第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

継続企業の前提に関する重要事象等

当連結会計年度の当社グループを取り巻く外部環境において、世界経済の地政学的リスクの高まりやインフレ圧力の継続など、依然として不確実性の高い状況が続いています。国内経済においても、エネルギー価格や米をはじめとする主要原材料価格の高止まり、為替の変動が企業活動に影響を与える一方で、個人消費の回復やインバウンド需要の増加など、緩やかな回復基調も見られました。

当社グループでは、2023年12月期をスタートとする中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)の展望に沿い、主力事業セグメントである「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業収益の改善、積極的な投資の実施による国内飲食店の開発、及び、海外事業の拡大を進めて参りました結果、前連結会計年度において、過去10年間の中で最も高い、売上高181億円を計上致しました。売上高の成長と共に事業スケールが拡大する一方で、不安定な国際情勢や円安の長期化、海産物・生鮮食品の物価上昇に伴う影響が事業全体に生じていることから、前連結会計年度におきましては大幅な損失を計上いたしました。

当社グループを取り巻く外部環境が厳しさを増す中で、経営・事業・財務の戦略の集中化と筋質な本部機能の構築を目的とし、前連結会計年度において、ホールディングス・カンパニーへの移行、及び、機能集中化を目的とした経営執行体制の構築及び、事業成長戦略の構築を進めました。その戦略の一環として、採算・不採算事業の選択と集中の実施による、20店舗超の不採算店舗の撤退を順次進め、採算事業においては、資源・人的リソースの集中投下を行う事で、黒字転換を図っております。当連結会計年度における、各事業セグメントの取組は下記となります。

 

[ 小売事業 ]

不採算店12店舗の閉鎖実施(2025年12月期6月末時点において10店舗閉鎖完了)及び、地方圏において「飛び地」となっている店舗に近接するドミナント出店を行う、店舗のリプレイス戦略を進めております。また、「小僧寿し」ブランドの新たな収益モデルの構築を目的として、ショッピングもーづ等へのストアイン型店舗の積極的な開発を進めます。

 

[ 飲食事業 ]

当社グループの収益において、中核事業会社であるアスラポートが展開する「とり鉄」「どさん子」「キムカツ」「ぢどり亭」「陳麻家」の5ブランドにおける新店出店の実施、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」の更なる新店出店の実施等、複数ブランドにおける新店出店を企図しております。

 

[ 流通事業 ]

フード・デリバリー店「Delis」における不採算店舗11店舗の閉鎖実施(2025年12月期6月末時点において、10店舗閉鎖完了)及び、フード・デリバリーサービスの多様性をもたらす自社システムの外販促進、加盟開発による新たな収益事業を創出致します。

 

[ 海外事業 ]

2024年6月に連結子会社としたSUSHI BOY,INC.を中心とした、北米圏の更なる店舗開発、及び、英国における日本食品会社であるJapan Centreとの協業による、当社グループ食材の輸出販売、並びに、英国圏における店舗の出店を進める事で、海外事業の拡大化を図ります。

 

当社グループは上記の取組みを進めると共に、不採算事業の選択と採算事業への集中によるキャッシュ・フローの改善を進め、また臨機応変な財務戦略の遂行により、当社グループの経営に安定性をもたらす適正なキャッシュ・フローの確立に努めてまいります。なお、当連結会計年度におきましては、上記に記載する財務戦略の実施によるキャッシュ・フローの安定性を目的として、第15回及び第16回新株予約権を発行し、当該新株予約権の行使を受けることにより、当中間会計期間末までに5億円の資金調達を完了しております。

 

以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ることで、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績及び財政状態の状況

  ・経営成績の状況

当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)におけるわが国経済について、国内経済は引き続き回復基調にあり、個人消費の側面からは春以降の雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、緩やかに持ち直しが図られました。企業活動においては、設備投資意欲の堅調さが維持される一方で、エネルギー価格や物流コストの高止まりが収益圧迫要因となり、依然として厳しい状況が続いております。

このような状況下において、当社グループは「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3本柱を事業の軸として、「多様な食を、多様な形で、多様な顧客へ」という基本方針のもと、事業間のクロスオーバーによる付加価値の創出、海外市場への事業展開、新規店舗開発及び、前連結会計年度に決定しました不採算店舗の閉鎖による各事業の収益性改善と事業効率化を推進してまいりました。

以下に、各事業の主な取組み内容と成果を記載いたします。

なお、当中間連結会計期間より、各セグメント損益の実態をより適切に反映させるため、全社費用の配賦基準を変更しており、前年同中間期の数値を変更後の配賦基準に組み替えた数値で比較分析しております。

