第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、LPガス販売を中核とするリビング事業により発展してまいりました。「保安なくして繁栄なし」をモットーに「保安の確保」「安定供給」を追求するとともに快適で安全な暮らしのサポーターとなることを目指しております。

 

(2)中長期的な経営戦略

 当社グループは事業本部を基礎とした商品別セグメントから構成されており、「リビング事業」、「アクア事業」及び「医療・産業ガス事業」の3つを報告セグメントとしております。「リビング事業」は、プロパンガス、ブタンガス、住宅設備機器等の販売をしております。「アクア事業」は、ミネラルウォーターの製造販売等をしております。「医療・産業ガス事業」は、在宅医療機器のレンタル、保守管理及び医療・産業ガス、産業機材等の販売をしております。

 LPガスは仕入価格に連動した販売単価としておりますので、商品市況に影響を受けます。また、家庭用プロパンガスの販売数量は世帯数の増減や気温・水温の影響を受け、業務用・産業用ガスの販売数量は販売先の業種の状況に左右されます。さらに、医療用ガスは厳しい安全管理体制が求められます。

 当社グループは、事業の継続的発展と企業価値の向上を目指した事業ポートフォリオの構築のため、各事業を自立させ、規模のメリットとともに経営の効率化、合理化を図り、エネルギー自由化時代を勝ち抜く企業形態を目指しております。当社グループは強固な経営基盤を構築するため、営業力のさらなる強化を図り、また、営業権の譲受けやM&Aによる新規販売先の獲得等、拡大施策を実施してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は営業利益及び自己資本利益率(ROE)であります。当社グループは、営業拠点・事業部門ごとの営業利益を業績評価指標として重視しており、月次の営業利益を営業拠点・事業部門ごとに把握し、経営会議等において予実分析を行っております。また、ROEは企業の資本効率性の判断指標として重視しており、8%以上を目標としております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 LPガスの販売環境は、電気、都市ガスの小売り自由化や省エネ機器の普及、都市ガスエリアへの人口シフトによる出荷量の減少、といった厳しい状況にあります。今後につきましては、経営環境の大きな変化で先行きは予断を許さない状況が続くと思われます。当社といたしましては、LPガス消費者軒数増加のため、営業権の譲受けや新規LPガス顧客の開拓を積極的に行い、また、アクア事業におけるミネラルウォーターの宅配事業と医療・産業ガス事業における在宅医療機器レンタル及び医療・産業ガス販売においてもM&A等による事業規模の拡大を図り、リビング事業に続く収益の柱として利益の安定を目指します。

 事業ポートフォリオの観点からも、リビング事業を維持発展させながらアクア事業及び医療・産業ガス事業を第2、第3の収益の柱にするべく経営資源を投入しております。

 来期は「グループ協働でNextステージへPartⅡ~自ら考動(考えて動く)し実践あるのみ~」をテーマとして、社員一人一人が目標に向けて自由な発想で新たな商機を生み出し、大丸エナウィングループで新たなイノベーションを起こして、更なる成長・発展を目指します。

 

 

 各事業の主な施策は次のとおりであります。

<リビング事業>

① CN(カーボンニュートラル)推進部の機能強化により、脱炭素社会に貢献するLPガス関連商材の普及推進に注力します。

② LPガス、アクア商品のセット販売や、グループ会社との連携による拡販に努めます。

③ 全営業店で建築・工事のスペシャリストを育成し、リフォーム事業の自立に注力します。

④ LPWA(広域無線通信検針システム)を計画的に設置し、検針・配送業務の効率化を図ります。

<アクア事業>

① 各事業部門との連携及び他商材を絡めた販売戦略を展開します。

② 販売チャネルの多様化による営業展開を図ります。

③ ミネラルウォーター以外の商材提案も行い、お客様満足度を高めて当社ファン作りに努めます。

④ 設備強化を実施した鈴鹿工場・山中湖工場において、環境への取組みとして、さらなる廃棄物の削減及び効率化した運用に取り組みます。

<医療・産業ガス事業>

① 高圧ガス充填設備を持つ滋賀支店、奈良支店(2025年4月に営業所より支店へ変更)、近畿酸素㈱の3拠点及び製造・物流室が連携し、グループ全体の供給体制の強化及び配送効率の向上を図ります。

