当連結会計年度(当社第50期)におけるわが国経済は、アメリカ大統領選挙後の円安を下支えに輸出が伸び、また足下は個人消費や民間設備投資にも持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が続いているものと見られます。一方、先行きについては、アメリカ新政権が保護主義的政策によりドル安政策を進める可能性、および欧州の政治情勢の不確実性から、マイナス影響も懸念される状況にあります。
当社グループの属する建設業界におきましては、首都圏では大型プロジェクトを中心に需要は底堅く推移し、工事の着工時期や進捗遅れの影響が残る状況は続いているものの、オリンピック・パラリンピック関連事業にも本格化の動きが出はじめております。
このような経営環境のなか、当社グループでは、引き続き採算性を重視した受注活動を行うとともにコスト削減に注力し、収益の確保に努めてまいりましたが、当連結会計年度におきましては、売上高は98,729百万円(前年同期比14.7%増)となったものの、利益につきましては、営業利益6,224百万円(前年同期比8.2%減)、経常利益6,585百万円(前年同期比6.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,495百万円(前年同期比6.6%減)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
仮設鋼材事業におきましては、堅調な需要を取り込むべく、材料と工事の一括受注の拡大を推進するとともに、調達コストの圧縮をはじめとするコスト削減等により採算性向上に努めました。
国内各地域での事業展開も強化し、いわき出張所の営業所昇格、沖縄営業所と群馬出張所の開設、九州支店の移転といった営業拠点の整備、加工・橋梁事業における西日本への人員配置や全国規模での外注先の確保等を実施いたしました。
また、独自商品である、コラム材を使用した切梁システム「Ecoラム工法」はお客様から高い評価を得て、採用実績は平成29年2月末で100件を超えました。この実績と高い施工性が評価され、平成28年7月には、国土技術開発賞(創意開発技術賞)を受賞し、国土交通大臣より表彰されました。
以上の施策等により、売上高は89,585百万円(前年同期比16.9%増)となりましたが、工事の着工時期や進捗遅れ、および利益率の高い営業品目の売上高が減少した影響等により、経常利益は5,375百万円(前年同期比2.4%減)となりました。
建設機械事業におきましては、平成28年4月に子会社2社の合併により㈱レンタルシステム関東を発足させ、首都圏の営業活動強化と効率化に取り組みましたものの、東北地区の受注減少の影響等により、売上高は13,087百万円(前年同期比3.0%減)、経常利益は1,670百万円(前年同期比15.4%減)となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度と比較して63百万円(4.3%)減少し、1,418百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,578百万円(前年同期6,480百万円)となりました。
これは主に、資金財源として減価償却前の税金等調整前当期純利益8,389百万円を確保し、仕入債務の増加による資金増加が5,910百万円となったのに対し、売上債権の増加による資金減少が8,624百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,652百万円(前年同期△2,056百万円)となりました。
これは主に、賃貸用建設機械の取得による支出が1,345百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△3,996百万円(前年同期△4,868百万円)となりました。
これは主に、借入金の返済による支出が2,650百万円、前期末および当期中間配当金の支払額が1,163百万円となったことによるものであります。
以下、「生産、受注及び販売の状況」に記載の金額には消費税等は含まれておりません。
仮設鋼材事業における工場の主たる業務である、建設仮設材の復元修理作業並びに鋼製山留材等の建設仮設材及び各種製品の製作加工について記載しております。
なお、建設機械事業は、生産に該当する事項はありません。
当連結会計年度の製作加工及び修理実績を販売価格により示せば次のとおりであります。
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区分 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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製作・加工 |
建設仮設材(百万円) |
645 |
△59.9 |
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製品(百万円) |
7,998 |
8.0 |
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小計(百万円) |
8,643 |
△4.1 |
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修理 |
建設仮設材(百万円) |
1,491 |
0.9 |
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合計(百万円) |
10,134 |
△3.4 |
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当社グループが取り扱う主要な商製品等については、出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注高の集計を行っておりません。
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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仮設鋼材(百万円) |
89,585 |
16.9 |
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建設機械(百万円) |
13,087 |
△3.0 |
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計(百万円) |
102,672 |
13.9 |
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調整額(百万円)(注)1 |
△3,943 |
― |
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合計(百万円) |
