第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

 当社グループは、「平和を愛し、環境を重んじ、文字文化を通じ、豊かな未来創りに役立つ企業を目指す」ことを社是として掲げ、「仕入先・得意先と共存共栄を旨とし、誠意を持って接する」「常に創意工夫をおこたらず、開拓・開発に進取と挑戦の精神で行動する」を企業理念としています。

 当社グループは経営ビジョンに、「お客様に信頼され、社員の働きがいがあり、世界を舞台にして安定的に収益を伸ばせる独創的で魅力的な企業を目指す」ことを掲げております。当社グループにおいては、このビジョンの達成に向けて、社員一人当たりの生産性・効率化を高めることで、収益性の向上と強固な経営基盤の確立を図っています。同時に、当社グループを取り巻くすべての利害関係者の信頼とご期待にお応えすることを経営の基本方針としております。

 また、地球規模で気候変動対応が求められる中、特殊紙を中心とする紙の流通・販売を営む当社グループにおいても、環境に配慮した紙『エコロジーペーパー』の開発・販売推進並びに啓発活動に注力することで、地球環境の保全と循環型社会への寄与を図っています。2020年1月には、国連の採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」への当社の対応をまとめ、森林の活性化等をはじめとする環境課題はもちろんのこと、ジェンダーの平等、社員の働きがいといった社会的課題の解決を図りながら、事業を通じて、紙の文化向上と社会貢献ができるよう、企業活動を展開しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、本業の紙の販売に関する収益性を判断する観点から、売上高営業利益率を重視しております。加えて、企業価値の観点から株主資本利益率(ROE)、さらに長期的な持続可能性を示す指標として総資産利益率(ROA)を、経営の重要指標として位置づけ、収益力の強化を推進し、バランスの取れた財務体質の強化を目指しております。なお、社内の販売管理においては売上総利益に注視することで、より付加価値の高い商品の販売比率の向上へとつなげています。

 また、企業運営においては、フリー・キャッシュ・フローの観点から現預金等の手元資金の水準を常に把握し、適正な範囲内での増減に収まるよう、管理しております。ROAに関しては、2022年度以降、2022年4月に当社が等価交換方式で譲渡した土地の含み益がバランスシート上に計上されるため、見かけ上の数値は影響を受けるものの、社内の管理上は当該影響を除いたROAに注視しています。

 なお、過去5年間における上記指標の推移は下記の通りです。

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

売上高営業利益率(%)

    1.0

    0.1

    1.0

    0.9

    1.0

ROE(%)

    1.8

   △0.4

    1.0

    9.8

    1.4

ROA(%)

    0.9

   △0.2

    0.6

    5.2

    0.7

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期の期首から適用しており、2021年3月期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 2024年の紙・板紙の国内需要については、長期にわたって減少傾向が続いています。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年以降はデジタル化がより一層加速されたことで、特に印刷・情報用紙の落ち込みが続いています。印刷・情報用紙に関しては、今後も需要の減退トレンドが加速していくことが見込まれます。

 世界規模で気候変動に対応することが大きな課題となっている中、消費者の環境意識の高まりに加え、企業も環境への負荷を軽減していくことが社会的な要請となっています。その一環として、脱プラスチック・脱炭素を図るための代替素材として、パッケージ用途を中心に紙の持つ役割が再認識されています。当社の強みを発揮できる高級パッケージや特殊機能が付与されている技術紙を中心に、従来の手法に加えコロナ禍で強化されたSNS等を活用した販売推進活動も活用しながら、売上の拡大を図ります。また、お客様、お取引先様の諸問題を解決するソリューションビジネスの提供を通じて付加価値を高め、収益性の向上へとつなげることで、外部環境の変化に影響されにくい経営基盤の確立を図っていきます。

 経営基盤としては、従業員にとって、より働きやすい職場環境を構築するために、コロナ禍で始めた時差出勤やテレワークの併用も継続しながら、事業の効率化を推進するためのIT環境の整備やDX化にも投資を進めます。

 引き続き、本業である和洋紙卸売業のさらなる強化を推し進めながら、社会における紙需要の変化に対応した新規需要の創出等、新しい取り組みにも挑戦し、サステナビリティ経営の強化にも取り組んでまいります。

 

①既存事業の強化

 昨今、IT化・DX化が加速する中で、「Writing(書く)」「Wrapping(包む)」「Wiping(拭く)」という紙の3機能の中でも、情報を伝達する「Writing」機能としての紙の需要は急速な縮小傾向が続いています。当社グループは紙の中でも、高付加価値の特殊紙を主力としておりますが、書籍の装丁や商品パッケージ等の「Wrapping」用途、さらには偽造防止技術等の特殊機能が付与されている技術紙については、比較的安定した需要が見込まれており、ニッチな市場でのトップ企業群の一社として、既存事業の強化を推し進めております。2024年度は引き続き、高級パッケージや技術紙等、今後も堅調な需要が見込める、あるいは需要増の期待できる領域へ向けた商品シフトを加速していきます。販売推進活動においても、従来通りお客様との直接のコミュニケーションを大切にしながら、紙についての決定権を持つデザイン・クリエイティブ部門や企画部門等との関係をさらに強化していきます。また、強化してきたSNS等のデジタル領域を活用した情報発信も効果的に進めていきます。

