文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「限りある地球資源を有効活用し、業を通じて社会に貢献する」という企業理念を持ち、貴金属などの資源リサイクルを通じて、持続可能な循環経済への移行に繋げる「貴金属関連事業」と、地球の豊かな恵みである食資源を安全・安心な品質で安定的に供給し、人の豊かさに繋げる「食品関連事業」を柱に事業展開を図っております。
当社グループは、企業理念を実践し持続的成長と企業価値の向上を図るために、経営上の基本方針として「顧客重視」「株主重視」「人間尊重」を掲げております。
①経営環境
地球温暖化や生物多様性などの自然・環境問題、長期化する地政学リスク、世界的な物価上昇や経済安全保障の高まりなどが複雑に絡み合い、サプライチェーンの変化も含んで安定的な資源の生産及び確保や流通等への不確実性が高まる状況の中で、資源循環を伴ったテクノロジーの進化は、持続可能な経済及び社会の構築に向けた中長期的な期待に繋がっております。また、食料自給率に課題のある我が国においては、食資源の安定的な確保に対する重要性が一層高まっております。
このような経営環境の中で、当社グループは、テクノロジーの進化によって重要性が増している電子デバイス等に欠かすことのできない金属資源を、環境負荷低減にも繋がるリサイクルによって有効活用し、循環経済の発展に貢献してまいります。また、食の豊かさにとって必要不可欠な資源である多種・多様な食品原材料を安全・安心な品質を確保して安定的に調達及び提供し、食の豊かな社会に貢献してまいります。
当社グループでは、サプライチェーンにおけるパートナーシップの強化も行い、金属資源や食資源の有効活用によって持続可能な環境・社会・経済に貢献し、中長期的に企業価値を向上してまいります。
②中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2023年3月期からスタートし、2026年3月期までの4カ年にわたり取り組む経営戦略として、「中期経営計画(2022-2025年度)」を策定し、目指す姿としました「社会変化に適応し、進化し続ける、お客様・社会から常に必要とされる企業へ」の実現に向けて、資源の有効活用&持続可能な資源確保・お客様や社会の課題解決に資する高い付加価値の提供に取り組んでおります。
中期経営計画の3年目にあたる当連結会計年度では、貴金属関連事業の顧客である電子デバイス製造業における生産状況の回復に足踏みが見られた中で、金価格の上昇などもあり業績は改善しましたが、より競争優位性を高め、環境変化に対応した強固な収益基盤を構築することを課題として認識し、「中期経営計画(2022-2025年度)」の基本方針である、「積極投資の継続で収益基盤強化と新規収益源の創出」・「持続的成長を支え、加速させる経営基盤の強化」・「ESG経営の推進で企業価値向上」のもとで成長戦略に取り組んでまいります。
■成長戦略の概要
<収益基盤強化と新規収益源の創出>
<経営基盤の強化>
持続的成長を支え、加速させる経営基盤(企業文化/人材/お客様/財務基盤/IT/ガバナンス)を強化するために、経営人材の創出、多様な人材活躍、職場環境作り、生産性の向上、DXの推進、ガバナンス・リスク管理の強化等の課題に取り組んでまいります。
(重点施策)
a 成長を牽引する経営人材の創出
b 適材適所で多様な人材(女性/中途/グローバル人材/シニア等)が活躍できる働き甲斐と働きやすい職場環境作り
・挑戦機会の提供と計画的育成の推進
・キャリア開発支援の拡充
c ITを活用したDXの推進と生産性の向上
・ERP刷新とトレンド技術の積極導入
・自動化/省力化の推進
d ガバナンス強化と多岐にわたるリスク管理の徹底(安全/遵法/事業リスク)
・三線ディフェンスの強化
・グループガバナンスの強化
・デジタル社会の浸透に伴う情報セキュリティリスクへの対処
<ESG経営の推進(サステナビリティ課題への取り組み)>
当社グループでは、企業理念のもと、事業拡大を通じて循環型社会の構築や資源の安定供給等の社会課題に応え、お客様や社会に貢献しておりますが、さらなる企業価値の向上に向け、持続可能な社会の実現と事業成長の両立を目指し、取締役会が監督するサステナビリティ委員会を中心とした全社的推進体制のもと、以下のマテリアリティ(重要課題)を認識し、温室効果ガス排出量の削減、ダイバーシティ及び人権デューデリジェンスを始めとするサプライヤー管理等への取り組みを優先的に推進してまいります。
(マテリアリティ)
a 環境負荷低減と事業成長の両立
・エネルギー消費及び温室効果ガスの排出、大気への排出、有害物質、固形廃棄物、汚染防止と資源削減、
水の管理、生物多様性
b お客様満足の向上と社会の信用確保
・製品/サービスの正確な情報の提供、商品の安全・安心の確保
c 多様な人材活躍による成長加速
・適材適所、ダイバーシティ&イノベーション、ワークライフバランス
当社グループは、「成長性を捉えた事業機会への最適資源配分、財務健全性の確保、株主還元のバランスを考慮し、持続的に企業価値を向上させる」ことを資本政策の基本方針とし、企業価値を向上させるための重要な課題として、資本収益性の向上に繋げる「将来への成長投資」と「サステナビリティ課題への取り組み」を積極的に推し進めるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、資本効率の向上と成長期待の醸成を重要課題と捉え、ROIC経営の推進・株主還元の充実を含む資本政策の的確な実行・IR活動の強化に取り組んでまいります。
