当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当社は、前連結会計年度の第66期より決算期を3月末日から2月末日に変更いたしました。経営成績及び各セグメントにおける対前年同半期比について、中間連結会計期間が第66期(2023年4月1日~2023年9月30日)と第67期(2024年3月1日~2024年8月31日)で異なりますが、参考数値として前年同期比較を記載しております。
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)の経営成績は、売上収益が1,101億13百万円(前年同期比6.8%増)、コア営業利益が80億33百万円(同39.2%増)、営業利益が78億90百万円(同34.4%増)、税引前中間利益が73億47百万円(同34.7%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は46億69百万円(同41.9%増)と増収増益でした。特に、デジタル事業とプラットフォーム事業は、セグメント利益が大幅増益と牽引しました。
当連結会計年度は、2023年5月8日に公表した中期経営計画「PLAN-W」の2年目にあたり、「人材競争力を高める従業員処遇の改善」と「再上場後の最高益水準の実現」の両立を目指したテーマ『持続的成長と利益の証明』を掲げ臨んでおります。当中間連結会計期間は三つの事業セグメント全てが前年同期に対して増益と目論見通りの経営成績を収めており、「PLAN-W」の折り返しを迎え、目標達成に向けて着実に歩みを進めております。
売上収益では、店舗売上が前年の新型コロナウイルス感染症の5類移行による店頭回帰に伴う押し上げ効果の一巡による影響を受けたものの、好調なEC売上がそれをカバーする格好で前年同期間より大きく伸長しました。ただ、アパレルブランドを中核とするブランド事業において、8月を中心とした端境期の晩夏・初秋商材の品揃えには量・質の両面で依然として課題を残しており、売上機会を的確に捉えた商品を持つことで一段と収益を伸ばす余地が大きいものと考えております。
利益面においては、上述した端境期品揃えの改善や四半期評価ルールへの適応に課題を残したものの、店舗とECの両販路で引き続きプロパーを重視した売り方に努めた結果、売上総利益率は59.4%と前年同期差0.3ポイント改善しました。また、販売費及び一般管理費においては、従業員処遇の改善に伴う人件費が増加したものの、経費コントロールの徹底で販管費率を52.1%と前年同期差1.4ポイント改善しました。結果として、本業の稼ぐ力であるコア営業利益の牽引によって、全ての利益段階が前年同期より増益を果たしました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
① ブランド事業
ブランド事業においては、あるべきブランドポートフォリオ戦略の完遂にむけて、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスが取れた持続的成長を追求しております。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしさを残しながら差別化された高付加価値な商品開発を行うため、また世界的な物価上昇や急激な為替変動に左右されないよう、国内の自社工場体制を垂直統合して国産回帰を図りつつ、より一層の収益性改善への取り組みを進めております。また、お客様との強いつながりを構築するため、マルチチャネル化やOMO(Online Merges with Offline)戦略を推し進めており、様々なプロトタイプ開発・出店を通じて新たな成長の創造に取り組んでおります。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、前連結会計年度の期首にSC主体のミドルロワー事業を一社に集約したことが奏功し、水平統合に伴うスケールメリットなどの追求で収益性の改善が進んでおります。加えて、第1四半期連結会計期間からは商品調達部隊の統合で直貿化の更なる推進体制を整えているほか、店舗数の純増転換に向けて店舗運営の改良や店舗開発の強化に取り組んでおります。また、新たな成長方策の一環として、新業態開発プロジェクトを立上げております。
ライフスタイルブランドでは、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めています。第1四半期連結会計期間よりミドルロワー系のライフスタイルブランド事業を一社に統合しており、リソースの融通やノウハウの共有などで収益構造の抜本的な改革を進めております。また、ライフスタイルブランドにおいても、新しいブランドの開発を進めており、そのローンチを確実なものとするよう準備しております。
一方、投資グループにおいては、プラットフォーム導入によるシナジー追求や収益構造の向上・確立をテーマに掲げております。ラグジュアリーセレクトを運営する㈱ストラスブルゴでは、欧州インポートブランドのエージェント獲得に加え、新規出店による高価格帯ビジネスの拡充に取り組んでおります。質の高い革小物で世代を跨って支持を得る㈱ヒロフを中核とする日本発ラグジュアリーバッググループでは、MD改革が幅広い顧客からの支持を得て好調に推移しております。
またブランド事業として海外事業の開発・拡張も進めており、タイのバンコクに出店した「タケオキクチ」では新たな海外法人の設立を目指して、東南アジア全域にて対象国を絞り込んで調査を進めております。また、安定的な自走が可能な状態を整えた台湾においては、「ココシュニック」のドミナント展開や「ドレステリア」の新規出店に続き、㈱ナルミヤ・インターナショナルとのシナジーを一段と発揮すべく、「プティマイン」での進出に向けた協業活動を本格化しております。
