第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループでは、以下の経営課題に積極的に取り組み、グループ全体で更なる成長を目指してまいります。

①.収益性の高い経営基盤の確立を目指す。

 ・付加価値の高い人工ふ化事業、加工事業の生産性及び収益性の向上を図る。

 ・マグロ・ウナギ養殖事業では、生産性の向上、販路開拓及び取引先との良好な関係の構築を目指す。

 ・生産者との関係強化・推進を図り、餌料・飼料の販路拡大を目指す。

 ・在庫の適正化を推進し、計画的な販売・安定供給に努める。

 ・計画的な鮮魚出荷及び餌料・飼料の販売推進により、債権の早期回収を図る。

 ・事業の効率化推進(コスト削減、品質管理の徹底、安全管理体制の強化及び物流の効率化を図る。)

②.組織力の強化を図る。

 ・首都圏を中心とした量販店・外食等への販売推進を強化する。

 ・コーポレート・ガバナンスの強化に努める。

 ・人材を育成し、営業力の強化を図る。(社員の意識改革、能力開発に取り組む。)

③.顧客との関係強化、推進を図る。

 ・バランスのとれた経営の実現に向け、顧客(生産者・市場関係者等)との関係強化に努める。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループでは、売上高全体の約99%を「鮮魚の販売事業」及び「餌料・飼料の販売事業」の両事業が占めており、両事業の属する業界の動向並びに経営成績が連結決算に大きく影響いたします。

 そのため、当該事業における方針や施策に注力し、また、グループが一体となって効率的な経営推進、グループ間連携による相乗効果を更に高め、収益向上に努めてまいります。また、「安定的な収益確保と持続的成長」を目指し、提携取引先と協働し水産資源の持続的利用や環境に配慮した取り組みを継続する。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループを取り巻く水産業界の動向や市場の価格動向などにより、当社グループの経営成績が大きく変動することから、中長期的な目標数値は設定しておりませんが、当連結会計年度における当初目標数値及びその達成状況は下記のとおりです。

 連結売上高:460億円(達成率97.6%)、連結経常利益:25億円(達成率84.2%)

 なお、2025年3月末の株価純資産倍率(PBR)は、0.67倍となっております。

 

(4) 経営環境

 当社グループを取り巻く水産業界は、海外においては、健康志向の高まりや新興国の経済成長を背景として、水産物消費は一貫して拡大している一方で、国内においては、消費者ニーズの多様化などにより国民一人あたりの魚類消費量は減少傾向にあり、経営環境は厳しい状況が継続しております。また、ウクライナ情勢等により世界経済の停滞や資源価格の上昇など経済活動への影響も顕れております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが属する水産業界は、就業者数の減少、海洋環境の変化、水産資源の減少などにより生産量は減少傾向が継続しており、特に養殖業においては養殖コストの大部分を占める餌代の値上がりにより採算性が悪化するなど、経営環境は厳しい状況が続いています。

 このような状況の中、当社グループは、取引先や消費者の皆様からの幅広いニーズにお応えするために、引続き「安定的な収益確保と持続的な成長」を目指してまいります。

 その具体的施策として、近年では三崎加工場の新設や食品安全システム(FSSC)22000の認証取得などにより、加工事業の強化を図ってまいりました。今年は、既に本社及び三崎加工場でEU向け輸出水産食品取扱施設認定(EUHACCP)を取得し、米国向けに加えて新たにEU向け輸出も資本業務提携先などを通じて推進してまいります。さらに、数年先には本社加工場の新設移転なども計画しており、引続き鮮魚加工事業の強化・拡大を図ってまいります。

 また、高コスト体質を抱えた生産者の経営安定化や水産資源の持続的利用、健全な漁場環境の保持を目指して提携取引先と協力のうえ配合飼料の低魚粉化や配合飼料原料の多様化を推進してまいります。

