当社グループを取り巻く環境は、新しい産業の発展による、新製品、新技術の開発が行われ、精密機器・精密工業等、機械工業販売業界に対するニーズも増大しており、情報化社会の発達とともに、ますます迅速に高性能化や省力化等多種多様な対応が求められております。
当社グループといたしましては、グループ各社の個々の強みを生かしつつあらゆる産業のニーズに対応すべく、社員の専門知識の向上や新規ブランド(商材)の投入に努めると同時に、グループ内での情報の共有化、合理化、業務体制の一層の効率化を進めるため、様々な技術を積極的に取り入れ、業務の改善とスピード化を目指しております。
また、商圏の拡大を目指し新規営業所及び連絡所の開設とともに他社との差別化を図るべく、若手人材の確保と育成により、地域密着型の提案営業を徹底してまいります。
当社グループは、前中期経営計画『MOOVING ONE~100 年の感謝を未来へつなぐ~』のスローガンを引き継ぎ、200周年に向けて会社を変革し、積極的に新たな事業チャレンジを目指します。第4次中期経営計画『Start of the next 100 years~変化へチャレンジ』では、以下方針の下、大きく変化する環境に耐えられる筋肉質な体質へ変化してまいります。顧客視点を保ち、グループ一致団結しチャレンジし続け、経営計画の達成に取り組みます。
1.個別方針
① 新事業の開発
新たな商材販売の強力な推進
・DX商材販売の開始
・他業種との事業連携
② 新市場への拡大
既存ネットワークからの横展開
・現在のグループ営業拠点数64か所のサプライヤーチェーンとの関係性を生かし、更に新たな地域への展開を進める
M&A戦略
・M&Aを通して業種・地域でホワイトスペースとなっている部分を補完していく
③ ESG推進
社会貢献の一環として利益の一部を支出し、地域貢献を実施
・地域へのスポーツ振興の為にネーミングライツ等スポーツ施設への投資
・各種支援団体への寄付、側面支援
商社ならではの気候変動対策の実現
・営業車両の順次エコカーへの車両変更
・木造建築などを活用した事務所建替により環境への配慮
④ IT資源への投資
インフラを含めた最新技術への投資とそれを活用した業務への切り替え
・様々な施策へ将来的に売上の一定程度枠でのシステム投資実現
・技術を活用した業務集約の実現
⑤ 社員満足度の向上
働く環境の整備により、社員が安心して生活を送ることにより生産性向上を図る
・社員エンゲージメントサーベイの向上
・社員への福利厚生制度の充実
ワークライフバランスの充実
・有給休暇取得及び時間外労働削減の促進
2.経営数値目標(連結)
(単位:百万円)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ガバナンス
当社グループは、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同しSDGsの達成に向けた取組みを行ってまいります。現在当社においては特別な部門等は設置しておりませんが、重要な案件として取組推進に関しては取締役会にて判断、モニタリングを実施しております。
リスク管理
当社グループでは、リスク管理に関しましても取締役会にて進捗状況とともに重要な課題の有無を確認しており、長期的な視点において当社グループ事業への影響を確認しております。
当社グループでは人的資本に関しては以下のように取り組んでおります。
(1) ワークライフバランス・ダイバーシティ推進
従業員の働きやすい職場環境を提供し、従業員自身の成長を進められる環境を提供する。
ガバナンス及びリスク管理に関して
当社グループにおいてサステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応するべきリスクの判断及び全体のガバナンスに関しては経営企画部にて対応し、必要に応じて取締役会に報告しております。
以下において、当社グループの事業展開上のリスクの要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その回避及び顕在化した場合の対応に努める所存であります。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。
(1) 主に製造業業績(国内設備投資及び工場の稼働率)の影響
当社グループは、景気動向、主に鉱工業生産指数や製造業稼働率指数及び機械受注等の統計資料で示される分野に比較的影響を受けやすい業種に属しています。その原因は、当社グループの取扱商品の最終消費者は主として国内の工場向けであり、当社グループの主な取り扱い商品である機械及び機器・工具類が、産業機械、工作機械、自動車、電気、半導体、電子部品等の設備投資及び製造過程に最も多く使用・消費されているからであり、各々が経済成長率に影響を与えるほどすそ野が広い分野であるからです。
当社グループといたしましては、販売先の属する業種の多角化、分野流通過程の見直しによる販売ルートの開拓、新規商品の開拓、新規出店による商圏の拡大等の営業努力を行っておりますが、自動車関連、弱電関連、半導体関連等の国内製造現場での設備投資、工場稼働率が下降した場合には、当社グループの業績が直接的に多大な影響を受ける可能性があります。
(2) 人材の確保及び教育
当社グループの経営に係る基本的な方針は、「顧客満足度の向上」であり、当該方針を実現できる人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えております。今後においても、業績拡大や積極的な出店を継続していくためには、従来以上に注力する必要があります。
当社グループといたしましては、新市場開拓のために積極的に人材確保を行いながら、情報提供、技術提供といった提案型営業のできる人材育成と技術的専門知識をもったセールスエンジニアを育成し他社と差別化を図り、新規出店、業容拡大に向け努力しております。
