(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「もっと音楽を世に もっとサービスを世に」を社是とし、「カラオケを通じた音楽文化の振興」、「楽しいコミュニケーションの場の提供」を基本方針としております。この方針のもと、当社グループは、創業以来培ったノウハウと蓄積したコンテンツをベースに、カラオケ事業を核として、一層の事業拡大とより高い収益を確保し、当社グループのステークホルダーの期待に応え、社会貢献に資する企業を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、継続的・安定的な成長と企業価値の向上を図るため、自己資本当期純利益率(ROE)及び各事業の営業利益率を重視するとともに、1株当たり利益(EPS)の増加を目指してまいります。
(3)会社の対処すべき課題
今後の経済見通しにつきましては、堅調な企業業績を背景に、雇用・所得環境は緩やかな改善が見込まれるものの、中東やウクライナに係る地政学的なリスクや、アメリカの政策動向による経済への影響が懸念されるほか、国内においても物価上昇が継続するなど、引き続き不透明な状況が続くものと予想されます。
国内カラオケ市場におきましては、主力市場であるナイト市場及びカラオケボックス市場においては緩やかに改善するほか、介護施設などのエルダー市場におけるカラオケの需要は引き続き拡大することが見込まれることから、全体として緩やかな改善傾向で推移するものと考えられます。そのなかで、各商圏における中心地への需要の集中が進み、都心部における事業者同士の競争はより活発になるものと予想されます。
このような環境認識のもと、当社グループは、中長期的な経営戦略として、高い市場占有率を有する業務用カラオケ事業及びカラオケ・飲食店舗事業に経営資源を積極的に投入することにより、「DAM」及び「ビッグエコー」のブランド価値を高めることで、競争力及び収益力の強化に努めてまいります。また、成長事業であるパーキング事業の育成にも注力し、持続的な成長を目指してまいります。
業務用カラオケ事業におきましては、2025年4月に、5年半ぶりとなるDAMの新フラッグシップモデル「LIVE DAM WAO!(ライブダムワオ)」を発売いたしました。本機においては、“歌うほど、あたらしいワオ”をコンセプトに、新たな演奏方式を採用して、より高音質で重厚感のある音源を実現したほか、多数の本人映像を新たに搭載いたしました。また、新機能「ボイスマジック」により、“歌う”という体験をアップデートし、コアなカラオケファンから、カラオケに苦手意識のある方までもが楽しめる機能を多数搭載いたしました。次期においては本機の拡販につながるプロモーションを通じてカラオケ利用者のすそ野の拡大を図り、DAM稼働台数の増加に努めます。エルダー市場においては、エルダー市場専用機である「FREE DAM LIFE(フリーダムライフ)」の拡販と、「スケジュール機能」など、新機能の訴求を進めることにより、健康寿命の延伸とともに、介護施設職員の業務負荷軽減といった社会課題の解決にも貢献してまいります。また、スーパーマーケットなどの異業種との協業や、ボックス型カラオケ「COCOKARA」の活用などを通じて新たな歌う場の創出にも努めてまいります。
カラオケ・飲食店舗事業におきましては、“BIG SMILE,BIG ECHO.”のスローガンのもと、メーカー直営店としてカラオケ機器、音響、美観といった設備面をさらに充実させるとともに、より質の高いサービスを提供し、顧客満足度の向上に努めます。また、4月発売の「LIVE DAM WAO!(ライブダムワオ)」については、新たな機能をお客様にいち早く体感いただくため、4月中にビッグエコー全店への導入を完了しております。最新機種の早期導入による集客向上につなげるとともに、“みんなで集まって、歌って楽しむ”というカラオケ本来の価値を改めて訴求してまいります。飲食店舗においては顧客のニーズを捉えた新たなブランドの開発に注力するとともに、主力業態である個室ダイニングのほか、カラオケやダーツなどのアミューズメントを含めた幅広い客層の開拓に努めてまいります。
音楽ソフト事業におきましては、新人アーティストの発掘とヒット曲の創出に努めるとともに、音楽出版事業にも注力することにより、堅実な収益モデルの構築に努めてまいります。
成長事業として注力しておりますパーキング事業におきましては、M&Aを含む新規施設開拓を進め、さらなる事業規模の成長を図るとともに、テレビCMなどを通じた「ザ・パーク」ブランドの認知拡大に努めます。
また、2026年2月頃には本社機能の移転を予定しております。現在3か所に分散しております本社を1か所へ集約することで、部門間のコミュニケーションをより活性化し、生産性の向上と新たなイノベーションの創出を図ってまいります。
これら主要事業を含むすべての事業において、“わかりやすい、使いやすい”サービスを基本として、ご利用者皆様の喜びを提供し続けることで、企業価値の向上と広く社会に貢献する事業展開を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来「カラオケ」を中心として、社会に喜びと楽しみを提供しながら成長を続けてきました。そして現在精神的ストレスの増大、高齢化に伴う健康不安などの現代特有の課題や、環境問題をはじめとするさまざまな社会課題にも真摯に取り組み、今後も「うたう楽しさ」「うたう環境」の可能性を追求することを通じて社会に貢献する企業として成長してまいります。
(1) サステナビリティ基本方針
「カラオケ」を通じて社会に楽しさと明るさを提供するとともに、人々の健康で豊かな生活に寄与していくことをめざします。
(2)サステナビリティに関するガバナンス
当社はサステナビリティ基本方針に基づく重要課題の取り組みをグループ全社で横断的に推進することを目的として、代表取締役社長が議長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しております。
当委員会は、取締役会の決定したサステナビリティ基本方針に基づきサステナビリティに関する以下の重要な事項について横断的に審議・推進を行うことにより代表取締役社長及び取締役会を補佐するものであり、原則として半期に1回開催しております。
