当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「社会と共存し、社業を通じて、株主の皆さま、仕入先、得意先、社員その他の関係者の方々の「幸」の実現と、社会の発展に貢献する。」を経営理念に掲げ、社会生活に密着し、消費者のニーズに沿った企業活動を旨とし、仕入先の商品、あるいは自社オリジナル商品を、得意先を通じて生活市場に提供していく過程で、仕入先、得意先の業績向上、あるいはその他取引先の利益に貢献し、その適正な対価として得た利益を株主の皆さまに還元するとともに、社員の処遇・福利厚生・教育の充実を図り、新たな経営資源に投資することで「社業」を拡大し、より大きな経済活動を担うことで、社会の発展に貢献することを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、当社の経営方針のもと、「ホームユース製品の販売と情報発信を通じて、社会の発展、自社の成長を実現するとともに、人々の暮らす環境を豊かにする。」を経営ビジョンとし、会社の持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、サステナブルな社会の実現に向けて9つのマテリアリティを設定し、SDGsを推進するとともに、経営戦略としての“卸売事業の拡充”“ものづくり事業の強化”“EC事業の拡大”“物流機能の強化”に努めてまいります。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当連結会計年度の経営環境は、主要な販売市場における販売競争の激化、原材料価格の高騰、物価上昇等による消費者の節約志向が継続し、厳しい状況が続きました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」を2024年5月に策定し企業価値の維持・向上に努め、多様化するニーズに対応する商品の企画・販売に注力し、高止まりする物流費等の抑制を図り、事業に及ぼす市場環境等の影響を最小限に抑えました。
翌連結会計年度の経営環境の見通しとしては、物価上昇に伴う家計への負担に対する今後の生活への不安感から生活防衛意識が高まり、国内消費市場は依然として厳しい状況が続くものと予想しております。
当社グループにおきましては、引き続き4つの経営戦略を基軸に「家庭用品卸売事業」の業績及び企業価値の向上を第一義に、多様な消費者ニーズに合わせた商品・企画提案力を高め、売場のデジタル化対応を視野に「情報付加価値の高い卸売業」へ転換すべく注力すると同時に、適正な利益を確保する最適な商品政策を推進してまいります。また、拠点ごとの事業環境に合わせた新システムの導入による営業・物流体制の高度化・効率化を通じてコスト構造の更なる改善を図ってまいります。
一方、ものづくり事業では、高騰する原材料費、物流費、人件費に対処すべく、より一層お客様に支持される新たな商品開発への取り組みや、必要に応じた最適な設備投資を継続し、一層の業績伸展を図ってまいります。加えて、EC事業では、グループの一体運営による合理化・効率化、自社販売サイトの拡充を図り、全国物流網の活用を通じて一層の販売力強化を図ってまいります。
これらを実現すべく、以下の対処すべき重点課題に取り組んでまいります。
① 卸売事業の拡充
・厳しい市場環境を踏まえた上で、従来のビジネスモデルを見直し、卸売事業としての“強み”を再構築するための商品政策を推進し、得意先様/仕入先様にとって“存在価値”を高め“収益性”の維持向上を追求します。
② ものづくり事業の強化
・子会社の事業体制見直しを通じ各“ものづくり事業”の更なる成長と、多様化するニーズに対応するグループ商品戦略を推進します。
③ EC事業の拡大
・グループの一体運営によるEC事業拡大に向けた取り組みを強化、全国物流網の活用、経営資源の効率的・効果的な組み合わせにより、販売チャネルの拡充とEC事業の収益向上を追求します。
④ 物流機能の強化
・当社の強みである全国物流拠点について、拠点ごとの事業環境に合わせた新システム導入の検討により機能の高度化/効率化を推し進め、物流品質の向上と低コスト化を追求します。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第79期(2025年3月期)を初年度とした向こう3ヶ年の中期経営計画「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」を2024年5月に策定しております。
初年度である第79期(2025年3月期)につきましては、売上高は目標387億80百万円に対し409億49百万円(目標達成率105.6%)と達成しましたが、経常利益は目標8億40百万円に対し4億91百万円(目標達成率58.6%)と未達となりました。次期見通しにつきましては、第79期(2025年3月期)の経営成績等の分析を踏まえ、2年目(2026年3月期)の目標を2025年5月9日に開示いたしました通期業績予想に合わせて変更し、売上高目標400億円、経常利益目標7億80百万円としております。
経営上の目標となる指標は以下のとおりです。
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|
1年目 (2025年3月期) |
2年目 (2026年3月期) |
3年目 (2027年3月期) |
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売上高 |
409億49百万円 |
400億円 |
420億円 |
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経常利益 |
4億91百万円 |
7億80百万円 |
9億20百万円 |
※ 詳しくは当社ホームページをご覧ください。
「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」: https://www.nakayamafuku.co.jp/company/vision/
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
①サステナビリティの考え方・取り組み
当社グループは、「経営理念」及び「中山福グループの役職員行動規範」に基づき、持続可能な社会の実現と、企業価値の向上を目指します。