しかしながら、業容拡大・新規出店を担える人材の確保及び育成ができない場合には、間接的かつ緩やかではありますが、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自然災害等
地震、大雨や洪水に加え感染症の拡大など自然災害等により、営業施設、物流体制や情報インフラに加え人的損害等が発生した場合、当該事業の継続が困難になる事態が想定されます。当社グループの営業網は、ほぼ全国に展開し、物流も全国3拠点体制を整備してあることから、事業全体が一斉に継続困難に至る事態は想定できません。しかし、情報インフラは本社に集中しており、本社に損害が発生した場合は、事業全体に影響が出る懸念はありましたが、2020年9月にバックアップ設備を東京に構築し、その懸念も減少しております。
(4) 販売ルートの変化
直近、大規模な情報システム、物流センターを整備した競合企業がIT技術を駆使して、汎用(規格)品を中心にインターネット経由での販売を増やしております。またユーザー側でもIT技術を活用した集中購買の動きも増えてきました。当社グループの商圏においてもその動きは顕著で当社グループへの影響も大きなものがあります。当社グループとしても、インターネット経由の販売にも対応していくためECサイト「よいしな」を開設いたしました。しかし、先行する他社と同じ土俵で勝負するのではなく、当社グループの強みである顧客とのリレーションの緊密化により「対面営業、課題解決型の提案営業の充実・拡大を図る」ことで競合他社との競争に打ち勝っていきたいと考えております。
(5) システム障害・情報セキュリティ
現在、企業間の通信や決済手段、企業内の業務フローにおいて、ICT技術の利用は必要不可欠であります。システムの脆弱性による障害発生、外部からのマルウェア等による攻撃があった場合、その対応、復旧に時間を要した場合、事業活動が阻害されると同時に、機密情報などの流出による信用失墜等当社グループ業績に直接間接的に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、情報セキュリティシステムの強化、従業員の情報リテラシーの向上、基幹システム・データベースのバックアップ体制の整備等の施策を実施していますが、リスクを完全に排除することは難しいものと考えております。
(6) カーボンゼロ・気候変動リスク
地球温暖化等の気候変動リスクに対する全世界的な動きに鑑み、カーボンゼロへの積極的かつ早急な対応が企業に対しても求められています。温室効果ガスの排出量削減にむけた法的規制の強化や産業構造や企業活動の変化が、当社グループ業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、国内では、一部の業界では積極的に設備投資が行われましたが、米国の相互関税発動に懸念がひろがり自動車業界や建設機械業界等アメリカへの輸出関連業界中心に先行きに大きな懸念が発生しております。また、米中対立やウクライナ・パレスチナ紛争に象徴される国際情勢の不安定化等による資源・原材料の高騰等により景気減速懸念が続いております。一方、個人消費は政府による各種施策、賃上げ等により堅調に推移致しました。その結果として景気は、足踏み状態を脱しつつあり緩やかな回復基調にあります。設備投資については、業種間の格差は広がっておりますが、好調な分野では、業績を背景に企業の設備意欲は強く、知的財産投資等が増加の一方、足踏み状態であった機械投資も持ち直しの動きがみられました。
このような状況のもと当社グループは、前中期経営計画『MOOVING ONE~100年の感謝を未来につなぐ~』のスローガンを引き継ぎ、200周年に向けて会社を変革し、積極的に新たな事業へチャレンジを目指します。第4次中期経営計画『Start of the next 100 years~変化へチャレンジ』では、① 新事業の開発 ② 新市場への拡大 ③ ESG推進 ④ IT資源への投資 ⑤ 社員満足度の向上 以上5つの方針の下、大きく変化する環境に耐えられる筋肉質な体質へ変化してまいります。顧客視点を保ち、グループ一致団結しチャレンジし続け、経営計画の達成に取り組んでまいります。
また、資本コストに関する施策を打ちだし既存株主様にご満足いただくとともに、新規安定株主獲得に向け邁進してまいります。その結果、当連結会計年度は、売上高494億65百万円(前年同期比6.1%増)、経常利益29億6百万円(前年同期比2.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19億17百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
中期経営計画につきましては下記Webアドレスにて開示済みであります。
https://www.sugi-net.co.jp/for_investors/material.html
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
(東部)
東部では、パソコン、建設機械、農機、自動車業界などのアメリカへの輸出の割合が大きい分野を中心にトランプ米政権の相互関税発動に懸念が広がっています。下請けの中小企業は更に深刻化すると思われます。また、食品、化学品、紙(ダンボール)など国内需要がメインの製造業は材料高騰、人件費問題、輸送コストと向き合う姿勢は落ち着いていない状況であります。さまざまな外部要因が重なり設備投資、来期予算など積極的な動きが取りにくくなり不透明感が増す状況であり、全体的には低調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は117億50百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は5億27百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
