文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
国内の建設投資は堅調で受注環境は良好であるものの、資源高や人材不足を起因とする供給面での制約は一層強まっており、当社グループを取り巻く経営環境も、当面の間は不透明な状況が続くと見込まれます。
かかる見通しの下、当社グループは、引き続きコア事業である商品販売事業と工事事業に注力することを基本戦略に据えた上で、カーボンニュートラル社会への貢献を通じた既存事業の強化、保守事業の拡大による底堅い収益基盤の構築、加えて東南アジア地域を中心とした海外事業の展開にも積極的に取り組んでまいります。
当社グループは、収益構造の改革を重点課題と捉え、経営効率及び生産性向上の視点から、売上高・経常利益の絶対額の確保と経常利益率の向上に取り組んでまいります。2026年3月期を最終年度とする中期経営計画において、2026年3月期での売上高1,600億円、経常利益158億円を数値目標としている他、各年度において効率性と財務安定性の両立を目指し、ROE12%以上とPBR1倍以上、自己資本比率50%前後の達成を経営指標の目標としております。
当社グループは、経済性や利便性だけでなく、その先にあるこころの豊かさを求めていくことが私たちの使命であると考え、その存在意義を「東テクグループはこころ豊かな快適環境を創造します。」と定めております。
そして、企業経営にあたっては「価値の高いサービスでお客様の満足度を高める」こと、「地球にやさしい環境づくりで社会に貢献する」こと、「出会いを大切にしこころ豊かな企業体質を実現する」ことをもって、その存在意義を果たしていくものであります。
2030年をターゲットとした長期ビジョンでは「ここちよいを、その先へ。」と掲げ、人に、社会に、地球にここちよい、新しい時代の「ここちよさ」を技術革新や社会構造の変化を捉え追求する、一歩先の未来の快適環境を創造できるグループを目指すこととしました。この達成に向け、2025年度を最終年度とする第一次中期経営計画においては「人にここちよい」をテーマとし、①人財への投資②ESG経営③コア事業の強化④海外事業の拡大、以上4つの戦略骨子を掲げ、社会的価値および経済的価値の創造を戦略的に進めてまいります。
当社は、業績拡大に向けて企業体質の強化を図ると共に株主の皆様に安定的かつ適切な成果の還元を行うことを経営の重要課題としております。その具体的な指標として連結配当性向40%を目安におき、業績に応じた継続的かつ安定的な配当を実施することとしております。
内部留保金につきましては、厳しい経営環境に対応できる競争力を強化し、収益力の向上と財務体質の充実に有効活用することにより、長期的な健全経営の維持に役立ててまいります。
当社グループでは規模の拡大と利益の確保を課題として、(1)及び(3)に記載の経営方針、経営戦略を実行していく上で、次の諸施策を推進してまいります。
① 人財への投資
人財は、当社グループによる社会的価値及び経済的価値の創造を支える重要な基盤であり、継続的に強化・投資を行います。当社グループでは、「自ら考え、自発的に行動し、新しい価値を生み出せる人財」を求める人物像と設定し、人財の強化を図っています。教育・研修制度の充実、誰もが意欲をもって働ける環境づくり、エンゲージメントサーベイに基づく改善活動に取り組み、一人ひとりの成長を支援してまいります。
② ESG経営
当社グループは、全てのステークホルダーのために、環境・社会・ガバナンスの各視点で、具体的なアクションプランを推進していきます。カーボンニュートラル社会を見据えたグループ全体のGHG排出量の算定と削減活動、再生冷媒への取組みや省工事の推進等、事業活動を通じた環境課題への貢献を進めるとともに、男性育休取得率や障がい者雇用率等の非財務指標の向上を通じ、働きやすい職場環境の構築に取り組みます。また、より高度なガバナンス体制の構築を目指し、機関設計の見直し、コンプライアンス活動の推進、内部統制の充実・強化を図ってまいります。
③ コア事業の強化
当社グループは、空調機器を中心とした設備機器の販売および計装工事等の電気・管工事の施工から、納入・施工後の保守・リニューアルまで、建物設備のライフサイクルに合わせた商品・サービスを提供しております。今後も大型案件・高収益案件へ注力するとともに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓を進め、売り上げ拡大と利益体質の強化を図ってまいります。また、空調、計装、エネルギー分野に亘る幅広いソリューションをトータルで提供できる当社グループの総合力を活かし、収益力・成長力を高めていきます。
④ 海外事業の拡大
当社グループの持続的な成長のために、人財・体制の強化を進めながら、ソリューション・顧客層・エリアを広げることで、海外事業を拡大していきます。特に、市場が拡大する東南アジア地域において、現地拠点の事業拡大を目指すとともに、積極的にM&Aも活用し、業容の拡大を図ります。日本国内において評価されているトータルソリューション力を海外市場においても提供し、顧客のニーズに応えてまいります。
当社グループでは、「こころ豊かな快適環境を創造します」という存在意義のもと、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組み、社会と共に持続的成長をするため「地球にここちよい」「社会にここちよい」「人にここちよい」「健全な経営基盤の強化」の4つのマテリアリティを掲げ、活動を展開しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応