また、経営ビジョンに「社会の発展・自社の成長を実現する」「人々の暮らす環境を支え豊かにする」を掲げ、取扱商品の品質向上や環境保全に関わる責任、また多様な人材の確保、従業員の健康・労働環境への配慮、企業統治の強化、自然災害等への危機管理が重要な課題であると捉え、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向けて積極的に取り組みます。
②サステナビリティ関連のリスク及び機会
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するために「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。
当委員会は、委員長を代表取締役社長、委員を会長及び各本部長とし、必要に応じて、委員長または委員の指名する者により構成されております。当委員会において当社グループのサステナビリティに関する方針、重要課題の特定、取り組みの推進・進捗管理等を行い、定期的に取締役会に報告を行っております。
(2)戦略
当社グループの経営戦略等に重要な影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会は、当連結会計年度末において識別されておりませんが、環境への配慮を含めた基本的枠組みとして以下の項目に取り組んでおります。
・「中山福グループの環境方針」
当社グループは「中山福グループの役職員行動規範 3.社会に対する行動規範」において「私たちは、環境に配慮した商品開発に努めるとともに、環境関係法令を遵守した企業活動を実践してまいります。」を定めており、環境問題を経営上の重要な課題の一つとして認識し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向け、積極的に取り組みます。
1.環境関係法令の遵守
事業活動において環境関係法令を遵守し、持続可能な社会の実現に努めます。
2.環境負荷の低減
気候変動防止に向け温室効果ガスの削減、省資源及び廃棄物の削減リサイクルに取り組み環境負荷の低減に取り組みます。
3.環境に配慮した商品の開発
環境に配慮した商品開発に努め、事業活動を通じて環境保全に貢献します。
4.従業員への環境教育、環境への意識の啓発
従業員一人ひとりが環境問題を認識し、自主的に行動できるように環境教育、環境への意識の啓発活動
に取り組みます。
(気候変動・省資源への取り組み)
気候・環境の変動が当社グループの事業存続のみならず、広く社会に影響することを認識し、照明機器のLED化、ペーパーレス化、環境貢献商品の開発等、全ての事業を通じて温室効果ガスの削減と資源の有効活用、環境負荷の低減対策を実施します。
・「人材多様性の確保についての方針」
当社グループは、異なる経験や知識、技能あるいは、様々な視点や価値観を有する人材の採用、登用に関し、持続的な企業価値の向上に必要不可欠であるとの観点から、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用、中核人材の採用における多様性を確保するための環境の整備、社内体制・制度の充実を図ります。
また、変化の激しい市場環境に対応し、常にスピードを持って事業創造できる組織へと変えるべく、女性・外国人・中途採用者の様々な職歴、多様なスキル等を最大限活かせるよう組織環境の整備やマネジメント層への経営視座を持たせる教育などの取り組みを実行します。特に女性に関しては、当社グループ取扱いのホームユース製品への多様な視点を持つ事が期待され、当社グループの成長に貢献するものと考えられるため、自主的かつ定量的な目標設定をいたします。
・「人材育成方針」
当社グループは、企業価値の向上を目指す上で、最も重要な経営資源は人材であると認識しております。そのため従業員の成長を促すことを目的とし各階層における研修、また自己啓発を支援するための通信教育制度の導入を実施し、自主性をもって十分に能力を発揮できる環境づくりに取り組んでおります。
・「社内環境整備方針」
全従業員が健康で、安全に、安心して能力を十分発揮できる職場環境を整備することが企業価値の向上に資するものという考えに基づき、健康管理の促進、メンタルヘルスの支援体制、各事業所における安全衛生管理体制などを実施し、ワークライフバランスを推進し「働きやすい」「働き甲斐のある」職場環境の構築を目指しております。
(人的資本への取り組み)
当社グループは、人材を「資本」として捉えることで、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値向上につながると考えております。従業員が自己の能力を十分に発揮できるように、人権の尊重、健康促進、エンゲージメントの向上、研修制度の充実、各休暇制度の充実によるワークライフバランスの実現等、多様性の確保・育成・社内環境整備を重点課題として捉え取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社グループでは、「サステナビリティ推進委員会」において経済的リスクをはじめ、環境リスク、人権リスク等種々のサステナビリティ関連のリスクを抽出し、優先的に取り組むべきリスクを特定、その分析・評価、対応策の実施、モニタリングを行い、定期的に取締役会へ報告、取締役会からの指示を受けることになっております。
また、当委員会と「リスク評価委員会」は連携し当社グループを取り巻く様々なリスク情報の共有を図ります。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記(2)戦略において記載した「人材の多様性の確保についての方針」に関して、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
管理職に占める 女性労働者の割合 |
|
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(注)連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社の指標及び目標を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 取引先に対するリスク
当社グループは、取引先に対しリスクマネジメントを行うことによりリスク管理しております。しかしながら、販売先の業績悪化等により債権回収が不可能になった場合、また、仕入先の業績悪化や廃業等により商品供給に支障をきたした場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 外国為替リスク
