計年度のホテル事業の売上高は1,104百万円前年同期比15.4%増)、営業利益は175百万円前年同期比269.2%増)となりました。

 

<海外事業>

海外事業につきましては、シンガポールにおいてStriders Global Investment Pte. Ltd.が投資事業を行うほか、インドネシアにおいてPT. Citra Surya Komunikasiが主として日系企業向けに広告代理店業務を行っておりましたが、前第2四半期連結会計期間において、連結子会社PT. Citra Surya Komunikasi株式の一部を譲渡し、連結の範囲から除外しております。その結果、当連結会計年度の海外事業の売上高を計上しておりません(前年同期は売上高48百万円)。営業損失は2百万円前年同期は営業損失84百万円)となりました。

当連結会計年度におきまして、Striders Global Investment Pte. Ltd.では、スリランカ共和国における経済危機の他、南・東南アジアのベンチャーキャピタル市場がますます不透明感を増す中で、新規の投資に対して慎重な姿勢を取りつつも、東南アジアのヘルステック企業であるNaluri社への出資やR3i Venturesグループとの共同投資アライアンスの締結等、継続して将来の投資リターンを支える取り組みを実施してまいりました。なお、国内経済の混乱が懸念されるスリランカ共和国の既存投資先2社につきましては、両社とも従来からスリランカ国外における事業拡大に注力してきたことに加え、事業活動のベース通貨に占めるスリランカルピーのウェイトは低く、同国の経済混乱の影響につきましては、現時点において十分にコントロールできているものと考えております。

 

 

② 財政状態の状況に関する認識

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,065百万円となり、前連結会計年度末に比べ18百万円増加しました。これは主に棚卸資産が17百万円減少する一方で、未収法人税等が16百万円、売掛金が11百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は1,586百万円となり、前連結会計年度末に比べ157百万円減少しました。これは主に投資有価証券が101百万円、建物及び構築物(純額)が69百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は4,651百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円減少しました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,043百万円となり、前連結会計年度末に比べ145百万円増加しました。これは主に一年内返済予定社債が100百万円、未払法人税等が67百万円増加したこと等によるものであります。

固定負債は1,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ350百万円減少しました。これは主に長期借入金が165百万円、社債が160百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は2,133百万円となり、前連結会計年度末に比べ205百万円減少しました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、2,517百万円となり、前連結会計年度末に比べ66百万円増加しました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益118百万円を計上したこと、配当により42百万円を利益処分したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は、53.5%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は2,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ2百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は261百万円(前年同期は32百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益228百万円や法人税等の支払額112百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は62百万円(前年同期は83百万円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入140百万円や投資有価証券の取得による支出41百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は331百万円(前年同期は245百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出208百万円や社債の償還による支出60百万円があったこと等によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

その他の一部で生産活動を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため記載しておりません。

 

b.受注実績

その他の一部で受注販売活動を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

不動産事業(千円)

5,906,464

△3.4

ホテル事業(千円)

1,102,804

15.4

海外事業(千円)

報告セグメント計(千円)

7,009,269

△1.6

その他(千円)

361,803

△5.7

合計(千円)

7,371,072

△1.8

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10未満であるため記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容

前述した当連結会計年度における経営成績の状況に関する認識を踏まえ、今後の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴う感染状況に対する一般社会の受けとめ方の変容により、わが国経済は回復局面を迎える一方、未だ終わりの見えないウクライナ情勢の膠着等が世界規模で供給面の制約を長期化させ、欧米を中心とした物価上昇と金融引締めが続くなか、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや、為替相場をはじめとした金融資本市場の変動等による影響に、引き続き十分注意していく必要があるものと想定しております。

不動産事業において、主力のレジデンス事業につきましては、新型コロナウイルス環境下においても引き続き堅調に推移してまいりましたが、1月から3月の繁忙期にかけては例年通りとはいかないまでも入居者に活発な動きがみられたこと、加えて先般の新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行が追い風となり、今後は例年通りの水準で推移していくことを見込んでおります。また不動産売買事業につきましても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて取引数の減少した状態が長らく続いておりましたが、次第に投資用物件の売買の動きが活発になっていくことを想定しております。

成田ゲートウェイホテルは、千葉県からの要請に基づき、2020年4月から新型コロナウイルス感染症の無症状者・軽症者の一時的な療養者施設として、およそ3年間に渡り運営を続けてまいりましたが、国内における新規感染者数の大幅な減少を受け、2023年5月末をもって施設提供を終了し、2023年6月より通常のホテル営業を再開しております。ホテル営業は再開したものの、当ホテルの強みであるインバウンド観光客等の仕込みに一定の時間を要することから、段階的に稼働率を上げていき、下期以降に従来の稼働水準へ戻すことを想定しております。また、倉敷ロイヤルアートホテルにつきましては、倉敷美観地区エリアにインバウンド観光客を中心に賑わいが戻る中で、「コロナ禍」後の新たな観光需要に対応すべく、かねてより取り組んでまいりました「アートとホテルの融合」「多目的空間としてのホテル活用」や「瀬戸内地域の連携と協創」を重点テーマに掲げ、新しいホテル、観光産業の形を模索してまいります。

