当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢や非製造業を中心とした企業収益が改善し、緩やかな回復基調が続いているものの、製造業の生産活動や個人消費マインドに弱さが見られる状況で推移しており、先行きについては、中国を始めとするアジア新興国の景気の下振れ懸念などを含め、依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループの貴金属関連事業においては、貴金属原料の確保、化成品等の製品販売及び産業廃棄物処理受託の拡大に鋭意取り組むとともに、海外の拠点の拡充にも積極的に取り組み、ベトナムの現地法人において貴金属製錬工場の本格稼働の準備を進めてまいりました。また、食品関連事業においても海外拠点の強化と顧客ニーズを捉えた商品の提供に取り組み、販売量の拡大に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は162,065百万円(前連結会計年度比9.7%減)、営業利益は3,125百万円(同42.2%減)となりました。営業外損益での持分法利益の増加により、経常利益は3,782百万円(同35.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,573百万円(同23.0%減)となりました。
セグメント別の営業概況は以下のとおりであります。
① 貴金属関連事業
当事業の主力顧客である半導体・電子部品業界は、スマートフォンや自動車等の市場動向に左右された変動が見られ、総じて生産状況は減少傾向であり、また、写真感材業界の市場縮小も継続しております。このような中、貴金属リサイクル及び産業廃棄物処理の取扱量や貴金属製品及び電子材料等の販売量が減少し、金を除いた販売価格の下落もあり、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
これらの結果、当該事業の売上高は104,164百万円(前連結会計年度比16.3%減)、営業利益2,347百万円(同47.4%減)となりました。
② 食品関連事業
当事業を取り巻く状況は、食品製造業の生産指数はわずかに上昇しているものの、個人消費マインドには依然として弱さが見られるなど、厳しい事業環境が継続しております。このような中、農産品は販売数量が減少したものの、水産品及び畜産品は販売数量が増加し、価格の上昇もあり、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
これらの結果、当該事業の売上高は57,971百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益777百万円(同18.1%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は9,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,663百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加した資金は8,593百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益、減価償却費、売上債権の減少、たな卸資産の減少による資金の増加と、法人税等の支払いによる資金の減少の差引によるものです。なお、前連結会計年度の1,413百万円の資金の減少に比べ10,007百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動に使用した資金は1,421百万円となりました。これは主として工場設備の新設・更新等の有形固定資産取得と、子会社株式の取得によるものです。なお、前連結会計年度の2,263百万円の支出に比べ842百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は3,274百万円となりました。これは主に借入金の減少、配当金の支払い及び自己株式の取得によるものです。なお、前連結会計年度の2,426百万円の資金の増加に比べ5,700百万円の減少となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
貴金属関連事業 |
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製品 | 88,811 | 80.0 |
処理 | 6,287 | 102.1 |
(注) 1 当社グループにおける生産活動は、貴金属関連事業においてのみ行われております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前年同期比(%) |
貴金属関連事業 | 13,133 | 87.6 |
食品関連事業 | 51,514 | 99.6 |
合計 | 64,647 | 96.9 |
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
貴金属関連事業 | 104,159 | 83.7 |
食品関連事業 | 57,905 | 105.2 |
