文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2024年度(2025年3月期)を最終年度とする中期経営計画で、重仮設事業の競争力をさらに高めて業界トップシェアのポジションを盤石化するとともに、周辺事業の規模拡大を加速させ、事業規模・利益水準ともに拡大を目指す取組を進めてまいりました。しかし、計画策定時に想定していなかったコロナ禍の長期化、鋼材価格をはじめとする諸物価高騰等の事業環境変化に伴い、諸施策の進捗や価格転嫁が十分に進まなかったこと、建設機械事業の収益が悪化したこと等の影響を受け、2024年度の業績予想は中期経営計画最終年度の収益目標を下回る見通しとなります。主要財務指標の、最終年度(2024年度)における数値目標と2024年度業績予想との比較は以下の通りです。
なお、現行の中期経営計画における主な施策の進捗状況は以下の通りです。
今年度に行う次期中期経営計画の策定にあたっては、既存事業を強化していくとともに、重仮設事業の周辺分野を伸ばしていくことによって、外部環境変化に対応できる事業構造としていくことを目指していきます。
また、本年4月25日に当社はみずほリース㈱と資本業務提携契約を締結しました。同社との提携を通じて、両社の強み及び事業基盤等を有効活用し、当社の既存事業及び成長分野の更なる拡大と企業価値の最大化を図ってまいります。
(SDGsへの取組)
当社が掲げる「安心、安全な社会の建設への貢献」というコンセプト及び鋼材をリースし再利用するという事業モデルそのものが、SDGsに合致するものと考えております。
その上で、個別には再生可能エネルギーやゼロカーボン投資に関連する案件を通じた持続可能な社会の実現、ベトナムはじめASEANでの活動による発展支援も行っています。また社員との関係では、安全と健康の確保を最優先とすることはもちろん、性別を問わず活躍の場を用意し、働きがいの向上に資する施策を進めています。
次期中期経営計画期間に向けてもこれらの取組を継続してまいります。
(2) 次期の経営環境と課題
2024年度の事業環境は、堅調な需要が続くものの、諸物価の高止まりに加え、いわゆる2024年問題による担い手不足とこれに伴うコストアップの影響が懸念されます。当社グループの取組としては、重仮設事業ではコスト上昇分の転嫁による価格適正化を最重点課題として進めるとともに、採算性を重視した受注活動、子会社の㈱オトワコーエイの技術力を活かした受注の拡大にも注力いたします。周辺分野においては、仮設橋梁の全国での展開強化、H形鋼橋梁GHB®の拡販、FUCHI Pte. Ltd.とのシナジー拡大等により、さらなる成長を目指してまいります。これらの施策を実施するものの、売上高は低採算の流通販売を減らしていくこと、また経常利益は賃貸・工事の利益率改善により人件費増はカバーしておりますが、2024年問題の影響もあり、工事進捗や在庫販売物件等の計画への織り込みを保守的にみていることから、2023年度比減収減益となる見込みです。
建設機械事業では、BROKK®(無人施工ロボット)、ヘリオムーブ®(内装業者向け天台)といった新商品の拡充等、賃貸用資産の品揃え見直しを進めるとともに、ジェコス及びJFEグループとの連携、協業を強化することにより、経常利益は2023年度並みを見込んでおります。
以上により、2024年度の連結業績見通しにつきましては、売上高115,000百万円、営業利益5,500百万円、経常利益6,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,100百万円を見込んでおります。セグメント別の業績見通しは下表の通りです。
※ セグメント売上高の調整額はセグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であり、セグメント利益の調整額は連結調整であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ課題全般への取組
持続可能な環境、社会の実現と企業価値の向上に向けての当社グループの取組の方針として、2022年6月に「サステナビリティ課題への取り組みの基本方針」を取締役会で決定しました。
上記方針においては、必要なガバナンス体制を構築し、特に下記事項に取り組むことにより、ステークホルダーへの社会的責任を果たし、持続可能な社会の発展に貢献することとしております。
・鋼材のリユースを中心とした事業モデルを常に進展させ、資源循環型経済の実現に取り組む
・サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出削減に取り組む
・災害復旧に貢献するとともに、防災、減災、国土強靭化の実現に取り組む
・関係するすべての人の人権を尊重するとともに、その安全と健康の確保に取り組む
・従業員の働きがいの向上と、多様な人材の活躍の場の提供に取り組む
上記課題への取組については、サステナビリティ委員会や技術・事業開発委員会において検討・審議し、状況に応じて取締役会に報告・提言することとしております。