② 当社及びグループ会社の近畿酸素株式会社、株式会社キンキ酸器の3社の連携により、近畿圏でのさらなるシェア拡大に努めます。

③ 在宅医療機器のレンタル増加に努め、クリニック、病院とのレンタル契約を推進します。

④ 医療機器サービスセンターにより、医療機器の点検、修理、メンテナンス等の品質の強化に努めます。

⑤ 農業、食品、製薬分野等をターゲット先として、産業用ガスの需要開拓を推進します。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

 当社グループにとってのサステナビリティは、営業地域にエネルギーや医療サービス、住環境の改善サービス等を安定的に提供することで事業の継続的発展と企業価値の向上を目指すことと位置付けております。当社グループは、毎年の幹部会において経営環境の報告等が行われ、取締役会において中期経営戦略に関する議論を行っております。この中で、サステナビリティに関する考え方等の共有も行っており、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティに係る課題に積極的に取り組んでまいります。

 

(2) 戦略

① サステナビリティに関する戦略

 当社グループは、サステナビリティに係る課題について、以下の取組を実施しております。

a.安心・安全な社会への貢献、地域のコミュニティとの連携

 当社グループは、安心安全な社会の実現のために、法律により定められている各種制度に沿って、継続的な保安管理体制を整備運用しております。利用者や地域のコミュニティにおけるイベント等において広く安全情報の提供を行い、また、分散型エネルギーとして災害時のLPガス活用等、地域のコミュニティの防災情報の提供も行っております。

 アクア事業では、自社工場2拠点と自社配送員による宅配網を有しております。滋賀県東近江市とは非常時の飲料水提供の協定を結んでおり、地震、風水害その他の災害が発生し、又は発生する恐れがある場合に、飲料水を迅速かつ円滑に住民の方々へ提供することとしております。引き続き、地域の安心・安全に貢献してまいります。

 

b.コンプライアンス

 当社グループの主たる事業であるガス事業は、国や地方自治体からの許認可に基づきます。当社グループでは、有資格者による定期的な保安点検・設備改善により、法令に適合したガス設備を維持しております。

 なお、入札案件については、不正防止のため担当者から代表取締役社長宛に誓約書を提出しております。また、毎年独占禁止法研修を実施し、社員教育に努めております。

 

c.気候変動への対応

 当社グループは、1991年の株式上場を契機に、気温変動により家庭用LPガスの消費量が大きく変動する経営構造や、利用世帯数の減少傾向等への対応として、産業用・医療用ガスへ事業領域を拡大し、現在は水宅配事業や、医師の処方に基づいて治療用のために行う在宅医療機器のレンタル等へ事業を分散させてまいりました。

 気候変動、特に温暖化により家庭用LPガスの消費量が減少するため、当社グループの業績に影響を及ぼしますが、当社グループにおける家庭用LPガスの売上高は、連結売上高の2割程度であります。

 当社グループは、LPWA(広域無線通信検針システム)による自動検針データを利用して、配送や営業の効率化を図り、車両の効率走行、取引先へのサービス向上を通じてCO2排出量の削減を目指しております。また、2022年度から稼働している南大阪営業所(ハブ機能を有する)の活用による効率配送にも期待しております。

 今後更に事業の拡大を図りつつ、カーボンニュートラルを目指す観点から、可能な限りCO2排出量を削減していく取組を進めてまいります。

 なお、自社設備においては、環境に配慮した太陽光発電や再生可能エネルギー使用の電力、カーボンニュートラルLPガスの使用及びLEDの設置推進を行っております。

 