気候変動問題が深刻になる中で、空調をはじめとした設備機器が消費する電力は膨大なものとなります。当社では、気候変動への対応を重要課題と認識し、省エネルギー化、再生エネルギーの普及、冷媒の適切な回収、処理などの推進に取り組み、温室効果ガスの排出を抑制することで持続可能な脱炭素社会の実現に努めております。企業としてより主体的に参画するため、2022年度にTCFD提言に基づいたシナリオ分析を実施し、事業におけるリスクと機会の特定などに着手し、2023年5月にはTCFD提言への賛同を表明しております。今後も気候変動問題に真摯に向き合い、事業に影響するリスクと機会への理解を深化させ、TCFD提言に基づく気候変動関連の積極的な情報開示に努めてまいります。
① ガバナンス
当社では、サステナビリティ委員会がリスク管理委員会と連携し、社内各部門の分掌に沿って気候変動関連のリスクと機会、業務執行への影響について協議、決定、進捗管理、モニタリングを実施し、取締役会へ報告を行っています。取締役会は、原則として半年に一度これらサステナビリティ推進に関する取組み施策の進捗の報告を受け、論議、監督を行っています。また、サステナビリティ委員会で審議された対応策を実際に履行する部署として経営戦略本部サステナビリティ推進グループ(以下、サステナビリティ推進G)を設け、気候変動関連のリスクへの対応に取り組んでいます。

② 戦略
当社では、TCFD 提言に基づき、気候変動関連のリスクと機会の把握を目的にシナリオ分析を開始しました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき 1.5℃ シナリオと 4℃シナリオを定義し2030年時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。これらのリスクと機会について、今後社内での議論を深め、適時適切に開示してまいります。
リスク機会一覧
気候変動に関連する様々なリスクと機会について、関係各部署の協力を得てリストアップし、検討してまいりました。認識したリスク・機会のうち、事業への影響度が「中」以上のものを主に記載しております。
影響度
大:当社への影響が非常に大きい (売上高の 12%以上)
中:当社への影響はあるが限定的 (売上高の 6%~12%未満)
小:当社への影響はほとんどない (売上高の 6%未満)
リスク一覧
機会一覧
③ リスク管理
気候変動関連のリスクと機会は、サステナビリティ委員会がサステナビリティ推進Gと連携しながら特定し、抽出します。抽出されたリスクはサステナビリティ委員会及びサステナビリティ推進Gによって影響度が評価され、対応が必要と判断されたリスクは、サステナビリティ委員会が対策を管理しながら各事業部門によって対応が行われます。また、気候変動関連のリスクに関する対応状況は取締役会へ報告されます。取締役会ではサステナビリティ委員会より気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、論議、監督します。

④ 指標と目標
当社は、気候変動関連のリスクと機会の評価指標として、温室効果ガス排出量の算定を行なっております。2022年度及び2023年度におけるScope1 にあたる「燃料の使用(CO2)」、Scope2 にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」、 Scope3 に当たる「 Scope1、Scope2 以外の事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出量(CO2)」の実績は下記となります。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績については、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
当社は、温室効果ガス排出量(Scope1,2)を、2021年度比で「2023年度38%削減」「2050年度100%削減」とした、カーボンニュートラルを目指すGHG削減目標を設定しました。これは日本政府からカーボンニュートラル宣言が公表され、国際的にも気候変動への対応強化が求められていることを踏まえ、国際的な水準である年次4.2%の削減を実現する内容としています。
また、当社の第一次中期経営計画において、ESG経営を戦略骨子の1つとして進めており、GHG排出の削減に向けて、これまで事業所における省エネ活動による消費電力の削減や所有不動産のZEB Ready取得、社有車のEV転換などに取り組んできました。今後もこれらの施策強化に加え、再生可能電力の導入率のさらなる向上など、目標達成に向けて取り組んでまいります。
(2) 人的資本に関する取り組み
① 戦略
当社グループにおける、人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人財育成方針
東テクグループは、「こころ豊かな快適環境を創造します。」を存在意義とし、「自ら考え、自発的に行動し、新しい価値を生み出せる人財」を求める人財像として定義しています。