当中間連結会計期間では、半期から四半期単位での商品評価損ルールを適用した春・夏商戦となったこともあり、在庫消化と粗利確保のバランスにやや苦労したブランドが散見されたものの、全般的にはEC販路の好調な販売等に支えられて、ブランド事業全体の収支と換金は共に順調な進捗となりました。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が965億92百万円(前年同期比6.5%増(うち外部収益は929億13百万円(同6.7%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が50億86百万円(同27.7%増)と増収増益になりました。
② デジタル事業
デジタル事業は「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、B2Bはこれまでの積極投資を外販収益で回収できるよう、B2Cは「サーキュラー」を成長加速できるよう目指しております。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託サービスにおいて、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア(WOS)」をはじめ、他社公式ECの開発・運営を受託しております。自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO活動の強化を背景に、直営店舗とのシームレスなサービス改善をブランド事業と一体で推進しております。また、ソリューションサービスでは、物流業界の2024年問題に対する自社グループの物流コスト抑制の取組みや基幹システムの更新に留まらず、他社への在庫コントロールシステムの導入・運用サービスの提供を進めており、売上拡大に向けた営業活動を強化してまいります。案件収支の見える化と損益改善の打ち手を進めており、「ワールド オンラインストア(WOS)」での配送料値上げや、他社公式EC受託における更なる売上サポートを前提とした一部取引見直しの効果が出ております。
B2Cネオエコノミーにおいては、様々なテーマで実験した事業の「選択と集中」を行った結果、「サーキュラー」に焦点を当てて成長戦略を追求しております。ラクサス・テクノロジーズ㈱ではブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営むほか、保有資産であるバッグの稼働率に着目したバッグ試用販売等で事業サービスを拡充しております。また、ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは店舗とECの相互活用による仕入・販売両面のOMO戦略で成長を追求しつつ、今後の成長に向けてカジュアル業態「usebowl」の実験や、海外展開を見据えたタイでのPOP-UP出店にチャレンジしております。また、第1四半期連結会計期間よりオフプライスストア「& Bridge」を運営する㈱アンドブリッジを連結子会社化しており、㈱ティンパンアレイとの事業連携を強化し、シナジー最大化を推進しております。
当中間連結会計期間においては、B2BソリューションでEC受託事業の収支改善を実現した㈱ファッション・コ・ラボや、B2Cネオエコノミーで海外からのインバウンド需要を追い風にする㈱ティンパンアレイの好調さを継続しております。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は169億56百万円(前年同期比12.5%増(うち外部収益は70億31百万円(同13.8%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が12億19百万円(同166.8%増)と二桁増収増益になりました。
③ プラットフォーム事業
プラットフォーム事業においては、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
中間持株会社の㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデルを整える事業マネジメント機能と外部企業(クライアント)へのマーケティング機能を有します。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的に組み合わせ、クライアントのニーズに最適なサービスをワンストップで提案・提供します。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自らの商社機能を発揮して直接貿易スキームの構築や、製造子会社群の生産性改善の指導・支援をするほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや縫製工場の㈱ラ・モードでは、他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)の受託も強化しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」や他社ブランドの出店も年々増やしてきたファミリーセール等の催事を運営するほか、様々な業種業態の販売代行業務といった外販サービスも着実に拡充してきております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、㈱アスプルンドに代表される子会社群が、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けております。プラットフォーム事業のサービスラインやクライアント層の幅を拡張することに寄与しています。