・基本方針の策定及び改定
・重要課題の検出と実行計画
・ESGの取り組み及び進捗
・その他コーポレートガバナンスに基づく対応
また、当委員会の内容は、取締役会に年2回の定期報告を行い、推進状況を監視する体制を構築しております。
当社グループの全社的なリスク管理は、グループリスク・コンプライアンス委員会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細な検討を行い、共有しております。
サステナビリティに関する重要な事項は、サステナビリティ委員会の協議を経て年度計画に反映され、実行・推進をしております。対応状況に関してもサステナビリティ委員会にてモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告し、監督されます。

(4) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 高齢者の「健康寿命の延伸」と「QOL(Quality Of Life)向上」への取り組み
当社グループはサステナビリティ基本方針に基づき、超高齢社会の中で高齢者の「健康寿命の延伸」と「QOL (Quality Of Life) 向上」に寄与することを重要課題と考えております。また、事業活動を通じて環境問題をはじめとするさまざまな社会課題の解決にも真摯に取り組んでまいります。このような社会課題の解決に向けた取り組みを推進し、持続可能な社会の実現のために最適なガバナンス体制を構築しております。
② 重要課題の進捗状況
当社グループは超高齢化社会を見据えて主業であるカラオケを高齢者の健康づくりに役立てようと、2001年に「DKエルダーシステム」を開発し、その普及に努めてきました。
「DKエルダーシステム」は、通信カラオケ機器「DAM」を活用した、「機能訓練」「介護予防」のためのシステムです。「音楽を使う」「体を使う」「目で観る」という基本コンセプトから作られた「うたと音楽」を活用した豊富なコンテンツにより、介護施設においては、施設スタッフの業務負担の軽減は勿論、利用者が楽しみながら継続できるレクリエーションや機能訓練、自治体関連施設においては、地域コミュニティの活性化や参加者のフレイル予防に繋がる介護予防教室の展開を可能にしています。
2025年3月末現在、民間介護施設や自治体関連施設、障害者施設、保育園・幼稚園等を含むその他施設へ市場の幅を広げ成長し28,000カ所を超える福祉関連施設に導入されており、今後も導入施設の拡大が見込まれます。
当社グループは「DKエルダーシステム」を通じて、超高齢社会における社会課題の解決に貢献してまいります。
(5) その他環境問題をはじめとした社会課題の解決に向けた取り組み
① 気候変動への取り組み
異常気象など気候変動に起因する影響は深刻化しており、気候変動への対応は地球規模の課題となっています。当社グループは、サステナビリティ基本方針である「カラオケ」を通じて社会に楽しさと明るさを提供するとともに、人々の健康で豊かな生活に寄与していくことをめざします。という方針のもと「環境負荷低減の取り組み」を掲げ、気候変動問題への対応を重要課題の一つと位置付けています。
リスク・機会の抽出にあたっては、移行リスクとして「政策規制:GHG排出に関する規制強化」「市場:エネルギー需給の変化」「製品・サービス:低炭素製品の需要変化と次世代技術の開発」「評判:ステークホルダーの評判変化」、物理リスクとして「慢性(2℃上昇):地球温暖化による環境変化」「急性(4℃上昇):自然災害の激甚化」の観点から各事業への影響をリスク及び機会として特定いたしました。
a.戦略
リスク、機会へ対処するために取り組むべき対応策
b.指標及び目標
当社グループは、カーボンニュートラルの実現に向け、当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1及びScope2)を2050年度までに実質ゼロとすることを目指します。
具体的には、省エネルギー化の推進と再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを段階的に拡充することなどを通じて、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
② 人的資本に関する取り組み
当社グループは、「企業の発展に不可欠なものは何よりも人材である。」との方針に基づいた人材育成と働きやすい職場環境の整備の実現を目指しております。
a.戦略
・多様性の確保
当社グループでは優秀な人材を求めるため、また中核人材の登用等における多様性を確保するため、学歴や新卒・中途に拘ることなく大きく門戸を開く採用方針をとっております。
・働きやすい職場環境
時間外のアラームメール送信や定期的に年次有給休暇取得の確認を行うなど、長時間労働の削減に向けた取り組みを実施しております。また、社員とその家族がリフレッシュできるよう、各種福利厚生施設についても定期的に案内するほか、財形貯蓄制度、従業員持株会、団体生命保険制度など、様々な仕組みを設けております。
・研修体制
企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を担うのは「人」であるという認識のもと、従業員の能力向上・人材育成に注力しております。
新入社員研修を充実させるほか、役職に応じた階層別研修、職種に応じた職能別研修などを実施しております。
b.指標及び目標
学歴や新卒・中途に拘ることなく大きく門戸を開く採用方針のもと、採用実績は中途採用者が約7割で推移しており、また管理職の登用においても中途採用者の割合が約8割となっております。これらの実績につきましては、業態・職域等を鑑み、実力主義を徹底しているからであり、今後さらに社内教育プログラムを強化し、社員全体の活性化を図ってまいります。また、女性の採用人数と管理職の割合がいずれも少ない理由は、当社の従業員数の6割を超える主要事業である支店営業職及びビッグエコー店舗の職域は、主に繁華街立地及び深夜帯を含む特性上、男性従業員の配属が必要となるためでありますが、成長を続けております福祉関連施設への営業部門・パーキング事業部門、そして本社の各部門において性別問わず採用を続けており、活躍している女性社員も増えております。今後、事業の拡大とともに女性社員層の拡充を目指してまいります。
