第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社経営の基本方針

当社グループは、「顧客重視」の立場から、お客様のニーズに機敏に応え、お客様にとって、なくてはならない企業であり続けるため、様々な業界に向けて製商品を提供し、社会インフラの充実を通じた豊かな社会づくりに貢献できる「提案型企業」を目指すことを経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、資本効率を示す自己資本当期純利益率(ROE)を主要な経営指標とし、今後も拠点の新設等の設備投資やM&A等の戦略投資など、持続的成長と企業価値向上につながる投資による収益力向上に努めるとともに、資本効率向上に取り組むことにより、ROE10%以上とすることを目標としております。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

当社グループは、設立以来、経営環境の変化に対処し続けることを通じて、強みを培ってまいりました。引き続き、経営基盤を強化し成長戦略を推進することで、経営環境の変化に対処し収益性と資本効率を高め、持続的な成長と長期的な企業価値向上を目指すことを基本方針としております。なお、これまで培ってきた当社の強みと策定している成長戦略は以下のとおりであります。

 

①当社グループの強み

a.仕入の強み

(a)国内6ヶ所の工場生産品及びOEM生産品が30%を占めるなどメーカー機能を有しており、ユーザーニーズに応じた多様な製商品の提供が可能であること。

(b)多数の仕入先を有し、特定の仕入先に依存していないため、安定供給が可能であること。

b.売り方の強み

(a)全国の販売拠点で在庫を保有し、即納体制を整えるとともに、災害時に緊急を要する資材を即座に供給できること。

(b)専門性を備えた営業担当者が多数存在しており、強力な営業力を有すること。

c.シナジー(グループ総合力)の発揮

当社グループには様々な事業を行う会社が存在しており、グループ各社が協力することで、設計から工事までトータルサービスの提供が可能であること。

 

②成長戦略

a.オーガニック成長

これまで培ってきた強みを強化し、既存事業の収益性向上につなげるため、全セグメントにおいて、新規販売先の開拓、新商材の提供、拠点展開、工事・レンタルなど販売手段・サービスの多様化を行ってまいります。

b.周辺強化による成長

既存事業以外で今後成長が見込まれる分野での事業展開を進めるため、海外市場への展開、デジタル技術の活用といった取り組みを行ってまいります。

c.M&A戦略

オーガニック成長、周辺強化による成長を加速させるため、M&Aにも積極的に取り組んでまいります。

 

 

 

(4)経営環境

今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に景気は緩やかに回復していくことが期待されるものの、資材価格及びエネルギー価格の高止まりや米国の関税政策の影響などが懸念されます。

当社グループ関連業界におきましても、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資は大型物件を中心に持ち直しの動きが継続することが見込まれる一方で、労働規制強化や建設業界の人手不足などに起因する工期の長期化や各種コストの増加などが懸念されます。

 

(5)会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、長期的な企業価値向上を実現するため、次のような課題に取り組んでまいります。

 

①事業ポートフォリオ経営による成長性と収益性の向上

公共投資及び民間設備投資に係る売上が当社グループの相当部分を占めておりますが、経営環境の変化の速度が増す状況において、持続的な成長と長期的な企業価値向上を実現するためには、既存事業を強化するのみならず、今後成長が見込まれる分野への積極的な投資が不可欠と考えております。そのため、成長戦略を遂行することで、既存事業の強化と今後成長が見込まれる分野での事業展開を加速してまいります。

a.既存事業における受注の拡大

既存事業において、ユーザーニーズを的確にとらえた付加価値の高い製商品の開発・提供やデジタル技術の活用をさらに進めるとともに、社員を効率的に配置することにより、営業力を強化し、受注拡大を実現してまいります。

b.海外事業の強化

海外市場など今後成長が見込まれる分野では、取扱商材の拡充や新規販売先の開拓を含めた営業力の強化により、売上高比率を高めてまいります。

c.M&A戦略

当社グループは、企業の買収や資本・業務提携を、成長を加速させるための重要な戦略の一つと位置づけ、資本コストを意識しながら投資決定を行うことで、収益性と資本効率の向上を図ってまいります。

 

②製品技術力の強化

開発、製造、品質の各分野において、当社グループの技術を融合し、数々の経験と独創的なノウハウやデジタル技術を活かすことによって、多品種少量生産における製品の生産性向上に取り組んでまいります。