②リスク管理
サステナビリティ委員会内に設置する、人事労働部会、安全・防災・環境・BCP部会、内部統制・コンプライアンス部会、グループ環境部会、意識・活動定着部会の各部会において、上記サステナビリティ課題への具体的取組を検討・推進するとともに、それぞれの課題に関わるリスクを把握・評価し、その内容についても委員会にて検討・審議しております。また、上記各部会においては全社横断的なリスクの把握・評価も行っており、委員会活動の中での連携を図っています。
(サステナビリティに関するガバナンス体制図)

当社は人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す事で、中長期的な企業価値の向上につなげる人的資本経営を進めてまいります。社員一人ひとりのキャリアプランに合わせた人材育成を実施し、多様な人材の柔軟な働き方を推奨し、社員のエンゲージメント向上にむけて以下の取組を実施しております。
① 戦略
a.人材育成
人材の多様性の確保や各々の業務領域の拡大の観点から、人材育成方針とそれに基づく充実した教育カリキュラムを策定し、計画的なOJTと階層等に応じた各種研修を行っております。また、マネージャーを対象に「360°評価(自己分析と多面評価)」を実施し、対象者の自発的行動変容を促すことで管理者の育成に注力しています。
(人材育成方針)
挑戦意欲が高く、環境変化へ柔軟に対応できる人材を目指し、多様な人材がそれぞれの力を最大限に発揮できる場を提供し、成長できる仕組みを構築していきます。社員一人ひとりの成長と働きがいの追求により、企業価値向上につなげ安心・安全な社会の建設へ貢献し続ける企業を目指します。
(研修制度)

b.職場環境の整備
当社は社員の働きがいの向上や労働環境の改善、健康の確保等に向けての社内環境整備方針を策定し、それに基づくさまざまな取組を進めるとともに、その具体的目標と実施状況の開示を行っております。
(社内環境整備方針)
社員一人ひとりの働きがい向上に向けて、労働環境改善や柔軟な働き方の制度整備を進め、仕事と育児・介護の両立可能な社内環境を目指します。また、生活習慣病・メンタルヘルス・食生活改善等の健康経営®にも注力し、数値目標を掲げています。
取組事例
従業員の安全及び健康に関しては、「ジェコスグループ健康宣言」を行い、企業として健康経営に積極的に取り組むことを社内外に公表しております。また「健康経営企画推進体制」を策定し、取組を推進しております。
(注)「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であります。
② 指標及び目標
2024年4月1日を始期とする一般事業主行動計画にて、2027年3月31日までの人的資本経営に係る指標及び目標を以下のとおり定めております。
・フレックスタイム制、勤務間インターバル制度の導入・活用
・長時間労働偏在部署の業務改善
・雇用機会の創出
・女性管理職比率 目標18%
・男性育児休業取得率 目標50%
・健康診断2次検査受診率 目標50%
・年休取得率70%の継続
また、人材育成や社内環境の整備に関する指標及びその実績を社内外に公表しております。
ダイバーシティ
健康・安全
ワークライフバランス
エンゲージメント調査
※ 数値は当社単体を対象とする
※1 課長代理以上
※2 役職(部長、支店長、工場長、グループ長、所長、センター長)
※3 等級に応じてカウント
※4 36協定対象者
※5 男性の育児休業等取得者数・取得率は、子が生まれた時の特別休暇を取得した男性を含む
※6 仕事、職場、会社に関する結果の集計値(全従業員を対象に実施)
5点満点で採点(3.0未満:低い、3.0以上3.5未満:やや低い、3.5以上4.0未満:やや高い、4.0以上:高い)
(3)気候変動への取組
当社は、2022年6月に持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けた当社グループの取組方針として「サステナビリティ課題への取り組みの基本方針」を定め、ステークホルダーからの期待に応え、持続可能な社会の発展に貢献することとしています。その中で、サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出削減に取り組むことを大きな課題の一つと位置づけています。重仮設事業では賃貸用鋼材の90%をリユースし、また、最終的にはスクラップとしてリサイクルしており、事業自体が循環型社会への貢献を通じ、温室効果ガス排出の削減に大きな役割を果たしていると考えています。気候変動への取組は、極めて重要な課題と認識しており、「鋼材のリユースを中心とした事業モデルを常に進展させ、資源循環型経済の実現に取り組む」、「サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出削減に取り組む」を重要課題として設定しています。