当中間連結会計期間においても、為替変動に抵抗力を増した取引条件への変更による粗利確保や案件単位の採算性も考慮した外販受注などが進みました。なお、商品の開発から生産業務までを客観的に監査・指導する機能の強化を目的に、工場運営会社の一部は事業セグメントをプラットフォーム事業からブランド事業へ移管しました。また、売上収益が大きく減収しておりますが、これは㈱ワールドプロダクションパートナーズで売上規模が大きい9月度の業績が、決算期変更により当中間連結会計期間に含まれないことによるものです。
この結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は353億44百万円(前年同期比5.3%減(うち外部収益は101億1百万円(同4.2%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が8億23百万円(同79.5%増)と減収増益になりました。
④ 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ経営本部」、「グループ人事統括室」といったコーポレートスタッフに加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループの情報・物流システムを開発・運用する「デジタルソリューション事業本部」などで成り立っています。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としておりますが、機能集約化などを不断に進めて自らの生産性の改善に努めております。
当中間連結会計期間においては、グループ各社の収益拡大に伴って料率方式の経営指導料収入が増加した反面、事務所の集約による受取賃料の減少や従業員処遇の改善に伴う人件費の増加の影響を受けました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は38億24百万円(前年同期比5.1%増(うち外部収益は67百万円(同20.8%減)))、コア営業利益(セグメント利益)が7億73百万円(同21.8%減)と増収減益になりました。
<サステナビリティ(持続可能性)への取り組みについて>
当社グループは、『価値創造企業グループ』として長期的・持続的に価値を創造し、提供し続けるためには「持続可能な社会の実現」への貢献が不可欠であり、環境負荷及び社会活動に関する取り組みを企業経営における重要課題の一つと位置づけています。そして、分散構造故に見える化が進んでいないファッション業界において、環境負荷の見える化を進めるとともに「ワールド・ファッション・エコシステム」を通じて、ファッション産業の多様性と持続性の両立を目指し、産業全体の構造的課題の解消に向けて積極的に取り組んでおります。
「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築を一段と高次元なものに昇華させることで、新たな成長機会の創出や社会が共感できる価値を創造すべく、ワールドグループならではの持続可能な社会に向けた戦略指針を具体化し、2022年6月にTCFD提言への賛同表明と共に、脱炭素社会の実現に向けて当社グループ独自の「ワールド・サスティナビリティ・プラン※1」を公表しました。目標達成に向けたKPIを設定し、各施策を実施しています。また、実現に向けた基盤として、人的資本経営フレームワークの構築やダイバーシティの推進に注力しています。
当中間連結会計期間に取り組んだ主なサスティナビリティ活動は次のとおりです。
■Environment(環境)
・温室効果ガス排出量削減のため、シーズン毎にサスティナブル素材使用の計画策定と実績管理をしており、2023年秋冬よりサスティナブル素材ブランド「サーキュリック※2」を活用した商品の販売を開始しました。サスティナブル素材の使用割合は、2023年秋冬で8.3%、2024年春夏で15.9%の実績となり、2024年秋冬は12.0%を目標に進捗中です。また、一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会が公表した「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の算定方法基本ガイドラインに関する業種別解説(ファッション産業)※3」の策定に参画しました。ガイドラインにはワールドグループの取り組み事例を掲載しております。
・商品以外の分野においても、ワールドグループを挙げて、リサイクル原料などの利用を積極的に推進しております。例えば、2022年より株式会社マテックス(神戸市中央区)と共に、ワールドグループの自社工場で出る「裁断ロス生地」を混抄し、紙製品をつくる仕組みを開発し、商品の下げ札や名刺などの紙製品に再生しワールドグループ内で利用しております。また、自社の使用済み段ボールのクローズドリサイクルによるお客様への紙袋提供も開始しております。
・お客様から不要な衣料品等を引き取り、リユースにつなぐ「ワールド エコロモ キャンペーン※4」を、従来の百貨店中心での開催からショッピングセンターなどにも大幅拡大し、年2回の開催を継続しております。また、2024年8月より取引先様と協業した衣料品引き取り活動も開始しました。なお、「ワールド エコロモ キャンペーン」で引き取った点数は右肩上がりで増えており、2024年春夏も前回・2023年秋冬や前年・2023年春夏の回収数を上回り、これまでの回収点数は総数1,928万枚の実績となりました。
■Social(社会)
・「ワールド エコロモ キャンペーン」の収益金を子供達の未来のために寄付しており、これまでの寄付総額は1億9百万円になります。
・加えて、「ワールド エコロモ キャンペーン」や「グループ社員によるエコロモへの参加」の収益金を令和6年能登半島地震の義援金として、当中間連結会計期間において236万円の寄付を行っております。
