第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

新型コロナウイルス感染症や米中対立の長期化・複雑化は、当社グループを取り巻く事業環境にも大きな影響を及ぼしております。当社グループはこれらの未曾有の災禍と国際秩序の構造変化を乗り越え、さらにパンデミック収束後の新しい環境にも適応するべく、2021年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画「Change & Co-Create 2024」を策定し、2021年4月30日に以下のとおり公表しております。

 

(事業環境)

当社グループが主力事業を展開しているエレクトロニクス業界は、自動車技術の高度化や通信機器の高機能化、AIやIoTの進展などにより、今後も成長が見込まれておりますが、市場の変化スピードはますます速くなっていくものと思われます。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式や社会経済活動の変容は新たな需要を生み出す一方で、サプライチェーンやバリューチェーンの変化をもたらすものと考えられます。

このような状況において、エレクトロニクス商社とケミカルメーカーを併せ持つ当社グループに求められる役割も大きく変化しつつあります。エレクトロニクス業界では仕入先・販売先の再編による大規模化や応用技術の進化などにより、また、工業薬品業界では販売先の統合やSDGsに代表される環境意識への高まりなどにより、市場ニーズが大きく変化しており、これまでの役割・機能の提供のみでは、当社グループの存在意義や顧客価値の相対的地位は後退し、電子部品事業においては収益性の低下、電子・電気機器事業と工業薬品事業においては成長性の鈍化が大きな課題となっております。

 

(基本方針)

以上の認識のもと、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、環境の変化に即して事業構造を変革し、顧客企業と共に新しい価値を創造できる特色ある技術商社とケミカルメーカーを目指す必要があるとの考えにより、以下の3つの施策を基本的な柱とする中期経営計画を策定いたしました。

 

● 第1の施策・・・本中期経営計画に基づく収益力の向上によるオーガニックな成長

● 第2の施策・・・投資効率の高い戦略的投資の実行によるノンオーガニックな成長

● 第3の施策・・・株主還元等、財務的な施策による資本効率の向上

 

(全社戦略)

第1の施策と第2の施策については、全社的に以下の戦略を展開することにより持続的な成長を実現し、併せて事業ポートフォリオを転換することにより収益力と効率性の向上を図ります。

 

① 高収益事業への資源の投下

● 収益性の高い事業への資源の配分を高め、事業拡大を図る一方、収益性の低い事業については、効率化を徹底し収益性の向上を図る

 

② 部門を横断した情報・技術の連携による価値の創造

● 全部門横断の新規事業プロジェクトにより、将来、第5の収益の柱となる事業を創出する

● 部門間の連携を活性化することにより、共同ビジネスを促進し事業展開する

 

③ 業務改革の実現を加速させるDX戦略

● フロントエンドのDXにより、マーケティングの強化や情報の共有化を図り、お客様に対する付加価値の提供力やビジネスの提案力を強化する

● バックエンドのDXに取り組み、全社を通じて業務プロセスを改善することにより業務の効率化を徹底する

 

④ 外部資源との連携(オープンイノベーション)

● 従来の自前主義から脱却し、外部との連携を深め、新たな技術の創造を促進する

● 外部資源を活かし技術商社の強みである技術を強化することにより、他社にはないソリューション提供を実現する

 

 

⑤ 外部との協業及びM&A

● 今後成長が期待できる分野においては、外部との協業やM&Aを積極的に展開し、オーガニックな成長を上回る拡大を目指す

 

(セグメント別事業戦略及び海外事業戦略)

各事業セグメント及び海外事業において、下記の戦略に基づき施策を展開してまいります。なお、電子部品事業については、取扱製品群により半導体デバイスと電子コンポーネントに区分しております。

 

① 電子部品事業(半導体デバイス)

● 業務の効率化と収益性の高いビジネスへの販売強化により収益性を改善する

● 技術力、提案力を高め、ソリューションビジネスへの進化を図る

 

② 電子部品事業(電子コンポーネント)

● 人員の投入によりマーケティング機能を強化し、新規事業の展開と新規販売先の拡大を図る

● 営業体制の見直しにより海外販売を強化し、事業エリアの拡大を目指す

 

③ 電子・電気機器事業

● 新商品や自社製品の販売比率を高め、独自の技術、装置、販路を強化する

● 自社製品の付加価値を高めるため、材料や川上製品の取り扱いを拡大する

● 医療、環境、エネルギーなど新たな領域への参入を図る

 

④ 工業薬品事業

● 外部との協業により技術の強化を図り、新たな用途による新規ビジネスを創出する

● 堅調な拡大を続ける化粧品原料ビジネスの強化を図る

 

⑤ 海外事業

● 海外拠点における業務プロセスを見直し、業務効率化を実現する

● 中華圏及びASEAN地域にエリア統括者を配置し、エリアに応じた戦略を展開する

 

(定量目標)

当計画の最終年度となる2024年度(2025年3月期)における経営目標は以下の通りですが、2025年度以降も安定的に営業利益50億円以上を計上できる企業体質を確立してまいります。

