第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「社会と共存し、社業を通じて、株主の皆さま、仕入先、得意先、社員その他の関係者の方々の「幸」の実現と、社会の発展に貢献する。」を経営理念に掲げ、社会生活に密着し、消費者のニーズに沿った企業活動を旨とし、仕入先の商品、あるいは自社オリジナル商品を、得意先を通じて生活市場に提供していく過程で、仕入先、得意先の業績向上、あるいはその他取引先の利益に貢献し、その適正な対価として得た利益を株主の皆さまに還元するとともに、社員の処遇・福利厚生・教育の充実を図り、新たな経営資源に投資することで「社業」を拡大し、より大きな経済活動を担うことで、社会の発展に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、当社の経営方針のもと、「ホームユース製品の販売と情報発信を通じて、社会の発展、自社の成長を実現するとともに、人々の暮らす環境を豊かにする。」を経営ビジョンとし、会社の持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、サステナブルな社会の実現に向けて9つのマテリアリティを設定し、SDGsを推進するとともに、経営戦略としての“卸売事業の拡充”“ものづくり事業の強化”“EC事業の拡大”“物流機能の強化”に努めてまいります。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当連結会計年度の経営環境は、主要な販売市場における販売競争の激化、資源価格等の高止まりや円安を背景とした仕入価格及び物流費の上昇、消費者の節約志向の高まり等、厳しい状況が続きました。

このような状況の中、当社グループにおきましては、「家庭用品卸売事業」の業績向上及び企業価値の維持・向上に向けた、販売、販売費の両面での施策として、消費者ニーズに寄り添った商品の開発や発掘に注力し、高止まりする物流面での適正化を図り、事業に及ぼす市場環境等の影響を最小限に抑えました。

翌連結会計年度の経営環境の見通しとしては、物価上昇に伴う家計への負担に対する不安感から、国内消費市場は依然停滞した状況が続くものと予想しております。

当社グループにおきましては、厳しい経営環境が続く中、引き続き4つの経営戦略を基軸に「家庭用品卸売事業」の業績及び企業価値の向上を第一義に、消費行動の変容が生み出す需要の変化を的確に捉え、既存市場における販売情報の分析を通じた新商材の発掘や、新規取引先の開拓に注力し、消費者に選んで頂ける魅力あるホームユース製品の販売や情報発信を積極的に進めてまいる所存です。

また、事業環境の変化に合わせ、営業・物流体制の高度化/効率化を通じ、コスト構造の更なる改善を図ってまいります。一方、ものづくり事業では、高騰する原材料費、物流費、人件費に対処すべく、より一層お客様に支持される新たな商品開発への取り組みや、最適な設備投資を継続し、一層の業績伸展を図ってまいります。加えて、EC事業の拡大につきましては、子会社を含めてグループ一体となった経営資源の利活用を進めることで、より厳しい経営環境の変化に耐え得る事業基盤の整備を進め、収益化を実現するとともに、以下の対処すべき重点課題に取り組んでまいります。

 

① 卸売事業の拡充

・厳しい市場環境を踏まえた上で、ビジネスモデルの再構築を通じ、得意先様/仕入先様にとって存在価値を高め収益性の維持向上を追求します。

② ものづくり事業の強化

・子会社の事業体制見直しを通じものづくり事業”の更なる成長と、グループ商品戦略を推進します。

③ EC事業の拡大

・グループとしてのEC事業拡大に向けた取り組みを強化、経営資源の効率的・効果的な組み合わせにより、販売チャネルの拡充とEC事業の収益向上を追求します。

④ 物流機能の強化

・当社の強みである全国物流拠点について、機能の高度化/効率化を推し進め、物流品質の向上と低コスト化を追求します。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

(中期計画)第3フェーズ(3ヵ年)の2期目である第78期(2024年3月期)におきましては、売上目標410億円に対し385億93百万円(目標達成率94.1%)、経常利益目標6億80百万円に対し経常損失1億31百万円と大幅な未達となりました。次期見通しにつきましては、第78期(2024年3月期)の経営成績等の分析を踏まえ、最終フェーズ3期目の最終年度(2025年3月期)の目標を、2024年5月10日に開示いたしました通期業績予想に合わせて変更しております。