当社は、2023年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同を表明しました。TCFDは、投資家等が財務上の意思決定を行うに際し、気候変動リスクと機会が投資先の財務状況にどのような影響を及ぼすかを的確に把握していることが重要であるとの考えに基づき、組織運営における4つの中核的要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する情報の開示を推奨しています。当社は気候関連開示の代表的なフレームワークであるTCFDに沿った内容で情報開示を行います。
①ガバナンス
気候変動に関するグループの取組は、社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会の下にグループ環境部会を設置し、技術部門と経営企画部門の担当執行役員が共同で部会長を務め、全社横断で取組を推進しています。グループ環境部会では、気候変動に関するリスクと機会の評価を行うとともに、2050年のカーボンニュートラルを目指し2030年に向けた削減目標を策定し、達成に向けた取組を検討しています。検討内容は、サステナビリティ委員会で協議し、技術・事業開発委員会とも相互の報告・提言により連携し、取組内容の決定・進捗確認を行っています。また議論の内容は、取締役会に報告され、取締役会は、重要な経営・事業戦略として議論し方針を決定するのに加え、気候変動課題への実行計画等について監督を行っています。また、サステナビリティ委員会で決定された重要事項は、グループ環境部会を通じて事業部門及びグループ会社に伝達され、定期的に実行状況のモニタリングが行われています。
(気候変動に関する推進体制図)

②戦略
気候変動問題に関わるリスクと機会を正しく認識し、事業・財務戦略に及ぼす影響を評価するため、シナリオ分析を行っています。シナリオは、①産業革命前から今世紀末までの気温上昇を1.5℃に抑え、持続可能な発展を実現させるための政策(規制)強化、市場変化、技術革新が進められる「移行シナリオ」、②産業革命前から気温が4℃程度上昇し、異常気象の激甚化、海水面上昇等の影響が発現する「物理的シナリオ」、の二つで検討しました。それぞれにつき、「調達」「直接操業」「製品・サービスの提供」の各段階で事業に与えるリスクと機会を分析し、その影響の大きさと影響する時間軸を整理し、対応策を検討しています。
(気候関連の主なリスクと機会)

③リスク管理
サステナビリティ委員会内に設置するグループ環境部会では、気候変動が当社事業に及ぼす要因をバリューチェーン上で整理し、リスクと機会の把握とその評価を行い、具体的取組を検討しています。検討内容は、サステナビリティ委員会において全社リスクマネジメントの中に統合して検討・審議され、取締役会で方針決定していきます。取締役会で決定された方針や具体的な取組の指示は、グループ環境部会を通じて各事業部門やグループ会社に伝達されます。気候関連のリスクや機会に関する対策の実行状況は、グループ環境部会を通じてサステナビリティ委員会で定期的にモニタリングが行われ、重要事項は取締役会に報告されます。これらのリスク管理を通じて、リスクの回避・機会の最大化の実現を図っていきます。
④指標と目標
温室効果ガス排出量の削減目標並びに取組内容については、2023年に方針決定しました。当社グループは2050年のカーボンニュートラルを目指して、2030年度温室効果ガス排出削減目標(単体)を下記の通り策定しました。スコープごとに目標達成のための取組を検討・実行し、今後も継続的に温室効果ガス排出量の実績開示を行っていきます。
当社単体の温室効果ガス削減目標
※1 購入した鋼材、セメントが対象
※2 Scope3総排出量の75%を占め自社の削減努力を反映できる品目が対象
※3 IDEAデータベースの製品コード体系の更新により、鋼材の排出係数を見直して再算出しました
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項及びリスク対策は以下の通りであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる取引先は建設会社であり、事業環境としては建設業界の事業環境と一体であります。従って民間建設投資及び公共建設投資の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは取引先の信用度合による与信限度枠を設定し、不良債権の発生防止に努めておりますが、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは作業に従事する建設作業所や資機材の補修及び修理工場において、安全・防災・環境管理部のもと社員や協力会社の作業員に対して安全衛生管理の徹底、啓蒙活動を行っておりますが、予期せぬ事故による納入遅延や工期の遅れ等により、損失補償の責任を負う可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの取扱商品であるH形鋼、鋼矢板、鋼製山留、覆工板及び鋼板等の販売価格は市況価格や原材料である鋼材価格の変動の影響を受けます。