 

連結営業利益

連結営業利益率

ROE

50億円以上

3.0%以上

6.0%以上

 

(株主還元方針)

当社グループでは、資本効率の改善を経営上及び財務上の重要課題と位置づけ、第3の施策として、本計画期間中は配当と自己株式の取得により、「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することを基本方針といたします。

● 配当は引き続き安定配当を実施する

● 成長投資や高い投資効率が期待できる投資案件等(M&A等戦略的投資、事業効率化投資)があれば、これを優先する

 

本計画の着実な遂行により、収益性と資本効率の改善を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる企業へと変革してまいります。

 

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループでは、各事業における存在意義や付加価値の低下、あるいは成長性の鈍化を優先的に対処すべき事業上の課題と認識しております。パンデミック収束後の新しい環境においても持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、当社グループの中長期ビジョン=「専門商社、スペシャリティケミカルメーカーならではのニッチな情報(製品・技術)の提供を通じて、国際貿易と国内産業の発展に貢献する企業集団」の実現に向けて、中期経営計画「Change & Co-Create 2024」の諸施策を着実に実行することにより、各事業セグメントの事業価値を高めることが必須と考えております。

各事業セグメントにおける優先的に対処すべき事業上の課題、並びに財務上の課題は以下のとおりであります。

 

(電子部品事業)

電子部品事業は、当社グループにおいて最大の売上規模があり、また、過去5期においても順調に売上高を拡大しておりますが、セグメント利益は必ずしも売上高の増加に伴わず、利益率については低減傾向となっております。これは、同事業の売上高の約7割を占める半導体デバイス部門が近年車載分野や5G通信分野などにおいて積極的に商権を拡大してきたものの、仕入先・得意先の再編による大規模化により、その間に挟まれる商社の交渉力や役割が低下しているという外的要因に加えて、得意先のニーズを踏まえた提案営業や組織的な対応の遅れ、技術で対価を得る仕組みの不足、低採算商権の移管受入なども収益悪化の要因になっていたものと認識しております。

したがって、同事業における対処の方向性は、従来の単品販売ビジネスから「情報力×技術力×提案力」で対価を得るソリューションビジネスへの進化を志向することにより、存在価値を高めて利益創出を目指すこと、また、組織については、従来の仕入先別縦割り組織から特定顧客向けの横串の販売体制を整備して効率的な営業体制へ再編するとともに、労働生産性改善のためにDX・デジタル化による業務効率化とコスト削減を着実に推進し、収益改善を図ることと考えております。

 

(電子・電気機器事業)

電子・電気機器事業は、当社グループにおいては電子部品事業と同水準のセグメント利益を生み出している比較的高収益な事業と位置付けておりますが、過去5期の売上高はほぼ横ばいで推移しております。これは、同事業が取り扱う商品群が最先端のエレクトロニクス技術に基づくため、技術革新による商品の競争力の低下や陳腐化の影響を受けやすいという外的要因に加えて、安定した既存仕入先に依存する中での新規開拓(事業・商材)の仕組み不足、自前主義での成長を探索する中での自社製品確保や海外代理店開拓の遅れなども成長性鈍化の要因になっていたものと認識しております。

したがって、同事業における対処の方向性は、短期的には新規開拓の仕組みを組織化することにより、既存の事業領域以外の育成を図り、長期的には共同開発やM&Aを通じて、独自の商材を積極的に獲得するとともに、医療・環境・エネルギー分野などの事業領域にも進出し、他社と差別化されたバリューチェーン及びポートフォリオの拡大を目指すことと考えております。

 

(工業薬品事業)

工業薬品事業は、当社グループにおいては高収益で特色あるメーカー部門と位置付けておりますが、他のセグメントと比較すると成長性、規模ともに劣後しております。これは、同事業の既存マーケットが主に国内の石油・石油化学産業、紙・パルプ産業であるという外的要因に加えて、メーカーの屋台骨である技術強化投資の不足、新製品開発に係る研究開発や海外展開における外部リソースの活用不足、注力市場を明確化するためのマーケティング機能や顧客の潜在ニーズ発掘の仕組み不足なども要因になっていたものと認識しております。

したがって、同事業における対処の方向性は、外部との共同研究による技術強化や製品開発力の向上により事業領域を拡大し、協業を通じた海外の販路・製造・サービス機能の強化により海外事業展開を進めるとともに、マーケティング部門を組成して短期間で参入市場を明確化し、顧客ニーズの充足を図ることと考えております。

 

〔参考〕:過去5期のセグメントごとの売上高、及びセグメント利益(金額単位:百万円)

決算期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

電子部品事業

売上高

セグメント利益

98,554

447

107,331

1,426

107,668

1,331

123,708

576

135,390

1,121

電子・電気

機器事業

売上高

セグメント利益

19,191

804

21,146

1,254

21,544

1,418

18,286

900

19,029

1,770

工業薬品事業

売上高

セグメント利益

9,828

867

10,244

904

10,886

932

11,160

838

10,962

890

 

