第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、創業以来「最大の企業たらんより最良の企業たれ」を社是とし、豊かな感性と大胆な発想によって時代の変化に対応した様々なシャツファッションを提案し、生活文化の向上に寄与することを基本理念としております。

また、「株主・顧客・社員・取引先から信頼される企業」を行動指針とし、収益の向上とともに共存共栄を図ってまいります。

 

(2)中長期的なグループ経営戦略

当社グループは、2019年度から2021年度までの中期3ヵ年経営計画に基づき、国内販売事業を中心に事業改革を進めており、計画初年度である2020年3月期においては、売上高153億55百万円、営業利益94百万円、親会社株主に帰属する当期純利益76百万円を計上し、売上、利益は計画未達も黒字化を果たしました。しかし、計画2期目の2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の影響から、売上高103億33百万円(前年同期比32.7%減)、営業損失12億93百万円、親会社株主に帰属する当期純損失14億91百万円を計上しております。このような状況を解消すべく、中期3ヵ年経営計画の最終年度である2022年3月期において、経営環境の変化、ライフスタイルの変化、国内小売市場の変化、次なる成長戦略への体制にシフトするChance(好機)と捉え、Challenge(挑戦)して、Change(変化)していくことをスローガンに、様々な施策に継続的に取り組んでおります。

 

・消費者直接対応の小売型販売管理体制へシフト

より消費者に近い目線・消費者との接点からの発想など、消費者直接対応の小売型販売管理体制にシフトしていきます。消費者直接対応の小売型販売管理体制の具体的な強化策としては、百貨店の既製ドレスシャツ売場およびオーダーシャツ売場にCHOYA SHIRT(チョーヤシャツ)ブランドのコーナーを設け、1社化に向けて店頭の売上管理、在庫管理などの管理体制も構築してまいります

また、量販店では当社オリジナルブランドSHIRT HOUSE(シャツハウス)のコンセ店舗を展開しており、現在80店舗から、将来は150店舗まで店舗を拡大する目標で進めております

実店舗と同様にネット販売も強化するため、山喜公式サイトのリニュアルを2021年月に行い、インターネットで発注しやすいシンプルな画面の設計、ネット販売専用のオリジナルブランドの商品開発を強化しました。前述のCHOYA SHIRT(チョーヤシャツ)、SHIRT HOUSE(シャツハウス)とのオムニチャネル化を進め、売上・利益の拡大を図ってまいります。

 

・更なるメーカー機能強化(企画・業務・生産)体制へのシフト

ビジネススタイルのカジュアル化に伴い、スーツからジャケットやシャツが主役となるニュー・ワーク・スタイルに変化していることから、カジュアル化に対応したシャツジャケット・シャツワンピース・カットソーアイテムの企画・生産・業務の強化を図ってまいります。国内自社4工場の高付加価値生産体制へのシフトとしては、長崎工場、郡山工場(福島)、鹿児島工場、信州工場(長野)の連携を強化しながら、既製品・オーダーシャツの裁断・縫製ラインの見直しを行い、収益を改善すると同時に、当社の技術力を活かしたシャツジャケット・シャツワンピース・エコバックハンカチーフ・官公庁の制服等、新しいアイテムの生産にもチャレンジしてまいります。

海外生産工場につきましては、バングラデシュの協力工場とも連携して、低価格の商品に対応していくと同時に、塩城山喜(中国)、タイ山喜、ラオ山喜(ラオス)の各自社工場の特色を活かし、より付加価値の高い商品が縫製できる生産工場へシフトしていきます。

また、持続可能な社会の形成としてドレスシャツのプラスチック製付属品を2030年までに全廃する取り組みを始めており、環境省の「脱プラスチック・プラスチックスマート」運動にも登録し、活動を強化してまいります。

 

・新規事業領域へのチャレンジ

新型コロナウイルスの感染拡大で不足している医療用ガウンや感染予防マスク等の受注生産により、自社工場の生産機能の更なる強化と、長年シャツビジネスで培った紡績や合繊メーカーとの素材開発機能を生かし、カジュアル事業、レディース事業、ユニフォーム事業はもちろんのこと、生活雑貨・ファッショングッズ等を扱うライフスタイル事業まで企画・生産・販売の営業活動を拡げ、新しいビジネスモデルの構築に向けて、事業領域を拡げてまいります。

