第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

当社グループは、「企業理念」並びに「経営理念」の下、水産物販売事業を中核とし、冷蔵倉庫事業など食料品に関する多様な事業を営んでおります。

水産物販売事業では、卸売市場法に基づき、京阪神地区を中心とした卸売市場において水産物卸売会社として、集荷・分荷・価格形成等を公正かつ透明性をもって行い、生鮮食料品等を安定して供給する食品流通の核としての役割を担っております。

当社グループの属する水産流通業界は、海洋環境や気候変動等の影響により水産物の漁獲状況が増減するなど様々な要因が業績に影響しております。また消費者のライフスタイルの変化とともに水産物に求められるものが変わってきております。

こうした環境下で、国内の水産物消費は減少傾向が続いていますが、海外での需要は高まっています。

当社グループは、こうした水産物の調達面と流通面の変化を捉えて、水産物流通の核としての役割は堅持しつつ、新たな需要の開拓や付加価値の向上に努めてまいります。

 

『企業理念』

大水グループは、自然の恵みに感謝し、古(いにしえ)からの食文化を守り、新たな食の創造に挑戦していきます

 

<企業理念に込めた思い>

水産資源の持続的利用と地球環境の保全につながる思い

 ⇒「自然の恵みに感謝する」

歴史ある日本の食文化の伝統や卸売市場の役割を支えていきたい思い

 ⇒「古(いにしえ)からの食文化を守る」

様々な環境変化を先取りし、食を通じて人々の健康と幸福に貢献したい思い

 ⇒「新たな食の創造に挑戦する」

 

『経営理念』

 ①水産物流通の担い手として誇りを持ち、人々の健康と幸福に貢献します。

 ②企業も社員も常に質の向上を目指し、変革を推進していきます。

 ③社員全員が働きがいの持てる企業を創っていきます。

 ④企業として顧客、仕入先、株主など関係者からの期待に応え、社会的信頼を高めます。

 ⑤関西を基盤に世界を視野に入れた活動をしていきます。 

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの中心となる水産物卸売事業を取り巻く事業環境は、大変厳しい状況が続いています。イカ、サケ、サンマなどの主要な魚種の漁獲が不安定であったり、水産物流通の多様化により卸売市場を経由しての取扱量が減少したり、消費者ニーズの変化により水産物消費の減少傾向が続いております。加えて、一昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大により経済・社会活動が停滞し、飲食業を中心に総じて水産物の需要が減少しております。

一方、健康志向の高まりや魚のおいしさが見直されつつあるなど、水産物に対する潜在需要はあると思われます。また世界での水産物の生産量は中長期的には増加傾向にあり、水産業は成長産業と言われております。

こうした状況を背景に、2020年6月に改正卸売市場法、同年12月に改正漁業法が施行され、2022年12月には、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(水産流通適正化法)が施行されます。生産から流通そして小売に至るまで、水産資源を科学的根拠に基づいて適切に管理し、持続可能な産業へと進化させることが求められております。

今後予想される世界的な需要の増大と、あらたな法制度によって、急激かつ大きな環境変化の中ではありますが、以下に記載した当社グループの<目指す姿>の実現のため、<5つ課題>を確実かつスピードをもって実行していくことが、当社グループの社会的使命でありステークホルダーの皆様の期待に応えるものであると考えます。

また、2022年4月より、新人事賃金制度を導入しました。社員一人一人の知識、技能、経験、強みは様々です。それぞれの社員が最大限に力を発揮し、組織に貢献し、評価され、成長しながら将来のキャリアプランを描けるようにするのが目的です。この新制度を早期に定着させ、成長につなげるため、人材力を高め組織力を向上させ、中長期的な当社の成長につなげてまいります。

 

 

<目指す姿>

生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売企業になる

 

<5つの課題>

①営業力と調達力を強くして、成長する。

生産者との関係をより強化する他、流通及び加工の最適な仕組み作りや差別化できる商品を取り扱っていく。

②収益力を高めて、質の向上を図る。

業務の見直しを行い生産性の向上を図り、価値の高い仕事への取り組みや仕事の質を向上させることで収益力の向上につなげていく。また、物流費及び管理費の見直しを行うほか、IT機器の活用を推進していく。