 

[ 小売事業 ]

中核企業である株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」といいます。)では、収益性が減退した店舗の撤退を進める一方で、地方圏へのドミナント出店や、スーパーマーケット・小売販売店へのインストア出店を進め、採算性の低い店舗の撤退と並行した新たな収益店舗を開発する「リプレイス出店戦略」を推進しております。当該戦略の一環として、小僧寿しでは2024年11月に西日本を中心に展開するFC加盟店19店舗の事業を譲受け、直営事業を拡充いたしました。このため、前年同期と比較し売上高が増加しておりますが、一方で、2024年7月1日に実施を致しました当社の持株会社化による、グループのコスト配分の調整を行った結果、小売事業の当該コストが増加しております。この結果、当中間連結会計期間における売上高は22億44百万円(前年同期 4.0%増)、セグメント損失は44百万円(前年同期は27百万円のセグメント損失)となりました。

 

[ 飲食事業 ]

中核企業であるアスラポート株式会社(以下「アスラポート」といいます。)では、ゴーストレストランによるデリバリー販売を縮小し、収益性及びオペレーション効率を重視した運営方針へと転換を図っております。一方で、メキシカン・ファストフード「TacoBell」を展開する株式会社TBJ(以下「TBJ」といいます。)では、昨年より再開した出店戦略並びにマーケティング戦略が奏功しており、前年同期と比較し増収・増益となっております。この結果、当中間連結会計期間における売上高は30億16百万円(前年同期比 28.5%増)、セグメント損失は26百万円(前年同期は61百万円のセグメント損失)と、大幅な損失圧縮を果たしております。

 

[ 流通事業 ]

中核企業である東洋商事株式会社(以下「東洋商事」といいます。)では、食材卸売事業の強化を目的に、一般貨物自動車運送業の認可取得及び、配送体制の拡充を行い、物流インフラの整備を進めました。

株式会社デリズ(以下「デリズ」といいます。)では、フード・デリバリー業界の競争激化に伴い、収益性の減退した店舗の閉鎖を完了し、また新規事業として、SaaS型プラットフォーム「Delix(呼称:デリックス)」を核とした新サービスの提供を開始し、2025年6月末の段階において、100アカウント超の導入に至っております。

上記の取組みのほか、デリズによる不採算店の閉鎖実施及び、中核企業である東洋商事において、原材料価格の高騰の影響が収益性を圧迫したこと等により、売上高は47億78百万円(前年同期比 4.9%減)、セグメント損失は45百万円(前年同期は54百万円のセグメント損失)となりました。

 

[ 海外事業 ]

当社は2024年5月度に、北米におけるテイクアウト寿し業態「SUSHI BOY」を展開する、SUSHI BOY,INC.及びその親会社であるASRAPPORT DINING USA,INC.を連結子会社化し、また同年6月には、英国においてJapan Centre Group Limited(以下「JCG」といいます。)及び、Kozosushi UK Limitedとの三者間による資本業務提携契約を締結することで、持分法適用会社としております。これにより、欧州・英国を拠点とした当社ブランドの海外展開が本格化しており、この取り組みの一環として、2025年6月には、英国において日本食・日本文化の発信拠点として複数の事業を展開するJCGがロンドン・ウェストエンドに展開する旗艦スーパーマーケット「Japan Centre」及び、ロンドン・ウェストフィールドに展開するヨーロッパ最大級の日本食フードホール「Ichiba」において、持ち帰り寿し「小僧寿し」を展開するためのフランチャイズ契約を締結し、両施設において販売を開始致しました。

 

 当中間連結会計期間における業績ハイライトは下記となります。

[ 業績ハイライト ]

① 当中間連結会計期間における連結業績

[ 項目 ]

[ 業績 ]

[ 前年同期比較 ]

売上高

92億73百万円

前年同期比 9.0% 増加

営業損益

△133百万円

前年同期は △183百万円

経常損益

△127百万円

前年同期は △169百万円

親会社株主に帰属する中間純損益

△170百万円

前年同期は △194百万円

経常利益に関しましては、海外事業会社に対する債権債務において、2025年12月期第1四半期連結会計期間において、為替差益32百万円を計上しておりましたが、米ドルに対する為替レートが円高に移行したために、当該為替差益の一部を取り崩し、当中間連結会計期間においては10百万円の為替差益を計上しました。また、当中間連結会計期間における店舗閉鎖の費用として、店舗閉鎖損失を特別損失として20百万円計上しております。

 

② 当中間連結会計期間におけるセグメント別業績

 

[ 事業セグメント ]

[ 売上高 ]

[ セグメント損益 ]

