文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは、「企業理念」並びに「経営理念」の下、水産物販売事業を中核とし、冷蔵倉庫事業など食料品に関する多様な事業を営んでおります。
水産物販売事業では、卸売市場法に基づき、京阪神地区を中心とした卸売市場において水産物卸売会社として、集荷・分荷・価格形成等を公正かつ透明性をもって行い、生鮮食料品等を安定して供給する食品流通の核としての役割を担っております。
当社グループの属する水産流通業界は、海洋環境や気候変動等の影響により水産物の漁獲状況が増減するなど様々な要因が経営成績に影響しております。また消費者のライフスタイルの変化とともに水産物に求められるものが変わってきております。
こうした環境下で、国内の水産物消費は減少傾向が続いていますが、海外での需要は高まっています。
当社グループは、こうした水産物の調達面と流通面の変化を捉えて、水産物流通の核としての役割は堅持しつつ、新たな需要の開拓や付加価値の向上に努めてまいります。
『企業理念』
大水グループは、自然の恵みに感謝し、古(いにしえ)からの食文化を守り、新たな食の創造に挑戦していきます
<企業理念に込めた思い>
水産資源の持続的利用と地球環境の保全につながる思い
⇒「自然の恵みに感謝する」
歴史ある日本の食文化の伝統や卸売市場の役割を支えていきたい思い
⇒「古(いにしえ)からの食文化を守る」
様々な環境変化を先取りし、食を通じて人々の健康と幸福に貢献したい思い
⇒「新たな食の創造に挑戦する」
『経営理念』
①水産物流通の担い手として誇りを持ち、人々の健康と幸福に貢献します。
②企業も社員も常に質の向上を目指し、変革を推進していきます。
③社員全員が働きがいの持てる企業を創っていきます。
④企業として顧客、仕入先、株主など関係者からの期待に応え、社会的信頼を高めます。
⑤関西を基盤に世界を視野に入れた活動をしていきます。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「取扱高(注)」及び「経常利益」を収益性判断の重要な指標として位置づけております。
現在の3カ年中期経営計画の最終年度である2022年3月期の数値目標(連結ベース)は、取扱高1,350億円(注)、経常利益7億円であります。しかし、昨年年初からの新型コロナウイルス感染症拡大により社会・経済活動が停滞し、当社グループの2021年3月期の経営成績は大きく影響を受けました。加えて本年3月以降感染力の強い変異株の影響等により、感染の収束に向けては予測不可能な不透明な状況です。従って2022年3月期は、連結ベースで取扱高1,200億円(注)、経常利益3億円を業績予想(2021年5月11日付「2021年3月期決算短信」にて開示)といたしましたが、引き続き上記の中期経営計画の数値目標達成に向け取り組んでまいります。
(注)2021年3月期に適用した会計基準による売上高であります。2022年3月期には「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を適用いたします。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの中心となる水産物卸売事業を取り巻く事業環境は、大変厳しい状況が続いています。イカ、サケ、サンマなどの主要な魚種の漁獲が不安定であったり、水産物流通の多様化により卸売市場を経由しての取扱量が減少したり、消費者ニーズの変化により水産物消費の減少傾向が続いております。加えて、昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大により社会、経済活動が停滞し、飲食業を中心に総じて水産物の需要が減少しています。
一方、健康志向の高まりや魚のおいしさが見直されつつあるなど、水産物に対する潜在需要はあると思われます。また世界での水産物の生産量は中長期的には増加傾向にあり、水産業は成長産業と言われております。
こうした環境下で、2020年6月より改正卸売市場法が施行されました。卸売市場は従来通り食品流通の核と位置付けられつつ、新規需要の開拓や付加価値の向上など新たな役割が求められています。また同年12月より改正漁業法が施行されています。科学的根拠に基づき適切に水産資源の管理を行い、持続的な水産業を進めていくことが明示されました。
水産流通業を取り巻く需要と供給、制度面等の急激かつ大きな環境変化のなかではありますが、2021年度を最終年度とする中期経営3カ年計画で当社グループの<目指す姿>とその実現のために掲げた<5つの課題>を確実にかつスピードをもって実行していくことが、当社グループの社会的使命でありステークホルダーの皆様の期待に応えるものと考えております。
また、当社は2020年4月1日付けで株式会社別府魚市の全株式を取得しました。同社を当社のグループ会社とすることで、大分県を中心とした集荷・販売体制を強化し、更なる事業拡大と企業価値向上を図っていきます。
<目指す姿>
生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売企業になる