 

③人的資本への投資

持続的な成長と長期的な企業価値向上を実現するためには、人的資本の強化が必要であるとの認識のもと、通年採用・経験者採用の実施、研修等の教育制度体系の充実、職場環境改善等により、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び職場環境の整備に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは企業活動を行うにあたり、社会の持続可能性を考えた経営が、企業としての持続的な成長に繋がるという認識を持っております。

サステナビリティに関する取組みを推進する機関として、代表取締役社長の直轄組織であるSDGs推進室を設置しております。

また、当社グループが直面し得るサステナビリティに関連するリスク及び機会を踏まえて特定されたマテリアリティについては、SDGs推進室がとりまとめを行い、取締役会へ議案として毎年報告を行うことによって、取締役会が監視(内容を精査)する体制としております。

 

(2)戦略

当社グループは長期ビジョンを策定しており、経営環境の変化に伴い発生するリスク及び機会を踏まえて特定したマテリアリティに対処することで、想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図っております。そして、長期ビジョンの実現に向けた取組を進めることで、持続的な成長と長期的な企業価値向上を目指しております。

また、マテリアリティに継続的に対処するためには、経営基盤を強化し成長戦略を推進することで収益性と資本効率を高めることが必要であり、そのための主な施策を「成長戦略」及び「経営基盤の強化」の観点で取りまとめたものは次のとおりであります。なお、気候変動に係る事項については、各施策の一部分を構成しておりますが、現時点では相対的な重要性は低いと考えております。

 

① 成長戦略

・既存事業を強化するためのオーガニック成長(新規販売先の開拓、新商材の提供、拠点展開、工事・レンタルなど販売手段・サービスの多様化等)

・既存事業以外で今後成長が見込まれる分野での事業展開を進める周辺強化による成長(海外市場への展開、デジタル技術の活用等)

・オーガニック成長・周辺強化による成長を加速させるためのM&A

② 経営基盤の強化

・生産性を向上するためのデジタル技術の活用

・人的資本の強化

 

当社グループの持続的な成長と長期的な企業価値向上を実現するためには、企業理念である「私達は未来を築く人材を育て、創意工夫と開拓の精神をもって企業活動を行うことにより、豊かな社会づくりに貢献します。」を基軸として、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び職場環境の整備による人的資本の強化が必要であると考えております。

 

・人材の多様性の確保を含む人材の育成方針

人材の多様性の確保を含む人材の育成については、キャリアや性別、国籍にとらわれない多様な人材を確保、育成することが重要であると考え、各人の能力を最大限発揮し、やりがいをもって働くことのできるように、通年採用や経験者採用により多様な人材を採用するだけでなく、研修等の教育制度体系の充実を通して、社員ひとりひとりのキャリア・成長実感を後押しし、経営環境の変化に対応できる「未来を築く人材」を確保、育成してまいります。具体的な取り組みとして、当社において、等級ごとに求められる役割期待や必要なスキルの明確化及び実施される研修制度の体系化を実施し、その内容を「KONDOTEC CAREER GUIDEBOOK」という形で、従業員に周知することで、社員の自律的かつ持続的なキャリア形成を支援しております。

 

・職場環境の整備方針

職場環境の整備については、多様なバックグラウンドを持った社員の個性や価値観が尊重されることが重要であると考え、各人の状況に応じて多様な背景をもった社員ひとりひとりが健康かつ安全で心理的安全性の高い職場環境の中で、輝き続けることができるように、働く時間と場所の柔軟化等を含めて、「豊かな社会づくりに貢献」できる働きやすい職場環境を整備してまいります。

具体的な取り組みとして、育児や介護などのステージに応じて、必要なワークライフバランスを実現できるように、法定を上回る育児や介護に関する諸制度の拡充に取り組んでまいります。また、育児関連のサポート制度の一覧化を実施し、その内容を「育児サポートハンドブック」という形で、従業員に周知することで、安心してキャリアを継続できる環境を提供しております。

 

 

上記に記載した通り、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び職場環境の整備のためには、とりわけ組織の中で影響力を持つ管理職層における多様性の確保が重要であるとの認識のもと、多様性を意識した育成型組織とすることに取り組んでまいります。

 

 