 環境意識の高まりから脱プラスチック・脱炭素の流れが加速する中で、これまでのプラスチック樹脂やスチール缶等の金属素材を使ったパッケージを、高級感のある紙素材に転換する需要が増してきています。また、需要増が期待できる技術紙を中心とした商品群に経営資源を積極投入し、着実にそうした需要に応えてまいります。

 付加価値のある紙については、直接お客様に触れていただくことでその価値を訴求できるという点があり、東京・大阪・名古屋のギャラリー等でのイベント開催を通じて、需要の喚起につなげてまいります。

 

②新規取り組みへの挑戦

 <和洋紙卸売業>

 長期的に情報伝達媒体としての紙需要の減速が進むと予測される中、当社を取り巻く事業環境や顧客側の需要も大きく変化を続けており、そのような中で、これまでの延長線上で物事を考え行動するのではなく、新しい切り口で事業環境を見直し、新しいやり方や新しい仕事への取り組みを進める事業開発本部を新たに創設しました。特に、社会における脱プラスチック・脱炭素に向けた動きが加速する中で、当社は、これまでの特殊な紙を扱う企業から、特殊な素材を扱う企業へと裾野を広げられるよう、検討を進めています。社内での新たな取り組みへの挑戦はもちろん、従来の紙販売に近い領域でのM&Aによる成長機会についても引き続き検討していきます。当社の持続的成長に資する案件が出てきた際には、手元資金の水準を見ながら積極的に検討し、事業基盤を拡充してまいります。

<不動産賃貸業>

 大阪・名古屋地区で保有する固定資産の収益化を進めています。名古屋地区においては、等価交換で取得するオフィス及び賃貸用住宅が2026年3月から稼働する予定です。また、大阪本店社屋については、現在、耐震補強及びリニューアル工事を進めており、一部自社で使用するほか、将来的に外部への賃貸を意識した改装を施すことで、不動産収入を見込んでいます。好立地に位置する物流拠点・倉庫の有効活用を図っており、物流の「2024年問題」を受け、物流子会社 平和興産株式会社では、一部、外部顧客からの物流の引き受けも開始し、効率的な倉庫運営を図るべく、物流体制の改善に取り組んでいます。不動産の有効活用は順調に進んでおり、今後、適切な追加投資も行いながら、将来的な固定資産の入れ替え等も検討していきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社では、中長期的な価値向上を図る上で、気候変動への対応、人的資本の充実化やダイバーシティの拡充、さらにはガバナンス体制の強化といったサステナビリティ領域への取り組みを、経営の重要課題と捉えて推進しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものです。

 また、本報告書提出時点においては、主に当社にて取り組みを行っているため、当社における取り組み、指標及び目標を記載しています。

 2020年1月には、国連の採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」への当社の対応をまとめ、森林の活性化等をはじめとする環境課題はもちろんのこと、ジェンダーの平等、社員の働きがいといった社会的課題の解決を図りながら、社業である紙の販売を通じて持続可能な社会の実現に貢献すべく、以下の8つの取り組みを公表しました。

 

1.「紙」という持続可能な素材を社会に提供します。

(関連するSDGsの目標)

0102010_001.png

 

0102010_002.png

 

0102010_003.png

 

0102010_004.png

 (具体的アクション)

・森林認証紙(FSC、PEFC)の販売活動を通じた森林認証制度の啓発活動

・森林認証紙、再生紙、非木材紙、間伐材紙、グリーン電力活用紙、カーボンオフセットを活用した紙、グリーン購入法対応紙等の環境に配慮した紙の販売を通した社会貢献

・環境に配慮した紙の可能性を企業、団体、デザイナー、学生等に向け発信

 

2.脱プラスチックを視野に入れた機能素材を積極的に市場展開します。

(関連するSDGsの目標)

0102010_005.png

 

0102010_006.png

 

0102010_007.png

(具体的アクション)

・生態系に配慮した環境素材の研究開発を通じて、紙にできる可能性を具体的な商品にできうる限り反映

 

3.事業運営に関わる、エネルギー使用の効率化をはかります。

(関連するSDGsの目標)

0102010_008.png

 

0102010_009.png

(具体的アクション)

・環境面でのコンプライアンスの徹底

・物流の無駄をなくし、CO2排出量削減を視野に入れた物流の効率化推進

・社内業務の効率化と、省資源・省エネルギーの推進を通じたCO2排出量削減への貢献

 