当社グループの販売商品の約4%を、アジア、EU加盟各国から輸入しております。輸入商品代金の決済につきましては、ヘッジ取引により外国為替リスクを一定程度まで低減する方針で対処しておりますが、外国為替市場の急激な変動など、当社グループの予測と異なった場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 資金調達力及び調達コストに伴うリスク
当社グループは、国内の金融機関より運転資金、並びに設備資金を調達の上営業活動を行っております。今後の金融情勢によっては、金利上昇による資金調達コストの増加、又は調達額の制約など、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 災害、停電及び感染症等によるリスク
当社グループは、災害発生時に対応すべく「経営危機管理規程」に基づき危機管理体制を整えておりますが、国内各所の拠点において大規模な地震・水害・台風・停電及び感染症の拡大等が発生し、営業・物流・生産の事業活動に甚大な影響を受けた場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 退職給付債務によるリスク
当社グループの従業員の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や、年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、また、前提条件が変更された場合には、その影響は将来にわたって規則的かつ累積的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
今後、割引率の低下や運用利回りの悪化が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 固定資産の減損に関するリスク
当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しておりますが、事業を取り巻く環境の変化により、事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や、各拠点の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 保有株式に関するリスク
当社グループは、従来より、原則として取引関係のある取引先の要請により、市場性のある株式を保有しておりますが、今後、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式の減損、又は評価損が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。
⑧ 情報セキュリティによるリスク
当社グループは、情報システム運営上の安全を確保するため、外部からの不正侵入を防ぐ適切なセキュリティ対策及び監視体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、サイバー攻撃・コンピューターウイルスの感染・不正アクセスによる情報の流出・消失・改ざん等が生じた場合、当社グループの信用の低下や業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑨ 個人情報・社内機密情報等の取扱いによるリスク
当社グループでは「個人情報取扱規程」を定め、会社が業務を通じて取得し、もしくは提供された個人に関する情報を適切に管理・保護し、また、その情報を利用する場合のルールを定め、個人のプライバシーの保全に万全を期しておりますが、個人情報の社外漏洩などが発生した場合には、取引先との取引状況への悪影響、又は取引先とのトラブル発生などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、規程並びに管理体制の整備や社内教育の徹底等によって、社内の機密情報等の漏洩についての対策を講じておりますが、役職員の不注意等により社内の機密情報等が外部に漏洩した場合、信頼を失うなどの事業環境が悪化することにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑩ 不良品発生のリスク
当社グループでは、競業他社との競争に対抗すべく商品コストの削減を目指し、国内のみならず中国を中心とした海外メーカーからも商品調達をしております。特に海外メーカーに対しては、当社指定の品質基準に従って製造・検品を行い、安全性や品質向上に向けて改善を行う等、最善の注意を払うとともに不測の事態に備え保険に加入しております。しかしながら、大規模な品質上の問題が発生した際には、リコール費用やブランド力低下の影響から、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑪ 知的財産権についてのリスク
当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また競業他社との差別化を図り、かつ優位性を保つため、知的財産権保護のための体制を整えております。しかしながら、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性は排除できず、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑫ 原材料価格の上昇によるリスク
当社グループの主要取扱商品の主な原材料は、アルミ、ステンレス、鉄、ナフサ(プラスチック)等であり、原油価格変動も含め原材料価格の高騰に伴うリスクが発生する可能性があります。原材料価格の高騰が予想を上回る状況で進行し仕入価格に予想を超える大幅な値上げが生じ、販売価格への転嫁が容易でない場合などには、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑬ コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、社会から信頼される企業を目指すため、「中山福グループの役職員行動規範」を制定し、従業員に周知するとともに、定期的にコンプライアンスに関する研修を行っております。しかしながら、万が一法令に抵触する行為があった場合には、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑭ 人材に関するリスク
当社グループが持続的な成長を実現していくために、人材の確保が重要であることを認識して、採用活動、人材教育・育成を実施しております。しかしながら、今後国内の人口減少、雇用環境の変化、人材確保競争等により、従業員の流出が進み、また採用の厳しさが増す場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑮ 物流に関するリスク