③社員が誇りを持ち、働きがいのある職場にする。

働き方改革を推進し、業務の標準化、IT化等で生産性を高めていくとともに、人事制度の見直し、社員教育の充実を図っていく。

④企業として社会からの信頼を高め、一段上を目指す。

財務体質の強化及びコンプライアンス・ガバナンス体制の強化を図る。また、SDGsへの取り組みや社会貢献活動を充実させていく。

⑤関西を基盤に、世界の水産物市場を視野に入れて活動する。

京阪神を中心に7市場を持つ強みを生かすとともに、グループ会社との連携をより強化し企業価値の向上を図る。またM&Aや業務提携にも積極的に取り組み事業の拡大を目指す。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「取扱高(※)」及び「経常利益」を重要な指標として位置づけております。

2019年度からの3カ年中期経営計画の最終年度である2021年度数値目標(連結ベース)は、取扱高(※)1,350億円、経常利益7億円でした。しかし、2020年年初からの新型コロナウイルス感染症拡大により経済・社会活動が低迷し、当社グループの業績にも大きく影響したため、2021年度の目標数値を取扱高1,200億円、経常利益3億円としておりましたが、結果は取扱高1,140億36百万円、経常損失1億19百万円となりました。

(※)2020年度適用の会計基準による売上高であり、2021年度より収益認識会計基準等を適用したことにより取扱高としております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、本年2月以降のウクライナ情勢の悪化等もあり水産物を含め物価が大幅に上昇し、先行きは一層不透明さを増しております。このような状況を踏まえ、2022年度の見通しを精査のうえ、連結売上高908億円(収益認識会計基準等適用後)、経常利益3億30百万円を目標数値といたします。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)法的規制について

当社グループは、水産物卸売会社として中央卸売市場及び地方卸売市場を中心に活動しております。卸売業務は集荷・分荷・価格形成を公正かつ透明性をもって行っており、卸売市場法を中心とした関係法令等への対応は重要な事項として認識しております。

水産物卸売業務では、法令改正等により収益構造に変化が生じる可能性がある他、卸売市場法を初めとする関係法令等で様々な制約を受けております。卸売市場法などの法令等に抵触した場合、市場開設者から業務停止等の処分を受ける可能性があります。そのような事態に陥った場合、財政状態及び経営成績に与える影響は多大であると考えております。

当該リスクが顕在化する蓋然性は高くないものの、顕在化した場合は当社グループに与える影響は大きく、未然防止策として関係法令等の遵守・周知徹底や開設者等の検査対応及び各種モニタリングを推進しております。また、2020年6月21日に改正卸売市場法が施行され、取引ルールの緩和や流通の効率化が図られ、市場ごとに特色のある市場づくりが進められております。卸売市場を取り巻く環境に様々な変化が起こると思われますが、当社グループとしては時代の変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築し、新たな需要の開拓や付加価値の向上に取り組んでおります。

 

(2)市況変動等について

 当社グループの主力事業は水産物販売事業であり、天候の影響で水産物の入荷量や市況が日々変動することがあります。このほか、自然災害や海洋汚染等の影響による生産供給と消費需要の減少、資源保護による漁獲制限、政策的な輸出入の制限等も発生頻度は高くないものの、市況を変動させる要因となっております。

 当社グループは水産物販売を主な収益源としているため、水産物需給の大幅な減退や市況の暴落等の事態に陥った場合は、仕入及び販売に影響を与える可能性があります。

 前連結会計年度において経営成績に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症などの疫病の発生は外食・旅行等の需要を大幅に減少させる原因となります(前連結会計年度の具体的な影響については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析に記載しております。)。同感染症の影響が継続した場合、もしくは新たな疫病が発生した場合など、消費者の飲食に対する支出動向が変化もしくは制限された場合、販売に与える影響は大きなものとなり、当社グループの利益・所得を低下させる可能性があります。

 また、ウクライナ情勢に関しては、現状ロシア産水産物の関税が引き上げられておりますが、今後の情勢次第ではより強力な輸出入の制限が課せられることも考えられます。そのような事態に陥った場合、水産物の供給量の減少や市況の高騰が生じ、仕入及び販売に影響が及ぶ可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、営業本部が主体となり在庫管理を徹底することで価格変動リスクの低減を図っております。また、入荷が不安定にならないよう、全国各地の産地出荷者との関係を強化することで、水産物を安定的に集荷する体制づくりに努める一方、消費者の飲食に対する支出先の変化に対応した販売活動に取り組んでまいります。