4.環境に配慮した物品購入、公正な調達を行います。

(関連するSDGsの目標)

0102010_010.png

(具体的アクション)

・社内備品の調達における、環境負荷の少ない物品の購入

・事業運営における調達での関連法規制の順守と、公正な取引のもとでの環境負荷の少ない物品の購入

 

5.誰もが働きやすい職場を作り、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指します。

(関連するSDGsの目標)

0102010_011.png

 

0102010_012.png

(具体的アクション)

・誰もが働きがいのある職場環境、家事・育児と仕事を両立させる職場環境の整備

・積極的な、女性人材の活用と女性管理職の登用増加

 

6.学びの機会を増やし、スキルアップを促します。

(関連するSDGsの目標)

0102010_013.png

 

0102010_014.png

(具体的アクション)

・社員のスキル向上に重点をおいた教育の実施

・社員の自己啓発の機会増加

・身につけたスキルの最大限活用で、顧客満足度を向上

 

7.社会貢献を視野に入れたESG投資を行っていきます。

(関連するSDGsの目標)

0102010_015.png

 

0102010_016.png

(具体的アクション)

・環境問題や国際協力等、社会貢献に取り組む先へ優先投資

 

8.国内外で様々なパートナーシップの輪を広げていきます。

(関連するSDGsの目標)

0102010_017.png

(具体的アクション)

・国内外の製紙メーカーをはじめ、関連企業、業界団体、デザイン団体、環境団体等の幅広いネットワークとのパートナーシップの輪を拡張

・輸出入における関連法規制の順守と公正な取引の敢行

 

(1)気候変動への取り組み

 当社が社業として販売している「紙」は、持続可能な循環資源を素材としています。紙は主に木材繊維から作られますが、樹木は生長過程で大気中のCO2を吸収し、それを貯え固定化することで温室効果ガスの削減に寄与しています。自然の恵みを効率的に利用し、地球環境と寄り添いながら作られている紙は、使用後も古紙として回収され、再び紙に戻ります。焼却されても、カーボンニュートラルの考え方からCO2排出量の増加にはつながらず、自然界に放置されても、その生分解性から、いずれ分解して土に戻ります。

 当社では、この紙の流通を担う企業の使命として、「環境と共生できる紙」を『エコロジーペーパー』と位置づけ、森林認証紙、再生紙、非木材紙、間伐材紙、グリーン電力用紙等、さまざまな環境対応紙の開発並びに普及・販売に取り組んでいます。今後開発する新商品のほとんどを環境対応紙とすることで、環境対応紙比率をさらに高めるべく取り組んでおります。

 

①ガバナンス

 当社では、サステナビリティへの取り組みは中長期的な価値向上を図る上で欠かせないものと捉え、事業活動が環境に与える影響を認識し、「環境問題に対する基本方針」のもとで事業を推進しています。1990年に、東京事務所で紙流通業界として初めてISO14001環境マネジメントシステムに審査登録したのに続き、2002年には全事業所で審査登録を終え、環境負荷削減活動を推進してきました。この環境マネジメントシステムに基づき、東京・大阪・名古屋・福岡・仙台の各事業所にサイト環境管理責任者を任命し、定期的に環境管理責任者会を開催することで、環境保全体制を運営しています。環境管理責任者会で協議・検討された内容は、社内のISO事務局で共有すると同時に、全店環境管理責任者から毎月開催される役員報告会でも報告され、必要に応じて議論しています。

 また、定期的に環境マネジメントシステム監査を実施することで、環境保全活動並びに環境マネジメントシステムの継続的な向上に努めております。

 

②戦略

 森林資源という地球の恵みを受け、長年にわたって価値ある紙を作り、市場に送り届けてきた当社にとって、地球環境を守ることは、私たちの社会の生命線であると認識し、「環境」を経営の基礎として、すべての活動が環境保全につながるよう努力しております。森林資源やエネルギー問題等、「環境」への意識がますます高まる中で、社員一人ひとりが自らの環境意識を向上させ、環境法規制の順守を徹底することはもちろん、紙の利用と環境保全活動が一体になるような提案を広め、社会と地球環境に貢献する企業として責任を果たしながら、社会が求める持続可能な価値の創造に向けて前進してまいります。

 その中で、具体的な行動指針として、「省資源・省エネルギーの推進」「環境関連法規等の順守」「環境保全活動の継続と改善」「啓発活動の推進」「情報の公開」の5つを掲げ、戦略を推進しています。省資源・省エネルギーの推進に関しては、各事業所内での紙・電力等エネルギー使用量及び廃棄物の削減・リサイクルを推進するとともに、積極的なグリーン購入を通じて環境負荷低減並びに環境汚染の予防に努めております。また、具体的な環境目的・目標を定めて、気候変動対策に資する取り組みを展開しております。