将来への成長投資では、「中期経営計画(2022-2025年度)」において、収益基盤の強化・新規事業展開・脱炭素への取り組み・経営基盤の強化などに、持続的成長と企業価値向上のための経営資源配分として、4カ年累計で総額300億円規模の投資を計画し、積極的に進めております。
株主還元については、「安定且つ持続的な配当の実施」の方針のもと株主資本配当率(DOE)1.5%以上を目安とした配当の実施と、市場環境を勘案した機動的な自己株式取得等による充実を検討してまいります。
当社グループは、「中期経営計画(2022-2025年度)」において、計画の最終年度となる2025年度(2026年3月期)の業績目標を連結売上高3,000億円、連結営業利益130億円、連結営業利益率4.3%、連結自己資本利益率(ROE)9.0%、連結総資産経常利益率10.0%としております。
なお、金価格の大幅な上昇などの価格的な情勢変化を背景に、2025年度(2026年3月期)の業績見通しでは、連結売上高4,900億円、連結営業利益135億円、連結営業利益率2.8%としております。
当社グループは、企業理念のもと、貴金属関連事業・食品関連事業の持続的成長を通じて循環型社会の構築や資源の安定提供等の社会課題に応えるとともに、「中期経営計画(2022-2025年度)」の成長戦略に掲げた「ESG経営の推進(サステナビリティ課題への取り組み)」に注力し、持続可能な環境・社会・経済の実現と事業成長の両立を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) ESG経営の推進
①マテリアリティ(重要課題)
当社グループは、「環境負荷低減と事業成長の両立」・「お客様満足の向上と社会の信用確保」・「多様な人材活躍による成長加速」をESG経営の推進におけるマテリアリティ(重要課題)として、温室効果ガス排出量の削減、人権デューデリジェンスを始めとするサプライヤー管理並びにダイバーシティ等への取り組みを優先的に推進しております。
②ガバナンス
当社グループは、持続可能な環境・社会・経済の実現と当社グループの企業価値の向上の両立を目指すため、ESG経営の推進における重要事項の決定及び取り組みの円滑な推進を目的として、取締役会が直接監督するサステナビリティ委員会を設置しております。
サステナビリティ委員会は、取締役(社外取締役を含む)及び執行役員の中から取締役会が指名する委員で構成し、代表取締役社長が委員長を務めます。サステナビリティ委員会は、全体方針の策定・対処すべき重要事項の決定・リスクと機会に関する評価・目標の設定・行動に関する計画の策定及び体制の整備・取り組みのモニタリングを役割として、原則4回/年度の定例委員会を開催し、その内容は取締役会並びに監査等委員会に報告されます。
取締役会は、国際イニシアティブによる提言や国内外の政策等を中心とした社会情勢の動向と、当社グループの事業成長との両立を踏まえて、サステナビリティ委員会が決定した重要事項等についてプロセスを含め確認し監督しております。
なお、当事業年度開催のサステナビリティ委員会における具体的な協議内容は、取組計画の策定、温室効果ガス排出量(2023年度)の評価、環境負荷低減に関する取り組みのモニタリング、人権デューデリジェンスを含むサプライヤー管理の強化、人権方針及びガイドライン・品質環境方針等の策定並びに遵守状況の評価等であります。
③リスク管理
当社グループは、事業及び企業経営に重大な影響を与えるリスクの顕在化を特定し、全社リスクとして管理することを目的として、取締役会が直接監督するTRM(トータルリスクマネジメント)委員会を設置しております。
TRM委員会は、潜在的なリスクの評価、全社リスクの一元的管理、対応の促進、管理状況のモニタリング等を実施し、その内容は取締役会並びに監査等委員会に報告されます。
リスク評価の基準は、関連する法規制や国際基準等を参照し、気候変動関連リスクについては、国際エネルギー機関「世界エネルギー展望」・IPCC「1.5℃特別報告書」等を参照し、事業ごと、展開地域ごとに潜在リスクの発生確率と影響度を評価して優先的に対処すべき全社リスクを特定して事業リスクを総合的に評価し、優先順位の高いリスクへの対応方針を策定しております。
気候変動関連リスクについては、2つのシナリオ(1.5℃シナリオ、4℃シナリオ)を想定し、当社グループにとってのキードライバーの選定、リスクと機会の抽出、評価を行い、サステナビリティ委員会において確認の上、リスクを特定し、事業及び企業経営にとって重要と認識したリスクを管理する目的でTRM委員会に設置する専門部会において、対応等の促進及び進捗のモニタリングを行っております。
(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
当社グループは、「中期経営計画(2022-2025年度)」において「環境負荷低減と事業成長の両立」をサステナビリティ対応の重要課題として掲げ、特に温室効果ガスの排出量削減を重要テーマとして認識し、気候シナリオ分析や科学と整合した排出量削減目標(SBT:Science-Based Targets)の考え方に即した目標設定と目標達成に向けた取り組み内容の検討を行い、サステナビリティ委員会において協議・決定しております。
①気候関連のリスクと機会の分析・評価
②指標と目標
当社グループを対象とする温室効果ガス排出量削減の目標を以下のとおり設定しております。
温室効果ガス排出量実績及び削減目標 (単位:t-CO2/年)
2030年度(短期目標)は、SBT認定を取得しております。
③削減に向けた主な対策