なお、外国人従業員については、アルバイトや一部契約社員としての採用が大半であり、正社員としては、現在当社の売上高の殆どを国内事業にて占めている事から、特に国際性を考慮した採用活動は行っておりません。
(注) 人的資本に関する実績数値につきましては、当社グループに属する全ての会社で指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、提出会社単体のものを記載しております。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びこれに対応する主要な取り組みを、以下において記載しております。また、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、様々な要因によって実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの事業は、①「業務用カラオケ事業」、②「カラオケ・飲食店舗事業」、③「音楽ソフト事業」、④「その他の事業」の4事業により構成されておりますが、以下のような要因により当社グループの業績及び事業展開が影響を受ける可能性があります。
a.スナック・バー等やカラオケボックス店舗の閉店による業務用カラオケ市場の縮小により、業務用カラオケ機器の出荷台数や設置台数が減少し、業務用カラオケ事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.新商品の投入及びこれに対する市場の支持の程度により、業務用カラオケ機器の出荷台数や設置台数が変動し、業務用カラオケ事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.同業者との競争の激化に伴う販売量の減少及び販売価格の下落により、業務用カラオケ事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
業務用カラオケ市場の縮小や販売量の減少に備え、機器賃貸の比重を高めるとともに機器の入替えを計画的に実施することで、長期的な安定収益基盤の構築に努めております。
また、成長が期待される分野として、高齢者層の介護予防や健康増進を目的としたエルダー事業に経営資源を積極的に投入し、導入施設数の拡大に努めております。
a.出店計画に対する店舗候補物件の確保の程度により、出店数が変動し、カラオケ・飲食店舗事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.ユーザーニーズの変化による市場の支持の程度により、カラオケ・飲食店舗事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.店舗間の競争の激化に伴う客数の減少及び客単価の下落により、カラオケ・飲食店舗事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.社会保険や労働条件などに係る制度等の変更により、アルバイト従業員の人件費が増加し、カラオケ・飲食店舗事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
カラオケ店舗と飲食店舗の複合店舗化によりコスト削減を図り、効率的な集客確保が可能な立地を中心に出店計画を立てております。
また、安易に価格競争に走らず、ブランドごとに付加価値や特色を持たせ顧客満足を追求することで、競争力のある店舗展開を推進しております。
効率的な運営を行うため、飲食のオーダーや決済手段など、可能な限りIT化を進めております。
働きやすい環境の整備と共に、従業員からの紹介等により、人員の確保に努めております。
a.市場に支持される音楽CD、DVD等の発売の状況により、販売数量が変動し、音楽ソフト事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.媒体の変化による音楽CD、DVD等の販売量の減少及びインターネット等他の媒体による販売量の増加により、音楽ソフト事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.音楽CDの著作物は、独占禁止法で法定再販物として再販売価格維持制度(再販制度)が認められておりますが、今後独占禁止法の見直しが行われ、再販制度が廃止されると、価格競争が激化し、販売価格の低下により、音楽ソフト事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.上記の再販制度によって、小売店は音楽CDの販売価格を自由に設定できないことから、一定の範囲内で音楽CDを返品できる商慣行があり、販売不振のCDについては将来返品されるものがあります。当社グループは将来に返品されると見込まれる製品等については収益を認識せず、当該製品等について受け取った又は受け取る対価の額で返金負債を計上しておりますが、予想外の返品が発生した場合には、音楽ソフト事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
当社グループは、演歌や歌謡曲から創出されたヒット曲の音源資産を多く保有しており、これらはカラオケの歌唱度数に貢献しております。また、カラオケでの人気からヒット曲に繋がることもあるため、音楽ソフト事業と各事業セグメントとの連携を強化することにより、当社グループの相乗効果を上げる施策を積極的に行っております。
a.駐車場の出店計画に対する候補物件の確保の程度により、出店数が変動し、パーキング事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.競争の激化に伴う施設数の減少及び車室単価の下落により、パーキング事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.放送事業者の事業の中止又は事業方針の変更により、BGM放送事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.有線放送等類似サービスとの競争の激化に伴う契約者数の減少及び視聴料金の下落により、BGM放送事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
