(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日銀による経済・金融政策を背景とした緩やかな回復基調にある一方で、米国新政権による経済政策への思惑や中国をはじめとする新興国の景気減速など不安定な世界情勢を反映し、個人消費は伸び悩みました。とりわけ、繊維・ファッション業界を取り巻く環境は厳しく、消費者の節約志向や低価格帯品へのシフトに加えて、天候不順や新興国の景気減速に伴うインバウンド需要の下振れも重なり、一部の高付加価値品を除いて総じて販売不振の傾向が強まりました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「Value Innovation 123」の最終年度にあたり、重点施策である「中核事業の高収益化」「海外事業の拡大・新規事業の強化」「経営管理体制の高度化」の実行に向けて、差別化商材の供給力強化や優良取引先との取り組み深耕、国内外のグループ経営基盤の強化を推進いたしました。経営環境が厳しさを増すなか、欧州の素材・縫製を活用した商材の国内提案や、欧米での顧客獲得に向けた海外の展示会への参加など、市場開拓に向けて積極的な活動を展開しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は112,854,233千円(前期比2.5%減)、営業利益は2,752,018千円(前期比2.3%減)、経常利益は2,658,071千円(前期比10.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,576,653千円(前期比20.2%減)となりました。
当連結会計年度における分野別の概況は次のとおりであります。
[繊維セグメント]
当連結会計年度における繊維セグメントの部門別の経営成績等は次のとおりであります。
<原料分野>
原料分野は、天然繊維原料につきましては、国内消費活動の不振や輸入品の増加を要因とする国内産地でのテキスタイル減産の流れを受けて、厳しい事業環境にありました。合成繊維原料も、車両部材向け原料など一部の高付加価値品を除いて、需要が伸び悩みました。国内における衣料品需要の減速基調に加えて、期初の円高による輸出減退も響き、資材用途など非衣料品向けを含めて全体的に好材料に乏しい状況となりました。
このような状況の下、当社グループは、優良取引先との取り組み深耕や、生産集約による加工効率の向上を推進することにより、経費削減による収益基盤の構築に努めました。
この結果、原料分野の売上高は18,253,629千円(前期比14.5%減)となりました。
<テキスタイル分野>
テキスタイル分野は、国内衣料品需要の低迷や期初の円高による輸入増がマイナス材料となり、主力のニット生地や綿織物の販売は苦戦を強いられました。一方で、特殊な機械や素材を使い付加価値の高い加工を施したニット生地の需要は底堅く推移するなど、差別化商材が収益を牽引しました。
このような状況の下、当社グループは、販売戦略の要である「テキスタイル・プロジェクト」において、在庫の適正化や素材企画力を活かした売れ筋商品の開発、グループ会社との合同展示会開催などによる販売強化に努めたものの、川下にあたるアパレル市況の低迷により、業績改善には至りませんでした。
この結果、テキスタイル分野の売上高は14,151,085千円(前期比1.7%減)となりました。
<繊維二次製品分野>
繊維二次製品分野は、景況感の悪さに天候不順が加わり、百貨店や大手量販店での復調の兆しも見られず、一部の専門店や専門量販向けを除き、総じて厳しい状況が続きました。秋物に続いてレディスのアウターをはじめとする防寒衣料、さらには春物の初期需要も弱含みで推移するなど、年度を通して低迷を抜け出すことができませんでした。
このような状況の下、当社グループは、企画段階から請け負い、製造し供給するODM生産を推進したほか、分野を横断した取り組みによる新規オリジナル商材の開発を加速し、市場で存在感を高めるための競争力強化に努めました。
この結果、繊維二次製品分野の売上高は75,735,508千円(前期比1.8%増)となりました
[不動産セグメント]
当連結会計年度における不動産セグメントの売上高は、415,387千円(前期比4.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の減少等により、前連結会計年度末に比べ、3,950,752千円(151.7%)増加し、当連結会計年度末には6,555,741千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により資金は5,121,722千円増加しました。これは主に売上債権の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により資金は1,518,904千円増加しました。これは主に投資有価証券の売却等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により資金は2,672,825千円減少しました。これは主に長期借入金の返済等によるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、金額には消費税等は含まれておりません。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
- |
- |
|
|
テキスタイル |
- |
- |
|
|
繊維二次製品 |
1,039,265 |
125.0 |
|
|
その他 |
2,340,758 |
122.9 |
|
|
繊維セグメント合計 |
3,380,024 |
123.5 |
|
|
不動産セグメント |
- |
- |
|
|
合計 |
3,380,024 |
123.5 |
|
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績を国内外別・事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
金額には消費税等は含まれておりません。
(イ)国内
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
15,866,217 |
95.2 |
|
|
テキスタイル |
12,567,713 |
100.1 |
|
|
繊維二次製品 |
74,294,072 |
101.7 |
|
|
その他 |
4,250,888 |
87.9 |
|
|
繊維セグメント合計 |
106,978,892 |
99.9 |
|
|
不動産セグメント |
415,387 |
104.9 |