 啓発活動については、当社の強みとする『エコロジーペーパー』の販売を推進するとともに、エコロジーイベント、環境教育及び情報収集活動を通じて、昨今、一般生活者の中でも環境意識が高まっていることを事業機会と捉え、環境保全に対する具体的な行動に向けた啓発活動の継続的な推進と同時に、当社のSDGsに関する取り組み事例の積極的な公開に注力しています。

 2023年度は、2023年9月~10月には東京、同年11月には福岡にて、「SDGsサステナブルチャレンジ展」を開催し、2022年度に和菓子メーカーとのコラボレーションを通じて取り組んだ、廃棄予定の和菓子の切れ端を混ぜ込んで作った「ういろペーパー」を一例として紹介。本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、アイデアやデザインといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせる「アップサイクル」に、お客様をはじめとした、さまざまなお取引先様とのパートナーシップを通じて、アップサイクルされた紙の提案や開発の取り組みを発信しました。

 また、倉庫に眠る紙にスポットライトを当て、紙一枚から余すところなく活用するゼロ・ウェイスト(廃棄ゼロ)を実現した「やさしい封筒」の開発を行い、ペーパーショップ「ペーパーボイス」で商品を包装する際に、ご利用いただけるようにしています。このゼロ・ウェイストの取り組みへの共感やご好評を得て、A4の書類が入る新サイズ制作を展開し、受注生産によるお客様への販売を開始しました。

 地球規模で環境課題への対処が求められる中、包装素材として、プラスチックの代替素材として紙への需要が高まっていることは、当社にとって大きな事業機会です。包装そのものが簡易化に向かう点は、リスクの一つではありますが、それを上回る大きな事業機会が広がっていると認識しています。

 

 

③リスク管理

 当社では、事業にかかるリスク及び機会を洗い出し、分類したうえで、影響度や頻度等を鑑み、優先順位や対応方針を策定・実施し、定期的に見直しを図っています。気候関連のリスクに関しても、役員報告会に報告しており、決定された施策に関しては、リスクの重要性に応じて、経営会議、取締役会に上程され、審議・決定し、全部門へと展開しております。その中でも、中期経営計画の施策として取り上げられたものは、各部門の執行計画に組み込み、進捗を管理し、取締役会及び四半期ごとに行われる業績報告会にて確認・審議を行っております。

 

④指標と目標

 当社では、強みとする『エコロジーペーパー』の普及活動の推進、紙や文具類、電力等エネルギー使用量の削減による省資源・省エネルギーの推進について、具体的な環境目標を策定した上で、その進捗を社内で管理しています。2023年度の普及活動推進については、下記の通りです。

a.『エコロジーペーパー』について

1)普及活動の推進については、当社から得意先に向けて、仕入先から当社に対してのエコ商品勉強会の開催回数に目標を定めているほか、エコロジーイベントとしてショールーム等を活用した展示会の開催についても開催回数目標を掲げて推進しています。

 

2023年度実績

目標

得意先エコ商品勉強会

35回

26回

仕入先エコ商品勉強会

16回

13回

エコイベント

16回

15回

 

2)販売シェアについては、前年度の実績を参考に算定した基準値を基に、全販売商品に占める『エコロジーペーパー』の販売シェア±3ポイント以内を目標に掲げて販売推進活動をしています。

 

2023年度実績

2022年度実績

販売シェア

基準値-3.6ポイント

基準値+0.7ポイント

 

3)在庫シェアについては、前年度の実績を参考に算定した基準値を基に、全在庫商品に占める『エコロジーペーパー』在庫シェア±5ポイント以内を目標に掲げて在庫の充実を図っています。

 

2023年度実績

2022年度実績

在庫シェア

基準値-1.0ポイント

基準値-2.0ポイント

 

b.省資源・省エネルギーの推進

1)エネルギー使用量については、前年度の使用量と比較して省エネルギーに努めています。

 

2023年度実績

使用量前年度比

電気

334,133kwh

-0.7%

営業車用ガソリン

26,301ℓ

-3.0%

 ※営業車の59.3%にハイブリット車を導入しています。

 

2)OA用紙使用量については、事業所内で使用する使用量を前年度と比較して省資源に努めています。

 

2023年度実績

使用量前年度比

PPC用紙

2,189千枚

-4.9%

 

3)グリーン購入シェアについては、事業所内で使用する文具類をグリーン購入法に対応もしくは環境に配慮された文具の購入シェア率を目標に掲げて省資源に努めています。

 

2023年度実績

目標

グリーン購入シェア

95.7%

80%以上

 

 