 近年、水産資源の枯渇が懸念される中で、養殖業は食糧確保の切り札ともみなされています。当社グループは、養殖業へのトータルサポートや、水産エコラベル(MEL認証)の取得などにより、水産資源の持続的利用や環境保護に取り組み、安全・安心な美味しい魚の安定供給を追求し、事業活動を通じて「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 近年、異常気象による被害が増大するなど、気候変動をはじめとする地球環境の変化は、経済活動のみならず私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしつつあり、当社としても取り組むべき重要な社会課題だと捉えております。

 また、当社グループを取り巻く養殖業界では台風や津波、海の環境汚染・赤潮発生等の自然災害により業界全体に大規模な被害が生じるリスクを抱えており、被害状況によっては、当社グループの経営にも大きな影響を及ぼします。

 さらに世界的な水産物の消費拡大により、魚類の乱獲や水産資源の減少、枯渇が問題となっております。当社グループでは、経営理念や経営ビジョンのもと、SDGs宣言(ターゲット2030)において、持続可能な「育てる漁業」、安全・安心な「養殖魚の安定供給」、「自然環境の保護」、「地域貢献」の4つの重点課題を定め、養殖漁業へのトータルサポートをはじめ、水産資源の持続的利用や環境保全に取り組んでおります。

 

(1)ガバナンス

 前述の通り、当社では気候変動を含む環境・社会問題を経営上の重要事項として捉え、取締役会において議論し、経営戦略やリスク管理に反映しております。具体的な対応や取組は、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会(構成メンバー:本社の部室長)で現状把握と問題解決に向けた議論を行い、重要事項については常務会や取締役会へ内容を報告しております。

 

(2)戦略

 気候変動を含むリスク及び機会への対応を進めるため、上記4つの重点課題を定めたSDGs宣言(ターゲット2030)に基づき、ヨンキュウグループでは、安心・安全で水産資源・環境に配慮した価値ある商品を提供していくことで、SDGs14番目の目標「海の豊かさを守ろう:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」の達成に貢献していきます。

 また、人的資本・多様性への方針・取組は、当社の経営理念「1.当社の基本は人であり、社員の情熱と能力を引き出し、人作りを進めていく。」等の方針のもと、年齢、国籍、性別等区分することなく、意欲と能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会が得られるような人事評価とキャリアプランを整備し、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境、企業風土の醸成に努めております。加えて、次世代法および女性活躍推進法に基づき、①男性の育児休業等の取得率50%以上、②法定時間外労働の時間数の設定、③採用した労働者に占める女性の割合を事務職50%以上、現業職20%以上とする、等の目標を策定し、次年度より取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

 当社では、気候変動を含む環境・社会問題等の事業リスクの管理は、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会にて識別・評価し、定期的に常務会や取締役会に報告しております。また、リスク管理の実践を通じ、水産資源の持続的利用や環境保全に取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

 カーボンニュートラルの実現に向けて、当社でもエネルギー使用に伴うCO₂排出量に関する新たな削減目標(Scope1)を設定しております。

(削減目標:2030年度末まで年間1,000トン以上のCO₂排出量の削減を目指す。)

 なお、過去の削減実績は、2024年度(1,168トン)、2023年度(1,136トン)、2022年度(1,222トン)、2021年度(1,308トン)、2020年度(1,075トン)となっております。

 引き続き使用エネルギー量(Scope2)の削減を行うとともに今後の設備投資等では、環境性能の高い省エネ設備の導入などを積極的に推進し、目標達成に向けて取り組んでいきます。

 また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画及び女性の活躍に関する情報を公表しており、2022年4月1日から3年間で採用者に占める女性比率を20%以上、男女の勤続年数の差を5年以下とする目標を設定しております。

 なお、2025年3月31日現在の実績値は下記のとおりです。

 1.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する項目より

   男女別の再雇用数:男性7名、女性8名

   中途採用実績  :男性40名、女性11名

 2.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する項目より

   男女の平均継続勤務年数の差異:1.6年(男性:12.4年、女性10.8年)