(財務上の課題)

当社グループでは、近年の売上高利益率の低下に加えて、ROE(自己資本利益率)の低位固定化及び運転資本の増大に伴うバランスシートの肥大化なども優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。

そのため、2021年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、計画期間中は配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することにより、資本効率や資本コストを意識した経営を実践することを基本方針としております。また、事業面においては、事業セグメントごとに連結ベースのバランスシートを展開して運転資本とROIC(投下資本利益率)を算出し、各セグメントの特性に応じたベンチマークを設定することにより、売上高利益率や資産回転率などの財務指標の改善とフリーキャッシュ・フローの創出を図ることを対処の方向性としております。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済、市場動向に関するリスク

 当社グループの業績は、マクロ的経済動向に少なからず影響を受けますが、電子部品事業及び電子・電気機器事業においては、エレクトロニクス業界全体の市場動向に大きく影響を受けます。具体的には民生用、産業用エレクトロニクス製品の生産並びに需要状況、半導体の生産並びに出荷状況、半導体設備への投資及び設備の稼働状況等が挙げられます。特に、足下では新型コロナウイルス感染症の間接的な影響等により、民生用、産業用、車載用等の幅広い分野で半導体の不足感が強まっていることから、供給不足による長納期化や製品価格の上昇などへの懸念が広がっております。

 また、エレクトロニクス業界のグローバル化が進む中、海外子会社を有する当社グループは、国内のみならず、アジア、欧米を中心とした世界各国の経済、市場動向にも影響を受けます。近年では米中対立の長期化・複雑化に伴い、経済安全保障の観点より先端技術の輸出規制が強化されていることから、国外取引先とのサプライチェーンの見直しを余儀なくされる可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、顕在化した場合には、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)災害並びに感染症に関するリスク

 当社グループは、神奈川県伊勢原市に電子部品事業や電子・電気機器事業の物流・サービス拠点と三重県四日市市に工業薬品事業の生産・研究開発拠点を有するなど、国内外に複数の物流、生産拠点並びに施設があります。これらの施設が地震や火災等により被災し、あるいは施設内において感染症等が発生した場合には、一時的に商品及び製品の出荷が困難となる可能性があります。また、取引先企業において同様の災害や感染症が発生した場合には、サプライチェーンの確保が困難となる可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、顕在化した場合には、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術、開発動向に関するリスク

 当社グループが取り扱う電子部品、電子・電気機器及び工業薬品は、技術革新によって優位性を有する競合品の市場投入により陳腐化し、競争力が低下する場合があります。

 また、近年は中国をはじめとする新興諸国企業の台頭により、技術面や価格面で優位性を持つ商品が市場に多く投入されるようになっており、アジア地域を中心にローカルビジネスの強化を重要な成長戦略の1つとして位置付けている当社グループの阻害要因となる場合があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、顕在化した場合には、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争並びに競合に関するリスク

 当社グループが取り扱う電子部品、電子・電気機器及び工業薬品は、最終製品を製造販売する国内外の得意先が競争激化や国内市場の縮小等のさまざまな要因により、日頃より厳しい価格競争に置かれているため、常にコストダウンの要求を受けております。

 また、電子部品事業においては、半導体デバイス等電子部品のコモディティ化及び低付加価値化の進行に伴い、競合サプライヤーや競合代理店との差別化がより難しくなる中、競合企業間の価格競争がさらに激化することにより、利益面での影響を受け易くなっております。

 

 

(5)商権の喪失に関するリスク

 商社事業の電子部品事業及び電子・電気機器事業では、多くの商権(仕入先との代理店契約による製品販売権)が事業の根幹を形成しております。仕入先との代理店契約には、契約期間や契約解除要件が定められており、その解除権は当社グループと仕入先の双方が有しております。

 近年のエレクトロニクス業界においては、M&Aによる事業再編が活発化しており、エレクトロニクス関連製品を取り扱う販売代理店でも商流の見直しや統廃合の動きが見られます。当社グループは商権の維持や新規獲得に向けた努力をしておりますが、買収による仕入先企業の消滅、仕入先企業の販売子会社設立及び競合代理店への商流変更等により商権を喪失する場合があります。

 当連結会計年度においては、電子・電気機器事業における化合物半導体製造装置の販売代理店権解消により関連分野の営業収益が減少しました。また、重要な商権を喪失した場合には、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)運転資本に関するリスク

 輸入半導体等多くの外国製品を取り扱う当社グループは、国内企業との商取引習慣の違いによる支払条件のギャップを吸収してキャッシュ・フローの調整を図る金融機能を担っております。近年のエレクトロニクス業界においては、仕入先(半導体メーカー等)と得意先(電機メーカー等)の再編による大規模化、設備投資及び研究開発資金の増大等を背景に、売掛債権の回収と買掛債務の支払いとの間に一定期間の差が生じております。また、米中対立の長期化・複雑化、自然災害の増大及び感染症の拡大等を背景に、BCP(事業継続計画)の観点から当社グループが保有するたな卸資産は増加傾向にあります。