② 人的資本に関する戦略

 当社は、人材の多様性の確保について、以下の取組を実施しております。

a.仕事と家庭の両立支援

 当社は、仕事と家庭の両立支援として、育児をしながら働ける環境及び制度を整備してまいりました。男性の育児休業取得を推進しており、当事業年度の育児休業取得率は61.5%となりました。今後も、女性が継続して働き、キャリア形成ができるよう取り組んでまいります。特に、地域限定の女性営業担当者が活躍できる環境を整備してまいります。

 

b.中途採用者の活用

 当事業年度末現在、当社の従業員のうち74.6%が中途採用であります。職位別では、役員で55.6%、管理職で36.4%、係長クラスで68.4%となっており、多様性ある人材を積極的に活用しております。

 採用時においても、広く人権を尊重しており、ジェンダー差別等は行いません。

c.育成方針及び社内環境整備方針

 当社は、ガスや医療等に関する事業を行っているため、保安等の法令遵守、資格取得のための研修制度及び講習会等の教育体制を整備しております。また、階層別の研修やハラスメント及びインサイダー防止等の研修を適宜行っております。

 

(3) リスク管理

 当社は、「業務の適正を確保するための体制」として「内部統制システム推進委員会」の設置や、損失の危機に関する「リスク管理規定」を定め、業務執行に係るリスクの把握と分析を行い、適切な対応を行うための全社的な管理体制の整備を行っております。

 取締役会において、リスク管理体制の運用状況の定期的な報告等を行っております。

 

(4) 指標及び目標

① 気候変動に関する指標及び目標

 当社グループは、自社設備における電力使用によるCO2排出量を重要な指標と捉え、2032年3月期に、2022年3月期比で40%削減することを目指しております。今後、中期経営戦略の中で、改めて気候変動に関する指標及び目標の設定を検討してまいります。

 

② 人的資本に関する指標及び目標

 当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

 当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標(2027年3月期

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合(注1)

5.0

1.2

男性労働者の育児休業取得率(注2)

60.0

59.1

労働者の男女の賃金の差異

85.0

80.9

(注1)管理職を課長以上と定義し、計算しております。

(注2)第74期有価証券報告書において、男性労働者の育児休業取得率の「目標(2027年3月期)」を45.0%とし

   ておりましたが、「実績(当連結会計年度)」が当該目標を達成したため、「目標(2027年3月期)」を

   60.0%に変更いたしました。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)燃料の仕入価格の変動について

 わが国のLPガスは、調達のほとんどを輸入に頼っている状況であります。そのため、当社グループの仕入価格は、国際的な政治・経済情勢等の変化による商品取引価格及び為替変動による影響を受けます。また、国内での燃料取引の需給関係によって仕入価格は変動します。仕入価格の変動は販売価格に完全に転嫁できない場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 LPガス以外の取扱商品やサービス等、事業ポートフォリオの最適化を図ります。

 

(2)他エネルギーとの競合について

 当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が厳しく、主力商品であるLPガスはオール電化や都市ガス等の攻勢が考えられます。そのため、当社グループのLPガスユーザーが他エネルギーへの転換により減少した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 災害時のバックアップエネルギーとしての優位性等、提案力を高めてまいります。

 

(3)季節的な変動要因について

 当社グループの主力商品であるLPガスの消費量は、気温や水温の影響を受ける(気温・水温が低いほどLPガスの消費量は増加する)ため、LPガスの販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。そのため、当社グループの売上高及び利益は、需要期である下期に偏重する傾向を有しております。また、特異な季節変動によってもLPガスの販売量が影響を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 LPガス以外の取扱商品やサービス等、事業ポートフォリオの最適化を図ります。

 

(4)法的規制等について

 リビング事業につきましては、LPガス販売において「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」及び「高圧ガス保安法」等の規制を受けております。

 なお、2024年4月2日に「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が公布されました。本省令は、LPガスの商慣行の是正により取引の適正化・料金の透明化を図るための新たな規律を設けるものであり、主な改正事項として、「過大な営業行為の制限」「三部料金制の徹底」「LPガス料金等の情報提供」について規定されています。