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の変動要因並びに季節性について

 当社グループの経営成績は季節的変動があり、特にグループ全体での売上高比率の約6割を占める「鮮魚の販売事業」における業界動向、価格動向が当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、季節要因につきましても、「鮮魚の販売事業」は年末・年始及び稚魚の池入時期(上半期)に販売数量が増え、売上高が増加する傾向となっております。また、「餌料・飼料の販売事業」では養殖魚の産卵後から年末の出荷時期(第2~第3四半期)にかけて給餌率が高くなり、売上高が増加する傾向となっております。

 利益面は、特に稚魚の販売時期が集中する上半期に利益が増加する傾向となっております。

 

(2) 収益構造について

 当社グループの収益構造は、基本的には「販売数量×1キログラム当たりの一定幅マージン」で利益を確保する仕組みとなっており、最も重要なポイントは販売数量をいかに増やすかにかかっております。

 しかしながら、養殖魚の生産量と販売価格には密接な関係があり、供給過剰の場合には販売価格は低下し、また供給不足の場合には価格は上昇する傾向となっております。

 そのため、価格変動が大きい場合等には販売数量、マージン幅にも影響を及ぼし、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、当社では人工ふ化事業において、主にタイを中心にふ化・育成の研究並びに生産・販売を行っております。当事業は高収益性の事業であり、もし仮に病気による斃死などの予想し得ない事態が生じた場合には、当事業においても当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、マグロ養殖事業では、台風や津波等による自然災害、海の環境汚染・赤潮発生等によって、養殖中のマグロへの被害(大量死)、養鰻事業では、稚魚(シラス)の不漁などにより仕入価格が高騰し、生産コストの上昇や病気による斃死などの予想し得ない事態が生じた場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 自然災害等のリスクについて

 当社グループを取り巻く養殖業界では、台風や津波等による自然災害、また環境汚染・赤潮発生等によって、養殖業界全体に大規模な被害が生じる可能性もあり、被害状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制等について

 当社グループの事業に適用される「食品安全基本法」、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称、JAS法)」、「製造物責任法」等のさまざまな規制・規則が存在しており、これらの法的規制の強化や新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの経営成績に影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループでは食品の安全性について、独自の安全管理体制のもと万全の体制で取り組んでおりますが、今後、当社固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる品質問題等が生じた場合においても、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 売上債権等の貸倒リスクについて

 当社グループでは、当該リスクに対し与信管理の厳格化及び貸倒引当金の適正な引当等の対応策を講じておりますが、著しい魚価の低下、養殖魚の斃死等による在庫棄損が生じた場合には、当該生産者にあっては貸倒リスクが高まる可能性があり、被害状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 減損会計適用の影響によるリスクについて

 当社グループの事業資産の価値(時価)が大きく下落したり、収益性の低下等で投資額の回収が見込めなくなった場合においては、減損処理を行うことで経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度は、混沌とした国際情勢が続く中、わが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を受け国内景気は緩やかな回復基調で推移する一方、諸物価の上昇が続き個人消費への圧迫を一層強めております。

 当養殖業界におきましては、気候変動による温暖化の影響により赤潮の発生や猛暑による海水温の上昇等による自然災害、また、生餌の不漁や配合飼料など原材料価格の上昇等により、経営環境は厳しい状況が続いております。

 こうした状況の中、当社グループの「鮮魚の販売事業」は、カンパチ等の在池尾数減少により販売数量が減少しましたが、加工品を中心にして順調に推移したため、売上高は微増となりました。一方、「餌料・飼料の販売事業」は、生餌・配合飼料ともに高海水温による給餌制限等により数量が減少したため減収となりました。