 

(3)食品の安全性について

「食」の安全性に対する消費者の関心が高まるなか、当社グループは「生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売会社」として、安全で安心な水産物を安定的に供給するということを責務と考えております。

食品を取り扱う上で品質管理の不備や衛生管理の不備、食品情報の伝達に関する不備等、様々なリスクが常に内在しております。

当該リスクが顕在化した場合、食品の回収や廃棄、損害賠償責任等に費用が必要となる他、社会的信頼の低下により仕入及び販売の状況に影響を与える可能性が考えられます。

当該リスクへの対応策として、品質管理委員会を設置し、品質管理活動の方針決定や当該活動状況のチェック等を実施しております。また、営業本部内に品質管理専任者を配置し、品質管理の周知・指導を実施しております。2021年6月には改正食品衛生法が完全施行され、HACCPに沿った衛生管理が義務化されました。当社においても、部署ごとに衛生管理計画書を策定して実施状況を記録し、より厳格な衛生管理に取り組んでおります。

 

(4)新規人材確保と業務ノウハウの継承について

当社グループの継続的な成長には、優秀な人材の確保と育成・活用が必要不可欠となります。

現在当社の社員構成は、中高年者の割合が高くなっております。中長期的な業務ノウハウ継承のためには、若年層の拡充と早期育成が必要です。一方で、人口減少とともに若年層の割合が減少し、新卒採用を中心とした若年者の採用が困難となってきております。今後、若年者の人材確保や育成が停滞した場合には、基幹的な業務ノウハウの空洞化が発生することが懸念されます。そのような事態に陥った場合、仕入販売等の事業活動に影響を与える可能性が考えられます。

当該リスクへの対応策として、新卒採用強化のため、人事法務部に専任担当者を配置し、通年での採用活動を実施することで、業務ノウハウの継承を維持できる人員の確保を行っております。また2022年4月より新たな人事賃金制度を導入し、社員の各資格等級に求める能力要件を明確化し、それに基づき体系化された教育研修制度を段階的に実施することで、入社後の若年社員の早期離脱防止と人財の早期育成・活用を実現していきます。

 

(5)基幹システムについて

 当社グループの基幹コンピュータシステムは、全社各部署で使用され、業務遂行の生命線を担っていると言っても過言ではありません。主要事業である水産物卸売業務に関するコンピュータシステム「全社統合システム」は、稼働品質を向上させるため、保守委託会社が管理するデータセンターに設置しております。

 地震や水害などの自然災害によりシステムが停止する可能性はありますが、当該データセンターでは、このような事態になっても数日間の稼働が可能な環境および運用体制を構築している他、必要なデータは、バックアップを取り不測の事態が発生した場合にも備えております。

 また、自然災害以外のリスクとして、外部からのサイバー攻撃及びその他の不正アクセス並びにウィルス感染等により情報の流出やシステムの機能停止、誤作動が生じる可能性が常にあります。このようなサイバーセキュリティ対策として、情報セキュリティポリシーに基づいたUTM(統合脅威管理)や情報端末機器のセキュリティ対策管理システムを導入し、日々安全対策を行っております。

 当該リスクへの対応策として、上記の他に様々な事態を想定し対策を講じておりますが、基幹システムに停止、異常などの事態が発生した場合、取引先へのサービスに支障をきたす可能性があります。そのような場合には当社グループの仕入及び販売の状況に影響を与える可能性があります。

 

(6)情報漏えいについて

当社グループは全国各地に取引先を持つため、顧客の信用情報を含めた個人情報並びに取引条件等の当社事業に関する情報等を扱っております。当該情報は業務を行ううえで必要不可欠な情報であると同時に慎重な取扱いが求められます。

個人情報の取扱いは厳格に行っておりますが、当社グループ又は業務委託先等から、個人情報の漏えいや紛失、毀損又は不正利用等が発生した場合、当社グループの信用毀損、損害賠償責任を招き、経営成績に影響を与える恐れがある他、個人情報取扱事業者として法令に違反した場合、罰則や勧告、命令等の行政処分を受ける可能性があります。そのような場合、信用低下や経営状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会が中心となり、個人情報並びに特定個人情報の適正な取扱いを策定し、安全管理等の維持・推進に取り組んでおります。