|
|
合計 |
107,394,280 |
99.9 |
|
(ロ)国外
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
2,387,412 |
50.9 |
|
|
テキスタイル |
1,583,371 |
86.2 |
|
|
繊維二次製品 |
1,441,435 |
108.6 |
|
|
その他 |
47,733 |
15.1 |
|
|
繊維セグメント合計 |
5,459,953 |
66.9 |
|
|
不動産セグメント |
- |
- |
|
|
合計 |
5,459,953 |
66.9 |
|
(ハ)合計
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
18,253,629 |
85.5 |
|
|
テキスタイル |
14,151,085 |
98.3 |
|
|
繊維二次製品 |
75,735,508 |
101.8 |
|
|
その他 |
4,298,622 |
83.5 |
|
|
繊維セグメント合計 |
112,438,846 |
97.5 |
|
|
不動産セグメント |
415,387 |
104.9 |
|
|
合計 |
112,854,233 |
97.5 |
|
(3)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績を国内外別・事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、金額には消費税等は含まれておりません。
(イ)国内
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
12,585,785 |
91.0 |
|
|
テキスタイル |
11,689,614 |
100.0 |
|
|
繊維二次製品 |
22,008,460 |
108.5 |
|
|
その他 |
1,553,241 |
96.7 |
|
|
繊維セグメント合計 |
47,837,103 |
100.9 |
|
|
不動産セグメント |
273,129 |
97.9 |
|
|
合計 |
48,110,232 |
100.9 |
|
(ロ)国外
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
4,329,476 |
58.8 |
|
|
テキスタイル |
2,718,210 |
82.7 |
|
|
繊維二次製品 |
36,453,699 |
89.7 |
|
|
その他 |
1,293,952 |
354.7 |
|
|
繊維セグメント合計 |
44,795,338 |
86.7 |
|
|
不動産セグメント |
0 |
- |
|
|
合計 |
44,795,338 |
86.7 |
|
(ハ)合計
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
|||
|
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
16,915,261 |
79.8 |
|
|
テキスタイル |
14,407,824 |
96.2 |
|
|
繊維二次製品 |
58,462,160 |
96.0 |
|
|
その他 |
2,847,194 |
144.5 |
|
|
繊維セグメント合計 |
92,632,442 |
93.5 |
|
|
不動産セグメント |
273,129 |
97.9 |
|
|
合計 |
92,905,571 |
93.5 |
|
(4)成約実績
当連結会計年度における成約実績を事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、金額には消費税等は含まれておりません。
|
区分 |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
||
|
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
||||
|
期中 成約高 |
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
18,672,348 |
86.7 |
||
|
テキスタイル |
13,738,251 |
95.6 |
||
|
繊維二次製品 |
75,901,183 |
101.5 |
||
|
その他 |
4,301,955 |
83.5 |
||
|
繊維セグメント合計 |
112,613,739 |
97.2 |
||
|
不動産セグメント |
415,387 |
104.9 |
||
|
合計 |
113,029,126 |
97.2 |
||
|
期末 成約残高 |
繊維セグメント |
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
原料 |
1,296,454 |
142.9 |
||
|
テキスタイル |
613,071 |
59.8 |
||
|
繊維二次製品 |
1,342,991 |
114.1 |
||
|
その他 |
3,333 |
- |
||
|
繊維セグメント合計 |
3,255,850 |
104.7 |
||
|
不動産セグメント |
- |
- |
||
|
合計 |
3,255,850 |
104.7 |
||
当社グループの属する繊維・ファッション業界は、激変する国内外の経済動向を反映した先行き不透明感に加えて、従来の価値観が通用しない市場トレンドの構造的な変動にも直面し、当社グループも極めて厳しい経営の舵取りを迫られています。繊維・ファッション業界を含む国内外の経済は、今後も混迷が続くと予想されます。
このような経営環境の下、当社グループは、2020年3月期を最終年度とする3カ年の当社グループ中期経営計画「SPARKS 2020」(スパークス2020)を策定しました。来るべき2020年における「ありたい姿」を明確化し、その実現に必要な経営戦略を可視化する観点から、「総合力発揮の強化」「新領域への挑戦」「構造改革の実行」の3点を重点方針とし、「新しい商社像」を示せるリーディングカンパニーとなるべく挑戦する意思を明確化しました。
なお、新計画のコンセプトである「SPARKS」は、圧倒的な強みを持って困難な市場環境を切り開いていく企業であり続けるためにワクワク感を持って働くさまを「火花(SPARKS)」に例えることにより、新領域への挑戦と新しい価値の創造に挑む決意を表現しています。
重点的な経営方針の概要は次のとおりです。
(1)総合力発揮の強化