(2)人的資本への取り組み

 従業員に対しては、ジェンダーの平等や社員の働きやすい環境整備を引き続き進めていくと同時に、今後は、処遇の改善や育成・教育も含めた人的資本への投資を強化してまいります。人材の確保については、新卒一括採用を基本としながら、経験豊富な人材の中途採用も活用していく方針で、ジョブローテーションや各種研修・教育や処遇の改善も含めた人的資本への投資を行っていきます。そして自社での育成を通じて、一人ひとりのスキルや資質が最大限発揮できる適所への配置を引き続き行っていきます。

 当社における中核人材は、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、香港といった各拠点の経営を担い得る人材と捉えています。当面、強化していきたい人材は、営業・販売に加え、経営企画・管理、DXスキルを携えた人材です。中核人材候補に対しては、本支店経営のみならず本社での全社的な統括業務等の経験を積み重ねることで、育成しています。次期後継者の候補となりうる人材についても、多様な経験・知見を培えるよう、将来を見据えた配置替えを意識して行うことで育成を図っています。

 

 人材における多様性の確保は、企業にとって非常に重要だと認識しています。特に、ジェンダーに関しては、女性の積極的な登用を進めており、女性活躍推進法に基づき、管理職に占める女性社員の割合の目標を設定し、比率向上に取り組んでいます。

 

2024年3月31日現在

2026年3月31日目標

管理職に占める

女性労働者の割合

9.5%

18.0%

 

 また、当社では、職業生活と家庭生活の両立に資する観点から、すべての従業員が安心して働ける環境づくりを進めており、男女が分け隔てなく働く社風のもと、多くの女性従業員が活躍しております。今後も、これまで以上に女性が力を発揮しやすい職場づくりに配慮しながら、男女の平均継続勤務年数の格差是正に努めてまいります。

 

男性

女性

2024年3月31日現在

男女の平均勤続年数

21.1年

19.0年

 

 取締役会の構成も含め、女性や外国籍等のデモグラフィックな多様性充実については引き続き意識し、社内風土として多様な人材を受け入れ、その能力に応じて活躍できるように理解促進を図り、経営トップからも継続的にメッセージを発信してまいります。人材の多様性に関しては、ジェンダーや国籍等のデモグラフィーの面での充実以上に、個々人のスキル等のタスクの面での多様性がより重要と認識します。社内人材の育成や昇級・昇格に関しては、一人ひとりの持つ能力を見極めたうえで、公平公正な選考・登用を進めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関するリスクのうち、当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。なお、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。また、必ずしも以下のリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)紙需要及び市況の変動リスク

 当社グループは、特殊紙を中心とする紙の販売を主要事業としております。当社グループの売上高の約93%は 国内売上高が占めており、国内景気の大幅な後退や需要構造の変化等によって国内需要の減少が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、出版業界や広告業界等、さまざまな業界において、従来の紙媒体からインターネットを媒体としたオンラインでの情報伝達・サービス等へと移行が進んでいます。これは、長期間のデフレ進行による消費需要の低迷、少子・高齢化に伴う消費者ニーズの変化、デジタル化、IT技術の進展によるメディアの多様化といったさまざまな要因によるものと考えられます。日本製紙連合会の試算によると、2023年の紙・板紙の内需は、印刷・情報用紙の不振が続き、食品等の値上げが相次ぎ消費が停滞し、梱包資材の出荷も振るわなかったことから、紙は7.7%減少し、板紙も前年のプラスから4.5%の減少に転じ、縮小しました。2024年についても、引き続き印刷物のデジタル化で印刷・情報用紙が縮減する見通しとなっているほか、製紙メーカーの値上げに伴う需要縮減の影響や、梱包用板紙需要の停滞も予測されます。当社が得意とする高級印刷紙等では、インバウンド需要の回復、さらには脱プラスチック・脱炭素を目的とした紙需要の増加等は期待できるものの、紙全体の需要動向が当社の想定以上に急速に、あるいは著しく縮小した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(2)固定資産や商品在庫の減損リスク

 当社グループは、事務所及び倉庫として、土地をはじめとする固定資産を東京・大阪・名古屋に保有しております。また、紙の流通事業者の中でも、当社は、ファンシーペーパー等の特殊紙を小ロットで供給することを強みとし、幅広い顧客に支持されていることから、多品種の紙の在庫を倉庫に保有しており、2024年3月31日現在で当社グループの商品在庫は39億円と、総資産全体の約21%を占めております。

 自社開発商品も含め、在庫を多く持つことは当社の強みを発揮していくための重要戦略の一つでもあり、そうしたビジネスモデルでの展開は新規参入障壁にもなっております。その一方で、多品種を揃えることによってある一定の不動商品が出るリスクがあり、また、販売に応じた在庫を適正に保つことが重要であるとの考えから、在庫の中身の入れ替えにも注力しております。その結果、不動商品が当社の想定以上に増加した場合、評価替えや減損等によって、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(3)コスト上昇リスク

