当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営理念
誠実(Sincerity)に生き
情熱(Passion)を持って仕事をし
親切(Kindness)な対応ができる
企業人の集団
2.経営方針
(1)持続可能な収益力の維持、伸長
①最重要経営指標は売上高営業利益率(連結)であると捉え、4.5%を安定的に上回ることを目標にします(当期は5.0%です)。
②自動車業界の変革の波(EV化/CASE)に対して、SPKの経営理念の下、しっかりと対応できる人材の育成と新しいビジネスモデルや商品の開発、販路の深掘りにチャレンジしてまいります。
(2)積極的な株主還元の実施
①ステークホルダーへの感謝の気持ちを念頭に、「理念経営」を実践して、業績に連動した積極的な株主還元を実施します。
②当期(2023年度)末配当は27円配当となり、通期では50円配当になります。
過去の実績は以下のとおりです。
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年 度 |
01 |
02 |
03 |
04 |
05 |
06 |
07 |
08 |
09 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
|
配当(円) |
28 |
30 |
32 |
34 |
37 |
40 |
43 |
47 |
49 |
51 |
53 |
55 |
57 |
59 |
61 |
63 |
65 |
67 |
72 |
37 |
40 |
44 |
50 |
当社は、2020年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しております。2019年度末以前の配当については当該株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。
③次期(2024年度)の配当は中間5円、期末5円増配し、通期で10円増配の60円の配当を予定しております。これが実現しますと実質27期連続の増配となります。
(3)経営の深化
①将来のさらなる成長を目指し、中期経営計画「UPGRADE SPK!」では、経営基盤の強化を主眼とし、経営資源の適切な配分を意識した取り組みを進めます。
②人的資本・ESG経営を重点取組とし、サステナブル経営を実践します。
③資本コストの低減を意識した経営を行います。
④中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる譲渡制限付株式報酬制度を導入します。
3.経営環境
当社グループの経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴い、社会経済活動の回復が進み、景気は緩やかながらも持ち直し傾向がみられました。世界的な物価上昇を受けて、日本でもデフレ脱却の兆しが出て、春闘における30年ぶりの高い賃上げが実現し、日銀によって、17年ぶりにマイナス金利政策が解除されました。反面、世界各地で不穏な情勢が続き、物価上昇やエネルギー・資源価格の高止まり、円安基調の長期化、不安定な政治状況など、先行きは依然として不透明な状況が続き、当社の事業領域である自動車アフターマーケット市場や建機・産業車輌市場においても依然予断を許さない状況が続いております。
しかしながら、当社グループは100年を超える歴史を有しており、その中で培ってきた下記のような経営資源や競合他社にはない競争優位を活用し、当該経営環境を乗り越えてまいります。
国内営業本部は全国1,000社の自動車部品商を通じ、メーカー・モデルを問わず、あらゆる国産車・輸入車を対象に、補修部品・用品を供給しており、そのために、札幌から沖縄まで全国19箇所の営業拠点を配置し、国産だけでも3万点を超える部品の在庫品揃えをもって、お客様の要望には即時に応えられる体制を整えています。また、輸入車部品に関しては大阪・東京のグローバルアフターマーケットセンターを軸に、海外調達部品の流通を行っています。
また、日々変貌するアフターマーケットの環境に適応し、市場に新たな付加価値をもたらすために、商品開発に積極的に取り組んでいます。開発は機能部品を中核に据えつつも、付加価値の高い電子部品や、車載コンピューター診断機等、整備市場の発展に不可欠な製品・システムも合わせて販売しております。
海外営業本部は世界の日本車市場に向けて自動車部品の輸出を行っております。創業以来培ってきた自動車整備・補修部品販売のノウハウを生かし、80ヵ国・250社以上の顧客に高品質な製品・サービスを提供しています。また、シンガポール・マレーシア・タイ・中国・オランダ・米国に現地法人を構え、より地域に密着したサポートや商品開発を積極的に推進し、多様な市場ニーズへの対応を実現しています。
カーメーカーの生産拠点のグローバル化に伴い、世界の日本車市場は拡大の一途をたどっておりますが、この時代の変化に適応すべく、独自のグローバルネットワークを生かして更なるサービス向上に邁進しています。
工機営業本部は建設車輌をはじめ農業車輌やフォークリフト等の産業車輌を生産する大手メーカー様向けに生産材・部品を供給しています。
主たる取扱商品は、多機能ディスプレイ等電装部品、統合スイッチ・ダイヤル等機構部品から各種ランプ・フィルターまで幅広い商品群を備えるとともに、特に環境と安心安全分野に注力し、パートナー企業と電動化、コネクト、自動省人化商品の提案・開発を推進しております。
グローバルに展開するビジネスに歩調を合わせ、グローバル調達比率を増やしながら提案営業を実践し、環境負荷の低減、作業環境の高効率化、事故の無い安心安全社会の実現に向け邁進しております。
CUSPA営業本部はカスタマイズドパーツ、モータースポーツ関連の商品を中心に、自動車メーカー、カスタマイズブランドメーカー、自動車用品卸商、自動車用品量販店、カーディーラー、専門店等へPB品、NB品、及びOEM品を供給しています。