 その結果、当社グループのCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)が長期化することとなり、当社グループのキャッシュ・フローに影響を及ぼすとともに、運転資本の調達コスト上昇により業績にも影響を与える可能性があります。

 さらに、たな卸資産については、市場動向や販売状況により滞留するリスクがあります。当社グループでは、顧客企業の生産計画を基に、仕入先企業の生産のリードタイムとの平衡を図ることで、余剰在庫が生じないように努めておりますが、一定の在庫期間を経過し、かつ、受注のない滞留在庫については、収益性がないものとして帳簿価額を切り下げることにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

〔参考〕:過去5期のCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル/連結ベース)

決算期

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

たな卸資産平均回転期間(月)

1.8

2.0

2.4

2.7

2.8

売掛債権平均回収期間(月)

3.1

3.0

3.1

3.1

3.1

支払債務平均支払期間(月)

1.7

1.7

1.7

1.5

1.6

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(月)

3.3

3.3

3.7

4.3

4.4

※ たな卸資産平均回転期間=((前期末たな卸資産+当期末たな卸資産)÷2)÷(当期売上原価÷12)

※ 売掛債権平均回収期間=((前期末売掛債権+当期末売掛債権)÷2)÷(当期売上高÷12)

※ 支払債務平均支払期間=((前期末支払債務+当期末支払債務)÷2)÷(当期仕入高÷12)

※ キャッシュ・コンバージョン・サイクル=たな卸資産平均回転期間+売掛債権平均回収期間-支払債務平均支払期間

※ たな卸資産=商品及び製品+仕掛品+原材料及び貯蔵品

※ 売掛債権=売掛金+受取手形+電子記録債権

※ 支払債務=買掛金+支払手形+電子記録債務

※ 仕入高=当期商品仕入高+当期原材料仕入高

 

 

(7)為替動向に関するリスク

 当社グループの事業はアジア地域を中心に各国にまたがり展開しており、取引通貨についても各国の現地通貨に加えて日本円、米国ドル、ユーロなど多岐にわたるため、為替変動によるリスクが存在しております。当社グループでは、為替相場の変動リスクを回避することを目的として、「市場リスク管理規程」及び「外国為替予約締結マニュアル」に従い、為替予約等によるリスクヘッジ策を実施しております。

 為替変動は当社グループの事業に対して多面的な影響を及ぼすため、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、短期間のうちに急激な為替変動が発生した場合には、当社グループの業績やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

〔参考〕:過去5期の伯東単独業績における調達地域別仕入高(原材料費及び外注費を含む)

決算期

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

合  計 (百万円)

78,577

99,092

103,286

127,011

120,754

 

国内調達(百万円)

44,767

54,897

56,612

58,633

51,482

海外調達(百万円)

33,809

44,194

44,674

68,378

69,272

 

(8)金利動向に関するリスク

 当社グループは運転資金、及び設備投資資金の一部を金融機関より調達しております。現在の経済環境下では、市場金利が急激に上昇する可能性は低いと見られておりますが、当社グループの業績悪化など個別の理由により、金融機関からの調達金利が上昇した場合には、業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは金利リスクを回避する目的で金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。また、ヘッジ会計の要件を満たす取引についてはヘッジ会計を適用しております。

〔参考〕:過去5期の借入金残高及び平均金利(連結ベース)

決算期

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

(短期借入金)

 

 

 

 

 

前期末残高(百万円)

1,003

1,149

5,463

7,100

17,900

当期末残高(百万円)

1,149

5,463

7,100

17,900

12,400

平均利率

0.9

0.8%

0.3%

0.3%

0.3%

(1年内返済長期借入金)

 

 

 

 

 

前期末残高(百万円)

1,296

1,093

968

633

3,019

当期末残高(百万円)

1,093

968

633

3,019

3,880

平均利率

0.7%

0.7%

0.7%

0.4%

0.5%

(長期借入金)

 

 

 

 

 

前期末残高(百万円)

2,498

1,404

1,246

589

12,320

当期末残高(百万円)

1,404

1,246

589

12,320

12,765

平均利率

0.8%

0.6%

0.5%

0.4%

0.5%

 

(9)製造物責任(PL)並びに得意先等からの求償に関するリスク

 商社事業の電子部品事業及び電子・電気機器事業では、納期遅延や品質不良等の理由により得意先から求償を受けた場合には、得意先との協議により求償金額を軽減した上で仕入先より補填を受けるよう努めておりますが、常に当社グループの負担額がゼロになるとは限りません。

 また、製造販売業の工業薬品事業では、納期遅延や品質不良に加えて、当社製品の得意先の設備や周辺環境へ及ぼす影響等の理由により、得意先から求償を受けることがあります。当社グループでは、品質不良等の製造物の欠陥による損害が発生するリスクに備えて製造物責任(PL)保険及び専門事業者賠償責任(E&O)保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てを補填できるとは限りません。