当社グループは、経営の要となる物流体制に関し、安定した体制の維持及び効率化を推進しております。しかしながら、今後物流業界での労働力不足や労働環境の変化等により、物流コストの増加が深刻化する場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が徐々に改善し、インバウンド需要の増加等を背景として、緩やかな回復傾向がみられました。しかし、不安定な国際情勢の影響のもと、原材料やエネルギー価格の上昇、円安に伴う物価上昇等による消費者の節約志向が継続しており、依然として経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましても原材料や仕入原価の上昇に加えて、社会情勢の変化の影響を受けて物流費が上昇する等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」を2024年5月に策定し、卸売事業、ものづくり事業など各種事業の強化、適正な利益を確保する最適な商品政策を推進してまいりました。EC事業の一体運営による合理化・効率化を図るために連結子会社の株式会社ENICYを2024年10月に吸収合併し、全国物流拠点の高度化・効率化を図るために着手した福岡支店の倉庫増築工事が2024年11月に完了いたしました。「家庭用品卸売事業」では市場の動向を分析し、生活の質・豊かさの向上とライフスタイルに合った新規商品の企画・販売を推進し、異業種との共同提案も含めて店舗に個性を出す新しい売り場作りの提案を進めてまいりました。
これらの結果、営業面におきましては、取引先の営業戦略・販売方針に沿った営業展開が奏功し、新規商品の販売や取引先の開拓が順調に進み、「家庭用品卸売事業」において調理用品やサニタリー用品等の販売数が増加した結果、当連結会計年度の売上高は409億49百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
損益面におきましては、前連結会計年度の在庫適正化に向けた取り組みの中で実施した値引販売等の一時要因がなくなったことで、粗利率を一定程度回復させることができたものの、国内消費者の生活防衛意識の高まりなどを背景とした消費行動の変化や原材料価格の高騰と円安による仕入価格の上昇などの影響を受けたため粗利率は想定よりも回復せず、また、物流面における作業効率化等によって人件費を抑制し、その他の経費削減についてもグループ全社を挙げて推進いたしましたが、売上高増加等に伴い運賃が高止まりしたことにより、営業利益1億54百万円(前年同期は営業損失4億70百万円)、経常利益4億91百万円(前年同期は経常損失1億31百万円)、投資有価証券売却益3億75百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億26百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益14百万円)となりました。
商品分類別売上高につきましては、以下のとおりであります。
|
商品分類 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比 |
||
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
増減率(%) |
|
|
調理用品 |
12,786 |
33.1 |
13,872 |
33.8 |
8.5 |
|
台所用品 |
3,884 |
10.1 |
4,326 |
10.6 |
11.4 |
|
サニタリー用品 |
4,830 |
12.5 |
5,817 |
14.2 |
20.4 |
|
収納用品・インテリア関連用品 |
4,760 |
12.3 |
4,861 |
11.9 |
2.1 |
|
行楽・レジャー用品 |
8,170 |
21.2 |
8,512 |
20.8 |
4.2 |
|
エクステリア用品・園芸用品 |
1,820 |
4.7 |
1,393 |
3.4 |
△23.5 |
|
家電用品・冷暖房用品 |
1,682 |
4.4 |
1,482 |
3.6 |
△11.9 |
|
ヘルスケア・シニア・ベビー 用品等 |
657 |
1.7 |
683 |
1.7 |
3.9 |
|
合計 |
38,593 |
100.0 |
40,949 |
100.0 |
6.1 |
「調理用品」は、フライパン、包丁、鍋等を中心に138億72百万円(前年同期比8.5%増)となりました。「台所用品」は、保存容器、台所消耗品等を中心に43億26百万円(前年同期比11.4%増)となりました。「サニタリー用品」は、リビング清掃用品、浴室用品等を中心に58億17百万円(前年同期比20.4%増)となりました。「収納用品・インテリア関連用品」は、キッチン収納用品、衣装ケース・プラチェスト等を中心に48億61百万円(前年同期比2.1%増)となりました。「行楽・レジャー用品」は、ボトル・タンブラー、レジャー用品、ランチボックス等を中心に85億12百万円(前年同期比4.2%増)となりました。「エクステリア用品・園芸用品」は、DIY用品・内装資材用品、園芸用品等を中心に13億93百万円(前年同期比23.5%減)となりました。「家電用品・冷暖房用品」は、調理家電を中心に14億82百万円(前年同期比11.9%減)となりました。「ヘルスケア・シニア・ベビー用品等」は、ヘルスケア用品、衛生用品等を中心に6億83百万円(前年同期比3.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度から、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため全社費用の配分方法の見直しを行っており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数字で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(1) 家庭用品卸売事業
当事業では、家電用品・冷暖房用品等の販売は前年同期を下回ったものの、調理用品、サニタリー用品等の販売は前年同期を上回りました。