 利益面では、養鰻事業の販売価格が下落する中で、稚魚不漁により稚魚代の高止まりや飼料価格等の上昇による養殖原価高も相まって大幅な減益となり、各利益は前年実績を下回るものとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は448億87百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は15億46百万円(前年同期比20.5%減)、経常利益は21億5百万円(前年同期比11.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億15百万円(前年同期比13.4%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

セグメントの名称

2024年3月期

連結会計年度

売上高

(百万円)

2025年3月期

連結会計年度

売上高

(百万円)

対前年同期比較

金額差異

(百万円)

増減率

(%)

鮮魚の販売事業

27,188

28,844

1,656

6.1

餌料・飼料の販売事業

17,871

16,040

△1,831

△10.2

その他の事業

70

2

△68

△96.2

合  計

45,130

44,887

△243

△0.5

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 「鮮魚の販売事業」は、売上高は288億44百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は74百万円(前年同期比85.7%減)となりました。

 

 「餌料・飼料の販売事業」は、売上高は160億40百万円(前年同期比10.2%減)、セグメント利益は14億88百万円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

 「その他の事業」は、売上高は2百万円(前年同期比96.2%減)、セグメント利益は1百万円(前年同期比48.8%増)となりました。

 なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産合計は321億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億30百万円減少いたしました。これは主に受取手形の減少等によるものであります。

 固定資産合計は201億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億90百万円増加いたしました。

 この結果、資産合計は523億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億59百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債合計は72億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億49百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の減少等によるものであります。

 固定負債合計は62億円となり、前連結会計年度末に比べ5億78百万円増加いたしました。

 この結果、負債合計は134億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億70百万円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は388億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億30百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は74.2%(前連結会計年度末は72.3%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は174億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億81百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は22億28百万円(前連結会計年度は60百万円の使用)となり、これは主に売上債権の減少、仕入債務の減少等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は13億13百万円(前連結会計年度は9億82百万円の収入)となり、これは主に有形固定資産の取得による支出等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2億33百万円(前連結会計年度は2億53百万円の収入)となり、これは主に長期借入金の返済による支出等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

鮮魚の販売事業(千円)

12,672,559

17.2

餌料・飼料の販売事業(千円)

436,599

2.8

報告セグメント計(千円)

13,109,159

16.7

その他(千円)

合計(千円)

13,109,159

16.7

 (注)1.「鮮魚の販売事業」は加工品、人工ふ化、マグロ養殖事業及びウナギ養殖事業の生産実績、「餌料・飼料の販売事業」はモイストペレットの生産実績であります。

2.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値で記載しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

鮮魚の販売事業

12,666,055

16.0

63,466

△23.1

餌料・飼料の販売事業

436,709

2.6

2,095

5.5

報告セグメント計

13,102,764

15.5

65,562

△22.4

その他

合計

13,102,764

15.5

65,562

△22.4

 (注) 「鮮魚の販売事業」は加工品、人工ふ化、マグロ養殖事業及びウナギ養殖事業の受注実績、「餌料・飼料の販売事業」はモイストペレットの受注実績であります。

 

c.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

鮮魚の販売事業(千円)

21,542,928

3.8

餌料・飼料の販売事業(千円)

13,975,870

△10.9

報告セグメント計(千円)

35,518,798

△2.5

その他(千円)

合計(千円)

35,518,798

△2.5

 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

鮮魚の販売事業(千円)

28,844,991

6.1

餌料・飼料の販売事業(千円)

16,040,055

△10.2

報告セグメント計(千円)

44,885,047

△0.4

その他(千円)

2,730

△96.2

合計(千円)

44,887,777

△0.5

 (注)1.相手先別販売実績において、総販売実績に対する当該割合が10%を超える相手先はありません。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、混沌とした国際情勢が続く中、わが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を受け国内景気は緩やかな回復基調で推移する一方、諸物価の上昇が続き個人消費への圧迫を一層強めております。