<5つの課題>
①営業力と調達力を強くして、成長する。
生産者との関係をより強化する他、流通及び加工の最適な仕組み作りや差別化できる商品を取り扱っていく。
②収益力を高めて、質の向上を図る。
業務の見直しを行い生産性の向上を図り、価値の高い仕事への取り組みや仕事の質を向上させることで収益力の向上につなげていく。また、物流費及び管理費の見直しを行うほか、IT機器の活用を推進していく。
③社員が誇りを持ち、働きがいのある職場にする。
働き方改革を推進し、業務の標準化、IT化等で生産性を高めていくとともに、人事制度の見直し、社員教育の充実を図っていく。
④企業として社会からの信頼を高め、一段上を目指す。
財務体質の強化及びコンプライアンス・ガバナンス体制の強化を図る。また、SDGsへの取り組みや社会貢献活動を充実させていく。
⑤関西を基盤に、世界の水産物市場を視野に入れて活動する。
京阪神を中心に7市場を持つ強みを生かすとともに、グループ会社との連携をより強化し企業価値の向上を図る。またM&Aや業務提携にも積極的に取り組み事業の拡大を目指す。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
当社グループは、水産物卸売会社として中央卸売市場及び地方卸売市場を中心に活動しております。卸売業務は集荷・分荷・価格形成を公正かつ透明性をもって行っており、卸売市場法を中心とした関係法令への対応は重要な事項として認識しております。
水産物卸売業務では、法令改正等により収益構造に変化が生じる可能性がある他、卸売市場法を初めとする関係法令で様々な制約を受けております。卸売市場法等の法令に抵触した場合、業務停止等の処分を受ける可能性があります。そのような事態に陥った場合、財政状態及び経営成績に与える影響は多大であると考えております。
当該リスクが顕在化する蓋然性は高くないものの、顕在化した場合は当社グループに与える影響は大きく、未然防止策として関係法令の遵守・周知徹底や開設者等の検査対応及び各種モニタリングを推進しております。また、2020年6月21日に改正卸売市場法が施行され、取引ルールの緩和や流通の効率化が図られ、市場ごとに特色のある市場づくりが行われる可能性も出てきました。卸売市場を取り巻く環境に様々な変化が起こると思われますが、当社グループとしては時代の変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築し、新たな需要の開拓や付加価値の向上に取り組んでおります。
(2)市況変動等について
当社グループの主力事業は水産物販売事業であり、天候の影響で水産物の入荷量や市況が日々変動することがあります。このほか、自然災害や海洋汚染等の影響による生産供給と消費需要の減少、資源保護による漁獲制限、政策的な輸出入の制限等も発生頻度は高くないものの、市況を変動させる要因となっております。
当社グループは水産物販売を主な収益源としているため、水産物需給の大幅な減退や市況の暴落等の事態に陥った場合は、仕入及び販売に影響を与える影響があります。
また前連結会計年度において経営成績に大きな影響を与えたコロナウイルス感染症などの疫病の発生は外食・旅行等の需要を大幅に減少させる原因となります(前連結会計年度の具体的な影響については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析に記載しております。)。同感染症の影響が継続した場合、もしくは新たな疫病が発生した場合など、消費者の飲食に対する支出動向が変化もしくは制限された場合、販売に与える影響は大きなものとなり、当社グループの利益・所得を低下させる可能性があります。
当該リスクへの対応策として、営業本部が主体となり在庫管理を徹底することで価格変動リスクの低減を図っております。また、入荷が不安定にならないよう、全国各地の産地出荷者との関係を強化することで、水産物を安定的に集荷する体制づくりに努める一方で、消費者の飲食に対する支出先の変化に対応した販売活動に取り組んでまいります。
(3)食品の安全性について
「食」の安全性に対する消費者の関心が高まるなか、当社グループは「生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売会社」として、安全で安心な水産物を安定的に供給するということを責務と考えております。
食品を取り扱う上で品質管理の不備や衛生管理の不備、食品情報の伝達に関する不備等、様々なリスクが常に内在しております。
当該リスクが顕在化した場合、食品の回収や廃棄、損害賠償責任等に費用が必要となる他、社会的信頼の低下により仕入及び販売の状況に影響を与える可能性が考えられます。
当該リスクへの対応策として、品質管理委員会を設置し、品質管理活動の方針決定や当該活動状況のチェック等を実施しております。また、営業本部内に品質管理専任者を配置し、品質管理の周知・指導を実施しております。2021年6月には改正食品衛生法が完全施行され、HACCPに沿った衛生管理が義務化されました。当社においても、部署ごとに衛生管理計画書を策定して実施状況を記録し、より厳格な衛生管理に取り組んでおります。