パーキング事業は、認知度と利便性を追求することで他社との差別化を図り、収益性の見込める投資を行っております。また、駐車場の出店に際しては全国に広がる営業網を活かし、駅前や繁華街等の一等地への出店により、安定収益事業として確立すべく注力しております。
BGM放送事業は、様々な環境に合わせた商品構成が求められる中、光回線・モバイル回線を利用した業務用BGMサービスを提供し、導入する店舗・施設を拡充しております。
① 災害などによる影響
当社グループの店舗や支店所在地を含む地域で大規模な地震や洪水、台風等の自然災害が生じたり、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が流行した場合、被災・感染状況によっては正常な事業活動が困難となり、当社グループを取り巻く市場において長期の臨時休業や営業時間短縮などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
当社グループのリスク管理の基本方針及び管理体制を「グループリスク管理基本規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、代表取締役社長を議長とするグループリスク・コンプライアンス委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対する適切な対応と未然防止に努めております。
また、重大な損害の発生が予測される場合には必要に応じて「グループ危機管理規程」を発動し、代表取締役社長を本部長とする対策本部を設置しております。
② 法的規制
将来において会社法、金融商品取引法、著作権法、労働基準法、道路交通法、建築基準法、消防法、食品衛生法、未成年者飲酒禁止法ほか、様々な関連法規や規則等が改正又は変更され、新たに事業活動が制約を受けることとなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
関連法規や規則等の改正に伴い、当社グループにおける重要リスクとなり得る事象に関しては、事業セグメントごとに内部統制水準を向上させるための課題を掲げ、定期的に点検を実施しております。
また、常にカラオケ業界団体との連携を図り、関連法規や規則等の改正に伴い事業活動に支障が生じる場合には、事前に業界団体を通して関係行政機関に十分な説明を行い、理解が得られるよう努めております。
気候変動や人権問題など、今後において多様化する社会の要請に対し、当社グループの対応が遅れたり不適切とみられたりした場合には、社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
環境問題をはじめとするさまざまな社会問題に対する取り組みについては、「グループ行動規範」において当社グループが担う社会的責任を掲げ、全役職員への周知に努めております。
また、当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みについては、サステナビリティ基本方針を掲げ、代表取締役社長を議長とするサステナビリティ委員会で重要課題に対する対応と進捗状況のモニタリングを行い、社会課題の解決に努めております。
当社グループは「業務用カラオケ事業」において、商品やサービスが市場からの支持を得てきたことによりトップシェアを獲得してまいりました。しかしながら将来においても、当社グループが提供する商品やサービスが常に市場に受け入れられる保証はなく、また競争的な事業環境においてこれまでどおり優位に事業が進められない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
カラオケ商品は、豊富な楽曲数や魅力ある映像コンテンツにより優位性が保たれているため、レコードレーベルや様々なコンテンツホルダーとの強固な関係を維持することで、コンテンツの拡充に努めております。
また、提供するカラオケサービスについては全国に展開する営業体制の中で、スナック・バー等やカラオケボックス店舗に対し、きめ細やかな対応に徹することで顧客からの評価を得ており、更なる信頼を構築するべく体制を強化しております。
当社が取り扱う商品は一定の品質管理基準に従って製造又は提供しております。しかし、全ての商品に欠陥が無いという保証はありません。また、生産物賠償責任保険には加入しておりますが、この保険が負担する賠償額等を十分にカバーできるという保証はありません。商品の欠陥に伴い、多額のコストや賠償金が発生した場合には、当社の商品が信頼性を損ない、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
海外生産品については、日本メーカーと同等の品質基準を課しており、開発部門に所属する社員の派遣や生産時の現地立ち合い及び指導を徹底するなど品質の維持に注力しております。
当社グループは、「食」を提供する企業として、何らかの要因により食品衛生上の事故等が発生した場合には、営業停止等による当社ブランドの信用失墜により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
衛生管理については、安心して安全にご利用いただける店舗を提供するため、手洗いや手袋・マスク等の着用を徹底し、賞味期限管理、温度管理や細菌検査等においてマニュアルに基づいた管理を徹底して行い、衛生的な商品の提供に努めております。
当社グループが属する業界では、いずれも技術革新が急速に進んでおり、これに対応した新商品の開発や新サービスの迅速な提供が必要であります。しかしながら新商品と新サービスが成功するか否かは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
・新商品の開発や新サービスの提供に必要な資金と資源を、今後十分に充当できる保証はありません。
・長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新サービスの創造につながる保証はありません。