東テクグループが持続的に成長をするためには、「人」こそが最も重要な経営資本と認識し、社員が自律的に成長しその価値を最大限発揮できるよう、社員一人ひとりの成長への支援と人事制度や人財育成施策の改善を行います。
社内環境整備方針
東テクグループは、あらゆる人財が力を最大限発揮できるよう良好なコミュニケーションを図り、心身の健康の保持増進、育児や介護と仕事の両立など、多様で柔軟に働きやすく働きがいのある職場環境づくりに取組み、社員のエンゲージメントの向上を実現します。
また、社員の一人ひとりの成長とより良い職場環境を実現するために以下の取組みを行っています。
ⅰ多様な人財の活躍
当社グループは、年齢、性別、国籍等の属性によらず多様な人財の活躍を推進することで、企業の競争力強化につなげてまいります。また、多様な人財が活躍できる環境を整備することで新しい価値の創造、生産性の向上などにつながると考え取り組んでおります。
当社では、女性の活躍を推進すべく、新卒採用及び中途採用において女性の積極的な採用、職種転換制度などに取組み女性社員の比率、女性管理職の人数が徐々に高まっています。また、ライフワークバランスの推進に向け、労働時間管理の徹底、長時間労働の削減、年次有給休暇取得推奨、フレックスタイム制度の導入、男性社員の育児休業制度の取得推奨などに努めております。
ⅱ健康経営の推進
当社グループが、持続的な成長を実現するためには社員が心身ともに健康であることが重要であると認識し、社員とその家族の健康保持・増進を健康経営の基盤と位置づけ、健康づくりに向けた制度、体制の充実に取り組んでおります。
当社では、2020年に健康保険組合連合会東京連合会より、健康優良企業に認定され「銀の認定」を取得しました。また、2024年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。健康保持・増進に取り組むため、健康診断の受診項目の拡充、被扶養者健診の費用補助、全社員を対象としたストレスチェックの実施、インフルエンザ予防接種、ウォーキングイベント、禁煙サポートプログラムの導入などを実施しております。
ⅲエンゲージメントの向上
当社グループでは、エンゲージメントを会社と社員が互いに信頼し、共に成長し合う関係と定め、社員が働きがいを抱き、安心して働き続けられる環境を整備することを目的に、エンゲージメント調査を実施しています。
社員の会社や組織に対する思い入れや期待することや、実際の体験に基づく実感値とそのギャップから組織状態を表す「EXスコア」が算出されます。エンゲージメント調査の結果については、経営層への報告に加え各組織へのフィードバックを実施し、調査で見えてきた現状や課題に対して改善に取り組むことで、より良い組織・職場環境づくりに活用してまいります。
② 指標及び目標
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記指標に関する実績については、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。また、上記の指標も含めた各指標及び目標設定については、将来的な開示に向けて検討を進めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは業務用空調機器の販売を主とした「商品販売事業」及び計装工事を主とした「工事事業」の二つをコア事業としており、当社グループが属する業界はいわゆる建築設備業界であるため、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものがあります。
① 景気及び市場の動向
建築設備業界は景気の変動及び政府の経済政策等の影響を強く受けやすい業界であり、民間設備投資や公共投資が想定以上に低迷する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
② 競争の激化
建築設備業界における「商品販売事業」及び「工事事業」の同業他社との競争は厳しいものとなっております。営業力・技術力を高め、競争力の強化に取り組んでいるところですが、今後、価格競争の激化や競合他社の攻勢等により、予期せぬ競争関係の変化があった場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 債権回収
建築設備業界は、業界の慣行等も併せて売上債権の管理及び回収が極めて重要となります。当社グループは債権の回収・管理を徹底させ、業界及び市場の動向にも絶えず注視しております。しかし、多額の不良債権が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの企業成長のためには有能な人材の確保が極めて重要であります。新卒採用に関してはインターンシップを開催するなど積極的な採用活動を行っており、毎年多くの新入社員をグループ全体で採用しております(2025年4月入社は115名)。加えて、中途採用においても、全国にて技術職を中心に積極的に採用をしております。さらに、人材育成に関して、東テクグループテクニカルセンターでは設備機器の実機を備え、座学に限らない本格的な技術研修を年間を通じて開催しております。こうして高い技術力を持った人材の育成に努めておりますが、もしこのような人材を確保・育成できなかった場合には、当社グループの企業成長に多大なマイナス影響を及ぼす可能性があります。