コスト削減策や販売価格への転嫁等の取組を行っておりますが、販売価格が低迷した場合、鋼材価格が高騰した場合及びこれらの施策が想定通りに進まなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける事業活動への投資資金の一部は金融機関からの借入金を原資としており、金利の変動がある場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有している上場株式の株価が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが所有する固定資産について、収益性の低下や時価の下落に伴う資産価値の低下により、固定資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合には、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
地震や台風などによる大規模な自然災害や、その他の予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 気候変動による影響について
脱炭素社会への移行に向けて、調達資材、燃料・電力に対するカーボンプライシングが導入された場合、また気候変動の物理的影響として、気象災害の激甚化及び夏季の平均気温が上昇した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。気候変動リスクの詳細については、TCFDに沿った内容で「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動への取組」に記載しています。
海外への投資、海外顧客との取引については、対象国の政治・経済情勢等が大きく変動する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外国通貨での取引については、為替レートが変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
金融恐慌、感染症の拡大等、世界規模で経済環境が大きく変動する事象が発生した場合には、建設投資需要が大幅に落ち込む等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有する顧客、取引先及び当社グループの機密情報や個人情報は、情報管理の諸規定を制定することによりグループ全体で徹底した管理を実行しておりますが、過失や盗難、外部からの攻撃等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
JFEホールディングス㈱及びJFEスチール㈱は当社の親会社であります。当社が取扱う建設仮設材の一部は、JFEホールディングス㈱の傘下のグループ会社で構成されるJFEグループから調達しております。従って、同グループの当社グループに対する事業戦略等に変更が生じた場合には、取引の増減等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業のうち、重仮設事業は、建設業法に定められた一般建設業や特定建設業の許可を受けており、取引を行う場合には必須事項となっております。これらの許可の取消や停止事由が発生した場合、又は当該法規制の改廃や新たな法規制が設けられた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社の成長をより加速するため、また当社グループの既存並びに新規の事業を補完・強化するために、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っております。
当該行為に際しては、入念な調査、分析、検討を行っておりますが、買収、組織再編時点では想定できなかった収益性の低下等の不測の事態が生じる場合や、グループ会社間におけるシナジーが当初想定したほど発揮されない場合等には、のれんに係る減損損失の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対するリスク管理体制を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通り整備し、リスクマネジメント活動を行っているほか、リスク発生の可能性を認識した時点で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