 

(7)営業債権の貸倒について

 当社グループは営業力の強化を図り成長を目指すうえで、販売の増加は貸倒リスクの規模を増大させ、当該事業は自然環境をはじめとする様々な要因による価格変動や需給関係の変化の影響を受けやすく、また、新型コロナウイルス感染症の影響の収束が見通せない中、いわゆる「コロナ融資」にて資金不足を回避している取引先については、今後、同融資の返済時期に実質的な資金不足の発生が考えられ、貸倒リスクの顕在化の蓋然性は高くなる傾向が強いと認識しております。

 顕在化する時期については特に偏りはありませんが、第4四半期の前半には当社グループの繁忙期である年末を越えた営業債権が他の時期に比べて多い状況にあるため、この時期に大口債権の貸倒が発生した場合は、貸倒引当金の計上による経営成績等に与える影響額は相対的に大きくなる可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、影響の最小化を図る与信管理や販売先の定性情報の収集に努めるなどの一般的な債権管理に加え、ファクタリングによる実効性の高いリスク回避策にも取り組み、貸倒リスクの低減に取り組んでおります。

 

(8)投資有価証券の時価下落による減損処理について

当社グループは売上・仕入の取引拡大等を目的として、また安定した営業外収益確保のため上場有価証券を有しております。

当連結会計年度末においては、連結財務諸表の注記事項(有価証券関係)に記載のとおり、連結貸借対照表計上額が取得原価を超える銘柄が多数を占めており、平時において減損処理を行うリスクは極めて低いと考えております。

ただし、個別の銘柄の発行会社にて信用不安等の特別な事象が発生した場合には、投資有価証券評価損の計上により経営成績等に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、各銘柄の保有効果、時価情報、配当率を確認し、定性情報も注視して管理しております。

 

(9)不動産等の事業用資産の減損処理について

 当社グループが保有する不動産等の事業用資産は、経営成績の低迷、不動産価額の下落の程度やその他の影響等により、減損損失の計上対象となる可能性があります。

 ただし、賃貸用不動産の主要な物件については収益を獲得しており、直ちに経営成績等に影響を与えるものではありません。また、不動産を含む事業用資産については、新型コロナウイルス感染症の影響により当連結会計年度に減損の兆候を認識したものの、減損損失を認識するには至っておりません。

 当該リスクへの対応策として、安定した業績を上げるよう努めるとともに、不動産価額の動向把握に努め、より好条件での活用を検討するなど常に活用方法の見直しに取り組んでおります。

 

(10)コンプライアンスに関する事項について

当社グループは、企業・社員が常に質の向上を目指し、コンプライアンスに則した行動をとるための仕組みづくりに取り組んでおります。

しかしながら、様々な取り組みを実施しても、営業取引上の不適切な売上計上や過誤による会計不正リスク、働き方改革等への不十分な対応による労務トラブルリスク等、完全にコンプライアンス上の問題を回避することは困難で、潜在的にその発生の可能性を有しております。

当該リスクが顕在化した場合には、社会的な信用が低下し、顧客との取引停止・縮小による売上高減少や、多額の損害賠償請求を受けるなど、当社業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会を設置し、当社グループに内在するリスクやコンプライアンス推進上の課題を可視化して、そのひとつひとつに具体策を講じており、ガバナンス体制の強化、コンプライアンス意識の徹底に取り組んでおります。

 

(11)自然災害、疫病等について

当社グループは水産物流通の担い手として、生鮮食料品等の安定供給を使命としております。そのため、事業継続が脅かされるような、地震、津波、台風等の自然災害及び火災並びに疫病等が発生した場合でも、生鮮食料品の安定供給という卸売市場の果たすべき役割・機能を維持、継続していくことを社会的に求められる中、不測の事態への対応は重要な課題であると認識しております。しかしながら、自然災害及び火災並びに疫病等の発生時期を予見することは非常に困難であり、事前に準備できる対策も限定的となります。