難しい市場環境下ではありますが、総輸入権や独占代理権の獲得、新規事業の立ち上げ、新規商材の投入など強みを磨きつつ市場の環境変化に柔軟に対応、取扱商品・販路の拡大や新規チャレンジを絶えず継続しながら事業推進しています。
4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2021-2023年度中期経営計画(1st Cycle)では、売上、利益ともに2020年度比1.5倍の成長を達成しました。しかし、急激な成長の結果、組織体制の課題や人材不足が浮き彫りになってきました。2024年度から始まる新しい中期経営計画では、増収増益をしっかりと果たしながら、経営基盤の強化を図る予定です。事業においては、引き続き、国内外の変化の激しい市場環境にも機動的に対応し、顧客ニーズを的確に捉えてまいります。
国内営業本部では、車検整備による消耗部品の交換需要が一定量見込める一方、EV化の進展や自動車の利用形態の変化など自動車業界の100年に1度と言われる大変革によって、従来の整備部品ビジネスの縮小が予想されています。しかし、そうした成熟市場においても、顧客ニーズに合う自社ブランドの拡充や供給サービスを充実化することで、さらなる事業強化を図ります。
海外営業本部では、約80ヵ国にわたる取引先を有しており、アフターコロナ下で、経済活動が正常化した影響から、受注が大きく回復してきましたが、一方、ロシアによるウクライナ侵攻や中近東での紛争など不穏な国際情勢により、各国の経済への悪影響が懸念されます。そのような状況の中でも、当社のグローバルなネットワークを駆使し、新たに強化する地域を増加し、事業領域も拡大を図ることで、リスク回避を図りながら、事業の拡大を目指します。
工機営業本部では、取引している多くの国・地域の顧客車輛メーカーが、半導体・他部材不足から停滞していた生産活動が回復し、好調に推移するものの、反動が起きつつあります。事業としては、より安定的な事業収益を確保すべく、きめ細かく、顧客に密着した提案営業にて、事業の拡大や安定性を図ります。
CUSPA営業本部では、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い各種イベントに注力したことで販売機会・プロモーション機会も回復してきましたが、ガソリン高騰や物価高による消費の減速もあり、業績に影響を与えています。その中でも、ブランド拡充や新規事業など積極的な事業活動によって、成長を見込みます。
このような状況下における当社グループの課題は、自動車補修部品・建機・産業車輌部品の供給というライフラインを守ることであり、この不透明な環境の中での財務上の課題は手元流動性と経営の安定性を高めることです。そのため当社では、当座貸越契約25億円の資金調達枠を確保し、この資金調達枠とは別に、2024年3月には邦銀5行より合計26億円を借り入れております。今後、さらなる成長に向けた資金調達も視野に入れて、活動してまいります。
5.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいて重要と位置付ける経営指標は、売上高営業利益率であると捉え、4.5%を目標としております。当連結会計年度の売上高営業利益率は前連結会計年度と同水準の5.0%でした。引き続き、当該指標の水準が維持されるよう取り組んでまいります。
また、今後は資本効率を重視すべく、ROE(自己資本利益率)を重要指標とし、現在の10%の水準を維持、向上してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営理念である「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」を中核に据え、設立から100年以上、脈々と受け継がれてきた近江商人の精神である「三方よし、始末して気張る、進取の気性」を経営方針としております。特に「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神は、サステナビリティの重要な考え方として、今に通じるものと考えております。自社の利益だけでなく、投資家や株主の皆様、取引先、社員など当社に関係する様々なステークホルダーの期待と信頼に応えることで、社会貢献を果たしてまいります。そのため、ESG経営をより重視すべく、社内体制を整備し、全社的にESGへの意識を高めながら、事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
まずは、当社グループでは、「気候変動」及び「人的資本」に関する取り組みを経営の重要課題の一つとして認識し、本格的にサステナビリティに関して検討を開始しました。当社はサステナビリティへの取り組みを会社全体で推進するための実効的な組織体制を整えることに注力し、さまざまな施策を行ってまいります。
(1)サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社のガバナンス体制としては、取締役会が意思決定機関となります。当社の取締役会は社外取締役3名を含めた8名で構成されており、原則月1回程度開催しています。取締役会では気候変動問題や人的資本を含む、経営に関わる重要事項を協議・決定するとともに、各取締役から職務執行状況の報告を受けることで、取締役相互の職務執行の監督を行っています。環境、脱炭素社会への適応や人材育成、多様性の確保等、気候変動問題や人的資本に対する計画と実績は、本部毎の定例会議や経営会議等の各種会議体を通じて管理し、最終的に取締役会にて監督しています。
今後、常勤取締役は、管掌部門を監督する立場となり、業務執行する各本部長には執行役員が担当することによって、コーポレートガバナンスを強化してまいります。さらに全社横断的にESG経営を推進していくため、2024年4月にESG推進室を設置しました。全社的なESG関連活動を集中的に管理・推進する体制として、活動を実施していきます。また、各部門や各グループ会社から委員を募り、月1回開催のESGコミッティーを設置して、ボトムアップ型の推進も図る計画です。さらに、管理部門であるコーポレート統括本部を編成し、各種全社横断的な課題解決や経営管理の強化やリスク管理体制の構築を進めて、グループの経営基盤の強化に努めます。