・海外販売強化体制へのシフト

中国では上海の生産管理子会社を、販売会社にシフトし、中国国内でのオーダーシャツおよびODM・OEMの受注強化と、CHOYAブランドを海外販売の足掛かりにしていきます。また、アセアン・オセアニア地区では、タイ山喜とラオ山喜を中心に、販売体制の強化を更に図ってまいります。欧米での販売につきましては、イタリア素材メーカーとの連携によるODM・OEMの受注を強化してまいります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

国内アパレル業界をめぐる環境は、景気の先行きが極めて不透明なことから、消費者の衣料品にかける支出は減少傾向で、併せて低価格志向が更に強まっており、依然として非常に厳しい経営環境が続いております。

国内の小売市場も、今後ますます市場の変化が進むと考えています。小売店の競争環境の変化に伴い、地方百貨店の閉鎖、専門店の寡占化、中堅量販店の業態転換など、衣料品売場の縮小が今後も進むと思われます。

また、原材料価格の上昇や生産拠点における人件費の高騰、国内におきましても労働需給の逼迫による人件費、物流費上昇などにより、製造原価や販売・流通コストは上昇傾向にあり、引き続き厳しい経営環境下において、特に、上海工場(上海山喜)の人件費高騰が著しく、中国国内での生産ラインの再編成を行い、上海山喜の生産ラインを閉鎖しました。

今後につきましては、百貨店、量販店のドレスシャツ売場での当社オリジナル商品のシェア拡大と取引条件の改善、山喜公式サイトを中心にしたネット販売の売上拡大、品質、コスト競争力によるアパレル、セレクトショップ、シャツ専門店でのプライベートブランドのシェア拡大、差別化商品の企画開発力の強化による専門店、量販店のストアブランドの受注拡大、小ロット短サイクルの生産の構築と、それに伴うカジュアル事業、レディース事業での新規受注拡大、自家工場におけるドレスシャツ以外のアイテム生産における技術開発力強化により、ユニフォーム事業での官公庁や企業の制服等の新規受注拡大など、継続的に進めている各施策を更に強化していくことで、売上回復、収益回復に努めてまいります。

現状では新型コロナウイルス感染症の影響が今暫く続くと思われますが、国民へのワクチン接種が行き渡る段階で、同感染症の勢いも徐々に弱まり、前述のような各施策に対する効果が表れ、中期3ヵ年経営計画の最終年度である2022年3月期の業績は改善するものと見込んでおります。しかし新型コロナウイルスの変異種の動向や脅威から、国内外の経済活動が停滞するリスクがあり、感染症の影響がさらに長期化した場合は、収益が減少する可能性があります。そのような状況下におきましても、コストダウンや経費削減等の対策を継続し、利益の減少を最小限に抑えるよう努めてまいります。

また、同感染症の感染拡大とその長期化に対する備えとして、取引金融機関とシンジケート型のタームローンを2021年3月に契約し、手元流動性の高い現金及び預金を確保するとともに、コミットメントラインの融資枠および当座貸越枠の継続を予定しておりますので、短期間での手元流動性に問題は生じないと考えております。取引金融機関とは緊密な関係を維持していることから、今後も継続的な支援が得られるものと考えております。さらに、キャッシュ・フローの改善策の一環として、仕入抑制と在庫販売の強化による製品在庫の削減を実行していくことで、有利子負債の削減にも努めてまいります。

 

(4)目標とする経営指標

当社グループは、長期的には株主資本の効率化を追究した経営を重視する観点から、株主資本利益率(ROE)5%以上を目標としております。2019年度から2021年度までの新中期経営計画を策定しておりますが、転換期を迎えているアパレル業界において、事業戦略の見直しや新規事業を検討するなど、2022年度から2024年度の次なる中期3ヵ年経営計画を2021年9月末までに策定し、同感染症収束後を見据えた次なる成長の対策を講じて、収益基盤の構築と業績の安定化に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)消費者嗜好の変化のリスク