 また、灯油等石油類の貯蔵及び設備につきましては「消防法」等の規制を受けております。アクア事業につきましては、ミネラルウォーターの製造において「食品衛生法」等の規制を受けております。医療・産業ガス事業につきましては、医療ガス及び産業ガス販売において「高圧ガス保安法」、「薬機法」等の規制を受けております。

 これらの法令の改正、規制や薬価の改定等に伴い、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 各種資格取得の奨励や社内コンプライアンス研修等による啓蒙を行っております。また、現行法改正についても対応策を検討し対処いたします。

 

(5)保安について

 当社グループが供給する高圧ガスには、可燃性・支燃性・毒性を有するものも含まれております。これらの供給においては保安の確保に万全を期しておりますが、ガスそのものの危険性を解消することは難しく、万が一、漏洩・発火・爆発等により人身や設備に多大の損害が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 各種資格取得の奨励や防災訓練、配送コンテスト等、保安に係る研修を行っております。

 

(6)品質管理について

 アクア事業につきましては、「HACCP(食品自主衛生管理認証制度)」に準じた品質管理体制により「エフィールウォーター」及び「スーパーバナジウム富士」を製造しておりますが、放射能汚染等の外的要因により品質上の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 外的要因による品質上の諸問題については、その都度、専門家のアドバイスを受け対処いたします。

 

 

(7)固定資産の減損について

 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の悪化による収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合は、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することになるため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 設備投資の意思決定にあたり、利益計画に基づく設備投資の経済性計算等により十分に検討するとともに、月次での経営実績の予実管理を徹底し対処いたします。

 

(8)M&Aについて

 当社グループは、事業の拡大を図るために、M&Aを重要な経営戦略の一つとしております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスクの低減に努めております。

 しかしながら、買収後における事業環境の変化等により、想定したシナジーや事業拡大の成果が得られなかった場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 M&Aにおけるノウハウの蓄積や専門家のアドバイス等によりデューデリジェンスの精度を上げるとともに、月次での経営実績の予実管理を徹底し対処いたします。

 

(9)BCPについて

 当社グループは、プロパンガスや医療ガス等、危険性のある高圧ガスを取り扱っております。これまで、災害・事故対策マニュアルを策定し、教育・訓練を行っておりますが、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の発生により対策が機能せず、当社グループの経営状況に影響を及ぼす可能性があります。

 こうした機能不全を回避すべく、IT化やリモートワーク等、BCP体制を整備いたします。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、製造業において堅調な設備投資需要により景況感が改善し、また、非製造業においても価格転嫁の進展やインバウンド需要の回復もあり景況感が若干改善しております。先行きについては、米トランプ政権の関税政策を背景とした世界経済の悪化や、物価上昇による消費の減少、コストの増加等の影響も懸念され、慎重な見通しが続いております。

 このような環境のもとで、当社グループの売上高は、LPガスの出荷量が前連結会計年度と比べ増加し、またLPガスの仕入価格に連動する販売単価が上昇したこと等により、33,418百万円と前連結会計年度と比べ3,513百万円(11.7%)の増収となりました。

 損益面では、売上高の増加に伴い、売上総利益は、10,230百万円と前連結会計年度と比べ267百万円(2.7%)の増益となりました。販管費は、8,964百万円と前連結会計年度と比べ55百万円(0.6%)の増加となり、営業利益は、1,266百万円と前連結会計年度と比べ211百万円(20.0%)の増益となりました。

 営業外収益及び営業外費用を加減算した経常利益は、1,356百万円と前連結会計年度と比べ191百万円(16.4%)の増益となりました。法人税等控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は、888百万円と前連結会計年度と比べ155百万円(21.1%)の増益となりました。

 

 当連結会計年度における財政状態の概要は、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度の資産合計は22,130百万円となり、前連結会計年度と比べ302百万円の増加となりました。この主な要因は、現金及び預金の減少472百万円、売上債権(受取手形、電子記録債権、売掛金及び契約資産)の増加433百万円、工具、器具及び備品の増加358百万円、有形固定資産のその他の増加119百万円及びのれんの減少107百万円であります。