(中部)
中部では、自動車業界の動きは横ばい傾向となっており、大きく業績に影響を及ばさないままとなっております。その流れは裾野の広い産業の為、鉄鋼、産業機械、金属加工などの幅広い業界で増産の動きは少なく、それに関する消耗材の受注は伸びない状況となっております。そのような中でも半導体、二次電池関連への設備投資の動きや業界は問わないが工場設備への保全、修繕、省力効率化を目的とした投資への動き等があり、全体的に堅調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は146億15百万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益は7億45百万円(前年同期比41.1%増)となりました。
(西部)
西部では、設備投資の抑制が緩和傾向にありましたが、海外経済の減少を受け抑制基調となりました。しかし、一部の自動車業界・鉄鋼業界では継続的な設備投資が進められ、実績としては横ばいとなり、全体的には低調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は213億68百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は9億75百万円(前年同期比10.3%減)となりました。
(海外)
海外では、対米ドルの為替は安定した水準で推移しており、日本からの輸出は穏やかな上昇傾向で推移しました。主力国である中国・韓国では停滞感がみられますが、ベトナムをはじめとする注力国向けの売上は好調に推移しており、輸出全体としては好調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は17億29百万円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は1億47百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
市場規模が大きく成長余力が大きいにもかかわらず、まだ、占有率が低い東部へ経営資源を投入するのと併行して、自動車鉄鋼工作機械等の従来の主要な得意先業種以外の部品供給制約の影響が少ない、または逆にプラスの影響がでている業種へ得意先の幅を広げる努力により、売上・利益とも拡大を図る方針です。
販売及び仕入の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
(3) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は424億6百万円となり前連結会計年度末に比べ1億92百万円減少しております。資産につきましては主に、売掛金が7億87百万円、未収消費税が1億3百万円、建物が10億8百万円、ソフトウエアが9億31百万円増加する一方で、現金及び預金が11億62百万円、受取手形が3億65百万円、電子記録債権が3億69百万円、商品が82百万円、建設仮勘定が3億43百万円、ソフトウエア仮勘定が3億49百万円、投資有価証券が4億37百万円減少したためであります。負債は69億21百万円となり前連結会計年度末に比べ2億80百万円増加しております。これは主に買掛金が3億99百万円、未払法人税等が1億25百万円、未払費用が30百万円増加する一方で、繰延税金負債が1億19百万円、未払金が60百万円減少したためであります。また純資産は354億85百万円となり前連結会計年度末に比べ4億72百万円減少しております。これは主に利益剰余金が12億25百万円増加する一方で、自己株式の取得に13億83百万円、その他有価証券評価差額金が3億30百万円減少したためであります。この結果、自己資本比率は83.7%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資産」という。)は、72億53百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動より得られた資金は26億69百万円(前年同期は25億23百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益28億64百万円、減価償却費3億41百万円、仕入債務の増加3億98百万円の収入に対して法人税等の支払額8億28百万円の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金17億54百万円(前年同期は11億12百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得9億95百万円、投資有価証券の取得24百万円、無形固定資産の取得7億38百万円の支出に対して、有形固定資産の売却による収入3百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は20億75百万円(前年同期は7億6百万円の支出)となりました。これは自己株式取得費用13億83百万円ならびに配当金の支払6億91百万円によるものであります。
従来より投資活動・財務活動に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローにて賄っており健全な財務体質を維持しております。急激な円安や部品供給制約、自然災害等により、業績が悪化した場合にも現金同等物を月間平均仕入額の2ケ月相当分確保しており、当面の資金繰りには問題ないと考えております。
一方、換金容易な純投資目的の投資有価証券を単体で25億68百万円保有しております。また、連結ベースで各取引金融機関と当座貸越限度を総額60億50百万円契約しております。
業務提携出資会社
該当事項はありません。