またこれと同時に第79期(2025年3月期)を初年度とした向こう3ヵ年の中期経営計画「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」を策定しており、新たな中期経営計画の方向はこれまでの事業単位の経営からグループとしての事業持株会社体制による永続的な企業価値向上を目的に、卸売事業、ものづくり事業など各種事業を横断的に展開する経営戦略をもとに策定をしております。経営上の目標となる指標は以下のとおりです。

 

 

1年目

(2025年3月期)

2年目

(2026年3月期)

3年目

(2027年3月期)

売上高

387億80百万円

403億円

420億円

経常利益

8億40百万円

8億70百万円

9億20百万円

 

※ 詳しくは当社ホームページをご覧ください。

「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」: https://www.nakayamafuku.co.jp/company/vision/

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

①サステナビリティの考え方・取り組み

当社グループは、「経営理念」及び「中山福グループの役職員行動規範」に基づき、持続可能な社会の実現と、企業価値の向上を目指します。

また、経営ビジョンに「社会の発展・自社の成長を実現する」「人々の暮らす環境を支え豊かにする」を掲げ、取扱商品の品質向上や環境保全に関わる責任、また多様な人材の確保、従業員の健康・労働環境への配慮、企業統治の強化、自然災害等への危機管理が重要な課題であると捉え、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向けて積極的に取り組みます。

 

②サステナビリティ関連のリスク及び機会

当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するために「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。

当委員会は、委員長を代表取締役社長、委員を会長及び各本部長とし、必要に応じて、委員長または委員の指名する者により構成されております。当委員会において当社グループのサステナビリティに関する方針、重要課題の特定、取り組みの推進・進捗管理等を行い、定期的に取締役会に報告を行っております。

 

(2)戦略

当社グループの経営戦略等に重要な影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会は、当連結会計年度末において識別されておりませんが、環境への配慮を含めた基本的枠組みとして以下の項目に取り組んでおります。

 

・「中山福グループの環境方針」

当社グループは「中山福グループの役職員行動規範 3.社会に対する行動規範」において「私たちは、環境に配慮した商品開発に努めるとともに、環境関係法令を遵守した企業活動を実践してまいります。」を定めており、環境問題を経営上の重要な課題の一つとして認識し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向け、積極的に取り組みます。

1.環境関係法令の遵守

 事業活動において環境関係法令を遵守し、持続可能な社会の実現に努めます。

2.環境負荷の低減

 気候変動防止に向け温室効果ガスの削減、省資源及び廃棄物の削減リサイクルに取り組み環境負荷の低減に取り組みます。

3.環境に配慮した商品の開発

 環境に配慮した商品開発に努め、事業活動を通じて環境保全に貢献します。

4.従業員への環境教育、環境への意識の啓発

 従業員一人ひとりが環境問題を認識し、自主的に行動できるように環境教育、環境への意識の啓発活動

に取り組みます。

 

(気候変動・省資源への取り組み)

気候・環境の変動が当社グループの事業存続のみならず、広く社会に影響することを認識し、照明機器のLED化、ペーパーレス化、環境貢献商品の開発等、全ての事業を通じて温室効果ガスの削減と資源の有効活用、環境負荷の低減対策を実施します。

 

・「人材の多様性の確保についての方針」

当社グループは、異なる経験や知識、技能あるいは、様々な視点や価値観を有する人材の採用、登用に関し、持続的な企業価値の向上に必要不可欠であるとの観点から、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用、中核人材の採用における多様性を確保するための環境の整備、社内体制・制度の充実を図ります。

また、変化の激しい市場環境に対応し、常にスピードを持って事業創造できる組織へと変えるべく、女性・外国人・中途採用者の様々な職歴、多様なスキル等を最大限活かせるよう組織環境の整備やマネジメント層への経営視座を持たせる教育などの取り組みを実行します。特に女性に関しては、当社グループ取扱いのホームユース製品への多様な視点を持つことが期待され、当社グループの成長に寄与すると考えられるため、自主的かつ測定可能な目標を示します。

 

・「人材育成方針」

当社グループは、企業価値の向上を目指す上で、最も重要な経営資源は人材であると認識しております。そのため従業員の成長を促すことを目的とし各階層における研修、また自己啓発を支援するための通信教育制度の導入を実施し、自主性をもって十分に能力を発揮できる環境づくりに取り組んでおります。