・ユーザーニーズの多様化や変化に伴い、当社グループが提供する新商品又は新サービスが市場に受け入れられない可能性があります。
・新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産として保護される保証はありません。
・新商品の商品化遅延により、市場ニーズに対応できなくなる可能性があり、さらには同業者が当社グループより先行して商品化した場合、この商品の市場における大きなシェアを確保できない場合があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品又は新サービスを提供できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
新商品や新サービスについては、マーケティングリサーチを活用した上で、各事業セグメントへの波及効果を最大限に引き出すことを前提に市場への投下を決定しております。
当社グループは、各事業セグメントにおいて、新サービスの提供及び新商品の開発並びに競争力の強化のため、外部企業の買収や合弁及び戦略的事業提携等を実施することがあります。このような施策は、事業遂行、技術、サービス、商品及び人事上の統合等において時間と費用がかかるなどの課題を含む場合があり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。またこれら施策による事業の成否は、当社グループがコントロールできない提携先の決定や能力又は市場の動向によって影響を受けます。さらにこれらの施策に関連して計画以上の費用が当社グループに発生した場合や、当社グループが施策を通じて当初の目的の全部又は一部を達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
業務用カラオケ事業においては、カラオケ事業の安定的な収益基盤を確保する観点から、後継者不足などで経営困難な代理店・事業者に対し、その収益性を十分に吟味した上で営業資産の買い取りや企業買収等を実施しております。
またカラオケ・飲食店舗事業においては、競争力の強化を図る上で「立地の優位性」、「収益力」、「成長性」等を十分に検証した上で、時間を買う観点から有効と判断された場合に、買収や合弁及び戦略的事業提携等を実施しております。
当社グループの販売する業務用カラオケ機器「DAM」は、当社が企画開発を行い、その生産をグループ外企業に委託(OEM生産)しており、これらグループ外企業と技術の提携及び商品の供給等に関する契約を締結しております。将来的にこれらグループ外企業との契約条件が変更になったり、契約解除になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
グループ外企業への依存については、1社に集中することがないように、可能な範囲において取引先の分散化を進めております。
当社グループが提供する商品は様々な知的財産権を取得しております。一方で新たに企画開発する商品についても、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に留意し、調査を行っておりますが、当社の調査範囲が十分かつ妥当である保証はありません。万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より、損害賠償請求及び使用差し止め請求等の訴えを起こされる可能性並びに当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性があります。一方、当社が所有する知的財産権につきましても第三者に侵害される可能性は存在いたします。このような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
当社が所有する知的財産については、当社ブランドの信用性保持、他社との差別化による市場優位性を確保するため、積極的に権利取得を行っております。
また、知的財産権の取得を強化することにより他社の権利保有状況の把握にも繋がっており、特に新商品開発に際しては、第三者の権利侵害とされぬよう調査を徹底しております。
当社グループが提供するサービスは携帯電話、インターネット等の様々なネットワークを通じて音源や映像等のコンテンツを配信又は送信しております。このため自然災害や事故等によりこれらネットワークが切断された場合、一時的にサービスの停止を招くこととなります。また、当社のハードウエアやソフトウエアの欠陥や外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、さらに当社担当者の過誤等によって、システムダウンが発生し正常な情報の発信が行われない可能性があります。このような場合、当社グループが提供するサービスの信頼性が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
カラオケ配信について、配信センターの重要な部分は冗長化するなど、障害発生時に直接お客様の利用に支障をきたすことがないようにシステムを構成しております。
サイバー攻撃への対策として、ファイアウォールの設置、メールセキュリティサービスやウイルス対策ソフトの導入などにより、最大限の注意を払っております。
当社は、顧客個人情報をはじめとして通信カラオケにおける楽曲歌唱情報など様々な情報を有しております。また、一部事業においては個人情報を利用したサービスも展開しておりますが、当社では、従来より、個人情報をはじめとする重要情報の管理には十分に留意しております。しかしながら、今後、何らかの要因により個人情報ほかこれら重要情報が漏洩等した場合には、責任追及など社会的な問題に発展し社会的信用を失う可能性が存在いたします。このような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
個人情報は、社内規程により利用することが可能な端末を限定した上で、アクセス権限の管理を厳格に行っております。
また、前項にて説明した通りサイバー攻撃に備えた対策も整え、最大限の注意を払っております。
当社グループが今後成長していくためには、規模の拡大に見合った人材の確保と育成が必要であります。これら人材の確保又は育成ができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な取り組み)