(3)リスク管理

当社グループが直面し得るリスクについては、総務部が事務局を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会においてモニタリングを実施しており、当社代表取締役社長を含めた委員会参加メンバー及びグループ会社代表取締役へヒアリングを行い、毎期年1回洗い出し及び見直しを行っております。当該委員会にて洗い出しをしたリスクの重要性は、影響度や発生可能性等を指標として、リスク評価しております。

また、機会については、毎期中期経営計画策定時に当社の機会となる事象(外部環境)の調査を行っており、取締役会メンバーも参加する予算委員会(年4回実施)を経て、外部公表資料となる中期経営計画を取締役会決議(年1回実施)しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、マテリアリティに継続的に対処するための施策を推進するにはその原資となるキャッシュフロー創出力の向上が必要不可欠であると認識しております。そのためには、ユーザーニーズを的確に捉えるとともに、今後成長が見込まれる分野での事業展開を行う必要があり、これらの状況を評価するため、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

実績

(当連結会計年度)

目標

達成時期

売上高

79,175百万円

93,500百万円

2028年3月期

経常利益

4,679百万円

5,300百万円

2028年3月期

EBITDA

6,580百万円

7,400百万円

2028年3月期

新規開拓件数

2,872件

2,949件

2026年3月期

 

当社グループでは、上記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び職場環境の整備方針に基づき、特に経営の中核を担う管理職層においての多様性の確保が必要との認識のもと、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

実績

(当連結会計年度末現在)

目標

達成時期

経験者採用者管理職比率

55.7%

30%~50%の範囲を維持

2030年3月末

女性管理職比率

2.0%

5%以上

2030年3月末

女性役職者(管理職未満)比率

16.1%

15%以上

2030年3月末

外国人管理職人数

1

現状維持以上

2030年3月末

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

事業活動を進めていく上では、様々なリスクが存在しております。当社グループは、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、当社グループを取り巻くさまざまなリスク情報を収集・分析して具体的な予防策を策定することで、リスク管理やリスク対応力の向上に努めています。

 

(1) 日本国内における建設投資(公共投資・民間設備投資)への依存

当社グループの売上高の相当部分を占めている日本国内の建設投資は、大幅な成長が見込めない状況が継続しており、建設業界における景気の低迷及びこれに伴う需要の減少により、売上高や利益が減少する等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、新規販売先の開拓、新商材の提供、海外市場への展開、M&A等の成長戦略を推進し、今後成長が見込まれる分野での事業展開を進めております。

 

(2) 輸入商材への依存と為替変動

当社グループは、競争力のある商品の販売活動を目的として、中国等の海外から輸入商材の調達拡大を進めてまいりましたが、現状、調達元の約85%が中国となっております。そのため、米中貿易摩擦や中国の法規制の変化等により、調達元の事業の遂行が大きく左右され、商材の確保が困難になる可能性があります。また、仕入価格は為替相場の変動の影響を受けます。そのため、米中貿易摩擦の激化による商材の調達難や為替相場の大幅な変動により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、新規仕入先の開拓や為替予約の締結に取り組んでおります。

 

(3) 価格競争

当社グループが属している各製商品市場と地域市場では、大幅な成長が見込めない中で競合他社との競争が激化しておりますが、競合他社との価格競争の激化が続き、適正価格の維持が困難になった場合、売上高や利益が減少する等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、生産性向上による価格競争力の向上やユーザーニーズを的確にとらえた付加価値の高い製商品の開発・提供に取り組んでおります。

 

(4) 原材料等の市況変動の影響

当社グループの製商品の主要原材料である鋼材、銅、アルミは、世界的な需給動向によって市況が変動する傾向があります。そのため、市況が大幅に変動した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、販売価格への転嫁を速やかに実現できるように努めている他、複数の仕入先を持つとともに、生産技術に関するコストダウンを通じて収益性の向上に取り組んでおります。

 

 

 

(5) 災害等によるサプライチェーンへの影響

当社は主力製品の製造拠点として全国4ヶ所に工場を有しておりますが、災害、停電、感染症の蔓延等、操業を中断する事象が発生した場合、工場相互間での補完や協力工場への生産委託を行ったとしても生産能力が低下する可能性があります。また、当社グループは、国内外の多数の仕入先から商材を調達するほか、一部工程を外注しておりますが、災害、事故、感染症の蔓延等により、仕入先・外注先の操業停止や物流ルートの寸断・停滞等が発生する可能性があります。これらの影響により、製商品の供給やサービスの提供が長期間にわたって滞った場合、売上高や利益が減少する等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、以下の取組を行っております。

