当社グループは、2025年度より新たな中期経営計画(2025-2027年度)「Create Future with Passion」をスタートさせ、コア事業(アパレル・テキスタイル卸売事業)の強靭(きょうじん)化により、黒字体質の定着と持続的成長に取り組み、「資本コストと株価を意識した経営」を徹底してまいる所存であります。
具体的には、欧米のラグジュアリーブランドとの取引、トレーサブル素材や独自素材の開発、ゴルフウエアブランドをはじめECを含む小売事業など、これまで当社が培ってきた「特徴ある」事業とコア事業(卸売事業)の相乗効果を高めていくことにより、ユニークな繊維商社の構築に挑んでまいります。
中期経営計画を遂行する上で不可欠な非財務課題については、今年度の期初より業績貢献度合いを一段と重視した人事給与制度に刷新した他、経営層、管理職層への若手および女性の積極登用などを通じ人的資本の拡充に積極的に取り組んでまいります。また、サステナブルな生産体制の構築に向け、国際認証に裏付けられたサプライチェーン(原材料から製造、販売に至る一連の流れ)における環境や人権に十分配慮したものづくりに取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、気候変動・循環経済・資源など地球環境への影響、人権・多様性・労働環境など社会課題への対応を事業活動のあらゆる面で考慮していくことが必要であり、企業価値を高めていく上で不可欠と考えております。
サステナビリティ経営の実現に向け、当社は重要課題(マテリアリティ)として以下4点を掲げ、取り組みを進めているところであります。
① サプライチェーンの人権・環境課題への取り組み
② 脱炭素・循環型素材の積極的な開発
③ 持続型サプライチェーンプラットフォームの構築
④ 業務のデジタル化加速、デジタル技術の営業への実装
こうした取り組みを支えるガバナンス体制として、「サステナビリティ委員会」において定期的に重要課題に関わる取り組みの進捗をモニタリングするとともに、NPO団体を含め外部専門家を招請し、役員および部長クラスのサステナビリティに関する知見向上に努めております。
(2) リスク管理
当社では四半期毎に取締役会で、サステナビリティに関するリスクも含め、リスクカテゴリー毎に定量化し情報共有を行うとともに、リスク事象約80項目をリスクマップに落とし込み、リスクの未然防止と万一顕在化した場合の対応の迅速化、損失最小化に努めております。
(3) 戦略
① 人的資本の強化
当社は、人的資本への投資を企業価値向上の原動力と認識し、人的資本の拡充に取り組んでいるところであります。「Revitalize Plan(黒字体質復活計画)」(2022-2024年度)の中で、人的資本について重点課題に掲げた「マルチタスク人材の育成」、「多様な人材登用による組織の活力向上」に取り組み、「事業貢献に報いるメリハリのある人事制度」においては、2025年度より業績貢献度合いを一段と重視した人事給与制度に刷新しております。
2025年度より新たな中期経営計画(2025-2027年度)「Create Future with Passion」をスタートさせ、経営層、管理職層への若手および女性の積極登用などを通じ人的資本の拡充に積極的に取り組んでまいります。
② サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
サプライチェーン全体を通じ、気候変動をはじめとした地球環境への配慮・人権・多様性・労働環境など社会課題への具体的な取り組みを一段と強化してまいります。
(4) 指標及び目標
(3) 戦略 ① 人的資本の強化で設定している主要指標、実績及び目標値は下表のとおりです。
なお、当社グループでは、上記「(3) 戦略 ① 人的資本の強化」に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき算出。
事業等のリスク情報につきましては、以下の通りであります。
なお、以下に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
① 消費者の嗜好の変化などに伴うリスク
当社グループが取り扱う衣料品は、ファッショントレンドの変化による影響、景気動向が消費意欲に与える影響、他社との競合による販売価格の抑制などを受けやすい傾向にあります。このような状況下におきまして、当社グループは情報力、分析力の強化による企画精度の向上や生産期間の短縮化を図り、売れ筋商品の開発に努めておりますが、さらなる競合の激化や、予測と異なるトレンドの変化に対して適切な商品政策が実施できない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
② 為替に関するリスク
当社グループは、仕入高に占める海外商品の依存度が高く、主として米ドル決済を行っております。為替リスクヘッジのために四半期ごとに仕入れ予測に基づいた実需の範囲で為替予約を実施しております。しかしながら、予期せぬ為替レートの変動が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、中国等のアジア地域における生産の依存度が高くなっております。そのため、予期しない法律または規制の変更、不測の政治体制または経済政策の変化、テロ・戦争・天災・その他要因による国・地域の混乱、重大な影響を及ぼす流行性疾患の蔓延などにより、商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
ⅰ)売上高依存度
当社グループの上位販売先における売上高依存度は高い傾向にあります。当社グループは主力販売先との緊密な関係を強化するよう常に心掛けるとともに、新規販路の拡大を重要な営業政策としておりますが、販売先の経営方針の変更等何らかの予期せぬ事態により取引の中断や取引の継続に支障が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
ⅱ)与信面
当社グループにおける主要な販売先は、量販店、専門店、通販、百貨店等の小売業者及び衣料品卸売業者と多岐にわたります。当社グループにおいては、これらの販売先に対して、社内規定等に基づいた与信管理を徹底し、万全な債権の保全に努めておりますが、予期せぬ経営破綻等により貸倒損失の発生や、売上高の減少が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