 

・「社内環境整備方針」

全従業員が健康で、安全に、安心して能力を十分発揮できる職場環境を整備することが企業価値の向上に資するものという考えに基づき、健康管理の促進、メンタルヘルスの支援体制、各事業所における安全衛生管理体制などを実施し、ワークライフバランスを推進し「働きやすい」「働き甲斐のある」職場環境の構築を目指しております。

 

(人的資本への取り組み)

当社グループは、人材を「資本」として捉えることで、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値向上につながると考えております。従業員が自己の能力を十分に発揮できるように、人権の尊重、健康促進、エンゲージメントの向上、研修制度の充実、各休暇制度の充実によるワークライフバランスの実現等、多様性の確保・育成・社内環境整備を重点課題として捉え取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、「サステナビリティ推進委員会」において経済的リスクをはじめ、環境リスク、人権リスク等種々のサステナビリティ関連のリスクを抽出し、優先的に取り組むべきリスクを特定、その分析・評価、対応策の実施、モニタリングを行い、定期的に取締役会へ報告、取締役会からの指示を受けることになっております。

また、当委員会と「リスク評価委員会」は連携し当社グループを取り巻く様々なリスク情報の共有を図ります。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記(2)戦略において記載した「人材の多様性の確保についての方針」に関して、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める

女性労働者の割合

2025年7月1日時点

16

10.3

(注)連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社の指標及び目標を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 取引先に対するリスク

当社グループは、取引先に対しリスクマネジメントを行うことによりリスク管理しております。しかしながら、販売先の業績悪化等により債権回収が不可能になった場合、また、仕入先の業績悪化や廃業等により商品供給に支障をきたした場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 外国為替リスク

当社グループの販売商品の約5%を、アジア、EU加盟各国から輸入しております。輸入商品代金の決済につきましては、ヘッジ取引により外国為替リスクを一定程度まで低減する方針で対処しておりますが、外国為替市場の急激な変動など、当社グループの予測と異なった場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 資金調達力及び調達コストに伴うリスク

当社グループは、国内の金融機関より運転資金、並びに設備資金を調達の上営業活動を行っております。今後の金融情勢によっては、金利上昇による資金調達コストの増加、又は調達額の制約など、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 災害、停電及び感染症等によるリスク

当社グループは、災害発生時に対応すべく「経営危機管理規程」に基づき危機管理体制を整えておりますが、国内各所の拠点において大規模な地震・水害・台風・停電及び感染症の拡大等が発生し、営業・物流・生産の事業活動に甚大な影響を受けた場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 退職給付債務によるリスク

当社グループの従業員の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や、年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、また、前提条件が変更された場合には、その影響は将来にわたって規則的かつ累積的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

今後、割引率の低下や運用利回りの悪化が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しておりますが、事業を取り巻く環境の変化により、事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や、各拠点の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 保有株式に関するリスク

当社グループは、従来より、原則として取引関係のある取引先の要請により、市場性のある株式を保有しておりますが、今後、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式の減損、又は評価損が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

 

⑧ 情報セキュリティによるリスク

当社グループは、情報システム運営上の安全を確保するため、外部からの不正侵入を防ぐ適切なセキュリティ対策及び監視体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、サイバー攻撃・コンピューターウイルスの感染・不正アクセスによる情報の流出・消失・改ざん等が生じた場合、当社グループの信用の低下や業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑨ 個人情報・社内機密情報等の取扱いによるリスク

当社グループでは「個人情報取扱規程」を定め、会社が業務を通じて取得し、もしくは提供された個人に関する情報を適切に管理・保護し、また、その情報を利用する場合のルールを定め、個人のプライバシーの保全に万全を期しておりますが、個人情報の社外漏洩などが発生した場合には、取引先との取引状況への悪影響、又は取引先とのトラブル発生などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

また、規程並びに管理体制の整備や社内教育の徹底等によって、社内の機密情報等の漏洩についての対策を講じておりますが、役職員の不注意等により社内の機密情報等が外部に漏洩した場合、信頼を失うなどの事業環境が悪化することにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑩ 不良品発生のリスク