(4)新規人材確保と業務ノウハウの継承について
当社グループの継続的な成長には人材の確保と育成が必要不可欠となります。
現在当社の社員構成は、中高年者の割合が高くなっております。中長期的な業務ノウハウ継承のためには、若年層の拡充と早期育成が必要となってきております。しかしながら、人口減少社会の中、新卒採用を中心とした若年者の採用が困難となってきており、今後、若年層の人材確保や育成が停滞した場合には、基幹的な業務ノウハウの空洞化が発生することが懸念されます。そのような事態に陥った場合、仕入及び販売の状況に影響を与える可能性が考えられます。
当該リスクへの対応策として、採用の強化のため人事法務部に専任担当者を配置し、年間採用活動を重点的に実施することで、今後、業務ノウハウの継承を維持できる人員数の確保を行っております。また、若年層の早期離脱を防止するため、福利厚生制度の充実により他社との差別化を図るとともに、各配属先にて教育プランを策定することで、計画的な人材教育・育成を推進しております。
(5)基幹システムについて
当社グループの基幹コンピュータシステムは、全社各部署で活用され、業務遂行の生命線を担っていると言っても過言ではありません。主要事業である水産物卸売業務に関するコンピュータシステム「全社統合システム」は、稼働品質を向上させるため、運用委託会社が管理するデータセンターに設置しております。
地震や水害などの自然災害によりシステムが停止する可能性はありますが、当該データセンターでは、このような事態になっても数日間の稼働が可能な体制を構築している他、必要なデータは、バックアップを取り不測の事態が発生した場合にも備えております。
また、自然災害以外のリスクとして、外部からのサイバー攻撃及びその他の不正アクセス並びにウィルス感染等により情報の流出やシステムの機能停止、誤作動が生じる可能性が常にあります。このようなサイバーセキュリティ対策として、情報セキュリティポリシーに基づいたUTM(統合脅威管理)や情報端末機器のセキュリティ対策管理システムを導入し安全対策を行っております。
当該リスクへの対応策として、上記の他に様々な事態を想定し対策を講じておりますが、基幹システムに停止、異常などの事態が発生した場合、取引先へのサービスに支障をきたす可能性があります。そのような場合には当社グループの仕入及び販売の状況に影響を与える可能性があります。
(6)情報漏えいについて
当社グループは全国各地に取引先を持つため、顧客の信用情報を含めた個人情報並びに取引条件等の当社事業に関する情報等を扱っております。当該情報は業務を行ううえで必要不可欠な情報であると同時に慎重な取扱いが求められます。
個人情報の取扱いは厳格に行っておりますが、当社グループ又は業務委託先等から、個人情報の漏えいや紛失、毀損又は不正利用等が発生した場合、当社グループの信用毀損、損害賠償責任を招き、経営成績に影響を与える恐れがある他、個人情報取扱事業者として法令に違反した場合、罰則や勧告、命令等の行政処分を受ける可能性があります。そのような場合、信用低下や経営状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会が中心となり、個人情報並びに特定個人情報の適正な取扱いを策定し、安全管理等の維持・推進に取り組んでおります。
(7)営業債権の貸倒について
当社グループは営業力の強化を図り成長を目指すうえで、販売の増加は貸倒リスクの規模を増大させ、当該事業は自然環境をはじめとする様々な要因による価格変動や需給関係の変化の影響を受けやすく、また、新型コロナウイルス感染症の影響の収束が見通せない中、いわゆる「コロナ融資」にて資金不足を回避している取引先については、今後、同融資の返済時期に実質的な資金不足の発生が考えられ、貸倒リスクの顕在化の蓋然性は高くなる傾向が強いと認識しております。
顕在化する時期については特に偏りはありませんが、第4四半期の前半には当社グループの繁忙期である年末を越えた営業債権が他の時期に比べて多い状況にあるため、この時期に大口債権の貸倒が発生した場合は、貸倒引当金の計上による経営成績等に与える影響額は相対的に大きくなる可能性があります。
当該リスクへの対応策として、影響の最小化を図る与信管理や販売先の定性情報の収集に努めるなどの一般的な債権管理に加え、ファクタリングによる実効性の高いリスク回避策にも取り組み、貸倒リスクの低減に取り組んでおります。
(8)投資有価証券の時価下落による減損処理について
当社グループは売上・仕入の取引拡大等を目的として、また安定した営業外収益確保のため上場有価証券を有しております。
当連結会計年度末においては、連結財務諸表の注記事項(有価証券関係)に記載のとおり、連結貸借対照表計上額が取得原価を超える銘柄が多数を占めており、平時において減損処理を行うリスクは極めて低いと考えております。
ただし、個別の銘柄の発行会社にて信用不安等の特別な事象が発生した場合には、投資有価証券評価損の計上により経営成績等に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、各銘柄の保有効果、時価情報、配当率を確認し、定性情報も注視して管理しております。