社員の勤怠管理や時間外勤務につきましては、労働基準法の規制が適用されます。当社グループでは、現場作業などによる時間外勤務や長時間労働を起因とした健康問題や生産性低下に対処するため、個人別に就業時間管理・指導を行うほか、長時間の時間外勤務を必要としないワークスタイル作りに努めております。しかしながら、取引先との関係や予期せぬトラブルの発生等により、時間外勤務の増加や納期遅延等が発生し、社員の健康管理や当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、計装工事を中心とした「工事事業」を行っており、工事等に伴う人的・物的事故及び災害の危険は常にあります。このため当社グループでは、労働災害保険等の保険の加入はもとより、「安全衛生管理室」を設け、詳細な「安全衛生管理規程」により協力会社の参加を得て「安全衛生協力会」を中央及び地区別に結成して定期的な安全衛生大会、安全衛生教育等を実施し、万全を期しておりますが、このような事故等が発生した場合には多大な社会的信用失墜のリスクがあります。
当社グループは「商品販売事業」及び「工事事業」に関連して、訴訟等法律手続の対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては、当社のリスク管理委員会にて一括して管理しており、必要に応じて取締役会及び監査等委員会に報告し、また顧問弁護士とも協議する管理体制となっております。当連結会計年度末において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは主要仕入先と販売代理店・特約店契約を締結し、業務用空調機器及び空調自動制御機器等を仕入れ、「商品販売事業」及び「工事事業」を行っております。特にダイキン工業株式会社からの仕入金額が当社グループの仕入金額全体に占める割合が高くなっています(2025年3月期は26.1%(商社を経由した仕入金額を含む))。主要仕入先の品質・生産力等に予期せぬ変化があった場合または当社グループとの関係に変化があった場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは「工事事業」を行っており、質の高い協力会社の確保が極めて重要であります。東テクグループテクニカルセンターにて協力会社の社員にも質の高い研修を実施するなど、高い技術力を持った協力会社の確保・育成に努めておりますが、今後、優良な協力会社の確保・育成ができなくなった場合には、当社グループの「工事事業」に支障を来たし、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業の過程で入手した取引先・個人の情報や建物の設備情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報の取扱い及び管理の強化に取り組んでおりますが、予測できない事態によってこれらの情報が流出した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、建設業法、労働安全衛生法等による法的規制を受けており、法的規制の改廃・新設、適用基準等の変更があった場合、また、当社グループはコンプライアンス体制の充実に努めておりますが、法令違反があった場合もしくは法的規制による行政処分等を受けた場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの中核事業の一つである工事事業において建設業法、電気通信事業法等の関連法規制のほかに事業を営む上で必要な下記の許認可を取得しております。
(当社グループの許認可の状況)
なお、上記の事業の停止や許認可の取り消しとなる事由は、建設業法並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律に定められております。
当社グループでは、シンガポール、インドネシア及びベトナム等の海外子会社において事業活動を行っております。海外での事業活動には、予期せぬ法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難など、経済的に不利な要因の存在または発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的または政治的混乱などのリスクが存在します。
こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主として金融機関からの借入金によって資金を調達しております。2025年3月期末における外部金融機関からの連結有利子負債残高(短期、長期借入金の合計)は3,818百万円であります。また、連結総資産に対する有利子負債依存度は3.6%となっています。このため、将来、金利が上昇した場合や、当社の信用力が低下した場合等、将来の資金調達に係る経営環境が変化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは土地、株式等を保有しており、今後時価が著しく下落した場合には減損の対象となり当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行っている「商品販売事業」及び「工事事業」は建築工事の完工や検収時期によって収益が偏る傾向があり、上半期より下半期に、また、各期ともに期末に売上高が増えるという季節的変動があります。