当社グループでは、競業他社との競争に対抗すべく商品コストの削減を目指し、国内のみならず中国を中心とした海外メーカーからも商品調達をしております。特に海外メーカーに対しては、当社指定の品質基準に従って製造・検品を行い、安全性や品質向上に向けて改善を行う等、最善の注意を払うとともに不測の事態に備え保険に加入しております。しかしながら、大規模な品質上の問題が発生した際には、リコール費用やブランド力低下の影響から、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑪ 知的財産権についてのリスク

当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また競業他社との差別化を図り、かつ優位性を保つため、知的財産権保護のための体制を整えております。しかしながら、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性は排除できず、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑫ 原材料価格の上昇によるリスク

当社グループの主要取扱商品の主な原材料は、アルミ、ステンレス、鉄、ナフサ(プラスチック)等であり、原油価格変動も含め原材料価格の高騰に伴うリスクが発生する可能性があります。原材料価格の高騰が予想を上回る状況で進行し仕入価格に予想を超える大幅な値上げが生じ、販売価格への転嫁が容易でない場合などには、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、社会から信頼される企業を目指すため、「中山福グループの役職員行動規範」を制定し、従業員に周知するとともに、定期的にコンプライアンスに関する研修を行っております。しかしながら、万が一法令に抵触する行為があった場合には、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑭ 人材に関するリスク

当社グループが持続的な成長を実現していくために、人材の確保が重要であることを認識して、採用活動、人材教育・育成を実施しております。しかしながら、今後国内の人口減少、雇用環境の変化、人材確保競争等により、従業員の流出が進み、また採用の厳しさが増す場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑮ 物流に関するリスク

当社グループは、経営の要となる物流体制に関し、安定した体制の維持及び効率化を推進しております。しかしながら、今後物流業界での労働力不足や労働環境の変化等により、物流コストの増加が深刻化する場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更され、経済活動の正常化に向けた動きが進んだ一方、不安定な国際情勢のもと、エネルギー価格及び資源価格の高止まりや円安基調の継続による物価上昇等により、依然として経済の先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループの属する業界におきましては、主要な販売市場における販売競争の激化、資源価格等の高止まりや円安を背景とした仕入価格及び物流費の上昇、消費者の節約志向の高まり等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、中期経営計画に基づく経営戦略の推進を加速化させるため、基盤整備を含めた事業体制の見直しに着手いたしました。また、仕入先及び得意先への情報提供に努め、新たな消費者ニーズに寄り添った商品のラインアップ拡充に注力いたしました。さらに、物流ネットワークの体制見直し及び物流拠点における適切な人材配置によって、将来を見据えた物流体制の維持・安定化に努めると同時に、高止まりする物流費の影響を最小限に抑えました。

営業面では、「家庭用品卸売事業」において、物流業務の効率化及び財務体質の改善を目的として、在庫水準の適正化に努めました。仕入価格の値上がりに対応すべく販売価格の見直しを進めるとともに在庫水準の適正化に向けた取り組みの中で、値引販売や販売促進を行ってまいりましたが、消費者の節約志向の高まりなどを背景に日用品の販売数が減少し、当連結会計年度の売上高は385億93百万円(前年同期比3.2%減)となり、粗利率は一時的に減少することになりました。

損益面におきましては、「プラスチック日用品製造事業」及び「インテリア用品製造・販売事業」が好調だったものの、「家庭用品卸売事業」の売上高及び粗利率の減少要因に加え、人件費及び物流費の高止まりによる影響などにより、営業損失4億70百万円(前年同期は営業利益1億15百万円)、経常損失1億31百万円(前年同期は経常利益4億82百万円)となりました。なお、投資有価証券売却益3億18百万円を計上したことに加え、繰延税金資産を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は14百万円(前年同期比97.6%減)となりました。

商品分類別売上高につきましては、以下のとおりであります。

商品分類

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

増減率(%)