当社の主力アイテムであるドレスシャツは実用衣料に近く、比較的ファッションのトレンドに需要が左右されることの少ないアイテムですが、近年ワークスタイルの変化からスーツ離れが進み、ドレスシャツとカジュアルシャツの区分けがなくなりつつあります。また、ドレスシャツに替わりニット素材のカットソーやTシャツなどの代替アイテムもビジネススタイルに取り入れられ、よりトレンド変化の影響を受けるリスクが高まっております。当該リスクをチャンスと捉え、大手紡績メーカーと協力して新しい素材の開発や商品企画の立案を行い、積極的にニュー・ワーク・スタイルの商品企画を行っております。

 

(2)天候・自然災害等によるリスク

最近の気候変動、地球温暖化の影響による異常気象により、売上が低迷するリスクがあります。ドレスシャツの中心需要期は新年度の4月前後から盛夏前の期間であり、この間の冷夏や長雨、局地的な暴風雨や洪水などの自然災害により、当社の販売先である小売店の売上や、消費全般が低迷するリスクがあります。当該リスクの対策としては、春夏に需要のピークを迎えるドレスシャツ以外のカジュアルアイテムの販売にも注力し、商品の季節波動の平準化に努めております

また、当社の海外自社工場の立地国や日本輸送途上において、地震・台風等の自然災害により、生産現場や生産設備が被災し、生産や輸送の遅延が発生するリスクがあります。当該リスクの対策としては、一定在庫を確保することで、納期に間に合わない場合の代替品を提供し、お客様の店頭に常に品揃えができる体制を整えております

 

(3)品質に関するリスク

当社は品質重視の企業ポリシーのもと、海外生産においても厳しい品質管理基準や体制を敷いて、品質の維持に努めておりますが、大量の不良品や製造物責任にかかる事故が発生した場合には、企業イメージの低下等のダメージを被るリスクがあります。当該リスクを回避するため、当社独自の品質管理マニュアルを作成し、品質の安定に努めると同時に、定期的な巡回指導やオンライン会議にて品質確認を行い、不良品の発生防止に努めております

 

(4)海外生産に関するカントリーリスク

当社の日本国内販売商品の90%は海外生産となっており、生産国における政情不安や紛争・テロ・治安の悪化や大規模災害等が発生した場合、商品の供給が滞るリスクがあります。このようなリスクを回避するため、海外の生産地域を分散し、カントリーリスクが1か所に集中しない様にしています。国別では、日本国内に4工場、海外では中国の塩城、タイとラオスに自社工場があり、その他バングラデシュ、インドネシア、ベトナムなどに協力工場があります。

 

(5)取引先に関するリスク

取引にあたっては、取引先の信用調査等を行い、取引の可否や取引条件の決定等を行っておりますが、取引先の倒産や予期せぬ経営破たんが生じた場合には、貸倒れの発生や商品供給の遅延などを被るリスクがあります。このようなリスクを回避するため、取引先の与信情報については、与信管理サービスの活用による情報収集を定期的に行っています。また保証会社による取引先のポートフォリオ分析を毎年度行い、一定の基準を設けて包括的なバルク特約付保証取引契約を締結することで、売掛金の貸倒れの発生に備えております

 

(6)為替変動に関するリスク

 海外工場との取引においては外貨建て支払い条件となっている場合が大半であり、為替レートの変動による原価の変動を抑制するため、仕入に係る為替予約を実施し、リスクの最小化に努めております。しかし、原価の上昇自体を完全にコントロールすることは不可能なため、円安ドル高による原価上昇により、利益幅の縮小等のリスクがあります。

 また、期末時点の為替レートにより、外貨建て資産の換算額から為替差損益が発生するリスクがあります。当該リスクに対しては、外貨建ての短期借入を行うことで、為替リスクを抑制しております

 

(7)ライセンスブランドに関するリスク

百貨店向け販売商品を中心として、ライセンスを受けた商標による商品展開を行っておりますが、ライセンス契約の中止や打ち切りにより、当該商標による商品の展開が休止に追い込まれ、売上が減少するリスクがあります。

当該リスクに対しては、欧米のライセンスブランドからオリジナルブランドへのシフトを行っています。特にCHOYAブランドについては百貨店売場のブランドコーナー展開や、日本製ブランドの拘りを海外にも訴求し、ブランド価値を高めることにより、ライセンスブランドに頼らない商品政策を行っております

 