・エネルギー使用効率の削減
・再生可能エネルギーの導入拡大
・製造及び処理プロセスの見直し、改善(燃料転換、CO2回収含む)
・高効率設備の導入、更新
・物流効率化、モーダルシフト
・環境負荷低減製商品/サービスの提供
・サプライチェーンとのエンゲージメントを通じた協働
(3) 人的資本
当社グループは、次代に向けた目指す姿として「社会の変化に適応し、進化し続ける、お客様・社会から常に必要とされる企業へ」を掲げ、その実現のために不可欠である人的資本経営に取り組んでおります。
当社グループは「人間尊重」・「人間の能力は無限である」を理念に置き、「人間なくして企業なし」という当社独自の原則を大切に考え、多様な人材が活き活きと働き、個々の能力を最大限に引き出し、個人と組織がともに成長し続ける企業を目指して取り組んでいます。
当社グループの人的資本経営では、持続的な成長を支える「経営人材」や「リーダーシップ人材」の育成を重要課題と位置づけ、計画的な人材育成プログラムを実施することによって、変化の激しい経営環境においても柔軟かつ迅速に対応できる体制の構築に取り組んでおります。
また、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる環境の整備に注力し、性別、年齢、国籍、職務経験などの違いを尊重しながら、すべての人材が公平に活躍できる職場環境の構築を進めております。
さらに、人材の成長を支援するため、キャリア開発及びスキル向上を目的とした研修プログラムや教育制度を充実させるとともに、働きがいのある職場づくりを目指して、柔軟な働き方の導入や健康経営の推進にも取り組んでおります。
①ガバナンス及びリスク管理
当社グループの人的資本経営を不可欠とするリスク認識は、「人間なくして企業なし」であり、人材の確保、配置及び育成それぞれの課題に対し、人事部門による分析のもとで取締役会を中心に定期的な議論を重ね、適切な対応策の検討及び実施を進めております。
また、すべての従業員の人権を守るために、「松田産業グループ人権方針」を定め周知徹底するとともに、あらゆるハラスメントの防止に向けた通報窓口を設置し、体制を整備しております。
②戦略
イ 人材育成方針
当社グループは、「中期経営計画(2022-2025年度)」の成長戦略に基づき、変化の激しい経営環境においても持続的に収益を確保し、企業価値を向上させるための人材として、中長期的視野及び全体最適思考を備えた「経営人材」と、事業の基盤を支える「営業」「生産/技術」「物流」「管理/システム」の4つの機能を組織横断的に連携させ強化することができる「リーダーシップ人材」の育成に注力し、計画的かつ持続的に「人材への投資」を拡大して、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境の整備を推進しております。また、これらの取り組みを通じて、当社グループ全体の競争力を高め、持続的成長を実現することを目指しております。
<経営人材の育成と組織マネジメント力の向上>
当社グループでは、将来を担う経営人材の持続的な育成に向けて、候補人材の層を厚くするための計画的な取り組みを進めております。
具体的には、選抜形式の研修を実施し、各階層に応じた能力開発を行うとともに、組織マネジメント力を向上させるため、管理職及び管理職候補者を対象に、早期の段階から必要な知識とスキルを習得するためのMBA通信教育を提供しております。
また、「経営人材」の現状や充足度合を把握分析し、計画的な分析に向けて人材要件の可視化、サクセッションプランの体系化、タレントマネジメントシステムの設計・導入にも取り組んでおります。
<リーダーシップ人材の育成と組織横断的な連携強化>
当社では、事業の根幹を支える「営業」「生産/技術」「物流」「管理/システム」の4つの機能を連携させ、部門を超えて推進力を発揮することができる人材を「リーダーシップ人材」と定義し、その育成に注力しております。
「リーダーシップ人材」の育成では、組織を跨いだプロジェクトを推進しマネジメント能力を発揮するための研修を行うとともに、並行して、部門横断的な経験を積むための実践機会を提供しております。
<グローバル人材の育成>
当社グループでは、「経営人材」や「リーダーシップ人材」の育成に加え、サプライチェーンを最適化し、海外事業の継続的な成長を実現するために重要となる「グローバル人材」の育成に注力しております。
当社並びに海外現地法人の双方を深く理解しグローバルな視点で活躍できる人材の確保に向けて、管理系部門の人材を対象に、一定期間海外での実務経験を積む機会を提供する独自の海外インターンシップを開始し、現地国の文化やビジネス環境を実際に体験して理解することによってグローバルな視点を持つ人材の育成に取り組んでおります。
また、海外現地法人スタッフの増加に伴い、グループ全体が目指す姿に向けて方向性を共有しながら事業を推進できるよう、理念の浸透にも注力しております。
ロ 環境整備方針
当社グループは、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる環境の整備に取り組んでおります。多様な人材が活躍できる職場環境を構築することで、人材の成長を促進するとともに、企業の持続的な発展を実現することを目指しております。
<社員の自律的なキャリア開発支援>
当社では、変化の激しい時代において、従業員一人ひとりが自律的にキャリア開発を行い、能力を向上させることが重要であると認識しています。この考えのもと、従業員が自身のキャリアを主体的に設計し、成長を続けられるよう、年代別に「キャリア研修」を実施しています。