(9)保有不動産の時価下落等による減損処理について
当社グループが保有する主要な不動産は、時価の下落の程度やその他の影響により減損損失の計上対象となる可能性があります。ただし、当該不動産は事業用もしくは賃貸用として活用中であり、時価の下落が直ちに経営成績等に影響を与えるものではありません。また、現時点においては、経営成績等に重要な影響を与える減損損失を計上するリスクは低いと考えております。
当該リスクへの対応策として、不動産時価情報を定期的に監視するとともに、より好条件での用途での活用を検討するなど常に活用方法の見直しに取り組んでおります。
(10)コンプライアンスに関する事項について
当社グループは、企業・社員が常に質の向上を目指し、コンプライアンスに即した行動をとるための仕組みづくりに取り組んでおります。
しかしながら、様々な取組を実施しても、営業取引における不適切な売上計上や誤謬による会計不正リスク、働き方改革等への不十分な対応による労務不正リスク等、完全にコンプライアンス違反を回避することはできず、潜在的にその発生可能性を有しています。
当該リスクが顕在化した場合、社会的な信用が低下し、顧客との取引停止による売上高減少や多額の損害賠償の請求を受けるなど、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会を設置し、当社グループに内在するリスクやコンプライアンス推進上の課題を可視化して、そのひとつひとつに具体策を講じており、ガバナンス体制の強化、コンプライアンス意識の徹底に取り組んでおります。
(11)自然災害、疫病等について
当社グループは水産物流通の担い手として、生鮮食料品等の安定供給を使命としております。そのため、事業継続が脅かされるような、地震、津波、台風等の自然災害及び火災並びに疫病等が発生した場合でも、生鮮食料品の安定供給という卸売市場の果たすべき役割・機能を維持、継続していくことを社会的に求められる中、不測の事態への対応は重要な課題であると認識しております。しかしながら、自然災害及び火災並びに疫病等の発生時期を予見することは非常に困難であり、事前に準備できる対策も限定的となります。
地震、津波、台風等の自然災害及び火災が発生した場合、当社グループの資産が毀損すること等により財務状況が悪化することが考えられます。また、疫病等が蔓延した場合、水産物需要の減少及び流通の停滞並びに従業員の欠勤等により、仕入及び販売等に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、リスクマネジメント会議を設置し、様々なリスクについて協議を行う他、災害時のBCP計画も策定しております。また、上記会議に限らず緊急性を要する事案が発生した場合は、代表取締役指揮のもと臨時の対策本部を設置し、適宜様々な対応策について協議、実行いたします。
なお、現在世界的に流行している新型コロナウイルス感染症については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令された状況においても、卸売市場は国民生活に必要不可欠な食品の重要な流通拠点であるとの認識から休業要請の対象外となっており、感染拡大防止を前提として生鮮食料品の安定供給の観点から、事業継続を要請されました。農林水産省から発出された「食品産業事業者の従業員に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン」を踏まえ、業務停止等をすることなく、人員、物的資源等を確保し事業継続するという重要な役割・使命を果たしております。現在、当社グループでは、感染の未然防止及び拡大防止への対応のため対策本部を設置しており、その決定に従い、接触感染予防策や飛沫感染予防策を継続して行ったほか、一部ではリモートワークを導入するなど様々な対策を講じました。また感染者発生時には、直ちに周辺を消毒し、卸売市場開設者に報告するとともに、ホームページにて情報開示を行いました。これらの対策及び対応は、一定の成果を挙げることができております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり雇用や所得環境は改善が続いた一方、海外経済の不透明感から輸出や生産に弱さがみられるなど、力強さに欠ける状況となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で経済活動は急速に落ち込んでいくなど、先行きは不透明な状況となりました。
当水産流通業界におきましては、国際的な水産物需要が高まった影響もあり、仕入れコストは上昇が続くなか、漁獲量の減少や暖冬の影響などもあり国内での荷動きは伸び悩みました。また、第4四半期にかけて発生した新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で内食需要は伸びているものの、外食需要は大きく減少するなど、厳しい経営環境となりました。