98,729 |
14.7 |
(注)1 調整額は、セグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であります。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の清水建設株式会社に対する売上実績は、総売上実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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清水建設株式会社 |
8,939 |
10.4 |
― |
― |
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社は平成27年5月に、平成27~29年度の事業運営の指針となる中期経営計画を発表いたしました。
今中期経営計画の対象期間における当社グループを取り巻く事業環境は、建設需要は引き続き堅調に推移するものの、人手不足の影響等の懸念材料が残るものと見ております。
また、オリンピック・パラリンピック関連需要が一巡した後には、国内需要は減少基調に転じ、経営環境は再び厳しい局面に直面する可能性もあると考えております。
このような認識のもと、当社グループはこの期間を、来るべき経営環境変化に向けての企業変革の期間と位置づけ、企業の総合力を一層向上させるため、事業領域拡大と体質強化に取り組み、『建設業をサポートするリーディング・カンパニー』の地位確立を目指してまいります。
また、財務体質の強化を進め、ステークホルダーへの還元にも重点をおいて取り組んでまいります。
主な取り組みは、以下の通りです。
① 国内重仮設分野の収益基盤強化
材料と工事の一括受注を更に推進するなど、総合力を生かした営業活動に取り組み、堅調な国内需要を確実に取り込むとともに、需要縮小局面に備え営業力のより一層の強化を図ります。
また、工場については、老朽化した主要設備を計画的に更新して体質強化を進めます。コスト面においては、調達コストの圧縮を進め、採算性向上を目指します。
これらの施策により、国内重仮設分野の競争力を高め収益基盤を強化してまいります。
② 重仮設周辺分野の拡大
今後増加が見込まれる、老朽インフラの更新需要を取り込むため、平成27年4月1日付で設立した加工・橋梁事業本部を中心に、長沼工場を活用した特殊加工事業、および仮設橋梁事業の拡大に向け活動を展開し、新たな収益の柱とすべく取り組んでまいります。
③ 新商品、新規事業の展開
「Ecoラムシステム」「新GSS工法」「GSS-SPA工法」等の新商品、新工法を積極的に展開し、収益に貢献する水準まで拡大を図ります。R&Dに力点を置き更なる技術開発に取り組むとともに、JFEグループとの連携の深化を図ります。
また、新規事業分野への進出につきましては、M&Aも含めて検討を進めてまいります。
④ 海外への展開
国内の建設需要は長期的には減少に転じると想定されることから、今後成長が見込まれるASEAN地域を対象とした海外展開の検討を進めてまいります。
⑤ 建機子会社の収益基盤強化
保有車種の最適化を図り、収益基盤の強化を進めます。
⑥ 人材育成の取り組み強化
教育・研修制度をさらに充実させ社員1人1人の能力の更なる向上を図り、企業体質の変革を担う人材の育成に取り組みます。
⑦ 財務体質および株主還元の強化
事業環境の変化に耐えうる強靭な財務基盤の構築に向け、自己資本比率、D/Eレシオなどの改善を進めるとともに、配当性向(連結)を20%程度にまで高め、株主の皆様への還元を強化してまいります。
なお、主要財務指標の、最終年度(平成29年度)における数値目標は以下の通りです。
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中期経営計画 |
参考 |
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平成28年度実績 |
平成27年度実績 |
平成26年度実績 |
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財務目標 |
ROE |
10%以上 |
10.0% |
11.7% |
15.0% |
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自己資本比率 |
50%程度 |
47.2% |
46.9% |
41.3% |
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D/Eレシオ |
25%以下 |
23.5% |
32.0% |
46.0% |
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収益目標 |
売上高 |
1,000億円 以上 |
987億円 |
861億円 |
899億円 |
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経常利益 |
85億円以上 |
66億円 |
70億円 |
76億円 |
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ROS |
8.5%以上 |
6.7% |
8.2% |
8.5% |
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配当性向(連結) |
20%程度 |
24.3% |
20.4% |
10.1% |
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(2) 次期の経営環境と課題
次期の建設業界は、大都市圏での民間非住宅分野を中心に需要は堅調と想定しており、またオリンピック・パラリンピック関連需要も本格的に立ち上がります。東北地方の復興需要については、集中復興期間は終了したものの未消化工事の施工が続いており、大幅な需要減とはならないものと見込んでおります。
一方、建設業界の人手不足等に起因する工事の着工時期や進捗遅れが続くなか、運転手不足による輸送コストの上昇も見込まれ、さらに円高等による景況感悪化も懸念されます。
このような経営環境において当社グループは、材料と工事の一括受注の拡大、および新たな技術、事業の強化を推進するとともに、コスト削減をより一層推進し、収益力の向上に努めてまいります。
国内各地域での営業展開も継続して推進しており、4月1日付で九州事業本部の新設、富山・静岡出張所開設を実施いたしました。加工・橋梁事業についても、全国規模での受注活動をさらに強化してまいります。
「Ecoラム工法」に続く新商品、新技術についても、JFEスチール㈱とも連携しながら、開発に注力してまいります。