(8)新型コロナウイルス感染症によるリスク

当社グループは、世界的規模で拡大している新型コロナウイルス感染症のリスクに対して、2020年2月から社長の白﨑雅郎を室長とする感染症パンデミック対策室を設置し、不測の事態に備えて迅速な経営判断ができる対応策を取っております

政府による緊急事態宣言発出時の当社グループの対応としましては、感染予防や拡大防止に向けた対策を実施し、グループ全体の状況把握に努め、交替で特別休暇を取得するとともに、部署ごとに時差出勤を実施しております。当社グループの直営店舗や百貨店の売り場も各地方自治体の要請に従い、感染および拡散の防止を最優先に対応いたしました。今後の同感染症長期化のリスク対策は、以下のとおりです。

① 新型コロナウイルス感染症の長期化によるリスク

新型コロナウイルス感染症の収束時期は現時点では不透明であり、同感染症の長期化が当社に及ぼす影響は甚大であります。現状、2022年3月期末まで同感染症の影響が継続するものの、国民へのワクチン接種が行き渡る段階で、業績は緩やかに回復軌道に乗るという前提に基づいて、今後の業績見通しを試算しておりますが、感染症の影響が長期化した場合は、収益が減少する可能性があります。これらの対策として、仕入抑制と在庫販売の強化による製品在庫の削減を実行していくことで、有利子負債の削減に努め、さらに、キャッシュ・フローの改善策の一環として、生活応援セールなど販売促進強化により、更なるネット販売の売上拡大を図り、手元流動性の高い預金を増やすと同時に、調整可能経費の更なる削減を実施してまいります。

② 従業員の感染リスクと事業継続について

従業員が新型コロナウイルス感染症に罹患し、社員の間感染が拡大した場合には、工場における生産業務や物流センターの出荷業務に支障をきたし、操業を停止する可能性があります。これらの対策として当社グループにおいては、社内外への感染防止と従業員およびその家族の健康と安全を確保するため、在宅勤務と時差出勤を実施しております。従業員の感染については、細心の注意を払い本人やその家族に発熱等の症状が出た場合、上記パンデミック対策室で情報を共有し、一定期間出勤を控えるなど速やかに対応しております

③ サプライチェーンの途絶のリスクについて

製造セグメントは、生産拠点や原材料調達地域の分散化を進めてまいりましたが、一部原材料は特定の地域や取引先に依存しており、供給が困難になる可能性があります。当社としては、一定数の在庫を確保することで、リスクの低減に努めてまいります。

 

(9)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、2019年度から2021年度までの中期3ヵ年経営計画に基づき、国内販売事業を中心に事業改革を進めており、計画初年度である2020年月期においては、売上高153億55百万円、営業利益94百万円、親会社株主に帰属する当期純利益76百万円を計上し、売上、利益は計画未達も黒字化を果たしました。しかし、計画2期目の当2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の影響から、売上高103億33百万円(前年同期比32.7%減)、営業損失12億93百万円、親会社株主に帰属する当期純損失14億91百万円を計上したことなどから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

このような状況を解消すべく、中期3ヵ年経営計画の最終年度である2022年3月期において、経営環境の変化、ライフスタイルの変化、国内小売市場の変化、次なる成長戦略への体制にシフトするChance(好機)と捉え、Challenge(挑戦)して、Change(変化)していくことをスローガンに、様々な施策に継続的に取り組んでおります。

具体的には、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的なグループ経営戦略(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、継続的に進めている各施策を更に強化実行していくことで、売上回復、収益回復に努めてまいります。

また、資金面においては、当連結会計年度末に、シンジケートローン型のタームローンを契約し、手元流動性の高い現金及び預金の確保を行うとともに、コミットメントラインの融資枠および当座貸越枠の継続を予定しておりますので、短期間での手元流動性の問題は生じないと考えております

以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態および経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言の発出、外出自粛や海外渡航の制限等から、経済活動の停滞による深刻な打撃を被っております。アパレル業界におきましても、商業施設等の臨時休業、営業時間短縮や、感染防止対策としての各種催事の中止等により、消費が落ち込んでおります。また、景気の先行きが極めて不透明なことから、消費者の衣料品にかける支出は減少傾向で、併せて低価格志向が更に強まっており、依然として非常に厳しい経営環境が続いております。