定期的な人員募集を行い、当社グループの事業活動について相互理解を深めた中で、魅力的な人材を採用しております。
また、従業員の安全と衛生を確保し働きやすい職場環境を整えると共に、個人が能力を最大限に発揮できるよう教育・研修の充実に努めております。
当社グループは、事業用の不動産やのれん、その他様々な有形・無形固定資産を所有しております。これらの資産については、今後、計画との乖離や市場の変化等により、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが保有する有価証券及び投資有価証券については、その価格変動によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、カラオケルーム「ビッグエコー」をはじめとする様々な商標を保有し、ブランド力の向上及び価値の保護に努めております。これら商標を当社以外の者が営業等を目的に使用する場合には、原則として当社の子会社を含め「商標使用許諾契約」を締結しその使用を認めております。一方、創業以来の長年に亘る取引関係に基づき当社社名の使用を認めている取引先が1社存在いたします。これらの取引先に不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資金需要に対して金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しておりますが、その多くは固定金利による借入であるため、金利変動による影響は比較的少ないものと考えられます。しかしながら、金利が想定以上に上昇した場合には資金調達コストが増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令に則り機動的かつ組織的に事業目的を遂行するため、内部統制システムの強化・充実に努めております。しかしながら、内部統制には固有の限界があるため、その目的の達成を絶対的に保証するものではありません。このため、内部統制システムの機能不全や法令又は社会の要請に反する行為が行われた場合は、社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはコンプライアンスを重視した事業活動を行っておりますが、当社グループの営業活動等が何らかの重大な訴訟・紛争事件等に巻き込まれた場合、その経過又は結果によっては、社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑲ 地政学上のリスク
海外での政情不安、燃料価格をはじめとした物価の高騰や原材料不足などが継続し、先行き不透明な状況で推移する場合には、商品の開発、設備導入及び新規出店等の遅延を引き起こし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、文中の分析に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社経営者の認識に基づいております。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を受けて個人消費の持ち直しが見られたほか、インバウンド需要の増加などの後押しもあり、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、海外での政情不安や為替相場の変動、物価上昇といった懸念も継続しており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当カラオケ業界におきましては、主力市場であるナイト市場・カラオケボックス市場を中心に、全体として市場環境が緩やかに改善するなかで、各商圏において需要が中心地へ集中する傾向はより顕著になりつつあります。
このようななか、各事業におきまして諸施策を実施した結果、当期の業績は、売上高は153,020百万円(前期比4.3%増)となりました。利益面におきましては、ベースアップに伴う人件費の増加や、各事業への設備投資に伴う減価償却費の増加などの影響により、営業利益は17,945百万円(同3.5%減)、経常利益は18,396百万円(同6.0%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産売却益などの特別利益が前期と比べ5,399百万円増加したほか、業績回復に伴い繰延税金資産の積み増しを行った影響などにより、18,178百万円(同44.6%増)となりました。
なお、当期の売上高及び親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当事業におきましては、主力市場であるナイト市場及び成長市場であるエルダー市場を中心として緩やかに改善が進み、当期末のDAM稼働台数は、前期末比1%増となりました。
そのようななか、市場ごとの施策を推進し、DAM稼働台数の増加に努めるとともに、前期に引き続き賃貸機器の新機種への入替えを推進することにより、安定的収益基盤の強化に努めました。また、ライブ映像・アニメ映像・ミュージックビデオなどの映像コンテンツをさらに充実させることにより、カラオケDAMの商品力強化を図りました。
エルダー市場においては、「歌うこと=健康」という認知が拡がり、介護施設等への訪問営業やオンラインコンサートの実施などを通じてエルダー市場専用機である「FREE DAM LIFE(フリーダムライフ)」の拡販と、介護現場における職員の負荷軽減につながる新機能の訴求を進めました。
以上の結果、2023年4月に発売した「LIVE DAM AiR(ライブダムアイアール)」の新商品効果が剥落し、卸売を中心とした商品販売売上が前期に及ばなかったものの、機器賃貸件数及びDAM稼働台数の増加に伴ってストック収入が増加したことにより、売上高は前期比2.0%の増収となりました。利益面におきましては、商品販売粗利が減少したほか、賃貸機器の入替え推進に伴う原価や販管費が増加したことなどにより、営業利益は前期比5.7%の減益となりました。