さらに、平成28年8月に設立したGECOSS VIETNAM CO., LTD.の受注活動強化にも取り組み、早期に収益に貢献することを目指してまいります。
以上の諸施策を実施する結果、次期の連結業績の見通しにつきましては、売上高100,000百万円、営業利益7,100百万円、経常利益7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,150百万円を見込んでおります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる取引先は建設会社であり、事業環境としては建設業界の事業環境と一体であります。したがって当社グループの経営成績は民間建設投資および公共建設投資の動向により影響を受ける可能性があります。
当社グループでは取引先の信用度合による与信限度枠を設定し、不良債権の発生防止に努めておりますが、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは作業に従事する建設作業所や資機材の補修および修理工場において、安全・防災・環境管理部のもと社員や協力会社の作業員に対して安全衛生管理の徹底、啓蒙活動を行っておりますが、予期せぬ事故による納入遅延や工期の遅れ等により、損失補償の責任を負う可能性があります。
当社グループの取扱商品の一部(H形鋼等)は市況商品であり、仕入価格、販売価格等の変動など、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける事業活動への投資資金の一部は金融機関からの借入金を原資としており、金利の変動がある場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有している上場株式の株価が変動した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが所有する固定資産について、収益性の低下や時価の下落に伴う資産価値の低下は、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
地震や台風などによる大規模な自然災害や、その他の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
海外への投資、海外顧客との取引については、対象国の政治・経済情勢等が大きく変動する場合、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外国通貨での取引については、為替レートが変動した場合、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
仮設鋼材事業において、環境問題対応、仮設工事とその周辺事業分野でのニーズ対応、安全性向上について、積極的に研究開発活動を行っております。研究開発の基本方針および目的は以下に掲げるとおりであります。
1.新商品・新工法の研究開発を通じ、得意先からの要望に応え、新たな需要を創出する。
2.既存の商品・工法・生産方法を改良、改善することにより、他社との差別化を図る。
3.既存製品の改良、改善および研究開発活動の成果に対する拡販活動を活発にする。
4.工場の安全作業に関して、安全治具・装置を改良、改善することにより、労働災害の撲滅を図る。
各担当役員を中心とした「技術・事業開発委員会」を通じて、営業、調達、設計、施工、加工の各分野を横断した検討やニーズの発掘により、当連結会計年度において取り組んだ技術開発テーマは6件、これらのテーマに関連した特許申請は7件であり、研究開発費の総額は22百万円となりました。また、毎年技術力のレベルアップと新技術の発掘を目的とした「技術発表会」を開催しております。
これは、日常業務での工夫やアイデアの共有化・蓄積を図り、自由な発想で新規事業や新工法・製品のアイデアを抽出し、将来の収益基盤となり得る開発テーマを探求することを目的とするもので、市場ニーズに合った研究開発活動を行うように努めております。
なお、当連結会計年度における研究開発活動の主な成果および概要は以下のとおりであります。
(1) コラム切梁システムに関する開発
近年、建設業界においては労働力の確保や仮設工事の省力化が課題となっております。当社では、仮設工事の省力化を可能とするコラム切梁システム「Ecoラム工法」を開発し、当連結会計年度では、土木・建築分野を問わず数多くの現場で採用していただきました。この工法は、山留工事の経済性向上、工期短縮を可能にし、作業空間を広くすることで地下工事の施工性と安全性、構造物の躯体品質の向上に寄与するものであります。
「Ecoラム工法」は、平成28年7月に「第18回国土技術開発賞/創意開発技術賞」を受賞し、更なる省力化の向上のため、サイズ拡充、接続部の合理化、施工の安全・簡便化などの開発に取り組んでおります。
(2) 鋼矢板を活用した合成地下壁構築技術の開発について
弊社はJFEスチール㈱、㈱大林組と3社共同で、地下壁の施工に際し、仮設土留め壁として利用した特殊な鋼矢板と鉄筋コンクリートを一体化させて本設の合成地下壁を構築する「J-WALLⅡ工法」を開発し、一般財団法人 国土技術研究センター(JICE)より、平成27年12月3日付で建設技術審査証明を取得しております。
この工法は合成構造用鋼矢板(製品名:ビートルパイル)を仮土留め壁として利用し、地盤掘削後の後打ち鉄筋コンクリート部と一体化させることにより、本設の合成地下壁を構築する技術であります。一体壁構造と評価できるため、薄い壁厚で高剛性・高耐力の合成地下壁を構築可能な工法と言えます。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末における資産の部は、前連結会計年度末と比較して6,995百万円(7.6%)増加し、98,601百万円となりました。
これは主に、受取手形および売掛金と電子記録債権を合わせた売上債権が8,625百万円増加した一方、たな卸資産が2,078百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債の部は、前連結会計年度末と比較して3,429百万円(7.1%)増加し、52,059百万円となりました。
これは主に、支払手形及び買掛金と電子記録債務を合わせた仕入債務が6,183百万円増加した一方、借入金が2,650百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末と比較して3,566百万円(8.3%)増加し、46,542百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益4,495百万円を計上した一方で、剰余金の配当1,165百万円(前期末配当1株当たり20円、中間配当12円)の支払いを実施したことによるものであります。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。