このような経営環境の中、当社グループは、在宅勤務やテレワーク等の働き方改革の加速で、ライフスタイルがカジュアルなニュー・ワーク・スタイルに変化し、外出自粛等の影響で巣ごもり消費が増えていることから、ドレスシャツ事業ではカジュアルな商品提案を強化し、売上のシェア拡大に努めて参りました。この結果、百貨店における既製ドレスシャツ、オーダーシャツを合わせた当社シェアは、前連結会計年度末68%から当連結会計年度末は72%まで拡大することができ、量販店におきましても、シャツコンセ店舗を68店舗から80店舗まで拡げることができました。併せて、ネット購入の拡大が急速に進む中、上記店頭販売とネット販売のオムニチャネル化を最重要事業と位置づけ、販売促進を強化した結果、ネット販売の売上は前年同期比118%と好調に推移しました。

また、差別化商品の開発提案力を向上させるため、当社の企画開発力、技術開発力を更に強化し、ドレスシャツ事業、カジュアル事業、レディース事業におけるODM・OEMの受注拡大に注力しました。専門店、量販店におきましては、ビジネスアイテムの不振によるドレスシャツの受注減を、カジュアルやレディースのアイテムでカバーすべく、シャツジャケット、シャツワンピース、カットソー・アイテム等の受注獲得に努めました。生産部門では、シャツ生地を使用したウイルス感染予防マスクの受注および100万枚を超える医療用ガウンの受注生産に伴い、ユニフォーム事業まで営業活動を拡げた結果、官公庁の制服、企業制服や医療用制服等の新規取引先による受注が増加しました。

一方、大幅な減収対策として、営業部門では、直営店の閉鎖や子会社の株式譲渡等の不採算事業の撤退および期中での仕入抑制と在庫販売を強化し、製品在庫は前年度より4億38百万円減少しました。生産部門におきましても、工場での生産調整等による変動費の圧縮や人件費等の固定費の削減を行うとともに、国内外自家工場の生産ラインの見直しも実施しました。

以上のような対策を講じましたが、新型コロナウイルス感染症の業績への影響は甚大であり、この結果、当連結会計年度の業績は、連結売上高103億33百万円(前年同期比32.7%減)、営業損失12億93百万円(前年同期は94百万円の利益)となり、同感染症による雇用調整助成金等の収入1億11百万円を営業外収益に計上いたしましたが、経常損失は12億6百万円(前年同期は1億41百万円の利益)となりました。また、中国上海子会社の生産ラインの閉鎖により、解雇給付金等を含むリストラクチャリング費用として、事業整理損1億82百万円を特別損失に計上いたしました。加えて、当期の業績および今後の業績見通しが不透明なことを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を検討し、法人税等調整額91百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、14億91百万円(前年同期は76百万円の利益)となりました。

 

事業セグメントごとの業績は次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

(国内販売)

 国内販売セグメントは上述の要因により、売上高94億99百万円(前年同期比32.2%減)、セグメント損失11億52百万円(前年同期は53百万円の利益)と減収減益となりました。

(製造)

 製造セグメントにおいては、中国(上海)工場の生産ラインの閉鎖等により、売上高は25億91百万円(前年同期比25.5%減)、セグメント損失1億47百万円(前年同期は49百万円の利益)と減収減益となりました。

(海外販売)

 海外販売セグメントにおいては、新型コロナウイルス感染症による受注減から、売上高は1億6百万円(前年同期比48.5%減)、セグメント損失18百万円(前年同期は7百万円の損失)となりました。

 

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は132億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億7百万円減少となりました。これは主に、上述の要因により受取手形及び売掛金の減少や、仕入抑制により製品在庫が減少したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は82億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億15百万円減少となりました。この主な要因は、仕入抑制により支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は50億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億92百万円減少となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億85百万円増加し、11億89百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果支出した資金は、2億53百万円となりました(前年同期比34.9%減)。これは主に売上債権とたな卸資産が減少したものの、税金等調整前当期純損失を計上したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、94百万円となりました(前年同期比51.6%減)。これは主に一部定期預金の期間を長期に変更したことによって、現金及び現金同等物と見なされなくなったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得た資金は、5億79百万円となりました(前年同期比8.5%減)。これは主に短期借入金が増加したこと等によるものであります。