<多様な人材活躍による成長加速>
当社グループでは、「多様な人材活躍による成長加速」をサステナビリティ経営におけるマテリアリティ(重要課題)の一つに掲げ、「女性」「経験者」「グローバル人材」「シニア」などの様々なバックグラウンドやスキルを持った多様な人材が活躍することで組織の成長を加速させるよう、各種の取り組みを推進しております。
さらには、価値観や考え方の多様性(深層的なダイバーシティ)にも対応し、組織の機能を強化するための施策を進めております。
<職場環境づくりへの取り組み>
当社では、すべての従業員が、時間を最大限有効活用し、個々の能力を最大限に発揮できる環境を整備するために、柔軟で多様な働き方を追求し、テレワークの活用をはじめとした勤務制度の拡充を進めております。また、あらゆるハラスメントの根絶のための取り組みを推進するとともに、これらの制度を利用しやすい職場風土の醸成に努めております。
<健康経営に関する取り組み>
当社は、従業員の健康管理を戦略的に実践することが、従業員の生産性や活力向上を通じた組織の活性化によって、業績及び企業価値の向上に結び付くと考えております。
この考えのもと、2021年度に「健康宣言」を制定し、従業員一人ひとりが健康で活き活きと業務に取り組むことができる環境づくりを推進しております。
■からだの健康
35歳以上の従業員に対しては、会社補助の下、人間ドックの受診を推奨しております。女性に対しては、女性特有の病気への検診について会社補助を実施し、様々な病気の早期発見・早期治療に繋げております。
■こころの健康
全ての従業員に対して、個人別ストレスチェックを実施し、集団分析を通じて職場環境の課題を可視化し、改善に繋げています。また、EAPサービス(従業員支援プログラム「心身の健康に関する相談窓口」)を設置し、一人一人の悩みに対し、専門的かつきめ細かな対応を行う体制を整備しております。
この取り組みを進めた結果、2022年に経済産業省が認定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」を取得し、以降も認定取得を継続しております。これらの施策に加え、「社員を支える家族も従業員同様に大切である」という考えから、福利厚生として保険料全額会社負担にて生命保険に加入しております。
今後も、全ての従業員が心身共に健康を保ちながら活躍できる環境を整備し、健康経営を通じて持続的な成長を目指してまいります。
③指標及び目標
上記の進捗を図る主な指標は次のとおりです。
(注)1 目標を設定している非財務指標KPIは、目標/前事業年度実績欄に目標を記載しております。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
3 男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数の差異:女性の平均継続勤務年数/男性の平均継続勤務年数×100(%)
4 労働者の男女の賃金差異は、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合を記載しております。同一等級内において男女間の賃金差は存在しないことを確認しております。女性管理職比率の増加を推進することで、全体としての男女間の賃金格差がさらに縮小すると考えております。今後も、性別に関わらず公平な評価と処遇を実現するための取り組みを継続してまいります。
5 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、以下に記載のリスクマネジメント体制の下で、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、当社グループの事業活動等に関する各種のリスクを管理し所管する組織として、TRM(トータルリスクマネジメント)委員会を設置し、リスク管理体制の構築・運用及び評価・教育及び訓練等を行い、その結果を取締役会に報告しております。TRM(トータルリスクマネジメント)委員会では、リスクの認識について発生頻度・経済的損失影響度・検知度の各要素をそれぞれ5段階で評価し、評価結果の乗数をリスク度評価として定量化し、重要なリスクを識別しております。
①主要製品・商品の価格変動
当社グループの貴金属関連事業が取り扱う製品の生産に用いられる主要原材料は、主に金、銀、白金、パラジウム等の貴金属元素を含有するリサイクル原材料であり、その仕入価格及び販売価格は原則として貴金属地金の市場価格に基づいており、国際商品市況及び為替相場の変動による影響を受けております。当社グループは、価格変動に伴う相場リスクを回避する目的で商品先渡取引を行っておりますが、全量に対する回避は困難であるため、製造及び在庫期間における貴金属価格の動向によっては、価格変動が業績に影響を与える可能性があります。当社グループの食品関連事業が取り扱う商品である水産品、畜産品、農産品等の食品加工原材料は、取扱品の大部分が外国産品であり、その価格は、仕入・販売いずれも商品市況、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは、先物為替予約を行い、販売価格への転嫁によりこれらの変動に対応しておりますが、商品の需給バランス等により販売価格が下落した場合は、棚卸資産の評価損等の損失が発生する可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。
②食品関連事業に関わる品質問題等