地震、津波、台風等の自然災害及び火災が発生した場合、当社グループの資産が毀損すること等により財務状況が悪化することが考えられます。また、疫病等が蔓延した場合、水産物需要の減少及び流通の停滞並びに従業員の欠勤等により、仕入及び販売等に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、リスクマネジメント会議を設置し、様々なリスクについて協議を行う他、災害時のBCP計画も策定しております。また、上記会議に限らず緊急性を要する事案が発生した場合は、代表取締役の指揮の下、臨時の対策本部を設置し、適宜様々な対応策について協議、実行いたします。

なお、現在国内にて流行している新型コロナウイルス感染症については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令された状況においても、卸売市場は国民生活に必要不可欠な食品の重要な流通拠点であるとの認識から休業要請の対象外となっており、感染拡大防止を前提として生鮮食料品の安定供給の観点から、事業継続を要請されました。農林水産省から発出された「食品産業事業者の従業員に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン」を踏まえ、業務停止等をすることなく、人員、物的資源等を確保し事業継続するという重要な役割・使命を果たしております。現在、当社グループでは、感染予防及び拡大防止への対応のため対策本部を設置しており、その決定に従い、接触感染予防策や飛沫感染予防策を継続して行ったほか、一部ではリモートワークを導入するなど様々な対策を講じました。また感染者発生時には、直ちに当感染者の勤務エリア周辺を消毒し、卸売市場開設者に報告を行いました。これらの対策及び対応は、一定の成果を挙げることができております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号  2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。そのため、以下の経営成績に関する説明は、売上高については増減額を記載しておりません。収益認識会計基準等の適用の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表に関する注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出により経済・社会活動が制限される状況となりました。感染者数の減少した時期においては経済・社会活動の制限が緩和され、消費が回復に向かう動きもありました。しかし、変異株の出現等により感染者が増加に転じると、再び消費は減退しました。また第4四半期(1月~3月)においては、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い原材料価格が高騰するなど、先行きは不透明な状況にあります。

当水産流通業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が一時的に改善された時期もありましたが、外食関係の消費はコロナ禍以前には回復しておらず、また量販店を中心とした小売業も前期のような力強さを欠く状況となりました。天然水産資源の減少、物流コストの増大に加え、諸外国での個人消費の回復及び日米の金利差による円安の加速等もあり、魚価は高値圏が続き、大変厳しい経営環境となりました。

このような状況のもと、当社グループでは、安全・安心な水産物を安定供給するという社会的使命を果たすべく、産地出荷者とのネットワークの強化や海外との取引強化等に努めてまいりましたが、当連結会計年度の経営成績は、売上高は887億88百万円となりました。損益面では、営業損失は1億90百万円(前期は81百万円)、経常損失は1億19百万円(前期は経常利益46百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は18百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益6億53百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用前の基準による当連結会計年度の売上高は1,140億36百万円で、前期比0.2%減となっております。

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

(水産物販売事業)

水産物販売事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、巣ごもり需要などによる量販店を中心とする内食関係は底堅い需要があったものの、外食関係の需要が落ち込み、高価格帯商品が販売不振となりました。また、サバ、サンマ、イカ等大衆魚は漁獲量の低迷により、ブリ、タイ等養殖魚は在池量の減少により魚価が上昇しました。輸入魚も円安や海外加工場の稼働低下、海上運賃の高騰等により、主要魚種である鮭鱒、カニ、タコ、スリミ等の魚価は引き続き高値圏で推移しております。このような厳しい状況下、多様化する需要に応えるべく積極的な集荷、販売と粗利率の改善に取り組みましたが、売上高は886億円となり、セグメント損失は57百万円(前期はセグメント利益86百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用前の基準による売上高は1,138億48百万円で、前期比0.2%減となっております。

(冷蔵倉庫等事業)

冷蔵倉庫等事業は、売上高は2億35百万円(前期比1.2%減)となりましたが、利益面では売上原価及び販売費及び一般管理費が減少したことにより、セグメント利益は4百万円(前期比30.9%増)となりました。

なお、収益認識会計基準等を適用したことによる売上高への影響はありません。

 

b.財政状態の概要

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は157億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億55百万円増加しました。これは主に商品及び製品が25億円増加した一方で、現金及び預金が12億92百万円減少したこと等によるものであります。なお、商品及び製品の増加の主な要因は、輸入品の販売の強化と仕入価格の高騰に備えた在庫の積み増しであります。固定資産は53億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億49百万円減少しました。これは主に投資有価証券が1億73百万円減少したこと等によるものであります。