 

④生産、受注および販売の実績

 (a)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

国内販売(千円)

5,927,706

65.4

製造(千円)

1,089,680

85.9

海外販売(千円)

19,659

38.7

合計(千円)

7,037,047

67.7

 (注)1 国内販売および海外販売については製品仕入金額、製造は実際製造原価によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大による売上の減少で、仕入れ抑制をしたこと等によるものであります。

 

 (b)受注実績

 原則として、受注生産は行っておりません。

 

 (c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

国内販売(千円)

9,489,597

67.8

製造(千円)

792,826

63.2

海外販売(千円)

50,814

45.6

合計(千円)

10,333,238

67.3

 (注)1 上記の金額には、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に新型コロナウイルス感染症拡大による売上の減少によるものです。

 販売実績に対する割合が100分の10以上の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

はるやま商事株式会社

1,057,662

10.2

 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 前連結会計年度におけるはるやま商事株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績

(売上高)

 連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大による、2度の緊急事態宣言により、臨時休業や営業時短等を余儀なくされた結果、大幅減収となりました。特に当社の主力チャネルである、百貨店、メンズ&ディース専門店および量販店の売上は、43億48百万円減少しました。一方、ネット販売事業は、前年同期比118%と好調でしたが、直営店においては不採算事業からの撤退もあり、チャネル別の売上高では106.9%に留まりました。この結果、当連結会計年度の連結売上高は、32.7%減の103億33百万円(前年同期比50億22百万円の減収)となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、前述の売上減収の影響を受け、大幅な減益になりました。売上高の減少率(前年同期比32.7%減)以上に、売上総利益の減少率(前年同期比46.4%減)が上回っているのは、粗利益率の高い高額な商品を取り扱百貨店チャネルの減収が大きく影響しました。また、仕入抑制による過年度在庫の販売を強化したことで、粗利益率が低下したことも要因のひとつです。この結果、売上総利益は21億73百万円(前年同期比18億80百万円の減益)となり、売上総利益率は21.0%と前年同期比5.4%悪化しました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、売上高減収に伴い、取扱商品の出荷量が減少したことから、物流費が2億38百万円減少しました。また、取引先の休業や営業時間短縮での販売員の人件費減少、本社社員の賞与減額・残業代縮小など、人件費総額で1億90百万円減少しました。加えて、緊急事態宣言等により、出張等の移動制限もり、旅費交通費が63百万円減少しました。この結果、販売費及び一般管理費は、34億67百万円(前年同期比12.4%減)となりました。

(営業外収支)

 営業外収益は、国内工場の休業による従業員の人件費や、緊急事態宣言時の店舗休業による販売員の人件費等の助成金による収入が1億11百万円、為替差益14百万円、百貨店オーダーギフト券の前受金取崩益27百万円等により、合計1億72百万円なりました。一方、営業外費用は、支払利息45百万円、支払手数料25百万円等により、合計85百万円となりました。この結果、営業外収支は、87百万円(前年同期比88.4%増)の営業外収益となりました。

(特別損益)

 特別損益は、21百万円の利益と、2億5百万円の損失により1億83百万円の損失(前年同期は37百万円の利益)となりました。主な利益は、合弁会社への貸付債務の免除益19百万円であり、主な損失は、中国上海工場の生産ラインの閉鎖に伴うリストラクチャリング費用1億82百万円、国内工場の環境対策費17百万円、子会社の事業撤退に伴う事業譲渡損とそれに伴う直営店の減損処理費用の百万円であります。

(親会社株主帰属する当期純損

  親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税、住民税及び事業税19百万円、繰延税金資産の回収可能性の見直しによる法人税調整額91百万円、非支配株主に帰属する当期純損失9百万円を計上したことにより、14億91百万円(前年同期76百万円の黒字)となりました。

 

アイテム別の売上高と構成比は次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

売上高

前年同期比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

ドレスシャツ

9,859,185

64.2

6,237,741

60.4

63.3

オーダーシャツ

2,585,246

16.8

1,444,787

14.0

55.9

カジュアルシャツ

2,282,001

14.9

2,176,358

21.0

95.4

レディースシャツ

527,076

3.4

371,369

3.6

70.5

賃貸料収入

102,482

0.7

102,982

1.0

100.5

合計

15,355,992

100.0

10,333,238

100.0

67.3

 