・自社工場の残布や残糸等を活用したワークショップを、全国のワールドグループの店舗および地方自治体が運営する施設などで開催し、当期は12,414名に参加頂き、累計参加者は20,088名になります。
・近隣企業が主催するSDGsのイベントにおいて、ジェンダーレス&ダイバーシティをテーマに開催したファッションショーに協賛しました。
■Governance(ガバナンス)
・取締役の多様性を高め、透明性・公平性・客観性・独立性を担保すると共に、自由闊達な議論、建設的な意見交換を通じた、ガバナンス向上を追求しています。2024年5月に取締役3名(内、社外取締役2名)を交代すると同時に、コーポレートガバナンスの更なる高度化に向けて、社外取締役が取締役会議長を務めております。
・サスティナビリティに関する取り組みは、代表取締役 社長執行役員のもと組織されるサスティナブル委員会の下に担当役員及び担当部署を設置し、推進しております。また、独立社外取締役が過半以上の取締役会では、社長及びサスティナブル委員会から定期的に報告を受け、その進捗の監視・監督を行っております。
■人的資本経営
・ESGそれぞれの施策と連動した「人材開発、ワークライフ、多様性、処遇改善など、ヒトが中心の各種施策」を進めております。
・推進テーマを「知識の利用可能性向上(ナレッジ共有の進化)」「ワークフォースの最適化(生産性の向上)」「多様性向上」「エンゲージメント(組織力向上)」と定め、これらのテーマでKPIを設定し達成を目指しています。
・エンゲージメントサーベイとして毎年実施している「組織力アンケート」を通じて、組織課題を抽出し、各社の改善アクションプランを策定し、実行の成果や課題をチェックする体制を整備しております。
・ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けた具体的な施策として、「アンコンシャス・バイアス研修」、「女性活躍推進座談会」を実施しております。
・階層別、職種別の研修プログラムを事業戦略に連動して策定し、「誰もが学び続けられる育成プログラム」を推進し、E-Learningのコンテンツの充実、執行役員による管理職向け研修などを行っております。
※1 ワールド・サスティナビリティ・プラン:https://corp.world.co.jp/csr/pdf/world_sustainabilityplan_2022.pdf
※2 サーキュリック:https://store.world.co.jp/s/brand/circric/
※3 サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の算定方法基本ガイドラインに関する業種別解説 (ファッション産業):https://www.jafic.org/projects/environment/ghg_guidelines2023/
※4 ワールド エコロモ キャンペーン:https://corp.world.co.jp/csr/pdf/world_ecoromo.pdf
(2)財政状態の分析
①資産、負債及び資本の状況
(資産)
資産合計は2,360億2百万円と前連結会計年度末に比べて36億83百万円減少しました。
この主な要因は、現金及び現金同等物が約16億円、売上債権及びその他の債権が約10億円、棚卸資産が約9億円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は1,486億93百万円と前連結会計年度末に比べて25億74百万円減少しました。
この主な要因は、借入金の返済に伴い約20億円減少したことによるものです。なお、2024年6月に永久劣後特約付ローンから通常の長期借入金へ約50億円借り換えを実施し、このリファイナンスに伴って借入金が50億円増加しました。
(資本)
資本合計は873億9百万円と前連結会計年度末に比べて11億9百万円減少しました。
この主な要因は、主に親会社の所有者に帰属する中間利益により利益剰余金が約47億円増加した一方、配当金の支払いにより約10億円、その他資本性金融商品の償還により約50億円減少したことによるものです。
(ネットD/Eレシオ)
当社グループでは、債務返済の能力及び事業の収益性・成長性を持続的に向上できるよう、有利子負債と株主資本の最適な資本構成を検討する目的から、ネットD/Eレシオを財務体質の健全性指標とし、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍を目指してまいります。
当中間連結会計期間末のネット有利子負債は576億82百万円と前連結会計年度末より約4億円、親会社所有者に帰属する持分合計については約15億円それぞれ減少しました。その結果、当中間連結会計期間末のネットD/Eレシオは前連結会計年度末の0.71倍から0.72倍と0.01ポイント増加しました。
(ROE)
当社グループでは、中期経営計画「PLAN-W」策定時において、株主資本コスト(COE)を超過する株主資本当期利益率(ROE)として10%超の実現を目標に掲げておりましたが、現在ではこれまでの業績等の進捗状況も踏まえて、「PLAN-W」最終年度の2026年2月期に12%に近づくよう努めております。
当中間連結会計期間の実績を反映した12ヶ月換算のROEは、前連結会計年度の7.1%から4.9ポイント改善の12.0%となりました。
(ROIC)
当社グループでは、次期の中期経営計画で本格的な成長戦略を追求できるよう、価値創造的な状態を「PLAN-W」で創り上げることが重要と認識しております。具体的には、「PLAN-W」において、最適資本構成の下でROEがCOEを超過する状態や、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態を目指しています。