 当連結会計年度の負債合計は7,220百万円となり、前連結会計年度と比べ473百万円の減少となりました。この主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少137百万円及び長期借入金の減少392百万円であります。

 当連結会計年度の純資産合計は14,909百万円となり、前連結会計年度と比べ775百万円の増加となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加689百万円であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ503百万円減少し、3,107百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,021百万円の収入(前連結会計年度は2,278百万円の収入)となりました。資金の主な増加は、税金等調整前当期純利益1,384百万円(同1,184百万円)、減価償却費1,200百万円(同1,031百万円)及びのれん償却額415百万円(同480百万円)であり、資金の主な減少は、売上債権の増加額431百万円(同55百万円の増加額)及び法人税等の支払額530百万円(同499百万円)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,666百万円の支出(前連結会計年度は1,451百万円の支出)となりました。資金の主な減少は、有形固定資産の取得による支出1,353百万円(同1,174百万円)及び無形固定資産の取得による支出322百万円(同293百万円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、858百万円の支出(前連結会計年度は980百万円の支出)となりました。資金の主な増加は、短期借入れによる収入1,360百万円(同1,670百万円)であり、資金の主な減少は、短期借入金の返済による支出1,360百万円(同1,700百万円)、長期借入金の返済による支出580百万円(同653百万円)及び配当金の支払額198百万円(同183百万円)によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当社グループは製品即納体制をとっておりますので、受注実績は販売実績とほぼ同額であり、受注残高に重要性はありません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度比(%)

リビング事業

24,044,519

+12.5

アクア事業

1,229,390

+1.1

医療・産業ガス事業

8,144,694

+11.2

合計

33,418,604

+11.7

 

c.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前連結会計年度比(%)

リビング事業

18,687,924

+16.1

アクア事業

75,061

+8.2

医療・産業ガス事業

4,690,298

+11.6

合計

23,453,284

+15.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態は次のとおりであります。

 資産合計は前連結会計年度と比べ302百万円増加して22,130百万円となり、主に、売上債権の増加、工具、器具及び備品の増加並びに有形固定資産その他の増加であります。負債合計は前連結会計年度と比べ473百万円減少して7,220百万円となり、主に、1年内返済予定の長期借入金の減少、長期借入金の減少であります。純資産合計は、主に、利益剰余金の増加により、前連結会計年度と比べ775百万円増加して14,909百万円となり、自己資本比率は67.4%(前連結会計年度は64.8%)となりました。

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。

 売上高は、リビング事業においてLPガスの出荷量が前連結会計年度と比べ増加し、またLPガスの仕入価格に連動する販売単価が上昇したこと、医療・産業ガス事業においては在宅医療機器のレンタルや販売が増加したこと等により、33,418百万円と前連結会計年度と比べ3,513百万円(11.7%)の増収となりました。

 損益面では、売上高の増加に伴い、売上総利益は、10,230百万円と前連結会計年度と比べ267百万円(2.7%)の増益となりました。また、販管費は、8,964百万円と前連結会計年度と比べ55百万円(0.6%)の増加となりました。営業利益は、1,266百万円と前連結会計年度と比べ211百万円(20.0%)の増益となりました。

 営業外収益及び営業外費用を加減算した経常利益は、1,356百万円と前連結会計年度と比べ191百万円(16.4%)の増益となりました。法人税等控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は、888百万円と前連結会計年度と比べ155百万円(21.1%)の増益となりました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主力商品であるLPガスはオール電化や都市ガス等の攻勢が考えられるなど、リビング事業をはじめとしていずれの事業においても競争が厳しく、今後もさらに厳しさが増すことが予想されます。当社グループとしては、これらの状況を踏まえ、各事業においての総合力を効果的に発揮することで、ユーザー件数増加を最優先にした営業活動を展開する方針であります。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