海外事業においては、年末に向けて、南・東南アジアのベンチャーキャピタル市場が正常な状態に戻っていくとの予想の下、R3i Venturesグループとの共同投資等を通じて、南・東南アジアのSDGsに貢献するディープテックやヘルステック分野へのベンチャーキャピタル投資を行ってまいります。また、当社の海外投資家ネットワークを活用し、日本国内へのインバウンド投資のファシリテートにも注力してまいります。

 

財政状態の状況に関しましては、財政状態の状況に関する認識を踏まえ、第4四半期連結会計期間において投資有価証券として保有する株式会社アマガサ株式を売却したことを主要因として、総資産は前連結会計年度末に比べ138百万円減少し、4,651百万円となりました。また、当連結会計年度を通じて、借入金の返済や社債の償還が進んだことにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ205百万円減少し、2,133百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上118百万円と配当による利益処分42百万円を加味した結果、純資産は前連結会計年度末に比べ66百万円増加し、2,517百万円となりました。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を把握するための客観的な指標等については、事業の規模拡大と収益力の向上のために「売上高」と「営業利益」を採用しております。また、その他の指標等については、以下のとおりとなっております。

a.自己資本比率について

当社グループの当連結会計年度末における自己資本比率は53.5%となり、前連結会計年度末の50.6%より、2.9ポイント上昇いたしました。これは、財政状態の状況に関する認識において前述したとおり、当連結会計年度末における純資産が2,517百万円と、前連結会計年度末に比べ66百万円増加し、また、総資産は4,651百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円減少したことによります。当社グループとしては、今後も経営環境の変化に応じ、資産の効率性にも留意しながら、バランスの取れた自己資本の水準を維持してまいります。

 

b.デットエクイティレシオについて

当社グループの当連結会計年度末におけるデットエクイティレシオ(有利子負債/自己資本)は0.45倍となり、前連結会計年度末の0.57倍から0.12ポイント圧縮しております。これは、借入金と社債の返済を実施する一方で、金融機関からの資金調達を実施しなかった結果であります。今後につきましては、投資環境や金融環境に応じ、資金調達を拡大させる余地が十分にあるものと考えておりますが、資産の効率性にも留意し、慎重に判断をしてまいります。

 

 

c.自己資本利益率について

当社グループの当連結会計年度末における自己資本利益率は4.8%となり、前連結会計年度末の7.2%より2.4ポイント低下いたしました。これは、経営成績の状況に関する認識において前述したとおり、親会社株主に帰属する当期純利益が118百万円(前年同期比30.0%減)であったことによります。当社グループでは市場における投資家の期待リターンを踏まえ、自己資本利益率10%を中期的な目標値として、収益性の向上及び資本効率の改善に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは261百万円の獲得となり、前連結会計年度比で229百万円の大幅な収入の増加となりましたが、これは、前連結会計年度において業績不振の連結子会社であったPT. Citra Surya Komunikasiを連結の範囲から除外したことが主要因であります。

また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは62百万円の獲得となり、前連結会計年度比で146百万円の大幅な収入の増加となりましたが、これは、当連結会計年度において投資有価証券として保有する株式会社アマガサ株式を売却したことを主要因としております。なお、当連結会計年度は投資活動においてキャッシュ・フローを獲得する結果となりましたが、南・東南アジアの未上場株式に対する投資は継続して実行しており、引き続きノウハウとネットワークの蓄積、投資事案の発掘に努めております。

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは331百万円の使用となり、前連結会計年度比で85百万円の支出の増加となりましたが、これは、借入金の返済額の増加が要因であります。コロナ禍においては慎重な投資姿勢を取り、借入金の返済や社債の償還が進む一方で、取引金融機関とは定期的な情報交換を行ない、変わらぬ信頼関係を維持しておりますので、資金需要に応じた機動的な調達能力を十分に有しているものと考えております。

こうした結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,402百万円となり、前連結会計年度比で2百万円の増加とほぼ横ばいで推移しております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、原則として当社がグループ全体の資金需要を把握、管理し、各子会社の余剰資金を配当金等で当社に資金を還元することに加え、必要に応じて金融機関から資金調達を実施する方針を取っております。取引金融機関については、前述の通り、良好な関係を保持しておりますので、今後は調達手段の多様化、長期化などを一段と進め、盤石な財務基盤を確立してまいりたいと考えております。

また、投資案件についてはその都度プロジェクト内容を評価し、自己資金又は金融機関から資金を調達して実行しております。今後は、事業規模の拡大や投資案件の増加に備え、証券化等、調達手段の多様化・分散化も検討事項となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要になります。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループが採用しております重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。

a.固定資産の減損処理

当社グループが保有しております固定資産につきましては、四半期決算ごと及び帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合には減損の検討を実施しております。割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には減損損失を認識し、帳簿価額が割引後将来キャッシュ・フローを超過する額の減損損失を測定しております。当社は、これらの見積りが合理的であると考えておりますが、実際の業績と異なる可能性があります。

 

b.のれんの減損処理

当社グループののれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、収益性が低下し、減損損失が発生する可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動について、特記すべき事項はありません。