 前連結会計年度並びに当連結会計年度において重要な求償及び賠償の支払いはありませんが、当該リスクが顕在化した場合には、民事賠償責任に加えて、許認可や資格の剥奪、レピュテーションの低下等の間接的損害により、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報資産を保護するため「情報セキュリティ方針書」並びに「情報セキュリティ対策標準書」を策定した上で、「情報セキュリティ委員会」を設置して、情報セキュリティ対策を強化しております。具体的には、会社支給のPC・情報端末への盗難・紛失対策、機密情報の不正持ち出しに対する対策、サイバー攻撃に対する対策等となります。また、近年はサイバー攻撃による情報資産の社外流出リスクが高まっていることから、当社グループが利用する情報システム及びネットワークインフラについては、外部専門機関によるサイバーセキュリティ診断を実施し、脆弱性の検出とリスクの解消に努めております。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、事故または故意により当社グループの情報資産が流出した場合には、刑事責任や民事賠償責任に加えて、復旧費用の発生やレピュテーションの低下等の間接的損害により、当社グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.  財政状態

 当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末と比較して34億92百万円(3.6%)増加し、1,006億38百万円となりました。これは主に現金及び預金が31億30百万円増加したこと、及び半導体需要の急激な増加による電子部品の販売伸長に伴い、受取手形及び売掛金が24億54百万円増加した一方で、商品及び製品が45億11百万円減少したためであります。

 固定資産につきましては、前連結会計年度末と比較して7億94百万円(5.3%)増加し、157億83百万円となりました。これは主に有形固定資産が4億91百万円減少した一方で、保有株式の株価の上昇により投資有価証券が12億20百万円増加したためであります。

 以上のことから、当連結会計年度末における資産の部全体としては、前連結会計年度末と比較して42億86百万円(3.8%)増加し、1,164億22百万円となりました。

 負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末と比較して1億90百万円(0.4%)減少し、438億94百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が8億94百万円、未払法人税等が7億36百万円、賞与引当金が4億13百万円増加した一方で、運転資本の圧縮により短期借入金が46億39百万円減少したためであります。

 固定負債は前連結会計年度末と比較して4億70百万円(3.3%)増加し、145億9百万円となりました。これは主に長期借入金が4億45百万円増加したためであります。

 以上のことから、当連結会計年度末における負債の部全体としては、前連結会計年度末と比較して2億79百万円(0.5%)増加し、584億3百万円となりました。

 純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して40億6百万円(7.4%)増加し、580億18百万円となりました。これは主に利益剰余金が21億38百万円、その他有価証券評価差額金が8億93百万円、為替換算調整勘定が7億24百万円増加したためであります。

 

b.  経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により各国において社会経済活動が抑制されるなど、大変厳しい状況にありました。景気は、年度後半より米国や中国などの地域では持ち直しておりますが、欧州地域においては、変異ウイルスによる感染の再拡大の影響により、経済活動の抑制を再び余儀なくされました。

我が国経済については、新型コロナウイルス感染症の影響により企業収益に厳しさが続く中、年度後半からの輸出や生産活動の回復により持ち直しの動きが見られましたが、繰り返される感染拡大の波により景気の先行きに対する不透明感が強まりました。

当社グループが主力事業を展開するエレクトロニクス業界においては、テレワークや巣ごもり消費の拡大によるPC、サーバー、ゲーム機などの需要増加、さらに高速通信規格「5G」の商用化により、主に半導体などの電子部品の需要が拡大する一方で、米国における記録的な寒波による大規模停電や日本国内における半導体メーカーの火災の影響などにより需給が逼迫し、世界中で半導体不足が深刻化しました。

このような状況のもと、当社グループでは従業員の雇用維持とサプライチェーンの確保を最優先とするとともに、手元流動性の確保や収益性及び資本効率の改善等の課題に取り組んでまいりました。

電子部品事業においては、PC・タブレット端末向けICや5G関連の光部品の販売が伸長し、車載用途ICも前年度後半から取引を開始した新規商流の通年寄与などにより販売が増加し、対前年同期比で増収となりました。

電子・電気機器事業においては、化合物半導体製造装置は販売代理店権解消の影響により減少しましたが、半導体関連の設備投資の活発化により真空機器やプリント基板製造装置が好調に推移し、対前年同期比で増収となりました。

工業薬品事業においては、化粧品基剤の販売が伸長し、水処理薬品等も堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により石油・石油化学分野と紙・パルプ分野向け製品、及び商品の販売が減少し、対前年同期比で減収となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の連結売上高1,654億13百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

 損益面につきましては、連結売上総利益186億61百万円(同6.8%増)となり、連結販売費及び一般管理費として148億55百万円(同1.3%減)を計上した結果連結営業利益は38億6百万円(同57.6%増)、連結経常利益は36億3百万円(同68.4%増)、特別利益として投資有価証券売却益8億3百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益30億64百万円(同112.9%増)となりました。