その結果、売上高は「北海道」13億99百万円(前年同期比3.2%増)、「東北・関東」166億68百万円(前年同期比4.0%増)、「中部」35億52百万円(前年同期比14.9%増)、「近畿・中四国」99億61百万円(前年同期比13.2%増)、「九州・沖縄」57億33百万円(前年同期比7.7%増)となり、家庭用品卸売事業の売上高は373億15百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
セグメント利益又は損失は「北海道」△22百万円(前年同期はセグメント損失39百万円)、「東北・関東」4億87百万円(前年同期比248.5%増)、「中部」60百万円(前年同期はセグメント損失19百万円)、「近畿・中四国」4億16百万円(前年同期比175.1%増)、「九州・沖縄」1億57百万円(前年同期比541.2%増)となり、家庭用品卸売事業のセグメント利益は10億99百万円(前年同期比327.9%増)となりました。
(2) プラスチック日用品製造事業
当事業では、収納用品の販売は前年同期を上回ったものの、園芸用品の販売は前年同期を下回りました。
その結果、売上高は20億80百万円(前年同期比10.8%減)、セグメント利益は99百万円(前年同期比67.7%減)となりました。
(3) インテリア用品製造・販売事業
当事業では、インテリア関連用品の販売は前年同期を上回りました。
その結果、売上高は14億27百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は4億11百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
(4) その他
その他事業の販売は前年同期を下回りました。
その結果、売上高は5億25百万円(前年同期比14.1%減)、セグメント利益は11百万円(前年同期はセグメント損失88百万円)となりました。
財政状態の概況は、以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は207億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億16百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が4億61百万円、商品及び製品が73百万円それぞれ減少したことと、現金及び預金が8億11百万円、原材料が25百万円、未収消費税(流動資産のその他)が11百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は120億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億9百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が3億33百万円増加したことと、無形固定資産が62百万円、投資その他の資産が6億80百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、総資産は327億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ92百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は88億円となり、前連結会計年度末に比べ3億43百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が9億66百万円、未払金(流動負債のその他)が64百万円、未払消費税等(流動負債のその他)が88百万円それぞれ減少したことと、短期借入金が15億円増加したことによるものであります。
固定負債は15億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億14百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が3億48百万円、退職給付に係る負債が38百万円、繰延税金負債が47百万円それぞれ減少したことと、リース債務(固定負債のその他)が16百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は103億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ70百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は224億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ22百万円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上5億26百万円、退職給付に係る調整累計額の増加40百万円、剰余金の配当1億94百万円と、その他有価証券評価差額金の減少4億円によるものであります。
この結果、自己資本比率は68.3%(前連結会計年度末は68.2%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、72億48百万円(前年同期は64億35百万円)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、43百万円(前年同期は営業活動の結果獲得した資金13億49百万円)となりました。これは主に、減少要因としての退職給付に係る負債の減少額14百万円、退職給付に係る資産の増加額26百万円、仕入債務の減少額9億66百万円、増加要因としての税金等調整前当期純利益8億67百万円、売上債権の減少額4億52百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、22百万円(前年同期は投資活動の結果獲得した資金57百万円)となりました。これは主に、増加要因としての投資有価証券の売却による収入6億62百万円、減少要因としての有形固定資産の取得による支出5億95百万円、投資有価証券の取得による支出41百万円、無形固定資産の取得による支出5百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、7億47百万円(前年同期は財務活動の結果使用した資金7億31百万円)となりました。これは主に、減少要因としての長期借入金の返済による支出4億8百万円、配当金の支払額1億94百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出98百万円、増加要因としての短期借入金の増加額14億50百万円によるものであります。