販売先のチャネル別ではネット販売・直営店のチャネルの売上は増収となりましたが、その他の賃貸料収入以外のチャネルの売上は減収となりました。

 

チャネル別の売上高と構成比は次のとおりであります。

チャネル名

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

売上高

前年同期比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

百貨店

4,021,840

26.2

1,807,540

17.5

44.9

メンズ専門店

3,405,708

22.2

2,534,045

24.5

74.4

量販店

3,288,460

21.4

2,186,419

21.2

66.5

ネット販売・直営店

585,407

3.8

625,989

6.1

106.9

レディース専門店

471,676

3.1

311,457

3.0

66.0

カジュアル専門店

382,963

2.5

187,794

1.8

49.0

国内その他

2,312,771

15.0

2,141,554

20.7

92.6

海外その他

784,681

5.1

435,455

4.2

55.5

賃貸料収入

102,482

0.7

102,982

1.0

100.5

合計

15,355,992

100.0

10,333,238

100.0

67.3

 

(b) 財政状態

 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況に記載のとおりであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、運転資金および設備等の資金需要については、自己資金を充当することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローの他、一部金融機関からの借入金等により調達しております。自己資金については、当社および国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、資金効率の向上を図っております。金融機関からの借入金については、資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、取引金融機関数行との間でシンジケート型のタームローン契約や当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1億85百万円増加し、11億89百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大に備え、手元流動性を高めるべく短期借入を実行したため、前期末と比較して現金及び現金同等物が増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権とたな卸資産が減少したものの、税金等調整前当期純損失を計上したこと等により、2億53百万円の支出となりました。一方、財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の増加により5億79百万円の収入となりました。たな卸資産の増加は営業活動によるキャッシュ・フローの収入を減少させるだけでなく、有利子負債の増加に直結するため、財務基盤を強化するための重点経営課題として認識し、店頭の消化状況に応じた生産管理を行い、有利子負債の圧縮に努めております

 当社が事業活動により得た利益は、新しい分野への設備投資や株主様に対する利益還元を経営の重要政策と位置付けており、今後も安定的な利益還元を継続していくことを基本方針としております。

 しかし、新型コロナウイルス感染症による、得意先様の営業自粛に伴う店舗や施設の休業が当社に及ぼす影響は甚大であり、現時点では、その収束時期が見通せない状況にあります。このような厳しい経営環境の下では、当社の企業体力の維持を最優先と考え、手元流動性の高い現金及び預金を確保し財務体質を強化することが急務であると判断し、2021年3月期の配当は無配としております。

 また、2.事業等のリスクの(8)に記載の通り、新型コロナウイルス感染症の長期化の対応策として、仕入抑制と在庫販売の強化による製品在庫の削減を実行していくことで、有利子負債の削減に努め、さらにキャッシュ・フローの改善策の一環として生活応援セールなど販売促進強化により、更なるネット販売の売上拡大を図り、手元流動性の高い預金を増やすと同時に、調整可能経費の更なる削減を実施していきます。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益および費用の計上金額に影響を与えております。会計上の見積りは、過去の実績等を勘案し合理的に行なっておりますが、前提条件や事業環境などに変化が生じた場合には、見積りと実際の結果が異なる場合があります。

 

(たな卸資産)

詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

(返品調整引当金)

当社グループは製品の返品に伴う損失に備えるため、返品調整引当金を計上しております。この返品調整引当金は、過年度の返品実績率および売上総利益率に基づき計算された返品損失額のうち、当連結会計年度の負担額を計上しています。なお、返品損失額の算定に当たっては、返品実績率および売上総利益率の発生態様が異なる百貨店チャネルと百貨店チャネル以外に区分し計算しています。返品動向は製品の将来需要等の外部環境要因によって大きく変動する可能性があるため、その予測には高い不確実性を伴います。そのため実際の将来需要が見積りより悪化した場合は、追加引当が必要となる可能性があります。

 

(退職給付費用及び債務)

当社グループ従業員の退職給付費用および債務は、簡便法を採用している一部の連結子会社を除き、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に費用化されるため、将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

5【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。