・全国4ヶ所に設置した当社工場全てにおいて主力製品を生産するとともに、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために生産設備の定期整備点検を行っております。

・全国の営業店で製商品を在庫するとともに、複数仕入先の確保に努めております。

 

(6) 情報セキュリティリスク

当社グループは、事業上必要となる個人情報や機密情報を保有しております。そのため、災害、停電、不正アクセスやコンピューターウィルスの感染等によるシステム障害や情報の漏洩、改ざん等により、当社グループの社会的信用の失墜、取引先に対する補償や事業活動の継続に影響が出るような事象等が発生した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、情報セキュリティ管理規程を策定し、データバックアップ体制の整備、不正アクセス等に対する防御システムの構築を中心に情報システムに対するセキュリティ対策を講じております。

 

(7) 感染症による事業活動への影響

当社グループは、全国に拠点を構え事業活動を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症等の治療法が確立されていない感染症が流行し、世界的なサプライチェーンの混乱、物件の進捗遅れや民間設備投資の抑制などの影響が長期化した場合や、従業員の感染や事業所でのクラスターの発生など事業活動の継続に影響が出るような事象が発生した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの発生に備えたマニュアルを策定し、必要とされる安全対策や事業継続のための対策を講じております。

 

(8) 取引先の信用リスク

当社グループは、小口分散販売を進めており、多数の得意先を有しております。為替相場の急変動、人件費の上昇、資材価格及びエネルギー価格の高止まり等の影響を受け景気の先行きが不透明な状況となっており、取引先の倒産等により貸倒損失が発生した場合、利益が減少する等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、取引先の信用度合いに応じて与信限度枠を設定し、不良債権の発生防止に努めております。

 

(9) 固定資産の減損リスク

当社グループは、持続的な成長と長期的な企業価値向上を実現するため、M&Aを随時実施しております。近年は複数のM&Aを実施していることに伴い、相応ののれん及び顧客関連資産等を計上しております。

当社グループは、企業の買収や資本・業務提携を持続的な成長と長期的な企業価値向上を実現するための重要な戦略の一つと位置づけており、今後もM&Aに積極的に取り組む方針としております。そのため、今後も、経営環境や事業の状況の著しい変化等により、当初期待したキャッシュ・フローが創出できないと判断される場合、のれん及び顧客関連資産等の固定資産の減損損失が発生する等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、M&Aの実施時には、対象企業の財務内容や事業計画等について十分な検討を行っております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末(60,975百万円)と比較して4,272百万円増加し、65,247百万円となりました。これは、売上債権の減少等があったものの、現金及び預金並びに棚卸資産の増加等を主因として、流動資産が1,974百万円増加したとともに、のれん等の償却による無形固定資産の減少等があったものの、有形固定資産及び退職給付に係る資産の増加等を主因として、固定資産が2,298百万円増加したことによります。

負債合計は、前連結会計年度末(25,054百万円)と比較して1,841百万円増加し、26,896百万円となりました。これは、大阪本社社屋の建替に関する債務の増加等を主因として流動負債が892百万円増加したとともに、長期借入金の増加等を主因として、固定負債が949百万円増加したことによります。

純資産合計は、前連結会計年度末(35,920百万円)と比較して2,430百万円増加し、38,350百万円となりました。これは、剰余金の配当1,098百万円の支払いによる減少等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,272百万円の計上による増加等があったことによります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末(55.6%)比、0.1ポイント改善し、55.7%となりました。

 

② 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や民間設備投資に持ち直しの動きがみられ、企業収益や雇用情勢にも改善がみられるなど、緩やかに回復してまいりました。しかしながら、資材価格及びエネルギー価格の高止まりや米国の関税政策など、景気や企業収益は依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループ関連業界におきましては、公共投資が底堅く推移していることに加え、民間設備投資に持ち直しの動きがみられるものの、住宅投資が横ばいとなるなど、分野によって濃淡がある状況となっております。

このような状況のもとで、当社グループは、新規販売先の開拓や休眠顧客の掘り起こし、新商材の拡販、拠点展開などの成長戦略に取り組んでまいりました。また、2024年10月には上田建設株式会社を子会社化するなど、当社グループの成長を加速させるM&Aも推進しております。