 2023年度は、製紙メーカーの価格改定の影響を受け、流通を担う当社の調達コストも上昇しました。また、当社はサプライチェーンの一環で物流業務を外部の専門業者に委託しておりますが、2024年度からは物流業界内での働きやすい環境の構築等により、車両・ドライバー不足や物流コストがさらに上昇する可能性があり、加えて原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰する可能性もあります。物流コストの上昇分は、お客様にご理解いただき、ご負担をお願いさせていただく場合もございますが、これまで通りのサービスレベルでの納品が難しく、顧客満足度が低下した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、昨今のデジタル化等を背景とした情報伝達媒体としての紙需要の減少局面では、製紙メーカーの中では、事業再構築に伴って、老朽化した抄造設備の停機等が進行しています。当社取扱商品の改廃やリニューアルが必要となるケースも出てきており、代替商品の開発や、他の仕入先への切り替え等により仕入れコストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(4)商品の品質等に関するリスク

 当社グループは、販売する商品の特性に応じた最適な品質を確保できるよう、各商品の仕入先・メーカーに厳格な品質管理を要請していますが、予期せぬ仕入先・メーカーの事業により大規模なリコール等に発展する品質問題が発生する場合があります。大規模なリコールや商品の欠陥・品質不良は、その処理に多額のコストが発生し、当社グループの販売商品の信用に重大な影響を与えることとなり、これにより需要が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(5)資金調達リスク

 当社グループでは、運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本に、設備投資の調達については自己資金を基本としていますが、今後、M&Aの検討等も含め、一部資金を金融機関からの長期借り入れや社債の発行等により調達する可能性があります。そのようになった場合、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下、業績の見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。

 また、金融機関からの借り入れや社債等には各種のコベナンツ(融資取引における情報開示や財務等の特約事項)が規定されている場合もあり、当社グループの経営成績、財政状態または信用力の低下等の要因で、いずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引き上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(6)カントリーリスク

 当社グループは、香港に子会社の平和紙業(香港)有限公司を有しており、香港の政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等による国家収用・送金停止等のカントリーリスクを有しております。香港におけるカントリーリスクの顕在化や、周辺の台湾地域を含め、地政学リスクが高まった場合には、債権回収や事業遂行の遅延・不能等が起こる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、ウクライナや中東情勢の長期化による原燃料価格の高騰、さらには為替の変動が見られました。香港に限らず、グローバルでの地政学リスクの高まりによって、為替や原燃料価格、物流費用等が当社の想定以上に高騰した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(7)自然災害・感染症等の発生リスク

 当社グループは、東京・大阪・名古屋をはじめ全国7拠点に販売・物流網を有し、静岡県富士市にも各拠点の中心となる物流拠点を構えることで事業活動は地域的に分散されており、売上高も地域的な偏在は大きく見られません。しかし、販売・物流拠点の周辺で、大規模な地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、戦争、情報セキュリティの欠陥、未知の感染症の伝染、テロ攻撃及び国際紛争等が発生し、さらには事業所や倉庫等の物流インフラが被害を受けた場合、復旧のための費用、販売機会損失、商品等への損害等により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、これらの自然災害または有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合、インターネット関連でのサービス提供が困難となり、当社グループの顧客満足度が低下し、当社グループの業績、事業運営及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの顧客事業の中断並びにイベント活動及び日常消費活動の萎縮等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(8)訴訟等のリスク

 当社グループは、特殊紙を中心とする紙の流通・販売事業を主に営んでおり、業務の遂行に当たっては、法令順守等コンプライアンス経営に努めておりますが、その事業活動の遂行過程において、当社グループは、お客様、仕入先及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供する商品・サービスの不備、社員の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩または知的財産の侵害等に関する訴訟その他の法的手続きを提起される恐れがあります。また、当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続きに関連して多額の費用を支出した場合には、事業活動に支障をきたす恐れがあります。かかる法的手続きは長期かつ多額となることがあり、また、結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況

<経営成績>

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの経済活動の正常化が一段と進み、物価上昇による消費者マインドの弱含みはあるものの、インバウンド需要や国内観光需要が回復する等、景気は緩やかに持ち直しています。しかしながら、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化に伴う原燃料価格の高止まり、海外経済の下振れ等のリスクは続いており、景気の先行きは不透明な状況にあります。

 紙パルプ業界におきましては、印刷・情報用紙の構造的な需要減少や原燃料高騰に伴う価格改定による需要の冷え込みは依然として続いており、紙・板紙での国内出荷量(日本製紙連合会発表値)は、前年実績を下回りました。