財務指標のトレンドは以下のとおりであります。
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|
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
2025年 3月期 |
|
自己資本比率(%) |
67.8 |
68.5 |
69.3 |
68.2 |
68.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
30.2 |
22.2 |
21.0 |
21.6 |
22.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
2.9 |
3.8 |
5.4 |
2.6 |
106.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
56.9 |
39.2 |
32.0 |
63.6 |
1.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
北海道 |
1,179,393 |
2.4 |
|
東北・関東 |
13,828,202 |
2.0 |
|
中部 |
2,980,054 |
13.7 |
|
近畿・中四国 |
8,286,803 |
11.8 |
|
九州・沖縄 |
4,650,854 |
5.9 |
|
家庭用品卸売事業計 |
30,925,307 |
6.1 |
|
プラスチック日用品製造事業 |
1,236,333 |
△10.9 |
|
インテリア用品製造・販売事業 |
576,263 |
3.4 |
|
報告セグメント計 |
32,737,905 |
5.3 |
|
その他 |
286,227 |
△22.3 |
|
合計 |
33,024,132 |
5.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は商品仕入価格によっております。
b.受注実績
当社グループは、一部において商品の受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
北海道 |
1,399,654 |
3.2 |
|
東北・関東 |
16,661,644 |
4.1 |
|
中部 |
3,552,012 |
14.9 |
|
近畿・中四国 |
9,961,790 |
13.2 |
|
九州・沖縄 |
5,733,451 |
7.7 |
|
家庭用品卸売事業計 |
37,308,553 |
7.9 |
|
プラスチック日用品製造事業 |
1,760,787 |
△13.5 |
|
インテリア用品製造・販売事業 |
1,421,560 |
3.6 |
|
報告セグメント計 |
40,490,901 |
6.6 |
|
その他 |
458,608 |
△25.0 |
|
合計 |
40,949,509 |
6.1 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおきましては、「中山福グループ 新中期経営計画 NFG2026」を2024年5月に策定し、卸売事業の拡充、ものづくり事業の強化、EC事業の拡大、物流機能の強化を推進しております。当連結会計年度の業績は、営業面におきましては、取引先の営業戦略・販売方針に沿った営業展開が奏功し、売上高は連結業績予想を上回ることができた一方で、損益面におきましては、原材料価格の高騰や円安による仕入価格の上昇の影響に加えて、販路拡大のための価格政策等により価格転嫁が進まなかったため粗利率の回復は想定に比して弱含みで推移し、また、グループ全社を挙げた経費削減についても、物流費の高止まり等もあり想定した効果を上げるには至らず、営業利益、経常利益ともに連結業績予想を下回る結果となりました。これらの状況を踏まえ、2026年3月期におきましては、適正な利益を確保しつつ経費削減の効果が得られる体制づくりをより強化してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
この当社グループの連結財務諸表の作成にあたって以下の事項は、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りの判断が行われている部分があり、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。
a.有価証券の減損
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。
市場価格のない株式等以外のものについては、主に市場価格等の市場情報に基づき決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断しております。
市場価格のない株式等であるものについては、1株当たり純資産価値に基づき、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、減損処理を行っております。ただし、予測不能な前提条件の変化などにより時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
b.固定資産(のれん及び事業資産等)の減損
当社グループでは、固定資産(のれん及び事業資産等)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。
回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを資産固有のリスクを反映した税効果考慮前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しており、将来の市場の成長度合、収益と費用の予想、資産の予想使用期間等の前提条件を使用しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより固定資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社が追加で減損損失を認識する可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループでは、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社及び連結子会社が繰延税金資産を減額する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。