(注) 2024年5月10日付でJFEスチール㈱が保有する当社株式6,757,459株及びJFEスチール㈱の完全子会社であるJFEコムサービス㈱が保有する当社株式2,541株について、みずほリース㈱への譲渡が実行されました。これにより、当社はJFEホールディングス㈱及びJFEスチール㈱並びにみずほリース㈱それぞれの持分法適用関連会社となりました。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)当期の財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産については、棚卸資産が2,411百万円増加、投資有価証券が1,941百万円増加したことに対し、売上債権が3,960百万円減少したことに加え、預け金を3,500百万円取り崩したこと等により前連結会計年度末に比べ1,936百万円(1.8%)減少し、107,044百万円となりました。負債は、仕入債務が6,807百万円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ5,750百万円(11.5%)減少し、44,126百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益4,414百万円を計上したことと、剰余金の配当1,250百万円(1株あたり前期末配当20円、中間配当17円)の支払いを実施したこと等により前連結会計年度末に比べ3,814百万円(6.5%)増加し、62,918百万円となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
重仮設事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、棚卸資産が2,346百万円増加、投資有価証券が4,507百万円増加したことに対し、売上債権が4,122百万円減少したことに加え、預け金を3,500百万円取り崩したこと等により前連結会計年度末に比べ377百万円(0.4%)減少し、98,732百万円となりました。建設機械事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、預け金が133百万円増加、売上債権が103百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ352百万円(3.0%)増加し、11,938百万円となりました。
当連結会計年度(2023年度)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み緩やかな回復基調が続いたものの、諸物価の高止まり、担い手不足、及び中国経済減速の影響等、先行きへの懸念材料は払拭されていないものと見ております。
当社グループの属する建設業界におきましては、需要は公共投資や都市部での大型再開発案件を中心に堅調でしたが、資材、物流等のコスト高が続き、採算面では厳しい状況が続きました。
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、堅調な需要を背景に物件の着工が順調に進み、工事、加工を中心に売上高、利益とも増加しました。一方、諸物価高騰によるコスト上昇分の価格転嫁に対しては、経営の重点課題として取り組んでいるものの未だ途上と認識しております。
当連結会計年度の業績は、売上高128,194百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益6,244百万円(前年同期比38.7%増)、経常利益6,602百万円(前年同期比34.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,414百万円(前年同期比28.8%増)となりました。なお、特別損失として本社移転費用等195百万円を計上しております。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
重仮設事業におきましては、堅調な需要を背景に物件の着工が順調に進み、工事、加工を中心に売上高、利益とも増加しました。諸物価高騰によるコストアップ分の価格転嫁には重点課題として取り組んでおりますが、未だ途上と認識しており、引き続き強化してまいります。また、周辺分野においても、仮設橋梁の自社品化(EGスパン®)による拡販、インフラメンテナンス事業におけるH形鋼橋梁GHB®の初架設実施、シンガポールの重仮設会社FUCHI Pte. Ltd.の持分法適用関連会社化等、今後の成長に向けた取組を進めました。
以上の施策等により、売上高115,891百万円(前年同期比6.6%増)、経常利益6,340百万円(前年同期比30.9%増)となりました。
建設機械事業におきましては、旧子会社5社の統合に伴う保有資産の見直しが進んで資産売却が増加したこと、新商品の品揃えを強化し拡販に注力したこと等により、売上高は14,747百万円(前年同期比3.5%増)となり、経常利益はこれに加えて、前年同期にあった退職給付会計の適用基準変更影響がなくなったこともあり、422百万円(前年同期比105.4%増)となりました。
重仮設事業における工場の主たる業務である、建設仮設材の復元修理作業並びに鋼製山留材等の建設仮設材及び各種製品の製作加工について記載しております。
なお、建設機械事業は、生産に該当する事項はありません。
当連結会計年度の製作加工及び修理実績を販売価格により示せば次のとおりであります。
