当連結会計年度(当社第49期)におけるわが国経済は、中国をはじめとするアジア新興国の景気減速傾向の影響を受ける一方で、国内でも公共投資に弱い動きが見られ、さらに平成28年に入ってからは為替の円高が進行しており、その先行きには不透明感があります。
当社グループの属する建設業界におきましては、首都圏の大型プロジェクト、東日本大震災からの復興関連案件等により、需要は底堅く推移したものの、工事の着工時期や進捗遅れ、また地域によっては公共投資減少による発注減の影響等が顕著となりました。
このような厳しい環境のなか、当社グループでは、引き続き採算性を重視した受注活動を行うとともにコスト削減に注力し、収益の確保に努めてまいりましたが、当連結会計年度におきましては、売上高は86,068百万円(前年同期比4.2%減)、利益につきましては、営業利益6,779百万円(前年同期比8.6%減)、経常利益7,037百万円(前年同期比7.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,815百万円(前年同期比11.2%減)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
仮設鋼材事業におきましては、堅調な需要を取り込むべく、材料と工事の一括受注の拡大を推進するとともに、調達コストの圧縮をはじめとするコスト削減等により採算性向上に努めました。
また、新規事業、新商品の展開推進についても、コラム材を使用した切梁システム「Ecoラム工法」の採用実績は順調に積み上がっており、さらに仮設橋梁事業においては、㈱横河ブリッジと共同で、新型の仮設橋梁「PABRIS-HGタイプ」を開発し、高機能オプション「G-PANEL」を当期に初出荷いたしました。
しかしながら、工事の着工時期や進捗遅れ、公共投資の減、およびこれらに伴う競争激化の影響等により、売上高は76,640百万円(前年同期比5.5%減)、経常利益は5,508百万円(前年同期比9.2%減)となりました。
建設機械事業におきましては、一部地域を除いて市場は概ね堅調に推移したことから、売上高は13,489百万円(前年同期比1.7%増)、経常利益は1,974百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末と比較して443百万円(23.0%)減少し、1,481百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6,480百万円(前年同期5,115百万円)となりました。
これは主に、資金財源として減価償却前の税金等調整前当期純利益8,881百万円を確保し、たな卸資産の減少による資金増加が3,128百万円となったのに対し、法人税等の支払額が2,388百万円、仕入債務の減少による資金減少が1,648百万円、売上債権の増加による資金減少が606百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△2,056百万円(前年同期△1,265百万円)となりました。
これは主に、賃貸用建設機械の取得による支出が1,901百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,868百万円(前年同期△5,964百万円)となりました。
これは主に、借入金の返済が3,700百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が546百万円、前期末及び当期中間配当金の支払額が618百万円となったことによるものであります。
以下、「生産、受注及び販売の状況」に記載の金額には消費税等は含まれておりません。
仮設鋼材事業における工場の主たる業務である、建設仮設材の復元修理作業並びに鋼製山留材等の建設仮設材及び各種製品の製作加工について記載しております。
なお、建設機械事業は、生産に該当する事項はありません。
当連結会計年度の製作加工及び修理実績を販売価格により示せば次のとおりであります。
区分 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比(%) | |
製作・加工 | 建設仮設材(百万円) | 1,609 | △15.5 |
製品(百万円) | 7,404 | △3.4 | |
小計(百万円) | 9,013 | △5.8 | |
修理 | 建設仮設材(百万円) | 1,478 | △6.6 |
合計(百万円) | 10,491 | △5.9 | |
当社グループが取り扱う主要な商製品等については、出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注高の集計を行っておりません。
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比(%) |
仮設鋼材(百万円) | 76,640 | △5.5 |
建設機械(百万円) | 13,489 | 1.7 |
計(百万円) | 90,129 | △4.5 |
調整額(百万円)(注)1 | △4,061 | ― |
合計(百万円) | 86,068 | △4.2 |
(注)1 調整額は、セグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であります。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
清水建設株式会社 | 9,176 | 10.2 | 8,939 | 10.4 |
(次期の事業環境と課題)
次期の建設業界は、首都圏ではオリンピック・パラリンピック関連需要の本格的な立ち上がりが見込まれること、公共事業の予算執行が前倒しされる方針となったことなどから、需要は堅調に推移するものと想定されます。