このような状況のもと、当社グループでは、安全・安心な水産物を安定供給するという社会的使命を果たすべく、産地出荷者とのネットワークの強化や海外との取引強化等に努めてまいりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は1,142億39百万円(前期比8.7%減)となりました。損益面では、貸倒引当金繰入額2億29百万円(当社の販売先の財政状態及び経営成績を勘案し、同社への営業債権に対する個別引当金1億73百万円、及び当該処理により貸倒実績率が上昇したことに伴う一般債権に対する引当金55百万円)が発生した結果、営業損失は81百万円(前期は2億72百万円の営業利益)、経常利益は46百万円(前期比88.3%減)、投資有価証券売却益6億16百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6億53百万円(前期比288.5%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(水産物販売事業)
水産物販売事業は、当連結会計年度をとおして新型コロナウイルス感染症の影響により大変厳しい経営環境となりました。2020年4月7日に発出された1回目の緊急事態宣言により様々な経済活動が自粛を余儀なくされ、旅行・外食などの機会が大幅に減少しました。2020年5月25日の宣言解除後には政府による景気刺激策などにより回復傾向がみられましたが、飲食業などでは「新しい生活様式」への対応を求められるなど引き続き一定の制約が設けられ、従来の水準までの回復には至りませんでした。2021年1月13日には再び緊急事態宣言が発せられ、解除後も時短要請が継続されるなど、年末年始や期末の宴会需要が大きな影響を受け、養殖マダイや高価格帯の天然鮮魚などの商材は販売が伸び悩みました。
一方で、量販店への販売は外食需要減の反動による内食へのシフトに伴い順調な販売となりました。上期には主力商材として期待したサンマ等の青魚が不漁などの影響もありましたが、第3四半期には年末商材のカニなどを中心に好調に推移しました。しかしながら、外食需要の低下をカバーするには至らず、売上高は1,140億55百万円(前期比8.7%減)となり、セグメント利益は86百万円(前期比81.0%減)となりました。
(冷蔵倉庫等事業)
冷蔵倉庫等事業は、売上高が2億38百万円(前期比2.4%減)となり、セグメント利益は3百万円(前期比48.3%減)となりました。
b.財政状態の概要
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は145億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億28百万円減少しました。これは主に現金及び預金が6億29百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が2億7百万円、商品及び製品が6億69百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は56億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億30百万円増加しました。これは主に投資有価証券が4億3百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は201億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億1百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は93億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ45百万円減少しました。これは主に1年以内償還予定社債が5億円増加した一方で、支払手形及び買掛金が6億円減少したこと等によるものであります。固定負債は31億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億94百万円減少しました。これは主に社債が5億円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は124億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億40百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は76億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億41百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を6億53百万円計上したこと等により利益剰余金が5億84百万円、その他有価証券評価差額金が2億96百万円増加した一方で、自己株式の取得により自己株式が1億19百万円増加(純資産合計に対しては減少)したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は38.1%(前連結会計年度末は34.2%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、33億75百万円(前連結会計年度末比4億29百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2億85百万円(前連結会計年度は2億70百万円の支出)となりました。