当社グループが取り扱う主要な商製品等については、出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注高の集計を行っておりません。
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 調整額は、セグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であります。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、前連結会計年度の清水建設㈱に対する売上実績は、総売上実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度と比べ3,632百万円(76.2%)減少し、1,135百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、税金等調整前当期純利益が6,407百万円、減価償却費が3,279百万円となったことに加え、売上債権の減少による収入が3,959百万円となった一方で、仕入債務の減少による支出が6,883百万円、棚卸資産増加による支出が2,437百万円及び法人税等の支払額が1,738百万円となったこと等により、2,062百万円の収入(前年同期2,952百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、投資有価証券の取得による支出が1,645百万円、賃貸用建設機械の取得による支出が1,608百万円及び工場の機械装置等の取得による支出が1,472百万円となったこと等により、4,799百万円の支出(前年同期4,750百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、短期借入金の増加による収入が800百万円、長期借入金の返済による支出が533百万円並びに前期末及び当期中間配当金の支払額が1,250百万円となったこと等により、894百万円の支出(前年同期3,728百万円の支出)となりました。
当社グループの主要な資金需要は、建設仮設材及び賃貸用建設機械の仕入費用、仮設工事の外注費、各種製品の製作加工費等営業活動に伴う支出並びに設備投資に伴う支出であります。また、2021年4月に策定した中期経営計画に基づき、事業領域の拡大及び先端技術の導入等に対する投資を推進しています。
必要資金の大半は営業収入により確保し、事業拡大のために増額する投資資金及び一時的に不足する運転資金については金融機関からの借入等により調達しています。また、当社及び連結子会社において資金の融通を行い、効率的な資金活用を進めるとともに、資金回収にも十分に留意しています。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。
当社は、2023年4月26日開催の取締役会において、FUCHI Pte. Ltd.の発行済株式の30%を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。また、2023年6月1日に同社の株式を取得し、同社を持分法適用関連会社化いたしました。
顧客ニーズに対応したソリューション開発を推進し、『ジェコスグループ10年VISION』の達成に向けた業界トップレベルの技術基盤の確立を目指し、積極的に研究開発を行っております。研究開発の基本方針は以下に掲げるとおりであります。
1.重仮設技術の更なる進化
大規模化、高度化、複雑化する重仮設計画に適合するため、業界トップレベルの商品ラインナップを整えるとともに、様々な環境に適応可能な施工技術開発を進め、地下工事一式受注に向けた体制を強化します。
また、リユース商品の拡充等により、資源循環型経済の実現への貢献を目指します。
2.持続可能な事業体制への変革
人口減少社会に適合するため、製品の製造プロセスを中心とした機械化・自動化、ICT活用を進め、サステナブルな事業推進体制を強化します。
3.新たな挑戦
本格的なインフラ更新時代に適合するため、従来の重仮設の枠組みを超えた技術開発を進め、インフラメンテナンスサービスに向けた体制を強化します。
上記方針の下、当連結会計年度において取り組んだ技術開発テーマは5件であり、研究開発費の総額は
なお、当連結会計年度における研究開発活動の主な取組及び成果は以下のとおりであります。
●本設H形橋梁「GHB」のラインアップを強化、中小規模橋梁の架け替えニーズに対応
・主桁及び横桁に大型圧延H形鋼を採用したシンプルな構造
・軽量化による、既設下部工への負担軽減、耐震性能向上
・設計標準化による、迅速な設計への対応、工期・費用の縮減
・桁端部を切欠き、低桁高化を図った新製品を新たに導入
●回転杭を用いた仮桟橋構造の適用範囲を拡大
・回転翼の抵抗により中間層で所定の支持力を確保する事で杭を短尺化
・杭の短尺化により工期が短縮、鋼材と燃料の使用量を大幅に削減
・回転圧入工法のため根固め液が不要(セメント不使用)
・回転杭工法の適用範囲を拡大(適用地盤・杭径の拡大)