想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止または事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンプライアンス、内部統制を経営上の重要課題と位置付けており、委員会活動等の実効性を高め、牽制機能の強化を図っております。業務運営において役員・社員の不正及び不法行為の防止に万全を期すべく取り組んでおりますが、有効なリスク管理体制を構築している状況においても、従業員等の悪意、重大な過失に基づく行動等、様々な要因により、万一、重大な不正行為が発生した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外における紛争の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇の影響が続き、先行きは不透明な状況で推移しました。国内においても、個人消費やインバウンド需要に回復の兆しが見られたものの、物価上昇の影響により消費者マインドが抑制され、景気の下振れリスクが懸念されました。
不確実性の高い経済環境下で、当社グループを取り巻く建設業界では、建設資材価格の高騰が続き、加えて少子高齢化に伴う労働力減少や慢性的な技術者不足という供給面での構造的課題を抱えております。このような厳しい状況下においても、公共投資・民間投資は堅調に推移しており、大都市圏の再開発計画や製造業の国内回帰による設備投資需要を着実に取り込みました。
売上高は、良好な建設需要を背景とした基本的な営業活動に加え、オフサイト生産やリモートメンテナンスの推進など、当社ならではの付加価値創出提案にも取り組んだことで、155,958百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。利益面につきましては、売上高の伸びに対し、売上原価の伸びを低く抑えられたことにより営業利益は14,691百万円(前連結会計年度比48.3%増)となりました。これに伴い、経常利益は15,574百万円(同47.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,194百万円(同59.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<商品販売事業>
商品販売事業におきましては、空調機器、制御機器、省エネ機器を中心とした設備機器の仕入・販売及びこれに関する据付け工事、アフターサービス等を行っております。当連結会計年度は、特に都市部における再開発案件が旺盛で受注環境が良好であったことから、売上高は93,084百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。
利益面では相対的に利益率の高い空調機器の保守メンテナンス案件が伸長したことにより売上総利益は19,721百万円(同10.7%増)となりました。
<工事事業>
工事事業におきましては、計装工事のほか各種工事の設計・施工及び保守を行っております。当連結会計年度は、世界的なカーボンニュートラルに向けた取組みの推進やデータセンターなど大型の設備需要の取り込みにより売上高は65,303百万円(前連結会計年度比14.8%増)、売上総利益は22,143百万円(同32.5%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて4,749百万円増加し105,229百万円となりました。これは、未収入金が490百万円、投資有価証券が464百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金の増加4,389百万円、さらに、敷金保証金や出資金の増加による投資その他の資産その他の増加997百万円、さらに建設仮勘定が506百万円増加したことが主な要因です。
なお、商品販売事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて2,991百万円増加し60,739百万円となりました。一方、工事事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて1,944百万円増加し43,366百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,041百万円減少し44,000百万円となりました。これは賞与引当金が1,041百万円及び未払法人税等が979百万円それぞれ増加した一方で、有利子負債が5,183百万円減少したことが主な要因です。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて7,791百万円増加し61,229百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額が517百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上から配当金の支払を差し引いて利益剰余金が8,220百万円純増したことが主な要因です。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は58.2%となり、前連結会計年度末から5.0%上昇しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて4,522百万円増加し13,046百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は13,883百万円(前連結会計年度は9,939百万円の収入)となりました。