これは主に、売上債権が4億31百万円、たな卸資産が6億76百万円それぞれ減少した一方で、負債の部で仕入債務が7億15百万円減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は3億38百万円(前連結会計年度は3億51百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入に2億円支出した一方で、投資有価証券の売却により6億38百万円獲得したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は1億94百万円(前連結会計年度は90百万円の支出)となりました。これは主に自己株式の取得により1億19百万円、配当金の支払いにより68百万円支出したこと等によるものであります。
また、キャッシュ・フローの指標のトレンドは以下のとおりであります。
(キャッシュ・フローの指標)
|
|
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
31.2 |
31.4 |
32.1 |
34.2 |
38.1 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
16.2 |
17.5 |
15.0 |
14.4 |
16.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
5.5 |
5.8 |
2.3 |
- |
9.4 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
22.5 |
21.2 |
50.3 |
- |
14.9 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※2020年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③仕入及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
水産物販売事業(百万円) |
105,666 |
90.0 |
|
冷蔵倉庫等事業(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
105,666 |
90.0 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
水産物販売事業(百万円) |
114,055 |
91.3 |
|
冷蔵倉庫等事業(百万円) |
238 |
97.6 |
|
合計(百万円) |
114,293 |
91.4 |
(注)1.セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する記述は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績は、売上高については1,142億39百万円(前期比8.7%減)となりました。当年度は新型コロナウイルス感染症の影響による経済・社会活動の停滞で個人消費や企業収益が落ち込みました。特に緊急事態宣言下での外出・移動の自粛要請、飲食店への時短営業や休業要請により、飲食店・ホテル・旅館等の業務筋の需要が低迷しました。その為、当社グループでは高価格帯の生鮮水産品を中心に販売が苦戦いたしました。
業務筋での消費が低迷する一方、消費者の家庭内での飲食の機会は増加し量販店等での水産物の売上は増加しました。当社グループにおいても量販店向けへの売上は増加傾向となり、特に年末はカニなどの高級商材やおせち料理などが所謂「すごもり需要」により消費が進み、当社グループの売上にも寄与しました。
しかし、家庭内消費の伸長も業務筋への販売減少分を取り戻すには至らず、また、海外販売の減少、養殖魚の販売単価の低下などの要因もあり、全体的には大幅な売上減少となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染の影響を大きく受けました。水産物消費の動向は急激に大きく変化しました。来期も水産物の消費動向については先の見通せない状況ですが、当社グループの主たる営業拠点である中央・地方卸売市場が、いかなる環境下でも食の安定供給を果たすべく食品流通の中核を担うという使命は変わりません。マーケットの変化に対応しつつ、当社グループの水産物の安定した調達と供給の使命を果たしてゆきたいと考えます。
利益面では営業損失81百万円(前期は2億72百万円の営業利益)、経常利益46百万円(前期比88.3%減)と大幅な減益となりました。大口債権に対する回収懸念に対する個別引当及びそれに伴う貸倒実績率の上昇による引当金の増加を合わせて2億29百万円の影響は大きく、2009年3月期以来の営業赤字という結果になりました。今後は同債権の回収及び同様の債権回収リスクの低減に向けた取り組みに努めてまいります。