合計 | 162,065 | 90.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
① 貴金属関連事業
貴金属事業においては、グローバルな競争に対応した商品・サービス力の強化を図り、収益力を高めてまいります。この中で「東アジアNo.1のリファイナー」を目指し、国内拠点の整備を推進するとともに、海外拠点における地域戦略の強化にも取り組んでまいります。この中で国内においては、貴金属の回収技術の向上を進めるとともに、エレクトロニクス等の業界ニーズに対応した化成品の開発等、研究開発にも積極的に取り組んでまいります。
また、海外においては、製錬設備を備えた工場が本格稼働するベトナム現地法人を含め、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア及び中国(蘇州)の現地法人においても、電子部材、化成品等の販売や貴金属リサイクル原料回収の拡大を図ってまいります。
環境事業においては、当社グループが所有する廃酸・廃アルカリ処理設備や全国の許認可網及び物流ネットワークを活用しつつ、需要業界の変化に対応したサービス分野の拡大を図ってまいります。
② 食品関連事業
食品事業においては、当社グループがこれまでに培った品質保証に関するノウハウを活かし、安全・安心且つ高品質で安定的な食品原料の供給によって事業の差別化と変化する需要業界のニーズに対応した営業の拡大を目指してまいります。この中で、輸入原料価格の上昇にも対処し、収益性の確保を図ります。また、中国(青島)の現地法人Matsuda Sangyo Trading (Qingdao) Co.,Ltd.やタイ(バンコク)の現地法人 Matsuda Sangyo Trading(Thailand) Co.,Ltd.を活用し、良質な供給ソースの確保と新規顧客の開拓を推進してまいります。
当社が認識している当社グループの事業等のリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。このようなリスクが顕在化した場合には当社業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのようなリスクの認識にもとづき、TRM(トータルリスクマネジメント)委員会を中心に必要なリスク管理体制を構築し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。
①製品
当社グループの製品は、主に金、銀、白金、パラジウム等の貴金属地金であり、それらの生産に用いられる主要原材料は、各種貴金属元素を含有するリサイクル原材料であります。その仕入価格は原則として貴金属地金の市場価格に基づいており、国際商品市況及び為替相場の変動による影響を受けます。また、貴金属地金製品の販売価格も、市場価格に基づき決定されます。当社グループは、価格変動に伴う相場リスクを回避する目的で商品先物取引を行っておりますが、貴金属価格の動向によっては、価格変動が業績に影響を与える可能性があります。
②商品
当社グループの商品のうち、すりみを中心とした水産品や畜産品、農産品等の食品加工原材料は、取扱品の大部分が外国産品であります。その価格は、仕入・販売いずれも商品市況、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは、先物為替予約の実施、販売価格への転嫁によりこれらの変動に対応しておりますが、これらの価格変動が業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの食品関連事業は、すりみ、エビ、カニ、イカ、タコ等を中心とした水産品加工原料、生鮮野菜、乾燥野菜、冷凍野菜等を中心とした農産品加工原料、牛肉や鶏肉等の各種素材肉、鶏卵を中心とした畜産加工原料を輸入し、水産練製品、冷凍食品、惣菜、製菓等の食品メーカーへの卸売りを行っております。当社グループでは、法令に基づく食品表示の徹底はもとより、海外産地の品質管理指導や異物混入対策の強化などに万全を尽くしておりますが、食品の安全性等にかかる問題が発生し、輸入禁止措置等がとられた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
環境問題についての社会的関心の高まりから、環境関連の法的規制は強化される方向にあります。当社グループの貴金属関連事業に関連する法的規制が強化された場合においては、それに対処するために、追加の設備投資負担等が必要になることがあります。また、当社は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく事業者として、産業廃棄物の収集運搬、処理等の事業を行っており、各種法令の遵守が事業継続の大前提となっております。
当社グループでは、企業倫理と法令遵守を明文化した「企業倫理規程」を制定するとともに、コンプライアンスの実現のための取扱いを定めた「コンプライアンス規程」を制定し、経営活動全般にわたるコンプライアンスの実現に取り組んでおります。