当社グループの食品関連事業は、すりみ、エビ、イカ、カニ、タコ等を中心とした水産品加工原料、生鮮野菜、乾燥野菜、冷凍野菜等を中心とした農産品加工原料、鶏肉、豚肉、牛肉等の各種素材肉、鶏卵を中心とした畜産品加工原料を輸入し、水産練製品、冷凍食品、食肉加工、惣菜、製菓等の食品メーカー等へ販売しております。当社グループでは、法令に基づく食品表示の徹底はもとより、海外産地の品質管理指導や異物混入対策の強化などに万全を尽くしておりますが、食品の安全性等に係る問題が発生し、輸入禁止措置等がとられた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③法的規制
環境問題についての社会的関心の高まりから、環境関連の法的規制は強化される方向にあります。当社グループの貴金属関連事業に関連する法的規制が強化された場合においては、それに対処するために、追加の設備投資負担が必要になることがあります。また、当社及び当社グループの一部は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく事業者として、産業廃棄物の収集運搬、処理等の事業を行っており、各種法令の遵守が事業継続の大前提となっております。当社グループでは、事業活動及びその他の社会的活動における最高位の社内基準として「松田産業グループ グローバル行動規範」を制定するとともに、コンプライアンスの実現のための取扱いを定めた「コンプライアンス規程」を制定し、経営活動全般にわたるコンプライアンスの実現に取り組んでおります。
④廃棄物等の管理
当社グループでは、製造過程において毒物や劇物を使用しており、廃液や大気への排出物に対して、環境に配慮した適切な処理を行っております。しかしながら、工場の事故等により、これらの管理に何らかの問題が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤カントリーリスク
当社グループは、貴金属関連事業・食品関連事業ともに、海外の様々な国や地域において事業活動を行っており、これらの国や地域の政治・経済・社会情勢等の環境変化に起因し予期せぬ事態が生じた場合には、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害・気候変動等
当社グループが事業活動を行う国や地域において、地震・洪水等の自然災害が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。当社グループでは、大規模災害の発生に備え、安否確認システムの導入、防災訓練の実施及び事業継続のための各種対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動等による異常気象が発生した場合には、当社グループの食品関連事業が取り扱う商品の生産等に影響する可能性があり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。併せて、自然災害等の大規模災害発生時に備え、製商品及び役務の供給体制の整備を進めておりますが、調達の遅延や事業活動の停滞・停止が発生した場合には、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦情報セキュリティ
当社グループが行う事業活動の多くは、コンピュータシステム及び通信ネットワークを利用しており、コンピュータシステム及び通信ネットワークに生じる障害や不具合・欠陥や、データセンターの機能停止などにより、事業活動に支障が出る可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客情報をはじめとする各種の個人情報がサイバー攻撃を含む不測の事態により遺漏が発生した場合は、社会的信頼の失墜や多額の費用負担が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧部材の調達
当社グループは、製品の安定供給に向けて、製造に必要な部材の調達では複数の供給元を確保するなどの対策を講じていますが、一部の部材は限られたサプライヤーから調達しています。これらの部材の供給が滞った場合や、代替供給先からの調達が困難となった場合、製品の生産遅延やコストの増加を招き、お客様への製品の提供が遅れ、納期遅延や収益性が悪化する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨知的財産
当社グループは、事業活動遂行のため、自社技術を保護するために特許等の知的財産を取得していますが、意図しない知的財産権の侵害が発生する可能性があり、第三者からの訴訟を提起されるリスクがあります。また、当社の特許が競合他社の技術に対して十分な保護を提供できない場合や、当社の製品・サービスの販売差し止めが命じられた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ19,962百万円増加し、168,900百万円となりました。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ11,203百万円増加し、68,765百万円となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,759百万円増加し、100,134百万円となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用や所得環境が改善するもとで、インバウンド需要の増加により景気は緩やかな回復が見られましたが、世界的な物価上昇の継続や中国経済の景気停滞、米国の通商政策による影響や地政学リスクの高まりもあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況の中で、当社グループの貴金属関連事業においては、資源リサイクルの総合力及び高機能電子材料の開発などによる差別化のもとで、国内外における生産拠点の整備・拡充、貴金属原料の確保、高機能電子材料などの製商品販売及び産業廃棄物処理受託の拡大に取り組みました。