 このような中で当社グループは、事業の高付加価値化と需要伸長分野への販売シフトを目指し、主力商品である高付加価値特殊紙の販売を強化してまいりました。需要伸長分野であるインバウンドやリオープン消費、イベント再開等の需要を見据え、新規需要分野や新規顧客の獲得を進めています。情報伝達媒体としての紙の需要減少が進む中、その影響が少なく需要が堅調な各種機能紙分野においては、脱炭素、脱プラスチック、SDGs等の社会ニーズに応える商材の開発や提案を実行しています。基盤商材である高付加価値特殊紙分野においても展示会、商品説明会等の開催拡大、SNS等の継続的な情報発信により需要の掘り起こし、販売の強化を行っています。また、製紙メーカーの抄造設備停機に伴う商品リニューアル時に、その商品群の高付加価値化を企画実行、顧客満足度向上と収益性の改善を図っています。

 これらの取り組みの結果、原燃料高騰に伴う価格改定や構造的な印刷・情報用紙需要減退の影響を受けて販売数量は前期実績を下回りましたが、販売単価の上昇や販売体制の強化により、売上高は僅かながら前期実績を上回りました。

 なお、前連結会計年度に固定資産売却益11億33百万円を計上しており、前期実績との比較では、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく減少しております。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高161億24百万円(前期比0.3%増)、経常利益2億21百万円(前期比15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億36百万円(前期比84.4%減)となりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、以下の数値はセグメント間の取引消去前となっております。

[和洋紙卸売業]

 和洋紙卸売業は、構造的な情報伝達媒体のデジタルシフト、価格改定による需要減退の影響が大きく、販売数量は減少しました。しかしながら、販売単価の上昇と経済活動の正常化による観光イベント事業等の国内需要の緩やかな回復が続いたことから、ファインボードと高級印刷紙の販売が堅調に推移し、売上高は167億32百万円(前期比0.3%増)、営業利益は1億41百万円(前期比13.8%増)となりました。

[不動産賃貸業]

 不動産の売買、賃貸借、管理及び仲介で構成される不動産賃貸業は、概ね前期と同水準で、売上高は19百万円(前期比1.7%増)、営業利益は15百万円(前期比2.8%増)となりました。

<財政状態>

[資産]

 資産合計は、188億34百万円(前期比12億69百万円増)となりました。

 流動資産の増加(前期比2億78百万円増)は、現金及び預金2億33百万円が減少しましたが、受取手形及び売掛金86百万円の増加、電子記録債権4億54百万円の増加が主な要因となっております。

 固定資産の増加(前期比9億90百万円増)は、リース資産の増加1億89百万円、投資有価証券の増加8億57百万円が主な要因となっております。

[負債]

 負債合計は、87億35百万円(前期比5億80百万円増)となりました。

 流動負債の増加(前期比1億72百万円増)は、短期借入金1億61百万円が減少しましたが、支払手形及び買掛金の増加3億59百万円が主な要因となっております。

 固定負債の増加(前期比4億7百万円増)は、リース債務の増加1億42百万円、繰延税金負債の増加2億59百万円が主な要因となっております。

 

[純資産]

 純資産合計は、100億98百万円(前期比6億88百万円増)となりました。

 その他有価証券評価差額金の増加5億93百万円、為替換算調整勘定の増加72百万円が主な要因となっております。

 

(参考)

当社単体の和洋紙卸売業の品目別の営業成績

品目別

前事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

増減率(%)

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

構成比

(%)

ファンシーペーパー

3,525

23.3

3,463

23.0

△1.8

ファインボード

1,899

12.6

1,978

13.1

4.2

高級印刷紙

3,462

22.9

3,578

23.7

3.4

ベーシックペーパー

4,116

27.2

3,982

26.4

△3.3

技術紙

1,920

12.7

1,893

12.6

△1.4

その他

207

1.3

184

1.2

△11.1

合計

15,130

100.0

15,080

100.0

△0.3

 

[ファンシーペーパー]

 多様な色、表面性、風合いを持つ高付加価値特殊紙のファンシーペーパーは、コロナ禍の影響が縮減し、書籍装丁や紙製品用途、東アジア向けの輸出が堅調に推移しましたが、商業印刷物用途や紙袋用途が減少し、売上高は34億63百万円、前期比1.8%の減少となりました。

[ファインボード]

 ファンシーペーパーの厚物(板紙)であるファインボードは、各種観光イベント事業の再開に伴い、菓子食品・化粧品等の高級パッケージ向けの販売が回復し、売上高は19億78百万円、前期比4.2%の増加となりました。

[高級印刷紙]

 独自の風合いを持ち、通常の印刷用紙より高価格帯の高級印刷紙は、商業印刷物用途の販売が安定し、出版物や紙製品用途が増加したことで、売上高は35億78百万円、前期比3.4%の増加となりました。

[ベーシックペーパー]

 上質紙、塗工紙、色上質紙等の印刷用紙、包装用紙、各種パッケージ向け板紙等で構成されるベーシックペーパーは、書籍向けや医療品・化粧品パッケージ用途が堅調に推移しましたが、商業印刷物用途及び東アジア向け輸出の販売が減少し、売上高は39億82百万円、前期比3.3%の減少となりました。