以上の結果、大型物件を中心に需要を取り組んだことにより、当連結会計年度の売上高は79,175百万円(前期比3.0%増)と増収になりました。

利益面につきましては、売上総利益率が横ばいとなったものの、人件費や運賃の増加に加え、上田建設株式会社の子会社化により販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益は4,465百万円(同4.4%減)、経常利益は4,679百万円(同4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,272百万円(同0.2%増)になりました。

 

 

 

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

<産業資材>

都市部の再開発工事などの大型物件や公共投資が堅調に推移した結果、当セグメントの売上高は37,328百万円(前期比0.4%増)となりました。利益面につきましては、売上総利益率は横ばいにとどまったものの、運賃や減価償却費を中心に販売費及び一般管理費が増加した結果、セグメント利益は2,454百万円(同8.5%減)となりました。

<鉄構資材>

大型物件が堅調に推移する一方で中小物件が停滞したことに伴い販売数量が伸び悩んだものの、需要が堅調な大型物件の比率の増加により販売価格が上昇したことに加え、当連結会計年度に開設した北海道営業所の売上高が寄与した結果、当セグメントの売上高は21,131百万円(前期比1.3%増)となりました。利益面につきましては、売上総利益率はやや改善したものの、人件費、運賃や減価償却費を中心とした販売費及び一般管理費の増加を増収効果で吸収しきれなかった結果、セグメント利益は1,394百万円(同8.7%減)となりました。

<電設資材>

太陽光発電設備関係や電線・配管類の大口物件、酷暑によるルームエアコン等の空調関係の増加に加え、仕入先メーカーの値上げ等による販売単価の上昇も重なり、照明、電線、空調売上が大幅に増加した結果、当セグメントの売上高は11,335百万円(前期比12.1%増)となりました。利益面につきましては、人件費や物流コストが増加したものの、増収効果や仕入価格上昇分の販売価格への転嫁、仕入価格引下げ交渉の徹底、利益率の高い工事需要の取り込み等、売上総利益率を意識した営業展開と全社的な経費削減に努めた結果、セグメント利益は413百万円(同28.4%増)となりました。

<足場工事>

足場機材価格の上昇に伴い物販売上が減少したものの、公共投資や民間建築投資が堅調に推移したことや当連結会計年度に子会社化した上田建設株式会社の売上高が寄与したことにより、大型物件向け工事売上が好調に推移した結果、当セグメントの売上高は9,380百万円(前期比7.7%増)となりました。利益面につきましては、売上総利益率が改善したことに加え、人件費の増加や上田建設株式会社の子会社化による販売費及び一般管理費の増加を増収効果で吸収した結果、セグメント利益は248百万円(同25.7%増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(11,836百万円)と比較して3,639百万円増加し、15,476百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、前年同期に獲得した資金(4,214百万円)と比較して1,625百万円増加し、5,840百万円の資金を獲得しました。

これは、棚卸資産の増加464百万円及び法人税等の支払い1,873百万円等により資金を使用した一方で、税金等調整前当期純利益の計上4,890百万円、減価償却費の計上1,310百万円及び売上債権の減少2,313百万円等により資金を獲得したことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、前年同期に使用した資金(2,054百万円)と比較して360百万円減少し、1,693百万円の資金を使用しました。

これは、投資有価証券の売却による収入273百万円等により資金を獲得した一方で、有形固定資産の取得1,588百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出314百万円等により資金を使用したことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、前年同期に使用した資金(1,083百万円)と比較して552百万円減少し、531百万円の資金を使用しました。

これは、長期借入による収入1,070百万円により資金を獲得した一方で、長期借入金の返済による支出321百万円及び配当金の支払い1,098百万円等により、資金を使用したことによります。

 

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

産業資材

5,615

89.8

鉄構資材

6,953

108.0

電設資材

足場工事

合計

12,569

99.1

(注)  金額は販売価格により表示しております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

産業資材

24,320

103.0

鉄構資材

11,497

102.8

電設資材

9,581

110.7

足場工事

6,811

107.5

合計

52,211

104.9

(注)  金額は仕入価格により表示しております。

 

c.受注実績

当社グループは主に見込み生産を行っておりますが、足場工事セグメントにおける請負工事については受注生産を行っておりますので、請負工事についてのみ記載しております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