 また、1株当たり当期純利益は148円91銭となり、前連結会計年度より78円87銭増加いたしました。

 収益性及び資本効率に係る各指標につきましては、当連結会計年度における売上高営業利益率は2.3%(前連結会計年度は1.6%)、総資産経常利益率は3.2%(同2.1%)、自己資本当期純利益率は5.5%(同2.7%)となりました。

報告セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。

 

 〔電子部品事業〕

電子部品事業では、テレワークや巣ごもり消費の拡大によりPC・タブレット端末向けICやコネクタ等一般電子部品が伸長し、5G関連の光部品の販売も堅調に推移しました。また、車載用途ICについても、前年度後半から取引を開始した新規商流の通年寄与などにより販売が増加しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は1,353億90百万円(前年同期比9.4%増)となり、海外子会社の収益性の改善や出張旅費等の経費減少によりセグメント利益は11億21百万円(同94.4%増)となりました。

 

 〔電子・電気機器事業〕

電子・電気機器事業では、化合物半導体製造装置は販売代理店権解消の影響により減少しましたが、半導体関連の設備投資の活発化により真空機器やプリント基板製造装置が好調に推移し、5G関連や海底ケーブル等の通信インフラ向け光製品も伸長しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は190億29百万円(前年同期比4.1%増)となり、前述の商品群の販売等による収益性の改善により、セグメント利益は17億70百万円(同96.7%増)となりました。

 

 〔工業薬品事業〕

工業薬品事業では、化粧品基剤の販売が伸長し、水処理薬品等も堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、石油・石油化学産業における燃料油や紙・パルプ産業における印刷・情報用紙などの需要が減少し、これらの生産に関連する製品及び商品の販売が減少しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は109億62百万円(前年同期比1.8%減)となりましたが、収益性の高い化粧品基剤の販売伸長と出張旅費等の経費減少により、セグメント利益は8億90百万円(同6.3%増)となりました。

 

 〔その他の事業〕

当社の業務・物流管理全般の受託と保険会社の代理店を主たる業務としております。当連結会計年度の売上高は7億53百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益は19百万円(同6.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは74億18百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは6億1百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは52億80百万円の支出、現金及び現金同等物に係る換算差額が3億90百万円の増加となったため、現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比較して31億30百万円増加し、当連結会計年度末は178億67百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 エレクトロニクス関連の商社事業を展開する当社グループでは、市況や事業動向により売上債権やたな卸資産等の運転資本が増減し、営業キャッシュ・フローが変動いたします。当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益43億98百万円、半導体需要の急激な増加による電子部品の販売伸長に伴うたな卸資産の減少額44億31百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは74億18百万円の収入となりました。なお、前連結会計年度には車載用途ICの新規商流の開始に伴うたな卸資産の増加額111億36百万円等により162億88百万円の支出となっておりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動として、主に新規事業に係る投資や工業薬品事業における製造及び研究設備の更新等の資本的支出を行っております。当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出1億73百万円等がありましたが、政策保有株式の縮減方針に基づく投資有価証券の売却による収入8億51百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは6億1百万円の収入となりました。なお、前連結会計年度には有形固定資産の取得による支出3億90百万円等により、16百万円の支出となっておりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 運転資本の増減による営業キャッシュ・フローの変動に対して、主に有利子負債による調整を行っております。当連結会計年度においては、長期借入による収入50億円等がありましたが、短期借入金の返済による支出(純)55億円、長期借入金の返済による支出36億94百万円、配当金の支払額9億25百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは52億80百万円の支出となりました。なお、前連結会計年度には短期借入による収入(純)108億円、長期借入による収入155億円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは235億47百万円の収入となっておりました。

 

 

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

自己資本比率

67.4%

63.2%

62.2%

48.2%

49.8%

時価ベースの自己資本比率

28.8%

38.4%

27.5%

17.7%

22.6%

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率

143.6%

395.7%

インタレスト・カバレッジ・レシオ

60.5倍

46.4倍

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。

         5.2018年、2019年、2020年のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載を省略しております。

 

 

③新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響

 当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響については、本章「①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績」に記載のとおりであります。

 また、今後の見通しにつきましても、これまでの状況から当社グループへの直接的な影響は軽微とみておりますが、ワクチン接種等の対策が進んでいる国や地域においては新規感染者数が減少している一方で、変異ウイルスにより感染が再拡大している国や地域もあることから、新型コロナウイルス感染症が収束するまでは引き続き状況を注視しながら対応する必要があると考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の間接的な影響により世界中で半導体不足が深刻化しております。当社グループでは、顧客企業の生産計画を基に、仕入先企業の生産のリードタイムを勘案して適切に発注しておりますが、原材料価格の高騰による値上げ、需給の逼迫によるリードタイムの長期化及び顧客企業の生産計画の変更等、市場動向の変化が翌連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