これは、法人税等の支払額3,846百万円に加え、退職給付に係る負債の減少720百万円により資金が減少したものの、好調な業績を背景に税金等調整前当期純利益15,872百万円を計上した他、減価償却費1,568百万円、賞与引当金の増加1,034百万円により資金が増加したことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,104百万円(前連結会計年度は437百万円の支出)となりました。これは、投資有価証券の売却及び償還による収入933百万円があった一方で、有形及び無形固定資産取得による支出1,510百万円及び敷金及び保証金の差入による支出425百万円があったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は8,414百万円(前連結会計年度は6,016百万円の支出)となりました。これは、主に長短借入金の純減額5,183百万円及び配当金の支払額2,977百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
ⅰ 売上総利益及び営業利益
当連結会計年度の売上総利益は41,887百万円(前連結会計年度比21.2%増)となりました。売上について当社グループが提供する主力の空調機器販売や計装工事施工は良好な受注環境の下で順調に推移し、セグメント別連結売上高は前連結会計年度比で商品販売事業は8.1%、工事事業は14.8%の増収となっております。相対的に利益率の高い工事事業が大きく伸長したことで売上総利益は大幅増益の結果となりました。
一方で販売費及び一般管理費は、需要に対するサービス供給の確保のために、当社グループ全体での人員採用の強化や給与のベースアップを含む社員への報酬増などによる人件費の増加があったため前連結会計年度比10.3%増の27,196百万円となりました。
この結果、営業利益は14,691百万円(前連結会計年度比48.3%増)となりました。
ⅱ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は15,574百万円(前連結会計年度比47.1%増)となりました。受取配当金や賃貸料収入が増加したことが主な要因で、営業外損益の収支としては前連結会計年度に対し204百万円改善する結果となりました。
ⅲ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度は特別利益に投資有価証券売却益302百万円及び固定資産売却益を1百万円、特別損失に固定資産売却損7百万円をそれぞれに計上しております。
この結果、税金等調整前当期純利益は15,872百万円(前連結会計年度比50.3%増)となりました。
ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度においては賃上げ促進税制の適用額が増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は11,194百万円(前連結会計年度比59.8%増)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照下さい。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主要な資金需要は商品販売の為の商品仕入、受注工事施工の為の材料費・外注費・労務費、販売費及び一般管理費の為の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。また今後、当社グループの新たな収益の源泉となる新規事業等につきましては、M&Aを含めた投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。取引のある大手金融機関とは良好な関係を築いており、突発的な資金需要がある際でも迅速かつ確実に資金調達できる体制となっております。
当連結会計年度末における設備の新設、改修等に係る投資予定金額とその資金調達の方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得が十分に確保できることを前提に、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて8年間の定額法により償却を行っております。その資産性については子会社等の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益等が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
当社における主な代理店契約等
(注) 2025年4月1日より1年間契約を更新しております。
当社グループは、既存の空調機器納品先や保守契約先に対する更なる省エネ支援のため、空調設備等の運転状況の見える化を目的にIoT技術を駆使した各種取扱い商材の連携に関する研究に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における当該研究開発費は発生しておりません。