 この結果、総資産は210億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億5百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は97億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億18百万円増加しました。これは主に支払手形及び買掛金が7億53百万円増加した一方で、1年内償還予定の社債が5億円減少したこと等によるものであります。固定負債は37億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億7百万円増加しました。これは主に社債が6億円増加したこと等によるものであります。

 この結果、負債合計は135億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億25百万円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は75億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億19百万円減少しました。これは主に剰余金の配当等により利益剰余金が84百万円、その他有価証券評価差額金が85百万円減少したこと等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は35.9%(前連結会計年度末は38.1%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、20億83百万円(前連結会計年度末比12億92百万円減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は20億円(前連結会計年度は2億85百万円の収入)となりました。これは主に棚卸資産が25億円、仕入債務が8億33百万円増加したこと等によるものであります。なお、棚卸資産の増加の主な要因は、輸入品の販売の強化と仕入価格の高騰に備えた在庫の積み増しであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は2億80百万円(前連結会計年度は3億38百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の売却により2億40百万円獲得したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は4億28百万円(前連結会計年度は1億94百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金により3億円調達したこと等によるものであります。

 

また、キャッシュ・フローの指標のトレンドは以下のとおりであります。

(キャッシュ・フローの指標)

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

31.4

32.1

34.2

38.1

35.9

時価ベースの自己資本比率(%)

17.5

15.0

14.4

16.3

15.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

5.8

2.3

9.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

21.2

50.3

14.9

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※2020年3月期及び2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

③仕入及び販売の実績

a.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

水産物販売事業(百万円)

83,869

79.4

冷蔵倉庫等事業(百万円)

合計(百万円)

83,869

79.4

(注)当社グループは、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における商品仕入実績は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

水産物販売事業(百万円)

88,600

77.7

冷蔵倉庫等事業(百万円)

235

98.8

合計(百万円)

88,835

77.7

(注)1.当社グループは、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における販売実績は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。

2.セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する記述は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当連結会計年度の経営成績は、売上高については887億88百万円となりました。当連結会計年度から収益認識会計基準等を適用していることから前期比較ができず、同基準等の適用前の基準による当連結会計年度の売上高は1,140億36百万円となり前期比0.2%減となっております。当連結会計年度におきましても、前期と同じく新型コロナウイルス感染症の影響による経済・社会活動の停滞で個人消費や企業収益が落ち込みました。特に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出された期間はその状況が顕著となり、外出・移動の自粛要請、飲食店への時短営業や休業要請により、飲食店・ホテル・旅館等の業務筋の需要が低迷しました。そのため、当社グループでは高価格帯の生鮮水産品を中心に販売が苦戦いたしました。

業務筋での消費が低迷する一方、前期に引き続き巣ごもり需要などにより消費者の家庭内での飲食は堅調に推移しましたが、前期の好調を上回るほどではなく、業務筋への販売減少分を取り戻すには至らず、売上はほぼ前期並みにとどまりました。

利益面では営業損失1億90百万円(前期は81百万円の営業損失)、経常損失1億19百万円(前期は46百万円の経常利益)となりました。前期は大口債権の回収懸念に対する個別引当およびそれに伴う貸倒実績率の上昇による引当金の増加2億29百万円を販売費及び一般管理費に計上した影響によるものでありましたが、当連結会計年度は売上総利益率が前期5.95%に対して当連結会計年度は5.68%(但し、収益認識会計基準等適用前の基準による)と約0.3ポイント低下したことによります。これは、鮮魚部門においては、サバ、サンマ、イカなどの大衆魚の漁獲量が低迷したことに加え、コロナ禍による外食需要の低迷で高級魚の販売が伸びなかったこと、また、タイ、ブリなどの養殖魚が在池量の減少により魚価が上昇したこと、塩冷部門においては輸入魚が円安や海外加工場の稼働低下、海上運賃の高騰等により、主要魚種である鮭鱒、カニ、タコ、スリミ等の魚価は引き続き高値圏で推移したこと、加えて、海上運賃の上昇による影響で輸入コストが上昇したことが挙げられます。営業利益を確保すべく固定費の削減に取り組んだものの、輸出取引における海上運賃の上昇の影響も大きく、売上総利益の減少をカバーするには至りませんでした。経常損失については、貸倒引当金繰入額を56百万円計上したことによります。前期の大口債権の貸倒引当金計上を踏まえて、当連結会計年度は債権回収リスクの低減に向けた取り組みに努めてまいりましたが、ウクライナ情勢の緊迫化の影響を受け、海外債権の回収懸念に対する個別引当75百万円(連結損益計算書上は戻入益と相殺)を計上いたしました。