④生産、受注及び販売の実績

a.  生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(2020年4月1日から

2021年3月31日まで)

前年同期比(%)

電子部品事業     (百万円)

1,120

109.3

工業薬品事業     (百万円)

6,837

105.9

  合計     (百万円)

7,958

106.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.  商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(2020年4月1日から

2021年3月31日まで)

前年同期比(%)

電子部品事業     (百万円)

120,387

95.7

電子・電気機器事業  (百万円)

12,388

106.7

工業薬品事業     (百万円)

7,228

93.7

  合計      (百万円)

140,004

96.5

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

        2.セグメント内の内部取引を相殺消去しております。

 

c.  受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

電子部品事業(百万円)

145,853

111.0

54,654

123.7

電子・電気機器事業(百万円)

21,291

119.0

8,228

137.9

工業薬品事業(百万円)

11,188

102.0

1,026

128.3

その他の事業(百万円)

753

104.6

   合計

179,086

111.2

63,909

125.4

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

        2.セグメント内の内部取引については、消去しておりますが、セグメント間の内部取引については消去しておりません。

 

 

d.  販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(2020年4月1日から

2021年3月31日まで)

前年同期比(%)

電子部品事業     (百万円)

135,390

109.4

電子・電気機器事業  (百万円)

19,029

104.1

工業薬品事業     (百万円)

10,962

98.2

その他の事業     (百万円)

753

104.6

  合計      (百万円)

166,135

108.0

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

        2.セグメント内の内部取引については、消去しておりますが、セグメント間の内部取引については消去しておりません。

       3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(2019年4月1日から

2020年3月31日まで)

当連結会計年度

(2020年4月1日から

2021年3月31日まで)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社デンソー

12,334

8.0

18,126

10.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また重要な会計上の見積りは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  経営成績等の状況

 当社グループでは、2016年度期初に策定した5ヶ年の中期経営計画『E & C+2020』の定量目標(2021年3月期:連結売上高1,800億円、連結営業利益70億円、ROE8%以上)の達成を目指し、売上高の成長性維持と収益の安定性確保の双方の実現に向けて、事業別販売戦略の強化、新規事業開発の加速化、海外事業の強化等の課題に取り組んでまいりました。

 これらの経営方針のもと、電子部品事業においては、車載分野などの成長市場に向けた商材の拡充を進めるとともに、電子・電気機器事業や工業薬品事業においては、高付加価値の自社ブランド商品や自社製品の拡販に注力してまいりました。また、海外事業については、アジアでは、それぞれの地域の成長分野に特化した商品戦略を展開し、欧米では、顧客のグローバル化に対応したサポート体制の整備を進めてまいりました。

 これらの取り組みにより、当連結会計年度の売上高は中期経営計画最終年度の目標値の1,800億円には未達となったものの、前連結会計年度と比較して122億31百万円(8.0%)増加し、1,654億13百万円と過去最高を計上しました。これは主に、電子部品事業において、テレワークや巣ごもり消費の拡大によりPC・タブレット端末向けICやコネクタ等一般電子部品が伸長したことに加え、前連結会計年度後半から取引を開始した車載用途ICの新規商流の通年寄与により、同セグメントの売上高が116億82百万円増加したためであります。

 

 売上総利益は、前連結会計年度と比較して11億96百万円(6.8%)増加し、186億61百万円となりました。これは主に、電子部品事業の売上高の増加に伴うものですが、電子・電気機器事業における真空機器やプリント基板製造装置、及び工業薬品事業における化粧品基剤等、収益性が高い商製品群の伸長も増加の一因となっております。また、売上総利益率は11.3%となり、前連結会計年度より0.1ポイント減少いたしました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して1億95百万円(1.3%)減少し、148億55百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う活動制限により旅費交通費が4億77百万円減少したことによります。

 営業利益は、前述の売上総利益の増加と販売費及び一般管理費の減少により、前連結会計年度と比較して13億92百万円(57.6%)増加し、38億6百万円となりましたが、中期経営計画最終年度の目標値の70億円には大幅な未達となりました。これは「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりですが、主に電子部品事業における収益性の悪化と電子・電子機器事業及び工業薬品事業における成長性の低下によるものと認識しております。

 営業外収益は、受取配当金92百万円を計上したことにより、前連結会計年度より47百万円減少して2億44百万円となり、営業外費用は、為替差損2億26百万円を計上したことにより、前連結会計年度より1億18百万円減少して4億47百万円となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度と比較して14億64百万円(68.4%)増加し、36億3百万円となりました。

 特別利益は、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益8億3百万円を計上したことにより8億3百万円となり、特別損失は、非上場株式の減損処理による投資有価証券評価損3百万円を計上したこと等により9百万円となりました。

 法人税等合計額は、法人税、住民税及び事業税15億40百万円を計上したこと等により、13億33百万円となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して16億25百万円(112.9%)増加し、30億64百万円となりました。