一方、建設業界の人手不足等に起因する工事の着工時期や進捗遅れの影響は足下では解消されておらず、また復興需要については見通しが不透明であること、および円高等による景況感悪化といった懸念材料もあります。
このような経営環境において当社グループは、材料と工事の一括受注をさらに強化するとともに、コスト削減をより一層推進し、収益力の向上に努めてまいります。
加工・橋梁事業本部においては、設立2年目を迎え、活動領域をさらに広げることにより事業規模の拡大を目指します。
新商品、新技術についても、このほどJFEスチール㈱、㈱大林組と共同開発した合成地下壁構築技術「J-WALLⅡ工法」の受注等、注力してまいります。
さらに、ベトナムに現地法人を設立する予定としており、同国のみならずASEAN地域での将来の需要を取り込むべく、活動を展開してまいります。
(中期経営計画における施策)
当社は平成27年5月11日に、平成27~29年度の事業運営の指針となる中期経営計画を発表いたしました。
当社グループは、建設工事における基礎工事など地下掘削に欠かせない建設仮設材、建設機械の賃貸や仮設工事の設計、施工を中心事業としております。
今中期経営計画の対象期間における当社グループを取り巻く事業環境は、建設需要は引き続き堅調に推移するものの、人手不足の影響等の懸念材料が残るものと見ております。
また、オリンピック・パラリンピック関連需要が一巡した後には、国内需要は減少基調に転じ、経営環境は再び厳しい局面に直面する可能性もあると考えております。
平成23年の東日本大震災により、安全・安心な国づくりの重要性が増してきておりますが、今日まで培ってきた技術力を活かし、建設事業を総合的にサポートする役割をしっかりと果たし、社会資本の形成に寄与してまいります。
このような認識のもと、当社グループはこの期間を、来るべき経営環境変化に向けての企業変革の期間と位置づけ、企業の総合力を一層向上させるため、事業領域拡大と体質強化に取組み、『建設業をサポートするリーディング・カンパニー』の地位確立を目指してまいります。
また、財務体質の強化を進め、ステークホルダーへの還元にも重点をおいて取組んでまいります。
主な取り組みは、以下の通りです。
① 国内重仮設分野の収益基盤強化
材料と工事の一括受注を更に推進するなど、総合力を生かした営業活動に取組み、堅調な国内需要を確実に取り込むとともに、需要縮小局面に備え営業力のより一層の強化を図ります。
また、工場については、老朽化した主要設備を計画的に更新して体質強化を進めます。コスト面においては、調達コストの圧縮を進め、採算性向上を目指します。
これらの施策により、国内重仮設分野の競争力を高め収益基盤を強化してまいります。
② 重仮設周辺分野の拡大
今後増加が見込まれる、老朽インフラの更新需要を取り込むため、平成27年4月1日付で設立した加工・橋梁事業本部を中心に、長沼工場を活用した特殊加工事業、および仮設橋梁事業の拡大に向け活動を展開し、新たな収益の柱とすべく取組んでまいります。
③ 新商品、新規事業の展開
「Ecoラムシステム」「新GSS工法」「GSS-SPA工法」等の新商品、新工法を積極的に展開し、収益に貢献する水準まで拡大を図ります。R&Dに力点を置き更なる技術開発に取組むとともに、JFEグループとの連携の深化を図ります。
また、新規事業分野への進出につきましては、M&Aも含めて検討を進めてまいります。
④ 海外への展開
国内の建設需要は長期的には減少に転じると想定されることから、今後成長が見込まれるASEAN地域を対象とした海外展開の検討を進めてまいります。
⑤ 建機子会社の収益基盤強化
保有車種の最適化を図り、収益基盤の強化を進めます。
⑥ 人材育成の取り組み強化
教育・研修制度をさらに充実させ社員1人1人の能力の更なる向上を図り、企業体質の変革を担う人材の育成に取組みます。
⑦ 財務体質および株主還元の強化
事業環境の変化に耐えうる強靭な財務基盤の構築に向け、自己資本比率、D/Eレシオなどの改善を進めるとともに、配当性向(連結)を20%程度にまで高め、株主の皆様への還元を強化してまいります。
なお、主要財務指標の、最終年度(平成29年度)における数値目標は以下の通りです。
|
| 中期経営計画 | 参考 | |
平成27年度実績 | 平成26年度実績 | |||
財務目標 | ROE | 10%以上 | 11.7% | 15.0% |
自己資本比率 | 50%程度 | 46.9% | 41.3% | |
D/Eレシオ | 25%以下 | 32.0% | 46.0% | |
収益目標 | 売上高 | 1,000億円以上 | 861億円 | 899億円 |
経常利益 | 85億円以上 | 70億円 | 76億円 | |
ROS | 8.5%以上 | 8.2% | 8.5% | |
配当性向(連結) | 20%程度 | 20.4% | 10.1% | |
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる取引先は建設会社であり、事業環境としては建設業界の事業環境と一体であります。したがって当社グループの経営成績は民間建設投資および公共建設投資の動向により影響を受ける可能性があります。
当社グループでは取引先の信用度合による与信限度枠を設定し、不良債権の発生防止に努めておりますが、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは作業に従事する建設作業所や資機材の補修および修理工場において、安全・防災・環境管理部のもと社員や協力会社の作業員に対して安全衛生管理の徹底、啓蒙活動を行っておりますが、予期せぬ事故による納入遅延や工期の遅れ等により、損失補償の責任を負う可能性があります。