<リビング事業>

 家庭用、業務用及び工業用プロパンガス販売のぽっぽガス部門では、M&Aによる顧客件数の増加等により、売上高は前連結会計年度と比べ197百万円増収の6,250百万円となりました。LPガスの卸売販売を中心とするエネルギー部門では、LPガス輸入価格上昇及びローリー販売増加等により、売上高は前連結会計年度と比べ2,585百万円増収の14,250百万円となりました。ガス器具、設備機器、供給保安設備等を販売する住宅設備部門では、リフォーム工事及び大型設備工事の受注が減少したこと等により、売上高は前連結会計年度と比べ105百万円減収の3,543百万円となりました。この結果、当事業の売上高は前連結会計年度と比べ2,676百万円増収の24,044百万円となりました。

 住宅設備部門の販売の減少等により売上総利益は減少したものの、販管費が減少したため、セグメント利益(営業利益)は、737百万円と前連結会計年度と比べ91百万円(14.3%)の増益となりました。

 リビング事業の当連結会計年度の資産は7,439百万円となり、前連結会計年度と比べ347百万円の増加となりました。この主な要因は、LPガス販売先への供給設備及び配管設備を中心とする設備投資等によるものであります。

 

<アクア事業>

 ミネラルウォーターの製造販売等を行うアクア事業では、「スーパーバナジウム富士」の販売本数が増加したこと等により、当事業の売上高は前連結会計年度と比べ13百万円増収の1,229百万円となりました。

 売上総利益は減少したものの、販売費が減少したため、セグメント利益(営業利益)は、62百万円と前連結会計年度と比べ2百万円(3.5%)の増益となりました。

 アクア事業の当連結会計年度の資産は2,724百万円となり、前連結会計年度と比べ173百万円の増加となりました。この主な要因は、アクアボトリング工場の清涼飲料水製造設備を中心とする設備投資等によるものであります。

<医療・産業ガス事業>

 在宅医療機器の保守・レンタルサービスを行う在宅医療部門では、新規開拓により、レンタル機器が前期を大幅に上回り、また、機器卸売販売も好調であったため、売上高は前連結会計年度と比べ474百万円増収の3,952百万円となりました。医療ガスの販売を行う医療ガス部門では、医療用ガスの出荷が多かったこと、BCP対策等で非常用発電機物件を受注できたこと等により、売上高は前連結会計年度と比べ60百万円増収の1,799百万円となりました。産業ガス、産業機材を販売する産業ガス・機材部門では、炭酸ガス及び窒素ガスの販売が好調であったこと、工作機械等の大型物件を受注できた等により、売上高は前連結会計年度と比べ288百万円増収の2,393百万円となりました。この結果、当事業の売上高は前連結会計年度と比べ823百万円増収の8,144百万円となりました。

 売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、販管費は増加したものの、セグメント利益(営業利益)は、466百万円と前連結会計年度と比べ117百万円(33.6%)の増益となりました。

 医療・産業ガス事業の当連結会計年度の資産は5,112百万円となり、前連結会計年度と比べ349百万円の増加となりました。この主な要因は、在宅医療事業で使用する酸素濃縮器、CPAP装置を中心とする設備投資等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは次のとおりであります。

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ257百万円(11.3%)収入が減少し、2,021百万円の収入(前連結会計年度は2,278百万円の収入)となりました。資金の主な増加は、税金等調整前当期純利益1,384百万円(同1,184百万円)、減価償却費1,200百万円(同1,031百万円)及びのれん償却額415百万円(同480百万円)であり、資金の主な減少は、売上債権の増加額431百万円(同55百万円の増加額)及び法人税等の支払額530百万円(同499百万円)によるものであります。

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ215百万円(14.8%)支出が増加し、1,666百万円の支出(前連結会計年度は1,451百万円の支出)となりました。資金の主な減少は、有形固定資産の取得による支出1,353百万円(同1,174百万円)及び無形固定資産の取得による支出322百万円(同293百万円)によるものであります。

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ122百万円(12.5%)支出が減少し、858百万円の支出(前連結会計年度は980百万円の支出)となりました。資金の主な増加は、短期借入れによる収入1,360百万円(同1,670百万円)であり、資金の主な減少は、短期借入金の返済による支出1,360百万円(同1,700百万円)、長期借入金の返済による支出580百万円(同653百万円)及び配当金の支払額198百万円(同183百万円)によるものであります。