 当養殖業界におきましては、気候変動による温暖化の影響により赤潮の発生や猛暑による海水温の上昇等による自然災害、また、生餌の不漁や配合飼料など原材料価格の上昇等により、経営環境は厳しい状況が続いております。

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績ですが、売上高は448億87百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は15億46百万円(前年同期比20.5%減)、経常利益は21億5百万円(前年同期比11.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億15百万円(前年同期比13.4%減)であります。

 まず、売上面は、「鮮魚の販売事業」では、カンパチ等の在池尾数減少により販売数量が減少しましたが、加工品を中心にして順調に推移したため、売上高は微増となりました。一方、「餌料・飼料の販売事業」は、生餌・配合飼料ともに高海水温による給餌制限等により数量が減少したため減収となりました。また、利益面では、養鰻事業の販売価格が下落する中で、稚魚不漁により稚魚代の高止まりや飼料価格等の上昇による養殖原価高も相まって大幅な減益となり、各利益は前年実績を下回るものとなりました。

 次に経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載しておりますが、当社グループを取り巻く水産業界の動向や市場の価格動向などにより、当社グループの経営成績が大きく変動することから、中長期的な目標数値は設定しておりません。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は448億87百万円となり、前連結会計年度に比べ2億43百万円(0.5%)減少しており、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

2024年3月期

連結会計年度

金 額

(百万円)

2025年3月期

連結会計年度

金 額

(百万円)

対前年同期比較

差異分析

金額差異

(百万円)

増減率

(%)

数量要因

(百万円)

価格要因

(百万円)

鮮魚の販売事業

27,188

28,844

1,656

6.1

△166

1,822

餌料・飼料の販売事業

17,871

16,040

△1,831

△10.2

△2,254

423

その他の事業

70

2

△68

△96.2

合計

45,130

44,887

△243

△0.5

 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は37億76百万円となり、前連結会計年度に比べ1億87百万円(4.7%)費用が減少しております。これは主に売上運賃等の減少及び貸倒引当金の戻入によるものであります。

 

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は15億46百万円となり、前連結会計年度に比べ3億98百万円(20.5%)減少しており、セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

セグメントの名称

2024年3月期

連結会計年度

金 額

(百万円)

2025年3月期

連結会計年度

金 額

(百万円)

対前年同期比較

金額差異

(百万円)

増減率

(%)

鮮魚の販売事業

523

74

△448

△85.7

餌料・飼料の販売事業

1,410

1,488

77

5.5

その他の事業

10

△16

△27

合計

1,944

1,546

△398

△20.5

 (注)「その他の事業」のそれぞれの金額には、連結上の消去又は全社の利益が含まれております。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は21億5百万円となり、前連結会計年度に比べ2億72百万円(11.4%)減少しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は14億15百万円となり、前連結会計年度に比べ2億19百万円(13.4%)減少しております。

 

 次に当社グループの財政状態ですが、当連結会計年度末の資産合計は523億40百万円で前連結会計年度末に比べ9億59百万円(1.9%)増加し、負債合計は134億82百万円で前連結会計年度末に比べ7億70百万円(5.4%)減少し、純資産合計は388億57百万円で前連結会計年度末に比べ17億30百万円(4.7%)増加いたしました。

 この結果、自己資本比率は74.2%(前連結会計年度末は72.3%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しており、また、当連結会計年度における金融機関からの借入状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表 借入金等明細表」に記載しております。

 次に当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金及び設備資金は、内部資金または増資や借入れにより資金調達することにしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社では、1993年1月大分県佐伯市に「蒲江種苗センター」を設置し、健康で良質な人工ふ化稚魚の安定供給を目指し、稚魚の品種改良や製品化率の向上を図るための研究開発に取り組んでおります。

 また、株式会社西日本養鰻(連結子会社)においては、ウナギ養殖における餌及び飼育方法等についての研究開発に取り組みました。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動は、主に鮮魚の販売事業における人工ふ化事業に関するものであり、その金額は2百万円であります。