特別損益には、政策保有株式(過年度に政策保有株式から純投資へ振替済の銘柄を含む)等の売却益を計上したことにより税金等調整前当期純利益は確保できたものの、法人税等を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純損失を計上することになりました。

当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「売上高(収益認識基準適用前の基準による)」及び「経常利益」を収益性判断の重要な指標として位置づけております。当連結会計年度を最終年度とする3カ年中期経営計画(数値目標(連結ベース)は、収益認識会計基準等適用前の基準による売上高1,350億円、経常利益7億円)を達成すべく取り組んでまいりましたが、前期(同計画2期目)からの新型コロナウイルス感染症拡大により経済・社会活動が停滞し、経営成績は大きく影響を受けました。感染の収束に向けては回復の兆しは見えつつあるものの予測不可能な状況です。しかし、当社グループの営業拠点である卸売市場が、いかなる環境下でも食の安定供給を果たすべく食品流通の中核を担うという使命は変わりません。マーケットの変化に対応しつつ、当社グループは水産物の安定した調達と供給の使命を果たしていきたいと考えます。また、前期の反省として環境の変化に対応した利益率の確保にも努め、安定した利益確保を図ってまいります。そのような方針のもと2023年3月期は、連結ベースで売上高908億円、経常利益3億30百万円を業績予想(2022年5月10日付「2022年3月期決算短信」にて開示)といたしました。厳しい環境が続きますが、数値目標達成に向け取り組んでまいります。

(財政状態)

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が210億70百万円(前期比9億5百万円増)、負債合計については、135億16百万円(前期比10億25百万円増)となりました。資産合計が増加した要因は「商品及び製品」が25億円増加したことによります。これは輸入品の販売の強化と仕入価格の高騰に備えた在庫の積み増しであります。これにより「現金及び預金」が12億92百万円減少し、負債では有利子負債(短期、長期借入金および社債)が5億円増加しております。

 

(セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容)

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討については、当社グループの報告セグメントにおける水産物販売事業の比率が極めて高いため、上記の事業全体に係る記載内容と概ね同一と考えられます。よって、セグメントごとの記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは20億円の支出(前期は2億85百万円の収入)となりました。当連結会計年度は来期の販売戦略に基づき、在庫を確保しております。よって一時的に営業キャッシュ・フローは大幅に悪化しておりますが、来期以降は安定した営業活動によるキャッシュ・フローの回復を見込んでおります。

また、財務活動によるキャッシュ・フローの収入は主に借入金等の増加によるものであり、在庫調達の資金の確保によるものであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

当連結会計年度末の資金調達の総額は32億円(前期比5億円増)となりました。前連結会計年度末には流動負債であった社債5億円は償還となり、新たに6億円の社債を発行いたしました。現時点での償還に係る資金手当てについては未定であります。

資金調達の増加額5億円の内、2億円は長期資金で調達いたしました。資金調達の総額に占める流動・固定の比率は資産のバランスに見合った長期資金を調達する方針としております。

2023年3月期の資金支出については、重要な資本的支出は見込んでおりません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、≪第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項≫ に記載しているとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計基準の範囲内で一定の見積りがなされ、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

なお、当連結会計年度の固定資産の減損の要否における割引前将来キャッシュ・フローの見積り、及び繰延税金資産の計上(連結貸借対照表上では繰延税金負債に含む)における将来の課税所得の見積りにつきましては、≪第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項≫ に記載しているとおりであります。

ただし、その前提については経済・社会活動の回復ペースなど不確実性が高い内容を含んでおり、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は下記のとおり経営支援に関する合意書を締結しております。

相手先

期間

内容

 日本水産㈱

 当社は日本水産㈱との間で2009年3月27日付で、同社による当社への資本参加とそれに伴う役員派遣及び資金支援等の経営支援に関する基本合意書を締結しました。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。