・個別事業の強化(利益体質の強化、製品戦略を見据えた既存事業の最適化、優良取引先との取り組み強化)
・グループシナジーの強化(成長に向けてヤギグループの強みを活かせる事業領域の拡充)
(2)新領域への挑戦
・海外販売体制の構築(将来の布石としての海外成長市場に向けた積極展開)
・ライフスタイル提案(一定の市場シェアを確保できる体制の構築)
・ブランドビジネス(ブランドプロデュースの強化)
・EC/メディア戦略(的確な情報発信による購買層ターゲットへの確実な訴求)
・M&Aによる事業拡大(既存事業の拡大/新領域・他分野への進出)
(3)構造改革の実行
・人事企画機能の強化(働き方改革、多様性のある人材確保と次世代をリードする人材育成)
・経営管理機能の強化(リスクマネジメント、グループシナジー支援、業務プロセス・物流機能改革)
今後におきましても、当社が1893年の創業以来築き上げてきた、信用と実績をさらに高めていくために、経営の効 率性向上を目指し、いかなる環境下でも適正な利潤を上げられるビジネスモデルを構築してまいります。
当社グループの事業リスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅するものではないことをご留意下さい。
(1) 債権管理について
販売先が多数であることから、債権管理を徹底しておりますが、販売先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外からの商品調達による影響について
当社グループの海外での生産の大部分は中国を主力に東南アジアで行われており、これらの国々における
a. 予期しない法律または規制の変更
b. 不利な政治または経済要因(税制等)
c. テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
などが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) シーズン商品について
衣料品におきましては、シーズン前に商品の色、柄、数量を決定することなどから、天候の不順等により、販売額が変動し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 株価等変動リスクについて
当社グループが保有している上場株式等の時価が変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替変動について
当社グループでは輸入商品の取り扱いが多いため、為替の変動によって利益率が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。しかし、既契約分においては為替予約取引により、将来の為替変動によるリスクを回避しております。
(6) 金利の変動について
将来における金利上昇が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害のリスクについて
地震、風水害などの自然災害により社屋・事務所・設備・従業員等とその家族および取引先などに被害が発生し、当社グループに直接的または間接的な影響を与える可能性があります。リスク管理規程ならびに緊急事態対策規程の策定、従業員等安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループでは、繊維事業において、新製品の開発を目的とした試作・検査等を行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費は20,867千円であります。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,119,508千円減少し、45,776,733千円となりました。これは、受取手形及び売掛金が減少したことが主な要因であります。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ92,295千円増加し、14,494,360千円となりました。これは、有形固定資産が増加したことが主な要因であります。
③流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ1,610,604千円減少し、19,832,756千円となりました。これは、為替予約(その他の流動負債)が減少したことが主な要因であります。
④固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ1,180,869千円減少し、8,150,952千円となりました。これは、長期借入金が減少したことが主な要因であります。
⑤純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,764,260千円増加し、32,287,384千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益が1,576,653千円計上されたことが主な要因であります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①営業損益
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ63,395千円減少し、2,752,018千円となりました。これは、販売費及び一般管理費が1,113,612千円増加したことが主な要因であります。
②営業外損益
営業外収益は、持分法による投資利益の減少等により前連結会計年度に比べ72,108千円減少し、311,277千円となりました。
営業外費用は、貸倒引当金繰入額の増加等により前連結会計年度に比べ189,547千円増加し、405,224千円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ325,052千円減少し、2,658,071千円となりました。
③特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により704,006千円になりました。
特別損失は、関係会社出資金評価損280,771千円の計上等により622,064千円になりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ451,872千円減少し、2,740,013千円となりました。
(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローにつきましては、1[業績等の概要]の(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおり
であります。