 

b.  資本の財源及び資金の流動性についての分析

 商社事業である電子部品事業と電子・電気機器事業で売上高の大半を占める当社グループのバランスシートは、主に現金及び預金、売上債権、並びにたな卸資産等の流動資産で構成されております。また、新規事業開発や商権獲得のための事業投資の他に、製造業の工業薬品事業では生産設備投資や研究開発投資等にも資金を投入しております。当社グループでは、これらの手元流動性、運転資本及び投資等に充当する資金は、主に内部留保と金融機関からの借入によって調達しております。

 当連結会計年度末におけるたな卸資産は前連結会計年度末と比較して42億31百万円(11.6%)減少し、321億79百万円となりました。これは半導体需要の急激な増加による電子部品の販売伸長に伴い、商品及び製品が45億11百万円減少したためであります。また、売上債権は前連結会計年度末と比較して19億53百万円(4.6%)増加し、439億78百万円となりましたが、これも主に電子部品の販売伸長に伴う増加であります。

 当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、前連結会計年度末と比較して43億26百万円(12.8%)減少し、293億60百万円となりました。これは主に、たな卸資産の減少に伴う運転資本の圧縮によるものです。また、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末と比較して31億30百万円(21.2%)増加し、178億67百万円となり、手元流動性比率は約1.3ヶ月となりました。これは新型コロナウイルス感染症への備えとして手元流動性の確保を図ったことによるものです。

 内部留保につきましては、M&A等戦略的投資や事業効率化投資などの中長期的な成長や高い投資効率が期待できる投資などに優先的に充当してまいりますが、2021年4月30日公表の新中期経営計画「Change & Co-Create 2024」においては、資本効率の改善を事業上及び財務上の重要課題と位置づけ、「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することを基本方針としております。

 配当につきましては、引き続き安定配当を基本方針とし、1株当たり年間60円の配当(連結配当性向40.3%)を実施しております。

 

c.  経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループにおける研究開発活動は工業薬品事業が行っております。当連結会計年度における活動状況は以下のとおりであります。

(1)方針および目的

 当社グループは、石油・石油化学工業、紙・パルプ工業、自動車工場などの各種産業プロセスにおける生産性向上と、省資源、省エネルギー、環境改善を目的とするスペシャリティーケミカルを提供しております。化粧品分野においては、オリジナル化粧品原料であるアルカシーランの販売、アルカシーランをベースにしたODMビジネス、及び自社ブランド化粧品「TAEKO」の開発販売を行っております。

 近年、国内の石油精製は業界再編や生産拠点の統廃合を背景に縮小傾向が続いており、自動車の低燃費化や電力の燃料転換などの構造的な変化を受けて国内需要は減少を続けております。紙・パルプ産業においても、板紙や家庭紙需要は堅調なものの、新聞や印刷情報用紙等の需要は減少を続けております。加えて、新型コロナウイルス感染拡大による移動制限やテレワークの普及の影響等により、さらに需要が縮小している分野もあります。

 このような環境下において、スペシャリティーケミカル分野では、顧客の効率化ニーズに応えるために省エネルギーに寄与する製品開発に注力するとともに、既存技術の他分野への応用展開を図るための研究開発を行っております。また、化粧品分野では、自社ブランド化粧品の「TAEKO」をライフスタイルブランドとするべく、発酵技術による「人と環境に優しい製品」の開発に取り組んでおります。

 

(2)主な研究・技術開発の内容

①工業用薬品開発

 石油精製分野においては、石油精製装置及び重質油処理装置用の汚れ防止剤の開発を進めております。両製品とも顧客における実機テストを行い、顧客満足度のさらなる向上を目指しております。また、紙・パルプ分野においては、前連結会計年度に開発したフェルト洗浄剤の実機テストで脱水性向上効果が認められ、複数の顧客に採用されております。

 引き続き、それぞれの分野において製品の改良に努めるとともに新規分野への適用拡大を図っております。

②化粧品関連

 化粧品分野においては、技術力と製品開発力を高めることにより、製品の品質改善と訴求力の向上に努めております。具体的には、サンスクリーン、リキッドファンデーション等の改善を通じて、抗皺・抗炎症・抗老化を実感できるスキンケア処方の開発や超音波診断用ゲルで確立した水分皮膚浸透向上技術の化粧品分野への転用研究などを行っております。

③新規分野開発

 新規分野として、主に建築材料の軽量化に繋がる嵩高剤の開発を進めております。当連結会計年度に開発した嵩高剤については、顧客の評価で良好な結果を得られたことから、今後は実機テストにより実用化を加速するとともに適用先を拡大するべく製品ラインナップの充実を図ります。また、化粧品原料のアルカシーランの開発で培った発酵技術を元に、ライフスタイル分野をターゲットとした新しいバイオポリマーの開発にも取り組んでおります。

 

(3)研究開発費

 当連結会計年度の研究開発費の総額は工業薬品事業において116百万円(消費税等は含まれておりません)であります。