また、食品関連事業においては、グローバルに展開する調達力を活かして、顧客ニーズに応えた商品の開拓と安全安心な商品の安定供給により、販売量の拡大に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は468,841百万円(前連結会計年度比30.0%増)、営業利益は12,676百万円(前連結会計年度比35.5%増)、経常利益は13,523百万円(前連結会計年度比28.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,456百万円(前連結会計年度比29.8%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
(貴金属関連事業)
当事業の主力顧客であるエレクトロニクス業界の電子デバイス分野は、スマートフォンや自動車向けの回復が見られない中、生成AI向けのデータセンター関連の需要拡大は継続したものの、半導体・電子部品等の本格的な生産回復には至りませんでした。
このような状況の中で、当事業においては、金相場が堅調に推移したことから、宝飾分野を含めた貴金属リサイクル取扱量の増加に努め、売上高及び営業利益は前連結会計年度に比べ増加しました。
これらの結果、当該事業の売上高は361,655百万円(前連結会計年度比43.0%増)、営業利益は10,178百万円(前連結会計年度比44.5%増)となりました。
(食品関連事業)
当事業の主力顧客である食品製造業界は、インバウンド需要の拡大はあったものの、物価上昇が消費マインドを押し下げ、個人消費には足踏みが見られ、継続的な原材料価格や物流コストの高止まりなども重なり、不安定な市場環境となりました。
このような状況の中で、当事業においては、水産品の販売量は増加しましたが、畜産品、農産品の販売量は減少し、商品構成の変化から一部に販売価格の下落も見られたことから売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。また、営業利益につきましては、在庫回転率の向上によるコストの適正化などにも努めた結果、前連結会計年度に比べ増加しました。
これらの結果、当該事業の売上高は107,221百万円(前連結会計年度比0.4%減)、営業利益は2,497百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,428百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,020百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加した資金は2,542百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益、減価償却費並びに仕入債務の増加による資金の増加と、売上債権、棚卸資産の増加及び法人税等の支払いによる資金の減少との差引によるものです。なお、前連結会計年度の1,833百万円の資金の増加に比べ709百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動に使用した資金は6,243百万円となりました。これは主として工場設備新設などの有形固定資産及びソフトウエア等の無形固定資産、並びに子会社株式の取得によるものです。なお、前連結会計年度の7,956百万円の支出に比べ1,712百万円の支出が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により増加した資金は210百万円となりました。これは主として長期借入金の増加による資金の増加と、短期借入金の返済、配当金の支払いによる資金の減少との差引によるものです。なお、前連結会計年度の8,084百万円の資金の増加に比べ7,874百万円減少しました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに算出しております。
※ キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループにおける生産活動は、貴金属関連事業においてのみ行われております。
2 金額は、販売価格によっております。
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 当連結会計年度において、貴金属関連事業における仕入実績に著しい変動がありました。
これは、金地金の仕入増加及び金価格の上昇等によるものです。
(受注実績)
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) 2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度の三菱商事RtMジャパン株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に