調理用品

13,572

34.0

12,786

33.1

△5.8

台所用品

3,752

9.4

3,884

10.1

3.5

サニタリー用品

4,843

12.1

4,830

12.5

△0.3

収納用品・インテリア関連用品

4,616

11.6

4,760

12.3

3.1

行楽・レジャー用品

8,348

20.9

8,170

21.2

△2.1

エクステリア用品・園芸用品

2,014

5.1

1,820

4.7

△9.6

家電用品・冷暖房用品

1,875

4.7

1,682

4.4

△10.3

ヘルスケア・シニア・ベビー

用品等

864

2.2

657

1.7

△23.9

合計

39,887

100.0

38,593

100.0

△3.2

「調理用品」は、フライパン、鍋、包丁等を中心に127億86百万円(前年同期比5.8%減)となりました。「台所用品」は、台所消耗品、保存容器等を中心に38億84百万円(前年同期比3.5%増)となりました。「サニタリー用品」は、リビング清掃用品、浴室用品等を中心に48億30百万円(前年同期比0.3%減)となりました。「収納用品・インテリア関連用品」は、キッチン収納用品、マット、衣装ケース・プラチェスト等を中心に47億60百万円(前年同期比3.1%増)となりました。「行楽・レジャー用品」は、ボトル・タンブラー、レジャー用品、ランチボックス等を中心に81億70百万円(前年同期比2.1%減)となりました。「エクステリア用品・園芸用品」は、DIY用品・内装資材用品、園芸用品等を中心に18億20百万円(前年同期比9.6%減)となりました。「家電用品・冷暖房用品」は、調理家電を中心に16億82百万円(前年同期比10.3%減)となりました。「ヘルスケア・シニア・ベビー用品等」は、ヘルスケア用品、シニア用品等を中心に6億57百万円(前年同期比23.9%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(1) 家庭用品卸売事業

当事業では、台所用品、収納用品・インテリア関連用品の販売は前年同期を上回ったものの、調理用品、行楽・レジャー用品、家電用品・冷暖房用品等の販売は前年同期を下回りました。

その結果、売上高は「北海道」13億56百万円(前年同期比9.9%減)、「東北・関東」160億20百万円(前年同期比4.7%減)、「中部」30億90百万円(前年同期比5.0%減)、「近畿・中四国」87億99百万円(前年同期比4.0%減)、「九州・沖縄」53億23百万円(前年同期比2.6%増)となり、家庭用品卸売事業の売上高は345億89百万円(前年同期比3.7%減)となりました。

セグメント利益又は損失は「北海道」△15百万円(前年同期はセグメント利益34百万円)、「東北・関東」3億16百万円(前年同期比56.1%減)、「中部」16百万円(前年同期比83.5%減)、「近畿・中四国」2億73百万円(前年同期比34.6%減)、「九州・沖縄」97百万円(前年同期比47.9%減)となり、家庭用品卸売事業のセグメント利益は6億88百万円(前年同期比52.9%減)となりました。

(2) プラスチック日用品製造事業

当事業では、収納用品の販売は前年同期を上回ったものの、園芸用品の販売は前年同期を下回りました。

その結果、売上高は23億32百万円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益は3億7百万円(前年同期比14.9%増)となりました。

(3) インテリア用品製造・販売事業

当事業では、インテリア関連用品の販売は前年同期を上回りました。

その結果、売上高は13億77百万円(前年同期比9.7%増)、セグメント利益は3億67百万円(前年同期比31.5%増)となりました。

(4) その他

その他事業では、調理用品、台所用品等の販売は前年同期を上回ったものの、エクステリア用品・園芸用品、家電用品・冷暖房用品の販売は前年同期を下回りました。

その結果、売上高は6億11百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント損失は32百万円(前年同期はセグメント損失43百万円)となりました。