[ 店舗・拠点数 ]

実績

前年同期比

実績

前年同期

実績

前年同期比

小売事業

22億44百

万円

4.0% 増加

△44百万円

△27百万円

162店舗

2店舗増加

飲食事業

30億16百

万円

28.5% 増加

△26百万円

△61百万円

276店舗

3店舗減少

流通事業

47億78百

万円

4.9% 減少

△45百万円

△54百万円

84拠点

7拠点減少

(調整額)

△7億65百万円

△16百万円

△41百万円

 

・財政状態の状況

当中間連結会計期間の資産合計は51億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億46百万円の減少となりました。主な要因としては、流通事業において、前連結会計年度末時点の仕入債務の支払いが2025年1月度の支出となったことから、同仕入債務と同等額の現預金が滞留したことによるものです。

負債合計は47億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億59百万円の減少となりました。主な要因としては、買掛金が8億41百万円減少したこと及び長期借入金が1億65百万円減少したこと等によるものです。

 純資産合計は、第15回新株予約権の行使により資本金及び資本準備金が増加したこと等で4億30百万円となり、3億円の増加となりました。

 

 (2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億55百万円減少の6億68百万円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動による資金の減少は8億48百万円(前中間連結会計期間は2億55百万円の減少)となりました。これは主として、仕入債務が8億41百万円減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は7百万円(前中間連結会計期間は1億85百万円の減少)となりました。

これは主として、有形固定資産の取得による支出17百万円を計上したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動による資金の増加は3億85百万円(前中間連結会計期間は3億99百万円の増加)となりました。

これは主として、新株予約権及び新株の発行による収入5億6百万円によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、2023年12月期をスタートとする中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)の展望に沿い、主力事業セグメントである「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業収益の改善、積極的な投資の実施による国内飲食店の開発、及び海外事業の拡大を進めてまいりました結果、過去10年の中においても最も高い、売上高181億円を計上しました。売上高の増加と共に事業スケールが拡大する一方で、不安定な国際情勢や円安の長期化、海産物・生鮮食品の物価上昇に伴う影響が事業全体に生じたことから、前連結会計年度におきましては、損失を計上しております。

当社グループを取り巻く外部環境が厳しさを増す中で、経営・事業・財務の戦略の集中化と精錬な本部機能の構築を目的として、2024年7月より、当社は持株会社体制に移行しました。この体制変更に伴う機能の集中化及び経営執行体制の確立を2024年度内に完了したことにより、当連結会計年度の黒字転換、及び当連結会計年度を基点とした更なる事業成長戦略を構築する体制を整え、その戦略の一環として、採算・不採算事業の選択と集中を行うことで、20店舗超の不採算店舗の撤退を決定しております。

当連結会計年度におきましては、当社グループにおける不採算事業部門の更なる改善の推進、採算事業への資源・人的リソースの集中投下を行うことで、黒字転換を図ってまいります。各事業セグメント別の取組みは下記のとおりです。

 

[ 小売事業 ]

不採算店12店舗の閉鎖実施(2025年3月迄に実施予定)及び地方圏において「飛び地」となっている店舗に近接するドミナント出店を加速します。また、「小僧寿し」ブランドの新たな収益モデルの構築を目的として、ショッピングモール等へのストアイン型店舗の積極的な開発を推進してまいります。

[ 飲食事業 ]

当社グループの収益において中核事業会社であるアスラポートが展開する「とり鉄」「どさん子」「キムカツ」「ぢどり亭」「陳麻家」の5ブランドにおける新店出店、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」の更なる新店出店等、当連結会計年度以上の新店出店を企図しております。

 

[ 流通事業 ]

フード・デリバリー店「Delis」における不採算店11店舗(一部の休業店舗を含む)の閉鎖実施(2025年3月迄に実施予定)、及びフードデリバリーサービスの多様性をもたらす自社システムの外販促進、加盟開発による新たな収益事業を創出します。

 

[ 海外事業 ]

2024年6月に連結子会社としたSUSHI BOY,INC.を中心とした、北米圏の更なる店舗開発、及び英国における日本食品会社であるJapan Centreとの協業による当社グループ食材の輸出販売、並びに英国圏における店舗の出店を進めることで、海外事業の拡大を図ります。

 

以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ってまいります。

 

(4)適正なキャッシュ・フローの確立

2025年3月に、第15回及び第16回新株予約権の発行決議を行い当該新株予約権の行使を受けることにより、当社グループの収益改善を推進するための設備投資資金を確保し、中期経営計画を遂行することで、適正なキャッシュ・フローの確立に努めてまいります。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6)従業員数

該当事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。