当社グループの取扱商品の一部(H形鋼等)は市況商品であり、仕入価格、販売価格等の変動など、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける事業活動への投資資金は金融機関からの借入金に依存しているため、金利の変動がある場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有している上場株式の株価が変動した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが所有する固定資産について、収益性の低下や時価の下落に伴う資産価値の低下は、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
地震や台風などによる大規模な自然災害や、その他の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成27年12月24日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社レンタルシステム芙蓉と株式会社レクノスの合併を決議いたしました。
合併契約の概要は次のとおりであります。
株式会社レンタルシステム芙蓉および株式会社レクノスは、両社とも一都三県の首都圏エリアを中心に建設機械のレンタル事業を行っておりますが、今回の合併により営業情報の共有化および保有している建設機械の有効活用を行うことで、グループ経営の効率化と競争力の強化を図るものであります。
株式会社レンタルシステム芙蓉を存続会社、株式会社レクノスを消滅会社とする吸収合併方式といたします。
平成28年4月1日
本合併は、当社100%連結子会社同士の合併であるため、合併比率の取り決めはありません。また、株式、金銭その他の財産など対価の交付は行いません。
株式会社レンタルシステム芙蓉は、合併の効力発生日において、吸収合併消滅会社である株式会社レクノスの一切の資産、負債及び権利義務を承継いたします。
商号 株式会社レンタルシステム関東 ※
事業内容 建設機械の賃貸及び販売
資本金 40百万円
※ 商号変更しております。
仮設鋼材事業において、環境問題対応、仮設工事とその周辺事業分野でのニーズ対応、安全性向上について、積極的に研究開発活動を行っております。研究開発の基本方針および目的は以下に掲げるとおりであります。
1.新商品・新工法の研究開発を通じ、得意先からの要望に応え、新たな需要を創出する。
2.既存の商品・工法・生産方法を改良、改善することにより、他社との差別化を図る。
3.既存製品の改良、改善および研究開発活動の成果に対する拡販活動を活発にする。
4.工場の安全作業に関して、安全治具・装置を改良、改善することにより、労働災害の撲滅を図る。
各担当役員を中心とした「技術・事業開発委員会」を通じて、営業、調達、設計、施工、加工の各分野を横断した検討やニーズの発掘により、当連結会計年度において取り組んだ技術開発テーマは11件、これらのテーマに関連した特許申請は6件であり、研究開発費の総額は26百万円となりました。また、毎年技術力のレベルアップと新技術の発掘を目的とした「技術発表会」を開催しております。
これは、日常業務での工夫やアイデアの共有化・蓄積を図り、自由な発想で新規事業や新工法・製品のアイデアを抽出し、将来の収益基盤となり得る開発テーマを探求することを目的とするもので、市場ニーズに合った研究開発活動を行うように努めております。
なお、当連結会計年度における研究開発活動の主な成果および概要は以下のとおりであります。
近年、建設業界においては労働力の確保や仮設工事の省力化が課題となっております。当社では、仮設工事の省力化を可能とするコラム切梁システム「Ecoラム工法」を開発し、当連結会計年度では、土木・建築分野を問わず数多くの現場で採用していただきました。この工法は、山留工事の経済性向上、工期短縮を可能にし、作業空間を広くすることで地下工事の施工性と安全性、構造物の躯体品質の向上に寄与するものであります。
「Ecoラム工法」は、平成26年12月に国土交通省が運営する新技術情報提供システムの「NETIS」登録技術であり、更なる省力化の向上のため、サイズ拡充、接続部の合理化、施工の安全・簡便化などの開発に取り組んでおります。
弊社はJFEスチール㈱、㈱大林組と3社共同で、地下壁の施工に際し、仮設土留め壁として利用した特殊な鋼矢板と鉄筋コンクリートを一体化させて本設の合成地下壁を構築する「J-WALLⅡ工法」を開発し、一般財団法人 国土技術研究センター(JICE)より、平成27年12月3日付で建設技術審査証明を取得いたしました。
この工法は合成構造用鋼矢板(製品名:ビートルパイル)を仮土留め壁として利用し、地盤掘削後の後打ち鉄筋コンクリート部と一体化させることにより、本設の合成地下壁を構築する技術であります。一体壁構造と評価できるため、薄い壁厚で高剛性・高耐力の合成地下壁を構築可能な工法と言えます。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末における資産の部は、前連結会計年度末と比較して3,143百万円(3.3%)減少し、91,606百万円となりました。
これは主に、たな卸資産が3,145百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債の部は、前連結会計年度末と比較して6,995百万円(12.6%)減少し、48,630百万円となりました。
これは主に、借入金が3,700百万円、支払手形及び買掛金と電子記録債務を合わせた仕入債務が1,926百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末と比較して3,852百万円(9.8%)増加し、42,976百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益4,815百万円を計上した一方で、退職給付に係る調整累計額が645百万円減少し、剰余金の配当619百万円(前期末配当1株当たり10円、中間配当7円)の支払いを実施したことによるものであります。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。