当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「取扱高(注)」及び「経常利益」を収益性判断の重要な指標として位置づけております。
現在の3カ年中期経営計画の最終年度である2022年3月期の数値目標(連結ベース)は、取扱高(注)1,350億円、経常利益7億円であります。しかし、昨年年初からの新型コロナウイルス感染症拡大により社会・経済活動が停滞し、当社グループの2021年3月期の経営成績は大きく影響を受けました。加えて本年3月以降感染力の強い変異株の影響等により、感染の収束に向けては予測不可能な不透明な状況です。従って2022年3月期は、連結ベースで取扱高(注)1,200億円、経常利益3億円を業績予想(2021年5月11日付「2021年3月期決算短信」にて開示)といたしましたが、引き続き上記の中期経営計画の数値目標達成に向け取り組んでまいります。
(注)2021年3月期に適用した会計基準による売上高であります。2022年3月期には「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を適用いたします。
(財政状態)
当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が201億65百万円(前年同期比2億1百万円増)、負債合計については、124億91百万円(前年同期比6億40百万円減)となりました。「現金及び預金」が6億29百万円増加しておりますが、これは投資有価証券を売却したことによるものであります。
(セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容)
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討については、当社グループの報告セグメントにおける水産物販売事業の比率が極めて高いため、上記の事業全体に係る記載内容と概ね同一と考えられます。よって、セグメントごとの記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2億85百万円の収入(前連結会計年度は2億70百万円の支出)となりました。当連結会計年度は営業赤字となりましたが、資金面では営業キャッシュ・フローを確保できております。
また、投資活動によるキャッシュ・フローの収入は主に投資有価証券の売却によるものであり、非経常的な資金の収入であります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当連結会計年度末の資金調達の総額は27億円(前年同期比増減なし)となりました。前連結会計年度末には固定負債であった社債5億円は償還まで1年未満となりましたので、流動負債に計上しております。現時点での償還に係る資金手当てについては未定であります。
資金調達の総額に占める流動・固定の比率は資産のバランスに見合った長期資金を調達する方針としております。
2022年3月期の資金支出については、会計システム等への資本的支出を見込んでおりますが、自己資金での対応を予定しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、≪第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項≫ に記載しているとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計基準の範囲内で一定の見積りがなされ、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
なお、当連結会計年度の繰延税金資産の計上(連結貸借対照表上では繰延税金負債に含む)における将来の課税所得の見積もりにつきましては、≪第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項≫ に記載しているとおりであります。
ただし、その前提については経済活動の回復ペースなど不確実性が高い内容を含んでおり、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
当社は下記のとおり経営支援に関する合意書を締結しております。
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相手先 |
期間 |
内容 |
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日本水産㈱ |
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当社は日本水産㈱との間で2009年3月27日付で、同社による当社への資本参加とそれに伴う役員派遣及び資金支援等の経営支援に関する基本合意書を締結しました。 |
該当事項はありません。