対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第一部[企業情報] 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] [注記事項] (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に退職給付会計、賞与引当金、税効果会計、貸倒引当金、減損会計、棚卸資産の評価であり、継続して評価を行っております。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第一部 [企業情報] 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析
a 資産の部
流動資産は、受取手形及び売掛金が2,098百万円、棚卸資産が12,611百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ13,823百万円増加しました。固定資産は、工場設備の新設及び更新などで有形固定資産が3,522百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6,138百万円増加しました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ19,962百万円増加し、168,900百万円となりました。
b 負債の部
流動負債は、買掛金が3,778百万円、未払法人税等が2,155百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,097百万円増加しました。固定負債は、長期借入金が7,026百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ7,106百万円増加しました。これらの結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ11,203百万円増加し、68,765百万円となりました。
c 純資産の部
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益が9,456百万円と、配当金の支払い1,684百万円等の差引による利益剰余金は7,771百万円増加しました。これらの結果、前連結会計年度末に比べ8,759百万円増加し、100,134百万円となりました。
ロ 経営成績の分析
a 売上高
当連結会計年度における売上高は468,841百万円(前連結会計年度比30.0%増)となり、前連結会計年度に比べ108,313百万円増加しました。セグメント別の売上高につきましては、「第一部[企業情報] 第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりですが、主要な分析は以下のとおりであります。
(貴金属関連事業)
金製品の売上高は、前連結会計年度に比べ103,133百万円増加し、274,834百万円(前連結会計年度比60.1%増)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ37.4%上昇しました。
銀製品の売上高は、前連結会計年度に比べ8,864百万円増加し、25,053百万円(前連結会計年度比54.8%増)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ36.2%上昇しました。
白金族製品の売上高は、前連結会計年度に比べ2,552百万円減少し、41,752百万円(前連結会計年度比5.8%減)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ6.1%下落しました。
(食品関連事業)
水産品の売上高は、前連結会計年度に比べ4,525百万円増加し、43,435百万円(前連結会計年度比11.6%増)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ1.7%下落しました。
畜産品の売上高は、前連結会計年度に比べ3,527百万円減少し、42,936百万円(前連結会計年度比7.6%減)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ3.3%下落しました。
農産品の売上高は、前連結会計年度に比べ425百万円減少し、13,549百万円(前連結会計年度比3.0%減)となり、売上単価は前連結会計年度に比べ3.6%上昇しました。
b 売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は35,202百万円(前連結会計年度比17.0%増)となり、前連結会計年度に比べ5,122百万円増加しました。売上総利益率は7.5%となり前連結会計年度比0.8ポイント低下しましたが、この主な要因は、金相場の上昇や宝飾分野からの貴金属リサイクル取扱量の増加などにより売上総利益率の低下したことが要因です。
c 営業利益
当連結会計年度における営業利益は12,676百万円(前連結会計年度比35.5%増)となり、前連結会計年度に比べ3,320百万円増加しました。営業利益率は2.7%となり前連結会計年度比0.1ポイント上昇しましたが、この主な要因は、売上総利益率が0.8ポイント低下した一方で、金相場の上昇等による売上高の上昇に対して販売費及び一般管理費の割合が0.9ポイント低下したことの差し引きによるものです。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