産業資材

鉄構資材

電設資材

足場工事

8,199

115.6

合計

8,199

115.6

 

 

d.販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績」に記載しております。なお、総販売実績に対し、100分の10以上に該当する主要な販売先はありませんので記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成における、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等に重要な影響を与える要因については、第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスクに記載のとおりであります。

 

a.売上高、営業利益

電設資材及び足場工事は増収増益となりましたが、産業資材及び鉄構資材が増収減益となった結果、当連結会計年度の売上高は79,175百万円(前期比3.0%増)、営業利益は4,465百万円(同4.4%減)と増収減益になりました。

産業資材は、都市部の再開発工事などの大型物件や公共投資が堅調に推移する中、売上総利益率は横ばいにとどまったものの、運賃や減価償却費を中心に販売費及び一般管理費が増加したことにより増収減益となりました。

鉄構資材は、大型物件の比率が増加したことに加え、当連結会計年度に開設した北海道営業所の業績が寄与したものの、販売費及び一般管理費の増加を増収効果で吸収しきれず増収減益となりました。

電設資材は、大口物件の増加や販売単価の上昇も重なり、照明、電線、空調売上が大幅に増加したことに加え、売上総利益率を意識した営業展開と全社的な経費削減に努めたことにより増収増益となりました。

足場工事は、公共投資や民間建築投資が堅調に推移したことに加え、当連結会計年度に子会社化した上田建設株式会社の業績が寄与し、販売費及び一般管理費の増加を増収効果で吸収し増収増益となりました。

 

 

セグメント

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

産業資材

売上高

37,188百万円

37,328百万円

+0.4%

 

(構成比)

(48.4%)

(47.1%)

 

 

営業利益

2,681百万円

2,454百万円

△8.5%

 

(利益率)

(7.2%)

(6.6%)

 

鉄構資材

売上高

20,867百万円

21,131百万円

+1.3%

 

(構成比)

(27.1%)

(26.7%)

 

 

営業利益

1,526百万円

1,394百万円

△8.7%

 

(利益率)

(7.3%)

(6.6%)

 

電設資材

売上高

10,107百万円

11,335百万円

+12.1%

 

(構成比)

(13.2%)

(14.3%)

 

 

営業利益

322百万円

413百万円

+28.4%

 

(利益率)

(3.2%)

(3.7%)

 

足場工事

売上高

8,709百万円

9,380百万円

+7.7%

 

(構成比)

(11.3%)

(11.9%)

 

 

営業利益

197百万円

248百万円

+25.7%

 

(利益率)

(2.3%)

(2.6%)

 

 

 

 

b.経常利益

営業利益が減益となった結果、当連結会計年度の経常利益は4,679百万円(同4.0%減)と減益になりました。

 

c.親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益は減益となったものの、投資有価証券売却益192百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,272百万円(同0.2%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。

この方針に従い、主に自己資金を充当し、当社グループの当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より継続して、大阪本社社屋の建替、拠点展開の整備及び生産設備の更新等を中心とした有形固定資産の取得等に資金を使用しております。また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローでは、金融機関からの借入を継続して実施しつつ、連結純資産配当率(DOE)を指標とした配当金の支払いを行っております。

今後の資金需要のうち主なものは、運転資金の他、生産設備の更新や拠点の移転・建替等の設備投資やM&A等の戦略投資等で、主に自己資金を充当する予定でありますが、新型コロナウイルス感染症等の治療法が確立されていない感染症が流行し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性が、翌連結会計年度においても起こり得るものと認識しております。その場合においても、基本方針に基づき、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

④ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、M&A等による戦略投資、成長に向けた積極的な事業投資の拡大による収益性向上に努めるとともに、資本効率向上に取り組むため、資本効率を示す自己資本当期純利益率(ROE)を主要な経営指標としております。ROEの前連結会計年度、当連結会計年度推移と目標は次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

目標

自己資本当期純利益率(ROE)

10.0%

9.3%

10%以上

 

今後も引き続きROE10%以上という目標達成に向け、設備や人的資本への継続的な投資により、DXの推進、物流機能や施工体制の拡充、生産性の向上を図るとともに、新規販売先の開拓、新商材の提供などの成長戦略を実行してまいります。

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。