なお、2025年4月には、5年半ぶりとなるDAMの新たなフラッグシップモデル「LIVE DAM WAO!(ライブダムワオ)」を発売いたしました。カラオケ本来の魅力である、集まって歌う楽しさを追求した機能の数々が好評をいただき、好調な受注状況となっております。
(カラオケ・飲食店舗)
当事業におきましては、カラオケ12店舗、飲食14店舗の出店、及びカラオケ15店舗、飲食14店舗の閉店を行ったことにより、当期末の店舗数はカラオケ503店舗、飲食159店舗となりました。なお、飲食店舗の出店・閉店にはブランド変更や複合店の統合を含みます。
店舗の集客について、前期からの上昇傾向が下期にかけてやや緩やかにはなったものの、当期の既存店売上高は前期と比較してカラオケ店舗で2%増、飲食店舗で3%増となりました。
このようななか、ビッグエコー店舗においては“BIG SMILE, BIG ECHO. 歌おう、笑おう、みんなともっと”をスローガンに掲げ、メーカー直営店としてカラオケ機器、音響設備のクオリティを高めるとともに、店舗リニューアルの推進により綺麗で快適な店舗環境の構築を図りました。また、自動受付機・精算機を全店舗に導入し、利便性の向上を図ったほか、多様なアーティストやアニメ作品とのコラボレーション企画等を積極的に展開し、カラオケを通して様々な喜びと楽しさの創出に努めました。
飲食店舗においては、予約受注が好調に推移するなかで、お客様の意見を簡便に収集・数値化できるシステムを活用した顧客満足度の見える化を進め、店舗環境、接客サービス、料理のクオリティ向上を図りました。また、博多駅直結の大型商業施設KITTE博多へお鮨と天ぷらの食べ放題「鮨やハレの日」を、品川プリンスホテル内に絶品釜焼き料理とアミューズメントの複合店舗「SHINAGAWA PIVOT」をオープンするなど、幅広く集客の獲得を推進しました。
以上の結果、売上高は前期比2.8%の増収となりました。利益面におきましては、店舗設備のリニューアル投資や人件費の増加などの影響などにより、営業利益は前期比10.6%の減益となりました。
当事業におきましては、新人アーティストの発掘とヒット曲の創出に努めるとともに、音楽出版事業にも注力することにより、堅実な収益モデルの構築に努めました。また、プロフィギュアスケーター羽生結弦の公演を映像化した『プロローグ』『GIFT』の販売が好調に推移いたしました。
以上の結果、CD・DVD等の商品販売や音楽出版事業については堅調に推移したものの、前期に行った株式譲渡に伴ってテレビ番組制作事業が剥落したことにより、売上高は前期比17.5%の減収となり、営業利益は前期比12.7%の減益となりました。
当事業におきましては、新たな収益の柱とするべく「ザ・パーク」ブランドで展開するパーキング事業の業容拡大が進展し、前期に子会社化いたしました㈱クレストを含め、当期末時点で3,900施設、44,000車室の規模に拡大いたしました。また、「スターデジオAir」等で展開するBGM事業や、家庭用カラオケサービス「カラオケ@DAM」についても堅調に推移いたしました。
以上の結果、売上高はパーキング事業収入が増加したことなどにより前期比31.2%の増収となり、営業利益は前期比61.4%の増益となりました。
営業外損益及び特別損益等の主な内訳は、次のとおりであります。
営業外費用は、当連結会計年度1,389百万円となり、前連結会計年度434百万円から955百万円増加いたしました。この主な理由は、支払利息が254百万円、助成金返還損が653百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
特別損失は、当連結会計年度1,280百万円となり、前連結会計年度1,264百万円から大きな増減はありませんでした。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,069百万円減少し、209,316百万円となりました。
増減の主なものとしては、流動資産では現金及び預金が7,745百万円減少し、棚卸資産が2,552百万円増加しております。
固定資産では土地が5,171百万円減少し、建物及び構築物が709百万円、カラオケ賃貸機器が487百万円、カラオケルーム及び飲食店舗設備が3,020百万円、投資有価証券が984百万円及び繰延税金資産が2,369百万円それぞれ増加しております。
負債の部につきましては、前連結会計年度末に比べ10,940百万円減少し、91,454百万円となりました。
これは主に、固定負債の長期借入金が10,405百万円減少したことによるものであります。
純資産の部につきましては、前連結会計年度末に比べ8,871百万円増加し、117,862百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加18,178百万円、剰余金の配当による利益剰余金の減少6,038百万円及び自己株式の取得による減少3,999百万円によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,721百万円減少し、41,584百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が22,911百万円、減価償却実施額が14,786百万円、棚卸資産の増加額が2,543百万円及び法人税等の支払額が7,316百万円等により、前連結会計年度に比べ2,142百万円減少し、24,656百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、有形固定資産の取得による支出が15,055百万円、有形固定資産の売却による収入が9,489百万円、無形固定資産の取得による支出が3,709百万円及び映像使用許諾権の取得による支出が2,256百万円等により、前連結会計年度に比べ44,469百万円減少し、11,445百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、長期借入金の返済による支出が11,316百万円、配当金の支払額が6,038百万円、自己株式の取得による支出が3,999百万円等により、20,901百万円(前連結会計年度は6,926百万円の獲得)となりました。
(4) 経営指標の状況
当社グループは、経営指標として具体的な数値目標は設けておりませんが、自己資本当期純利益率(ROE)と各事業の営業利益率を重視するとともに、1株当たり当期純利益(EPS)の増加を目指しております。