② 戦略
当社グループは、経営理念や経営方針を基軸として、全社員への意識醸成を行いながら、組織的な取り組みを推進してまいります。
当連結会計年度においては、社長を含む取締役・執行役員に加え、次世代リーダー候補者に対し、外部講師を招聘し、サステナビリティ及びESGに関する基礎知識、それぞれの課題や問題点、開示に必要な情報の共有と学習を実施しました。この取り組みにより、全役員がサステナビリティの重要性と企業としての責任を深く認識することができました。
2024年度から始まる新たな中期経営計画において、ESG経営を重要な経営課題として捉え、推進していくことを定めましたので、今後は、実効性のある取組を促進してまいります。
③ リスク管理
「
④ 指標及び目標
当社グループとして、重要課題としている「気候変動」と「人的資本」において、指標及び目標を設定し、次項以降で示す目標に向けて取り組むこととしております。
(2)気候変動に関する取組み
① ガバナンス
「
② 戦略
当社グループでは、移行シナリオとして1.5℃シナリオであるIEA(国際エネルギー機関) NZE2050を参照しています。TCFD提言の要請に基づき、外部専門家の助言も踏まえた上で、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会及び2050年時点の戦略のレジリエンスの必要性を検討することを目的に実施しました。
なお、世界のGHG排出量が現在より増加する4℃シナリオについては、今後の世界的なGHG排出量の推移を見つつ、情勢に応じて検討していく必要があると考えております。
戦略のレジリエンスとして、気候関連問題は、自動車部品商社である当社にとって大きな影響が及ぶもので、今後自動車のEV化やCASEの進展に繋がり、部品の点数が半数以下に減ることや部品それ自体が大きく変化することが想定されます。このことは、国産車だけでも3万点を超える部品在庫を有する当社にとっては、大変大きな事象です。更に炭素税やカーボンプライシングの問題がそれを加速させる可能性もあります。かかる環境下、当社は事業再編等を通じて、EV化やCASEに適応できるようにしていくことやリビルトやリサイクル部品等にも精通できるよう努めております。また温暖化の進展が緩やかとなるように、シナリオ分析を通じて脱炭素に取り組み、影響を低減できるように努めてまいります。一例としては大型拠点を主体とした太陽光発電システムの導入と合わせ、各拠点へのEV・畜充電設備の導入や再生エネ由来電力の活用を、ノウハウを有する伊藤忠商事とともに推進しており、今後も具体的な施策の実行を進め、最終的にカーボンニュートラルの実現を目指します。
③ リスク管理
気候変動および人的資本を含む全てのリスクと機会については、月1回程度開催される取締役会、経営会議、各本部の定例会議などの各種会議体を通じて把握・評価を行っております。地域別、組織別、商品別のリスクと機会は、適時、各種会議体に報告の上、対応方針を検討・決定することにしております。
コーポレート統括本部は、短期・中期・長期の気候関連および人的資本のリスクと機会を特定・評価し、社長ならびに各営業本部と連携して対策を検討いたします。対応状況は、コーポレート統括本部および関係する各営業本部の本部長(執行役員)が当社ビジネスの上流・下流も含めて報告・議論し、モニタリングおよびレビューを行います。迅速な対応が求められる重要なリスクと機会については、社長に報告し、取締役会を経て対応策を決定いたします。
これらのプロセスは、全社的なリスク管理プロセスに気候変動問題や人的資本のリスクを統合し、評価しております。取り組むべきと決定されたリスクおよび機会は、年1回開催される「経営方針発表会」や「全社マネージャー会議」、3年に1度策定される「中期経営計画」、およそ10年タームの「長期ビジョン」に統合し、各担当部門で対策を実施しております。
当社グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響は以下の通りです。
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リスク・機会 |
概要 |
時間軸(注) |
事業及び財務への影響 |
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環境・気候変動関連 |
リスク |
移行リスク |
政策規制 |
国内及び海外の炭素税導入やカーボンプライシングへの取組強化 |
中 期 |
直接・間接的にコスト増 |
|
欧米を始めとするガソリン車の販売規制によりEV化への加速が想定されるが、それに伴い部品点数の大幅減や既存品からEV/CASE商品へのシフトを迫られる可能性がある |
中 期 か ら 長 期 |
売上減や研究開発費など経費増に繋がるリスク |
||||
|
市場 |
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|
排出ガス抑制への活動が投資家などに不十分と捉えられた際のレピュテーショナルリスク等 |
中 期 |
マーケット対策費などのコスト増 |
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物理リスク |
急性 |
気候変動に起因する自然災害による倉庫・事業所の損害、商品毀損 |
短 期 |
商品に対しての保険による毀損額カバーなど |
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慢性 |
気候変動に起因する夏場の熱中症等のリスクや感染症の罹患による倉庫・事業所の機能不全 |
中 期 |
熱中症や感染症への対策費等 |
|||
|
機会 |
市場 |
商品・サ|ビス |
グローバルな事業展開の下で、EV/CASE用の商品・サービスやリビルト・リサイクル部品の活用の需要が高まることが想定される |
中 期 |
新たな分野の開拓のための研究開発費やアライアンス費用の増大等 |