レディス・アパレルをはじめとした当社グループの主要製品は、シーズン性が強いアパレル製品の割合が高く、冷夏・暖冬等の天候不順によりシーズン商品の販売が予測と大きく異なった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、個人情報保護に関して、情報の利用や管理等について社内で安全管理体制を整えておりますが、予期せぬ事由によって外部漏洩が発生し、社会的信用の低下や損害賠償責任が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、企業価値を高めていくために、顧客や市場の変化に柔軟に対応した業態開発や、ブランド開発などの事業投資に積極的に取り組んでおります。事業投資については予め充分な調査・研究を行っておりますが、市場環境の変化により、事業活動が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、商品の品質管理におきまして、厳しい品質基準を設け適切な管理体制のもと対応しておりますが、当社グループまたは仕入先などに原因が存する予期せぬ事由により、商品の製造物責任を問われる事故が発生し、当社グループの企業・ブランドイメージの低下や損害賠償責任が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
また、商品の品質不良発生により主力販売先と取引が継続できない状態が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、様々な企業からライセンス供与を受けておりますが、契約の満了、解除または大幅な条件変更があった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
⑩ 感染症に関するリスク
新たな感染症の流行が発生した場合は、生産拠点・物流体制・経済活動停滞や個人消費の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における国内の経済は、堅調な企業業績を背景とした賃上げや、インバウンド需要の後押しもあり緩やかな回復傾向を見せる中で衣料品支出も下げ止まりつつあります。一方で、食料品をはじめ生活必需品の価格上昇に伴う消費者の節約志向は根強い状況にあります。また長引く残暑の影響により、得意先からは、天候に合わせた商品の機動的な提供ニーズが強まり、短納期での対応がこれまで以上に求められております。
こうした中、当社グループは、3か年の「Revitalize Plan(黒字体質復活計画)」を実行し、人員、拠点などのスリム化、不採算事業の撤退と構造改革を実行するとともに、コア事業である卸売事業について、収益重視の営業活動の徹底に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は60,633百万円(前期比5.0%増)、営業利益は1,312百万円(前期比85.1%増)、経常利益は1,358百万円(前期比71.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,107百万円(前期比44.0%増)となり、「Revitalize Plan(黒字体質復活計画)」で掲げた目標を上回る成果を上げることができました。
セグメント別の売上高は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価であります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績については、「(1)経営成績」に記載のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 財政状態
総資産
流動資産は、現金及び預金の増加、受取手形及び売掛金、商品及び製品、デリバティブ債権の減少などにより前連結会計年度末比1,192百万円減少し、21,785百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加、有形固定資産の減少などにより前連結会計年度末比154百万円減少し、25,423百万円となりました。この結果、総資産は、前連結会計年度末比1,347百万円減少し、47,208百万円となりました。
負債
負債は、借入金の減少などにより前連結会計年度末比1,329百万円減少し、16,940百万円となりました。
純資産
純資産は、利益剰余金、自己株式の増加、その他の包括利益累計額の減少などにより前連結会計年度末比17百万円減少し、30,267百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、前連結会計年度末に比べ1,020百万円(32.6%)増加の4,144百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加した資金は、税金等調整前当期純利益が1,357百万円、売上債権、棚卸資産の減少、仕入債務の増加などにより2,621百万円(前期は3,717百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により増加した資金は、有形固定資産の売却による収入、投資有価証券の売却による収入などにより314百万円(前期は1,164百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は、長期借入れによる収入がありましたが、短期借入金の減少、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出などにより1,959百万円(前期は2,809百万円の減少)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① 主要な資金需要および財源
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、賃貸不動産の取得、設備新設・改修等によるものであります。
これらの資金の財源につきましては、営業活動によるキャッシュフロー及び自己資本のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。
② 資金の流動性
当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループの繰延税金資産の回収可能性は、予算により見積もられた課税所得の発生状況等に基づき判断しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。