当社グループでは、製造過程において毒物や劇物を使用しており、廃液や大気への排出物に対して、環境に配慮した適切な処理を行っております。しかしながら、工場の事故等により、これらの管理に何らかの問題が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
契約会社 | 相手先名 | 提携内容 | 契約期限 |
松田産業株式会社 | 日鉄住金マイクロメタル株式会社 | ボンディングワイヤ及びマイクロボールの販売代理店契約 | 平成29年3月31日 |
当社グループにおける研究開発活動は、永年培ってきた貴金属製錬技術・産業廃棄物処理技術・精密洗浄技術・めっき薬品製造技術を基礎に「資源の有効活用」・「環境保全」・「高純度」・「高性能」をテーマとし、広く社会に貢献することを理念として、長期的視野に立った活動を推進しております。従いまして、当社グループにおける研究開発活動は、当社の貴金属関連事業を対象として行われております。
a 半導体・電子部品業界や宝飾品業界など幅広い分野より発生する貴金属含有スクラップに対し、濃縮・分離といった操作により効率良く貴金属を回収する技術開発、環境規制が強化されている硝酸を用いない手法の開発など地球環境に配慮した貴金属製錬技術開発、高純度製品製造技術開発などに注力しております。
b 製品性能の向上に伴い複雑化する半導体製造工程で使用される特殊合金の洗浄・剥離技術開発を行い新規設備の導入を行っております。
c 電子・半導体部品の製造に寄与する貴金属含有めっき薬品や有機物合成用に用いられる触媒用の貴金属化合物などの貴金属化成品の製品開発を行っております。
d 「資源循環」に主眼を置き、廃棄物中の有用物を資源として再利用する技術、並びに変化する廃棄物の処理難易度や厳格化する環境規制に対応した無害化処理技術の開発に鋭意取り組んでおります。
その他サンプリング技術及び分析の精度向上を探求しております。
研究テーマ:
1 貴金属リサイクル技術の研究
2 主に貴金属含有めっき薬品及び貴金属化成品製造技術の研究
3 半導体製造装置の洗浄及びメンテナンス技術の研究
4 産業廃棄物のリサイクル技術の研究
5 産業廃棄物の無害化処理技術の研究
6 上記の研究を支える分析技術の向上
また、これらの研究開発活動は一部社外の研究機関と共同で行い、早期に成果に結び付けられるよう推進しております。
当連結会計年度の主な研究開発成果:
貴金属回収技術の開発・改善を行い、効率向上と環境負荷低減に寄与いたしました。
顧客ニーズに対応した貴金属含有めっき薬品の開発を進め、事業拡大に貢献いたしました。
産業廃棄物の無害化処理技術の研究を行い、今後の規制強化に対応可能な排水処理技術の開発を進めてきました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は306百万円であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金及び賞与引当金であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,500百万円減少し、69,926百万円となりました。これは主として現金及び預金の増加を上回る売上債権・たな卸資産・その他流動資産の減少によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,159百万円減少し、18,091百万円となりました。これは主として買掛金・借入金・未払法人税等の減少によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ658百万円増加し、51,834百万円となりました。これは主として配当金の支払いと自己株式の取得による減少及び為替換算調整勘定などのその他の包括利益の減少を、親会社株主に帰属する当期純利益による増加が上回ったことによるものです。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)戦略的現状と見通し
今後の見通しにつきましては、中国を始めとする海外の景気が下振れし、わが国の景気が下押しされる懸念や、熊本地震の経済に与える影響など、先行きは不透明でありますが、財政・金融政策の効果等により緩やかな景気回復が期待されます。この中で貴金属関連事業においては、国内外の拠点強化を進めるとともに、新規の需要開拓を積極的に行い業容の拡大を図ります。
また食品関連事業においては、海外拠点の活用も含め、顧客ニーズを的確にとらえた営業活動を行い、着実な収益確保を図ります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(7)今後の方針について
具体的な方針については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。
なお、当社グループは、平成28年5月に公表の「中期経営計画(2016-2018年度)」において、「既存事業の収益極大化」・「新たな収益源の構築」・「東アジア地区での積極拡大」・「最適な管理体制の構築」・「人材育成・確保」の5つを中長期的な経営戦略の重点方針として掲げ、貴金属関連事業を拡大・成長の牽引役部門、食品関連事業を安定的成長部門と位置付け、更なる企業価値の向上を目指し、取り組んでまいります。