|
(注)短期1年、中期3年、長期5年以上
④ 指標及び目標
本年度からは、Scope1およびScope2に加え、Scope3の算定に向けて準備を開始しました。今後はより精緻な算定を実施し、具体的な削減目標の設定を行っていく方針です。
(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標及び目標について
イ.Scope1・2のGHG排出量削減目標
当社は1.5℃シナリオの実現に向け、目標年である2050年度に連結ベースでのGHG排出量(Scope1・2)の実質ゼロを目標として掲げております。また、中間目標として2030年度には2021年度(基準年)のGHG排出量1,326.02t-CO2の22.5%に当たる298.35t-CO2の削減を目指しています。
ロ.実績並びにその他の指標
Scope1・2のGHG排出量実績並びに事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー使用実績および比率
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(単位:CO2換算トン) |
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基準年度 2021年度(*1) |
実績 2023年度(*1) |
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Scope1 + Scope2 |
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再生可能エネルギー使用実績 |
4.29MWh (0.31%)(*2) |
44.81MWh (3.2%)(*2) |
(*1)連結対象の海外現法6社(売上比率17%)については、データ収集困難なため、本体単体の使用量から算出。
(*2)グループ消費電力量 2021年度:1,393.57MWh 2023年度:1,382.86MWh
(b)排出量削減に向けての主な取組状況と今後の課題
イ.主な取組状況
・2021年11月 近畿営業所の新築移転に伴い、太陽光パネル設置。また営業車としてEV1台導入
・2022年5月 東京営業所にEV2台導入。蓄電設備等を整えるとともに2023年2月に太陽光パネルを設置。(伊藤忠商事との協業による実証実験)
・2022年9月 名古屋営業所に太陽光パネル設置。同営業所は本件によりNearly ZEBの認証を取得
・2023年9月 竣工の新本社ビルについては、省エネ設備を駆使しZEB READYを取得
・2023年11月 広島営業所において、倉庫をLED照明に切替
・2024年3月 札幌営業所において、LED照明に切替
今後、営業所などで使用しているガソリン車を先進環境対応車に順次入れ替えていきます。
また、電力プランも再生可能エネルギーを利用するものに見直すことを検討していきます。
ロ.Scope3の取組等について
リビルト、リサイクル事業者との協業等を進め、商品ライフサイクルにおけるGHG排出量削減を目指します。また一部の商品で用いられているプラスチックボトルの削減、代替品の活用等についても検討を進めてまいります。なお、上記以外のScope3の取組や算定等については今後、検討していく予定です。
(3)人的資本への対応
当社グループは、人的資本経営を重要課題と定め、全社的に取り組みを強化しています。経営理念である「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」は、まさに人づくりが事業基盤となるため、従業員一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出し、働きがいをもって活躍できる人材育成と社内環境の整備に取り組んでいます。
すでに人事制度の見直しや業績評価制度の導入など各種制度の整備を進めていますが、今後は、育成面やインセンティブの充実、労働環境の改善、従業員の健康増進、キャリアアップ支援など施策を進めながら、従業員のエンゲージメントを高めてまいります。それによって、生産性の向上、リテンション効果、顧客満足度の向上、収益性の向上など事業への好循環が図れるものと見ております。
① ガバナンス
「
② 戦略
(a)人材育成方針
当社グループは、企業の存続、成長にとって最も重要なものの一つとして「人材」を掲げています。社名である「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」という経営理念のもと、多様な社員一人ひとりが個性や能力を発揮し、働きがいをもって活躍できる人材育成に取り組んでいます。
(b)社内環境整備方針
当社グループは、人材を持続的な成長を支える基盤と捉えています。そのためには、人種、国籍、性別、年齢などに関わらず、事業を支える人材一人ひとりの価値観や個性を認め、多様性を尊重していくことが大切であると考えています。
当方針のもと、人材戦略は他社との差別化を図り、企業価値の最大化に繋げる最重要項目の一つと捉えております。まず、人材育成に関しては、経営幹部候補の育成の観点から、2020年4月より実施してきましたジュニアボードは、4年間累計で、44名の受講者となり、経営職への登用は8名、部長職には4名の昇格となりました。従業員に対しては、毎年受講者が200名近くになる通信教育、資格取得の奨励、評価者研修の実施や若手社員による集合研修など実施しています。今後は、新たな階層別研修を導入し、より階層毎に適した人材の育成を図っていく計画です。
次に、人的資本経営を実現するために、従業員エンゲージメントを重視し、当社で初めて、従業員エンゲージメント調査を実施しました。結果としては、全般的に良好であり、特に、「組織への共感と信頼」、「仕事への意欲」において、高い傾向がありました。経営理念に掲げる内容が従業員にも理解され、定着しているものと見ております。今後は、定期的に実施することで、人事施策がどう指数に反映しているのか、分析を行い、効率的、効果的な施策を実行し、人材育成や組織力を向上してまいります。