財政状態の概況は、以下のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は204億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億90百万円増加いたしました。これは主に商品及び製品が7億94百万円減少したことと、現金及び預金が6億76百万円、受取手形及び売掛金が3億78百万円、電子記録債権が24百万円、原材料が80百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は124億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億11百万円増加いたしました。これは主に、無形固定資産が61百万円減少したことと、有形固定資産が1億18百万円、投資その他の資産が10億54百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、総資産は328億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億2百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は84億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億4百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が50百万円、未払法人税等が46百万円、未払消費税(流動負債のその他)が14百万円それぞれ減少したことと、支払手形及び買掛金が10億51百万円、未払金(流動負債のその他)が74百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は20億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億61百万円減少いたしました。これは主に、リース債務(固定負債のその他)が20百万円、繰延税金負債が2億79百万円それぞれ増加したことと、長期借入金が4億1百万円、退職給付に係る負債が47百万円それぞれ減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は104億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億42百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は224億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億59百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上14百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億18百万円と、剰余金の配当1億94百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は68.2%(前連結会計年度末は69.3%)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、64億35百万円(前年同期は57億56百万円)となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、13億49百万円(前年同期は営業活動の結果獲得した資金7億39百万円)となりました。これは主に、増加要因としての税金等調整前当期純利益1億79百万円、棚卸資産の減少額7億14百万円、仕入債務の増加額10億51百万円、利息及び配当金の受取額86百万円、減少要因としての売上債権の増加額4億2百万円、法人税等の支払額3億1百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、57百万円(前年同期は投資活動の結果獲得した資金7億42百万円)となりました。これは主に、増加要因としての投資有価証券の売却による収入4億92百万円、減少要因としての有形固定資産の取得による支出3億75百万円、投資有価証券の取得による支出38百万円、無形固定資産の取得による支出19百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、7億31百万円(前年同期は財務活動の結果使用した資金7億17百万円)となりました。これは主に、減少要因としての長期借入金の返済による支出4億5百万円、配当金の支払額1億94百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出81百万円、短期借入金の減少額50百万円によるものであります。

 

 財務指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

自己資本比率(%)

69.6

67.8

68.5

69.3

68.2

時価ベースの自己資本比率(%)

31.2

30.2

22.2

21.0

21.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

△2.9

2.9

3.8

5.4

2.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

△58.9

56.9

39.2

32.0

63.6

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

北海道

1,151,233

△7.2

東北・関東

13,554,868

△2.3

中部

2,622,123

△2.6

近畿・中四国

7,415,443

△2.6

九州・沖縄

4,392,206

4.1

家庭用品卸売事業計

29,135,875

△1.7

プラスチック日用品製造事業

1,387,242

△9.8

インテリア用品製造・販売事業

557,340

10.4

報告セグメント計

31,080,458

△1.9

その他

368,272

5.9

合計

31,448,731

△1.8

  (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.金額は商品仕入価格によっております。

b.受注実績

当社グループは、一部において商品の受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

北海道

1,356,154

△9.9

東北・関東

16,004,914

△4.7

中部

3,090,092

△5.0

近畿・中四国

8,799,571

△4.0

九州・沖縄

5,323,280

2.6

家庭用品卸売事業計

34,574,014

△3.7

プラスチック日用品製造事業

2,034,966

△6.1

インテリア用品製造・販売事業

1,372,759

9.7

報告セグメント計

37,981,739

△3.4

その他

611,435

7.4

合計

38,593,175

△3.2

  (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

グループ損益として売上高につきましては、「家庭用品卸売事業」はホームセンターへの販売が減少したことを主因に減収となったこと、「プラスチック日用品製造事業」は受注品の製造が堅調であったことと、「インテリア用品製造・販売事業」は自社ブランド品の販売が好調に推移したことにより、売上高385億93百万円(前年同期は398億87百万円)となりました。

利益面につきましては、「家庭用品卸売事業」の販売減による減収要因が大きく、また販売費等の高止まりによる影響もあり、営業損失4億70百万円(前年同期は営業利益1億15百万円)、経常損失1億31百万円(前年同期は経常利益4億82百万円)となりました。

当社グループとしましては、「家庭用品卸売事業」の事業体制の見直しを通じて、販売と販売費の両面を軸とした重点施策に注力し利益を第一義として対処してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(財務政策)

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

この当社グループの連結財務諸表の作成にあたって以下の事項は、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りの判断が行われている部分があり、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります

a.有価証券の減損

当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。

市場価格のない株式等以外のものについては、主に市場価格等の市場情報に基づき決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断しております。

市場価格のない株式等であるものについては、1株当たり純資産価値に基づき、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、減損処理を行っております。ただし、予測不能な前提条件の変化などにより時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

b.固定資産(のれん及び事業資産等)の減損

当社グループでは、固定資産(のれん及び事業資産等)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。

回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを資産固有のリスクを反映した税効果考慮前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しており、将来の市場の成長度合、収益と費用の予想、資産の予想使用期間等の前提条件を使用しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより固定資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社が追加で減損損失を認識する可能性もあります。

c.繰延税金資産の回収可能性

当社グループでは、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社及び連結子会社が繰延税金資産を減額する可能性もあります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

  該当事項はありません。