[技術紙]

 通常の紙にはない特殊機能が付与されている技術紙は、各種工業品製造用工程紙や合成紙の販売が堅調に推移しましたが、偽造防止用途や耐水撥水性機能紙の販売が減少し、売上高は18億93百万円、前期比1.4%の減少となりました。

[その他]

 家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等で構成される当区分では、ペーパータオル等家庭紙の販売及び製紙関連資材、紙加工品の販売が減少し、売上高は1億84百万円、前期比11.1%の減少となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億33百万円減少し、28億39百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は1億22百万円(前期比1.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2億20百万円に仕入債務の増減額4億10百万円の加算調整、売上債権の増加額5億21百万円の減算調整を行ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は13百万円(前期比96.8%減)となりました。これは主に、敷金の回収による収入64百万円がありましたが、差入保証金の差入による支出77百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は3億44百万円(前期は43百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の減少2億5百万円、配当金の支払額1億13百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

b.受注実績

該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前期比(%)

和洋紙卸売業(千円)

16,113,480

100.3

不動産賃貸業(千円)

10,615

103.2

合計(千円)

16,124,095

100.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

<当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容>

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

<経営成績に重要な影響を与える要因>

 当社グループは「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、経営環境、事業の内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制及び内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切な対応を行ってまいります。

<セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容>

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

<経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等>

 当社グループは、安定的な収益基盤を構築するため、売上高、営業利益及び収益性を判断する観点から売上高営業利益率を重視しております。また、株主資本利益率(ROE)を重要な指標として位置づけ、総資産利益率(ROA)も意識しております。

 当連結会計年度においては、当初2023年5月10日の時点で、売上高が2023年3月期比5.8%増の170億円、営業利益が同11.8%減の1億22百万円と予想し、その達成に努めてまいりました。販売単価の上昇と経済活動の正常化による観光イベント事業等の国内需要の緩やかな回復が業績に寄与したものの、構造的な情報伝達媒体のデジタルシフト、価格改定による需要減退の影響が大きく、販売数量が減少し、売上高は161億24百万円と、計画比8億75百万円減(5.2%減)、営業利益については1億58百万円と、計画比36百万円増(29.6%増)となりました。

 なお、売上高営業利益率、株主資本利益率(ROE)及び総資産利益率(ROA)については、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

<キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容>

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

<資本の財源及び資金の流動性>

(a)資本の財源

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的とした資金需要は、主に倉庫等における機械装置等の固定資産購入によるものであります。運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備資金の調達につきましては、自己資金を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24億63百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は28億39百万円となっております。

 

(b)資本政策

 当社グループが創出したフリー・キャッシュ・フローについては、有事の際に機動的な対応がとれるよう備えつつも、平時においては手元資金の適正な範囲内で、成長投資と株主還元とをバランスよく保ちながら、分配することとしております。

 株主還元につきましては安定的な配当として中間配当と期末配当の年2回を基本方針としております。原則として、連結による損益を基礎とし、特別な損益の状態である場合を除き、中間配当と期末配当の年間2回配当を確実に実施することで、安定的・継続的な利益還元に努めていくこととしております。

 なお、2024年3月期の連結業績を踏まえ、期末配当は1株につき6円にとさせていただき、年間配当金は、1株につき12円といたしました。今後の市場回復傾向や、それに伴う業績の見通しを踏まえながらではございますが、株主の皆様に還元できるよう、努力してまいります。

 成長投資については、経営状況を判断しながら、さまざまな施策の優先順位を検討してまいります。名古屋に続き、大阪に保有している社屋については、耐震補強及びリニューアル工事を実施し、一部を将来的に賃貸区分として有効活用することで収益物件として検討しています。また、特殊紙を中心とする紙の販売・流通を軸としたオーガニックな成長に加え、M&A等による成長機会に関しては、常時、情報を収集し、案件次第で検討してまいります。その際には、当社の事業領域との親和性に加え、事業成長性を重視した上で、成長投資としてキャッシュを一定量振り向ける準備もしてまいります。当社グループにおいては、引き続き利益成長を図りながらキャッシュの創出力を高め、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した適切な資本構成を維持していく考えです。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、高級紙・特殊紙の専門商社として、社会のニーズを先取りした商品の企画提案・開発販売をおこなっています。

 当連結会計年度は、色彩の表現性に優れた高白色キャストコート紙「エスプリSS-F」にエンボス加工を施すことで、様々な用途において高級感を感じさせる仕上りを実現可能にした「エスプリSS-Fエンボス」をメーカーと共同開発いたしました。また、両商品共にFSC森林認証紙(FSCC005596)となっております。

 なお、これらの商品開発にかかわる費用は発生しておりません。また、和洋紙卸売業以外の分野では、研究開発活動はおこなっておりません。