女性活躍についても、課題として捉えており、従業員への実態や希望を把握するため聞き取りを行ったり、職場や労働環境のさらなる改善に取り組む予定です。また、管理職候補については、これまでの実務を通じた育成が進み、次年度には複数名の昇格予定があり、それに続く予備軍に対しては、人事面談を行っていき、意識の向上や必要な支援を強化することで、社内登用を推進します。合わせて、実績のある優秀な人材の採用も行い、男女ともに活躍し、バランスの取れた構成を目指し、多様性のある組織を構築していきます。
また、従業員の安全と健康にも目を向け、リスクを低減するための施策、健康経営を目指した取り組みも行っていく計画です。
③ リスク管理
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リスク・機会 |
概要 |
時間軸(注) |
事業及び財務への影響 |
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|
人的資本 |
リスク |
人材確保・育成 |
市場 |
労働人口減少に伴い、人財確保が難しくなり、採用費など人財の維持・確保にかかる費用の上昇や人財不足に陥ってしまう可能性がある |
中 期 か ら 長 期 |
直接・間接的にコスト増。また人員不足になるとビジネスモデルにも影響 |
|
制度・環境 |
若年層を含む多様な人財の維持・確保に向けて、公平で多様な人財に適応した人事制度やキャリア形成の仕組み作り、従業員のエンゲージメント向上や健康・安全に資する取組などへの注力(経営資源の投入)が必要となる |
中 期 |
人事制度や育成などの仕組作りのため直接・間接的にコスト増 |
|||
|
機会 |
環境 |
モチベ|ション |
人財確保や育成のためのインフラ整備を整えることによりモチベーションの高い優秀な人財の採用や定着化が可能となる。また、働き方改革等を進めていくことにより企業ブランドの構築にも資することができる |
中 期 か ら 長 期 |
仕組作りのため直接・間接的にコスト増になるが、成功すれば競争力強化に繋がる |
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(注)短期1年、中期3年、長期5年以上
④ 指標及び目標、実績について(*1)
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目的 |
指標 |
目標
|
実績 |
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(項目) |
2022年度 |
2023年度 |
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ダイバーシティ |
管理職に占める 女性従業員の割合 |
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4.0% |
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|
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19.7% |
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男性従業員の 育児休業取得率 |
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- |
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2.2% |
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2.19% |
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人材育成 |
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11名 |
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24時間/人 |
27時間/人 |
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4,987千円 |
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従業員 エンゲージメント |
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- |
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87.8% |
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|
|
10.1% |
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健康・安全 |
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21.2時間 |
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|
- |
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|
*1.当該指標及び目標、実績などについては全て提出会社を対象としています。
*2.障がい者雇用率は厚生労働省宛の「障がい者雇用報告書」に基づく実績(6月1日時点)を記載しています。
*3.インソース社による「エンゲージメント診断」において、従業員エンゲージメントの状態を示す主要6項目の平均値
*4.離職率は常用労働者を対象にしています。
*5.平均残業時間は管理職を除く正社員を対象にしています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しております。