イ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部[企業情報] 第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、貴金属関連事業におけるリサイクル原材料及び食品関連事業における食品加工原材料の仕入れ等の事業運営上必要となる資金の確保に加え、急激な環境変化にも備え流動性を維持する考えの下で、運転資金については営業活動により獲得したキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入を、設備投資については営業活動により獲得したキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当社は資金調達の機動性を高めるため、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする計4行の金融機関との間に3,000百万円の借入枠(コミットメントライン)を設定しております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末に比べ3,967百万円増加し33,372百万円となりました。売上高の増加等に伴う資金の需要増大に対し流動性の確保を図るとともに、資金調達コストの低減にも努め、金利変動リスクに対してもヘッジ手段として金利スワップ等を活用しております。「第一部[企業情報]第3[設備の状況] 3[設備の新設、除却等の計画] (1)重要な設備の新設等」に記載の設備投資につきまして、必要資金は営業活動により獲得したキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入により賄う予定であります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第一部[企業情報]第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「中期経営計画(2022-2025年度)」では、計画の最終年度となる2025年度(2026年3月期)の業績目標を連結売上高3,000億円、連結営業利益130億円、連結営業利益率4.3%、連結自己資本利益率(ROE)9.0%、総資産経常利益率10.0%としております。
なお、「中期経営計画(2022年-2025年度)」の3年目となる当連結会計年度では、世界的な物価上昇の継続、米国通商政策による影響や地政学リスクの懸念等、先行き不透明な状況が続いていることから、経営上の指標とする業績目標は変更しておりません。
また、金価格の大幅な上昇などの価格的な情勢変化を背景に、2025年度(2026年3月期)の業績見通しでは、連結売上高4,900億円、連結営業利益135億円、連結営業利益率2.8%としております。
当社グループにおける研究開発活動は、永年培ってきた貴金属製錬技術・産業廃棄物処理技術・精密洗浄技術・めっき薬品製造技術を基礎に「資源の有効活用」・「環境保全」・「高純度」・「高性能」をテーマとし、広く社会に貢献することを理念として、長期的視野に立った活動を推進しております。従いまして、当社グループにおける研究開発活動は、当社の貴金属関連事業を中心に行われております。
a 半導体・電子部品業界や宝飾品業界など幅広い分野より発生する貴金属含有スクラップに対し、濃縮・分離といった操作により効率良く貴金属を回収し、随伴する非鉄金属等も可能な限り有効活用する技術開発、環境規制が強化されている硝酸を用いない手法の開発など地球環境に配慮した貴金属製錬技術開発、高純度製品製造技術開発などに注力しております。
b 製品性能の向上に伴い複雑化する半導体・電子部品製造工程で使用される特殊合金の洗浄・剥離技術開発を行い新規設備の導入を行っております。
c 半導体・電子部品の高性能化、信頼性向上に貢献する貴金属関連めっき薬品の製品開発を行っております。また、半導体製造プロセスにおいて真空蒸着やスパッタリングに用いられる高純度貴金属加工品の開発を進めております。
d 「資源循環」に主眼を置き、廃棄物中の有用物を資源として再利用する技術、並びに変化する廃棄物の処理難易度や厳格化する環境規制に対応した無害化処理技術の開発に鋭意取り組んでおります。
その他サンプリング技術及び分析の精度向上を探求しております。
(研究テーマ)
1 貴金属リサイクル技術の研究
2 貴金属関連めっき薬品及び貴金属化成品製造技術の研究
3 貴金属高純度加工品製造技術の研究
4 半導体製造装置の洗浄及びメンテナンス技術の研究
5 産業廃棄物のリサイクル技術の研究
6 産業廃棄物の無害化処理技術の研究
7 上記の研究を支える分析・解析技術の向上
また、これらの研究開発活動は一部社外の研究機関と共同で行い、早期に成果に結び付けられるよう推進しております。
(当連結会計年度の主な研究開発成果)
・貴金属回収技術の開発・改善を行い、効率向上と環境負荷低減に寄与いたしました。
・顧客ニーズに対応した貴金属含有めっき薬品や高純度真空蒸着材の製品開発を進め、一部導入されました。
・資源循環のための技術開発として、将来排出増加が見込まれるリチウムイオン電池のリサイクル・リユース技術の開発を推進しました。
・カーボンニュートラルに向け、資源循環におけるGHG削減技術の開発を推進しました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は