 上記の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,107百万円となり、前連結会計年度と比べ、503百万円の減少となりました。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

 当社グループの財務政策について、運転資金及び設備投資資金につきましては、基本的に自己資金を充当することとしておりますが、多額の設備投資資金及びM&A資金につきましては、金融機関からの長期借入金により資金調達することとしております。また、納税及び賞与資金につきましては、金融機関からの短期借入金により資金調達することとしております。

 当社グループは、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を継続的に創出して企業価値を高めていくことを企図しており、そのために必要な運転資金及び設備投資資金を調達する必要があります。資金使途や金利情勢に合わせて金融機関からの長短借入金による資金調達を行い、また、資金調達の多様化のため自己株式の処分による資金調達等も今後の検討課題と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。

 債権の回収可能性について疑義を生じた場合、追加引当が必要となる場合があります。

 

b.有形固定資産、のれん及び顧客関連資産の減損

 当社グループが保有する有形固定資産、M&Aに伴い計上したのれん及び顧客関連資産について、経営環境の悪化による収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 回収可能価額の評価の前提条件として、投資期間を通じた将来キャッシュ・フローの評価や割引率等が含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化等により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

c.投資の減損

 当社グループは、取引関係維持のために取引先や金融機関の株式を保有しており、これらの株式には上場会社株式と非上場会社株式が含まれております。上場会社株式については、期末における時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合に減損処理を行い、下落率が30%から50%までの場合は一定の基準を設け、当該基準に基づき減損処理の判定を行っております。また、非上場株式については、実質価額(持分純資産額)が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合に減損処理を行うこととしております。

 将来の市況悪化又は発行会社の財政状態の悪化による実質価額の著しい低下により、帳簿価額の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる場合があります。

 

d.繰延税金資産

 当社グループは、税務上の繰越欠損金を含む将来減算一時差異等のうち、期末に将来の一定の事実の発生を見込めないこと、又は期末に一定の行為の実施についての意思決定又は実施計画等が存在していないことにより、税務上の損金算入要件を充足することが見込まれないスケジューリング不能な一時差異について、評価性引当額を計上することとしております。

 繰延税金資産に係る評価性引当額の計上の必要性を評価するにあたっては、合理的に実現可能な予測に基づき、将来減算一時差異等の解消(損金算入)時期及び金額を特定した上で、将来の課税所得の見積りを行うこととしておりますが、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取崩額を費用として計上する場合があります。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当連結会計年度における当社グループの営業利益は、予算1,300百万円に対して実績1,266百万円となりました。営業利益が予算未達となった主な要因は、リビング事業のぽっぽガス部門及び住宅設備部門の売上総利益が予算未達となったこと等によるものであります。

 また、当連結会計年度におけるROEは6.1%となり、前連結会計年度比0.8ポイント上昇しました。この主な要因は、下表のとおり、売上高当期純利益率が前連結会計年度2.5%に対して当連結会計年度2.7%と0.2ポイント上昇し、また総資産回転率が前連結会計年度1.37回に対して当連結会計年度1.52回と0.15ポイント上昇したこと等によるものであります。

 

 

前連結会計年度

(2024年3月期)

当連結会計年度

(2025年3月期)

前連結会計年度比

売上高当期純利益率

(当期純利益÷売上高)

2.5%

2.7%

+0.2ポイント

総資産回転率

(売上高÷総資産)

1.37回

1.52回

+0.15ポイント

財務レバレッジ

(総資産÷純資産)

1.56倍

1.51倍

△0.05ポイント

ROE

(当期純利益÷純資産)

5.3%

6.1%

+0.8ポイント

 

 当社グループは、新規顧客の獲得強化や事業所の新設・移転による営業強化、M&Aの推進等、各事業部門において安定収益確保の体制づくりを実施しております。さらなる経営基盤の強化を図り、営業利益及びROEの向上に取り組んでまいります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。