(方針及び体制)
当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しております。従来より、経営者や各事業責任者が、事業運営の中でリスク感度を高くし、リスクが高まれば、即時対応を行う体制をとっております。
今後は、より予防的な対応を図り、また、全社的なリスク認識を共有できるような体制を構築すべく、コーポレート統括本部内に法務課を整備し、全社横断的なリスク管理の推進を行うべく、準備を始めております。
(主要リスクの概要)
1.政治・経済情勢
当社グループは、世界約80か国に事業展開しており、また、日本車保有台数の多いアジア、中南米等の開発途上国に幅広く展開していることから、当該国の政治並びに経済情勢の変化や為替変動の影響を受けます。また、戦争や紛争懸念も世界的に広がりを見せており、不測の事態が起きるリスクがあります。
一方、国内の自動車業界も大変革期を迎える中、市場環境の激変並びに、自動車に対する意識の変容、大規模自然災害の発生や感染症の感染拡大及び部品供給の遅れによる納期遅延等により、当社グループの事業や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
国内外ともに、政治・経済情勢は様々な環境に影響されるため、当該リスクが常にあるものと認識しております。当社では、グローバルなネットワークを構築しており、逐次、情報が経営者や各事業責任者に入るため、各種会議体で、適宜対応について、議論、検討できる体制となっております。
2.マーケットの環境変化
当社グループは、マーケット環境の大きな変化により、業績への影響があると見ております。国内の自動車保有台数の減少や自動車の電動化によって、補修部品の需要減少も予測されますが、現状、自動車保有台数はここ10年で約250万台増加しており、早期の悪影響はないものとみております。しかしながら、将来を見据えて、保有台数の減少や電動化の進展などの影響を軽微にすべく、付加価値の高い商品や市場ニーズに合った新規商材の開発、新規事業領域の開拓を引き続き行ってまいります。
また、完成車メーカーの海外現地生産台数増加によって、当社の輸出の減少が懸念されるものの、当社グループの海外現地法人の調達・供給網を活用し、機会を捉えてまいります。
3.新たな法改正等への対応
当社グループは、法改正等への対応について、環境、安全に向けた新たな法改正に伴う重要な訴訟の発生や個人情報保護法、不正競争防止法、下請法等への対応次第では、当社グループの事業や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
関係法令の改正情報を早期に入手し、影響を検討し、対策を取ることで、法令遵守の徹底を図っております。
4.海外での販売活動
当社グループは、海外での販売活動においては、大規模な自然災害や政情不安、感染症の感染拡大による渡航規制、テロ行為、金融危機によるカントリーリスクおよび新興国からの廉価商品との競争激化により、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
各国における情報収集を定期的に行うとともに、現地法人との連携を密にし、対応を図っております。
5.取引先の減産による影響
工機営業本部では、建設車輌をはじめ、フォークリフト、トラクター等の産業車輌を生産する大手メーカー向けに組付け用の部品・部材を供給しています。そのため、これら建設車輌・産業車輌メーカーの生産計画による影響を受けやすく、建設車輌・産業車輌メーカーが減産に転じた際には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
この影響を軽減するため、当社グループでは取引先メーカーの先のエンドユーザーを視野に入れて、そのニーズにあった車輌・部品を幅広く開拓しております。
6.のれんの減損
当社は、企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により収益性が低下した場合に、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
今後とものれんについては、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に確認を実施し、対応してまいります。
7.感染症の蔓延によるリスク
当社グループは、未知の感染症の発生によるリスクが常にあるものと見ており、従業員の安全確保と社内外の感染抑止を最優先に取り組んでいます。また、事業への影響を最小限に抑えるべく、情報収集と必要な対応を行っていますが、今後の感染拡大によっては、サプライチェーンの寸断や当社グループ、顧客及び取引先の工場の操業停止や事業拠点の休業などの事業活動の制限等による影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
8.災害や停電に関するリスク
当社は、全国19拠点の営業所があり、物流機能を有しております。これらの地域で地震や津波等の災害、停電、その他の操業を中断する事象が生じた場合、商品の入出荷能力に著しい影響を与えます。
そうした事態が生じた場合、全国幅広く拠点を展開していることから、拠点間の融通も利くため、バックアップ体制を整え、リスク回避に努めます。
9.その他のリスク
上記以外にも事業活動を進めていく上において、環境問題、法規制等の外部要因によるリスクのほか、顧客情報管理やコンプライアンスに関するリスクなど、様々なリスクが当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。適宜取締役会その他経営会議へ連絡・報告を行う体制をとっておりますが、さらに当社を取り巻くリスクを可視化し、発生時の影響を最小限に抑えるための対策を強化すべく、準備を進めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴い、社会経済活動の回復が進み、景気は緩やかながらも持ち直し傾向がみられました。世界的な物価上昇を受けて、日本でもデフレ脱却の兆しが出て、春闘における30年ぶりの高い賃上げが実現し、日銀によって、17年ぶりにマイナス金利政策が解除されました。反面、各地で不穏な国際情勢が続き、物価上昇やエネルギー・資源価格の高止まり、円安基調の長期化、不安定な政治状況など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