(注) %ptはパーセントポイントを表しております。
当連結会計年度における各経営指標の増減要因は、次のとおりであります。
(自己資本当期純利益率(ROE))
自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度から4.5%pt増加し、16.2%となりました。その主な要因は、固定資産売却益などの特別利益が前期と比べ5,399百万円増加したほか、業績回復に伴い繰延税金資産の積み増しを行った影響などにより、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度から5,610百万円増加したことによるものであります。
(各事業の営業利益率)
各事業の営業利益率の増減要因については、「(1)経営成績の状況」におけるセグメントごとの経営成績に関する記載をご参照ください。
(1株当たり当期純利益(EPS))
1株当たり当期純利益(EPS)は、前連結会計年度から55円55銭増加し、172円56銭となりました。その主な要因は、自己資本当期純利益率(ROE)の増加要因と同様であります。
(5) 生産、仕入、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.音楽ソフトにおきまして、生産実績に著しい変動がありました。これは2024年3月にテレビ番組制作事業等を営むユニオン映画㈱の全株式を売却し、連結の範囲から除外したことによるものであります。
2.無形固定資産「音源映像ソフトウエア」の制作状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 音楽ソフトにおきまして、仕入実績に著しい変動がありました。これはCD・DVD等の仕入が増加したことによるものであります。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) いずれの相手先に対する販売実績も総販売実績の100分の10未満であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
当社グループの主な運転資金需要は、商品や食材等の仕入、通信カラオケ等へのコンテンツ配信サービスの維持コスト、店舗の運営費用並びに販売費及び一般管理費などであります。また、主要な設備資金需要は、カラオケ賃貸機器や音楽・映像コンテンツの取得、店舗の出店及び改修などであります。
当社グループの主な自己資金の源泉は、代金を毎月回収する通信カラオケの機器賃貸及び情報提供の収入に加え、現金売上が大半を占めるカラオケルーム及び飲食店舗の収入であり、これら営業活動によるキャッシュ・フローから安定的に供給される資金により、経常的な資金需要は賄われております。また、自己資金では賄えない資金需要については、金融機関からの借入及び社債発行により資金調達を行っております。
また、当社グループでは、手元資金の有効活用を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社の余剰資金を当社へ集約することで一元管理を行っております。なお、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるよう、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当連結会計年度においては、土地及び投資有価証券の売却に伴う臨時的な資金の獲得がありました。当連結会計年度末時点における営業活動によるキャッシュ・フローの資金供給力と現金及び現金同等物の期末残高は、ともに当面の資金需要を賄うのに十分な水準であることから、資金の流動性は確保されているものと判断しております。
(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)に基づき、各資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画を考慮して見積っております。また、減損損失の金額の算定に使用する回収可能価額は、主に使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクを反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっております。
当該見積り及び当該見積りに用いた仮定について、将来の不確実な経済情勢の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)に基づき見積っております。
当該見積り及び当該見積りに用いた仮定について、将来の不確実な経済情勢の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ のれんの評価における将来キャッシュ・フロー
のれんに減損損失を認識するかどうかの判定において用いられる将来キャッシュ・フローは、被取得会社等の将来事業計画に基づき見積っております。将来事業計画は売上高成長率等の仮定に基づき算定しております。
売上高成長率は、被取得会社等の過去の実績を基礎とし、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報に基づき整合的に補正し算定しております。
当該見積り及び当該見積りに用いた主要な仮定について、将来の不確実な経済情勢の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表においてのれんの減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、カラオケに対するユーザーニーズを把握することを原点とし、それを分析し、映像・音源の基礎・応用技術などカラオケシステムの開発及び改良を行っており、これらの活動は当社の商品開発部及び開発管理部(当連結会計年度末人員53名)の一部が担当しております。
なお、上記は、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 平成10年3月13日)の「研究及び開発」に該当する活動ではありません。