このため、これまでのROA(コア営業利益ベース)に替えてROICを経営指標に設定し、当中期経営計画「PLAN-W」最終年度には目標値8.5%を射程圏とできることを目指します。また、事業別ROICの設定準備にも入っており、経営と現場が一体となってROICがWACCを恒常的に超過する状態での持続的成長に努めてまいります。
当中間連結会計期間の実績を反映した12ヶ月換算のROICは、前連結会計年度の4.8%から2.7ポイント改善の7.5%となりました。
各指標に関しては、下記の定義の通り算出しております。
なお、ネット有利子負債及び親会社所有者に帰属する持分合計は前年同期末と当期末の平均で算出しております。
・ネットD/Eレシオ
期末のネット有利子負債 ÷ 期末の親会社所有者に帰属する持分合計
・ネット有利子負債
借入金 + 日本基準におけるファイナンスリース負債 - 現金及び現金同等物
・ROE
過去一年間の親会社所有者に帰属する当期 (四半期) 利益 ÷ 親会社所有者に帰属する持分合計
・ROIC
(過去一年間の営業利益 - 法人所得税 - 非支配株主持分に帰属する当期 (四半期) 利益) ÷(ネット有利子負債 + 親会社所有者に帰属する持分合計)
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度の決算期変更に伴い、中間連結会計期間が第66期(2023年4月1日~2023年9月30日)と第67期(2024年3月1日~2024年8月31日)で異なっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
157億45百万円の収入(前年同期比40億23百万円 収入増)となりました。
この主な要因は、税引前中間利益の増加が約19億円と堅調だったことに加え、未払消費税等の増減額が約15億円増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
17億66百万円の支出(前年同期比16億39百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、前第1四半期連結会計期間におけるW&Dインベストメントデザイン投資事業有限責任組合からの分配金による収入約16億円がキャッシュ・フロー上、マイナス要因となっていることによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
154億77百万円の支出(前年同期比33億31百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、借入金の返済が増加したことによる支出約43億円がキャッシュ・フロー上、マイナス要因となった一方で、前第1四半期連結会計期間において連結子会社である㈱ナルミヤ・インターナショナルの株式の追加取得に伴い支出した約9億円がキャッシュ・フロー上、プラス要因となっていることによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末より15億66百万円減少して、192億82百万円となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性に係る情報について、前連結会計年度の有価証券報告書「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載した内容から重要な変更はありません。
(5)販売実績
当中間連結会計期間における販売実績は次のとおりであります。
なお、2024年3月1日付の組織再編により、㈱ワールドインダストリーファブリック、㈱ワールドインダストリーニット、㈱センワ及び㈱フレンチブルーがプラットフォーム事業からブランド事業に移動したため、前中間連結会計期間のセグメント情報は、当該組織再編後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
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セグメント |
区分 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ブランド事業 |
|
ミドルアッパー |
26,298 |
7.1 |
|
ミドルロワー |
46,615 |
5.7 |
||
|
国内アパレルブランド |
72,913 |
6.2 |
||
|
国内ライフスタイルブランド |
13,505 |
7.2 |
||
|
海外 |
751 |
10.8 |
||
|
投資 |
5,745 |
10.5 |
||
|
小計 |
92,913 |
6.7 |
||
|
デジタル事業 |
B2Bソリューション |
1,676 |
△16.4 |
|
|
B2Cネオエコノミー |
5,355 |
28.4 |
||
|
小計 |
7,031 |
13.8 |
||
|
プラット フォーム事業 |
生産プラットフォーム |
1,365 |
△18.9 |
|
|
販売プラットフォーム |
3,171 |
9.9 |
||
|
シェアードサービスプラットフォーム |
67 |
57.9 |
||
|
ライフスタイルプラットフォーム |
5,498 |
8.2 |
||
|
小計 |
10,101 |
4.2 |
||
|
共通部門 |
67 |
△20.8 |
||
|
売上収益 |
110,113 |
6.8 |
||
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
|
EC化率 |
金額(百万円) |
% |
前年同期差 |
||||
|
|
|
21.15 |
+0.87 |
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(6)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。