一方、当社グループにおきましては、2030年までにモビリティビジネスのグローバル商社を目指す「VISION2030」の1stCycle(2021年~2023年)の、最終年度にあたる当連結会計年度の業績は、基盤事業である国内で、安定的な業績を達成しながら、旺盛な需要に応え、円安メリットのあった海外事業と主要顧客の生産拡大やこれまで取り組んできた環境、安心、安全性能を向上させる製品開発への取り組みが実を結んだ工機事業において、大幅な伸長を示したこと、さらに国内外の連結子会社が貢献を果たしたことで、当初計画を超過する業績となりました。
このような経済状況のもとで、当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の経営成績は売上高633億2百万円(前期比15.7%増)、営業利益31億45百万円(同15.6%増)、経常利益33億57百万円(同15.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益23億92百万円(同16.1%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(国内営業本部)
国内営業本部は、主要顧客からの受注が堅調に推移しており、商品別ではバッテリー、エンジンオイル、足回り商品、輸入車消耗部品等、主力商品の販売が好調となりました。また国内連結グループ会社の業績も堅調に推移しました。その結果、売上高は298億22百万円となり、前年同期比9.3%の増収となりました。依然として、円安による輸入商品価格の高騰など仕入価格の上昇要因はありますが、物流改革、拠点エリア再編や業務効率化を進めて、コスト増に対応してまいります。また、引き続き取引先や各本部、グループ会社との連携を強化し、補修部品の安定供給を最優先にバリューチェーンの構築に取り組んでまいります。
(海外営業本部)
海外営業本部は、円安が継続していることで、中東地域をはじめほぼ全地域で受注は好調に推移していますが、アジア・中南米地域市場などの一部市場では現地販売がスローダウンし、若干在庫過多の状況です。サプライヤーからの値上げは落ち着いたものの、納期の長期化は想定より改善しておらず、バックオーダーは依然として高い水準が続いています。その影響で当第4四半期の輸出はややペースダウンしましたが、当連結会計年度累計では好調な業績となりました。一方、海外連結グループ会社はシンガポール法人を筆頭に全て順調であり、連結業績に大きく貢献しています。その結果、売上高は223億36百万円となり前年同期比22.8%の増収となりました。
(工機営業本部)
工機営業本部は、主要顧客である建機・農機・産業車輌メーカーの生産が好調に推移しました。その結果、売上高は76億85百万円となり、前年同期比28.1%の増収となりました。一方、市場・業界動向は低調な欧州・中国需要に加え、好調を支えてきた北米需要の先行きが不透明な経営環境ではありますが、顧客・市場で需要が高まる環境性能、安心・安全性能を向上させる製品開発に取り組むことで、脱炭素・安心安全社会に向けて貢献してまいります。
(CUSPA営業本部)
CUSPA営業本部は、為替変動に伴う輸入商材価格の上昇、原材料費の高騰などの外部要因の影響を引き続き受けておりますが、自社ブランドの商品ラインアップの見直しや、新規ブランドの販売拡大を目的とした新規開拓を積極的に実施し、また、メディア露出やモータースポーツシーンを中心に効果的なプロモーションを継続的に行いました。その結果、売上高は34億58百万円となり、前年同期比7.7%の増収となりました。今後も原材料価格や為替の変動に柔軟に対応し、主要商品の安定供給を図ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は期首に比べ2億64百万円増加(前連結会計年度は4億66百万円増加)し、当連結会計年度末には68億52百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は18億35百万円(前連結会計年度は8億38百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益33億41百万円と、売上債権の増加6億40百万円、棚卸資産の増加8億70百万円、仕入債務の増加2億45百万円、および法人税等の支払額11億57百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は17億97百万円(前連結会計年度は8億79百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億98百万円、子会社株式の取得による支出2億90百万円、有形固定資産の取得による支出10億34百万円、無形固定資産の取得による支出1億31百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は1億67百万円(前連結会計年度は4億26百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の減少3億27百万円、長期借入れによる収入21億円、長期借入金の返済による支出10億19百万円、および配当金の支払による支出4億71百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績・受注実績
該当事項はありません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内営業本部(千円) |
24,051,486 |
107.1 |
|
海外営業本部(千円) |
19,139,522 |
116.0 |
|
工機営業本部(千円) |
6,683,419 |
126.0 |
|
CUSPA営業本部(千円) |
2,642,124 |
106.4 |
|
合計(千円) |
52,516,552 |
112.3 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内営業本部(千円) |
29,822,124 |
109.3 |
|
海外営業本部(千円) |
22,336,160 |
122.8 |
|
工機営業本部(千円) |
7,685,900 |
128.1 |
|
CUSPA営業本部(千円) |
3,458,215 |
107.7 |
|
合計(千円) |
63,302,401 |
115.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
流動資産は306億25百万円となり、前連結会計年度末と比較して29億48百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加3億55百万円、受取手形及び売掛金の増加2億67百万円、電子記録債権の増加6億67百万円、および棚卸資産の増加15億79百万円によるものです。固定資産は80億16百万円となり、前連結会計年度末と比較して13億41百万円の増加となりました。これは主に建物及び構築物(純額)の増加6億55百万円、土地の増加5億円、および投資有価証券の増加2億20百万円によるものです。
この結果、総資産は386億41百万円となり、前連結会計年度末と比較して42億90百万円の増加となりました。
流動負債は107億33百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億82百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加4億64百万円、および1年内返済予定の長期借入金の増加2億60百万円によるものです。固定負債は33億16百万円となり、前連結会計年度末と比較して8億90百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加9億29百万円によるものです。
この結果、負債合計は140億50百万円となり、前連結会計年度末と比較して18億73百万円の増加となりました。
純資産の部は245億91百万円となり、前連結会計年度末と比較して24億16百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益23億92百万円及び剰余金の配当4億71百万円によるものです。この結果、自己資本比率は63.4%(前連結会計年度末は64.6%)となりました。
2)経営成績
売上高は、前連結会計年度に比べて86億6百万円増加(15.7%増)し、633億2百万円となりました。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している要因により、国内営業本部は25億34百万円増加(9.3%増)、海外営業本部は41億40百万円増加(22.8%増)、工機営業本部は16億83百万円増加(28.1%増)、CUSPA営業本部は2億47百万円増加(7.7%増)となりました。
営業利益は、前連結会計年度に比べて4億25百万円増加(15.6%増)し、31億45百万円となりました。売上高販管費率は前期比0.7ポイント増加し13.5%となりましたが、売上総利益率が前期比0.7ポイント増加し18.4%となったため、売上高営業利益率は前期と同水準の5.0%となりました。
経常利益は、前連結会計年度に比べて4億46百万円増加(15.3%増)し、33億57百万円となりました。
特別損益は、16百万円の損失(前連結会計年度は57百万円の利益)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む)は、前連結会計年度に比べて34百万円増加(3.8%増)し、9億43百万円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて3億32百万円増加(16.1%増)して23億92百万円となり、自己資本当期純利益率は(ROE)は10.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金は内部資金の活用を基本としておりますが、設備資金を中心とする事業の維持拡大のための資金として金融機関からの借入による調達も行っております。また、事業環境等の不測の変化に備え、流動性の確保のために金融機関には十分な借入枠を有しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は売上高633億2百万円(前連結会計年度比15.7%増)、営業利益31億45百万円(同15.6%増)と増収増益となりました。売上については海外営業本部や工機営業本部が大きく牽引しました。また、利益面につきましては経常利益、当期純利益とも増益となりました。しかしながら自動車補修部品市場は、車輌のIT化・自動運転化・HV/EV化による大きな変革が訪れつつあり、引き続き当社グループは進取の気性を持って柔軟に対応していくことができる人材の育成に注力してまいります。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいて重要と位置付ける経営指標は、売上高営業利益率であると捉え、4.5%を目標としております。当連結会計年度の売上高営業利益率は前連結会計年度と同水準の5.0%でした。引き続き、これらの指標が改善されるよう取り組んでまいります。
⑤セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
⑥重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。